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バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
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732 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:52:06.29 ID:5un44TpH0
ルキウス「ふうっ」カチャリ
バットマン「……フゥー……」
ルキウス「驚きましたよ、ブルース。いえ、おこがましいと思われるかもしれませんが、まさかここまでお強いとは」
バットマン「お互い様だな。お前もすさまじい腕前じゃないか、一体どこの騎士なんだ?」
ルキウス「……それは、申し訳ありませんが、言えません」
バットマン「そうか。……なんにせよ、助かった。あの数相手に私ひとりは少しきつかっただろうからな」
ルキウス「ふふ、それは私もです。……私はもう行きますが、貴方の旅路が良いものでありますよう……」スタスタ
バットマン「……ああ。さらばだ」
バットマン(……謎多き騎士か。正体は一目瞭然のような気もするが、彼が露呈を望まないなら余計な口出しも不要だろう……)
バットマン(しかし、彼なら良い戦力になってくれると踏んだのだが。……彼には彼の目的がある以上、止めるわけにもいかないか)
733 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:52:34.24 ID:5un44TpH0
バットマン(しかし参った。集落が無いなら、私もどこか適当な場所を見繕って……)
……ぃ〜〜〜〜や〜〜〜〜……
バットマン「……」
???「いやぁぁーっ、何なのよこの化け物! だからこの国って好きじゃないのよ〜〜っ!!」タッタッタッ
目玉の化け物「」スイスイスイスイ
目玉の化け物2「」スイスイスイスイ
???「ぎもぢわるいいぃぃ……!!」タッタッタッタッ
バットマン「……」
バットマン(誰かは知らないが、助けないわけにもいかん)グッ、ダダッ
734 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:53:02.78 ID:5un44TpH0
………………
砂嵐「」ビュオォォォォォオォォォ……オォォォォ……
マシュ「な、なるほど……つまりマスターの相棒だった人なのですね?」スタスタ
レッドフード「ああ、そうさ。あっちの世界じゃ、そりゃあ仲の良い相棒だった」
レオナルド「うーん、なんだろうか。『仲の良い相棒だった』のところ、すっごい皮肉を感じたんだけど」
レッドフード「……へッ、どうだかな。アンタ、名前は?」
レオナルド「私かい? 私はレオナルド・ダ・ヴィンチ! あの天才さ、聞いたことない?」
レッドフード「まさか。聞いたことくらいあるさ、死刑囚をデッサンして有名になった趣味のいい画家崩れだろ?」
マシュ「あ、あはは……」
レオナルド「うーん、これはブルースに似た厄介コミュニケーション者と見た!」
レッドフード「悪いな、場を和ませようとした冗談ってヤツさ……」ククッ
735 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:53:30.04 ID:5un44TpH0
レッドフード「にしても、急に虚空から出てきたのには驚いたよ。あれがレイシフトってやつか?」
レオナルド「おや、詳しいね。そうとも、あれこそ我らがカルデアの誇る技術、レイシフト! 調整とかはかなり大変だけど、自分で体験してみると案外楽しいもんだね!」
マシュ「……マスターと連絡が取れないのが心配ですが、大丈夫なんでしょうか」
レッドフード「あいつは殺しても死ぬようなヤツじゃない。心配なんてするだけ無駄な男だ」
レオナルド「ふふ、その意見には同意しそうになっちゃうなあ。まあ、この砂嵐の中に出てこなかったのは逆に幸運とも言えるかも……」
砂嵐「」ビュオオォォォォォォォォォォォ……ォォォォォォオオオオオ……
レッドフード「……なあ、頼みがあるんだが。万が一連絡が取れても、俺のことはあいつに言わないでくれるか?」
マシュ「え? な、なぜでしょうか?」
レッドフード「……なあ、人には人の事情ってモンがあるんだ。あいつの相棒だったとはいえ、決して仲の良い時期ばっかりじゃなかった。……頼むよ、話すのは直接会ってからだ」
マシュ「え……えっと……」
レオナルド「まあまあマシュ、いいじゃないか。そもそも現状じゃ、ブルースと合流しなきゃ連絡の取りようもないんだし」
マシュ「……それもそうですね」コクリ
736 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:53:57.10 ID:5un44TpH0
砂嵐「」ビュオォォォォォォオオォォォ……
レオナルド「さて、しかしこの砂嵐にはまいったね。どうにかして抜けたいものだが」
レッドフード「参ってるのはこっちもさ。天才さんよ、秘密の道具でも発明してくれて構わないぜ?」
レオナルド「あはは、信頼してもらえるのは嬉しいけど、そもそも材料がないことにはね……っ、マシュ、レーダーに感あり。動体だ」
マシュ「え!? ……! き、聞こえます! 三時の方向から何か来ます!」ガシャリ
レッドフード「息をひそめろ。……おっと、こいつはさっそく狙ってたヤツが来たかもな……」カチャリ
737 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:54:26.53 ID:5un44TpH0
???「むー! むーーー!!」モゴモゴ
???2「ええい、暴れるな! 全くこの砂嵐、息が詰まるような敵意を持っている……!」タタタッ
???3「……百貌様、前方に何か!」タタッ
マシュ「ストップ! 待ってください、少し話を……」バッ
???2「!!」ババッ、シュババババッ
ナイフ「「「「」」」」ヒュオォォォォォッ
マシュ「なっ」
レッドフード「退きな」バッ、タタタタタタァン!!
ナイフ「「「「」」」」ギャリリリィ、カララララァン……
レオナルド「ワオ、銃使いだったのかキミ。いい腕してる」
レッドフード「大したモンだろ? まあバットマンは喜ばねえけどな」
マシュ「あ、ありがとうございます」
レッドフード「ひとつ貸しだ、嬢ちゃん。しゃきっと立て、殺気くらいは感じ取れるだろ」
マシュ「は、はい!」
部下「百貌様、ご無事ですか!?」
部下2「おのれ何奴!?」
百貌「……? 貴様……レッドフード?」
レッドフード「……」
738 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:55:01.61 ID:5un44TpH0
百貌「どういう事だ。ここで何をしている、レッドフード」
部下「……? れ、レッドフード様?」
部下2「なにゆえレッドフード様がここに?」
???「むー!! むーーー!!!」モゴモゴ
マシュ「え、え、えっ……ど、どういう事ですか? お知り合いですか?」
レッドフード「……あぁそう、そうだった、知り合いだ知り合い! 久しぶりだな、えぇっと……どの『ハサン』だったかな、お前は」
百貌「……いつもの冗談なのか、本気なのか、それとも……」チャキリ
レッドフード「おいおい、つれねえヤツだぜ。嬢ちゃんからも一言いってやってくれ……ああ、初対面だったか、お前ら」
マシュ「え、ええっと、……ど、どういったご関係です?」
レッドフード「仲間さ、分かるだろ。はは、城相手にレジスタンスやってたんだったか?」
レオナルド「ほう、城? というと、……なるほどね、砂嵐で視認しにくいが、向こうのアレか」
砂漠の向こうの城「」ズオォォォォォォ……
百貌「……貴様、本当にレッドフードか。だとすれば、牢の解放任務はどうした」ジリイ……
レッドフード「なんだ、知らないのか? 作戦の変更があったんだ。俺たちは今から聖都へ向かう」
百貌「何を馬鹿な……貴様、気でも狂ったのか?」
レッドフード「……ククククク、疑うのか?」カチャリ
マシュ「……?」ゾワリ
739 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:55:30.49 ID:5un44TpH0
マシュ「ま、待ってください、とにかく仲間だという事で良いのですね?」
レッドフード「そう言ってるだろ、なあ?」
百貌「……仲間ではない。単に利害の一致から行動を共にしていただけだ」
レッドフード「へッ、つれねえやつだ」
レオナルド「うーん、まあ即座に殺しあう関係ではないってだけで十分かな。色黒アサシンくん、少し質問良い?」
百貌「……待て。貴様、そこの娘」
マシュ「……え? あ、わ、私ですか!?」
百貌「その盾の紋様……貴様、さては『聖都』の」
???「ムグ……プハッ! スフィンクスよ、此処へ!」ジタバタ
部下「なっ、こ、コイツ……申し訳ありません百貌様! すぐに黙らせます!」
百貌「な、何をやっている! 愚か者、召喚を許してしまったのか!?」
???「さらにホルスの名において……むぐぅっ!?」
部下2「黙れ!」ガシッ
百貌「ちいっ、なんと面倒な……!! 全員散開! 各々目の届く距離から離れず、異変を感じたら即座に知らせろ!」
部下1〜20「「「はっ!!」」」ザザザザザァ
レッドフード「おいおい、間抜けな部下をずいぶんたくさん抱えてるな?」
百貌「黙れ貴様!」
マシュ「ど、どうしたら……」
レオナルド「マシュ、レッドフード、私のそばから離れないように。ミニレーダーを持ってきた、今はこっちのほうが視界より有能だ」スッ
740 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:55:57.49 ID:5un44TpH0
砂嵐「」ビュオォォォォォオオォォォォォオオオオオ!!!ビュゴゴゴオオオオオオオオオオオ!!!
部下4「くっ、こ、これでは視界も、聴覚も……!」ジリッ
部下5「い、いま何か動いたように……き、気のせいか」
百貌「くそっ、砂嵐がひどくなってゆく……貴様ら、これが終わったらゆっくりと話を聞かせてもらうぞ!」
レオナルド「それはどうも! 全く、こんな状況でもたくましいアサシンだね!」
レオナルド(全く状況は好ましくない。いや、最悪と言っていい。スフィンクスを、魔獣を相手にする、だって? それは幻獣の上位存在、竜種すら凌ぐ怪物だ。この人数でどうにかできるとは思えない……! 本来ならもっと装備を整えてから挑むべきなんだ)
レオナルド(……いいや、今は考えすぎるのは良くない。しっかりレーダーを確認して……)
マシュ「……!!」ピリピリピリッ
マシュ(殺気。来る)
マシュ「ダヴィンチちゃん!!!」
レオナルド「!? っ」
レーダー「」ポーン……ポーン……
レオナルド「ほんとに来た!? 二時の方向、そこのキミ気を付けて!!」
部下6「!?」バッ
741 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:56:29.02 ID:5un44TpH0
砂塵「」ドバッサァァァァァァァァァアアアア!!
スフィンクス「ゴグガアアアアアアアアアア!!!」ルドッ、ドゴォッ
部下6「うわああ!?」ドシャッ
マシュ「ッ退いて!!!」バッ、ガギャアアアアアア!!!
スフィンクス「グググググググ……!!」ギャリギャリギャリギャリ……
マシュ「うぐぐぐうううううう!!!!!」グググググググ……
部下6「な、な、貴様……」ワタワタ
レッドフード「ほお! 助けるのか!!」
レオナルド「感心してる場合じゃないよ、加勢加勢!!」
レッドフード「あ? ああ、もちろんだ。人助けはイイことだしな」カチャ、ダタタタタタタタタ……
スフィンクス「ゴグッ、ガァァァアアアアア!」ドシュシュシュシュシュッ、ヨロォ
マシュ「ったああああああ!!」グイッ、シュドッ
スフィンクス「ッギ……!!」ヨロッ、ジリィ……
マシュ「お、重い……!?」ビリビリ
スフィンクス「グガアアアッ!!!」ガオオッ
マシュ「きゃっ!?」バッ
レオナルド「おっとぉ!」ガギイィィィィィ!!!
742 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:56:57.78 ID:5un44TpH0
マシュ「あ、ありがとうございます、ダヴィンチちゃん!」
レオナルド「キミのサポートに入ったんだ、私だって戦えるさ! この万能の籠手でねっ!!」カチャッ、ブシューッ!!
籠手「」ガチャガチャァッ、ブシューゥゥゥゥ……!!!
スフィンクス「!? ッギアアァ!?」ジリィッ
マシュ「おお、かっこいい……!!」キラキラ
レッドフード「ほらよ!」タァン!!
スフィンクス「ギッ、ギアオオオオオオオ!!!」ダンッ!!
レッドフード「おっと、こりゃまずい」タタンッ、スルッ
マシュ「っ」
マシュ(レッドフードさん、かなり強い……! 通常時のジョーク多めの言動からは想像もできなかったけど、あの身のこなしは尋常じゃない!)
743 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:57:26.99 ID:5un44TpH0
百貌「そらっ!!」ヒュオンッ
ナイフ「「「「」」」」ヒュオオオオオッ
スフィンクス「っ……」グササササッ
百貌「何をぼさっとしている! 動け貴様ら!!」
部下3「あ、は、はい!!」チャキリ
部下2「無論!」チャキッ
スフィンクス「グギギ、ギ、ギギギィ……」グググググ……ダンッ
部下4「っぐっ」ドサッ
部下2「えっ?」
744 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:57:55.62 ID:5un44TpH0
マシュ「っ」
影「」ヒュンッ
部下7「ぐげっ」ドシャッ
部下8「あが……」ドッシャァ
百貌「! 全員下がれ、固まれ!! くそ、ここまで……っぐ!?」バッシィィィ、ズシャシャシャシャァ
部下9「百貌さm……うが!?」ドゴシャァ
マシュ「……!!」
マシュ(敵の動きがわかる。気が他に逸れたり、次にとびかかりやすかったりする対象を選別して、一番狩りやすい人から倒してるんだ)
レッドフード「おっと、コイツは面倒だな」チャキッ
レオナルド「いよいよスフィンクスも本気ってところか! 油断しないようにね!」ジリッ
???「……」モゴモゴ……ドヤァ
百貌「貴様、拘束されているくせにその得意満面の顔はなんだ!!」
レオナルド「ちょっと、漫才はあと!!」
マシュ「……」ジッ
マシュ(次はどう来る? 敵の考え。筋肉の動き。アレは疾風じゃない、スフィンクスだ。では次に来る場所は? ……違う、考えるべきなのはスフィンクスじゃない。視点を変えなきゃ)キョロッ
マシュ(味方を見なきゃ。あの人は注意散漫。だけどスフィンクスからは遠い)キョロッ
マシュ(あの人は警戒できてる。けど、砂嵐で視界が塞がれがち)キョロッ
マシュ(あの人は視野が狭まってる。肩に力が入りすぎなんだ)キョロッ
マシュ(考えて、マシュ。いま、一番狙われるのは誰?)キョロッ。キョロッ。キョロッ。キョロッ
マシュ(いま、一番、殺しやすいのは誰?)
レオナルド「まsy……!?」ゾワリ
百貌「……っ」ゾワアッ
レッドフード「……!!」ゾクゾク
745 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:58:25.03 ID:5un44TpH0
影「」ヒュンッ
部下18「えっ……」
マシュ「ったああああああああああああああああ!!!!」ババッ、ガッギャァアアアアァァァアアア!!!
スフィンクス「ゴアアアアアアアアオオオオオオオオ!!!」ギャリリリリリリリィ!!!
マシュ「捉、えた……」グググググッ
レオナルド「うっそ、はや……」
レッドフード「……イイじゃねえか」
百貌「なんたる……」
マシュ「ぐぅぅぅぅうう!!!!」
マシュ(一撃を。この重い魔獣にも通用するような、強い一撃を!!)ググゥッ!!
ドクンッ!!
マシュ「っそこ!!!」ギュドドドォッ!!!
スフィンクス「……、……、……」ヨロ、ヨロロッ
マシュ「ッハアーッ、ッハアーッ……」ジリ、ジリィ
マシュ(……だめ、また一瞬だけ命を使ってブーストしてしまった。こんなのじゃ、だめなのに……)ヨロ
スフィンクス「グル、ロアァ……」ヨロ、ドシャアッ
百貌「……修羅か……」ジリッ
???「……!」モゴモゴ……ピタァッ
746 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:58:53.63 ID:5un44TpH0
マシュ「はあっ……」スッ
レオナルド「す、すごいじゃないか、マシュ……」
レーダー「」ピピー!! ピピー!!
レオナルド「!? おっと、えっと、この反応は何だったかな……!?」
ドクター『もしもしレオナルド、聞こえるかい!? 聖杯反応がゆっくりとだが接近中だ、気を付けてくれ!』
レオナルド「おおっとマジ!? マシュ、レッドフードくん、百貌くん! ちょっと今いいかな……っていうか、この魔力反応ヤバいな……!! ちょちょ、その、説明の時間がないんだけど!」
マシュ「どうしたんですか、ダヴィンチちゃん!?」
レオナルド「聖杯持ちのサーヴァントだ! それも、素の魔力が規格外の怪物だよ!!」
レーダー「」ピピピピピピピ!! ピピピピピピピ!!
747 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:59:27.14 ID:5un44TpH0
レッドフード「へえ、そいつは……ああー、不味いか?」
レオナルド「不味いね! 正直言って魔獣なんてメじゃないよ!」
マシュ「どどど、どどっ、どうしましょうか」フラ
レオナルド「……! 百貌くん、部下を下がらせて! 撤退の準備を!」
百貌「ちっ……! 全員、この場から退くぞ!」
部下1「し、しかし、負傷者たちが……!」
百貌「速度は下がっても構わん、互いにカバーして退却するのだ!」
マシュ「どうしましょうか!?」
レオナルド「彼らが仲間なら致し方ない。砂嵐がひどいが、我々がしんがりを努めつつ、極力聖杯持ちとの接触を避けて……」
ザシ、ザシ。ザシ、ザシ。
砂嵐「」ビュオオオォォォォォォオオオォォォ……ピタッ
レッドフード「……おっ、砂嵐がやんでくれたぜ。ジャストタイミングだな」
レオナルド「……あ、あー、……」
マシュ「……う……」ゴクリ
レッドフード「……ああ、まあ、そんな都合の良い話はないだろうよ……」
夕陽「」ジリジリジリィ……
ザシ、ザシィ。ザシ、ザシィ。
「まさかファラオを出向かせるとはな。暗殺者風情が、誇ると良い」ザシ、ザシ。ザシ、ザシ
百貌「……オジマンディアス……!!」
オジマンディアス「身構えるな。余は戦いに来たのではない。ただ、我がピラミッドの内にあるべきものを、取り戻しに来ただけのこと」ザシィ……
748 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 01:59:59.01 ID:5un44TpH0
???「……」モゴモゴ……
オジマンディアス「そこに居たか、ニトクリスよ。いまその戒めを解いてやろう」スッ
百貌「させるな! 全員警戒を……」
???「ぷはあっ!!」ハラリ
百貌「な……」
オジマンディアス「『させるな』? 余になにをさせぬというのだ、影に生きる者よ。余は太陽だ。太陽の行いは当然、民を照らすかの如く絶対である」
百貌「くっ、て、撤退だ……!! ニトクリスは捨て置け! 全員撤退しろ!!」
部下1〜20「「「「はっ!!」」」」ザザザァッ
ニトクリス「も、申し訳ありません、ファラオ・オジマンディアス……」
オジマンディアス「頭を下げるな、ニトクリス。そも、このような事態は未然に防ぐのが余の役目。起きてしまったこと自体が不足なのだ」
マシュ「……」
レッドフード「ははは、こいつはまともじゃねえな。さっさと逃げるか?」
レオナルド「あ、ああ、何にせよ敵意はないようだ! 今の内!!」
マシュ「……はい!」ダッ
749 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:00:28.01 ID:5un44TpH0
百貌「くっ、貴様らが現れてから歯車が狂ったのだぞ! きちんと説明しろ!! なぜここに居る、レッドフード!?」ダダダダダ
レッドフード「おいおい、俺は知らねえよ。けど、『山の』から直接命令が下ったらしいぜ?」タタタタッ
百貌「な、しょ、初代様からの……!?」
マシュ「え、えっと、全然話が把握できないのですが!」タタタタタ
レオナルド「うーん、察するに……キミたちはあのファラオたちと敵対してるのかな?」
百貌「……ファラオだけではないがな。とにかく、レッドフード、詳しく聞かせろ。作戦は?」
750 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:00:56.29 ID:5un44TpH0
………………
オジマンディアス「……ふむ、しかし手ひどくやられたな。まさか我がスフィンクスがこうも痛めつけられるとは」
スフィンクス「……」ピクピク
ニトクリス「はい……恐ろしいほどの腕前でした。確かあの娘は、マシュと呼ばれていたようです」
オジマンディアス「ほう、マシュか! その名は知っている。ふむ、しかし……この弾丸は、なんだ?」
弾丸「「「」」」ポロポロ……ドロォ……
ニトクリス「……なんでしょうか。泥のように見えますが」
オジマンディアス「……まあ良い。玉座の間に戻るぞ、ニトクリス。そろそろ『首』も限界だ」ザッ、ザッ
ニトクリス「は、はっ! 重ね重ね、申し訳なく……」テテテッ
オジマンディアス「やめよ。ファラオは太陽の如く堂々としておればよいのだ。……無論、本当の太陽は余であるが」
オジマンディアス(……マシュか。その身にとりつく虫、厄介なものだ)
オジマンディアス(しかし、奴らがカルデアからの勢力なら……それなら、もう一人の黒猫の男はどこに居る?)
751 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:01:24.15 ID:5un44TpH0
………………
バットマン「……さて」
目玉の化け物「」チーン
目玉の化け物2「」ピクピク
袈裟の女性「はあ〜、助かっちゃった……こう、目はイイんだけど、このにょろにょろがダメなのよね。あ、助けてくれてありがと! 命の恩人だわっ!」
バットマン「いや、大したことではない。……それよりも、こんな場所でひとり、何をしている」
袈裟の女性「あ、そ、それはその……えっと、ほんとは一人じゃなくて、弟子が居たんだけど。話すと長くなるんだけど、いい?」
バットマン「……聞こう」
752 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:02:06.72 ID:5un44TpH0
………………
バットマン「……つまり、今の話を要約すると……お前は、あの『城』で賓客としてもてなされていた。それも約二か月」
女性「はい」
バットマン「だが、拘束された生活が嫌になったのと、この特異点の実態を探るために半ば無理やり抜け出してきた。これが一週間ほど前」
女性「その通りです」
バットマン「……その一週間の間に、放浪していたと。道中で弟子を取っていたものの、砂漠の砂嵐の中で怪物たちに襲われ、すぐに弟子ともはぐれた。そういう事か?」
女性「ぎゃてえ……だって、あんなにすごい砂嵐見たことなかったんだもの! 黄風大王だってあんなにひどい砂嵐を巻き起こさなかったし!」
バットマン「責めているわけではない……名前は?」
女性「あ、私? 私はね、玄奘三蔵っていうの! 今は仏典のオリジナルを持ち帰ろうと……」
バットマン「……玄奘三蔵? 『西遊記』の、三蔵法師か?」
三蔵「? ええ、そうよ? まあ、自分で『法師』なんて名乗っちゃうのはちょっとむずがゆいけど」
バットマン「……サーヴァントなのか?」
三蔵「……あぁ、そのこと。ええ、はい、確かに私は『召喚』されました。この地獄のような世界で目覚めたのは、半年ほど前よ」
バットマン「半年だと」
バットマン(半年も前だと……この特異点は、一体どこまで『進んで』しまっているんだ……)
753 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:02:38.24 ID:5un44TpH0
三蔵「アナタは? なんだか、その、個性的な恰好だけど」
バットマン「私はブルース。ブルース・ウェインだ」
三蔵「へえ、ブルース・ウェイン! 変な名前……あ、ごめんなさい! 別に馬鹿にするつもりじゃなくて……」
バットマン「分かっている。この辺りではなじみのない名前だろう」
三蔵「うんうん、そうそう、それだけだから! うんうん、アナタっていい人ね!」
バットマン「……それは分からないな」
三蔵「分かります。これでもそこそこ長く御仏に仕えてきた身なんだから、言葉を交わした人間の人となりなんて見えてきちゃうものなの」
バットマン「それは……厄介だな。生きにくい」
三蔵「だから宣言します! アナタを私の一番弟子に……あれ? 二番弟子? まあいいわ、弟子にしてあげる!」
バットマン「……」
バットマン(正直に言って、このパターンは全く予測していなかった)
754 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:03:06.09 ID:5un44TpH0
バットマン「そうか、法師の弟子にしてもらえるのは光栄だ」
三蔵「あ、はぐれた弟子も同じことを言ってたわ! そういえば、恰好もアナタとちょっと似てたかも……えっと、なんて名前だったかしら……」
バットマン「……私に似ていた?」
三蔵「そうそう、すっごく似てた。えっと、顔っていうか、雰囲気っていうか……なんだか物悲しげで、赤い兜みたいなのをかぶってて……そう、銃っていうのかしら! そうよ、銃を使ってたわ! 御仏的にすっごくNGだから叱ったんだけど、ぜんぜん聞いてくれなくて……」
バットマン「……」
バットマン(……いや、まさかな。まさか……)
755 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:03:37.74 ID:5un44TpH0
三蔵「……〜〜だったんだけど、もう雰囲気がそっくり! まるで親子みたいね、アナタたち」
バットマン「そうか……他人の空似というヤツだろうが、そこまで似ているというのは面白い。ところで、先ほど助けた貸しを返してもらっても良いか」
三蔵「え? えぇ、構わないけど……何かしてほしいの?」
バットマン「ここからそう遠くない場所に、とある施設がある。そこへ共に来てほしい」
三蔵「しせつ? どんな?」
バットマン「『アトラス院』と呼ばれる……っ!?」ピリピリピリッ
バットマン(殺気……!?)バッ
スタ、スタ、スタ……
「……こんなところにいたのか。探したぜ、法師サマよお」スタ、スタ
三蔵「え? ……あ、あなた……」
バットマン「……三蔵、下がれ。危険だ」
三蔵「えぇっと、多分いまはサーヴァントじゃないキミの方が下がるべきだよね?」
「ああ? なんだてめぇ、余計なヤツまでついてやがるな……まあいいか、揃って首を取りゃいい話だ」スタ、シュリィィィィ……
バットマン「……変わらんな。なぜここに居る、モードレッド」
モードレッド「……なんだと?」チャキッ
756 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:04:16.49 ID:5un44TpH0
………………
月「」シィィィ……ン
ザシ、ザシ。ザシ、ザシ
百貌「つまり、我々が門の前で騒ぎを起こしている間に、初代様が来て聖都に侵入してくださると?」ザシ、ザシ。ザシ
レッドフード「そういう事だ。要約が上手いな、さすがアサシン……いや、それは関係ないか」ザシザシ
百貌「無駄口が多いヤツだ。ともかく、そういう話なら最初から言え。……フン、私も前々からあそこのやり方は気に食わなかったんだ。民を避難させるついでになって良い」
マシュ「え、ええっと……つまり、どういう事です?」
レッドフード「あそこの城が見えるだろ、嬢ちゃん」
巨大な城「」ズオォォォォォォオオォォォ……
マシュ「は、はい。砂漠に居たときから大きかったですが、荒野に入ってからは見え方が大きすぎて距離感が狂いそうになります……」
レッドフード「あそこの城主様がそれはもう悪いヤツなんだ。人を殺してなんとも思わないサイコパスの集団がいる……おっと、悪いな。お前らのことじゃないぜ」
百貌「……分かっている」
レオナルド「うーん、対象物との距離……は、およそ5キロくらいかな? それでももうすぐ到着するよ、門があるならそろそろだ」
レッドフード「……まあ、実態は自分の目で確かめてくれ。かなり酷いからな……」プルプル
マシュ「……」
757 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:04:43.49 ID:5un44TpH0
百貌「しかし、今日は『聖抜』の日なのか?」
レッドフード「おいおい、俺を誰だと思ってやがる。情報収集は抜かりなく、ブルースから学んだことさ」
マシュ「あの、すみません。その『聖抜』とは?」
百貌「……ああ。まず説明せねばならないのは、あの『城』の周囲には都が広がってるという事だな。それは『聖都』と呼ばれる街なのだが」
レオナルド「ほうほう、城下町ってところか。あれだけ立派なお城の周りの街なんだ、立派な都なんだろうね」
レッドフード「噂じゃ『理想郷』って言われるほどらしい。無いものが無いとか……へッ、誰が流した噂だろうな」
百貌「当然だが……いや、少し待て。到着したぞ」
758 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:05:10.57 ID:5un44TpH0
人々「「「」」」ワイワイ……ガヤガヤ……
レオナルド「……ワオ。予想はしてたけど、やっぱり多いね。すごいな、まるでこの辺りに住んでた人々が皆ここに集まったみたいだ」
マシュ「うわわ、夜なのにすごい活気ですね……テントを張ってキャンプしてる人もいます」
レッドフード「ここも完全に安全ってわけじゃねえ。うろつく怪物に襲われることだってあるだろうに、もうここしかねえのさ。酷い話だろ」
百貌「全員、そのままでは目立つ。この外套をまとえ」スッ
マシュ「あ、ありがとうございます!」
レオナルド「おお、これはまたそれらしい服装だ」
759 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:05:45.82 ID:5un44TpH0
マシュ「……そ、それにしても、こんなに人が居るなんて……」
レッドフード「大した話じゃない。生きる希望がここしかないのさ。砂漠の砂嵐はきついし、かといって荒野にとどまっていればいつかは干からびて死んじまう。狂ってるぜ、この世界も」
マシュ「……ひどい」
レオナルド「うーん、荒野にいくつかクレーターが開いているのを見たけど、アレは一体?」
レッドフード「……ああ、アレは『流れ星』さ」
レオナルド「流れ……?」
門「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
レッドフード「おっと」
難民A「おお……おお、聖抜が始まる……!!」
難民B「ありがたや、どうか『獅子王』のめぐみを、どうか……!!」
難民C「どけ! 俺が一番前に出るんだ!!」
百貌「……当然だが、その都に入れる者はそう多くない。あそこに入れる機会といえば、騎士共が『聖抜』と呼ぶ見定めを行う、このタイミングに限られる」スッ
レッドフード「飛び出すタイミングは?」
百貌「……どうかな。誰が出てくるかによる」
マシュ「え……?」
レオナルド「おっと、レーダーに反応あり。魔力を持った存在が出てくるぞ」
レーダー「」ポーン……ポーン……
760 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:06:13.33 ID:5un44TpH0
太陽「」パアァァァ……
マシュ「っ、ダヴィンチちゃん、私の記憶では先ほどまで夜だったと思いますが」
レオナルド「うーんちょっとタンマ。……ああ、これは厄介な反応だな。『場』に影響を及ぼす魔力を帯びてる。強力だ」
レッドフード「ふーむ……ってことは」
百貌「ああ、ヤツだ。全員、待機しろ」
部下1〜20「「「はっ」」」ゾロゾロ
難民D「ど、どうなってるんだ? さっきまで夜だったのに……」
人々「「「」」」ザワザワ……
騎士A「」ガシャリ、ガシャン
騎士B「」ガシャン、ガシャン、ガシャン
「落ち着きなさい。これは、獅子王がもたらす奇蹟」スタ、スタ
「常に太陽の祝福あれ、と。我が王が、私に与えたもうた祝福(ギフト)なのです」
レッドフード「やっぱりアイツだ」
百貌「ガウェイン……!!!」
レオナルド「ガウェイン? それってあの『円卓の騎士』のガウェインで合ってるかな?」
百貌「ああ、そうだ。太陽が出ている間はまさに無敵じみて強い男……それを『獅子王』め、ギフトでヤツの周囲に常に陽の光を呼び出すようにしたのか……!」
マシュ「……??」ドクン
マシュ(なに、この、感覚……)ドクン、ドクン
761 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:06:43.56 ID:5un44TpH0
難民E「よ、よかった、円卓の騎士、ガウェイン卿!」
難民F「やった! 聖抜が始まるんだ! 聖都に入れるんだ、俺たち!!」
マシュ「……っ」ピリピリピリッ
マシュ(殺気!? なんで!? どうして、何か、おかしい、私)ドクン、ドクン
レッドフード「いつ出る」
百貌「待て、もう少し……! 隙をさらした直後でなければ」
レオナルド「……っ、ああ、そうか。聖抜というのは、そういう事か……!!」
ガウェイン「皆さん。自ら聖都に集まっていただいた事、感謝します」
ガウェイン「人間の時代は滅び、また、この小さな世界も滅びようとしています。
主の審判は下りました。もはや地上のいかなる土地にも、人の住まう余地はありません」
ガウェイン「……そう。この聖都キャメロットを除いて、どこにも」
マシュ「……」ドクン、ドクン、ドクン
マシュ(ああ、だめ。そんな、それではダメだ。ガウェイン卿、そんなやり方をしては)ググッ
762 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:07:12.93 ID:5un44TpH0
レッドフード「おい、まだか」
百貌「まだだ! 我慢しろ、もう少し隙を伺うんだ!」
レオナルド「……! マシュ?」
マシュ「……」ブツブツ……
レオナルド「……マシュ、どうしたんだ」
ガウェイン「我らが聖都は完全、完璧なる純白の千年王国。この正門を抜けた先には理想の世界が待っています」
難民G「噂は本当だったんだ……!!」
難民H「円卓の騎士……なんと神々しい……異郷の騎士だとしても、あの輝きは本物だ……」
ガウェイン「……ありがとうございます。ですが、あなた方を受け入れる前に……」
難民I「……なんだ? 門の上に、誰か立っているぞ……?」
ガウェイン「……我が王からの、見定めを受けてください」
門「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥ……ン……
???「……」ジッ
763 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:07:52.46 ID:5un44TpH0
???「……最果てに導かれる者は、限られている。
人の根は、腐り落ちるもの。
ゆえに、私は選び取る。決して穢れない魂。あらゆる悪にも乱れぬ魂。
……生まれながらにして不変の、永劫無垢なる人間を」
ガウェイン「……」
人々「「「……」」」
マシュ「……」ゾワァ
レオナルド「あ、アレ、は、ヤバい、レーダーが振り切れちゃってる」
百貌「馬鹿、黙っていろ……!」ダラダラ
レッドフード「……いつ見ても壮観だな、王サマってのは……」
???「……」ブゥン……
???「……残念だ、今回は一人たりとも居ない。ガウェイン卿」クルリ
ガウェイン「……は」
難民A「……え? あ、あの王様、何処行ったんだ……?」
騎士D「」ガシャリガシャリ、カチャ……
難民A「……え?」
騎士D「」ズバァッ
難民A「うぎっ」ドシャァ
764 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:08:48.95 ID:5un44TpH0
難民B「う、嘘だろ!? 嘘、嘘だ!?」
難民C「う、うわああああああああ!! こ、殺しやがった、殺したんだ! ちくしょう、なんで!?」
難民D「理想郷じゃないの!? なんで、どうして……うッ」ドシャッ
騎士E「」ズバァッ、ズバン
騎士F「」ガシャリ、ガシャリ、ズバァ
人々「「「」」」キャアアアア!! タスケテクレ!! ダレカァ!!
レオナルド「やっぱりか! 奴らめ、『聖抜』で選ばれなかった人々をあんな風に……!!」
レッドフード「まだか」
百貌「まだだ! まだだ、ガウェインが隙を見せない……!」
レオナルド「……っ、マシュ!? マシュ、何処だい!?」
百貌「なに、あの小娘はこんな時に何処へ……!?」
765 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:09:35.88 ID:5un44TpH0
ガウェイン「……」ピクリ、バッ
ガッギャァァアアアアァァァァァァアア!!
マシュ「……!!!」ギリギリギリギリギリ……!!
ガウェイン「……おや、貴女は」グググググ……
マシュ「サー・ガウェイン。今すぐにこれを止めてください」グググググッ
ガウェイン「……ほう」
タァン!!
ガウェイン「っ」ババッ、ガギャギャギャァ!!
弾丸「「」」ポロポロッ
レッドフード「お前なら飛び出すって思ってたぜ、嬢ちゃん」カチャリ
百貌「全く、なんという事をしてくれたのだ貴様……! 目先の犠牲を止める事だけにとらわれたか!? コイツがどれだけの強敵か分かって……」
レオナルド「はいはい、責任探しはあとだ! 今はどうにかこの虐殺を止める!」
百貌「言われなくともわかっている! お前たち!」
部下1〜20「「「はっ!!」」」ゾロゾロッ
百貌「民たちを山へ誘導しろ! 一人でも多く逃がすのだ!」
766 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:10:05.34 ID:5un44TpH0
ガウェイン「……なるほど、では貴方たちが噂に聞いていた『レジスタンス』の者ですか」
百貌「残念だがここまでだ、騎士よ。初代様が来る」
レッドフード「フン、まあ年貢の納め時って事だ」
ガウェイン「……? 失礼、貴方はどこかで?」
レッドフード「……ククッ、どうかな?」
ガウェイン「……」
マシュ「サー・ガウェイン。なぜこのような事をしているのです」
ガウェイン「それが我が王の望みなれば。そこに疑問をさしはさむ余地はない」
マシュ「民を守ってこその騎士だったはずです!」
ガウェイン「もはや死んだ人理の中、人を守る方法はこれしかない」
マシュ「……どういう事ですか」
ガウェイン「さて、貴女が知る事ができるでしょうか……」ガチャ、チャキリ
767 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/08/12(月) 02:10:33.18 ID:5un44TpH0
レオナルド「マシュ。何があったのかは分からないが、アレは敵だ。警戒するんだ」
マシュ「……はい」ガシャリ
ガウェイン「私の前に出たからには、相応の覚悟を示していただきましょう。どうか剣の一振りで倒れる事のなきよう」ジリッ
レッドフード「賭けるか? 俺は5回耐えられると思うぜ、30ドルだ」
百貌「黙って警戒しろ! アイツの実力は本物だ!」
ガウェイン「では、行きましょうか」ダッ
768 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/08/12(月) 02:11:54.15 ID:5un44TpH0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
また、読んでくださっている方にこのような情けない愚痴を吐いて申し訳ありませんでした。今後は無いように努めます。
769 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/12(月) 12:30:36.85 ID:KN0p6jFpo
乙
これからも楽しみに読ませてもらうわ
770 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/13(火) 15:10:32.59 ID:PyyDZ7fUo
乙
アメコミ勢から誰が出てくるのかとてもとても楽しみにしながら読んでおります
771 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/13(火) 19:59:11.14 ID:pox4kIwZ0
おつおつ!
レッドフードさんが何だか不穏な感じ?
レイシフト開始から別行動って何が起こるかわかんなくてわくわくするな〜これからも楽しみに待ってます!
772 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/15(木) 10:39:17.78 ID:JyMV3ApO0
このジェイソンのりのりだな
773 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/15(火) 23:36:57.81 ID:TCef99+ro
やっぱFateのマスターは少しぐらい頭おかしい方が面白いな
774 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/10/30(水) 21:36:17.89 ID:xM/yOAD00
待ってる
775 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/17(月) 18:45:44.90 ID:tOfrfu1uo
CIA職員「んほぉ〜〜この娘を持って心が和らぎ始めたバッツたまんねぇ〜」
776 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/05/23(土) 22:01:42.27 ID:m+I2YS33O
待ってます
777 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 15:59:48.33 ID:LW5FqCKG0
………………
ピッピッピッ……クオォォォォォォオン……
所長「……」
ドクター「……」ソワソワ……
職員A「……」ハァ
職員B「……」キョロキョロ、ソワソワ
職員C「……」イライライライラ
所長「それで、ブルースの位置は。特定できたの」
778 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:00:19.56 ID:LW5FqCKG0
職員C「いえ、その……いまシバのレンズを最大限に活用していますが、しかしそもそも特異点をそのまま映すというのは非常に負担が大きく……」カチャカチャカチャ、タン
所長「そう」
職員C「……えと、その……できうる限りの努力はしていますが、この特異点は大気中の魔力の濃度が高く、これ以上焦点を合わせてしまうとレンズが耐え切れず割れる危険性があり……その、今のところ、全く成果が無いというのが現状です」
所長「ふむ……」
ドクター「……ブルースくんのスーツから送られてくるバイタルサインに問題はない。生きているようだ。……だが、先ほどから何度か交戦を示すシグナルが送られてきている。マシュとはぐれて、一人で戦っているのかもしれない」
所長「……」
所長(ムードメーカーであるレオナルドが居ない今、私がシャキッとするしかないのよね。……いえ、そもそもこれは所長である私の役目だわ)
779 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:00:48.01 ID:LW5FqCKG0
所長「……全員、聞いて」
職員A「……?」
職員B「は、はい」ソワソワ、クルリ
職員C「……」イライライラ
ドクター「……」
所長「ブルースが心配なのは分かります。けど、お通夜みたいな雰囲気になるのは良くないわ。気を引き締め直して。我々のサポート如何で、彼らの生死が決まるのよ」
職員A「……」
職員B「……すみません」
職員C「で、でも……」
所長「自分のチームを信頼しなさい。ブルースやマシュ、レオナルドはこんな事では絶対に負けないわ」
職員C「……」
780 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:01:17.22 ID:LW5FqCKG0
職員A「……なあ、大丈夫か」
職員B「え、ブルースさん? 大丈夫でしょ、あの人が参ってるところなんて想像できないし……」ソワソワ
職員A「違う、お前だよ。さっきから、何度も爪を噛んでる。冷静じゃないんだろ」
職員B「……だって、心配だし……」
職員C「……」
職員A「……なあ、お前も。大丈夫か?」
職員C「え? ああ、大丈夫。俺は平気だから……」
職員A「……」
781 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:01:43.78 ID:LW5FqCKG0
職員C(……最初はイカれ野郎だと思ってた。猫の仮装して世界を救う? よっぽどの狂人か、あるいは誇大妄想にとらわれた馬鹿野郎だ)
職員C(……でも、だんだんと、あの人の事がわかっていった。わかってしまったんだ。ブルースさんはいつだって本気で、俺たちの事をずっと見てて、冗談が下手で、心配性の男なんだ)
職員C(くそ、なんでこうなった。諦めて、死にゆく世界で、気楽に最期を迎えられたらってずっと思ってたのに。焼かれた世界で、人の心配をするなんて)
職員C「……無事で居てください、ブルースさん……」カタカタ、カタカタ、タンッ
782 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:02:14.25 ID:LW5FqCKG0
………………
バットマン「……私の事を覚えていないのか、モードレッド」
モードレッド「はあ? 何言ってやがる、初対面だろうが。覚えてるもクソもあるか」
三蔵「ブルース、下がって。あの子、すっごい魔力を秘めてる」
モードレッド「へッ、城に居る時は気に食わなかったが、なかなかどうして……こうして殺す気で向かい合ってそのツラ見ると、悪くねえ顔してるじゃねえか。覚悟ができてやがる」
バットマン「なぜだ。なぜ殺す。誰に命令された」
モードレッド「てめぇは正反対だな! 何かを殺す覚悟もねえツラしてやがる! ムカつくぜ、前に会った時も……ぐうっ!?」ズキン
バットマン「……『前に会った時』?」
モードレッド「う、うぐ、頭、が……畜生てめえ、何しやがった……!?」ヨロッ
バットマン「……???」
783 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:02:41.28 ID:LW5FqCKG0
(((行け。世界を救ってこい)))
(((……私も、お前達と共に戦えるのは光栄だ)))
(((恐怖に飲まれるな)))
モードレッド「……くうっ、誰だ……てめえ……誰だ、てめえは!!?」ヨロヨロッ
バットマン「……」
バットマン(何が起きているかは全くの不明。だが、チャンスに違いない)
バットマン「三蔵、こっちだ」
三蔵「えっ?」
バットマン「逃げるぞ」ダッ
三蔵「え、え、ちょっちょっと!?」ダダッ
モードレッド「……! てめ、待て!!!」ダンッ
784 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:03:08.08 ID:LW5FqCKG0
バットマン(ルート取り。山の方角、星座の位置から判断して、西南西へ向かうこのルートが最も『近い』)
三蔵「どこに向かってるの〜!?」タッタッタッタッ
バットマン「アトラス院。迷宮だ、ヤツを撒くにはちょうど良い」タタタタタ
バットマン(しかし、砂で足が取られる……)
モードレッド「この野郎、逃げるなんてそれでも男かてめえ!! 真っ向から向かってきやがれ!!」ダダダダダッ
バットマン(無茶を言うところも全く変わっていない。アレは間違いなくモードレッドだ)
785 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:03:44.62 ID:LW5FqCKG0
バットマン「フッ!」シュパパパッ
バットラング「「「」」」ヒュオオオォォォオッ!!!
モードレッド「こんなもんっ……!?」ガギギギィッ、プシューーウゥゥゥゥゥ……
煙幕「」モクモク……
モードレッド「な、なんだ!? 煙!? げほっ、くそっ、なんだコレ!?」
三蔵「ええ、何あれ何あれ! 面白い事になってるじゃない!?」
バットマン「バットラングにスモークペレットを混ぜて投げた。剣に貼り付いて、しばらくは視界を曇らせる……それより走れ」ダッ
三蔵「あ、ちょっと待ってって!」タタッ
786 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:04:12.25 ID:LW5FqCKG0
モードレッド「げほっ、くそっ、きたねえ搦め手使いやがって……!」ズキン
モードレッド(クソっ、なんなんだ! 頭がいてえ……!! 何か、思い出しそうな、気がする……)
(((お前の行動が士気を乱すものになると言っている)))
(((私が気に食わないだけか?)))
(((何か異論があるなら聞くが)))
モードレッド(……なんだか無性に腹が立ってきやがった。あいつ、さては相当なクソ野郎だな……??)
モードレッド「……ぶっ殺してやる!!」ダダンッ、ダダダダダダ
787 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:04:48.30 ID:LW5FqCKG0
三蔵「ねえねえ、他には!? なんだか神器みたいで貴方の道具がすっごく気になるんだけど!」タタタタッ
バットマン「神器ではない。これはユーティリティベルトと言って、私の活動を補助してくれる道具が多く納められており、」ダダダダダ……
三蔵「うーん? 難しいのね? あ、この玉は!?」スッ、カチャ
バットマン「!! 何を、今すぐ投げろ! 危険だ!」
三蔵「えっえっ、ええぇ!? えいっ!」ポイッ
球体「」ヒュゥゥゥゥウ……ドッガァァァァァァアアアアアァァァァン……
モードレッド「ぐわああっ!?」ゴオオッ
三蔵「えええ!? なにあれ、すっごい爆発!?」
バットマン「……アレはスーツ越しでも自決できるようにしていた爆弾だ……!!」
バットマン(なんという事だ、もしもの事態に備えてカルデアに秘密で少しずつ作成していたというのに……!)
三蔵「自決!? いけません、自殺なんて御仏的にNGもいいところよ!!」
バットマン「ああ、そうかもしれんな……」
バットマン(……これで情報を引き出されそうになった場合の最終防衛手段は無くなったか。自分を信じるしかないのは、少し心細いものだ。いや、心細すぎる)
三蔵「……なんだか貴方って、結構捻じれてる?」
バットマン「法師のカウンセリングか? またあとにしてくれ」ダダダダダッ
モードレッド「野ッ郎、爆弾やら煙幕やら卑怯くせえ!!!」ブチィッ
三蔵「うわあああああん、ごめんなさーい!? わざとじゃなかったのよ!!」タタタタタタ
788 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:05:25.40 ID:LW5FqCKG0
モードレッド「逃がすか、この野郎……!! 『是こそは、我が父を滅ぼせし邪剣』……」シュゴォォォォォォォォォオォォォ……
バットマン(いかん!!)
バットマン「三蔵、掴んで引けっ!!」バッ、シュポッガシッ
三蔵「え!? え、は、はいっ!!」ガシッ
モードレッド「ッ『我が麗しき父への叛逆』(クラレント・ブラッドアーサー)!!!」ゴゴゴゴオオオオオォォォォォォォォォッ!!!
バットマン(ここだ!)グィィィッ
ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!
789 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:05:54.78 ID:LW5FqCKG0
パラパラパラパラ……
モードレッド「……いってえ……!!」ギチギチギチギチ
ロープ「」ビイィィィィィィィィィ……ン
バットマン「……!!!」ギチギチギチギチギチ
モードレッド(くそったれが、放出の寸前に肩に何か撃ってきやがった……!?)ギチギチギチギチ
バットマン(どんな大砲も、発射前に砲の向きを変えれば無力。グラップネルガンは改良してある、ロープもそうそう千切れはしない……!)ギチギチギチギチ
バットマン「三蔵、タイミングを合わせるんだ。激突から5秒後で良い、地面を叩け!!」ギチギチギチ、グイィィィッ
三蔵「なんだか分からないけど、了解ッ!!」グイィィィンッ
モードレッド「っちくしょ……!?」ヨロォッ
バットマン「フッ」ダンッ、フワアッ
790 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:06:59.58 ID:LW5FqCKG0
バットマン「……シィッ」バサササッ、シュバッ
モードレッド「ちっ」ババッ、ズササァ
バットマン「逃がさん」ダダン、ズシャシャ、バッ
モードレッド「、しつけえ、野郎だ!」ババッ、ズバァッ
バットマン「ふっ……相変わらず直線的な剣の軌道だ、モードレッド」ババッ、ヒュンッ
モードレッド「余裕のつもりか、むかつく野郎だな!」シュバババババババッ
バットマン「っ、直線的で力強い。やはりお前は世界を救った騎士だ」ギャリリリリィ、ズササシャシャシャ、ババッ
モードレッド「ワケわかんねーなお前! 貶してんのか褒めてんのかどっちなんだ!」ダンッ
バットマン「分析している。お前の剣を」ダダッ
モードレッド(くそっ、コイツ、やりづれえ。懐かしい感じもするし、けど、俺は覚えてねえし……!! ダメだ、内心で迷いが生まれる!!)
バットマン(三蔵の膂力で肩を負傷させているのは大きい。宝具の連発は不可能だろう。ならばここで畳みかけ、撃退もしくは打倒する)
791 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:07:38.04 ID:LW5FqCKG0
バットマン「フッ!」ガッギャアアア!!
モードレッド「ゼェアッ!!」ガギギィィィィ!!
バットマン「グッ……今回は……誰に仕えている、モードレッド」ドシャァッ、ギリギリギリギリ
モードレッド「ああ? 父上以外の誰に仕えるんだ、俺が」
バットマン「…………なんだと。父上とは、つまり、アーサー王か?」
モードレッド「おう、そうだ。あのアルトリアだ。悪いか、陰気顔」ギリギリギリィ……
バットマン「……意外だな。叛逆はしないのか」
モードレッド「……てめえ……はは、殺したくなってきたぜ」ギュギュウウゥゥゥ、ギュウォォォォオオオオオオ!!!
バットマン「! なにっ」
バットマン(モードレッドの剣が輝きを増して……まさか、宝具は供給源がなくともノータイムで連発可能なものだったのか!?)
792 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:08:08.54 ID:LW5FqCKG0
三蔵「ブルース!! 行くわよ!!!」ギュオオオオオオオオオッ
モードレッド「あぁ!?」
バットマン「ああ! やれ、三蔵!!」ギャリリィ!!
三蔵「どっせい!!」ビュゴッ!!
モードレッド(なんだ!? 地面に攻撃……いや違う!)
バットマン「相変わらず、搦め手への意識が低いようだな。サー・モードレッド」バッ
モードレッド「テメッ……」
バットマン「さらばだ」
地面「」ビキィ、ビキビキビキビキ……ガラガラガラガラッ
793 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:08:49.14 ID:LW5FqCKG0
モードレッド「崩落!? これを狙ってやがったのか!?」グラグラ
バットマン「三蔵! 掴まれ!!」バッ
三蔵「わわわわわ、どうなってんのよぉ!」ガシッ
モードレッド「……!! てめえ、勝ったと思うな……!!」
バットマン「お前は」バサッ
モードレッド「っ」
バットマン「負けてからが強い。油断しないようにしよう」バササササササ……
ヒュオォォォォォォォォォォォ……
794 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:09:21.18 ID:LW5FqCKG0
モードレッド「……落ちていきやがった……」
(相変わらず、搦め手への意識が低いようだな。サー・モードレッド)
モードレッド「……!!」
(お前は負けてからが強い。油断しないようにしよう)
モードレッド「……るっせーバーカ!!! バーカ!! なんでテメーにそんなこと言われなきゃならねえんだ!! そもそも負けてねえよ!!」
砂漠「」シーン……
モードレッド「……クソが! 絶対逃がしてたまるか!」ザッ
795 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:09:52.67 ID:LW5FqCKG0
………………
ガウェイン「……さて」ガシャリ
マシュ「……っ、は、っ……」プルプル
百貌「……、……」ピクッ、ピクッ……
レオナルド「……ここまで、とは……」ボロッ
レッドフード「あーあー、参ったなこりゃ」トットッ
796 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:10:19.82 ID:LW5FqCKG0
ガウェイン「我が部下である粛清騎士が全滅。それは賞賛に値するでしょう。私と戦いながら、素晴らしい動きだったと言える」
太陽「」ジリジリジリ……
ガウェイン「だが、場所が悪い。条件が悪い。実力もまだまだ甘い。そこの赤い兜の方以外は、ここに来るべきではなかったでしょう」ジャキッ
レッドフード「褒められるってのは悪くない気分だが、俺はお前と真っ向勝負なんてのはごめん被るぜ」ジリ、ジリ
ガウェイン「さて、どうでしょうか。私は未だに貴方の実力を測りかねています」ジリ
レッドフード「ははは、ずいぶん買われたな。俺はそんなに大したモンじゃないさ。何処まで行っても、アイツの『裏』の存在でしかない」ジリジリ、ジリィ
ガウェイン「……アイツ?」ジリッ、ズサッ
レッドフード「知らねえか? 知らねえか。オイ、そろそろ良いだろ。位置も完璧だぜ」
ガウェイン「? !!」
マシュ「たああっ!!!」バッ
ガウェイン「ちぃッ」ガッギャア!!!
797 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:11:03.61 ID:LW5FqCKG0
ガウェイン(しまった……! 奴との対話に夢中になるあまり、立ち位置を調整されて、)
レオナルド「そこだねっ!!」プシューーーーーー!!!
ガウェイン「ち、ぃっ……!?」パキパキィ、パキ……ン
ガウェイン(凍結? 相手にするまでもない!)
ガウェイン「舐めないでいただきたいッ!」バキィ、ブゥンッ
マシュ「せあっ!!」ガッギャアアアア!!!
ガウェイン「……!!」ギリギリギリ
マシュ「ぐうううううううう!!!!」ギャギャギャギャギャ
798 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:11:34.91 ID:LW5FqCKG0
マシュ(ここだっ、この力を利用して!)グッ
マシュ「っ」シュッ
ガウェイン「なに」グラッ
マシュ「せええいっ!!」ド、ドドドッ、シュドゴォ!!!
レオナルド「よし完璧に入った!! 相手の霊子解析も89%!」ダダッ、ピッピッ
マシュ「……!!」ググッ
マシュ(ダメだ。やっぱり、完璧に入ったのに)
ガウェイン「良い動きです。そこまでの武を持ちうるとは、よほど鍛えたと見える」シュゥゥゥゥゥゥ……
マシュ(まるで無敵じみた防御力。こちらが打ち込んだ数十発を、何もなかったかのように耐えてる)
ガウェイン「……ですが、やはり、陽光の元で私を相手取るというのは、そちらにとっていささか分が悪いようですね」グググ、グググググ……
799 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:12:30.13 ID:LW5FqCKG0
百貌「ぜえいっ!」シュパパッ
ガウェイン「もはや、底は知れた」ガギィ……ン
百貌「なっ、見もせずに……」
ガウェイン「鍛錬とは、仰ぎ見る山頂へ登ろうとする行為に他ならない。登り切ったと思えば、またそこに登る余地は生まれてくる」グググググググ……シュゴウッ、ゴゴゴゴ
マシュ「くっ……!」ガシャリ
ガウェイン「そして貴女は今、きっと私よりよほど大きな頂を見ているのだろう。危険な存在だ。貴女ほどの存在を生かしておけば、必ずや我が王の妨げとなる」
マシュ「王は、こんな虐殺を望むはずが……!!」ドクンッ
マシュ(王とは、何……!? 私は、彼らの言う『王』なんて、知らないはず……)ドク、ドクン、ドクン……
(マシュ。我が名は■■■■■■)
(我が名を呼べ。力を貸せよう)
(ながらく眠っていたが、それでも)
(騎士として)
(負けるわけには、いかないのだ)
(マシュ。我が名を呼べ)
800 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:13:08.41 ID:LW5FqCKG0
マシュ「ウ、ア、アァ……ぐっ……!?」ジリ、ジリ、ドシャリ
ガウェイン「……?」
レオナルド「ま、マシュ!? どうし……」
レーダー「」ピピー!! ピピー!! ピピピピビビビビビビビビビbbbbbb
レオナルド「……!! こ、この反応……まさか、『発作』!?」
レオナルド(にしたって、こんな魔力反応は尋常じゃない……! マシュの意識が耐え切れない、潰されてしまう!!)
百貌「クソッ、撤退を……!」
難民X「ひ、ひぃ……!」
難民Y「あの子が居ないんです、あの子がどこかへ消えてしまったんです!! お願いします、助けてください……!」
難民Z「おかあさん!! おかあさーん!!」
百貌の部下A「こちらへ、ともかくこっちへ! 多すぎる、手が回らない!!」
百貌「……まだかかるか……!!」
801 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:13:43.39 ID:LW5FqCKG0
ガウェイン「……ふむ。なんにせよ、こちらにとっての『チャンス』でしょうね」ガシャリ
百貌「……山の……初代様のご到着には、まだかかるか……」ジリッ
レッドフード「……」カチャリ
ガウェイン「何を期待しているのかは知りませんが、あなた方の敗因は『それ』だ」
百貌「……」
ガウェイン「おのれの実力を信じず、他の要素にすがり、共に戦う仲間にすら、背中を預けられない状態で来てしまった」
マシュ「……!!」プルプル
マシュ(起き上がれない……!! マスターが……マスターが居たら、こんな状況には……)
ガウェイン「これにて幕引きとしましょう。『この剣は太陽の……』」
「ちょっと待ったぁあああああ!!」
ガウェイン「……?」
レオナルド「なんだか勝敗が決したみたいなセリフだけど、それはちょっと気が早いんじゃないかな!? ホラこれを見なよ!」ポイッ
黒い塊「」ヒュンッ
ガウェイン「なんです、それは……」
ガウェイン(……否。不味い、コレは……)
スタングレネード「」カッ
802 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:14:10.83 ID:LW5FqCKG0
ガウェイン(いかん、目をやられ……)ヨロッ
ヒュンッ
ガウェイン「ッ」ババッ、ガガァン!!
ヒュヒュヒュンッ
ガウェイン「チッ……」ガッギッギギギギィ、ギギィン!!!
レオナルド「……いや、目をつむった状態で弾きすぎじゃないかなキミ」
ガウェイン「五感を駆使して戦う。風切り音でどこへの攻撃かは分かります……」スッ
レオナルド「成程ね、やっぱり武人タイプってどうも苦手だ。ところでそろそろ目は治ったかな?」
ガウェイン「ご心配どうも。おかげさまでよく見えますよ」
レオナルド「ならキミ、自分の剣を見てみる事をオススメするよ。……まあ、もう遅いけど」
ガウェイン「……?」
吸着型爆弾「」ピッ、ピッ、ピッ……ピピピピピピピピピ
ガウェイン「……!!」バッ
ドッガガガガガガガァ……!!
803 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:14:53.57 ID:LW5FqCKG0
レオナルド「今しかない! 撤退だ、マシュ、歩けるかい!?」
レッドフード「あの爆弾はクールだな、いいアイデアしてるぜ」
レオナルド「これでも生前は兵器の開発案とかも出してたんだ、多少はやれなくちゃね。さあ走ろう!!」
マシュ「くっ、ぐぅっ……!!」フラフラ
レオナルド「……さあ、掴まって! 走るよ!!」ガシッ
レッドフード「ああ、OK」
804 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:15:21.39 ID:LW5FqCKG0
百貌「……先に行け!!」
レオナルド「へっ?」
百貌「山に行けば『ハサン達』が出迎えてくれる! さっさと行け!!」
レオナルド「き、キミは!? キミはどうするのさ!?」
百貌「……ッ……」チラッ
難民たち「「「……! ……!!」」」ザワザワ、ゾロゾロ
百貌「……まだ、避難が済んでいない……! まだここから退くわけにはいかん!」
805 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:16:01.26 ID:LW5FqCKG0
レオナルド「……くっ、すぐに逃げないと……すまないが、こちらは離脱させてもらうよ!」
百貌「元よりそう言っているだろうが! さっさと行け!!」
マシュ「……っ、……」プルプル
レオナルド「……悪いけど、マシュ、ここは我慢してもらう。世界を救うには、私たちが生き残らないとダメなんだ。行くよ」ダッ
マシュ「…………」ズルズル……
爆煙「」モクモク……
部下A「ひゃ、百貌様……」
百貌「……行け。後は任せたぞ」
部下B「……はっ。お任せ下さい」ダダッ
部下C「おさらば……」ダッ
806 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:16:41.16 ID:LW5FqCKG0
レッドフード「……チッ」ピタリ
レオナルド「っ、レッドフードくん!?」
レッドフード「悪いな、先に行っててくれ。俺は残る」クルリ
レオナルド「……それは……」
レッドフード「ブルースには俺の事は伝えないでおいてくれよ? 露骨に落ち込みやがるからな」
レオナルド「……分かった」
レッドフード「くくッ、ちなみに今のはジョークだ。じゃあな」ザッ
807 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:17:08.85 ID:LW5FqCKG0
部下E「こっちだ! 全員行くぞ!!」
難民たち「「「……」」」ゾロゾロ……
部下F「その盾の少女は!? 負傷したのか!?」
レオナルド「いや、発作だ。復帰すれば戦力になるんだが、今は無理そう」
部下F「……こちらで抱える、お前は民衆を守る位置についてくれ!」
レオナルド「成程、それは助かるね……」
マシュ「……っ」ギリィ……
マシュ(……盾に、なるって、誓ったのに……! 今度こそ、守るべきものを……)
レオナルド「……行こう。託されたものを無駄には出来ない」
808 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:18:11.74 ID:LW5FqCKG0
百貌「……」
レッドフード「よう。雨に降られた犬みたいな顔してるぜ」
百貌「黙れ。腹の立つヤツだ」キッ
レッドフード「そっちの方がいい顔だ。どうだ、勝算があって残ったのか?」
百貌「あると思うのか。さっさと逃げれば良かったものを、貴様まで何故残った?」
レッドフード「1人より2人の方が、時間稼ぎも捗ると思ってね……」
百貌「……」
809 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:19:00.03 ID:LW5FqCKG0
百貌「……貴様が『初代様』の名を出した時」
レッドフード「……」
百貌「正直言って、安堵してしまった。ようやくこの戦も終わる、そう思ってしまった」
レッドフード「……」
百貌「だが、やはり、恥だな。私は自分の力不足を暗に認めてしまっていたのだ。『初代様』の力を借りねば倒せない相手だと、情けなくもそう思っていた」
レッドフード「……そうか」
百貌「今回、初代様が来られなかったのも……きっと私達を試しての事だろう。我ながら愚かな事だが、それでも」
百貌「それでも、あの盾の少女の真っすぐな瞳を見ていて、思い出したよ。私も、負けるわけにはいかない」
810 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:20:14.61 ID:LW5FqCKG0
爆煙「」モクモク……ザアアアッ
スタ、スタ、スタ
ガウェイン「……どうやら、まんまと逃げられたようですね。正直に言って、侮りがあった事を認めざるをえません」
レッドフード「あっちは元気が余ってそうだぜ」
百貌「まだまだ。ここから時間稼ぎに付き合ってもらうとしよう」
ガウェイン「……彼らにはすぐに追手が出るでしょう。無駄な事は、おやめになるよう」ガシャリ
811 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:20:43.14 ID:LW5FqCKG0
………………
バットマン「……」バサササササ……スタ
三蔵「ほわぁ……すごいのね。ていうか、ここ何処?」スタ
バットマン「アトラス院と呼ばれる施設の入り口だ。落とし穴から入ってきたが」スクッ
三蔵「なんていうか、妙な感じ……なんだかムズムズして……」
バットマン「……乱暴な入場になった。何かトラップが発動してもおかしくない、注意しろ……」
812 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:21:10.60 ID:LW5FqCKG0
砂「」サラサラ……パラパラパラ……
洞穴「」シィ……ン
三蔵「……静かね」
バットマン「……静かだな」
三蔵「ねえ。気付いてる?」
バットマン「まあ、気付いていないと言ったら嘘になる」
三蔵「どうする?」
バットマン「つまり……そうだな。右を頼む」スッ
三蔵「じゃ、左は任せるわね」バッ
813 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:22:21.40 ID:LW5FqCKG0
ブルースは……つまり、推測を重ねていた。アトラス院とは魔術のるつぼ。このように乱暴な入場を果たした存在に対し、罠が発動しないというのは通常、考えられない事だ。
ということは、罠が解除されている可能性が高い。解除されているという事はつまり、先客が居る。
そして、暗闇の中から息遣いが聞こえていた。複数。三蔵は躊躇の無い動きで闇へ向かっていく。複数の気配が身じろぎする。
バットマンはマントを翻し、手元を隠しながらバットラングを投擲した。目にも止まらぬ飛来物は、しかし、闇の中から伸びる刃によってすべて千々に切り裂かれ、地に落ちた。
三蔵の向かいの闇から、影が飛び出した。口元をマスクで覆ったその人物は、空中で回転すると、法師の首めがけて刀を振るう。
「ほっ」
三蔵は錫杖でこの斬撃をいなし、相手のみぞおち目がけて反撃の一撃を突き込む。空中で衝撃を食らったその人影は、柔軟に体を曲げると、素晴らしい身体制御能力で着地し、後転で距離を取った。
バットマンの向かいの闇からも一体、同じような人影が現れ、バク転で跳びすさる。そして法師と向かい合う影に並び立ち、刀を構えた。
その立ち振る舞いを見たバットマンは、眉をひそめる。彼にとって覚えのある集団の構えだ。
「……リーグ・オブ・アサシン?」
ピクリ。その名を聞き、2名の暗殺者たちはかすかに震える。三蔵は油断なく錫杖を構え、敵の実力を見極めようとしている。
「ここで何をしている。ラーズ・アル・グールの指示か」
「……民草ごときが、あのお方の名を口にするな」
ミシリ。刀の柄が握り締められ、軋む。
「奴は何を企んでいる」
「お前が知る事はない。死ね」
次の瞬間、2人の暗殺者は一斉に膂力を解放し、完璧な対の角度で刀を打ち込んだ。
814 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:23:01.19 ID:LW5FqCKG0
破裂するような甲高い音の直後、二刀を受け止めた錫杖から火花が散った。三蔵法師だ。バットマンを庇うように割り込み、瞬時に二刀と拮抗状態を作る。
そして既にバットマンは斬撃の軌道上には居ない。彼は三蔵を跳び越え、2人の頭へとバットラングを投げつける。
暗殺者たちは同時に頭を傾けて躱し、似通った体捌きでするりと適切な距離へ逃れる。三蔵が一方を追い、黒い騎士は万全の構えでもう一方と向かい合う。
「……」
「……」
ジリリ。暗殺者が重心を落とし、バットマンは僅かに構えを変化させる。暗殺者のこめかみを脂汗が伝う。
「……私達を待ち伏せていた訳ではないな? 目的は何だ」
「……ッ」
一瞬の後、暗殺者が打ち込んだ。だが蝙蝠はこの一撃を完全に見切っており、手甲で刀を叩き下げると、逆の手で掌打を繰り出す。
暗殺者はこれを躱す……否。バットマンの手のひらから何かしらのスプレーが散布され、暗殺者の腹部へ付着した。
「ちっ……」
バックステップで距離を取ろうとしたその瞬間、暗殺者の腹部に付着したジェル状の『何か』は爆発。空気が歪むほどの衝撃でもって片割れを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。
(やはり)
一方、バットマン。彼は超スピードの思考の中で、相手に打ち込んだ際の微かな違和感を反芻していた。
それはすなわち、『敵は魔力を帯びた存在ではない』という事だ。暗殺者たちの身のこなしは驚異的だが、しかしそれは人間にも可能な動きばかり。
証拠に、三蔵と戦っている1人は既に追い詰められ、壁を背に戦っている。もう5秒もあれば決着がつくだろう。
「……お前達は、この時代の人間だな」
「……」
「ラーズ・アル・グールは召喚された存在ではない。お前達も、元々ここに居たんだな?」
「……答える必要はない!」
語気も激しく言い返したアサシンはしかし、冷静だった。彼女らは同時に足元に煙玉を叩きつけると、一瞬の視界混濁に乗じて撤退を開始する。
「ブルース、見えてるけど追う?」
「……いいや、追うな」
煙が晴れる中で、バットマンと三蔵法師はアサシンが逃げて行った方を見つめ、しばらく構えて立っていた。が、彼女らが逃げ、戻らない事を悟ると、やがてその構えを解いた。
815 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:23:53.03 ID:LW5FqCKG0
三蔵「なんだったのかしら、ホント! あれがもしかして忍者ってやつ?」
バットマン「あれは……まぁ、説明すると長くなるが……ともかく、殺人集団だ。今回は何のために動いているか知らんが、警戒するに越したことはない」
三蔵「因縁浅からぬ仲ってやつ? 大変ね〜」
バットマン「私にとっては見慣れた集団だ……連中にとっては、どうやら私は新顔のようだが」
三蔵「……んん〜? まあいっか。貴方がもっとあたしを信頼してくれた時にでも、分かりやすく話して!」
バットマン「……分かった」
816 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:24:31.69 ID:LW5FqCKG0
三蔵「にしても、真っ暗ね〜。人間のあなたは結構進みづらいんじゃない?」
バットマン「平気だ」スタスタ
三蔵「そう?」スタスタ
バットマン「……」スタスタ
三蔵「……」スタスタ
バットマン「…………」スタスタ
三蔵「…………」スタスタ
バットマン「……音と足裏の……いや……夜目が利くんだ、私は」
三蔵「そうなんだ! 凄い事じゃない、闇も見通せるって便利ね」
バットマン「ああ。……お気遣いありがとう」
三蔵「どういたしまして。フフ」
817 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:25:08.03 ID:LW5FqCKG0
三蔵「んん〜? ……なんか、水の音が聞こえるような……川でも流れてるのかしら?」
バットマン「水? ……地下湖でもあるのか……」
三蔵「ううん、違うの。なんか、そうじゃなくて…………ええっと、なんて言えばいいんだろ。もっと、ドロッとしてる何かって言うか……粘液? みたいなのが、流れてる音が聞こえる」
バットマン「粘液?」
三蔵「……ドロドロで、ブクブク泡が立ってて……なんだか、嫌な感じの音」
バットマン「……」
バットマン(通信機が健在なら、間違いなくドクターに解析を頼んだだろうが……一体、この地下には何がある?)
818 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:25:36.45 ID:LW5FqCKG0
三蔵「変な遺跡ね。振り返れば、それまでに見えなかった大量の通路が見える」
バットマン「フェイクのチューブが、本筋に次々に合流する仕組みなのだろう。行きは楽で、帰りが難しい仕組みになっている」
三蔵「これ、大丈夫? 帰れるかしら?」
バットマン「安心しろ。スーツのコンピューターが常にマッピングを行っている」
ブルース(それに、私も記憶している……滞りなく地下へ数十メートル進めているはずだが、まだ底が見えないな)
三蔵「もしその鎧が壊れちゃったら、この錫杖を立てて、倒れた方向に進みましょ!」
バットマン「……まぁ、考えておこう」
三蔵「あ! その顔、あたしの運の良さを信じてないわね? ふふん、貴方もその時になったら御仏の導きを信じるようになっちゃうんだから!」
バットマン「……」
ブルース(まったく宗教的に込み入った特異点だ……)
819 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:26:08.14 ID:LW5FqCKG0
バットマン「ひとつ訊いておくことがある、三蔵」
三蔵「ん? なぁに? 答えられる事ならなんでも答えちゃうわよー!」
バットマン「城に居る時だが……『ラーズ・アル・グール』という名前を聞いたことはなかったか?」
三蔵「ラーズ……レイシュの事かしら?」
バットマン「レイシュ? ……居るのか、その男が」
三蔵「ええ。城の中でも、かなりの上位に位置してて……見てた感じ、城主である『獅子王』、その補佐官である『アグラヴェイン』と同等くらいの力を持っていたと思うわ」
820 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:26:42.40 ID:LW5FqCKG0
三蔵「普通に話している時でも、ちょっと怖いくらい目つきが鋭かったのを覚えてる。あ、そういう所は貴方に似てるかも」
バットマン「……私に似ている者が多いな……」
三蔵「ホントにそうね! でも、なんだか、ちょっと違ったと思う。……なんて言うのかしら。ぱっと感じるフィーリング?」
バットマン「……そうか。レイシュは、何か言っていたか」
三蔵「うぅん、城の騎士たちと同じよ。『人類を守る』って」
バットマン「……」
821 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:27:19.08 ID:LW5FqCKG0
バットマン「……人類を守るのが目的なら、お前も残れたんじゃないか?」
三蔵「うーん……なんていうか、自分の居場所じゃないって感じがしたの」
バットマン「居場所じゃない?」
三蔵「うん。皆笑顔で、のびのびしてて、悪い人なんてひとりも居なかったんだけど……騎士さんに何か尋ねても『知らなくていい』『くつろいでいるだけでいい』って言われるばっかりだったから」
バットマン「……」
三蔵「くつろいでるの、嫌いじゃないけど……でもあたし、何かムズムズしちゃうのよ。だって、荒野が外に広がってるなら、その荒野にもくつろぎを届けたーい! って思っちゃうじゃない?」
バットマン「……まあ、分からない事もない」
三蔵「そういうコト! だってあたしはいずれ仏様まで成り上がる玄奘三蔵ですもの! ドーンと掌で人を救っちゃわなきゃね!」
バットマン「……フ」
ブルース(別のお人好しを思い出すものだな)
822 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:28:27.05 ID:LW5FqCKG0
バットマン(それにしても、ラーズ・アル・グールがこの時代に居るとは……いや、不思議はないか。ヤツは不老不死だ。この時代も、ヤツにとっては通過した過去だろう)
バットマン(きっと我々と接触した事は報告が行く。その時、連中がどう動くか……。現代と変わっていないのなら、『デーモン』は未だ危険なテロ集団のハズだ)
バットマン(気を引き締めていかねばなるまい。そして、そんな組織と動きを同じくしている『城』の騎士たちも……やはり、危険と考えて相違ないだろう)
バットマン(……敵は多い。マシュも居ない今、どう動くのが最善だ……)
823 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:28:54.42 ID:LW5FqCKG0
…………
「……、……」
「…………!! ……!! ……」
「………………!!!」
「……」
マシュ「……うぅっ……」ぴくり
824 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:29:26.59 ID:LW5FqCKG0
レオナルド「!! マシュ、起きたかい!?」ダダダダ
マシュ「……ダヴィンチちゃん、ここは……」
レオナルド「起きたばかりで悪いが、撤退戦だ! 聖都から追手が来てる、しつこいったら……!」
マシュ「!! 追手……くっ、お、起きます!!」ヨロッ、グラァ……
825 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:29:54.99 ID:LW5FqCKG0
騎士A「逃がすな!! 追え!!」ダカダッ、ダカダッ
騎士B「囲い込め!! 1人残らず殺すのだ!」ダダッダダッダダッ
難民A「ひ、ヒィィィッ」
難民B「お助けください!! 聖都にはもう関わりません!! どうか!!」
レオナルド「馬と人じゃ流石に機動力が違いすぎる……このままじゃ共倒れだ」ガシャリ
マシュ「ですが難民の方を見捨てるわけにはいきません! 私が出ま……!?」ヨロヨロ、ズシャァッ
マシュ(ど、どうして……意識があるのに、体が、動かない……?)
826 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:30:25.60 ID:LW5FqCKG0
レオナルド「マシュ!? ……くっ、ガウェインとの戦いが負担だったのか……下がって! 全員下がるんだ!! 私がやる!!」
百貌の部下A「いや、我々もやれる!!」ジャキリ
百貌の部下B「百貌様がおられずとも、私達が……!!」カチャ
レオナルド「いいから下がるんだ!!! 騎士たちの中に強烈な反応がある、これは……ガウェインに、似て……」ポーン……ポーン……
ズバァッ
百貌の部下A「ぐっ……」ドシャリ
827 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:31:13.87 ID:LW5FqCKG0
レオナルド「!? 何処から……」
ポロン♪ ポロンポロン♪
ズバァッ!
難民A「……え……」グシャリ
難民B「う、うわあああああああぐッ」ドシャ
レオナルド「……!!!」
「……トリスタン卿、貴公は右を。私は左を担当しよう」
「実に悲しい……彼らにとって、この死の音満ちる荒野が最後に見る光景とは。せめて、痛みは与えぬよう殺しましょう」
828 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:31:56.47 ID:LW5FqCKG0
レオナルド(ここに、2人……サーヴァント! よほど我々の事を逃がしたくないらしいな、聖都の連中……!)
トリスタン「ランスロット。今回は、手を抜かないでいただきたい」
ランスロット「……何の話か分からないな、トリスタン。それよりも集中すべきだ。あのご婦人は、やるぞ」
レオナルド「くっ」ジャキリ
トリスタン「ふむ……呼吸の音、心拍、そして何よりもその怒り……危険な存在ですね、貴女は」
ランスロット「……」ガシャリ
レオナルド「……見逃してくれたりしないかな……って言っても無駄だよね、勿論」
829 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:32:41.91 ID:LW5FqCKG0
レオナルド(トリスタン、ランスロット、ガウェイン……ここまでの敵は、どれも知っている。アーサー王率いる『円卓の騎士』のメンバーたちだ)
レオナルド(そして今、立ち塞がっているのは『ランスロット』『トリスタン』……ランスロットは円卓の中でも最も武勇に優れた者とうたわれる騎士。第1特異点でブルースが遭遇したものとは違い、理性があるようだ……厄介だな)
レオナルド(もう一方、トリスタンは……ハッキリとは分からないが、あの竪琴から危険な気配がする。先ほども、竪琴の音色と共に斬撃が発生していた……ように見えた。つまり、アレは……)
通信機「」ピピピピピ!!
ドクター『レオナルド、解析結果を伝える。ランスロット、トリスタン、どちらも霊基に異常が見受けられる』
レオナルド「異常?」
ドクター『どう形容していいのか……ランスロットも、トリスタンも、通常のサーヴァント以上の性能を持っている事は間違いない。そのうえで、ランスロットは霊基が拡張されている……セイバーというよりは、まるでルーラーだ』
レオナルド「成程……」
ドクター『トリスタンは……アーチャーだったのは分かるんだが、これも奇妙だ。霊基が……反転している、と言えばいいのか……ともかく、そこに居る騎士たちが、「通常の思考」を持っていると考えない方がいい。歪まされた存在だ』
レオナルド「了解。……まぁ、難民を襲う時点で普通の交渉は期待していなかったさ」
830 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:33:34.35 ID:LW5FqCKG0
マシュ「……ぐ……うぅ……!!」プルプル
レオナルド「マシュ、今キミが復帰してもフラフラだろう。足手まといになりたくなかったら、そこでじっとしていること」
マシュ「……!!」
レオナルド「どーんと任せとくんだ! なんたって、私は天才なんだからね!!」ニッ
トリスタン「話は終わりましたか」
レオナルド「待っててくれてありがとう。……そうだね、そろそろやろうか」
ランスロット「……」ザシ、ジリジリ
百貌の部下B「……」ジリ
百貌の部下C「……」ジリィッ
831 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2022/03/12(土) 16:34:05.70 ID:LW5FqCKG0
レオナルド(カッコいいことは言ったけど、これじゃ勝負にもならないのが正直なところだな……霊基が拡張、反転してるだって? 敵の正体が分からないんじゃ、どうしようもない)
レオナルド(囲まれてる。……詰みか? ……ブルース、キミならどうした?)
トリスタン「……」ス……
レオナルド「!!」ガシャリ
レオナルド(竪琴を構えた! 来る!!)
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