妹「ねーちゃ、おそうじてつだってー」 姉「えー、めんどくさい」

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176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:11:58.21 ID:Ksq5Oz0z0






妹「おねえちゃん、はい」

姉「ん?」

妹「つなご」スッ

姉「あーうん」ギュッ

妹「……」テクテク

姉「……」テクテク

妹「あそこのお店行くの久しぶりだね」

姉「そうだね」

妹「おねえちゃん何食べる?」

姉「どうしようかなー、やっぱり回鍋肉にしよっかなー」

妹「わたしは麻婆定食にしよ」

姉「美味しいもんねー」

妹「ちょっとずつ分けようね」

姉「うん」

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:12:41.84 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……♪」テクテク

姉「……」チラッ

妹「……?」

姉「……」フイッ

妹「……んー?」

姉「……あー、背、また伸びた?」

妹「わかんない。けど、多分」

姉「ふうん」

姉(やっぱりそうなのかー……)

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:13:32.47 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……」テクテク

姉(こう見ると顔とか表情とかは、昔からずっと変わらず幼げなのに)チラッ

妹「……」テクテク

姉(腕と脚めちゃ長いし、顔ちっちゃいし、チェスターコート似合ってるし、髪さらさらで整ってるし……)

姉(なぜか落ち込む……自分自身に)

姉(わたしのこの運動不足のアレとか、一向に成長しなかったアレとか、手入れを怠ってるアレとか……、並んで歩いていいものか、みたいな)

姉(……いやいや、こんなふうなこと考えてる時点でだいぶおかしいぞ、わたし)

姉(でも、でもでも今日はあんまり──)


妹「おねえちゃん、あぶな──」グイッ


プー!!!!



姉「えっ」

妹「──いっ!」ダキッ

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:14:22.33 ID:Ksq5Oz0z0


ププー!!!!
キキキーッ!!


妹「信号赤だよ! ぼーっとしてると危ないって」ギューー

姉「……あ」ドキッ

妹「もしかしてまだ酔い残ってる?」ジィー

姉(いや近い近い近い近い)カァ

妹「おねえちゃん今日ずっとふわふわしてるし、大丈夫?」

姉「……」カァァァ

妹「……ねえ、おねえちゃん聞いてる?」ズイッ

姉「……あっ、……う、うん。聞いてる聞いてる」ドキドキ

妹「もー、ほんとに?」

姉「……ほんとに」ドキドキドキドキ

姉(やばいやばいやばい顔見れない……)

姉(妹にこういうこと思っちゃダメだろわたしぃー……)

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:15:09.42 ID:Ksq5Oz0z0

妹「おねえちゃんがそう言うなら、わたしは信じるけどー」

妹「いちおう、心配だから」スッ

姉「……え、腕?」

妹「つかまって」

姉「なにゆえ」

妹「いーから」

姉(わからんまったくわからん)

姉「いや、自分で歩けるからいい」

妹「……ふーん」ムスッ

姉(なんでそんな不満そうな顔するんだー)

姉「……」

妹「……」


姉「……あー、あれだなー。寒いなー、コート着ててもめっちゃ寒いなー」コホコホ

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:15:48.36 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……」

姉「……まあ、うん」

妹「あんまり寒くないよ、わたし」

姉「えー、わたしは寒い? かなー。寒い気がするなー」

姉(イタいなー、わたし……)

妹「そっか」

姉「てことで、腕貸して?」

妹「……ふふふ、いいよぅー」スッ

姉「しつれい」ギュッ

姉(心臓の音伝わったりしないよね)

姉(めっちゃバクバクいってる気がする、気がするだけ、なんでだ)

妹「……」

姉「……」

妹「……んふふ」ニコニコ

姉「どしたの」

妹「なんでもない」ニコニコ

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:17:09.25 ID:Ksq5Oz0z0




(週明け)


妹「……」カキカキ

妹「……」カキカキ


ガラッ


クラスメイトA「ご、ごめん妹さん! 遅くなっちゃった」バタバタ

妹「あ、でも、わたしもう日誌とか取ってきたから大丈夫だよ」

クラスメイトA「ああ……でもごめんほんとに」

妹「いいっていいって。昨日も部活忙しかったんでしょ?」

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:17:42.86 ID:Ksq5Oz0z0

クラスメイトA「まあ……」

妹「わたし部活入ってないから土日の疲れとかないし、朝早く起きるの好きだから、ぜんぜん気にしなくていいよ」

クラスメイトA「でも、」

妹「明日からもわたしがやっとくからさ、朝練そのまま出てても大丈夫」

クラスメイトA「……えっ、いいの?」

妹「途中で抜けるのキツいって前に言ってたじゃん」

クラスメイトA「よく覚えてるね……、ありがとう」






184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:18:17.97 ID:Ksq5Oz0z0






妹「上の方消すの手伝うよ」

クラスメイトB「……え、でも悪いよ」

妹「いいよーぜんぜん。あの先生無駄に筆圧濃いから消しづらそーだし」

クラスメイトB「……うん、ありがと」

妹「わたしも黒板消すのたまにやろっかな」

クラスメイトB「妹さんは、黒板消しやすそう」

妹「なにいってるのー、いつもすごく綺麗に消してくれてるじゃん」

クラスメイトB「……あ、え……、その、見てたんだ」

妹「わりとね」

クラスメイトB「……」カァァァ






185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:19:10.80 ID:Ksq5Oz0z0






友「──へぇ、じゃあ土日は姉先生の家でずっと遊んでたの?」

妹「うん」

友「ほんと仲良いねー……」

妹「ありがとう」ニパー

友「姉先生って人気あるから羨ましー──や、でも妹も妹でそうかも? なのかな?」

妹「どういうこと」

友「んー、なんでもなっしんぐ」

妹「友ちゃんは、何かあったの?」

友「土日?」

妹「うん」

友「わたしは知り合いの人と遊んでたよ」

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:19:42.71 ID:Ksq5Oz0z0

妹「あー、このまえ言ってた気になってる人?」

友「そんな話したっけ?」

妹「うん。先々週くらいに、マックで」

友「意外と覚えてるのね……」

妹「で、その……お知り合いさん? と何して遊んだの?」

友「カフェでしゃべってー、本屋に一緒に行ってー、ラウワン行ってー」

妹「たのしそ」

友「いーでしょ」ドヤ

妹「わたしも友ちゃんとラウワン行きたい」

友「そっちかい」

妹「ボーリング苦手だけどね」

友「わたしも苦手だ」

妹「でもたのしい」

友「わかる」

187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:20:28.41 ID:Ksq5Oz0z0

友「てか、妹が誘えば誰でも行ってくれると思うけど」

妹「行きたい人と行かないと意味ないでしょ」

友「……んー、妹はお誘い断りまくってるからね」

妹「そんなことないと思うよ」

友「一回くらい遊んであげればいいのに」

妹「誰かを断って誰かは受けたらおかしいじゃん」

友「わたしはいいのか」

妹「友ちゃんは別枠」

友「…………なるほどー胃が痛むわぁー」

妹「どうして?」

友「どうしてだろうね」

妹「なにそれ」

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:21:31.52 ID:Ksq5Oz0z0




<次の日>


友「何点だった?」

妹「むふふふ」ニコニコ

友「良かったのか」

妹「百点」

友「……妹に聞いたのが間違いだった」

妹「そういう友ちゃんは?」

友「追試頑張ります点」

妹「ごめん」

友「あやまらないでくれー」

妹「でもわたし、数Uで百点は初めて」

友「ふうん?」

妹「今回はちょっとがんばろーかなって思って勉強した」

友「どうして?」

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:22:09.19 ID:Ksq5Oz0z0

妹「おねえちゃんが作った問題だからー」フフン

友「はぁー……」

妹「むしろそれ以外に理由ないし」

友「あ、聞いた? 冬休みの課外って姉先生らしいね」

妹「知ってる」

友「まさかもう申し込んだりしてる系?」

妹「してる系」

友「わー抜かりないねぇー」

妹「友ちゃんも受けませんか」

友「補習の瀬戸際に居るってのに〜?」

妹「わたしが補習まで勉強教えるから」グッ

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:22:34.31 ID:Ksq5Oz0z0

友「交換条件ってこと?」

妹「うん」

友「……えー」

妹「友ちゃんいないとさみしーよー」

友「でもー」

妹「補習かかったら二十八日まで補習だよ?」

友「うぐっ……それはやだなぁ」

妹「じゃあ決まりねー、場所どうする?」

友「勝手に決めないでよー。……いつもの図書室の奥でいいんじゃない」

妹「ようし、がんばろうね! 友ちゃん!」

友「うーん、おてやわらかに……」

191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:23:51.29 ID:Ksq5Oz0z0




生徒A「あ、姉先生はろー」

姉「はいはい、はろーはろー」

生徒A「いきなりだけど先生褒めて褒めて」

姉「……えっと、テストのこと?」

生徒A「そうです」

姉「このまえ追試かもとか言ってたのに全然余裕だったじゃない」

生徒A「実は今回がんばりました。後付けですけど」

姉「答案から伝わってきたよ」

生徒A「ほんとですか?」

姉「一点でも多く取ってやるって思いが伝わってきた」

生徒A「冬休みの課外取るには八割必須って書いてあったので」

姉「……あー、でもここだけの話、べつに八割なくても人少ないから通るんだよ」

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:24:24.17 ID:Ksq5Oz0z0

生徒A「そうっぽいのは聞いてましたけど、もしかしてってあるじゃないですか」

姉「そんなに課外受けたかったの?」

生徒A「……まあ、そうです」

姉「がんばったね」ナデナデ

生徒A「…………う、」

姉「う?」

生徒A「……」

姉「……」

生徒A「れしいです、はい」

姉「……あ、勝手に撫でてごめんね」パッ

生徒A「や、いいですいいです。むしろありがとうって感じです」

姉「ついつい撫でてしまった」

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:24:57.64 ID:Ksq5Oz0z0

生徒A「……もしかして、妹さんで慣れてたみたいな?」

姉「そうね」

生徒A「上手かったですよ」

姉「そう?」

生徒A「わんもあわんもあ」

姉「しないよ」クスッ

生徒A「えーなんでですかー!」

姉「ふふふ」

生徒A「えー、じゃあ次のテストも頑張りますから」

姉「期待してるね」

生徒A「次は満点目指します! 今回学年で一人しかいなかったらしい満点を!」

姉「がんばって」

生徒A「姉先生にそう言われたからにはがんばっちゃいますよ!」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:25:46.43 ID:Ksq5Oz0z0

姉「うん。……あ、そういえば生徒Bさんは今日は一緒じゃないの?」

生徒A「えっ、あっその、そうですね」

姉「……ん? え、何かあったの?」

生徒A「なにもないですよぉー、ははは」

姉「はははて」

生徒A「落ち込んでるんですよー、あの子。めちゃのめちゃに、やばいくらいに」

姉「どうして?」

生徒A「テストが悪かったから」

姉「……」

生徒A「……ってのはウソでー、振られちゃったんですよ」

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:26:18.39 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……へえ、生徒Bさん恋人いたんだー」

生徒A「あ、ちがいますちがいます。好きな人に告って振られたんです」

姉「……それわたしに言っていいの?」

生徒A「や、その、相手が相手なので……」

姉「えっ」

生徒A「一年のころ同じクラスでそこそこ仲良くしてて、クラス離れたけどずっと好きだったみたいでーって感じです」

姉「……」

生徒A「クリスマス予定空いてるかって聞いたら、もう入ってるって言われたみたいで、それでいてもたってもいられなくなって好きって言っちゃったらしいんです」

姉「……あ、うん」

生徒A「……」

姉「……」

生徒A「……姉先生は?」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:26:59.50 ID:Ksq5Oz0z0

姉「わたし?」

生徒A「クリスマスは彼女さんと過ごすんですか?」

姉「え? いや、ないない。いないし」フリフリ

生徒A「そうなんですねー!」ニコニコ

姉「まあ……」

姉(ていうか彼女って言ったよね……)

生徒A「……あれですね。わたしもクリスマスイブは姉先生の課外ですけど、クリスマス当日は暇かなー、なんて」

姉「……あの、生徒Aさん」

姉(それってそういうことなの)

生徒A「考えといてくださいね! ではまた!」シュタタタッ

姉(やっぱりそうなのかー……)

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:27:31.21 ID:Ksq5Oz0z0




<図書室>


妹「……でねー、これがこうじゃん」

友「うん」

妹「で、これを代入。おしまい」

友「まるでわからん」

妹「まじですか」

友「まじす」

妹「わたしには向いてないんだろうか」

友「向いてない」

妹「それけっこーヘコむ」

友「……なになに、教師になるつもりなの?」

妹「え、いやべつに、ないない」

友「そうなのね」

妹「うん」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:27:59.13 ID:Ksq5Oz0z0

友「もしかして『姉先生と同じ職場がいい』とか考えて、この学校の教師目指しちゃったりするのかって思った」

妹「えー」

友「……」

妹「んー」

友「……」

妹「んー……」

友「……」

妹「…………んー」テレテレ

友「『まったく考えてなかったけど良いと思いました』みたいな顔やめい」

妹「えっ、友ちゃんエスパー」

友「エスパーもなにも姉先生のことになると、妹はわっっっっかりやすいから」

妹「そうかなあ」

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:29:00.11 ID:Ksq5Oz0z0

友「そうそう、ほんとそれなって感じ。まじで真面目に」

妹「何その反応」

友「で、なりたいとか思っちゃったー?」

妹「うーんそうだなあ……選択肢のひとつに入れとく」

友「ありゃ、そうなんだ」

妹「うん」

友「その心は」

妹「おねえちゃんのことは、料理とかつくって待ってたいし」

友「ふわふわしてるようで将来設計しっかりしてんのねー」クスクス

妹「そんなことないと思うけど」

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:29:35.11 ID:Ksq5Oz0z0

友「ふうん」

妹「考えたことなかったし」

友「意外」

妹「そうかなあ……」

友「だって、まずなぜか一緒に住むことになってんじゃん」

妹「え、住まないの?」キョトン

友「あっもういいっす。それでいいっす。スマセン」

妹「友ちゃんへんなのー」

友「……」

妹「……」

友「……」

妹「……」

友「そいえば、さっきからなんとなく触れなかったけど」

201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:30:08.90 ID:Ksq5Oz0z0

妹「うん」

友「乗ってる」

妹「うん」

友「……」

妹「……」

友「……」


妹「肩こるし」

友「いいよなあ」

妹「ふふん」

友「ドヤ顔やめろ! 分けろ!」






202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:30:58.92 ID:Ksq5Oz0z0






妹「……」カキカキ

友「……」カキカキ

妹「……」チラッ

妹「友ちゃん、そろそろ終わりにする?」

友「……おー、もうこんな時間か」

妹「明日もがんばろうね」

友「うん」

妹「わたし今日地下鉄だけど、友ちゃんは?」

友「ブス」

妹「バスか」

友「うむ」

妹「ちょうどいいのあるかな」

友「どうせ雪降ってて道路混んでるから時間通りには来なそう」

妹「なるほど」フム

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:31:33.14 ID:Ksq5Oz0z0

友「……そういえば、今日まで返却期限の本教室に置きっぱだったから取ってくるね」

妹「わかった」

友「あ、妹は帰っててもいいよ」テクテク

妹「うん」テクテク

友「上行くと寒いしね」テクテク

妹「わかる」テクテク


友「……」ピタッ

妹「友ちゃん?」

友「妹、こっち」コソコソ

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:32:07.09 ID:Ksq5Oz0z0

妹「う、うん」

友「……あれ見て」ユビサシ


姉「〜〜」ブンブン

司書「〜〜」

姉「〜〜……」

司書「……」ハァー


友「前から思ってたけど、司書さんと姉先生って仲良いよね」

妹「うん、そうだね」

友「どう思いますか」

妹「仲良い」

友「それを踏まえて、どう思いますか」

妹「踏まえて? えー、べつになにも」

友「仲良い以上のアレがあるとか思ったりしないの?」

妹「ないでしょ」

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:33:09.74 ID:Ksq5Oz0z0

友「本当に?」

妹「ないよ普通に。ていうか、どうしてそんなこと聞くの?」

友「気まぐれ」

妹「友ちゃんたまにナゾ」

友「……妹の方がわたしにとっては謎だよ」ボソッ

妹「……? 何か言った?」

友「なんでもないやい」

妹「ふーん」

友「……」

妹「……」

友「覗きは良くないし、あっちから出ましょうぜ妹ちゃんよー」

妹「そうだね、二人とも楽しそうだし」

妹「……あれ、でも本取りに行かなくていいの?」

友「明日でいいや」

妹「ほんとに気まぐれだ」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:34:13.51 ID:Ksq5Oz0z0




<車の中>

ブロロロロ……


司書「わざわざ聞く必要ないけど、もちろん断るんでしょ?」

姉「そりゃあ、もちろん」

司書「でしょうね」

姉「本気で言ってたのかからかわれたのか分からないし」

司書「いやいや、絶対本気で言ってるって」

姉「そうかなあ……」

司書「もし断ったら『先生わたしにやさしくしといて断るんですか』って言われるかもよ」

姉「でもそれは普通に慕ってくれてる生徒だし……」

司書「姉さんって昔からそうだよねー」ヤレヤレ

姉「なにが」

司書「そういうところの線引きが曖昧だから、いろんな人に勘違いさせるし、勘違いされる」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:34:43.52 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……だってさ、普通に、わたし女だし」

司書「……女だから、同性からセクハラまがいの質問されたり、さりげなく身体触られたりしても何も言わないの?」

姉「まあ」

司書「さすがに生徒に誘われたりしたのは初めてでしょ?」

姉「……」

司書「……え、あるの?」

姉「…………軽い感じのなら。真面目に断るのも変だし、全部流してたけど」

司書「えー」

姉「司書ちゃんわたし間違ってる?」

司書「……いやまあ間違ってはないと思うよ。相手は思春期の子達だしね」

姉「うん」

司書「でも姉さんがそういう感じの人って噂が流れたりしたら元も子もないじゃない」

姉「もう流れてる」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:35:54.48 ID:Ksq5Oz0z0

司書「そうだろうとは思った」

姉「『彼氏いますか?』『いないよ』『作る気は?』『ないかな』でそうなる世界らしい」

司書「あーね」

姉「ちょっと関わっただけで言われるなら、それはもう防ぎようなんてないじゃん」

司書「そうね」

姉「どうしようもないし、気にして態度を変える方が傲慢かもだし、これからも変わらずにいるしかないよね」

司書「姉さんがそれでいいならいいと思うよ」

姉「うん」

司書「でも、妹ちゃんはどう思うかな」

姉「……どうして妹?」

司書「言ってたじゃない。女の子から告白されたんでしょ? アンタの妹ちゃん」

姉「……」

209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:36:46.73 ID:Ksq5Oz0z0




<バス停>


友「さっきの話さ、妹はもし姉先生に恋人が出来たらどうするの?」

妹「どうするのって?」

友「まず同居はかなわないじゃん」

妹「うん」

友「夜ごはんをつくって家で待ってることも出来ないじゃん」

妹「うん」

友「……ていうか大前提として、自分よりも好きな人がいるってことじゃない」

妹「そうだね」

友「ダメージとかないの?」

妹「だってそんなの想像できないから」

友「でもないとは言い切れないでしょ」

妹「ないよ」

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:37:31.68 ID:Ksq5Oz0z0

友「言い切っちゃうかー」

妹「うん」

友「……」

妹「起こるはずのないことは考えない方がいいし、そういう想像したって何も変わらないじゃん」

友「たしかに変わらないけどさあ」

妹「友ちゃんさっき図書室で、将来設計って言ってたよね」

友「うん言った」

妹「将来のことなんて、わたしはあんまり考えてない。その少し考えたことで優先順位はあるけど……でも、どこの大学に行くとか、何の仕事をしているかとか、そんなのは些細な問題で、どうでもいいことなの」

妹「わたしの中では、おねえちゃんと一緒にいること以外は全部失敗なの」

友「……」

妹「おねえちゃんがわたしじゃない誰かを好きになっても失敗。わたしのことを嫌いになっても失敗。もし失敗したとして、そこから修正はできるかもしれないけど、それはそれ。……わたしは、一度も失敗したくない」

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:38:11.16 ID:Ksq5Oz0z0

友「ねえ、怒ってる?」

妹「怒ってない」

友「ごめんね」

妹「ううん。怒ってないから謝らないで」

友「……」

妹「……」

友「……じゃあさ、ひとつ聞いていい?」

妹「うん」

友「そんぐらい思ってるならどうして、その気持ちを姉先生に伝えないの?」

妹「それは……」

友「うん」

妹「…………ごめん、言えない」

友「わたしでも?」

212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:38:43.53 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……うん。友ちゃんにも、誰にも……おねえちゃん以外には」

友「そっか」

妹「友ちゃんあのね、わたし目の前のことはちゃんと考えてると思う」

友「たとえば?」

妹「この三年間の重要さとか、貴重さとか」

友「どういうことよ」

妹「ふふふ、恥ずかしーからヒミツ」

友「なんだよー」

妹「……」

友「……ていうか、あんなに本音をしゃべる妹は珍しいんじゃない」

妹「そうかな」

友「わたしだからか」

妹「友ちゃんだからかな」

友「取ってつけた感ハンパねー」

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:39:20.40 ID:Ksq5Oz0z0

妹「本音を言えるのは大切な友達だから」

友「本音を言えるのが大切な友達なの?」

妹「ううん。友ちゃんが大切な友達だから、本音を言える」

友「嬉しいこと言ってくれるねぇ」

妹「ふふふ」ドヤァ

友「このドヤ顔を見れるのも実はめちゃくちゃ貴重なのでは?」

妹「ありがとう」

友「褒めてないよ」

妹「えー、ウケる」ケラケラ

友「ウケんし」

友「まー、妹もがんばってるみたいだし、わたしもがんばらないとなー」

妹「テスト?」

友「それも。これは自分との戦いなのだ」

妹「他の人は気にしてられない?」

友「よく分かってんねーさすが」クスクス

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:40:19.89 ID:Ksq5Oz0z0




<司書ちゃんハウス>


司書「……」カシュッ

姉「……」ポリポリ

司書「……」トポトポトポ

姉「……」ポリポリ

司書「……」グビグビ

姉「……」ジトー

司書「……いる?」

姉「明日学校だし」

司書「チューハイなんてジュースじゃない」

姉「車で帰らなきゃだし」

司書「置いてけばいいじゃない」

姉「話できなくなりそう」

司書「……それもそうね」

姉「うん」

215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:41:22.74 ID:Ksq5Oz0z0


司書「それで、妹ちゃんが告白されたっての聞いて少し落ちこんだって話だっけ?」

姉「落ちこんでない」

司書「またまたー」

姉「ほんとに」

司書「じゃあ信じよう」

司書(ていうか姉さんに限っては、本当にそうなんだろうなって納得できちゃうんだよなあ……)

姉「わたしが言いたいのは別の話」

司書「うん」

姉「……」

司書「……」

姉「……言うね?」

司書「どうぞ?」



姉「わたし、ダメなおねえちゃんなのかなあ……」ガクッ


司書「…………はあ」

216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:41:54.57 ID:Ksq5Oz0z0

姉「ため息!」

司書「ああ、いやごめん。まず話を聞くべきね」

姉「うん。……えっと──」

司書「……」

姉「……」

司書「……」

姉「……ど、どきどき、してしまった」カァァァ

司書「……うん……うん?」

姉「妹が……その、なんていうか、大人っぽく見えたというか、腕を、こう? ね? 出されたときに、ほんとはすぐにギュッて掴みたくなるような感じで」クドクド

司書「……」

姉「元はと言えばわたしの不注意が原因だったんだけど、ちょっと心配されただけで、『あっやばっ』ってなって、顔とかまともに見られなくなって、ちょっとじゃないくらいどきどきしちゃって……」クドクド

司書「待って、話が見えない」

司書(ただのノロケじゃんか)

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:42:32.28 ID:Ksq5Oz0z0

姉「え……と、いや、うん。簡潔に言うことにしよう」

司書「どうぞ」

姉「妹、かっこいい」

司書「うん」

姉「わたし、どきっとした」

司書「うん」

姉「……」

司書「……え終わり?」

姉「終わり」

司書「ノロケじゃん」

姉「ノロケじゃない!」

司書「ノロケでしょどう聞いても」

姉「……ちがっ! わたしは、真剣に言ってるのに」

司書「真剣にノロケてるんでしょ」

姉「茶化さないでよ!」

218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:43:10.57 ID:Ksq5Oz0z0

司書「だいたい、妹ちゃんがかっこいいのは今に始まったことじゃないでしょ」

姉「でもでも、妹は、かわいくて──」

司書「今も昔もかわいいじゃない」

姉「そうなんだけど、わたしがどきっとした妹はかわいい妹じゃなくて」

司書「かわいい妹ちゃんもかっこいい妹ちゃんも妹ちゃんでしょ」

姉「……っ! それは、そう……だけどさあ……」グスッ

司書(あっ)

姉「そういう感情を持っちゃったら、わたしダメじゃん。我慢とか、そういうの、できなくなっちゃうじゃん。……妹も大人なんだって思ったら、姉妹とか抜きにして好きって言ってるようなものじゃん」

司書「なら姉さんは、もし姉妹じゃなかったら妹ちゃんのこと好きじゃないの?」

姉「ちがう。……好きなの、好きは好きなの」グスグス

司書「あーうん。いまのは普通にわたしが悪い」

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:44:00.00 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……でも、でもね゛っ! けほっ」グスグス

司書「大丈夫? 水飲む?」

姉「う゛ん」ゴクゴク

司書「……」

姉「司書ちゃーん……」チラッ

司書「ん?」

姉「これおさけー……」

司書「そうね」

姉「ばかじゃん」

司書「確認しなかった自分が悪いんじゃない」

姉「そうだけどー」

220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:44:26.43 ID:Ksq5Oz0z0

司書「……要するに姉さんは、妹ちゃんを自分のものにしたいって思っちゃったんでしょ?」

姉「……」

司書「もしくは、されたい」

姉「や、それは」ブンブン

司書「わたしとしてはどっちでもいいんだけど、そういうことでしょ」

姉「そういうこと……なのかな?」

司書「さあね」

姉「……」ジト

司書「でも、仮にそうだとしても姉さんは"ダメなおねえちゃん"ではないよ。いつも言ってるけど」

姉「……」

221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:45:25.33 ID:Ksq5Oz0z0

司書「……ていうか、姉さんは気付くの遅すぎ」

姉「えっ」

司書「昔からずっと姉さんは妹ちゃん以外なんてどうでもいいじゃん」

姉「そんなことないよ」

司書「あるから」

司書「高校のときに、誰からの遊びの誘いでも断ってたのもそう」

姉「……」

司書「大学のときだって、頻繁に実家に帰ってたし、よく妹ちゃんと電話してたし」

姉「……そうだった?」

司書「ああそういえば、いまの壁紙だって妹ちゃんでしょ」

姉「なぜ知ってる」

司書「このまえ見た」

姉「な」

222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:46:04.13 ID:Ksq5Oz0z0

司書「……まあ何が言いたいかっていうと、妹ちゃんとしっかり向き合った方がいいんじゃないかってこと」

姉「……」

司書「姉さんと同じようにあの子だって人気あるだろうし、知らないうちにどこぞの馬の骨ともわからないやつにいろいろ奪われちゃったりするかもしれないし」

司書(100パーないだろうけど)

姉「それは……」

司書「ファーストキスとか」

姉「……」

司書「そう思うとね、ほら──」

姉「し、司書ちゃん。妹のファーストキスは、七年くらいまえにもう……」

司書「えっ」

姉「……あ、その、相手はわたしなんだけど」

司書「いやそうでしょうね」

司書(ちょっと驚いた……ていうか)

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:47:02.87 ID:Ksq5Oz0z0

司書「どっちから?」

姉「妹から。ほぼ不意打ちで」

司書「頬にとかじゃなくて?」

姉「頬になら数えきれないくらい」

司書「……あ、うん」

司書(そりゃそうよね)

司書「そのときは姉さんも初めてだったの?」

姉「うん」

司書「わたしらクラスのみんなとちゅっちゅしてたのに」

姉「あはは」

司書「姉さんもよく迫られてなかった?」

姉「やめてほしいよねああいうの」

司書(第三者として見てるぶんには天国だった気がするんだけど)

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:47:30.83 ID:Ksq5Oz0z0

司書「ちなみに、その一回きり? 何度も?」

姉「一回きり」

司書「そう」

姉「うん」

司書「……」

姉「……」

司書「……まあ、いいんじゃない」

姉「いいのか」

司書「妹ちゃんは、けっこう抜けてるようにみえて賢いから」

姉「そう?」

司書「そう、姉さんとは真逆」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:48:01.58 ID:Ksq5Oz0z0

姉「つまりわたしは、しっかりしてるようにみえて馬鹿ってこと?」

司書「よく分かってるじゃない」

姉「悔しいけど否定できない……」

司書「まあ、これでも飲んで元気だして」スッ

姉「うん」グビグビ

司書「こういうところよね」

姉「……さ、さすがにわざとだよ!」

司書「えー、ほんとにぃー?」

姉「ほんとよ」

司書「へえ」

姉「もーいいや、今日は飲んじゃおう」

司書「冷蔵庫から好きなの取っていいからね」

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:49:25.59 ID:Ksq5Oz0z0




数日後

<図書室>


妹「ごめん友ちゃん! 週番の仕事で遅れ──」


友「えー、そうなんですか?」クスクス

司書「そうなのよ」ニコニコ


妹「──た。あ、あれ」


友「あ、妹だ」

司書「妹ちゃんだ」

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:50:02.20 ID:Ksq5Oz0z0

妹「うん。……あれ、あれあれ」

友「どしたの」

妹「お知り合い?」

友「お知り合い?」キョトン

司書「わたしと友ちゃんがじゃない?」

妹「そうです」

友「ああ、うん。お知り合い」

妹「へー」

司書「なかよし」ギュッ

友「……え、あ」

妹「わたしもなかよし」ギュッ

友「……両手に花?」

228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:50:28.83 ID:Ksq5Oz0z0

司書「妹ちゃんとわたしもなかよし」ニコニコ

妹「あはは、それは微妙です」

司書「ひどーい」

妹「うそですよ、なかよしですよ」クスクス

友「わたしよりもなかよし?」

妹「友ちゃんの方が」

司書「友ちゃんの方が」

友「……お二人とも、お仲悪ぅございますか?」

妹「司書さん、そんなことないよね」

司書「うん。妹ちゃんの言うとおり」

妹「なかよしこよしの握手」ギュッ

司書「ふふふ」ギュッ






229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:51:08.04 ID:Ksq5Oz0z0






妹「いよいよ明日だね」

友「うん」

妹「ちゃんと寝なよ」

友「追試あるの放課後だよ」

妹「体調不良なっちゃダメだからね」

友「妹マジお母さん」

妹「あは」

友「今度からは授業真面目に受けようと思いました」

妹「その方いいよ」

友「でもとりあえず明日受からなければ」

妹「うん」

友「クリスマスに学校なんてありえない」

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:52:40.77 ID:Ksq5Oz0z0




<大教室>


姉「──この点は出ないね。(a,b)通らない接線だから」

姉「(a,b)の通るような接線の接点が出るんだよね」


友「……」チラッ

妹「……」ポケー

友「……」ジー

妹「……んへへ」ボソッ

友「……」

妹「……」ポケー

友「……」

231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:53:19.30 ID:Ksq5Oz0z0


姉「えっとー、もうここまでくれば答えわかるよね」

姉「じゃあ──、友さん。答えをどうぞ」

友「……」


シーン


姉「……あの、友さん?」

友「……あ、あ、はい」

232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:53:53.36 ID:Ksq5Oz0z0

姉「答えは?」

友「え、えーと」

姉「何個?」

友「……あ、三個です! 三個ですはい!」

姉「うん正解」

姉「暖房ちょっと暑いしお昼ご飯食べたばかりだけど集中しようね」

友「すみません」






233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:54:33.98 ID:Ksq5Oz0z0






(授業後)


友「ちょっと妹〜、怒られちゃったじゃん」

妹「……」

友「……」

妹「……」

友「おーい、妹?」フリフリ

妹「……友ちゃん」

友「うん」

妹「やばかった」

友「え? なにが?」

妹「先生してるおねえちゃん」ムフー

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:55:13.24 ID:Ksq5Oz0z0

友「あ、そうだね。分かりやすかったね」

妹「うんうん。めちゃやばい」テレテレ

友(わたしのやばいと妹のやばいは違うっぽい)

友「小さいときとか、勉強教えてもらったことないの?」

妹「それはあるけどー、今は先生と生徒だから」

友「あっうん」

妹「ねぇ友ちゃん、職員室行って『さっきのここ詳しく教えてください』って言ったら教えてもらえるかな」

友「え、分からなかったの?」

妹「ううん」フルフル

友「だよね」

妹「でも……でもそっか。おねえちゃんからしてみたら仕事が増えるだけで迷惑かもか」

友(そんなことはないと思うけど)

235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:55:43.91 ID:Ksq5Oz0z0

妹「やめとこ」

友「ふーんじゃあわたしは聞きに行ってこようかな」

妹「え、ずるい」

友「うそうそ。明日の予習しなきゃだしそんな暇ない」

妹「わたしもしなきゃ。図書室?」

友「図書室」

妹「友ちゃんもすっかり真面目さんだ」

友「そうかもね」

妹「わー」パチパチ

友「……そういえば、今日ちょっと遅くまで残ってくから」

妹「わかった。用事?」

友「うん」

236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:56:29.79 ID:Ksq5Oz0z0




(翌日)


姉「事前配布の分は終わったから、最初に渡したプリントを解いてください」

姉「時間は……十五分くらいかな、ちょうどいいので二時からで」


姉(……ふー、喉渇く喉渇く)キュッキュ

姉「……」コクコク

姉「……」チラッ


妹「……」ジトー


姉(めっちゃ見られてる!?)

237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:57:16.78 ID:Ksq5Oz0z0


姉「……解けた?」

生徒A「……あ、いえまだです」ニコニコ

姉「そっか」

姉(クリスマスは家族と過ごすから〜ってやんわり断ったら納得してたみたいだけど、笑顔向けられると少し怖いわたしがいる)

姉(接し方もうちょっと考えないと)

姉「そこらへんのみんなも?」


コクコク


姉「じゃあ時間を五分伸ばすね」ピッピッ

238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:58:03.00 ID:Ksq5Oz0z0


テクテク


姉「友さんは?」

友「がんばってます」

姉「どれどれ? あ、その調子」


ジトッ


姉(めちゃくちゃ視線感じるんだけど……)

姉「……」

姉「……」チラッ

妹「……!」パアアア

姉「えと、妹……さんは?」

妹「解けたです」

姉「……ぷっ」

239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:58:44.87 ID:Ksq5Oz0z0

姉(解けたです)

友(解けたです、って……)クスクス

妹「……おねえちゃん、友ちゃん。どうして笑ってるの」

友「変な敬語」ケラケラ

妹「間違っただけ」

姉「ていうか妹さん、学校ではおねえちゃんじゃなくて先生でしょ」

妹「あ、はい」

姉「……」

妹「…………先生」カァァァ

姉(あっこれヤバ)

妹「先生、解けました」

姉「……」

妹「……でも先生、こっちの問題が微妙です」

姉「……あ、はい」

友(やれやれ)

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:59:34.23 ID:Ksq5Oz0z0




(クリスマスイブ)


妹「……」テクテク

司書「やあやあ」フリフリ

妹「……」テクテク

司書「無視かいな」

妹「……」ピタッ

妹「なんですか?」クルッ

司書「迷える子羊の電波をキャッチした」

妹「……ううーん」

司書「なかよしのハグでもしとく?」

妹「しなくていいです」パッ

司書「冗談冗談」

妹「知ってます」

241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:00:14.64 ID:Ksq5Oz0z0

司書「妹ちゃん、明日のご予定は?」

妹「暇ではないです」

司書「姉さんとか」

妹「はい」

司書「どこか行ったりするの?」

妹「それは決めてないです」

司書「……ていうか姉さんのこと誘ったの?」

妹「……おねえちゃんの家行けばいいなって」

司書「ご両親は?」

妹「二人ともシゴトです」

司書「毎年大変ね」

妹「まあ……でももう慣れました」

司書「ところで明日は決めにいくの?」

妹「何の話ですか?」

司書「いや、そんな気がしたから」

242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:01:03.65 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……」

司書「……」

妹「……まあ、できれば」

司書「え、マジで」

妹「うそです」

司書「というのもうそですってやつね」

妹「というのもうそっていうのもうそです」

司書「というのもうそっていうのもうそっていうのもうそっていうアレかな」

妹「やめましょ」

司書「妹ちゃん奇遇〜って感じで締めればいいのね」

妹「え?」

司書「わたしも明日決めにいくの」

妹「あ、はい」

司書「てことで、わたしからのクリスマスプレゼントを渡すね」ピラッ

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:01:55.62 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……」

司書「水族館のチケット。姉さんのこと誘ってね」

妹「……えと、誘ってね、って」

司書「わたしはもう一人誘ってるから」

妹「つまり、四人でってことですか?」

司書「うん」

妹「……でも」

司書「心配しなくても大丈夫。雰囲気見て二人きりにしてあげるから」グッ

妹「司書さんがやけに協力的なのが怖いです」

司書「わたしもいろいろとオイシイ部分があるの」

244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:03:12.09 ID:Ksq5Oz0z0

妹「わたしが、……や、おねえちゃんが行くと?」

司書「どっちもよ」

妹「意味わかんないです」

司書「まあ……そんなこと言いつつ行くでしょ」

妹「それは行きます」

司書「そう言ってくれると思ってた」

妹「はい」

司書「あとで集合時間とかメールしとくから、姉さんと確認してね」






245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:04:24.74 ID:Ksq5Oz0z0






ピロピロピロピロ
ピロピロピロピロ


姉「……ん、鳴ってる」


妹:今日いっしょに帰ろうね


姉「……」スッスッ


姉:十七時頃に駐車場


姉「……」

姉(いつも思うけどライン苦手すぎる)

246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:05:08.08 ID:Ksq5Oz0z0


ブーブー


妹:先生しょうちしました!


姉「……」スススッ


姉:先生やめて(´・ ・`)


ブーブー


妹:その顔文字かわいい

姉:ありがとう

妹:でも先生の方がかわいいぜっ!

姉:先生やめて|ω・`)

妹:おねえちゃんの方がかわいいぜっ!

姉:ありがとう

妹:どういたしまして(^∇^)

247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:05:37.12 ID:Ksq5Oz0z0


姉「……」ニマニマ

姉「……」ニマニマニマニマ


姉「……」ハッ!

姉「……」

姉「……」キョロキョロ

姉「……ふー」

姉(マナーモードマナーモード)






248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:06:32.28 ID:Ksq5Oz0z0








友「じゃあね、妹! 明日楽しみだねー!!」タッタッタッ


妹「……え?」








249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:08:07.29 ID:Ksq5Oz0z0






<くるま>


ブロロロロ……


妹「おねえちゃん、明日は何の日?」

姉「クリスマスの日」

妹「いっしょに過ごしませんか」

姉「いいよ」

妹「やった」

姉「むしろこっちからお願いします」

妹「んふふ」

姉「どこか行く?」

妹「……んー、家でごろごろがいいかなー」

姉「どっちの家がよろしいか」

妹「7:3でわたしハウス」グッ

姉「何の割合よ」クス

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:08:50.79 ID:Ksq5Oz0z0

妹「でもわたしの家って言い方ちょっとおかしい気がする」

姉「たしかに」

妹「わたしたちの城」

姉「家でいいじゃない」

妹「こたつでミカンを食べましょう」

姉「雪見だいふくも食べよ」

妹「いいねー」

姉「うん」

妹「それで、ちょっと暗くなってきたらこれ」ピラッ

姉「……んー、水族館?」

妹「うん、司書さんが行こうって」

姉「司書ちゃんが? なんで?」

妹「さあ?」

姉「司書ちゃんと妹とわたしの三人で?」

妹「もう一人来るから、四人で」

姉「そっか」

妹「うん」

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:09:23.61 ID:Ksq5Oz0z0

姉「クリスマスに水族館」

妹「なつかしーね」

姉「あれから水族館行ってないなーそういえば」

妹「わたしも行ってない」

姉「なぜか今から楽しみ」

妹「おねえちゃんはペンギン好きなんだっけ」

姉「妹はクラゲだったよね」

妹「うん」

姉「楽しみだ」

妹「わたしも」

姉(クラゲを見てはしゃぐ妹を見るのが)

妹(ペンギンを見てはしゃぐおねえちゃんを見るのが)

252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:10:38.21 ID:Ksq5Oz0z0




ピンポーン


姉「司書ちゃんかな」

妹「どうだろ」

姉「コタツから出れん」ヌクヌク

妹「わたし出るね」

姉「あ、ありがとー」


ガチャッ


友「やーやー」

妹「…………んー」

253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:11:12.67 ID:Ksq5Oz0z0

友「なに頭抱えて」

妹「……いや、うーん…………」

友「……」

妹「今日はずいぶんとおめかしを」

友「まあね」

妹「ポニテ似合ってるよ」ニコリ

友「ありがとう」

妹「ささ、入って入って」

254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:11:50.93 ID:Ksq5Oz0z0


姉「あ、いらっしゃ──」ゴロゴロ

友「こんにちは」

姉「……えっ」ビクッ

友「今日はよろしくお願いします」ペコリ

妹「司書さんが友ちゃんを誘った」

姉「……え、えー」

友「学校の外ですけど、姉先生、ですかね?」

姉「あーいや、べつに……」

妹「さん付けくらいがちょうどいいんじゃない」

友「姉せんせいさん」

妹「混ぜちゃうのか」

姉「あ、友ちゃん。いまお茶出すから待っててね」

友「はーい」

255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:12:58.57 ID:Ksq5Oz0z0


友「妹、姉せんせいさんって家だとこんな感じなの」

妹「うん」

友「意外だ」

妹「どこらへんが」

友「全体的に」

妹「まあ、学校のおねえちゃんはポテトチップスとか食べなそうな感じだよね」

友「なんかよく分かんないけどしっくりくるわそれ」

妹「昨日はこたつで寝落ちしてた」

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:13:32.07 ID:Ksq5Oz0z0

友「妹も?」

妹「うん」

友「こたつでかいね」

妹「そう?」

友「ていうかおうちでかすぎ。庭広すぎやばめじゃん」

妹「ね」

友「姉せんせいさんは一人暮らしだから、妹はほぼ一人でここに住んでるわけじゃん?」

妹「おかーさんとおとーさんもいるよ」

友「でもでも朝早くて夜遅めなんでしょ?」

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:14:03.04 ID:Ksq5Oz0z0

妹「最近は朝ごはん三人で食べてる」

友「妹が朝めっちゃ早いのそういうことだったのか」

妹「そういう部分もある」

友「あ、休みの日に家来ていい? てか今度泊まっていい?」

妹「いいよ」

友「やばー、なんで言ってくれなかったの」

妹「えー、聞かれなかったから」フフン

友「ソファふかふか〜」ポフポフ






258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:14:33.71 ID:Ksq5Oz0z0






司書「そろそろ行きましょうか」

姉「うん」

友「はーい」

司書「……大丈夫? 三人ともこたつから出れる?」

姉「出れませぬ」

妹「右に同じく」

友「わたしもす」

司書「なによその息ぴったりな感じ」

259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:15:59.43 ID:Ksq5Oz0z0




<水族館>

姉「へー、この時間ってほんとは閉店してるんだ」

司書「クリスマス限定で延長してるんだってさ」

姉「閉店後の水族館ってちょっとぞくぞくする……」

妹「たぶん照明も普段より暗いしねー」

友(周りカップルしかいないじゃん)

司書「イルミネーションだ」

姉「ほんとだ」

司書「はい姉さんこれ」

姉「スマホ?」

260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:16:44.63 ID:Ksq5Oz0z0

司書「友ちゃん、写真撮ろ」

友「うえっ!? は、はい」


カシャッ


姉(友ちゃん顔真っ赤……)

妹(友ちゃん顔真っ赤……)

友「ありりがとととうござざざいます」カァァァ

姉「あはは、どういたしまして」

妹(友ちゃんやばい)

司書「二人も撮ってあげる」

姉「おー、ありがとう」

261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:17:28.40 ID:Ksq5Oz0z0


カシャッ


妹「おねえちゃん写真あとで送ってね」

姉「うん」

妹「これきれいだね」

姉「そうだね」

妹「おねえちゃん単品でも撮る」カシャッ

姉「単品ってなんだ単品って」

妹「あ、あそこのクリスマスツリーの前でも撮ろ」クイッ

姉「わかった」テクテク

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:18:20.53 ID:Ksq5Oz0z0


友「……」

司書「どうしたの?」

友「……ほんとに、仲良いなーって思って」

司書「ん?」

友「いま一瞬でここらへん一帯にふわふわワールドを作られた気がするのです」

司書「ああ、うん」

友「あと絵になりますよね」

司書「そうね」

友「……わたしたちもつなぎますか?」

司書「つなぎたい?」

友「あ、その、えっと」

司書「わたしはつなぎたいかな」ギュッ

友「あ……」

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:19:00.88 ID:Ksq5Oz0z0

司書「あ、つなぎたくなかった? 言ってみただけだった?」

友「……や、えと、つなぎたかったです」ドキドキ

司書「そう」

友「……」コクコク

司書「友ちゃん、緊張してる?」

友「……すこし」

友(……あれ、でもなんか手が……)

司書「大丈夫、わたしもよ」フイッ

友「……あ、はい」

司書「ほら行きましょう」クイ

友「……はい」






264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:20:03.87 ID:Ksq5Oz0z0






姉(手つないでる)

妹(友ちゃんが友ちゃんじゃないみたい)

司書「右周りと左周りがあるらしいから、二つにわかれましょうか」

姉「うん」

司書「……じゃっ、半分くらいで」ヒラヒラ

友「……」ペコリ

妹「行ってらっしゃーい」ヒラヒラ






265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:21:36.26 ID:Ksq5Oz0z0






姉「魚詳しかったりする?」

妹「まったく」

姉「わたしもだ」

妹「って会話を昔もした気がする」

姉「『次までに詳しくなっとくね〜』って言った気がする」

妹「言われた気がする」

姉「成長ぜろだね」

妹「あそこは狭かったし、今日のところはかなり広い」

姉「まあ、わ〜って見てわ〜って盛り上がりたいよね」

妹「うん」

266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:24:32.76 ID:Ksq5Oz0z0

姉「てかこのウーパールーパーでかすぎ」

妹「でかい」

姉「好き?」

妹「かわいいよね」

姉「目がたまんない」

妹「ずっと見てられる」

姉「メキシコサラマンダーだってさ」

妹「アホロートルとも書いてある」

姉「どっちもしっくりこない」

妹「やっぱりウーパールーパーだよね」

姉「うん」

妹「あの上のやつってなんだろ」

姉「ホヤじゃない?」

妹「ホヤ……あれ美味しいよね」

姉「食べたことないや」

妹「じゃあ今度食べにいこ、海に」

姉「冬の海って寒そうね」

妹「手つないどけば大丈夫!」

姉「そうだね」クスクス

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:25:17.24 ID:Ksq5Oz0z0

妹「次は、なにこれ、海藻?」

姉「マコンブ、オオバモク……」

妹「水族館で海藻を見るのって珍しいのかな」

姉「どうだろ」

妹「……このフナムシってアレだよね、海のゴ」

姉「やめよ」

妹「おねえちゃんって虫苦手なんだっけ」

姉「うんすごく」

妹「かわいいね」

268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:25:55.43 ID:Ksq5Oz0z0

姉「チンアナゴだ」

妹「にゅるってしてる」

姉「えっこのとなりのヘビみたいなのきれい」

妹「ほわいとりぼんいーる?」

姉「まっしろだかわいい」

妹「白いの好きなのか」

姉「きらきらしてるし」

妹「ふうん……白くて、きらきらね〜」ニコニコ

姉「……? なんで笑ってるの?」

妹「わたしも白くてきらきらしてるの好きだよ」

姉「へえ、同じだね」

妹「うん」

269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:28:25.62 ID:Ksq5Oz0z0

姉「あ、大水槽だ」

妹「おっきいね」

姉「この中だと何が好き?」

妹「サメ、それとエイ。あ、イワシの群れも」

姉「いいね」

妹「あそこ座れるみたいだから、座って見る」

姉「うん」

妹「……」ジトー

姉「……」ジトー

妹「……」ポケー

姉「…………」トントン

妹「……ん」

姉「妹、あれ見て」ユビサシ

妹「え、え、なにあれ」

姉「サンタが泳いでる」

妹「すごい、行ってみよ!」パアア

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:30:27.66 ID:Ksq5Oz0z0


テクテク


妹「……」フリフリ

妹「……ん、手?」

妹「……あ、……じゃーんけーん」

妹「ぽんっ!」チョキ


グー


妹「負けたーあはは」

姉「負けちゃったね」

妹「がんばってください」ペコリ






271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:32:04.77 ID:Ksq5Oz0z0






妹「クラゲだ」

姉「照明当たってきれい」

妹「何色がいい?」

姉「うーん、なんとなく、紫?」

妹「……ゆらゆらしてる」

姉「ね、クラゲってかわいいけどさ」

妹「ちょっと怖いよね」

姉「うん」

妹「でもそこが良い」

姉「わかる」

妹「……」

姉「……」

272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:32:41.85 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……」

姉「……」

妹「……生まれ変わったらクラゲになりたいな」

姉「……海の中を、ゆらゆらぷかぷかしてたいの?」

妹「うん」

姉「そういえば最近だと、おうちでも飼ってる人いるよね」

妹「でも多分それ、ほとんど人工クラゲだよ」

姉「そうなの?」

妹「クラゲはむずかしいって、どこかで聞いた」

姉「飼いたいんだ」

妹「飼えるならね。何年後でもいいけど、一度は飼ってみたい」

姉「わかった、おぼえとく」

妹「ありがとう」ニコニコ

273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:33:36.90 ID:Ksq5Oz0z0

姉「わたしもクラゲみたいに生きたいな」

妹「そうなんだ」

姉「うん」

妹「……」

姉「……」

妹「いまのわたしは、クラゲみたい」

姉「ん?」

妹「おねえちゃんといると、ゆらゆらぷかぷかしてる感じがする」

姉「……」

妹「いつも……昔からずっとだよ」

姉「そっか」

妹「うん」






274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:35:24.59 ID:Ksq5Oz0z0






妹「おねえちゃんってさ」

姉「うん」

妹「ペンギンのどこが好きなの?」

姉「んー、むずかしい質問だ」

妹「わたしも、ペンギンはかわいいと思うけど、そんな乗り出して見るほど好きってわけじゃないから気になる」

姉「どうだろ……見た目はクールで落ち着いてそうなのに、心の中では違うことを考えてそうなところ、とか」

妹「うん」

275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 02:37:10.04 ID:Ksq5Oz0z0

姉「マイペースなところ」

妹「ふむふむ」

姉「よちよち歩きもかわいい」

妹「なるほど」

姉「それにペンギンを見てるとさ、妹が小さかったころを思い出して、かわいいなーって思う」

妹「へ」キョトン

姉「一挙一動すべてがかわいくて、いつも後ろについてくるのが嬉しかった」

妹「……わたし、成長しない方がよかった?」

姉「ううん」

妹「そっか、よかった」ホッ

姉「いまの妹も、かなりペンギンぽいし」ボソッ

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