春香「ボーダーですよっ! ボーダーっっ!」

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235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:32:16.23 ID:2v6yyusw0

奈良坂『合わせられなかった…!』

当真『そーか』

奈良坂『ということは』


当真『ああ……脈ナシだな。残念、ただのお愛想だ』

奈良坂『』ガク

236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:32:52.85 ID:2v6yyusw0

忍田『つまり、金髪の近界民は』


奈良坂『ええ。こちらの向ける意識を感知するようですが、この距離の相手の位置を正確に補足できるものではないようです』


忍田『当真、奈良坂、よくやった』


鬼怒田『意識を捉えるサイドエフェクト……影浦と同系統のもんか』

忍田「となれば伏兵や狙撃よりむしろ誘導弾……バイパー、ハウンドでの集中砲火が効果的だろう」

城戸「目であるその近界民を叩けば、狙撃も可能、か」


城戸「頃合いだな」
 
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:35:13.64 ID:2v6yyusw0
 

――体育館



小鳥「っ、通信来たわよ! 律子さんから!」

律子「……すいません、私のミスです」

小鳥「え?」

 
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:36:10.58 ID:2v6yyusw0



太刀川「いやー……楽しかった」

真「……く……」

太刀川「わるいね。弧月同士で近界民に負けたなんてことになったらお師匠に殺されちまう」




律子「真と伊織が……ボーダーに捕まりました」

小鳥「っ」

律子「ともかく、私は船を動かして――」

?「動くな!」

?「人型近界民だな…!」

律子「なっ」

ガッ

ザザッ

小鳥「律子さん!? 律子さん!?」

嵐山「今の声は、茶野と藤沢かな……」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:37:31.97 ID:2v6yyusw0
 

美希「みんな、誰か来たよ、一人みたい」

春香「ひ、一人?」

嵐山「あれは…」

三雲「迅さん!?」


春香「迅さん……? 迅さんって――」

迅「あー、自己紹介はいらないかな。まぁ、細かい話は後回しにして、要件を言わせてもらおう」
 
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:39:51.45 ID:2v6yyusw0

迅「おでこのコ……伊織ちゃんだっけ。は、おれが捕まえた。そんで、城戸司令に交渉役を任せてもらってね」

三雲「迅さん、聞いてください、彼女たちは交戦がしたいわけじゃなくて…」

迅「さきに言っとくよ。ごめんな、メガネくん」

三雲「っ」

迅「なんとかしてやりたいのは山々なんだけどね」

迅「おれがそっち側についちゃったら、城戸さんは天羽まで使うだろ。こうするほうが、安全だ」

迅「結果的に、こっちは人質作戦に屈しないと示しちゃった。そんでそっちは――悪いね」

迅「キミたちは人質を絶対に傷つけない。分かるんだ。だからもう、学校に立てこもる意味はない」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:42:42.11 ID:2v6yyusw0

迅「一応言っておくけど。キミたちがボーダーの守りを撃破して仲間のところにたどり着くのも無理だよ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

春香「…っ」

遊真「……ふむ。ほんとうみたいだな」

修「そんな――」


迅「こっちの要求は、こっちの人間全員の解放と投降」

迅「あきらめて投降してくれれば少なくとも全員命は助けられる」

迅「相談する時間はくれるそうだ。期限までに投降しろってさ」

 告げるだけのことを告げ、迅は学校に背を向ける。
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:43:17.19 ID:2v6yyusw0

修「ま、待ってください!」

迅「メガネくん……おれだって、助けてやれないこともある」

修「でも迅さんなら」

迅「おれの答えは言ったよ。あとは」


迅「キミたちが答えを出す番だ」

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:45:20.24 ID:2v6yyusw0



三好「そんなのって――ないだろ! この人たちが実際なにかしたわけじゃないのに――」

二ツ木「みよっしー、帰りたくないの?」

三好「そりゃ……帰りたいのは確かだけど、それより」

四ツ谷「後味悪いよな……このまま解放されてもさ……」

一之瀬「あの……話し合いはできないのでしょうか…」


唐沢「……何を話し合うのかな。人質を人質にしていないとわかったいま、差し出せるものがないと話し合いにはならない」


春香「あの……、私たちのことはなんでも話します。なにか……できれば、皆さんの知ってることも教えていただけたらその」

嵐山「そうだな、手があるか考えてみよう」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:51:28.64 ID:2v6yyusw0

亜美「あっそだ、亜美たちが知ってる国とかのこと話すからーってのはどう?」

嵐山「…それは――」

遊真「あー……それだとおれ、こっちにつかないほうが良かったなー」

修「? ……あ、そうか。空閑のサイドエフェクトも頼れないし、すり合わせられる情報も限られるし、信憑性が――」

真美「てかてか、ダイジなハナシ話せないっしょ? 今まで会った人たちの」

亜美「まーね」

貴音「信頼は積み重ねるもの……その前から崩すことになりかねません」

唐沢「どちらにせよ、喫緊で使えるものでないと価値は薄いよ……情報は足がはやいからね」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:52:35.39 ID:2v6yyusw0

千早「向こうは降伏か全滅させれば、トリオン艇二隻に、多数のトリガー、トリオン・情報源である私たちが15人手に入る……それに見合うとなると――」

美希「それか、美希たちを全滅させられないって思う方法……なんかあれば?」

出穂「アタシらが傷つけられた風に見せかけるとかは」

春香「すっごく、ありがたいんですけどそれは……ごめんなさい」

出穂「あー。そっちの人たちつかまっちゃったんでしたね…」

響「それもだけど……やっぱ、フリでも傷つけるのは、それで乗り切っても後がね」

やよい「あのっ、ほんとはもっともっとつよいんだぞーって思ってもらえたらなんとかなりますか?」

嵐山「……ボーダー側の切り札は、この校舎を一瞬でぺしゃんこにできる。それを上回るくらいでないと、難しいかな…」

隊長「さすがに、厳しいね…」

246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:53:02.18 ID:2v6yyusw0

あずさ「交渉ではなく、城戸さんという方にお願いしてみる、というのはどうでしょう〜」

修「……それは、難しいと思います」

遊真「おれのときもだいぶモンドームヨーだったぞ。修や迅さんがいなきゃどうなってたやら」

雪歩「うう……」


修(ぼくと空閑のときは……迅さんや林藤支部長、嵐山さんたちが橋渡しをしてくれた)

修(なにかできることはないのか、なにか――)

247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:53:41.18 ID:2v6yyusw0
 
木虎「――ま。全面降伏すれば命まではとられないでしょう」

隊長「命を取られなければいいというものではっ!」

小鳥「隊長!」

隊長「あ、ああ……すまない」

木虎「…いえ」

 
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 21:55:24.37 ID:2v6yyusw0

 バンナムの面々はそれぞれうつむき考えていたようだが、やがてひとり、またひとりと顔を上げる。

春香「私たちの負け……かな」

 春香は弱弱しく笑みを浮かべた。

千早「……………そうね」

 千早は自分の肩を片手で抱き、静かにうなずく。

やよい「あぅぅ……ごめんなさい、みなさんすっごく、なやませてしまって」

 やよいは申し訳なさそうにボーダーや生徒たちに頭を下げる。

美希「……ん。思いつかない……ね」

亜美「んぁー! せっかくヨータロたちとも仲良くなれたのにぃ!」

真美「まー……兄ちゃんを探しに行けなくなりそうなのは――ちょっち、きついけど…。いつかできるかもしれない、よね」
 
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:01:35.61 ID:2v6yyusw0

雪歩「うぅ……プロデューサーに、私たち……。でも、真ちゃんと伊織ちゃんを……」

響「……比べられるものじゃ、ない、もんね。プロデューサーや、いぬ美たちに一生会えないって決まったわけじゃないし」

貴音「今であれば、大切なものは三雲殿たちに預けることもできましょう」

あずさ「いつか、プロデューサーさんの故郷へ行って。日本の皆さんと、ボーダーの皆さんと――まぁ、お会いできましたし。夢は半分、叶ったわ〜」


修「それで、いいんですか……!」

隊長「いい訳がなかろう!!」

修「っ」

隊長「すまない。だが……、無念だよ。前隊長に…従兄(あに)に、顔向けができん」

修「…………すい、ません」

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:02:53.50 ID:2v6yyusw0

美希「――みんな、笑顔、笑顔〜」

やよい「美希さん……」

美希「うん、ボーダーやニホンの他のみんなと仲良くなれなかったのは残念だし」

美希「……どうなるのかなって。ちょっとこわいよ」

美希「でも、ハニー言ってたの。傍目に華やかでも、どんなに理想がきれいでも。うまくいかないことはいっぱいある。でも、だからこそ」


美希「そんなときこそ、笑顔を忘れるなって」

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:06:13.66 ID:2v6yyusw0
 
美希「いっぱいーっぱい、大変だったけど。そうやって、ここまできた。だから」

 すう、はあ、深く呼吸し。美希は顔いっぱいの笑みを浮かべる。

美希「だからミキ、ハニーがいなくても、もう泣かないよ」


貴音「……ええ、美希の言うとおりです」

真美「ん、そ、だった」

亜美「うつむいてちゃアイドルはできませんな!」

嵐山「……すまない」

響「嵐山さんたちのせいじゃないぞ! もっというとボーダーはなーんも悪くない!」

美希「どっちかってーと美希のせい?」

あずさ「まぁまぁ、あのときすぐ捕まるのと今捕まるのなら、今のほうがずっといいわ〜」

嵐山「……きみたちにならべく配慮してくれるようかけ合ってみるよ。迅だってほんとうはきっと…」
 
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:09:01.06 ID:2v6yyusw0
 

 何事もなかった日常に戻るだけのはずの生徒達まで、皆がうつむいていた。
 瞬く間に皆の心をつかんだアイドルたちの笑顔も、今は周囲の顔を明るくはしない。
 誰もが考え込み、そして、答えが出せずにいた。


三雲(これで、いいのか?)

三雲(なにか方法はないのか? こんな、一方的に服従させるようなやり方じゃなくて、この先に繋がるようなやり方が………)

 
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:14:06.71 ID:2v6yyusw0


 修はもう一度周囲を見た。
 修を見ながらやはり考え込む遊真を、千佳を。
 これ以上皆の表情を曇らせまいとするバンナムの面々を。
 やるせない表情で目を伏せる嵐山を、木虎を、時枝を。
 皆を。


 そして

三雲(――!)

https://www.youtube.com/watch?v=kmGMvmXhu7E&t=796s

 
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:14:37.17 ID:2v6yyusw0

三雲(……このメンバーなら、協力が得られるなら、もしかして? でも――)



遊真「――なにか浮かんだみたいだな。どうするんだ、オサム?」

千佳「オサムくん」

嵐山「三雲くん?」


三雲「…………みんなに聞いてほしい、です。普通じゃないやり方だし……それでも、もしかしたら」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:15:41.86 ID:2v6yyusw0



千早「……たしかに、それなら、けれど……」

春香「だ、ダメですよ! 私たちはともかく、そんな、オサムさんたちまで」

嵐山「……………………ほかに思い浮かぶ手も、ない、か」

やよい「あ、あの、いいんですか? えらいひとに怒られちゃうんじゃ…」

修「そうかもしれない。でもぼくは――あ、ぼくたちは」

 ドンと修の腕を叩いた遊真と、そっと腕をとった千佳に、修が言い直す。

修「できることなら、そうしたい」

春香「な、なんでそこまで……私たち、何がお返しできるかも……」

遊真「べつに気をつかうことないぞ。オレたちがそうすべきだと思ってるからだ」

千佳「だよね、修くん」

修「え、あ、ああ」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:16:14.58 ID:2v6yyusw0

春香「ミクモさん……」

修「でも――」

 目を向けられ、嵐山が首肯を返す。

嵐山「借りは返さないと落ち着かないんだ」

木虎「同じく」

時枝「やろうか」

唐沢「若いなぁ……。嫌いじゃないけどね」

 見渡す三雲に、皆が頷く。
 修は、静かにこぶしを握った。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:17:16.20 ID:2v6yyusw0


……


出穂「うー…緊張するー…アタシの役目なにげに超重要じゃないスか!? ホントに万が一なんですよね!?」

千佳「出穂ちゃん」

出穂「チカ子」

千佳「……がんばって」グ

出穂「なーんでこの期に及んでプレッシャーかけてくるかなーアンタは〜〜〜〜〜〜」

グリグリ

イタイイタイ

出穂「ま……アンタと交代なんてできないし。やれることやるしかないか」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:19:31.43 ID:2v6yyusw0

嵐山「うん、おれたちも……みんなの役割が重要だ」

木虎「佐鳥先輩はどうしましょうね……まぁ、べつになんでもいいか」

時枝「申し訳ないけど向こうは向こうに託すしかないね」


隊長「すべての準備完了だ。皆、あとは頼むよ…!」


美希「オサム! 作戦前の一言よろしくなの!」

修「ええっ、ぼくが!? 嵐山さんやそちらの誰かのほうが…」
 
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:21:08.02 ID:2v6yyusw0
 
木虎「早くしてよね」

春香「修さん」

嵐山「みんな、君の言葉を待ってる」

 視線を受け、修はゆっくりと、ツバを飲み込む。

 
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/17(月) 22:21:53.37 ID:2v6yyusw0

修「ぼくは……弱いです。一人じゃ、こんな状況どうにもできない。でも」

修「みんなが自分の役割を果たせば多分……いや」

修「みんなの力を合わせれば、きっとうまくいく!」

修「だから……た」


修「やりましょう!!」




「「「おおー!!!」」」



 
261 :ぱくり屋 ◆zfDCN0YmXY :2018/12/17(月) 22:22:57.98 ID:2v6yyusw0
というところで今回はここまで
今週中には終わらせたい…!
突っ込み質問感想はいつでも歓迎
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:50:54.52 ID:LEJq8Iv30
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