神「異能力者七人のバトルロワイヤルが見たいな・・・」 2【安価】

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235 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:49:38.45 ID:8TSt72OJ0
住宅街



リカ「はぁっ、はぁっ」タッタッ

ラムダ「よし……ここです!『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

リカ「わっ、ここ……マンションですか?」

ラムダ(昨日偵察に出ておいて良かった……事前にここの地形を把握することができた)

ラムダ(そして!これで距離的にターゲットはそこに居るアッシュさんに切り替わったはず!)

ラムダ「彼には怪物を倒す力も逃げる術もない。『サウンドスケープ』で無力化するしかないはず」

ラムダ「そうなればここら一帯は安全地帯になる。そのままタイムアップまで待てばあなたが二点目を獲得。あなたの勝利です」

リカ「やったぁ……あれ?でもそれだとラムダさんは……」

ラムダ「僕は……いいんです」

ラムダ「やっと気が付きました。僕の本当の願い事は、ヒーローになることだ。あなたのような人を、守れるヒーロー」

ラムダ「あなたみたいな人にヒーローと呼んでもらえるなら、この先どんなことに巻き込まれたって構わない。……そう、思うんです」

リカ「ラムダさん……」
236 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:50:21.54 ID:8TSt72OJ0
ラムダ(……おかしい。外からあの演奏が聞こえてこない……まさか!)バッ


怪物「グルルルッ」

アッシュ「……来たぞ!加賀さん!」

七音「……ええ、分かってます」


ラムダ「!?」

ラムダ(あの人は……!?そんな!『道連れ』は?それが発動しなかったんだとしても、何故犬木さんは?何故アッシュさんとチームを……)

ラムダ(……あれは、ハッタリだったのか……!?)

ラムダ(くそっ、油断し過ぎた!もっと用心深く立ち回るべきだった!リカさんに偉そうに言っておきながら……情けない!)

ラムダ「……すいません、リカさん。もしかすると、まだ勝ちは確定していないかもしれません」

リカ「え……?」
237 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:50:55.30 ID:8TSt72OJ0
アッシュ「どうする!?加賀さん!俺の『サウンドスケープ』を使うか!?」

七音「いえ、その必要はありません……」

七音(私は今までの二日間で全員の能力を把握している。断言するが、この怪物を倒せるのは私だけだ)

七音(そしてだからこそ、今こいつを倒してはいけない!この怪物には、他の参加者を殺しまわってもらう!)

七音(その後私がこいつを殺す!これで完璧だ!そのためにはまず……)

七音「宝石をこいつに渡してしまえばいい!」ヒュッ

蝶「ありがとう」ボワンッ

七音「えっ?」

蝶「ずっとこの時を待ってたのよね……誰かが自分から宝石を手放す瞬間を」パシッ

七音(女が突然目の前に現れて、私が投げた宝石を掴み取る。いや違う。突然現れたのはドアだ。女はドアの向こうに居る)

怪物「ガオーッ!」バッ

七音(怪物がドアに回り込もうとするが、それより先にドアが消えてしまう。女と共に)

蝶「さようなら〜」ボワンッ

怪物「ガウッ!?」スカッ

怪物「……」

怪物「ガオーッ!」バッ

七音(……少しイレギュラーがあったが、問題ない!ターゲットは再び入れ替わった!)
238 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:51:31.36 ID:8TSt72OJ0
ラムダ(怪物が再びこっちに!)

ラムダ(倒す方法は元からない!逃げるにもMPを消費し過ぎた!)

ラムダ(……取れる選択は一つ!意地でも彼らと怪物を食い合わせる!)

ラムダ「宝石を投げてターゲットを変更します!リカさん!」

リカ「は、はい!」スッ

ラムダ「はっ!」


アッシュ(あっちも宝石を投げた!……それと……あれは『スタンボム』!)


ゴオッ


アッシュ(……何も見えない!聞こえない!俺の『サウンドスケープ』は使えない!)

ラムダ(それで怪物は宝石を能力で感知できる!正確に二人を襲うはず!)

七音(多分、宝石は私の周りに投げられた!しかし、この閃光では正確な位置は分からない!)

七音(くっ……怪物をここで倒すしかないか!)

七音「『虹色インク』!」ズアッ
239 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:52:04.88 ID:8TSt72OJ0
アッシュ「……!」

アッシュ(『スタンボム』の光がなくなった後、加賀さんの方を見ると、あの虹色の腕が怪物を押さえ込んでいた)

七音「やはり……強化されているのは体力のみ、腕力は人並みのようですね」スッ

七音「そしていくら皮膚が硬かろうと『炎』には関係ない」ポイッ

アッシュ(加賀さんが水溜りから離れ、火の点いたマッチ棒を投げ入れた。するとその火は水溜まりの全てを一瞬で炎に変え)

アッシュ(怪物を灰にした)

怪物「ガ……ガ、グゥ……」シュウウ

七音「……アッシュさん!今ので私のMPは尽きました!警戒を!」

アッシュ「お、おう!」


星児「ふーん……MP切れねぇ……」


アッシュ「!」

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

アッシュ(あの人影は……田中星児!まずい!)

星児「怪物はもう居ない!ラムダもMPを消費してもう追いかけっこはできない!後はお前から宝石を奪い取って、逃げまくって勝つ!」バッ

アッシュ「加賀さ……」

七音「『虹色インク』!」ズアッ

星児「なっ……!?」ガシッ

七音「MPが切れたというのはあなたをおびき寄せるための嘘ですよ……焦りましたね」

アッシュ(そ、そうだったのか)
240 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:52:51.22 ID:8TSt72OJ0
星児「ぐっ……ああっ……」グググ

星児(くそっ……)チラッ

アッシュ「!?」

アッシュ(ど、どうしてここでこっち見るんだよ……)

アッシュ(俺はお前を助けない!助けないぞ!俺は俺の願い事を優先するんだ!俺は、俺の……!)


『そんな裏技で集めた客で武道館か。それになんの意味があるんだよ』

『そんな裏技で人気になったって、何も意味ない』


アッシュ(そんなの……俺だって……俺だって……!)

アッシュ「……っ!」ジャカジャンッ

七音「!?」ガクッ

七音(これは……アッシュさんの『サウンドスケープ』……!?何故……!?)

七音(まずい……!能力を維持できない……!)シュウウ

星児「……お前、これ……」

アッシュ「……ツイッターに上げろ」

星児「は?」

アッシュ「俺のおかげで心臓病が治りましたってツイッターに上げろ!そんでバズれ!俺のバンドのイメージアップに貢献しろ!」

アッシュ「勘違いするなよ!俺は有名になれるならどっちでもいいんだ!ただ、ついでにお前を助けてやった方が夢見もいいかなと!そう思っただけだ!」

星児「……はっ、そうかよ」
241 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:53:25.33 ID:8TSt72OJ0
七音「くっ……」ズッ

アッシュ「……っていうわけだ。悪いな加賀さん……やり直したいと思える過去があるだけ、恵まれてると思ってくれ」

七音「まだだっ!私はやり直すんだ!もっと良い高校を卒業して……」

星児「俺はこのままじゃ高校を卒業すらできない。はい論破」ドスッ

七音「ぐふっ……」

アッシュ「お前……容赦ないな」

七音「あ?自分の願いを優先すんのは当り前だろ?」ヒョイッ

アッシュ「ああ……うん……」
242 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:54:04.87 ID:8TSt72OJ0
ラムダ「僕も、その通りだと思います」ドスッ

アッシュ「……っ!がはっ……」

星児「……アッシュ!」

星児(しまった……!まだこいつらが残ってた!)

ラムダ「さぁ……宝石を返してもらいましょうか……」

星児「誰が返すかよ……」

星児(どうする……!?MPは残ってるが、この三日間で、心臓が、もう……)

星児(まだタイムアップまで一時間強の時間がある……さっきまでの参加者が多く残ってた時点ではまだしも、その間、逃げ切れるか……!?)

星児(なら殺すか……!いや、あいつもMPを消費してると言っても、俺一人殺す分くらいは残してあるだろうし……)

星児「おい!お前らの願い事はなんだよ……」

星児(……ここは時間稼ぎだ!残り三十分くらいになるまで粘れば、俺にも逃げ切りの目が出てくる!アッシュが作ってくれたチャンスだ!絶対に俺が勝つ!)

リカ「え?願い事、ですか?」

ラムダ「僕は……もう、特にないです」

リカ「私はその……病気の妹が居て……」
243 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:55:04.28 ID:8TSt72OJ0
星児「…………病気の……?それは、重いのか?」

リカ「は、はい!もう現代の医療技術じゃ不可能だって言われて……そのためにも、私は!」

星児「……その子の歳と、余命は。その子は、何歳まで生きれるんだ?」

リカ「歳は13歳で、余命は長くて三年だって言われました……だから、16歳までしか……」

星児「……ははっ、それじゃあ。俺の方がちょうど一年多く生きれるわけだ……」

星児「……ほら、やるよ」ポイッ

リカ「えっ、ええっ!?」パシッ

リカ「どうして……」

星児「……今まで散々『俺より年上のくせに』って言ってきた……」


『俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ』

『このままじゃ高校を卒業すらできない』


星児「じゃあ……『年下』で死んじまう奴には、優しくしてやらねぇとな。病気が治ったら、こいつのおかげだって言ってやってくれ」スッ

リカ「え……」

リカ(この言い方……もしかして、この人の願い事も……)
244 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:55:37.54 ID:8TSt72OJ0
ラムダ「リカさん!……迷ってはいけません」

リカ「ラムダさん……でも……」

リカ「あ、明日二人で頑張るっていうのはどうですか!そうすれば、同時に二人で願い事を……」

ラムダ「今日、既に『どこでもドア』の女が二個目の宝石を獲得しています。彼女の能力、僕の残りMP、制限時間……奪い返すのは不可能です」

ラムダ「あの女は、今日勝者になることが確定している。即ちバトルロワイヤルの終了も、既に決定事項なんです」

ラムダ「今ここにある宝石は一つだけ……願いを叶えられるのは、あなただけです」

リカ「うう……」

リカ(でも、そうしたら、この人が……)

ラムダ「リカさん!他の人間のことを考えないでください!気に病むことはない!あの人は元から死ぬ運命だった!」

ラムダ「あなたは自分を優先していいんだ!ただ、妹さんを救う事だけを考えてください……!」

星児「…………」

リカ(あの人に宝石を渡せば、あの人は助かる)

リカ(でも渡してしまうと……妹は……)

リカ「わ、私は……私は……!」



『リカ』が取った行動は『下1〜5』だった。

1.宝石を渡さない。
2.宝石を渡す。

1、2番のどちらかで答えてください。下1〜5の中で多かった選択の方で物語を進行します。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:16:28.63 ID:CI0Q2me40
2
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 20:40:28.81 ID:c4xWd120O
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:55:07.66 ID:9TjK/gkDO
2
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 21:02:03.37 ID:aVV9IrsFO
2
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 22:07:10.50 ID:j2LP1U8CO
決まりだな
250 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:40:49.57 ID:aLumUYHJ0
まだ五つ安価を取れていませんが、何か決まっちゃったので2番で進行します。

↓から本編を再開します。
251 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:41:43.86 ID:aLumUYHJ0
星児「……」

星児(さぁ……どうすっかな……一か八かあの『どこでもドア』の女の所に行って見るか?)

星児(いや……無駄だろうな。あいつのMPがどんだけ残ってんのか分からねーけど、多分俺から逃げ切る分は残してるはず)

星児(今日も昨日も一昨日も、いっぱい走って疲れたし……このままのんびりするか)

リカ「…………」


星児(レーダーの時刻は『15:59:22』……終了まであと一分を切った)

星児(カウントダウン……38、37、36……)

星児(……俺が死ぬ時も、こんな感じなのかなぁ)

リカ「……っ!あ、あのっ!」

星児「ん……?」

リカ「こ、これ!」ブンッ

星児「おわっ……おまっ、これ……!」パシッ

ラムダ(宝石……!)

ラムダ「リ、リカさん!どうして!」

リカ「だって、目の前であんな、なのに、私に譲ってくれるくらい良い人で、でも、私の妹も、でも……」

リカ「わ、私にもよぐ分かんないでず……」ポロポロ

ラムダ「……っ」

星児「お、おい、待っ……」



『番井蝶』『田中星児』が1ポイントずつ獲得!

異能力者七人のバトルロワイヤル!三日目が終了した!

そして同時に、2ポイント獲得した者がいるため、ゲームセット!

その後、参加者は参加前の現実世界へと戻って行く!

異能力者七人のバトルロワイヤル!これにて終了となる!
252 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:42:33.32 ID:aLumUYHJ0
天界



蝶「きゃっ」シュンッ

星児「うおっ」シュンッ

星児(なんだここ……何か、目がチカチカする……)

神様「いやぁ〜おめでとう。君達が今回の優勝者だね。いいバトルロワイヤルをどうもありがとう」

蝶「……あなた誰?」

神様「神様」

星児「……神様!?」

神様「『勝者は願い事を一つ叶えられる』……紙に書いてあっただろう?そして神は嘘をつかない。これより、君達の願い事を叶えてあげよう」

神様「よし、番号の早い順にしようか。『1.番井蝶』。なんでも言いたまえ」

星児(そんな名前だったのかこのおばさん)

蝶「お金と時間をちょうだい」

神様「ダメ」

蝶「……どうして?」

神様「叶えてあげる願い事は一つだけだよ。同じ文でも二つのことを願ってはダメだ。お金か時間かどっちかにしなさい」

蝶「うーん……」

蝶(時間……若返った所で、同じ人生を繰り返すだけだろうし……)

蝶「お金!」

神様「OK。どのくらい欲しい?」

蝶「困らないくらい!」

神様「よし分かった。君の口座にどーんと振り込んでおこう。『奪われない』『怪しまれない』のサービスも付けておくよ」

蝶「気が利くわね」
253 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:43:11.02 ID:aLumUYHJ0
天使「それじゃ、現世でも達者でな」

蝶「さようなら〜」シュンッ

神様「……さぁ、次は君だ。『5.田中星児』」

星児「……違うだろ。俺が宝石をゲットしたのは、最後にあいつが血迷って、俺に投げたから……あんた、見てたんだろ!?ここに居るべきは、俺じゃなくて……」

神様「関係ないよ。午後4時になった時点で宝石を手にしていたのは君だった。それ以外に考慮すべきものはない」

星児「……じゃあ!」

神様「ちなみに、さっき言った通り叶える願い事は一つだ。たとえば『君とリカの妹の病気を治す』なんて願いは無効だからね」

星児「……!なら……!」

星児(これが最後のチャンスだ。俺だって生きたい!けど……)

星児「あの女子の妹の病気を治してやってくれ……」

神様「ふーん。そうやってあの子の想いを無駄にするんだねぇ。君は」

星児「は……?」

神様「リカは君に助かって欲しくて宝石を渡したのに……」

星児「なんだよ!じゃあ、俺を治してくれって言えばいいのかよ!」

神様「おや、結局は自分の身が可愛いんだな君は」

星児「……なんなんだよ!」
254 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:43:39.84 ID:aLumUYHJ0
星児(なんだ、こいつ……何でこんなことを言う?俺を今更迷わせるようなことを……)

神様「ああ……迷っているねぇ。もちろん、私は二人共を治す能力を持っているが、約束は約束だからなー。いやー、僕も治してあげたいとは思うんだけどなー」

星児(白々しい奴だな……本当に、なんでこんなこと……)

星児「……あっ」

神様「お?」

星児「ああ……そうか!その手があったか!……おい神様!決まったぜ!願い事!」

星児(……もしかして、これを俺に気付かせるために、こいつ……)

神様「……なんだい。言ってごらん」

星児「『俺に……」



天使「……最後、甘くなかったですか?」

神様「んー?可愛い子には優しくすべきだろう?」

天使「可愛く生まれさせたのはあなたでは……?」
255 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:44:22.40 ID:aLumUYHJ0
職場



部長「おい、加賀。次の会議の資料は?」

七音「えっ……?いや、あれは同僚の仕事じゃ……」

同僚「はぁ?俺ちゃんと言ったよな?代わりにやっといてくれって」

七音「え……?」

部長「はぁ……お前な。できないならちゃんとできないって言えよ。そうやってポンポン安請け合いされる方が困るんだよなー……」

七音「いや、私はそんなこと聞いてな……」

同僚「おまっ、じゃあ忘れてたのかよ!無責任だな……」

部長「……とにかく。この資料は明日までに絶対必要だから。残業でもなんでもして今日中に完成させろよ。あ、手当は出ないぞ。お前のミスなんだから」

七音「……はい」

同僚「お先失礼しまーす」



七音「あぁ……今日も終電ギリギリか……」ガタンゴトン

七音(……あのバトルロワイヤルで勝てていれば……こんな生活を続けることはなかったのに……)

七音(一応、何もできなかったわけじゃないんだ。ハッタリを二度も成功させて……)

七音(多分、昔にそういう本を読んでたからだな……『嘘を見抜く』って本。要はあれの逆をすれば良かった……実際、それで二人騙した。俺には嘘をつく才能があるんだ)

七音(でも……その後裏切られて……あれが敗因だ。じゃあ、その逆をやればよかったのか)

七音(そうだ……先に裏切った方が強いんだ。今度は、私が裏切る側になれば……)

七音(嘘をついて……裏切る……!)

七音「……もしもし。あ、いや、仕事の電話じゃないんだ。お前から受けた仕事はちゃんと終わらせたよ……」

七音「お前、確かもうすぐ結婚式だろ?友達にウェディング系の仕事やってる奴が居てさ。格安で……いや『詐欺じゃない』よ」

七音(そうだ……こっちの方が強い)
256 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:45:42.02 ID:aLumUYHJ0
銀行



蝶(さて、一体いくら振り込まれたのかしら……?)スッ

蝶「……!?」

蝶(……いや、国の経済おかしくなるでしょ。この額は。その辺も神様がどうにかしてくれてるのかしら……?)

蝶(このお金全部私の物……っ!やった!やった!)

蝶(ん……電話……)プルルル

蝶「……あ、もしもし?うん。そうね。もう出勤の時間ね。私が居なくてあなたも施設のおじいちゃんも困ってるでしょうね」

蝶「…………死ねっ!」パリーンッ

蝶「はー、すっきりした。この後どうしようかしら。新しいスマホ買って、その後は……豪邸ってどこで買うのかしら?」
257 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:46:23.69 ID:aLumUYHJ0
とある国の住宅街



少女「はぁっ、はぁっ」タッタッ

少女(くっ……追手の数が多過ぎるわ!一旦、どこかの家に隠れなきゃ!)ガチャッ

ラムダ「おや……。こんな時間に来客ですか。しかしおかしいですね。鍵はかけ直したはずなんですが……」

少女「うるさいわね!黙って私を匿いなさい!逆らったり、誰かを呼んだりしたら……」チャッ

少年「呼んだりしたら、なんだよ?」ズアッ

少女「……!?」ピタァッ

少女(何これ……動けない……超能力……!?)

ラムダ「……こら。離してやりなさい」

少年「……ったく、お人好しだよなぁ。また騒がしくなるぜ」スッ

幼女「ま、また誰か来たんですか……?」ヒョコッ

おっさん「あ、あいつらの手先じゃねえよなっ!?」ブルブル

少女「な、何?何人居るのこの家には!」

ラムダ「ついさっきまで私一人だったのですが……皆様、それぞれの事情で私の家に」

ラムダ「彼は自分を実験台にしていた研究室から逃げてきた超能力者です」

少年「ここで匿ってもらうことにした」

ラムダ「彼女は祖父の遺産を狙われてここに」

幼女「ここで匿ってもらうことになりました……」

ラムダ「そしてこちらは墜落していたUFOから出てきた宇宙人です」

おっさん「ここで匿ってもらうことにしたんだ」

少女「……巻き込まれすぎでしょあんた!」

少年「何言ってんだよ。お前も今まさに巻き込もうとしてんだろ?何かの事件によ」

少女「うぐっ……」

ラムダ「いいでしょう。きっとあなたの事件も解決してみせます。何故なら私は『ヒーロー』なんですから」
258 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:46:57.38 ID:aLumUYHJ0
楽屋



アッシュ「あー……疲れたぁー……」

ベース「お疲れ。今日も良い歌声だったぜ」

アッシュ「ああ……ちょっとずつライブのお客も増えてきたし……このまま目指せメジャーデビューだ!」

ドラム「おーい、太郎。何かお客さんだぞー」

アッシュ「太郎って呼ぶな……お客さん?誰だ……?」

ドラム「何かちっちゃい女の子。名前は……心ちゃんって言ってたかな」

アッシュ「……犬木心……!」


心「よっ!久しぶりだな」

アッシュ「おお……久しぶり……!」

心「観てたぜ、ライブ。結構マシになってたじゃんか」

アッシュ「マシにって……」

心「ははっ。でもまだこんな小さいハコってことは、あの後願い事は叶えられなかったんだな……」

アッシュ「……いや、それはもういいんだ。俺の夢は、俺と、皆の力で叶える」

心「……ああ。そっちの方がいい。カッコイイ!」
259 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:47:31.29 ID:aLumUYHJ0
心「それじゃ……あの後田中星児は願いを叶えられたのか?」

アッシュ「いや、決着が着く前に俺も死んだから、分からない……けど、あれから連絡がないってことは多分……」

心「……俺さ!ギター始めようかなって思うんだ!」

アッシュ「え?」

心「星児も言ってたじゃんか!もっと俺自身がカッコよくなれってさ!そんで、ギター弾くアッシュがカッコよかったから……」

心「そしたら俺もアッシュのバンドに入って、もっとこのバンドを有名にしてやるよ!」

心「それで知らない奴が居ないくらいのバンドになったらさ、きっと星児も気付くよ……きっと……そしたら、会えるだろ?」

アッシュ「ああ……そうだな」

ベース「……ふっ。『闇の囁き(話)』は聞かせてもらったぞ!」シュバッ

アッシュ「ベース!」

ドラム「……ふっ。『紅一点(レッド・ワンポイント)』のギターか……悪くない」シュバッ

アッシュ「ドラム!」

アッシュ「……ふっ。お前の『漆黒の導き(ギターの腕)』が上がり、我が『詩紡ぎが交わる特異点(バンド)』に『加入(デスティニー・ゲート・オーバー)』するのを待っているぞ!犬木心!」シュバッ

アッシュ「……ふっ、ふふふっ、ふははははは!」シュバババババ

心(やっぱやめとこうかな)
260 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:48:19.61 ID:aLumUYHJ0
病院



妹「お姉ちゃん……今日は天気がいいね」

リカ「うん……そうだね」

リカ(妹が、白いベッドの上から空を見上げる)

リカ(バトルロワイヤルが終わった後、私の妹の病気は治っていなかった)

リカ(当り前……きっと、あの人は自分の病気を治すように願ったんだろうな)

リカ(本当に……これで良かったのかな……)

リカ「……ねぇ」

妹「どうしたの、お姉ちゃん」

リカ「もし……あなたの病気を治すお薬があって、私はそれを持っていたとして……私が他の誰かにその薬をあげちゃったら、怒る?」

妹「怒んないよ」

リカ「……どうして?そのせいで、あなたは今も……」

妹「だって、きっとその人も病気で苦しんでいたんでしょう?」

妹「だったら、仕方ないよ。目の前に苦しんでる人が居たら助けちゃう。それがお姉ちゃんだもん」

妹「あたし、そんなお姉ちゃんが好きだよ」

リカ「……うん。私も、あなたのことが大好き……!」ギュッ
261 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:48:50.45 ID:aLumUYHJ0
妹「あ……もうすぐ新しい先生が来る時間だ……」

リカ「……うん!そうだね!」

リカ(まだ希望を捨てちゃダメ……!もしかしたら、次の先生なら、妹の病気を治してくれるかも……!)


ガラッ


リカ(来た!)

星児「どうもー。医者の田中星児です」

リカ「……んっ!?」

星児「……よう。久しぶりだな」

リカ「せ、星児さん!?」

星児「なんだよ?白衣なんざ似合わねーってか?まぁ、俺もそう思うけどよ……これ着なきゃ駄目だってうるせーんだこいつが」

先生「バッ……そもそも君が正式な医師免許をこの短期間で取得したこと自体、君の能力に免じた特例であって……!」プンスカ

星児「あーもー、わーかってるって」

妹「お姉ちゃんのお友達なの?」

リカ「うん……元気そう……良かった。ちゃんと自分のことを願ったんですね」

星児「会うなり俺の心配かよ。お前らしいな。けど残念……俺の願い事は『俺の心臓病を治すこと』じゃない」

リカ「えっ?じゃあなんて……」

星児「へへっ……こう願ったのさ」ナデナデ

妹「んむっ……あれ……?何か体が……」

星児「『俺に病気を治す異能力をください』……ってな」

妹「か、体が軽いっ!」ピョーンッ

リカ「そっ!そっか!そう願えば一つのお願いで、どっちも……」

先生「終わったか!?終わったな!さぁ早速他の病院に行くぞ!世界中に君の能力を必要としている人間がいるんだ!」ガシッ

星児「おーおー、人遣いが荒いねぇ。ったく、ちゃんとスケジュール管理してんだろうな?あいつのライブに間に合わなかったら承知しねぇぞ?」

リカ「あいつのライブ……って、もしかして」

星児「ああ。あんたも一緒に行くかい?俺でも治せない、中二病を見にさ」



    =終=
262 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:49:27.40 ID:aLumUYHJ0
以上になります。

まずは、ここまで読んでくれてありがとうございました。

書いていてとても楽しかったです。読んでくれた皆様も、同じくらい楽しんでいただけていたなら幸いです。

もしよろしければ、ここが良かった、もしくは駄目だったという感想をください。次回への参考、励みになります。
というか私のダメだった所を全部治した安価異能力バトルロワイヤルを書いてください。
ハンタが休載、ワートリが月間に異動した今、バトルロワイヤル物の需要は高い。流行れ安価異能力バトルロワイヤル。



別シリーズ

アルティメット寿司じゃんけん【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492523010/

アルティメット寿司じゃんけん 2【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512467358/

アルティメット寿司じゃんけん 3【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531324990/


↑こちらは同作者の別シリーズになります。ふざけた名前ですがどうかこちらもよろしくお願いいたします。

>>62でも書きましたが、こっちもあっちもどちらのシリーズもまたやりたいと思っています。(いつやるかは未定ですが……)
また見かけたら気軽に安価していってくださいね。

最後にもう一度、ここまで読んでくれてありがとうございました。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/03(月) 01:52:20.71 ID:b/olDt2xO
乙 最初は田中星児なんて除外しろって思ってたけど
案外いてよかったよ
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 01:56:38.03 ID:Mstcqn5o0

蝶野さん投下して久しぶりに見に来たらなんか勝ってた
個人的には割といいバランスの強能力だったんじゃないかと思ってるけどほぼ全員に初見でバレててワロタ
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 07:36:10.94 ID:j2KrH+6K0

色々な人たちの個性がちゃんとできていてとても面白かったです
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