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侑「カップル限定の」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:33:35.19 ID:KAiCA0/L0
やが君SSB
30レスくらいで書こう→3倍
ギャグだらけにしよう→真面目な話
この病気どうにかしたい
槙くんは決して邪魔をしないぼくらの味方
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1543160014
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:34:39.68 ID:KAiCA0/L0
燈子「んー! いい買い物したなぁ」
侑「服、最後店員さん値引きしてくれてラッキーでしたね」
燈子「そうだね」
侑「アレにならないといいですけど」
燈子「アレって?」
侑「家帰ってから後悔するやつ。わたし、迷った買い物ほどなりやすくて」
燈子「あー、あるある」
燈子「でもこれは最初から買おうと思ってたし大丈夫だよ」
侑「あれ、そうなんですか?」
侑(そのわりにはだいぶ悩んでたような)
燈子「あの店員さん、ノルマとしてこれだけは売りたい!って目だったから」
侑「はあ」
侑「……って先輩まさかわざと」
燈子「ふふ。作戦?」
侑「うわー……」ジト
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:36:05.34 ID:KAiCA0/L0
燈子「あ、あれ? 侑もしかして引いてる?」
侑「正直ちょっと」
燈子「う……やっぱりちゃんと払わないとダメかな」
侑「あ、いえ、そうじゃなくて」
侑「『澄ました顔して裏でなに考えてるかわかんない七海先輩こわっ』って思っただけです」
燈子「余計にショックなんだけど…」
侑「まぁでもその交渉術?は、素直にすごいと思いましたよ」
燈子「本当?」
侑「そりゃ同じものなら安く買えるに越したことないですし」
燈子「ふふ。ならよかった」
侑「ちなみに浮いたお金でパフェでもおごってくれたらポイント2倍ですけど」
燈子「えっおごるおごる! どっか入ろう!」
侑「ちょっ、冗談ですって」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:37:05.84 ID:KAiCA0/L0
燈子「なーんだ冗談」
侑「さすがに厚かましすぎますし」
燈子「でも、侑のポイントが2倍になるんでしょ?」
侑「わたしのポイントなんか集めてなにもらえるんですか…」
燈子「え?」
燈子「……」
燈子「…ごほうび?」
侑「やだ」
燈子「早い!」
侑「だって先輩いま絶対やらしーこと考えた!」
燈子「っ…!? かっ考えてない!」
侑「じゃあなに考えてたんですか」
燈子「そ、それはっ」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:38:45.03 ID:KAiCA0/L0
侑「じーー」ジー
燈子「えと……」
侑「じーーーーーっ」ジーー
燈子「……っ〜〜」カァァ
侑「あーっやっぱり図星」
燈子「ちっちがうよ!」
燈子「私はただその、色々、したいなって」
侑「いろいろ?」
燈子「………キスとか…抱きしめたり」
侑「……………」シラッ
燈子「わああっごめんなさい! そういうことばっかり考えてました!」
侑「はぁ〜〜これだから先輩は」
燈子「ううう」
侑「まったく」
侑「……そのくらい普通に言えばいいのに」ボソ
燈子「……ん?」
侑「なんでもないです。 帰りましょう」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:39:52.17 ID:KAiCA0/L0
スタスタ
燈子「…あれ?」
侑「どうかしました?」
燈子「この道たまに通るけどこんなカフェあったかな」
侑「新しそうですね。なんか看板が」
燈子「あっ侑、あれ見て!」
侑「はい?」
燈子「カップル限定で飲み物頼んだらパフェのサービスだって」
侑「え、ほんとだ」
侑(ああいうの実際あるんだ。 初めて見た)
燈子「……」ウズウズ
侑「……いやなにうずうずしてるんですか」
燈子「えー? フリだけでもしてみない?」
侑「先輩バカなの?」
燈子「ひどい!」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:41:29.12 ID:KAiCA0/L0
侑「そもそも、ああいうのって男女じゃなきゃダメですよね」
燈子「そういうもの?」
侑「たぶん普通は」
燈子「そっかー…」ガク
侑「まあでもメニューとかはよさげですし。 また今度来ましょうよ」
燈子「えっ! いいの?」
侑「……」
侑「言っときますけど他意はないんで」ジト
燈子「し、知ってるよ!」
侑「怪しい」
燈子「普通にでしょ」
侑「普通に、です」
燈子「はーい」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:43:10.25 ID:KAiCA0/L0
ガララ
侑「ただいまー」
侑「ふう」ゴロン
侑(久しぶりにいっぱい服見たな。 結局どれも買わなかったけど)
侑(でも……うん、楽しかった)
侑(先輩と買い物に行くのは楽しい)
侑(朱里たちと行くのももちろん楽しいけど、七海先輩と過ごすのは)
侑(なんというか…居心地がいい?)
侑「……」
侑(ような気がする)
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:45:35.15 ID:KAiCA0/L0
侑(なんでだろ。 余計な気を遣わなくていいからかな)
侑(先輩なのに変なの)
怜「侑ー入るよ」ガチャ
侑「っ!」ビク
侑「怜ちゃん! ノックくらいしてってば」
怜「なんで」
侑「なんでって」
怜「あ……ごめんひょっとして自家発電中だった?」ニヤ
侑「は、はあああっ!?」ガバッ
怜「おっ図星?」
侑「ちがうし! バカなの? 怜ちゃんきもっ!」
怜「冗談だっつの。 真に受けんな」
侑「冗談でも今のはない……ってかなんの用」
怜「あーそうだ。べつに用ってほどでもないんだけど」
侑「なら出てってよ」
怜「あれれ、そういうこと言っちゃう?」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:47:03.32 ID:KAiCA0/L0
侑「…? なんなのもったいぶって」
怜「こ・れ」チャリ
侑「なにそれ」
侑(って、)
侑(メンダコのストラップ!? しかも見たことないやつ)
怜「あんた好きじゃなかったっけ?」
侑(まさか怜ちゃんガチャでシークレットを…)
侑(いやでもシークレットはあの色じゃないはず。 じゃああれは?)
怜「欲しいなら侑にあげよっか」
侑「えっほしい!!」
怜「と思ってたけど、生意気な態度がむかついたからやーめた」クル
侑「なぁ!?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:51:11.38 ID:KAiCA0/L0
怜「姉への敬意を払って反省するなら考え直してあげてもいいけど?」
侑「うわっ」
侑(卑怯すぎてますます敬意とかない。 けど)
侑「……ごめんなさい」
怜「あらま素直」
侑「意地張ると怜ちゃん喜ぶんだもん」
怜「へーよくわかってんじゃん! つまらんけどおねーちゃんちょっと感心しちゃった」ナデナデ
侑「うざっ! 撫でないで」
怜「はいじゃあこれ約束通りあげる」ポン
侑「!」
侑(ゴールドのメンダコ! 絶対レアだ)
侑「怜ちゃんなんで」
怜「あーこれ?」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:53:44.63 ID:KAiCA0/L0
怜「ちょっと前に侑が七海ちゃんとデートした水族館あるでしょ?」
侑「デート言うな」
怜「そこの入場特典で1個もらえたのよ」
侑「えっ、前はそんなのなかった」
怜「じゃあ期間限定なんじゃない。 ちなみになんだっけこの…クラゲ?」
侑「メンダコ!」
怜「あーそうそれ。 色2つあったよ」
侑「まじで?」
侑(ってことはもう1種類! ゲットせねば)
侑(七海先輩、誘ったらまた行ってくれるかな)
怜「あ、限定といえばそうだ」
侑(でも2回目行くには早すぎ? となると朱里かこよみか…)
怜「これもらえるのってたぶん全員じゃないんだよね」
侑「え、そうなの?」
怜「私はヒロと行ったんだけど、入口過ぎたとこでお姉さんに声かけられてー」
怜「なんか、カップル限定っぽかった」
侑「……」
侑「え」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:56:46.19 ID:KAiCA0/L0
翌日
侑「……」
侑(限定……カップル限定かー……)ズーン
侑(普通に女友達とかと行ってもダメってことじゃん)
侑(いつまでなんだろ。 早くしないと終わっちゃうかも?)
侑(そもそも彼氏いないし)
侑(…そうだ! あいつなら)
侑「……」
侑(っていやいや)
侑(一度断っといて今さら。 しかもストラップのために〜とか最低すぎる)
侑(かといって下手に知り合いの男子に頼んで面倒なことになるのもなぁ……)
侑「うーーどうすれば」グデン
こよみ「おーい侑ー」
侑「うぇ?」
こよみ「なにそのナメクジな格好…」
こよみ「いや、侑を呼んでほしいって言われて」
侑「え、誰」
こよみ「槙くん」
侑「槙くん? なんだろ?」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 00:59:10.20 ID:KAiCA0/L0
聖司「やあ小糸さん」
侑「ごめんお待たせ」
聖司「僕こそごめん。 携帯でもよかったんだけど、読まなかったらと思って」
侑「あ、うん。 どうかしたの?」
聖司「今日の生徒会、やることがほとんどないから1年生は休みでいいみたい」
侑「え、そなの?」
聖司「さっき下で佐伯先輩に会ってね。 周知するよう頼まれたんだ」
侑「そっか。でもなんか先輩に任せるの申し訳ないね」
聖司「僕もそう思って聞いたんだけど、『気持ちだけ頂戴するわ』ってはねられちゃって」
侑「あー佐伯先輩言いそう」
侑「てか、微妙に似てる」プッ
聖司「本当? 実はちょっと意識してみた」
侑「今度本人の前でやってみようよ」
聖司「う、うーん、まだ僕も死にたくはないかな…」
侑「あはは! 槙くん意外と失礼」
聖司「ははっ、言わないでね」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 01:03:07.48 ID:KAiCA0/L0
侑(槙くんって真面目だけどノリも悪くないんだよなぁ)
聖司「それだけなんだ。 呼び立ちゃってごめん」
侑「ううん。わざわざありがと」
侑(他人への気遣いは申し分なし、おまけに顔も整っていると。 こりゃモテる)
侑(まぁ自分の恋愛に興味ないって言ってたし彼女はいないんだろうけど)
侑「!」
侑(そうだ、槙くんだったら…!)
聖司「じゃあ僕は堂島にも伝えに行ってくるから」
侑「あっ、ちょっと待って!」
聖司「ん?」
侑「あ、と」
聖司「どうかした?」
侑「つかぬ事をお聞きしますが」
聖司「…? どうぞ?」
侑「槙くんってさ、」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 01:16:34.99 ID:KAiCA0/L0
放課後
聖司「水族館かぁ。 いつ以来だろう」
侑「ごめん、付き合わせちゃって」
聖司「ううん、どのみち生徒会がなくなって暇だったしね」
聖司「それにしても衝撃だったなぁ」
侑「え?」
聖司「小糸さんが学校で『彼女いないでしょ?』って僕に聞いてきたの」
侑「ぶっ!」
侑「……あ、あれは変な意味じゃなくて!」
聖司「あはは。 特に気にしてはいないんだけど、おもしろくて」
侑「おもしろい?」
聖司「うん。 小糸さんも大概失礼だなあって」
侑「槙くん? やっぱ気にしてない…?」
聖司「いやいや、話の流れがさ」
侑(表情に出ないのが逆に怖い)
聖司「あ、電車きたよ」
プシュー…
燈子「…え?」
沙弥香「燈子? どうかした?」
燈子「いや…」
沙弥香「?」
燈子(あれって、侑と……槙くん?)
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 02:50:35.61 ID:RpWCz7bQo
またお前か
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 19:50:38.77 ID:KAiCA0/L0
侑「着いた」
聖司「僕は初めて来たけど、思ったより大きいね」
侑「昔1回リニューアルして拡大したみたいだよ」
聖司「へぇ」
ウィーン
侑(怜ちゃんは入口過ぎたとこって言ってたけど…)キョロ
聖司「チケット代は僕が出そうか?」
侑「あーうん」
侑(なにもなさそう。 ゲート入ってからって意味かな)
侑「って、いやいや! むしろわたし払う」
聖司「それはさすがに」
侑「だって槙くんには無理やりついてきてもらったんだし」
聖司「でも今の僕は小糸さんの彼氏役なんだよね?」
侑「ん……まあ、一応」
聖司「なら、それらしく振る舞わないと」
侑「え、えー?」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 19:56:21.76 ID:KAiCA0/L0
侑「やっぱここは普通に買おう」
聖司「小糸さんがいいならいいけど」
侑(さすがにこんなとこまで見られてないよね)
聖司「あ、でもこれ2枚組のほうが少しお得なんだ」
侑「あれほんとだ。……カップルチケットて」
聖司「あはは、そのままだね」
侑(怜ちゃんとヒロくんはこれで入ったのかな)
聖司「どうする? 合わせて200円の差みたいだけど」
侑「うーんそれなら」
侑(いやまてよ、もしやこれが限定ストラップの証明として使われてるんじゃ…?)
聖司「まあそうだね、ちょっと名前が照れくさいし今回は」
侑「いや、カップルチケットで!」
聖司「えっ!?」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 20:00:33.67 ID:KAiCA0/L0
侑「や、てか、それじゃないと特典くれないのかなって」
聖司「ああそういうこと」
侑「わかんないけど…」
侑「あっでも槙くんが嫌だよね? ごめんわたしスタッフの人に聞いてくる」
聖司「いや、僕もこれでいいよ」
侑「え、でも」
聖司「いずれにせよこっちのほうが確実だろうし」
侑「それは、そうかもだけど」
聖司「ちょっと名前が恥ずかしいけど、浮いたぶん飲み物代の足しにでもしようよ」
侑「…そだね!」
聖司「じゃあとりあえずここは僕が」ガー
侑「あっごめん」
侑(槙くん優しい)
燈子「……………」ジーー
沙弥香「……」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 20:02:24.18 ID:KAiCA0/L0
燈子(槙くんと侑…どうして2人で水族館に)
沙弥香「ねぇ燈子、やっぱりこういうのは」
燈子「しっ!」
燈子(まさかデート? いや侑に限ってそんなこと……でもでも!)
沙弥香(面白そうだから尾行って。 っていうかなんで私まで…)
侑「ーーー」
聖司「ーーー、ーー」
沙弥香(まあ、様子が気になるのはわかるけど)
燈子(うー、なに話してるんだろ)
沙弥香「……」
沙弥香(本当にただ『面白そうだから』…なの?)
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 20:20:46.91 ID:KAiCA0/L0
聖司「お目当てのストラップはどこで手に入るの?」
侑「怜ちゃ……お姉ちゃんが言うには入ってすぐらしいんだけど」
スタッフ「ご来館ありがとうございまーす!」
侑(きた!)
スタッフ「よろしければチケットを拝見しても?」
聖司「どうぞ」
スタッフ「……ありがとうございます! ただいまカップルのお客様限定でキャンペーンをやっておりましてー」ゴソ
侑「はい、はい!」
聖司(食い付きが)
スタッフ「まずこちら、イルカショーで使えるペアポンチョをおひとつ」
侑「ちがう」
聖司「!?」
スタッフ「えっ」
聖司「あっ、すいません僕もらいます」
スタッフ「は、はい」
侑「……」ジー
聖司(ストラップしか見てない…)
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 20:24:59.74 ID:KAiCA0/L0
スタッフ「それからペアでおひとつなんですが、当館限定のおさかなストラップをお選びいただけましてー」
侑「!」
スタッフ「種類はこの中k」
侑「これ! これください!」
スタッフ「えっ」
聖司「あ、これですE番の、メ……メタモンだっけ?」
侑「メ ン ダ コ」キッ
聖司「ごめんなさい!?」
スタッフ「メンダコですとお色がこちらの2種類ございm」
侑「シルバーのほうで!」
スタッフ「あっえっ」
聖司(小糸さんって怒るとあんな顔するのか…)
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 20:28:12.97 ID:KAiCA0/L0
侑(やったやった、限定メンダココンプリート!)
聖司「よかったね小糸さん」
侑「うん!」
聖司(逆にこんなに笑顔なのも初めて見たかも)
スタッフ「よろしければあちらで記念撮影されませんか?」
侑「写真」
聖司「せっかくだし撮ってもらう?」
侑「あ……でもこれあとで買わされるやつじゃない?」ヒソ
聖司「その可能性はあるね」ヒソ
スタッフ「あはは。 それでしたらお客様のスマホなどでお撮りしますよ?」
侑「えっいいんですか」
スタッフ「はい! ぜひ、SNSなどにあげていただければ、宣伝にもなりますし」
聖司「ああなるほど」
侑「じゃあ、これでお願いしますっ」スッ
スタッフ「かしこまりました!」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 20:30:36.76 ID:KAiCA0/L0
スタッフ「準備はいいですかー?」
聖司「はい」
侑「おっけーでーす」
スタッフ「……あれ?」
スタッフ「お二人とも、なんとなく距離が遠いような?」
侑「えっ」
侑(やばい、怪しまれた?)
スタッフ「ほらほらもうちょっと近くにー!」
聖司「あーいや、僕らはもとからこういう距離感……っと」クイ
侑「……」ギュッ
聖司「!?」
聖司「こ、小糸さん? 」
侑「フリってバレたら無効にされるかも」ヒソ
聖司「…そんなことないと思うけど」ヒソ
侑「ごめん、今だけだから!」ヒソ
聖司「う、うん」
スタッフ「あっそれいいですね」
スタッフ「それじゃ撮りまーす! 笑って笑ってーさーんにーいいーち…」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:08:02.76 ID:KAiCA0/L0
スタッフ「それではごゆっくり〜」
侑「すごい明るいスタッフさんだった」
聖司「そうだね」
侑「ってかごめん! 演技とはいえあんなこと…」
聖司「いやいや。 むしろ役得?」
侑「あれ、でも槙くんって女子にこういうことされるの嫌なんじゃ」
聖司「え?」
侑「えっ」
聖司「別に僕は女の子そのものに抵抗があったりするわけじゃないよ?」
聖司「恋愛に関して自分が対象にならないってだけで、性別云々にこだわりはないかな」
侑「ごめん勝手に女子嫌い設定にしてた」
聖司「いやまぁ、男子好きまで行ってなくてよかったよ」
侑「それ性別こだわってない?」
聖司「ははっ確かに。そこは一応ね」
侑「どっから見る?」
聖司「うーん、とりあえず順路に沿って行こうかな」
侑「じゃあこっちだ」
燈子「………………」ズモモ
沙弥香「……」
沙弥香(燈子からなんか禍々しいオーラが…)
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:10:30.01 ID:KAiCA0/L0
燈子「沙弥香」
沙弥香「なに?」
燈子「今の見た?」
沙弥香「…腕、組んでたわね」
燈子(やっぱり見間違いじゃない……)ズーン
沙弥香「……」
沙弥香「それがなにか不満?」
燈子「えっ! や、そういうわけじゃないけど」
沙弥香「本当かしら」
燈子「役員たるもの、不健全交遊があっては生徒会の顔が立たないでしょう?」
沙弥香「不健全って……だから見守る義務があると?」
燈子「うんまぁ、そんなとこ?」
沙弥香「あの二人にそんな心配するだけ徒労だと思うけど」
燈子「わ、わかんないでしょ!」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:13:31.86 ID:KAiCA0/L0
燈子「もしここでいい雰囲気になって、流れでそのまま……なんてことにでもなったら」
沙弥香「そのまま?」
燈子「……」
燈子「…ホテルとか」ボソ
沙弥香「ぶっ!!」
沙弥香「そ、そんなことあるわけないでしょ!? どれだけ飛躍してるのよ!」
燈子「だっだけど! 万が一ってことも」
沙弥香「大体ホテ……っ、そういう所は、年齢的に不可能だから」
燈子「? そうなの?」
沙弥香「通常18歳未満は法律で禁止よ? 施設にもよるようだけど」
燈子「……」
燈子「沙弥香、詳しいね」
沙弥香「ーーっ!?」
沙弥香「べっべべ別に! 自分で調べたわけじゃないからね! ちがうんだからねっ!?」ペシペシ
燈子「私なにも言ってない!」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:24:45.02 ID:KAiCA0/L0
侑「あ!」
侑「槙くんこれ見て」
聖司「ん。 えっと、これは…チンアナゴ?」
侑「知ってたんだ」
聖司「ブームがあったかで結構有名じゃない? 実物は初めて見るけど」
侑「でも残念これはニシキアナゴ」
聖司「あれ。 斑点のほうが?」
侑「こっちがチンアナゴだよ」
聖司「別種なんだね」
侑「体長どのくらいあるか知ってる?」
聖司「え? 5センチくらい?」
侑「ふっふっふ、実は30センチくらいある」
聖司「そんなに? じゃあ今見えてるのは頭のほうだけなんだ」
侑「たまにみょーんって伸びるんだよ」
聖司「へぇ…」
聖司「すごい詳しいね小糸さん、さかなクンみたい」
侑「ギョギョ! あんまりうれしくない!」
聖司「……」
聖司「ぷっ。あはっあはははは! それモノマネ?」
侑「わーー、一瞬やらかしたと思ったー」
聖司「いやちょっと、意外すぎて、あはははははっ!」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:27:46.40 ID:KAiCA0/L0
スタスタ
聖司「中もやっぱり結構広いね」
侑「意外と見応えあるんだよね」
聖司「そういえば、これ最初に何かに使うポンチョって言って貰ったけど」
侑「イルカショーのだ。 次何時からだろ?」
聖司「パンフレットだと…平日は17時半が最終みたい」
侑「え、もうじゃん」
聖司「行ってみる?」
侑「行こう行こう! すっごい楽しいから!」タッ
聖司「えっ」
侑「槙くんこっち!」
聖司「わ、待って待って」
侑「あははっ置いてくよ〜!」
聖司(小糸さんテンション高いな。 水族館好きなんだ)
聖司(というか……)
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:40:21.42 ID:KAiCA0/L0
アナウンス「まもなく本日最後のイルカショーがーーー」
侑「セーフ」
聖司「ただ座席は結構混み合ってるね」
侑「でも前のほうは座れるよ」
聖司「あれ、本当だ」
侑「あそこ行こう」
聖司「不思議だな…映画館とは違って前でも見やすいと思うけど」キョロ
侑「このショーめっちゃ水飛んでくるんだよ」
聖司「…ああ! それでこのポンチョが役に立つんだ」
侑「そうそう。 貸して、わたし開ける」
聖司「ありがとう」
侑(……ん? 中身1個だけ?)ゴソ
聖司「というか小糸さん、ここよく来るんだ」
侑「えっ?」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:44:22.66 ID:KAiCA0/L0
聖司「随分と詳しいから。 そうなのかなって」
侑「あ、うん……まあ」
侑「と言ってもまだ2回目かな?」
聖司「ふーん?」
侑「もしかしたら小さい頃あるかもだけど、最近はね」
聖司「最近」
侑「うん」
侑「え? あっ、いや……」
聖司「誰と?」ニヤ
侑(しまった! 槙くんは知ってるんだからそりゃ聞いてくるよね)
侑「…お、お姉ちゃん」
聖司「あれ? お姉さんに聞いて今日来たんじゃなかったっけ?」
侑「うぐっ!」
聖司「で、本当は誰と?」
侑「……」
侑「………七海、先輩」
聖司「あははっ、やっぱり」
侑「っ〜〜…」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 21:49:43.98 ID:KAiCA0/L0
聖司「なんだかんだちゃんとデートもしてるんだ」
侑「だからデートじゃない! 槙くんまで!」
聖司「またまたー、照れなくても」
侑(くっそーミスった…)
アナウンス「まもなく開演です。 前方の席の方は水しぶきにご注意の上ーーー」
聖司「あ、始まるみたい」
侑「そうだポンチョ」ゴソ
侑(まあでも、逆に槙くんでよかったのか)
侑(これがほかの人だったらと思うと……特に佐伯先輩とか佐伯先輩とか)
聖司「ん? それ1枚だけ?」
侑「あ、うん、なんか…」
侑「あれでも大きい? かも?」バサ
聖司「一人用にしては…大きいね」
侑「……」
侑(え、もしやこれって)
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/11/26(月) 21:54:05.63 ID:KAiCA0/L0
沙弥香「…くしゅんっ!」
燈子「沙弥香?」
沙弥香「んっ、なんか突然」
燈子「冷房で冷えたのかな」
沙弥香「大丈夫よ。 誰かが噂でもしてるんじゃない」
燈子「あー、沙弥香だもんね。いろんな男子にされてるよ」
沙弥香「それを言ったら燈子のほうがされてるでしょうに」
燈子「そりゃあ私は生徒会長だもん」
沙弥香「肩書き抜きにしても、よ」
燈子「そうかなぁ」
沙弥香「燈子、自分がどれだけ人気があるかわかってる?」
燈子「あはは、沙弥香には敵わないよ」
沙弥香「どの口が…」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/11/26(月) 21:57:46.97 ID:KAiCA0/L0
燈子「沙弥香こそすごいモテてるのに」
沙弥香「私? モテないわよ。 燈子と違って告白されたことなんてないし」
沙弥香(男の子には、だけど)
燈子「きっと高翌嶺の花なんだよ。私は庶民だから、みんな軽い気持ちでチャレンジしてるだけ」
沙弥香「私だって一般の庶民なんだけど…」
燈子「? いいとこのお嬢様でしょ?」
沙弥香「こら」
燈子「えへん」
沙弥香「燈子まで言い出したら余計そういうレッテルが貼られるじゃない」
燈子「ごめんごめん」
沙弥香「もう…」
燈子「……」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 22:01:53.88 ID:KAiCA0/L0
燈子「……沙弥香は興味ないの?」
沙弥香「何に?」
燈子「自分の恋愛とか」
沙弥香「えっ…?」
燈子「だって、絶対沙弥香好きな人いるでしょ」
沙弥香「っーーー!!?」ドキン
沙弥香「えっ、えっ? な、なんで?」
燈子「なんでって」
沙弥香(そんな、まさか燈子気づいて…!?)ドキドキ
燈子「結構私聞かれるよ? 『沙弥香ってどういう人がタイプ』、みたいなこと」
沙弥香「やっ、えと、私は」
沙弥香(……ん?)
燈子「聞いてくるのは女の子だけど、あれは間違いなくほかの男子からの依頼だね」
沙弥香「……」
沙弥香(ってぇ! そっちかーい!!)
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 22:06:48.77 ID:KAiCA0/L0
燈子「いるはずなんだけどなぁ、沙弥香のこと好きな男子」
沙弥香「……」
燈子「本当にそういうことない?」
沙弥香「知らない。 興味ない」
燈子「え」
沙弥香(燈子のバカ)
燈子「……なんか怒ってない?」
沙弥香「さぁ? 怒るとこなんてあったかしら?」
燈子(すごい怒ってる!)
燈子「ごっごめんね?」
沙弥香「どうして? 謝られる謂れがないわね」
燈子「えー」
燈子(どこで地雷踏んだんだろう……ひとまず何かしらフォローしなきゃ)
燈子「あの、沙弥香?」
沙弥香「…なによ」
燈子「えっと」
燈子「…可愛い顔が台無しだゾ?☆」
沙弥香「……」ブチッ
アッー!
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 22:12:01.28 ID:KAiCA0/L0
ピーッ! ピピーッ!
侑「お、おー今のすごい」
聖司「うん、よく訓練されてるね…」
侑「そだね」
聖司「……」
侑「……」
侑・聖司((集中できない……!))
聖司(確かにあの人『ペア』ポンチョとは言ってた気がするけど)
侑(2人で着るやつって…普通そんなのある!?)
侑「大丈夫? 槙くん暑くない?」
聖司「僕は別に。 小糸さんは?」
侑「私も、平気」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 22:17:55.61 ID:KAiCA0/L0
聖司「もしあれなら言ってね。 僕は少しくらい濡れても大丈夫だし」
侑「いや! これ全然少しじゃない。 やばい濡れる」
聖司「そ、そうなの?」
侑「まじで最後バッシャーくる」
聖司「バッシャーくるんだ」
侑「だからちゃんと被ってないと」
侑(てか槙くん、肩足りてるのかな)
侑「…もうちょっとそっち詰めよっか?」
聖司「えっ、いや大丈夫だよ」
侑「そう?」
聖司「小糸さんこそ鞄濡れない?」
侑「ん……ちょっとくらい平気だよ」
聖司「バッシャーくるのに?」
侑「そ、それは…まぁ」
聖司「……」
聖司「じゃあ……もう少しだけ」スッ
侑「あっ…う、うんっ」
侑(えー、えー……なにこれなにこれ)
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 22:23:37.59 ID:KAiCA0/L0
侑「……」グビグビ
侑「ぷはーっ生き返る〜」
聖司「ショー、最後のほう特にすごかったね」
侑「うんうん」
侑(正直ショーより気になることあったけど!)
聖司「大技の連発で手に汗握ったよ」
侑「……ほんとだよ」ボソ
聖司「え?」
侑「あっううんなんでも」
侑「ていうか、やっぱりめっちゃ濡れた」
聖司「僕も。足なんか結構びっしょり」
侑「わかってたのに〜〜悔しい〜」
聖司「あはは」
聖司「でも本当、あのポンチョがなかったら全身アウトだったね」
侑「う、うん……そうかも」
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