妹「ねーちゃ、おそうじてつだってー」 姉「えー、めんどくさい」

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126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:17:05.51 ID:rT58B0eu0

司書「ほら、前はみんなで〜って感じだったし、その前も他の人いたし」

姉「あー確かに。三ヶ月ぶりくらい?」

司書「それくらいね」

姉「そいえばわたし家だとほとんど飲まないから、お酒自体が先月ぶりなんだよね」

司書「えー何のための一人暮らしよー」

姉「だってお酒は誰かと楽しく飲みたいじゃない」

司書「なるほどねぇー……だからみんなで行くと水ばっか飲むんだ」

姉「あれ気付いてた?」

司書「姉さんみんなの中でお酒弱いことになってるから」

127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:18:05.11 ID:rT58B0eu0


オマタセシマシターハイボールデス
タダイマオリョウリオモチイタシマスネ


姉「なにそれ心外」グビ

司書「……ま、そんなに強くないし間違ってはないと思うよ」グビ

姉「司書ちゃんと二人のときくらいだよー、羽根伸ばして飲めるの」

司書「あーね、そうだよね」

姉「けっこうなー、みんなわたしにヘンなイメージ持ってるからなー」

司書「ふふふ、まあね」

司書「やさしくてかっこよくてなんでもできる王子さまな姉さん」

姉「……んー、司書ちゃんも高校の頃はわたしのことそう思ってたの? やっぱり?」

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:19:10.79 ID:rT58B0eu0

司書「オーラがあったよ、うん」

姉「いまは?」

司書「えー、いまは? ……なんていうかさぁー、フンイキ変わったじゃん」

姉「そうかなー」グビグビ

姉「あ、緑茶ハイお願いしまーす」

司書「こっちはおかわりで」

姉「肉寿司頼んじゃおうぜー」

司書「姉さんの奢りね?」

姉「ははは、ここはわたしが持とーう!」

司書「大丈夫? 一杯でハイになってない?」






129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:20:08.32 ID:rT58B0eu0






<沖縄風料理屋>


姉「海ぶどううまー」パクパク

司書「こっちのラフテー食べる?」

姉「食べる食べるー」パクパク

司書「はいどうぞ、って言う前にもう食べてるし」

姉「司書ちゃんゴーヤチャンプルー食べよ?」

司書「自分で頼みなさい」

姉「おにーさんお代わりとゴーヤチャンプルーお願いしまーす」

130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:20:49.63 ID:rT58B0eu0

姉「ガゼウニ! ホヤ刺し! 司書ちゃん食べるー?」

司書「うん」

姉「お代わりは?」

司書「まだ飲み切ってないからいいや」

姉「どうしたの司書ちゃん。今日ペース遅くない?」

司書「明日予定があるから、あんまり深酔いはできないの」

姉「もしかして、でえと?」ニヤニヤ

司書「うん。まあ、デートといえばデート」

131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:21:59.67 ID:rT58B0eu0

姉「……はあっ? 司書ちゃん彼氏居たっけ知らない知らなかったマジで?」

司書「彼氏じゃないよ」

姉「あっそうなの」

司書「ちょっと気になってる子。……いや、気になられてる? どっちも? みたいな」

姉「子、ってことは年下なの」

司書「うん」

姉「なーるほどぉー」ニヤニヤ

司書「かわいい子よ」

姉「へえー、いいねー」

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:22:34.34 ID:rT58B0eu0

司書「姉さんは?」

姉「んー、明日? 明日は午後まで寝て、ちょっと出掛けようかなーとか思ったり思わなかったり」

司書「じゃなくて」

姉「うん?」

司書「好きな人とか恋人とか」

姉「ああ、それはまったく」ケラケラ

司書「作る気も?」

姉「ないかなぁー」

司書「ふうん」

133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:23:11.06 ID:rT58B0eu0

姉「あんまりそういうの興味ないんだよね」

司書「シスコンだから?」

姉「まあ……うーん、いやそれは違うけど」

司書「動揺した」

姉「してない」

司書「全部知ってて質問したわたしが悪い気もする」

姉「……」ジッ

司書「睨まないでよ怖いなあ」






134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:24:02.41 ID:rT58B0eu0






<行きつけのバー>


司書「バーテンちゃん、伊達で」

姉「わたし白州でー」

バーテン「はいはーい」

司書「姉さんのは薄くしてね」

バーテン「ふふふ、いつもの感じね〜」

バーテン「二人とも、軽く食べてく?」

司書「んーどうしようね、姉さん」

135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:25:16.36 ID:rT58B0eu0

姉「……あれー、この前のー」

バーテン「キムチチャーハン?」

姉「そそ、司書ちゃん半分しよー」

司書「うん。わたしは牛スジ煮込みもね」

バーテン「……そうねえ、材料はあるけど、ちょっと時間かかるかなーって」

姉「時間ならたっぷり」グー

司書「右に同じく」

バーテン「じゃあ先にお酒出しとくね〜」ゴトゴト

136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:25:52.36 ID:rT58B0eu0


姉「……」グビ

司書「……」

姉「……」グビグビ

司書「……」チラッ

姉「……なによ」

司書「いやべつに」

姉「…………んー、あつい」プチプチ

バーテン「エアコン下げよっか?」

姉「あーいや、いいよ」

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:27:01.20 ID:rT58B0eu0

司書「……」

姉「……」ノビー

司書「……」

姉「……」

司書「……なんていうか、さ」

姉「うん?」

司書「いまの姉さんは、すっごくかわいい系になったよねぇ」

姉「……んー?」

司書「昔の姉さんはやっぱり、おっきくて、髪も短くて、すごく真面目な感じがしてさあ」

姉「えー」

司書「同級生だけじゃなく後輩からもカッコイイカッコイイってモテててさー」

バーテン「えー、なにそれ気になる〜」

司書「写真見る?」

バーテン「みるみる、めっちゃみる」

姉「なんでそんなの持ってんのよ」

138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:27:40.71 ID:rT58B0eu0

司書「姉さんのカッコイイ写真を撮ってる子がいて」

姉「……え、やだめっちゃこわい。てか初耳……誰?」

司書「るかちゃん」

姉「……」

司書「ほらほらあの、陸上部で、けっこー背が低くて、ちょっとツリ目の」

姉「……る、るかちゃんってあのるかちゃん?」

司書「そそ。バーテンちゃんこれこれ」スッ

バーテン「どれどれ? ……わわっ、かっこい〜」

司書「でしょでしょ」

バーテン「モテるのも納得ね」

姉「……ね、待って司書ちゃん。わたしずっとるかちゃんに嫌われてるかと思ってたんだけど」

139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:28:14.47 ID:rT58B0eu0

司書「……えー?」

姉「いや、あの、いきなりキッって睨まれたりとか、挨拶したら無視されたりとか」

司書「はあ、姉さんそれはさぁ──」

バーテン「んふふ」

司書「……まあいいや」

姉「え」

司書「バーテンちゃんお代わり〜」

姉「えっえっ」

バーテン「姉ちゃんもお代わりいる?」

姉「いる。けど、司書ちゃん『まあいいや』ってどゆこと?」

司書「今度新年に集まるとき、るかちゃんも来るからそんときに聞いてみれば?」

姉「えっ、何を?」

司書「あーバーテンちゃんチョコもらえる?」

姉「ねぇー司書ちゃん!」






140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:29:08.34 ID:rT58B0eu0







姉「"かわいい"はね、わかるよ。事実かわいいし、昔からずっと」

司書「うん」

姉「かわいいっては、言えるんだよねぇ。ふつうに、ふっつーにさあ」

司書「うん」

姉「……だけどさあ、"かっこいい"は何か違うじゃん……、結構違うじゃん……」

司書「えー、違うかな?」

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:29:50.45 ID:rT58B0eu0

姉「わたしが言われるのはいいの」

司書「あーはいはい」

姉「ほかの人に言われてるのもいいの。全然いいの。別に気にしてないし、本人にじゃなくてわたしに言ってくるのはよくわかんないけど」

姉「でもわたしが思っちゃうのはね、うん…………ね? わかるでしょ?」

司書「わたしに共感を求めないでよ」

姉「わかってよーっ……!」ジワッ

司書「めんどくさいわぁー」






142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:30:54.38 ID:rT58B0eu0






(二時間後)


姉「…………わらひはぁ、べっつにたのしいこととか、なんもなくてぇ」グスグス

司書「……はいはい」

姉「……やりたいこととか、ほしいものとかぁ、なんもないからぁ…………」グスグス

司書「……」

姉「それなら、みんなが求めてくれるような、わらひの方がいいんじゃないかってぇ……」

司書「なるほどねー……」

姉「……」グッグッ

司書「……」

姉「……」

司書「……」

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:31:54.64 ID:rT58B0eu0

姉「……ししょちゃんのばーか!」プハァ!

司書「ええ? いきなりどうしたのよ」

姉「……わらひがぁ! ……すっごくどうしようもなくて……、ヘンなことばっかり考えてて、そういうことに興味ないこと知ってるくせにぃー!」

司書「あー、ロリコンなとことか?」

姉「わらひはろりこんでもしすこんでもないから!」

司書「まあそうね。ロリって感じでもないか」

姉「…………ばーか、ばーかばーか」

司書「……大丈夫? 横になる?」

姉「……うん」ダラー

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:32:45.63 ID:rT58B0eu0

司書「……もー、吐いたりしないでよねえ」サスリサスリ

姉「……うん」

司書「……」

姉「……うん」

司書「聞いてないのね」

姉「……」

司書「……」

姉「……」スゥスゥ

司書「んー寝るの早いなー」ポンポン

バーテン「そのまましばらく寝かせといたら?」

司書「そうするつもり」

145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:34:41.21 ID:rT58B0eu0

バーテン「司書ちゃんおかわりいる?」

司書「水でいいよ」

バーテン「はーいこれ。……ふふ、姉ちゃんの寝顔かわいい〜」

司書「そうね」

バーテン「そういえば、さっきの話だけどぉ〜、司書ちゃんは姉ちゃんの追っかけはしてなかったの?」

司書「え、してないしてない」ブンブン

バーテン「そうなの?」

司書「そもそもの関わりが薄かったしねぇー、会ったら二、三言話す程度で、まあかっこいい子がいるなあって感じで」

バーテン「同じ大学だったのよね」

司書「そそ。同期で教育大行ったのはわたしらだけ」

バーテン「ふうん、でも司書ちゃんは教師にはならなかったんだ」

司書「まあいちおう司書教諭って言うんだけどね、大学で取る資格いる系の」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:36:42.45 ID:rT58B0eu0

バーテン「へぇ〜、もともとなりたかったの?」

司書「いや、わたしも教員志望だったんだけどね、いろいろあるじゃない」

バーテン「いろいろねぇ」

バーテン「……あ、前から気になってたこと聞いてもいい?」

司書「いいよ」

バーテン「司書ちゃんって〜、そっちじゃない?」

司書「うん」

バーテン「姉ちゃんのことは、どうも思ってないの?」

司書「思ってないよ」

バーテン「え〜?」

147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:38:39.92 ID:rT58B0eu0

司書「まったく、1ミリも」

バーテン「ふぅ〜〜〜ん?」

司書「なんとも思ってないよ」

バーテン「ほんとにぃー?」ニヤニヤ

司書「わたしはね、かわいい子が好きなの。高校のときの姉さんみたいなタイプは趣味じゃなかったの」

バーテン「……なるほどぉー、"なかった"ねぇ〜」

司書「揚げ足取らないでよ」

バーテン「でもでも? ほんとのこと言っちゃうと?」

司書「……えー、ほんとのこと?」

バーテン「姉ちゃん寝てるし大丈夫」

姉「……」スゥスゥ

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:40:39.88 ID:rT58B0eu0

司書「……」

バーテン「……」ニコニコ

司書「……」

バーテン「……」ニコニコ

司書「……はあ」

バーテン「ふふふ」

司書「……実際言うと、わりと好み……ううんかなり好み、おこがましいけど、その場に居るだけでかわいいし」

バーテン「へぇ〜」ニコニコ

司書「でもそれは、まあ、ムラっとくるタイプのかわいいなのよね」

バーテン「え〜、なにそれ」

149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:41:43.85 ID:rT58B0eu0

司書「バーテンちゃんもわかるでしょ」

バーテン「……うーん?」

司書「わかんないフリしないでよ既婚者」

バーテン「あは」

司書「腹立つ〜」

バーテン「でもでもでも、姉ちゃんもそっちなんでしょ〜?」

司書「……あーちがうちがう」ブンブン

バーテン「え? そうなの? まえに彼氏はいらないって言ってたよね」

司書「彼氏(も彼女も)いらないだと思う」

バーテン「ふうん」

150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:42:40.21 ID:rT58B0eu0

司書「なんていうのかな……、Aセクっぽいんだよねこの子、話聞いてる感じだと」

バーテン「あ〜、つまりどっちでもないってこと?」

司書「うんまあ平たく言えば」

バーテン「……なるほどね」

司書「"ぽい"ってのがポイントなんだけどね」

バーテン「……」

司書「……」

バーテン「……」

司書「……まあもし恋とか愛とかに点数付けるとしたら、一人に対して一億点で、他の人は上限でも十点とか、そんな感じなんだよ、多分」

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:43:21.05 ID:rT58B0eu0

バーテン「なら愛がないってわけでもないのね」

司書「……んー、いや、うーん……、一億点がずっと近くにいたら、周りなんて霞むじゃない?」

バーテン「そうね」

司書「だったらさぁ──」


ブーッブーッ
ブーッブーッ


バーテン「司書ちゃん?」

司書「いや?」

バーテン「……あ、姉ちゃんの胸ポケ光ってる」

司書「おお」スッ

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:43:53.01 ID:rT58B0eu0


司書「……あー、バーテンちゃん。電話出てもいい?」

バーテン「いいよーぜんぜん」

司書「わるいね」

バーテン「でも勝手に出ていいの?」

司書「……まー、寝てるしいいんじゃない」

バーテン「あら」

司書「わたしじゃ酔いつぶれた姉さんは運べん、めんどくさい」

バーテン「……?」

司書「それにこの際来てもらった方が早いし」

バーテン「……何のこと?」

司書「一億点のこと」






153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:45:02.56 ID:rT58B0eu0







カララッ
カランコロン


司書「お、来た来た」

バーテン「いらっしゃ────おおー、これは〜」

司書「わかる〜?」

バーテン「わかる」


妹「なんですか」

司書「なんでもないです」

バーテン「……やばいわ〜」

154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:45:49.72 ID:rT58B0eu0

妹「司書さん、おねえちゃんは?」

司書「ここ」ユビサシ

姉「…………ムニャムニャ」

妹「ごめんなさい、いつもおねえちゃんがご迷惑を」ペコリ

司書「や、迷惑はかけられてないない。姉さん寝てるだけ」

バーテン「お嬢ちゃん一杯飲んでく?」

妹「わたし未成年です」

バーテン「そうよね、大人っぽいね〜」

妹「よく言われます」

バーテン「高校何年生?」

妹「二年生です」

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:46:30.61 ID:rT58B0eu0

バーテン「ほおー……。てゆーか、司書ちゃん未成年連れ出していいの〜? ガッツリ深夜よ?」

司書「姉さんの家に来てたみたいだし、いいかなって思ってね」

バーテン「いやダメでしょー……あ、これ水どうぞ」

妹「……ど、どうもありがとうございます」

司書「帰り送ってくからもーまんたい」

妹「あっ、その、わたしだけでも大丈夫ですよ」

司書「んやー、わたしも帰るの」

バーテン「司書ちゃんお会計しちゃう?」

司書「うん」

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:47:11.00 ID:rT58B0eu0

妹「おねえちゃんの分は、」

司書「いや、いいよ。ここわたし持ちって約束してたから」

司書「姉さん、起きて」ユサユサ

姉「……」スゥスゥ

妹「おねえちゃん、帰るよ」グイッ

バーテン「わ、力持ち!」

司書「わたしの見込み通り」

バーテン「遺伝かしら」クスクス

司書「じゃ、バーテンちゃんまたね」

バーテン「またね〜、妹ちゃんも」フリフリ

妹「……」ペコリ






157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:47:47.70 ID:rT58B0eu0






妹「……」テクテク

司書「……」テクテク

妹「……」テクテク

司書「……」テクテク


妹「あの、司書さん」

司書「なーに?」

妹「このまえ教えてくれた本、面白かったです」

司書「それはよかった」

妹「はい。友達に貸したら、その友達も面白かったって言ってました」

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:48:24.84 ID:rT58B0eu0

司書「……あー」

妹「……?」

司書「や、なんでもない。姉さんも面白いって言ってたよ」

妹「ああいう系統の好きですよね」

司書「この子わりとロマンチストなタイプなんだよね」ミョン

姉「……プヒャ」

司書「ダメな大人だなーほんと」

妹「あはは、でも昔からそうですよ」

司書「家族の前だとそうなのね」

妹「はい」ニコッ

司書「……てかさあ、今日の、いや昨日の昼休みさ、告白されてたでしょ」

妹「……あー、見てたんですか」

司書「たまたまね」

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:49:05.75 ID:rT58B0eu0

妹「……なんていうか、告白ってよりは、好きって言われただけというか」

司書「わざわざ中庭で?」

妹「まあ……はい」

司書「それを告白されたって言うんだぜー妹ちゃん」

妹「……はあ」

司書「ちなみに姉さんにはこのこと言ってないよ」

妹「……」ホッ

司書「心の声が漏れてる」

妹「……漏れてないです」

司書「じゃあそういうことにしといてあげる」ケラケラ

妹「……」

160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/30(金) 02:49:35.71 ID:rT58B0eu0
眠いのでまた今度
あと一回か二回で終わります
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/01(土) 17:45:59.39 ID:uXMcMzQZ0
姉かわ
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 01:26:35.41 ID:N3H95SEAo
すき
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 01:03:12.69 ID:Ksq5Oz0z0




チュンチュン


姉「……ん」

姉「……あさ……?」パチリ


姉「…………んぅー」キョロキョロ

姉「……んあ」ガンガンガンガン

姉「みず、みずみず……」フラフラ


妹「あ、おねえちゃん起きた?」

姉「…………ぁー、いもうと?」

妹「うん」

姉「……なんでなんで」

妹「昨日行くって連絡したじゃん」

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:03:49.97 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……えー」ガサゴソ

姉「……」スマホポチポチ


妹:おねえちゃん今日泊まりに行くからね


妹「はいこれ、ミネラルウォーター」

姉「……ありが」キュッキュッ

妹「……」

姉「とう……」ゴクゴク

妹「ほら立ってー、顔洗いにいこー」ギュッ

姉「……やぁー、自分で、立てるからぁー」フラフラ

妹「……」パッ

姉「……」ヘタリ

妹「……」

姉「……」フニャフニャ

妹「……言わんこっちゃない」

姉「……面目ない」

165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:04:28.22 ID:Ksq5Oz0z0


妹「シャワー浴びなよ」

姉「うん」

妹「浴室で寝ないでね、具合悪かったら呼んでよね」

姉「うん」

妹「トマト雑炊作ったんだけど、上がったら食べるよね」

姉「うん、ありがとう」

妹「ううん、べつにいいよ」






166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:05:05.44 ID:Ksq5Oz0z0






(二度寝しようとしたらおもむろに布団に入ってこようとしたので起きました)






167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:05:42.03 ID:Ksq5Oz0z0






姉「……で、どうしたの?」

妹「んー?」

姉「うち来て」

妹「んーべつに理由はないけど。強いて言うなら、暇だったから?」

姉「そう」

妹「テスト終わったし」

姉「……なるほど」

姉(満点……)

168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:06:17.31 ID:Ksq5Oz0z0

妹「この前やろーって言ってたゲーム持ってきたよ」

姉「買ったの?」

妹「もち」

姉「何円だった? 払うよ?」

妹「いいよいいよ。普段使わないから、お金なら余ってるの」

姉「ふーん、あんまり遊びとか行かないんだ」

妹「友ちゃんとは行くよ」

姉「へー」

169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:06:56.51 ID:Ksq5Oz0z0


妹「おーねえちゃんっ」ポフッ

姉「んー?」

妹「んへへ、なんでもない」

姉「あ、もうゲームしたくなった?」

妹「んーん」

姉「……」ナデナデ

妹「……んー♪」ニコニコ

姉(かわいい)

姉「……」ナデナデ

姉(いい匂いする……)

170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:07:30.43 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……」スンスン

妹「……?」

姉「……ふふふ」

妹「ご機嫌だね」

姉「そう?」

妹「あー、久しぶり? にお酒飲んだからかー、司書さんが言ってた」ウンウン

姉「……そうかもねぇー」

姉(ちがうけどー)






171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:08:04.26 ID:Ksq5Oz0z0






姉「ゲームしづらいと思ってさー」

妹「うん」

姉「このクッションを買ったのよ」

妹「……どう使うの?」

姉「ちょっとカラダ滑らせて、わたしと妹の間に入れれば」

妹「ん」

姉「これでやりやすいね」

妹「……」

172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:08:34.63 ID:Ksq5Oz0z0

姉「ほらほら、こっち来て」

妹「……」ポスッ

妹「……んー……」

姉「え、もしかして固い? 低反発のやつにしたんだけど……」

妹「ううん、いいねこれ」

姉「でしょでしょー、このまえ司書ちゃんと家具屋行ったときに、妹と座ろーって思って買ったんだ」

妹「あはは、そーなんだ」






173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:09:27.05 ID:Ksq5Oz0z0






(一時間後)


妹「おねえちゃん、交代」

姉「交代?」

妹「場所かわろ」

姉「なんで」

妹「いーからいーから」ニコニコ

姉「えー……わかった」

妹「ささっ──あいだに、どーぞ?」

姉「うん」ポスッ

妹「……んっ」ギュー

姉「……」

174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:10:05.67 ID:T7lncoWu0

妹「クッションにはわたしが座る」

姉「え、でもそれだと」

妹「いーから」

姉「うん……」


姉「……」

妹「……」


ギュム


姉(あっ……)

妹「続きはやくー」ポンポン

姉「う、うん……」

姉(ぎゅむって……、ぎゅむっていった……)

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:10:49.66 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……」

姉(わたしの──)チラッ

姉「……」ペターン

妹「……」

姉(壁……)

妹「……」






176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:11:58.21 ID:Ksq5Oz0z0






妹「おねえちゃん、はい」

姉「ん?」

妹「つなご」スッ

姉「あーうん」ギュッ

妹「……」テクテク

姉「……」テクテク

妹「あそこのお店行くの久しぶりだね」

姉「そうだね」

妹「おねえちゃん何食べる?」

姉「どうしようかなー、やっぱり回鍋肉にしよっかなー」

妹「わたしは麻婆定食にしよ」

姉「美味しいもんねー」

妹「ちょっとずつ分けようね」

姉「うん」

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:12:41.84 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……♪」テクテク

姉「……」チラッ

妹「……?」

姉「……」フイッ

妹「……んー?」

姉「……あー、背、また伸びた?」

妹「わかんない。けど、多分」

姉「ふうん」

姉(やっぱりそうなのかー……)

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:13:32.47 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……」テクテク

姉(こう見ると顔とか表情とかは、昔からずっと変わらず幼げなのに)チラッ

妹「……」テクテク

姉(腕と脚めちゃ長いし、顔ちっちゃいし、チェスターコート似合ってるし、髪さらさらで整ってるし……)

姉(なぜか落ち込む……自分自身に)

姉(わたしのこの運動不足のアレとか、一向に成長しなかったアレとか、手入れを怠ってるアレとか……、並んで歩いていいものか、みたいな)

姉(……いやいや、こんなふうなこと考えてる時点でだいぶおかしいぞ、わたし)

姉(でも、でもでも今日はあんまり──)


妹「おねえちゃん、あぶな──」グイッ


プー!!!!



姉「えっ」

妹「──いっ!」ダキッ

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:14:22.33 ID:Ksq5Oz0z0


ププー!!!!
キキキーッ!!


妹「信号赤だよ! ぼーっとしてると危ないって」ギューー

姉「……あ」ドキッ

妹「もしかしてまだ酔い残ってる?」ジィー

姉(いや近い近い近い近い)カァ

妹「おねえちゃん今日ずっとふわふわしてるし、大丈夫?」

姉「……」カァァァ

妹「……ねえ、おねえちゃん聞いてる?」ズイッ

姉「……あっ、……う、うん。聞いてる聞いてる」ドキドキ

妹「もー、ほんとに?」

姉「……ほんとに」ドキドキドキドキ

姉(やばいやばいやばい顔見れない……)

姉(妹にこういうこと思っちゃダメだろわたしぃー……)

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:15:09.42 ID:Ksq5Oz0z0

妹「おねえちゃんがそう言うなら、わたしは信じるけどー」

妹「いちおう、心配だから」スッ

姉「……え、腕?」

妹「つかまって」

姉「なにゆえ」

妹「いーから」

姉(わからんまったくわからん)

姉「いや、自分で歩けるからいい」

妹「……ふーん」ムスッ

姉(なんでそんな不満そうな顔するんだー)

姉「……」

妹「……」


姉「……あー、あれだなー。寒いなー、コート着ててもめっちゃ寒いなー」コホコホ

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:15:48.36 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……」

姉「……まあ、うん」

妹「あんまり寒くないよ、わたし」

姉「えー、わたしは寒い? かなー。寒い気がするなー」

姉(イタいなー、わたし……)

妹「そっか」

姉「てことで、腕貸して?」

妹「……ふふふ、いいよぅー」スッ

姉「しつれい」ギュッ

姉(心臓の音伝わったりしないよね)

姉(めっちゃバクバクいってる気がする、気がするだけ、なんでだ)

妹「……」

姉「……」

妹「……んふふ」ニコニコ

姉「どしたの」

妹「なんでもない」ニコニコ

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:17:09.25 ID:Ksq5Oz0z0




(週明け)


妹「……」カキカキ

妹「……」カキカキ


ガラッ


クラスメイトA「ご、ごめん妹さん! 遅くなっちゃった」バタバタ

妹「あ、でも、わたしもう日誌とか取ってきたから大丈夫だよ」

クラスメイトA「ああ……でもごめんほんとに」

妹「いいっていいって。昨日も部活忙しかったんでしょ?」

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:17:42.86 ID:Ksq5Oz0z0

クラスメイトA「まあ……」

妹「わたし部活入ってないから土日の疲れとかないし、朝早く起きるの好きだから、ぜんぜん気にしなくていいよ」

クラスメイトA「でも、」

妹「明日からもわたしがやっとくからさ、朝練そのまま出てても大丈夫」

クラスメイトA「……えっ、いいの?」

妹「途中で抜けるのキツいって前に言ってたじゃん」

クラスメイトA「よく覚えてるね……、ありがとう」






184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:18:17.97 ID:Ksq5Oz0z0






妹「上の方消すの手伝うよ」

クラスメイトB「……え、でも悪いよ」

妹「いいよーぜんぜん。あの先生無駄に筆圧濃いから消しづらそーだし」

クラスメイトB「……うん、ありがと」

妹「わたしも黒板消すのたまにやろっかな」

クラスメイトB「妹さんは、黒板消しやすそう」

妹「なにいってるのー、いつもすごく綺麗に消してくれてるじゃん」

クラスメイトB「……あ、え……、その、見てたんだ」

妹「わりとね」

クラスメイトB「……」カァァァ






185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:19:10.80 ID:Ksq5Oz0z0






友「──へぇ、じゃあ土日は姉先生の家でずっと遊んでたの?」

妹「うん」

友「ほんと仲良いねー……」

妹「ありがとう」ニパー

友「姉先生って人気あるから羨ましー──や、でも妹も妹でそうかも? なのかな?」

妹「どういうこと」

友「んー、なんでもなっしんぐ」

妹「友ちゃんは、何かあったの?」

友「土日?」

妹「うん」

友「わたしは知り合いの人と遊んでたよ」

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:19:42.71 ID:Ksq5Oz0z0

妹「あー、このまえ言ってた気になってる人?」

友「そんな話したっけ?」

妹「うん。先々週くらいに、マックで」

友「意外と覚えてるのね……」

妹「で、その……お知り合いさん? と何して遊んだの?」

友「カフェでしゃべってー、本屋に一緒に行ってー、ラウワン行ってー」

妹「たのしそ」

友「いーでしょ」ドヤ

妹「わたしも友ちゃんとラウワン行きたい」

友「そっちかい」

妹「ボーリング苦手だけどね」

友「わたしも苦手だ」

妹「でもたのしい」

友「わかる」

187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:20:28.41 ID:Ksq5Oz0z0

友「てか、妹が誘えば誰でも行ってくれると思うけど」

妹「行きたい人と行かないと意味ないでしょ」

友「……んー、妹はお誘い断りまくってるからね」

妹「そんなことないと思うよ」

友「一回くらい遊んであげればいいのに」

妹「誰かを断って誰かは受けたらおかしいじゃん」

友「わたしはいいのか」

妹「友ちゃんは別枠」

友「…………なるほどー胃が痛むわぁー」

妹「どうして?」

友「どうしてだろうね」

妹「なにそれ」

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:21:31.52 ID:Ksq5Oz0z0




<次の日>


友「何点だった?」

妹「むふふふ」ニコニコ

友「良かったのか」

妹「百点」

友「……妹に聞いたのが間違いだった」

妹「そういう友ちゃんは?」

友「追試頑張ります点」

妹「ごめん」

友「あやまらないでくれー」

妹「でもわたし、数Uで百点は初めて」

友「ふうん?」

妹「今回はちょっとがんばろーかなって思って勉強した」

友「どうして?」

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:22:09.19 ID:Ksq5Oz0z0

妹「おねえちゃんが作った問題だからー」フフン

友「はぁー……」

妹「むしろそれ以外に理由ないし」

友「あ、聞いた? 冬休みの課外って姉先生らしいね」

妹「知ってる」

友「まさかもう申し込んだりしてる系?」

妹「してる系」

友「わー抜かりないねぇー」

妹「友ちゃんも受けませんか」

友「補習の瀬戸際に居るってのに〜?」

妹「わたしが補習まで勉強教えるから」グッ

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:22:34.31 ID:Ksq5Oz0z0

友「交換条件ってこと?」

妹「うん」

友「……えー」

妹「友ちゃんいないとさみしーよー」

友「でもー」

妹「補習かかったら二十八日まで補習だよ?」

友「うぐっ……それはやだなぁ」

妹「じゃあ決まりねー、場所どうする?」

友「勝手に決めないでよー。……いつもの図書室の奥でいいんじゃない」

妹「ようし、がんばろうね! 友ちゃん!」

友「うーん、おてやわらかに……」

191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:23:51.29 ID:Ksq5Oz0z0




生徒A「あ、姉先生はろー」

姉「はいはい、はろーはろー」

生徒A「いきなりだけど先生褒めて褒めて」

姉「……えっと、テストのこと?」

生徒A「そうです」

姉「このまえ追試かもとか言ってたのに全然余裕だったじゃない」

生徒A「実は今回がんばりました。後付けですけど」

姉「答案から伝わってきたよ」

生徒A「ほんとですか?」

姉「一点でも多く取ってやるって思いが伝わってきた」

生徒A「冬休みの課外取るには八割必須って書いてあったので」

姉「……あー、でもここだけの話、べつに八割なくても人少ないから通るんだよ」

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:24:24.17 ID:Ksq5Oz0z0

生徒A「そうっぽいのは聞いてましたけど、もしかしてってあるじゃないですか」

姉「そんなに課外受けたかったの?」

生徒A「……まあ、そうです」

姉「がんばったね」ナデナデ

生徒A「…………う、」

姉「う?」

生徒A「……」

姉「……」

生徒A「れしいです、はい」

姉「……あ、勝手に撫でてごめんね」パッ

生徒A「や、いいですいいです。むしろありがとうって感じです」

姉「ついつい撫でてしまった」

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:24:57.64 ID:Ksq5Oz0z0

生徒A「……もしかして、妹さんで慣れてたみたいな?」

姉「そうね」

生徒A「上手かったですよ」

姉「そう?」

生徒A「わんもあわんもあ」

姉「しないよ」クスッ

生徒A「えーなんでですかー!」

姉「ふふふ」

生徒A「えー、じゃあ次のテストも頑張りますから」

姉「期待してるね」

生徒A「次は満点目指します! 今回学年で一人しかいなかったらしい満点を!」

姉「がんばって」

生徒A「姉先生にそう言われたからにはがんばっちゃいますよ!」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:25:46.43 ID:Ksq5Oz0z0

姉「うん。……あ、そういえば生徒Bさんは今日は一緒じゃないの?」

生徒A「えっ、あっその、そうですね」

姉「……ん? え、何かあったの?」

生徒A「なにもないですよぉー、ははは」

姉「はははて」

生徒A「落ち込んでるんですよー、あの子。めちゃのめちゃに、やばいくらいに」

姉「どうして?」

生徒A「テストが悪かったから」

姉「……」

生徒A「……ってのはウソでー、振られちゃったんですよ」

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:26:18.39 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……へえ、生徒Bさん恋人いたんだー」

生徒A「あ、ちがいますちがいます。好きな人に告って振られたんです」

姉「……それわたしに言っていいの?」

生徒A「や、その、相手が相手なので……」

姉「えっ」

生徒A「一年のころ同じクラスでそこそこ仲良くしてて、クラス離れたけどずっと好きだったみたいでーって感じです」

姉「……」

生徒A「クリスマス予定空いてるかって聞いたら、もう入ってるって言われたみたいで、それでいてもたってもいられなくなって好きって言っちゃったらしいんです」

姉「……あ、うん」

生徒A「……」

姉「……」

生徒A「……姉先生は?」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:26:59.50 ID:Ksq5Oz0z0

姉「わたし?」

生徒A「クリスマスは彼女さんと過ごすんですか?」

姉「え? いや、ないない。いないし」フリフリ

生徒A「そうなんですねー!」ニコニコ

姉「まあ……」

姉(ていうか彼女って言ったよね……)

生徒A「……あれですね。わたしもクリスマスイブは姉先生の課外ですけど、クリスマス当日は暇かなー、なんて」

姉「……あの、生徒Aさん」

姉(それってそういうことなの)

生徒A「考えといてくださいね! ではまた!」シュタタタッ

姉(やっぱりそうなのかー……)

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:27:31.21 ID:Ksq5Oz0z0




<図書室>


妹「……でねー、これがこうじゃん」

友「うん」

妹「で、これを代入。おしまい」

友「まるでわからん」

妹「まじですか」

友「まじす」

妹「わたしには向いてないんだろうか」

友「向いてない」

妹「それけっこーヘコむ」

友「……なになに、教師になるつもりなの?」

妹「え、いやべつに、ないない」

友「そうなのね」

妹「うん」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:27:59.13 ID:Ksq5Oz0z0

友「もしかして『姉先生と同じ職場がいい』とか考えて、この学校の教師目指しちゃったりするのかって思った」

妹「えー」

友「……」

妹「んー」

友「……」

妹「んー……」

友「……」

妹「…………んー」テレテレ

友「『まったく考えてなかったけど良いと思いました』みたいな顔やめい」

妹「えっ、友ちゃんエスパー」

友「エスパーもなにも姉先生のことになると、妹はわっっっっかりやすいから」

妹「そうかなあ」

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:29:00.11 ID:Ksq5Oz0z0

友「そうそう、ほんとそれなって感じ。まじで真面目に」

妹「何その反応」

友「で、なりたいとか思っちゃったー?」

妹「うーんそうだなあ……選択肢のひとつに入れとく」

友「ありゃ、そうなんだ」

妹「うん」

友「その心は」

妹「おねえちゃんのことは、料理とかつくって待ってたいし」

友「ふわふわしてるようで将来設計しっかりしてんのねー」クスクス

妹「そんなことないと思うけど」

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:29:35.11 ID:Ksq5Oz0z0

友「ふうん」

妹「考えたことなかったし」

友「意外」

妹「そうかなあ……」

友「だって、まずなぜか一緒に住むことになってんじゃん」

妹「え、住まないの?」キョトン

友「あっもういいっす。それでいいっす。スマセン」

妹「友ちゃんへんなのー」

友「……」

妹「……」

友「……」

妹「……」

友「そいえば、さっきからなんとなく触れなかったけど」

201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:30:08.90 ID:Ksq5Oz0z0

妹「うん」

友「乗ってる」

妹「うん」

友「……」

妹「……」

友「……」


妹「肩こるし」

友「いいよなあ」

妹「ふふん」

友「ドヤ顔やめろ! 分けろ!」






202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:30:58.92 ID:Ksq5Oz0z0






妹「……」カキカキ

友「……」カキカキ

妹「……」チラッ

妹「友ちゃん、そろそろ終わりにする?」

友「……おー、もうこんな時間か」

妹「明日もがんばろうね」

友「うん」

妹「わたし今日地下鉄だけど、友ちゃんは?」

友「ブス」

妹「バスか」

友「うむ」

妹「ちょうどいいのあるかな」

友「どうせ雪降ってて道路混んでるから時間通りには来なそう」

妹「なるほど」フム

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:31:33.14 ID:Ksq5Oz0z0

友「……そういえば、今日まで返却期限の本教室に置きっぱだったから取ってくるね」

妹「わかった」

友「あ、妹は帰っててもいいよ」テクテク

妹「うん」テクテク

友「上行くと寒いしね」テクテク

妹「わかる」テクテク


友「……」ピタッ

妹「友ちゃん?」

友「妹、こっち」コソコソ

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:32:07.09 ID:Ksq5Oz0z0

妹「う、うん」

友「……あれ見て」ユビサシ


姉「〜〜」ブンブン

司書「〜〜」

姉「〜〜……」

司書「……」ハァー


友「前から思ってたけど、司書さんと姉先生って仲良いよね」

妹「うん、そうだね」

友「どう思いますか」

妹「仲良い」

友「それを踏まえて、どう思いますか」

妹「踏まえて? えー、べつになにも」

友「仲良い以上のアレがあるとか思ったりしないの?」

妹「ないでしょ」

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:33:09.74 ID:Ksq5Oz0z0

友「本当に?」

妹「ないよ普通に。ていうか、どうしてそんなこと聞くの?」

友「気まぐれ」

妹「友ちゃんたまにナゾ」

友「……妹の方がわたしにとっては謎だよ」ボソッ

妹「……? 何か言った?」

友「なんでもないやい」

妹「ふーん」

友「……」

妹「……」

友「覗きは良くないし、あっちから出ましょうぜ妹ちゃんよー」

妹「そうだね、二人とも楽しそうだし」

妹「……あれ、でも本取りに行かなくていいの?」

友「明日でいいや」

妹「ほんとに気まぐれだ」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:34:13.51 ID:Ksq5Oz0z0




<車の中>

ブロロロロ……


司書「わざわざ聞く必要ないけど、もちろん断るんでしょ?」

姉「そりゃあ、もちろん」

司書「でしょうね」

姉「本気で言ってたのかからかわれたのか分からないし」

司書「いやいや、絶対本気で言ってるって」

姉「そうかなあ……」

司書「もし断ったら『先生わたしにやさしくしといて断るんですか』って言われるかもよ」

姉「でもそれは普通に慕ってくれてる生徒だし……」

司書「姉さんって昔からそうだよねー」ヤレヤレ

姉「なにが」

司書「そういうところの線引きが曖昧だから、いろんな人に勘違いさせるし、勘違いされる」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:34:43.52 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……だってさ、普通に、わたし女だし」

司書「……女だから、同性からセクハラまがいの質問されたり、さりげなく身体触られたりしても何も言わないの?」

姉「まあ」

司書「さすがに生徒に誘われたりしたのは初めてでしょ?」

姉「……」

司書「……え、あるの?」

姉「…………軽い感じのなら。真面目に断るのも変だし、全部流してたけど」

司書「えー」

姉「司書ちゃんわたし間違ってる?」

司書「……いやまあ間違ってはないと思うよ。相手は思春期の子達だしね」

姉「うん」

司書「でも姉さんがそういう感じの人って噂が流れたりしたら元も子もないじゃない」

姉「もう流れてる」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:35:54.48 ID:Ksq5Oz0z0

司書「そうだろうとは思った」

姉「『彼氏いますか?』『いないよ』『作る気は?』『ないかな』でそうなる世界らしい」

司書「あーね」

姉「ちょっと関わっただけで言われるなら、それはもう防ぎようなんてないじゃん」

司書「そうね」

姉「どうしようもないし、気にして態度を変える方が傲慢かもだし、これからも変わらずにいるしかないよね」

司書「姉さんがそれでいいならいいと思うよ」

姉「うん」

司書「でも、妹ちゃんはどう思うかな」

姉「……どうして妹?」

司書「言ってたじゃない。女の子から告白されたんでしょ? アンタの妹ちゃん」

姉「……」

209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:36:46.73 ID:Ksq5Oz0z0




<バス停>


友「さっきの話さ、妹はもし姉先生に恋人が出来たらどうするの?」

妹「どうするのって?」

友「まず同居はかなわないじゃん」

妹「うん」

友「夜ごはんをつくって家で待ってることも出来ないじゃん」

妹「うん」

友「……ていうか大前提として、自分よりも好きな人がいるってことじゃない」

妹「そうだね」

友「ダメージとかないの?」

妹「だってそんなの想像できないから」

友「でもないとは言い切れないでしょ」

妹「ないよ」

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:37:31.68 ID:Ksq5Oz0z0

友「言い切っちゃうかー」

妹「うん」

友「……」

妹「起こるはずのないことは考えない方がいいし、そういう想像したって何も変わらないじゃん」

友「たしかに変わらないけどさあ」

妹「友ちゃんさっき図書室で、将来設計って言ってたよね」

友「うん言った」

妹「将来のことなんて、わたしはあんまり考えてない。その少し考えたことで優先順位はあるけど……でも、どこの大学に行くとか、何の仕事をしているかとか、そんなのは些細な問題で、どうでもいいことなの」

妹「わたしの中では、おねえちゃんと一緒にいること以外は全部失敗なの」

友「……」

妹「おねえちゃんがわたしじゃない誰かを好きになっても失敗。わたしのことを嫌いになっても失敗。もし失敗したとして、そこから修正はできるかもしれないけど、それはそれ。……わたしは、一度も失敗したくない」

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:38:11.16 ID:Ksq5Oz0z0

友「ねえ、怒ってる?」

妹「怒ってない」

友「ごめんね」

妹「ううん。怒ってないから謝らないで」

友「……」

妹「……」

友「……じゃあさ、ひとつ聞いていい?」

妹「うん」

友「そんぐらい思ってるならどうして、その気持ちを姉先生に伝えないの?」

妹「それは……」

友「うん」

妹「…………ごめん、言えない」

友「わたしでも?」

212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:38:43.53 ID:Ksq5Oz0z0

妹「……うん。友ちゃんにも、誰にも……おねえちゃん以外には」

友「そっか」

妹「友ちゃんあのね、わたし目の前のことはちゃんと考えてると思う」

友「たとえば?」

妹「この三年間の重要さとか、貴重さとか」

友「どういうことよ」

妹「ふふふ、恥ずかしーからヒミツ」

友「なんだよー」

妹「……」

友「……ていうか、あんなに本音をしゃべる妹は珍しいんじゃない」

妹「そうかな」

友「わたしだからか」

妹「友ちゃんだからかな」

友「取ってつけた感ハンパねー」

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:39:20.40 ID:Ksq5Oz0z0

妹「本音を言えるのは大切な友達だから」

友「本音を言えるのが大切な友達なの?」

妹「ううん。友ちゃんが大切な友達だから、本音を言える」

友「嬉しいこと言ってくれるねぇ」

妹「ふふふ」ドヤァ

友「このドヤ顔を見れるのも実はめちゃくちゃ貴重なのでは?」

妹「ありがとう」

友「褒めてないよ」

妹「えー、ウケる」ケラケラ

友「ウケんし」

友「まー、妹もがんばってるみたいだし、わたしもがんばらないとなー」

妹「テスト?」

友「それも。これは自分との戦いなのだ」

妹「他の人は気にしてられない?」

友「よく分かってんねーさすが」クスクス

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:40:19.89 ID:Ksq5Oz0z0




<司書ちゃんハウス>


司書「……」カシュッ

姉「……」ポリポリ

司書「……」トポトポトポ

姉「……」ポリポリ

司書「……」グビグビ

姉「……」ジトー

司書「……いる?」

姉「明日学校だし」

司書「チューハイなんてジュースじゃない」

姉「車で帰らなきゃだし」

司書「置いてけばいいじゃない」

姉「話できなくなりそう」

司書「……それもそうね」

姉「うん」

215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:41:22.74 ID:Ksq5Oz0z0


司書「それで、妹ちゃんが告白されたっての聞いて少し落ちこんだって話だっけ?」

姉「落ちこんでない」

司書「またまたー」

姉「ほんとに」

司書「じゃあ信じよう」

司書(ていうか姉さんに限っては、本当にそうなんだろうなって納得できちゃうんだよなあ……)

姉「わたしが言いたいのは別の話」

司書「うん」

姉「……」

司書「……」

姉「……言うね?」

司書「どうぞ?」



姉「わたし、ダメなおねえちゃんなのかなあ……」ガクッ


司書「…………はあ」

216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:41:54.57 ID:Ksq5Oz0z0

姉「ため息!」

司書「ああ、いやごめん。まず話を聞くべきね」

姉「うん。……えっと──」

司書「……」

姉「……」

司書「……」

姉「……ど、どきどき、してしまった」カァァァ

司書「……うん……うん?」

姉「妹が……その、なんていうか、大人っぽく見えたというか、腕を、こう? ね? 出されたときに、ほんとはすぐにギュッて掴みたくなるような感じで」クドクド

司書「……」

姉「元はと言えばわたしの不注意が原因だったんだけど、ちょっと心配されただけで、『あっやばっ』ってなって、顔とかまともに見られなくなって、ちょっとじゃないくらいどきどきしちゃって……」クドクド

司書「待って、話が見えない」

司書(ただのノロケじゃんか)

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:42:32.28 ID:Ksq5Oz0z0

姉「え……と、いや、うん。簡潔に言うことにしよう」

司書「どうぞ」

姉「妹、かっこいい」

司書「うん」

姉「わたし、どきっとした」

司書「うん」

姉「……」

司書「……え終わり?」

姉「終わり」

司書「ノロケじゃん」

姉「ノロケじゃない!」

司書「ノロケでしょどう聞いても」

姉「……ちがっ! わたしは、真剣に言ってるのに」

司書「真剣にノロケてるんでしょ」

姉「茶化さないでよ!」

218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:43:10.57 ID:Ksq5Oz0z0

司書「だいたい、妹ちゃんがかっこいいのは今に始まったことじゃないでしょ」

姉「でもでも、妹は、かわいくて──」

司書「今も昔もかわいいじゃない」

姉「そうなんだけど、わたしがどきっとした妹はかわいい妹じゃなくて」

司書「かわいい妹ちゃんもかっこいい妹ちゃんも妹ちゃんでしょ」

姉「……っ! それは、そう……だけどさあ……」グスッ

司書(あっ)

姉「そういう感情を持っちゃったら、わたしダメじゃん。我慢とか、そういうの、できなくなっちゃうじゃん。……妹も大人なんだって思ったら、姉妹とか抜きにして好きって言ってるようなものじゃん」

司書「なら姉さんは、もし姉妹じゃなかったら妹ちゃんのこと好きじゃないの?」

姉「ちがう。……好きなの、好きは好きなの」グスグス

司書「あーうん。いまのは普通にわたしが悪い」

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:44:00.00 ID:Ksq5Oz0z0

姉「……でも、でもね゛っ! けほっ」グスグス

司書「大丈夫? 水飲む?」

姉「う゛ん」ゴクゴク

司書「……」

姉「司書ちゃーん……」チラッ

司書「ん?」

姉「これおさけー……」

司書「そうね」

姉「ばかじゃん」

司書「確認しなかった自分が悪いんじゃない」

姉「そうだけどー」

220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:44:26.43 ID:Ksq5Oz0z0

司書「……要するに姉さんは、妹ちゃんを自分のものにしたいって思っちゃったんでしょ?」

姉「……」

司書「もしくは、されたい」

姉「や、それは」ブンブン

司書「わたしとしてはどっちでもいいんだけど、そういうことでしょ」

姉「そういうこと……なのかな?」

司書「さあね」

姉「……」ジト

司書「でも、仮にそうだとしても姉さんは"ダメなおねえちゃん"ではないよ。いつも言ってるけど」

姉「……」

221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:45:25.33 ID:Ksq5Oz0z0

司書「……ていうか、姉さんは気付くの遅すぎ」

姉「えっ」

司書「昔からずっと姉さんは妹ちゃん以外なんてどうでもいいじゃん」

姉「そんなことないよ」

司書「あるから」

司書「高校のときに、誰からの遊びの誘いでも断ってたのもそう」

姉「……」

司書「大学のときだって、頻繁に実家に帰ってたし、よく妹ちゃんと電話してたし」

姉「……そうだった?」

司書「ああそういえば、いまの壁紙だって妹ちゃんでしょ」

姉「なぜ知ってる」

司書「このまえ見た」

姉「な」

222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:46:04.13 ID:Ksq5Oz0z0

司書「……まあ何が言いたいかっていうと、妹ちゃんとしっかり向き合った方がいいんじゃないかってこと」

姉「……」

司書「姉さんと同じようにあの子だって人気あるだろうし、知らないうちにどこぞの馬の骨ともわからないやつにいろいろ奪われちゃったりするかもしれないし」

司書(100パーないだろうけど)

姉「それは……」

司書「ファーストキスとか」

姉「……」

司書「そう思うとね、ほら──」

姉「し、司書ちゃん。妹のファーストキスは、七年くらいまえにもう……」

司書「えっ」

姉「……あ、その、相手はわたしなんだけど」

司書「いやそうでしょうね」

司書(ちょっと驚いた……ていうか)

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:47:02.87 ID:Ksq5Oz0z0

司書「どっちから?」

姉「妹から。ほぼ不意打ちで」

司書「頬にとかじゃなくて?」

姉「頬になら数えきれないくらい」

司書「……あ、うん」

司書(そりゃそうよね)

司書「そのときは姉さんも初めてだったの?」

姉「うん」

司書「わたしらクラスのみんなとちゅっちゅしてたのに」

姉「あはは」

司書「姉さんもよく迫られてなかった?」

姉「やめてほしいよねああいうの」

司書(第三者として見てるぶんには天国だった気がするんだけど)

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:47:30.83 ID:Ksq5Oz0z0

司書「ちなみに、その一回きり? 何度も?」

姉「一回きり」

司書「そう」

姉「うん」

司書「……」

姉「……」

司書「……まあ、いいんじゃない」

姉「いいのか」

司書「妹ちゃんは、けっこう抜けてるようにみえて賢いから」

姉「そう?」

司書「そう、姉さんとは真逆」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 01:48:01.58 ID:Ksq5Oz0z0

姉「つまりわたしは、しっかりしてるようにみえて馬鹿ってこと?」

司書「よく分かってるじゃない」

姉「悔しいけど否定できない……」

司書「まあ、これでも飲んで元気だして」スッ

姉「うん」グビグビ

司書「こういうところよね」

姉「……さ、さすがにわざとだよ!」

司書「えー、ほんとにぃー?」

姉「ほんとよ」

司書「へえ」

姉「もーいいや、今日は飲んじゃおう」

司書「冷蔵庫から好きなの取っていいからね」

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