バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」

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532 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:12:05.64 ID:YcegZolL0



………………


バットマン「マシュ!」

マシュ「はいっ!!」ブォンッ

ケルト兵D「!?」ゴッシャァ

ビリー「よっと!」タァン、タァン!!

ケルト兵E「っ……」ドシャァ


バットマン「全員隊列を崩すな! このまま廊下を突き進み、玉座に突入を……」

ラーマ「!! 止まれブルース!!」ガシッ

バットマン「!?」


ムチ「」ヒュパンッ!!


ラーマ「ぐっ……」グラ……

バットマン「ラーマ!?」


「……ふーん、やっぱりここまで来ちゃうんだ。面倒な奴らね」


バットマン「お前は……」


メイヴ「まさかデスストロークをあっさり退けるなんてね。アイツも所詮そこまでの奴だったって事かしら」



533 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:12:32.01 ID:YcegZolL0



マシュ「敵の女王です! メイヴ!」

バットマン「女王メイヴ。お前は終生クー・フーリンとは相容れず、敵同士だったハズだ。何故お前達が行動を共にしている」

メイヴ「あ、そういう無粋な事訊いちゃうの? セリーナが惚れてるっていうから、どんな男かと思ってたら……こんなつまらない奴だったなんてね」

ビリー「あはは、質問に対する答えになってないなぁ」カチャリ

メイヴ「ふふ、目の前にある事象を事実として受け入れるのよ。いちいち『これはこうだ』『あれはああだ』なんて、理解してたらつまらないでしょ?」

バットマン「……」

ラーマ「ブルース、どうするのだ」

バットマン「構えろ。奴を叩き潰す」



534 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:12:58.32 ID:YcegZolL0



メイヴ「叩き潰すですって? 生憎だけど、潰されるのはアナタ達の方よ。ノコノコ敵の本陣まで踏み入っちゃって、蟻より軽い命になっちゃったわね」

ナイチンゲール「命の重みは平等です」

メイヴ「ああもう、初めて会った時からアナタの事が嫌いだったわ。邪魔よ。戦争の邪魔なのよ。全部奪って私のモノにするハズだったのに、アナタ達は本当に……!」


ケルト兵達「「「」」」ザザザザ……


ジェロニモ「……ブルース、囲まれたぞ」

バットマン「全員、背中合わせだ。マシュ、ラーマ、シータ、ナイチンゲール。お前達はメイヴを。ジェロニモ、ビリー、ケルト兵をやるぞ」

ビリー「りょうかいっと」

マシュ「はい!」

ラーマ「任せろ!」


メイヴ「今度は抵抗なんてさせないわ。王の元になんて行かせない。私の戦争にケチはつけさせない。奪って、殺して、愛すのは私。命は私が愛でるのよ」

ナイチンゲール「命は救うものです」ジリッ

メイヴ「ほざいていればいいわ!!」バッ


535 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:13:24.75 ID:YcegZolL0



………………


デッドショット「はあ、はあ……」

死体「「「」」」ゴロ……

デッドショット「ふう……」


デッドショット(あらかた片付けたか。しかし戦ってるうちに、随分奥の方まで来ちまったな……)


緑の扉「」ジリジリ……


デッドショット(……おいおい、あれは何だ……)



536 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:13:51.18 ID:YcegZolL0



緑の扉「」ギゴゴ……

緑の天井「」ジリジリ……

緑の壁「」ジリジリ……

緑の床「」ジリジリ……


デッドショット(なんてこった、緑一色の部屋だ……こんなところ、一日だって居たら気が触れちまう)


???「……」グッタリ


デッドショット(……誰か倒れてやがる)


デッドショット「おい、アンタ。大丈夫か」ガシッ


謎の男「……」ゴロリ


デッドショット(胸にSのマーク……? 青いコスチュームじみた服、赤いケープのマント……おい、おいおい、おい)


デッドショット「アンタ、まさか……」



537 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:14:33.76 ID:YcegZolL0



………………


マシュ「たああっ!!」ヒュゴッ

メイヴ「くっ……!!」ズシャァァ

ナイチンゲール「そこ!」シュバッ

メイヴ「遅いわよ!」ガギィィィィ!!



バットマン「フンッ! ビリー!」ガッシィ!

ケルト兵W「!?」ジタバタ

ビリー「オッケー!」バァン!!

ケルト兵W「っ」ドシャァ


ジェロニモ「ブルース!」ブンッ

バットマン「よし!」ガシッ、ドゴォ!!

ケルト兵X「!?」ドッサァァァン

バットマン「ビリー、ジェロニモ、このラインを死守するぞ! メイヴのところに増援を辿り着かせるな!」

ビリー「了解!」

ジェロニモ「任せろ!」



538 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:15:40.51 ID:YcegZolL0


ラーマ「シータ!」ヒュンッ

シータ「はい!」シュパパッ


矢「「「」」」ヒュォォォォッ

メイヴ「うっ……!」ドシュゥッ

マシュ「そこ!」ダンッ、シュバッ

メイヴ「この……!」ズササァ、タタッ

ナイチンゲール「甘い!」ヒュババッ

メイヴ「うっ、とうしい!!」ガシィ!!



539 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:16:08.31 ID:YcegZolL0



ナイチンゲール「……!!!」ググググ……

メイヴ「……本当に邪魔ね、アンタ……!」ググググ……

ナイチンゲール「貴女の行為は既に無益なモノになっています。投降しなさい」ググググ……

メイヴ「お断りよ。戦争は終わらない。終わらせない」

ナイチンゲール「もはや取る国すら失ったというのに、貴女の戦争にいかほどの意味があるのですか。死者と痛みばかり生み出す地獄に何の価値があるのですか」ギリィ

メイヴ「国が無くなったのなら、次は世界よ。跪かせて、私に服従させる。従わせてみせるわ」ググ……

ナイチンゲール「貴女は破綻しています。根底が病んでいる。世界を消してまで、自分が愛されているという確証が欲しいのですか!」

メイヴ「人は愛を求める生き物よ。私は世界を愛してる。だから奪うのよ!!」

ナイチンゲール「ならば、私は貴女を治療しましょう……! たとえ貴女を殺してでも!」


540 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:16:36.14 ID:YcegZolL0



マシュ「やあっ!!」ブォンッ

メイヴ「あぐっ……!」ゴッ、ズシャシャァ

ラーマ「そこだ!」シュバッ

メイヴ「ちっ、この」バッ

シータ「とどめ!」シュバッ

矢「「「」」」ヒュオォォッ

メイヴ「しまっ……」ドシュシュッ


ナイチンゲール(心臓を矢が貫通。死は免れず……)


メイヴ「か、はっ」ビチャッ


ナイチンゲール(……いや)


ナイチンゲール「マシュ! 避けなさい!」

マシュ「!!」バッ


ムチ「」ヒュパンッ!!


メイヴ「こ、の……!!」ギリィ



541 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:17:04.01 ID:YcegZolL0



ナイチンゲール「心臓部へのダメージは壊滅的なハズです。動けば苦しみが長引きますよ」ジリッ

メイヴ「諦めて、死ねっていうの? ありえない。ありえないわ。クーちゃんを残して、死ねない」シュウシュウシュウ……

ナイチンゲール「貴女の苦しさは分かります。その症例は何度も診て来ました。地獄のような痛みと苦しみのハズです」

メイヴ「だから……だから、どうしたってのよ!!」


542 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:17:42.86 ID:YcegZolL0



メイヴ「こんな痛み! 世界に焦がれる、あの人に焦がれる痛みに比べれば小さいものよ!」ザシィ

メイヴ「いつだってそう! 何処までだってそうだった! 『持てるモノに満足しなさい、人を羨むのはやめなさい!』 下らない教えのせいで、世界は色あせていた!!」

メイヴ「私は違う! 私は手に入れる! 想い人を、世界を! 後悔なんてするもんですか! 進んだ果てが破滅でも、たとえ他に正しい道があっても! 私の王道を邪魔するのは、許さない!!」

マシュ「っ……!」

メイヴ「ひれ伏しなさい! コノートの女王の前に!!」ダッ


543 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:18:11.38 ID:YcegZolL0



マシュ「くっ、」

ラーマ「危ない!」バッ、ガギィィィ!!

シータ「なんて生命力……!」シュパパ

矢「「「」」」ヒュオッ


メイヴ「ぐっ……」ドシュシュシュ……

シータ「とうに致命傷のハズ!」

ラーマ「油断するな、シータ!」ギリギリギリ……!!

メイヴ「邪魔……邪魔よ! 邪魔、邪魔、邪魔なのよ!!」ギリギリギリ……バッ、ギャギャァン!!

ラーマ「うおっ!?」ズシャァッ!!

マシュ「なんて執念……! これはまるで、バーサーカーか、アヴェンジャーじみて……霊基が、変質している……!?」ジリッ

ナイチンゲール「……」ジッ


544 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:18:39.28 ID:YcegZolL0



ナイチンゲール「……成程。献身こそ全てと思っていた私には、理解のできない話ではありますが……それでも、納得はできます」

メイヴ「邪魔! 邪魔! 全部よ! 全部が!!」ダッ、ブンッ

ナイチンゲール「貴女はやはり病気です。必ず救います」ガシィ!!

メイヴ「ああああああああああ!!」ギチギチギチ

ナイチンゲール「苦しいものだったでしょう。形は違えど、貴女も決して叶わぬ愛を追った身」

メイヴ「黙れ! 黙れ!! 知ったような口を利くな!!」シュウシュウシュウ……

ナイチンゲール「人は満たされれば、必ず乾きを知ります。私が治療した兵士たちの多くは、また前線に赴き、死んで行った。救えない命の多さは、届かない希望の辛さは、よく分かります」

メイヴ「私は……!」

ナイチンゲール「だからこそ、貴女を救ってみせる。女王メイヴ。地獄はもう作らせない。それが私です」


545 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:19:06.99 ID:YcegZolL0


マシュ「たあっ!!」シュンッ

メイヴ「!!」ゴシャァ、ゴロゴロッ

ナイチンゲール「フンッ!!」ガシッ、グイッ

メイヴ「ぐうっ」ブラァ……

ナイチンゲール「……終わりです!!!」ドゴッシャァァァァァ!!

メイヴ「っぐは……」グシャァァ



バットマン「……!!」


ケルト兵達「「「!」」」ヨロッ


ビリー「終わった!?」

ジェロニモ「そのようだ!」


546 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:19:42.99 ID:YcegZolL0



メイヴ「なんで……これで、終わり……?」

ナイチンゲール「終わりです。貴女の夢も、ここで潰えた」パッ

メイヴ「……あぁ、終わっちゃったんだ……」シュウシュウシュウ……

ナイチンゲール「……人は必ず、叶わない夢を見ます。貴女のこれは夢だった。ですが、貴女は夢に命を懸けた。敬意を表します」

メイヴ「……ふふ、あぁ、終わっちゃったんだ……ごめんね、クーちゃん……」シュウウゥゥゥゥ……


ナイチンゲール「さよなら、女王メイヴ」


547 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:20:26.57 ID:YcegZolL0



マシュ「戦闘、終了。……ケルト兵達も、消えて行く……?」


ケルト兵達「「「」」」シュウゥゥゥゥゥ……


バットマン「終わったか」

ラーマ「ああ、恐ろしい相手だった」ハァ、ハァ……

ナイチンゲール「ええ。後は玉座の間に居る『王』だけですね」

ジェロニモ「しかし、何故ケルト兵達も連動して消えるんだ?」

バットマン「ドクター、何か仮説は?」

ドクター『えっと、多分だけど、そのケルト兵達自体がメイヴの存在に引っ張られて召喚された……とか? だから、消える時は連動して消えるって感じ……かなあ?』

バットマン「成程」

シータ「という事は、北の戦線に居るケルト兵達も?」

バットマン「どうだろうな。聖杯から生じたケルト兵と、メイヴに付属するケルト兵では性質が違うかもしれない。何にせよ、早急な決着が望まれる」

マシュ「行きましょう! 玉座の間は目と鼻の先です!」

バットマン「ああ。全員、気を引き締めろ。大詰めだ」



548 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:20:55.25 ID:YcegZolL0



………………

???「……」ピクッ

???「……」ノソリ、スクッ


扉「」ギギギギギ……


バットマン「……ラーマ、マシュ、先頭を。ビリー、シータ、ジェロニモ、ナイチンゲール。後方支援を徹底しろ」

マシュ「はい。……暗いですね」ジリ、ジリ

ラーマ「……注意しろ、皆。前方に何か居る」


松明「」ボッ


バットマン「!!」


松明「「「」」」ボボボボボ……


「……お前らが此処に居るって事は、メイヴはやられたか」スタ、スタ

バットマン「……お前は」

クー・フーリン「フン。アイツが引き際を見誤るとはな」スタ……


549 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:21:22.55 ID:YcegZolL0


クー・フーリン「……ったく、勝手に俺を王に祭り上げといて、挙句に勝手に死んだか」

ナイチンゲール「誇り高い最期でした。夢に殉じた、女傑と呼ぶにふさわしい執念だった」

クー・フーリン「どう呼ぼうがテメェらの勝手だ。だが、そうか……アイツはそこまで熱中して消えて行ったんだな」

ナイチンゲール「……」

クー・フーリン「……フン、俺も所詮奴に喚ばれた存在だ。どうせもう、長くはもたねえ。願いの大元が消えた以上、王である意味も無くなったしな」シュウシュウシュウ……

バットマン「ならば、大人しく聖杯を渡せ。クー・フーリン」

クー・フーリン「うるせえぞ。テメェら、誰に喧嘩を売ったのか忘れてねえだろうな」ガシャリ

マシュ「!!」ガシャッ

クー・フーリン「俺はアルスターのクー・フーリン。クランの猟犬。何より鋭い一本の槍だ。たとえ王でなくなっても、俺は戦士だ。戦いの果てに何も残らねえとしても、俺はお前達を叩き潰す」


ラーマ「……ブルース!」

バットマン「全員構えろ! 奴から目を離すな! ビリー!! 牽制だ! マシュ! 突撃を!」

ビリー「了解!」タァン!!

マシュ「はい!!」ダダッ



550 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:21:56.86 ID:YcegZolL0



 クー・フーリン最大の武器はその「投擲術」である。槍を投げ、敵の心臓を貫き、然して殺す。百発百中の殺技であり、当然バットマンはこれを警戒した。ゆえに、牽制としてビリーに先手を打たせ、マシュの近接格闘戦に持ち込もうとした。


 だが、クー・フーリンはこれを無視した。他の全てを無視し、うずくまるように屈み込み、地面に両手をついた。それはまるで、エモノに飛び掛かる直前の肉食獣じみていた。

 自らの経験に無い敵の動きに、マシュは思わず立ち止まる。狙いを外した弾丸が壁に当たり、火花を散らす。一瞬の静寂。ブルースでさえ、敵の次の動きを予測しかねた。


 まず聞こえたのは、くぐもった、不快な音であった。バットマンは気付く。それは、肉と骨が軋む音である。マシュは見る。クー・フーリンの背中から真っ赤な棘が生え、骨格が歪み、筋肉が醜く膨れるその様を。


「……」


 その怪物は、巨躯を有していた。顎は頭ほど肥大化し、片目は顔に埋もれ、反対の目は大きく突出していた。突出した目の中には七つの瞳が現れ、全身は赤黒く染まり……


 彼の者は、蒸気じみた息を大きく吐きながら、その顔を上げた。あまりの殺気に、空気がビリビリと震えた。ラーマは思わず息を飲み、シータは震える手で弓を握り締めた。


 怪物が消えた。マシュは反射的に盾を持ち上げた。そして、殆ど不可視じみたスピードの一撃を受け止めた。



 火花が大きく散り、甲高い音が鳴る。マシュはたった一撃で弾き飛ばされ、吹き飛ばされて壁にめり込む。怪物は歪んだ笑みを浮かべる。


 皆の心に絶望が生じかけたその時、怪物へと進んでいく赤い存在があった。彼女は、一人の看護師は、重圧をものともせず、怒りにも似た執念と共に突き進んで行く。


 その姿に、皆が鼓舞された。ジェロニモが戦士を称える古い詩を叫び、ビリーが弾丸を込め直し、ラーマが剣を構え、シータはラーマと並び立ち、マシュは瓦礫をふるい落とし、戦闘が始まった。



551 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:22:25.37 ID:YcegZolL0


………………


廊下「」ゴゴゴォ、パラパラ……


???「……っ」ビクリ、ガバッ

デッドショット「ようやくお目覚めか。世話が焼けるぜ、正義の味方サンよ」

???「ここは……キミは? 僕は、確か……子供達を助けようと……」フラ……

デッドショット「アンタは奴らに負けて、クリプトナイトで出来た部屋に閉じ込められてたんだ。覚えてるか?」

???「……クリプトナイト……そうだ。キミが助けてくれたのか? 確か、名前は……フロイド・ロートン」

デッドショット「……いちいち小悪党の名前を覚えてるんじゃねえってんだよ。スーパーマン様ともあろうものが」

スーパーマン「……ありがとう。これでまた、戦える」ヨロ、ヨロ

デッドショット「何? 馬鹿言うな、さっきまで死にかけだったんだぞ。休んで行かねえと」



ゴゴォ、パラパラ……


デッドショット「……畜生、なんだってんだ。さっきから城が揺れっぱなしだ」

スーパーマン「行かなければ。奴らは危険だ、僕が止めるしかない」

デッドショット「無理するな。誰かは知らねえが、この城じゃ俺達以外にも戦ってる奴が居るらしい。休む時間くらいはある」

スーパーマン「……しかし、僕は……」

デッドショット「今のお前じゃ足手まといだ。……俺が代わりに行く。動くんじゃねえぞ」タタッ

スーパーマン「なっ、待て……」フラリ、ドサァッ

デッドショット「そのまま寝てろ! お前の出番は無えさ!」タッタッ



552 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:22:58.31 ID:YcegZolL0



………………


マシュ「たあああっ!!」ヒュンッ

クー・フーリン「ガアアァッ!!」ガギィィィ、シュババッ

マシュ「くっ、ダメです! 敵のスピードが速い!」ズバァ、ドシャシャ

ナイチンゲール「下がりなさい! 貴女のダメージは深刻です!」ダッ

マシュ「フローレンスさんこそ!」ムクリ


ジェロニモ「精霊たちが怯えている……! 何て強大な敵だ!」

ビリー「ああもう、的の動きが速すぎる……!」

シータ「あれではまるで、魔王(ラーヴァナ)……」


ラーマ「マシュ! フローレンス! 数の利点を活かすのだ! 囲い込むぞ!」ダダッ

マシュ「はい!」タッ

ナイチンゲール「分かりました!」ザザァ


バットマン「駄目だ! 屈め、ラーマ!」

ラーマ「何っ!?」


クー・フーリン「ゴガァァァァ!!」ブォンッ

ラーマ「っぐわ……!?」グサァ、ブシャァァァ……


553 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:23:40.17 ID:YcegZolL0



シータ「ラーマ様!?」

バットマン「ビリー! ジェロニモ! ラーマを援護だ! シータ、矢の射出を止めるな! 少しでもクー・フーリンの動きを制限しろ! マシュ! 予測だ! 敵の筋肉の動きを見るんだ!」


バットマン(囲い込めば、それだけ敵も攻撃機会が増える。自分達より数段速く強い相手に、それは悪手……!)

バットマン(だが、クー・フーリンも消滅が始まっているハズだ! だというのに、ここまで戦えるものなのか!?)


ナイチンゲール「治療を!」ガシッ、ズルズル

ラーマ「ぐ、ぶっ、あ……!」ブシッ、ブシィ


ビリー「ジェロニモ! 何かないの!? こう、一発逆転できる精霊とかさぁ!」タァン、タァン!!

ジェロニモ「あったら使ってるさ! 神話は万能じゃないんだ!」ダッ

ビリー「駄目かぁ! やっぱり銃で解決するしかないよね!」


クー・フーリン「ググググ……グラァッ!」ダンッ


ビリー「消えた!?」

マシュ「ビリーさんっ、後ろです!」

ビリー「なに……」

クー・フーリン「ガァァァッ!!」ズバァッ

ビリー「ぐあ……!?」ドシャァッ


ジェロニモ「ビリー!?」ジリッ

クー・フーリン「ツギハ、オマエダ……」ドシ、ドシ

ジェロニモ「くっ……」


554 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:24:09.05 ID:YcegZolL0



マシュ「そうは、させません!」バッ

クー・フーリン「グロォ……」


マシュ(仲間は全滅寸前。敵は強大。今こそ、命を燃やす時……!)スーッ、ハーッ


マシュ「マシュ・キリエライト、交戦します……!」ジリィ


555 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:25:28.79 ID:YcegZolL0



 怪物を前に、マシュは半身になった。はちきれんばかりの緊張感の中、殺気と覚悟がぶつかり合う。

 クー・フーリンが床を蹴った。遅れて床が爆ぜ、破片を撒き散らす。そのスピードはこの場の誰にも見えぬほどであり、バットマンには疾風じみた影しか見えない。

 が、マシュはそれを予測していた。構えた盾と醜い爪がぶつかり合い、火花を散らす。マシュの筋肉が軋み、クー・フーリンは歪んだ笑みを浮かべる。


 次の瞬間、台風のようなやり取りが始まった。爪が盾を掠り、槍を拳が捉え、尻尾がマシュの脇腹を打ち、頬を拳が打ち抜く。

 風が吹き荒れ、瓦礫が吹き飛んで行く。マシュの瞳の輝きが増し、クー・フーリンの全身から禍々しいオーラが噴出する。

 ここへ更に、凄まじいスピードで参戦する影があった。ジェロニモ。精霊の力を借り、風のように素早く、山のように力強く、火のように荒々しく踏み込む。

 三人はもはや常人の目には見えず、食らい合うような攻撃で身を削りながら戦い続ける。


 シータも覚悟を決め、矢筒から矢を引き抜く。そして、もはや霞む色としか思えない乱戦の中に目を凝らす。


(神々よ。そしてラーマ様。どうかご加護を。私にこの一矢を撃つ勇気を)


 シータは目を開き、しっかりとその乱戦を見据えた。マシュが槍を受け止め、生じた隙にジェロニモがナイフを振り抜く。クー・フーリンは爪で受け止め、尻尾を振り抜こうと地面を踏みしめる。


 そして、矢が放たれた。空気を裂き、その一矢はクー・フーリンの首を目掛けた。怪物は意外そうに目を開き、その一撃を見ていた。


 矢が、彼の喉を穿った。クー・フーリンは血液を口から漏らす。致命傷だ。もはや勝負あった。マシュは動きを止める。



 だが、直後に尻尾がマシュの頬を打ち据え、弾き飛ばした。ジェロニモが飛び退いたコンマ1秒後、それまで彼が立っていた場所に槍が突き刺さった。


 クー・フーリンはもはや己の命にすら頓着せず、血を撒き散らしながら吼えた。彼は血走った目を開き、ジェロニモへと向かって駆けて行く。


 不死身じみた怪物の暴動。しかし終わりは見えていた。クー・フーリンの背中から立ち昇る光の粒が、加速度的に増えて行く。それは消滅へのカウントダウンだ。



556 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:26:00.62 ID:YcegZolL0



(ようやく見えた。ようやく見えたんだ。命が終わろうとしてやがる。俺は終わりだ。余計なモンが全部消えて行く)


 クー・フーリンは歓喜しながら、爪を振るう。下手にガードしたジェロニモは吹き飛び、壁に突っ込んで粉塵を撒き散らす。


(終わりだ。だが、終わらせるのも俺だ)


 クー・フーリンは、次いでバットマンに目を移す。殺気に打たれ、片膝をついていたバットマンは立ち上がる。だが、彼が立った時には既に、怪物はバットマンの目の前で爪を振り上げていた。


 そこへ、マシュが飛び込み、盾で爪を受け止めた。バットマンはマシュの頭上を跳び越え、怪物の顎へと蹴りを繰り出す。

 怪物は無造作にその蹴りを掴む。一動作。マシュはその隙を突き、正拳突きでクー・フーリンの鳩尾を抉る。こらえきれず、吐血が散る。

 バットマンは素早く蹴り足を戻し、空中で回転しながら怪物の喉に突き刺さった矢へと拳を繰り出した。更に深々と突き刺さり、クー・フーリンはよろめく。


 バットマンは着地し、マシュがそれを庇うように立つ。万全のコンビネーションであり、これを破るのは難しいだろう。


 そして、死が近い。怪物は今や全身を赤く染め、立っているのもやっとな状態である。魔力はとうに枯渇し、消滅の光粉は止まらない。だが、それでも、怪物は立ち続ける。


「俺はクー・フーリンだ。俺は。クー・フーリンだ」


 下らねえ。ヘドが出る。自分の言葉に笑いながら、それでも怪物はうわ言じみて呟き続ける。お前がそう願ったなら、俺はそうあろう。王であり、槍であり、一人の男であろう。たとえ歪んでいたとしても。


 ラーマが起き上がり、剣を構えた。ジェロニモも壁から抜け出し、シータは弓に矢をつがえる。ビリーも床に手をつき、ナイチンゲールは怒りと共に怪物へ向き直る。


 誰かが吼える。静寂を破り、またしても全員が動き出す。


557 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:26:39.93 ID:YcegZolL0



 クー・フーリンはシータへと飛び掛かった。が、ラーマがそれを庇い、袈裟懸けに切り裂かれた。

 ラーマは膝をつくかに思われた。だが、開いた傷は煙を噴き上げ、音を立ててふさがっていった。

 クー・フーリンはその原因に目をやる。戦場の中心、燃える瞳で自分を睨む赤い看護師へと。

「貴方はもう、何者をも害する事は無い。戦の禍よ。これが終わりです」
「終わりだと。終わりだと!!」

 怪物が吼える。槍が輝く。ナイチンゲールは決してひるまず、歩いて距離を詰めて行く。

「貴方は病気です。私は救ってみせる。全ての命を」
「終わりだと!! これが!!」
「私は天使ではない。女神でもない。それでも私は、全ての毒あるもの、害あるものを絶ち、人々の幸福を導きましょう」

 宝具だ。怪物は気付く。看護師の宝具が、周囲の者を癒している。傷を癒している。地獄を癒している。


 ラーマが斬りかかる。ビリーが撃ち込む。クー・フーリンは片手でそれを払いのけ、今や一人の看護師とまっこう向かい合う。


 ジェロニモが飛び掛かる。シータが射る。マシュが殴りかかる。怪物は三人分の圧力と組み合い、なおも看護師を睨む。


「もう、傷付けさせない。私が居る限り!」
「黙れ! 終わるか! 俺は、まだ!!」


 不意に、銃撃音が響いた。クー・フーリンは自分の身体を見下ろした。そうして、胸に空いた穴を見た。遅れて穴から血が噴き出し、床を染めていった。


 怪物は、未だ理解が及ばないといった体で、後ろを振り向いた。そこには、いつぞやの狙撃手が立っていた。


「仇は取ったぞ、エリザベート」


 狙撃手は独りごちた。怪物は崩れ落ちた。


558 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:29:20.09 ID:YcegZolL0



クー・フーリン「……ちっ、終わりか……」シュウシュウシュウ……


クー・フーリン(メイヴ、お前はどんな気持ちだった。俺と同じ気持ちか?)シュウシュウシュウ……


クー・フーリン「……」フッ


シュゥゥゥゥゥ……


聖杯「」カラン……


559 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:29:49.23 ID:YcegZolL0



バットマン「……フロイド?」

デッドショット「動くな。テメェら、全員だ」カチャリ

ビリー「ちょっちょっちょ、待ってよ。味方なの? 敵なの?」カチャリ

シータ「ラーマ様!」バッ

ラーマ「こやつ、相当できる……あの距離から、心臓を撃ち抜くとは」ガシャリ

マシュ「マスター、指示を!」

バットマン「待て、全員止まれ! フロイド、何故ここに居る!?」

デッドショット「そいつはこっちの台詞だ、コウモリ野郎め。忌々しいぜ、こんなところでも因縁が付いてきやがる」


560 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:30:17.34 ID:YcegZolL0



バットマン「……事情は分からないが、今までのお前の動きを見る限り、敵とは思えない」

デッドショット「どうかな? 聖杯ってのは万能の願望器なんだろ? なら、俺の家族とエリザベートを呼び戻す事も出来るって訳だ」

マシュ「……! それは……」

デッドショット「世界を救う? クソ喰らえだ。俺は自分の願いを優先させるぜ。お前らみたいな聖人君子ってワケじゃねえからな」

バットマン「この人数差だ。やれると思うのか、フロイド」

デッドショット「やれねえと思うのか、バットマン。俺は切羽詰まってるぞ」カチャリ……


561 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:30:49.28 ID:YcegZolL0


ナイチンゲール「……家族、ですか。戦争に巻き込まれ、殺されでもしましたか」

デッドショット「黙れ」

ナイチンゲール「では貴方は、他の皆に地獄を押し付け、自分一人が楽となる事を良しとするのですか」

デッドショット「黙れ。俺は慣れてるぞ」

ナイチンゲール「貴方の家族はどうです? エリザベートとやらは、他人に理不尽を押し付けるのを良しとしますか?」

デッドショット「……黙れ! お前の眉間から撃ち抜いてやろうか!?」チャキ

ナイチンゲール「それは貴方の願いです。目を逸らしてはいけません。少なくとも、ここの王も、女王も、自分の願いを誤魔化しはしなかった」

デッドショット「……!!」


マシュ「ま、待ってください! 皆さん、聖杯を……!」



562 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:32:52.75 ID:YcegZolL0


聖杯「」コロコロ……


???「ふむ、参ったものだ。まさか、五つ目の特異点まで攻略されてしまうとはな」コツ、コツ

バットマン「お前は……!!」

レフ「くくく、久しいな。黒衣の騎士に、マシュ・キリエライト。健闘してるようだ」

マシュ「レフ・ライノール!? 第二特異点で、アルテラに両断されたハズじゃ……」

レフ「ははは、主のおわす『玉座』に接続し直せば、このような身体はいくらでも作り直せる」

バットマン「……ゲーティアか」

レフ「ああ、お前達はもうあの方の言葉を聞いたのだったな。あの提案を蹴るとは、愚かしさも極まったものだ」

563 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:33:24.50 ID:YcegZolL0



ナイチンゲール「ブルース、彼は」

バットマン「人理の病気の原因だ。しつこい奴だよ」

デッドショット「何者だ。その杯から手を放せ」カチャ

レフ「ククク、人間程度がこの私に指図かね。面白い、実に面白い。この聖杯の真なる使い方も分からん猿が」

バットマン「また聖杯を取り込んだ肉の柱と戦わされるという事か? 芸がないな、レフ・ライノール」

レフ「あぁ〜、それも良いが……今回は少し趣向を変えるとしよう。諸君らも気付いているだろうが、今回の特異点は神話絡みが多かっただろう?」

バットマン「……」

レフ「ククク、因果律というものがあってな。意図せずとも、関連性のあるものが引きずり出されるという事はままある」

バットマン「何が言いたい」

レフ「おや、では要点を言うとしよう。全ての世界の終わりとは、神話の終わりとは、どのような日になる?」



564 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:34:04.91 ID:YcegZolL0



ラーマ「……? どういう事だ?」

バットマン「……! まさか、貴様……!」

レフ「そう、審判の日(ドゥームズ・デイ)だ。キミが居てくれてよかったよ、バットマン。そして、意図せず召喚された、神の如き『彼』もまた……十分な因果を作ってくれた事だろう」

バットマン「全員、奴の聖杯を全力で奪取しろ! マシュ、令呪を以て……!」

レフ「もはや遅い!! 来たれ、全ての終焉よ! 星の終わりよ! そして、神々の絶望よ!!」


聖杯「」ギュオォォォオォォォオオォォ!!!


マシュ「この、魔力反応は……!!」

ドクター『!! 観測機器が故障したのか!? なんだコレ!?』

レフ「では、さらばだ。また会えると良いな、バットマン」シュンッ

バットマン「待て……!」


聖杯「」カッッッッ!!!!



565 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/04/25(木) 02:34:43.23 ID:YcegZolL0



シュゥゥゥゥゥ……

バットマン「げほっ、ごほっ……」

マシュ「マスター、無事ですか。召喚の衝撃波が、今までとは比べ物にならないくらい……」

バットマン「……」

マシュ「……マスター?」

バットマン「……マシュ、構えろ……」


???「……」ムクリ


マシュ「……!? マスター、あれは、一体……この魔力は!? こんな、滅茶苦茶な……まるで、世界そのもののような……」

バットマン「マシュ! 構えろ! 集中するんだ!」

バットマン(不味い。アレは、この世界にあってはならないものだ……!)

バットマン(ドゥームズデイ……!!!)


ドゥームズデイ「……」ユラリ……ドシ、ドシ




566 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/04/25(木) 02:36:06.45 ID:YcegZolL0
間が開いて申し訳ない、今回の更新はここで終わりです。
キャット戦はスキップです。度重なるミスのせいで疑心暗鬼にさせて申し訳ありません。
567 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/04/25(木) 02:42:30.10 ID:YcegZolL0
ドゥームズデイ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%87%E3%82%A4_(DC%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)

https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/doomsday.html

今回の悪役の参考資料です
568 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/04/25(木) 02:58:10.94 ID:YcegZolL0
スーパーマン

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3

https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/superman.html

すみません、ヒーローの参考資料を忘れていました
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/25(木) 11:12:35.93 ID:YCgYOrAOo
おつおつ

こうやってちゃんと投下しに来てくれるんだから
待ってたかいがあるもんだ
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/25(木) 13:50:39.03 ID:LIJkG9tkO
更新きたか!
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/25(木) 15:34:22.38 ID:MZueujoWo
おつ!
スーパーマンはやっぱ安心感半端ないな
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/26(金) 19:38:47.06 ID:qbiKSO4A0
乙乙!
婦長がかっこよくてよかったです(コナミ
あとデッドショットがほんとすき……

これからもやりやすいペースでいいのよ、俺らは待ってるからさ
573 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:15:01.93 ID:69VCOY9o0


………………

 その異様な気配を感じ取り、『彼』は目を覚ました。彼はまず、空気の匂いを嗅いだ。朝の匂いだ。彼はその中に、無意識にナパーム弾の匂いを嗅ぎ取ろうとしている自分に気付き、止まった。

彼は森の中、横たわったままで暫く動けず、何故自分がこのように……無様に、地面に転がっているのかを思い出そうとしていた。


 燃え上がるような闘志の少女との激突。二度にわたる敗北。迫る回し蹴り。因果応報などという、陳腐な言葉。彼は吹き飛ばされた仮面を遠くの地面に見つけ、己の顔に手を当てた。指に触れる眼帯の感触に、初老の男性は苦笑いを浮かべる。


 ならば、己は敗北したのだろう。デスストロークは地面に手を突き、苦労して体を起こす。そうして、棍を杖じみてつき、仮面を取って顔に付けた。

 異様な気配の出どころは、自分達の本拠地である。クー・フーリンの気配は既にない。つまり、自分達は敗北したという事だ。世界ごと滅ぼす策など、破れかぶれも良いところなのだから。


(では、俺はどうする。因果の裁きすら受け、周りに何もなくなり、戦士としての拘泥すらなく、スレイドとして行動する時、俺はどうなる)


 スレイド・ウィルソンは溜息を吐き、上を見上げた。そして身体を奮い立たせると、戦場で培ったカンを活かし、素早く駆け出した。




574 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:15:35.88 ID:69VCOY9o0



………………

フリーズ「!!」ビリビリビリッ


フリーズ(なんだこの……嫌な感覚は!? 何が起きている!?)

フリーズ(方角は、あちらか? フィンを連れて行かねば……いや、だが、しかし、フィンは……)

フリーズ(どうすればいい? どうすれば……)


………………


ペンギン「よし、それじゃあ第二ラウンドは俺が審判だ。良いか、お互いに……!?」ビリビリビリッ

カルナ「!?」ビリビリビリッ

アルジュナ「っ、なんだコレは!?」ゾワァ

ペンギン「お、おぉ、なんだ……!?」ヨロ

カルナ「嫌な、感じだ。向こうの方角から」ジッ

アルジュナ「カルナ、貴様らの陣営か!?」

カルナ「馬鹿を言うな。俺達は知らない」

ペンギン「何が起きてる!? おいっ、神通力か何かで分からんのか!」

アルジュナ「……ともかく、行くしかないだろうな。どうだカルナ」

カルナ「異論はない」


575 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:16:02.65 ID:69VCOY9o0



………………


ケルト兵達「「「」」」シュウシュウシュウ……


エジソン「……? ケルト兵が、消えて行く? いったい、何が起きて……」

エレナ「あ、ああぁ、あぁ……ダメよ、そんな、ダメ……」ガクガク

エジソン「エレナ女史? どうしたと……!?」ビリビリビリッ

エレナ「見えたわ。見えたの。だって、あんな大きな存在、見えない訳がない……マハトマも、ハイアラキも、皆消されてしまう……」ブルブル

エジソン「ど、どういう事だ?! 何が見えたというのだ!? こ、この嫌な感覚は!?」

エレナ「来る……アレが、来る……!」



576 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:16:35.88 ID:69VCOY9o0



………………


『それ』が召喚された瞬間……否、正しくは召喚の手順を踏んでいる間も、絶え間なく見えない力は働いていた。地球を守らんとする力、人類を守らんとする力である。それらは普段、我々には見えず、大いなる力で我々を守る……と、されていた。


 だが、その大いなる力は、純粋にもっと巨大な力でねじ伏せられた。存在格が、違い過ぎるのだ。『それ』が地に足をついた時、大いなる力は、まるで敗北を受け入れたかのように静まった。


 おおよそ人とは思えぬ巨躯。体毛一本すら無い、筋骨隆々の身体。殺意と憎悪に燃える瞳。全身でもって、生命への敵対を表す究極の悪。




 新約聖書には、明確に人々の『最後の日』が定められている。その日、人類は天使と悪魔の最終戦争で引き起こされる災厄によって、殆どが息絶える事となる。


 ドゥームズ・デイ。人々はもはや、逃げまどう他に無い。


577 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:17:05.05 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ


デッドショット「……なんだ、コイツは……」

マシュ「敵、接近してきます! マスター!?」

バットマン「マシュ! 盾を構え、決して崩すな! ビリー、ラーマ、シータ、ジェロニモ、ナイチンゲール!!」

ラーマ「あ……あ、あ……」

シータ「ラーマ様! ラーマ様、お気をしっかり!」

ビリー「これ、は、ちょっと、ムリかもね……」プルプル

ジェロニモ「馬鹿な……こいつは、一体……」

バットマン「全員! 聞け! このままでは人理救済が不可能になる! ビリー! 牽制射撃だ!」

ビリー「あ、お、おうとも!」タァンタァン!!

弾丸「「」」ヒュォォォォォオッ


ドゥームズデイ「……」キキィン……


ビリー「……あの、目に当たったと思うんだけど……」

バットマン「……!! 全員、退避だ! 退避しろ!! マシュ、ナイチンゲールを抱えて逃げるぞ!」

ナイチンゲール「いいえ、逃げません!!」

マシュ「フローレンスさん!!」

ナイチンゲール「私は置いて行きなさい!」

バットマン「くっ……フロイド! 行くぞ!」

デッドショット「ち、くしょうめ!」ダッ

ドゥームズデイ「……」ググッ、ダンッ


デッドショット「う、ごっ!?」バギャァッ、ドシャシャシャシャァ……


バットマン「フロイド!?」


578 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:17:32.38 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」スタッ、ググッ

バットマン「!!! 次が来るぞ! シータ、矢を……」


壁「」ドガァァァァァァ!!!


???「うおおおおおぉおぉぉぉおぉお!!!」ヒュォォォォオォォッ、ドガァァァァァ!!!

ドゥームズデイ「!?」ドッシャアアアアゴシャシャシャシャ……


バットマン「な……」


ドクター『ブルースくん、その敵の解析結果が出た! そいつは超高密度の……ま、待った、その人は!?』


バットマン「クラーク!?」

スーパーマン「まだまだ……!!」ググッ

ドゥームズデイ「……!!」ブォンッ

スーパーマン「ぐわっ!?」ドシャァァァァァ……


579 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:18:06.70 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……グルォォ……」ググ、ダァン!!!


ドガァァァァァ!!


バットマン「くっ……ドクター、敵が天井を突き破って跳躍した! 何処へ向かっているのか解析してくれ!」

ドクター『ま、待ってくれよ、えーと……なんてこった、この大陸の中心地へ向かってるぞ。恐らくだが、奴は特異点ごと我々を消滅させる気だ!』

バットマン「予測される敵着地地点を仮想マップ上に表してくれ!」ピ、ピ、ピ

ドクター『オーケー! これだと……多分、北の主戦場だった地点に着陸する! そこでどでかい何かを一発ぶち上げるつもりだろう! そうなると、こちらのリミットが破壊される恐れも出て来る!』

バットマン「リミット!?」

ドクター『シバの観測できるエネルギー量には限りがあるんだ。あまりに強大なエネルギーが発生すると、レンズが割れて特異点の観測そのものが不可能になる。つまり、人理消滅だ! 早く敵を止めなければ!』

バットマン「……了解した」ピピッ



580 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:18:37.61 ID:69VCOY9o0


ナイチンゲール「無事ですか。起きられますか」

デッドショット「……」グタッ

ナイチンゲール「……気絶しているようです」


バットマン(命に別状は、無いか。……だが、しかし、これは……)


バットマン「……クラーク。起きられるか」スッ

スーパーマン「あぁ、有難う……キミは、ブルース? 何故ここに?」パシ、ムクリ

バットマン「こちらの台詞だ。何故……ドゥームズデイが現れた時に、キミが……」

スーパーマン「何にせよ、助かった。キミが居るなら百人力だ。一緒に来てくれ、あの怪物を止めなければ」


ドクター『待った、待った! キミってスーパーマンだよね!? あの、伝説の!』

スーパーマン「? 伝説? いつから僕たちは伝説になったんだ、ブルース?」

バットマン「……キミだけだ。私を一緒にするのはやめてくれ」

職員A『え!? スーパーマンがそこに!?』

職員B『ほほほ、ホントに!? 本物のスーパーマンですか!?』

職員C『うわ、マジかよ! 子供がアンタ……じゃなくて、貴方の大ファンで……!』


バットマン「……」


581 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:19:05.96 ID:69VCOY9o0



マシュ「……聖杯反応、あの敵性体の内部からです。やはり、アレを止めないと」

ラーマ「すくんでしまった自分が情けない……」

シータ「仕方ありません。あれほどの存在を目にすれば、たとえ神々と言えど……」

マシュ「追いますか、マスター」

バットマン「ああ。……しかし、追いついたところで、対抗できるか……」

スーパーマン「僕とキミが居る。急ごうブルース、僕たちなら止められる」

バットマン「……しかし、クラーク。ずいぶんと、調子が悪そうに見えるが」

スーパーマン「少し、クリプトナイトの部屋に閉じ込められていたんだ。だが大丈夫、少しずつ調子は戻って来てる」

バットマン「成程な……では、行こう」

ナイチンゲール「待ってください。狙撃手の彼は?」

バットマン「フロイドは、目覚めても我々と行動を共にするとは考えにくい。今は一刻を争う。……回復するのなら、置いて行くぞ」ダダッ


582 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:19:33.17 ID:69VCOY9o0


………………

フリーズ「……」ガシャ、ガシャ、ガシャ……

フィン「……今のは」

フリーズ「分からない。だが私は行く。止めねば」ガシャ、ガシャ、ガシャ……

フィン「……」

フリーズ「……短い間だったが、お前と行動を共に出来て良かった。お前の行動は、私に影響を与えた。確かに、その通りだよ。自分の幸せより、己の押し付けるような愛より、優先すべきものはある」

フィン「……!」ググッ

フリーズ「愛を与える時、相手を思いやれなければ、それは自己満足だ。……お前という男を、私は忘れまい」


583 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:20:02.22 ID:69VCOY9o0


フィン「……ヴィクター殿は」

フリーズ「……」

フィン「何故、行くのです。このように異常な力の波に、何故立ち向かう。親指の智慧を使うまでも無い。立ち向かえば、死ぬでしょう」

フリーズ「……」


(((……でも、約束してね、ヴィクター)))

(((もし、私を治す方法が見つからなかった時は……その時は……)))

(((最期の一瞬は、世界を感じさせて。冷たい氷の中なんて嫌。貴方と一緒に、暖かい日向を歩かせてね……)))


フリーズ「……私も、約束したんだ。きっと彼女の世界を守ると。それだけで、私の生きる理由になる。死ぬ理由になる」


584 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:20:29.15 ID:69VCOY9o0



フィン「……ああ。やはり、かなわないものだなぁ」

フリーズ「……私は行く」ガシャ

フィン「いいえ、待ってください。私も同行しましょう」スクッ

フリーズ「来るのか? 何故?」

フィン「決まっているでしょう、ヴィクター殿。仕方ないと誤魔化していたが、私もやはり、愛していたのです」スッ

フリーズ「……止まれないぞ、フィン」

フィン「止まるつもりもありませんとも! 我らの勇猛を止める者が何処にありましょうや!」

フリーズ「……」フッ

フィン「さあ、行きましょう!!」


585 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:20:56.23 ID:69VCOY9o0



………………


マシュ「……あの、スーパーマン……さんと、お知り合いだったんですか?」タッタッタッ

バットマン「ああ。そう深い仲でもなかったが」ダダダ……

スーパーマン「ジャスティスリーグという組織を結成してたんだ。ええと、ダイアナと、ハルと、アーサーが居たな……」ヒュォォォォォオォォォォォォ

バットマン「……キミ自身は、どれほど覚えているんだ。以前の事を」

スーパーマン「? 僕たちは平和を守るために、ジャスティスリーグを発足させたばかりだっただろう?」

バットマン「……」

スーパーマン「……ブルース?」

バットマン「……クラーク、キミは……」

スーパーマン「……」


マシュ・スーパーマン「「何か隠しているな?(いますね?)」」

バットマン「……」

ビリー「あはは、綺麗にハモった」


586 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:21:23.50 ID:69VCOY9o0


マシュ「だってマスター、何か隠しごとをしている時は表情が動かなくなるんですよ」

スーパーマン「心音も少し速まった。分かりやすいな、ブルース」

バットマン「……」

ナイチンゲール「……まだ隠し事は良くないと学べませんか、ブルース」

バットマン「……士気を下げると思ったんだ」

スーパーマン「構わないさ、ブルース。僕が居る」

バットマン「キミが居るからだよ、クラーク……」

マシュ「ですが、今は秘密の方が士気を下げるかと思われます、マスター……」

バットマン「……」


587 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:22:01.18 ID:69VCOY9o0


バットマン「……クラーク。ジャスティスリーグ発足直後で記憶が途切れているらしいな」

スーパーマン「ああ、その通りだよ……どうしたんだ? やけに思わせぶりじゃないか、ブルース」

バットマン「実際には、ジャスティスリーグは解散した。発足したすぐ後に、とある事件が起きたんだ」

マシュ「……とある事件?」

スーパーマン「……」

バットマン「スーパーマンとドゥームズデイが相討ちになって、死んだ」

スーパーマン「……あぁ、成程」


588 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:22:29.81 ID:69VCOY9o0


ドクター『それは、僕も聞いた事がある。LAでの死闘だ、テレビ中継もすごかった。あの戦いだけで、何十万もの人々が死んだとも聞いている』

バットマン「キミを失ったジャスティスリーグは長続きしなかった。分かるだろう、私は……あまり、人をまとめるのが上手くなかったからな」

スーパーマン「……そうか? キミほど優れたリーダーは居ないと思っていたが」

バットマン「持ち上げるな。……そういう事だ。このまま行けば、キミは死ぬかもしれない」

マシュ「……」

スーパーマン「……だが、今回はキミ達が居るだろ? 頼りにしてるさ、ブルース」

バットマン「……はぁ。キミに何を言っても止まらない事くらいは知っていた……」


589 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:22:58.49 ID:69VCOY9o0



ナイチンゲール「ジャスティスリーグ、ですか。そのような組織が現代に存在していたとは、驚きです。衛生面での保全活動はどなたかなさっているのでしょうか」

スーパーマン「うーん……皆で出来る当たり前の事をやってた、くらいのものかな。ははは、そんなに難しい話はなかったと思う」

ナイチンゲール「素晴らしい理念です。当然の事が出来ない人はあまりにも多い」

スーパーマン「そう言ってもらえると嬉しいよ。でも、同時に悲しくもなる。皆がヒーローになれる訳じゃない」

マシュ「……そうですね、その通りです」

ラーマ「うむ、英雄(ヒーロー)とは難儀なものであるよな。プライベートの時間もそうそう取れる訳で無し」

シータ「それでも、私はラーマ様が居てくれるだけで……」

ラーマ「……余も、シータが傍に居てくれるから頑張れるのだ」

ビリー「あーー!! すごい砂糖!! どんな話題からでも甘い空気!!」


590 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:23:28.61 ID:69VCOY9o0



………………


エジソン「む! ロボット達の対空レーダー網に感あり! 飛来物だ!」

エレナ「エジソン、無茶よ! 逃げましょう、今なら間に合うわ!」グイグイ

エジソン「……エレナ女史、キミを巻き込むつもりはない! だが、私はきっと、どんな逆境の中でも立って戦うだろう!」バッ

エジソン「こんな言葉を知っているかね!! 『私たちの最大の弱点は、諦める事にある』と!!!」ガオオッ

エレナ「……!」

エジソン「今の人類史は!! 守るべき発明品であり、私達の宝である! そうは思わないか、エレナ女史! 先達として、世界を見守るのは私達の役割であり……!!」

エジソン「それを守る機会が我々に回って来たというのは、とてつもない名誉であると!」


591 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:24:04.07 ID:69VCOY9o0



エレナ「……言っておくけど、貴方の格言を皆が知ってると思ったらダメよ」

エジソン「うむ、それは反省しておこう!!」

エレナ「でも、名誉はそうね。マハトマに選ばれたのなら、相応の働きをしなきゃ……」

エジソン「うむ! 自分が決して曲げられぬと思うものにすがり、戦うのが一番だ! 逃げてもどうせ追いつかれるしな! 電流戦争みたいに!!」

エレナ「……はぁ。それさえなければ、あなたたちの事はもっと好きよ……」

エジソン「全ロボット、対空砲火よーーーーい!!」


ロボット達「「「」」」ガシャシャシャシャシャシャシャ……


エジソン「……放てエ!!!」


ドドドドドドドドドドドドドドォォォォォ……


ドゥームズデイ「……」ギギギギギギギィン……ドッサァァァン……


エジソン「……弾丸が全部体表で弾かれたように見えたが」

エレナ「ええ、そうね」

エジソン「やはり撤退も一考して良かったやも……」

エレナ「今更何言ってるの。私はもう覚悟を決めたわよ」

エジソン「うむぅ……」



592 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:24:32.34 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ムクリ、ドシ、ドシ

エジソン「えーと、エレナ女史は格闘戦はイケる口……」

エレナ「ムリよ! あなたこそ、そんな良い体格なのにダメなの!?」

ドゥームズデイ「……」ググッ

エジソン「む、むむ……私は本来サポート型なのだが……ここは直流式格闘術をご覧に入れるとしよう!」スッ


ダダッ


ヒュォンッ!!!


ドゥームズデイ「!?」バッシィィィ、ユラッ

「フン、あのスーパーマンを殺したと聞いていたが、俺の聞き間違いだったか?」クルリ、スタッ


エジソン「なに!?」

エレナ「あ、あなた!?」

デスストローク「随分腑抜けと戦う事になっちまったもんだ」ガシャリ


593 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:25:04.37 ID:69VCOY9o0



エジソン「キミは敵だと思っていたが、仮面の紳士よ!」

デスストローク「……フン、何のために戦おうが俺の勝手だろう。しっかり役割を果たせ、サポート型共」チラ

エジソン「サポート型共ではなく、エジソンである! その辺の名前はきちっと呼んでもらいたい!」

エレナ「そうよ、人の名前を呼ばないのは失礼よミスター!」

デスストローク「ちっ、面倒な奴らだ」イライラ

ドゥームズデイ「……」ドシドシ、ダンッ

デスストローク「!!」バッ、


ドゴォッ!!


デスストローク「うっぐぉ……!?」ドシャシャシャシャ……


エジソン「!! しまった、唯一の格闘可能戦力が!」

エレナ「サポートしましょう、サポート!」


デスストローク「ええい……!」バッ、クルクル、スタッ


デスストローク(なんという怪力だ。俺が不死身でなければ死んでいたぞ)ゴキ、ゴキリ


ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ、ドシ


594 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:25:31.62 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ググッ


デスストローク(……? なんだ、上体を逸らした?)


ドゥームズデイ「……!!」ギュゴォォォォォォオォォォォォ!!!

デスストローク「!!!」ガッギャァァァァァァァドシュシュシュシュシュシュシュゥゥゥゥ!!!!


エジソン「何! 目からビーム!?」ギュオオオオオッ

エレナ「あの原理は興味深いわね、後で考察しましょう!」ギュドドドッ


光弾「「「「「」」」」ギュオオオオオッ


ドゥームズデイ「……」ドシュシュゥッ、クルリ


ビーム「」ビィィィィィィィイィィィィィ!!


ロボット達「「「」」」ドガァァァァァガッシャァァァァ!!!


エジソン「まずいっ、伏せたまえ!」ガバッ

エレナ「きゃっ!?」ドドッ


ビーム「」ビィィィィィィイィィィゴシャァァァァァァ!!!


エジソン「うむぅ、迂闊に振り向かせたのは下策だったか!」ジリジリ

エレナ「そ、そうはいっても、なんとかしないと!」



595 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:26:02.58 ID:69VCOY9o0



デスストローク(あの、野郎め。やってくれやがる……!)ジュウウウウウゥゥゥ……

デスストローク(ああ、クソ、意識が、途切れそうだ……)


(((……この子が死んだのはアンタのせいよ……)))

(((スレイド・ウィルソン。被検体番号、80218……)))

(((……畜生め、クソ喰らえ。死ぬだと、俺は、ここで……)))


デスストローク(ダメだ。起きろ、スレイド・ウィルソン、下らない感傷にはノーを突きつけろ。立つのに理由は要らん。命を燃やすのに、理由は要らん)ググッ、ムクリ


ドゥームズデイ「……?」クルリ

デスストローク「……」フラフラ、ユラリ


596 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:26:34.91 ID:69VCOY9o0



デスストローク「オレを、殺したと思ったか。スーパーマンのように?」

ドゥームズデイ「……」

デスストローク「下らんぞ。俺はデスストロークだ。最強の暗殺者だ。俺は奴のように誰かを守る事なんぞ無い。ただ……」


デスストローク「俺はただ、生きると決めた。何も残らん、空虚な生だとしても」

ドゥームズデイ「……?」

デスストローク「笑いたいか。笑うと良い。そもそも、ナパーム弾一発で何十もの命が消えるのを見て来た俺だ」


(((嫌だ! 助けてくれ!!)))
(((スレイド、頼む、俺はまだ……)))

(((お父さん、また行くの……?)))

(((アンタのせいよ!!)))

(((……何故、俺は死ねない。何故俺は死ねないんだ。命とは何だ。それは今まで、何より軽んじられてきたものだったハズだ)))

(((……ならば、)))


デスストローク(ならば、この俺に言い訳がましい死など不要! この世に永遠の命など不要!!)


597 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:27:11.72 ID:69VCOY9o0




デスストローク「生きている幸運くらい、自由に使わせてもらう」フッ

ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ

デスストローク「かかってこい。この世を滅ぼすだと? お前には少し荷が重いぜ、兄弟」カチャ、シュリイィィィ……


デスストローク(さあ、何秒時間稼ぎが出来るかはお前達に掛かってる。しっかりやるんだぞ、サポート型共)スッ


エジソン「ま、待て、今サポートのロボット達を呼び寄せる……」

エレナ「エジソン! 今からは間に合わないわ、援護射撃とサポートに徹して!」

エジソン「ええいっ、駄目か!!」



デスストローク「……!!」ダッ、ブォンッ

ドゥームズデイ「……」ジッ



598 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:27:43.84 ID:69VCOY9o0


 デスストロークは跳びかかり、目にも止まらぬ神速の一閃を繰り出した。が、ドゥームズデイは防御すらせず、それを首で受け止める。火花が散り、甲高い音が鳴り響く。


(固い表皮。ならば)


 デスストロークは剣を放り捨て、棍を構えた。怪物は身動き一つなく、目の前の羽虫じみた敵の動きを見る。


 スレイドは身体を捻り、跳躍と共に棍を振り抜く。速度と威力が十分に乗った一撃がドゥームズデイの首筋を捉え……そして、鉄の棒が折れた。破片が飛び散り、スレイドは驚愕に目を見開く。


 ドゥームズデイの無造作な前蹴りが、デスストロークに叩き付けられる。咄嗟にガードしたものの数メートル弾かれ、彼は歯を食いしばって威力に耐える。


(無理だ)


 遠方から見ていたエジソンが不可能を悟り、助勢に駆け付けようとする。が、察したデスストロークは、それを手で制した。

「余計な、フゥー……余計な助太刀だ。俺はまだ倒れていないぞ」


 冷たい声色で拒否しながら、デスストロークは拳を構える。実際、彼は今の蹴り一発で既に意識が朦朧としており、危険な状態だった。


 だが、彼は他者の介入を拒んだ。おぼろげな意識の中で、スレイド・ウィルソンは仮面の奥、笑みを浮かべる。


 絶望的な敵を前に、スレイドは拳を繰り出す。直撃した拳が逆に砕け、血を撒き散らす。ドゥームズデイは首を傾げ、虫けらじみた敵を見下ろす。

 が、スレイドが拳を止める事はない。拳が砕けたならば逆の拳で、それも砕けたならば脚で、脚が砕けたならば再生が始まった拳で……絶え間ない激痛が彼の意識をたびたび揺り戻し、また彼岸へと押し流し、彼を死と生のはざまで行き来させる。


 スレイドの視界には幻が映る。殴る先に居るのは、これまで殺した者達、大物、小物、何の罪もない市民、バットマン、盾を持った少女、そして、あの日に殺された息子。

 
 ならばこれは罰か。スレイドはしかし、決して認めなかった。


「なにが罰だ」


 仮面の奥から声が漏れる。ドゥームズデイが煩わしげに手で払うのを躱し、スレイドは両拳を敵の脇腹へと叩き込む。


 ここで初めて、ドゥームズデイの姿勢が揺らいだ。効果あったか。……いや、体勢のバランスを崩したか。ならば畳みかける!


「知っているか、ドゥームズ・デイ。人はお前が手を下さずとも、死んでゆく」


 デスストロークは跳躍、回転しながら蹴りをドゥームズデイの頬へ叩き込む。怪物はよろめき、崩れて膝をつく。エジソンたちのサポート効果もピークを迎えつつある。ここで決める。デスストロークは着地する。


「ジャングルで、朝早くに、丸焼きにされるヤツも居る。モルモットのように、薬の実験台になって死ぬヤツも居る」


 デスストロークは踏み込み、強烈な正拳突きを繰り出す。が、ドゥームズデイはそのパンチを捉え、握り込んで潰し、離さない。

 しかしデスストロークは、一切の迷いなく手首を千切って自由を取り戻すと、もう一方の腕で鋭い突きを繰り出した。ドゥームズデイは目を突かれ、苦悶の声と共に仰け反る。


「あるいは、父親の犯した愚かな罪で、復讐として殺されるヤツも居る。お前が手を下さずとも、ここは地獄だ」


 ドゥームズデイは怒りを露に、デスストロークを睨み付ける。デスストロークは怯まず、真向から見返す。


「だが、天国にどんな生き甲斐がある?」


 ドゥームズデイは吼え、目を発光させながらレーザーを発射した。スレイドは減衰してゆくサポートの力を感じながら、絶望的なガード姿勢を取ろうとし……


 両者の間に白髪の男が割り入り、槍でレーザーを防御した。


599 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:28:10.94 ID:69VCOY9o0



白髪の男「ぐっ……アルジュナ、急げ!」ガガガガガガガガガ……

黒髪の男「フ、良い眺めだ。もっと苦しめ」

小太りの男「おいっ、夫婦漫才は後でやれ! さっさとカルナを助けろ、アルジュナ!」

アルジュナ「……フン、今回限りだぞ」シュパパパパッ


雷の矢「「「」」」バヂヂヂヂヂヂィィィィッ!!


ドゥームズデイ「……」ドシュシュシュッ、シュゥゥゥゥゥ……



カルナ「……効いていないように見えるな。鈍ったか、アルジュナ」

アルジュナ「黙れ。奴が規格外なだけだ」

デスストローク「な、貴様……」


ペンギン「カハハハハハハハ、貸しひとつだデスストローク!!」

アルジュナ「正確には、私からの貸しだ」

カルナ「……更に正確に言うと、俺が助けた」

デスストローク「なんだこいつらは……」


600 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:28:44.53 ID:69VCOY9o0



………………


デッドショット「……」ピクリ、ガバッ


デッドショット(ちくしょう、なんだ?! どうなって……置いて行かれたのか!? クソ、バットマンめ、相変わらずな野郎だ……!!)ムクリ

デッドショット「ぐ、くっ……」ヨロ

デッドショット(聖杯を……いや、聖杯がドゥームズデイになって……ああクソ、今まで分からんなりに耐えてきたが、いよいよ理解の範疇を超えそうだ……)


カタッ


デッドショット「!! 誰だ!?」カチャリ


デッドショット(誰か残ってやがったか!?)



601 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:29:13.38 ID:69VCOY9o0



ヒソヒソ……ヒソヒソ……


デッドショット「……?」カチャ、ジリジリ


(……でも、あのおじちゃん、魔王を倒したんだよ)

(馬鹿! 声を出したら気付かれるだろ、黙ってろよ!)

(ホントだよ、怖くないよ。絶対、大丈夫だから。声を掛けてみようよ)


デッドショット「……誰かいるのか、そこに」


シーン……


デッドショット(……幻聴じゃねえ。誰か居る)



602 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:29:41.32 ID:69VCOY9o0



デッドショット(……この、玉座の目の前の壁が、少し違和感があるな)コツコツ


壁「」ブワァァァァァァ……


デッドショット「!? 何、なんだこいつは……!?」

牢屋「」ズォォォォォォ……

デッドショット「馬鹿な……」


デッドショット(玉座の間のすぐ前に、牢屋だと? どんな構造をしてやがる)

デッドショット(……しかも)


子供達「「「……」」」ジッ


デッドショット「……」


デッドショット(……中に居るのは、子供達ばかり?)


603 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:30:16.95 ID:69VCOY9o0



子供A「……」

デッドショット「……おい、ここで何してやがる」

子供A「ヒッ……」ジリッ


子供B「大丈夫、大丈夫よ。怖くない。おじさん、助けに来てくれたんだよね?」

デッドショット「ここで何をやってるか教えてくれりゃあな。何をしてやがる」

子供B「何もしてないの。ホントなの。魔王がね、赤いマントのお兄さんの抵抗をやめさせるために、私達をいつでも殺せるようにしてたって……」

デッドショット「……??」


デッドショット(赤いマントのお兄さん……スーパーマン? 魔王は、つまり、クー・フーリン……って事は、コイツらは……)


デッドショット「……お前ら、人質か。だからスーパーマンは負けたんだな」

子供C「あの青いお兄さんは無事なの!? 僕らを助けてくれたのに、僕らのせいで捕まっちゃったんだ!!」

デッドショット「ああ、無事だ。ぴんぴんしてやがる、忌々しい……出ろ。さっさと親の元に帰れ」カチャカチャ、バァン


牢屋「」ギィィィィ……



604 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:30:47.04 ID:69VCOY9o0


子供A「や、やったぁ!! 帰れるんだ!!」ダダッ

子供B「ありがとうおじさん!」タタッ、ギュッ

子供C「ありがとう、おじちゃん!!」ダッ、ギュウッ


デッドショット「おい、やめろ、離せ。ガキ共……」


子供D「ぼ、僕、家が壊されちゃって……お父さんとお母さんと離れちゃったんだ。どうすればいいの?」

子供E「僕の家は焼かれちゃった……おばあちゃんが寝たきりだったのに、焼かれて……もう、知ってる人が居ないよぅ……」グスグス


デッドショット「……」


605 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:31:29.27 ID:69VCOY9o0



デッドショット「おい、坊主。泣くな。良いか、これが全部終わったら『エジソン』って野郎のところへ行け。そこに皆居る」

子供D「ほ、ほんとう?」

子供E「おばあちゃんも、そこにいるの?」グシグシ

デッドショット「……そうだ。皆居る。だから泣くな。男だろ」グシャグシャ

子供E「う、うん……泣かない」グシャグシャ

デッドショット「……」

子供B「おじさんは、どうするの?」

デッドショット「俺は……俺は、片付ける仕事がある。行かなきゃならん」

子供A「え……」

子供C「い、嫌だよ。おじちゃんまで居なくなったら、どうすればいいの……」


デッドショット「……」


(((パパ、お願い、もう行かないで……)))


デッドショット「……」


606 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:31:56.31 ID:69VCOY9o0



デッドショット「……ハートがチクチク 箱入り浪漫 それは乙女のアイアンメイデン」

子供B「……え?」

デッドショット「愛しいアナタを閉じ込めて……あー……なんとかかんとか、キスの嵐と洒落込むの……」

子供C「な、なに?」

デッドショット「元気が湧いて来る歌だろ。俺の周りで流行ってた歌だ」

子供A「……そ、そうなの?」

デッドショット「そうだ。良いか、皆で歌いながら、とにかく東を目指せ。東っていうのは、つまり、今お日様があるのと反対側だ」

子供D「で、でも」

デッドショット「いいか、この歌は特別な歌なんだ。歌っていれば、どんな困難も、どんな怪物も、怯えて寄り付かねえ。本当だ。だから、」


(((本当、駄目ね。アンタは、アタシが居ないと)))


デッドショット「……だから、とにかく走れ。大丈夫だ、俺が知る限り一番の加護が付くさ」


子供達「「「……」」」


デッドショット「……さあ、行け。立ち止まるな。大きな音がしても、振り返らずにな」

子供達「「「……」」」ゾロゾロ……


607 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:32:28.55 ID:69VCOY9o0


デッドショット「お前、待て。少し」

子供B「わ、わたし?」

デッドショット「……お前、見たところ、子供達のリーダー格だな? コイツを渡しておく」カチャ

拳銃「」ズシ……

子供B「こ、これは……?」

デッドショット「……良いか、コイツを使うのは、あまり良い事じゃねえ。使い方はこうだ。ここを引いて、この『引き金』を引く」カチャカチャ、カチッ

子供B「……こ、こう?」カチャカチャ、カチッ

デッドショット「そうだ。いいか、じゃあ……いま、安全装置を外した」カチッ

子供B「……」

デッドショット「……良いか、本当に危ない時に、本当に覚悟を持って、背負い込みすぎないように撃つんだ。敵に狙いを定めて、深呼吸して、……お前が一番守りたいと思うものを想像して撃て」

子供B「……そしたら、どうなるの?」

デッドショット「……最低な事が起きる。これは本当に最悪の手段だ。ギリギリまで使わずに居るんだぞ」

子供B「……う、うん」

デッドショット「分かったなら、良い。行け、アイツらを東に導いてやってくれ」


608 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:33:05.70 ID:69VCOY9o0



デッドショット「……フー……」


デッドショット(……今からすべき事は、バットマン達を追いかけ、ドゥームズデイとの戦いで疲弊した連中を片っ端から撃ち殺し、聖杯を手に入れ……)

デッドショット(……家族と、エリザベートを蘇らせて……)


(((ぼ、僕、家が壊されちゃって……お父さんとお母さんと離れちゃったんだ。どうすればいいの?)))

(((僕の家は焼かれちゃった……おばあちゃんが寝たきりだったのに、焼かれて……もう、知ってる人が居ないよぅ……)))



デッドショット(……ああ、クソっ!! いつからこんなに脆弱になっちまった、フロイド!)


デッドショット「どうしてこうなる!! ああ、クソッ!!」ドガッ!!


デッドショット(……)


デッドショット(……クソ、エリザベートめ。あの世で笑ってやがるだろうな)カチャリ


デッドショット「行かねえと……」スッ


ガラン……


デッドショット「……?」


緑の槍「」ジジジジジジ……


デッドショット「……クソ、エリザベートめ。お前、今頃、あの世で笑い死んでるだろ……」



609 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:33:37.29 ID:69VCOY9o0



………………



ドゥームズデイ「……」ギュゴォォォォォォオォォォォォ!!!


カルナ「ムチャクチャな」ガギィィィィィィ!!

アルジュナ「この程度で音を上げるのか? 笑えるな」シュパパパパッ


ドゥームズデイ「……」ドシュシュシュシュッ、シュゥゥゥゥゥ……


カルナ「少しは有効打を放ったらどうだ?」ギギギギギギギギギギィィィィ!!

アルジュナ「私の攻撃はひとつひとつが次への布石なのだ」

カルナ「だとしたら布石が多すぎるぞ」


ペンギン「カハハハ、ここまで滅茶苦茶だと逆にせいせいするぜ! どうだエジソン、一本吸うか!?」ボロッ

エジソン「戦場で葉巻を吸うな! どこまで豪胆なのだ!!」ボロボロ


エレナ「く、ううぅっ……ごめんなさいエジソン、そろそろ限界よ……!!」シュウシュウシュウ……

エジソン「!! エレナ女史!!」

エレナ「アナタの理念、立派だったわ。一緒に戦えて、良かった……」シュゥゥゥゥゥ……

エジソン「何たることだ! 戦場の柱が一本折れたに等しい……!」

ペンギン「ええい、俺も少々気張るしかねえか! デスストローク!」

デスストローク「……」

ペンギン「死んだふりはよせ! 不死身の癖しやがって!」

デスストローク「……いくら不死身でも、限度がある」ムクリ

ペンギン「行くぞ、隙を開いてやらにゃならん! 手間のかかる神話出身者共め!」


610 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:34:09.64 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ダンッ、ブォンッ

カルナ「!? ぐお……!」ゴッシャァァァァァズシャシャシャシャ……

ドゥームズデイ「……」ブオンッ

アルジュナ「うっ、ぐあ……!!」グシャァッ、ヒュオンッドガァァァァァ!!!


デスストローク「せやっ!!」ガッ、ドガガッ

ドゥームズデイ「……」ヨロ

ペンギン「食らいやがれ!!」シュドッ

ドゥームズデイ「……」ガシッ、ブオンッ

ペンギン「おおぉ!?」ドッシャァァァァン……

デスストローク「使えんテディベアだ!」ダッ

ペンギン「お前の、ゴホッ、お前の踏み込みが足りんかったんだ!」パラパラ……



ドゥームズデイ「……」グググッ


高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!


ドゥームズデイ「!!」ガガッ、ズシャシャシャ……


フィン「間に合ったか!」ザザァッ


ドゥームズデイ「……」ズシャシャシャァ……ピタッ




611 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:34:48.05 ID:69VCOY9o0



冷気「」パキ……パキパキ……


ドゥームズデイ「……」パキパキ……

フリーズ「動くな、怪物め」パキパキィ……

フィン「どうですか、奴を凍らせられそうですかな」

フリーズ「コンマ数秒ならな。たとえ全身を凍り付かせても、奴にとってはいかほどのダメージにもなるまい……」

ペンギン「こいつは驚いた! 全身冷蔵庫野郎め、まだ干からびてなかったのか!」

フリーズ「驚いたぞ、コブルポット。貴様は今頃魚の餌になっているかと」

フィン「ははは、仲良き事は美しきかな! ですがご注意を、未だ敵は健在です!」

デスストローク「……うるさいのが来たな」



612 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:35:21.72 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」グ、グググ、パキィ、パキ……



カルナ「……アルジュナ」スッ

アルジュナ「黙れ、みなまで言うな。方法なら、私も浮かんだ」

ペンギン「なんだ、ようやく神話らしいところでも見せてくれるってのか? 待ちくたびれるぜ、下々の民はよ!!」

カルナ「時間が掛かる。コブルポット、皆を率いて少しでも時間稼ぎをしてくれ」

ペンギン「どれくらいだ?」

アルジュナ「できる限り長くだ。これは『神話』の再現であり、太陽への冒涜であり、その失墜だ。私も、カルナも、時間が掛かる」

ペンギン「カーッ、その気取った訳の分からねえ説明はどうにかならねえのか! ……良いぞ、乗ってやる!」

デスストローク「フン、力を貸してやる。これで貸し借り無しか?」

ペンギン「……働き次第で考えてやる」



613 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:35:51.55 ID:69VCOY9o0


ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ

フィン「やはり怪物……」

フリーズ「大した化け物だ。薄皮一枚凍らせた程度ではどうにもならないという訳か」

フィン「……おかしいですな、親指を舐めても何の解決策も浮かびません」

フリーズ「時に、人は思考以上の何かを求められる。今こそその時だ」

フィン「ははは、全く怖がる隙も無い!」

フリーズ「最期まで生きるという事だ。難しい話ではないよ、フィン」

フィン「……ふ」


エジソン(……エレナ女史の犠牲は決して無駄にできん! アメリカを守り、もって世界を守る!)

エジソン「嘗めるな、怪物め! 大人しく白熱電球の光も届かぬ闇の中へ引っ込んでいるがいい!!」ガオオッ



614 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:36:30.42 ID:69VCOY9o0



 エジソンも、もはや消滅の危機に瀕していた。背中から光の粒が立ち昇り、彼の身体は削られて行く。

 だが、それでも、彼は集中した。愛する彼の故郷を守るため……世界を、守るため。枯渇する魔力、身を絞られるような苦痛に、彼は呻きながら抗う。天才とは、1%の閃きであり、99%の努力である。ならば戦うべし。


 そうして全力で放たれたサポートの光を、デスストロークは背に受けた。彼もまた、とうに限界を迎えた身体に鞭打ち、拳を構えてドゥームズデイに向き合う。


「審判の日か。さしずめここは裁判所だな」
「笑えるジョークだ」


 軽口を叩くペンギンに、デスストロークは真顔で返す。二人は互い違いにすり足で移動し、ドゥームズデイの周囲を衛星じみて回り出す。ペンギンもまた、油断ならない戦闘力の持ち主。


 だが、ドゥームズデイは小癪とばかりに吼えた。空気の震えが戦士たちの肌を打ち、一瞬の怯懦を生んだ。一瞬。十分すぎる隙。


 直後、ペンギンの腹部に拳がめり込んだ。何が起きたか理解する暇もなく、彼は吹き飛ばされ、地面深くへとめり込んで行った。


 デスストロークは低姿勢で駆け、今しがたコブルポットを殴りつけたドゥームズデイへと拳を叩き付けようとする。だがドゥームズデイは信じがたい速度でデスストロークへと向き直り、カウンターの蹴りを……


「っぜええええい!!」


 そこへ、ギリギリでフィンが割って入り、横に構えた槍で蹴りを受け止めた。衝撃が彼の全身を突き抜け、大きく弾き飛ばす。


 デスストロークは瞬時に判断し、流麗な動作でフィンを回避。回し蹴りでドゥームズデイの顔を狙う。


 ドゥームズデイはこれに反撃しようと、腕を持ち上げようとした。が、動かない。凍結している。コンマ数秒の遅れが生じ、ムチのような蹴りがドゥームズデイの頬を打った。


 手応え、あり。デスストロークは反動に耐えながら、姿勢を戻そうとする。だが直後、隕石のような拳が彼を直撃し、スレイドの体構造を滅茶苦茶に破壊しながら振り下ろされた。


 デスストロークは吐血にまみれながら、それを見る。ドゥームズデイの、怒りに見開かれた瞳を。所詮は焼け石に水だったか。


 しかしそこへ、電撃じみた速度で何かが飛来。それはライオンのたてがみをたなびかせながら、ドゥームズデイへ拳を叩き込む。

 エジソンである。彼は消滅しながら肉弾戦を挑んだのだ。


「う、グアァァァァァァァア!!」


 苦悶の声と共に、拳が振り抜かれる。直撃した拳は砕け、儚い光粒となって消える。だが、それでも、エジソンは最期の一瞬まで、責任を放棄する事はなかった。


 ドゥームズデイは反撃のビームを目から射出した。そのエネルギーの奔流はエジソンを直撃し、粉々に打ち砕いた。


 光の粒の残滓が舞う中、スレイドは自らを支えていた最後の魔力が消えた事を知った。もはや彼の肉体は原動力を失い、不死性のみが残る苦痛の檻と化した。


 だが、それでも、スレイドは彼が見た命の輝きに殉じると決めた。もはや人間とさほど変わらぬ肉体になり果てても、否、なり果てたからこそ、彼は起き上がる。


(見たのだ。俺は命の真実を見たのだ)


 ナパーム! 生きたまま焼かれる仲間! 右目に飛来する弾丸! 血塗れの息子! 今、立ち上がる自分の怒り! それらに何の違いがあろう? 怒る権利ならば持ち得るハズだ! 怒り、命を燃やす権利ならば!!


 デスストロークは地面に手を突き、叫びながら起き上がる! フィンも体勢を立て直し、ドゥームズデイへと飛び掛かる。だがもはや、残った数人だけでは何の時間稼ぎにもならない事は明白であった。


 そんな中、カルナとアルジュナは、戦況が絶望的であると知りながらも集中を深めて行く。



615 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:37:00.63 ID:69VCOY9o0



カルナ「……」ゴゴゥッ、ゴゴゴゴゴゥ……

アルジュナ「……」バチチチィ……バチ、バチバチバチ……


アルジュナ「……あの日、不本意でもお前を射った」バチバチバチ……

カルナ「……」ゴゥゥゥ……ゴゴゴゴゥッ……

アルジュナ「神々がお前を弱らせていると知りながらも、それでも弓引いた。そうして、お前を殺した。カルナ」バチバチバチバチィ、バチバチバチ……

カルナ「……知っている。覚えている」

アルジュナ「私はあの日の出来事を、クリシュナ(黒)のせいにしてきた。己の中に潜む黒のせいに」

カルナ「そうか」

アルジュナ「だからこそ、私はもう一度貴様を殺す。やり直しが効かぬのは承知している。だが、それでも……それでも、私は『これ』と向き合わねばならないのだ」

カルナ「……俺としては、お前が鈍っていないのを願うばかりだ」

アルジュナ「……フン」バチチチチチチチチィ!!



ペンギン「おいっ、まだかかるのか!」ズリズリ


カルナ「……まだだ。まだ、掛かる……」ゴゴゴゥッ、ゴゴゴゴ……

アルジュナ「……」バチバチバチチチチチチチヂヂヂヂヂヂ……!!!



616 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:37:39.32 ID:69VCOY9o0


ドゥームズデイ「……」ブォンッ

デスストローク「ぐおぉぉ……っ」ゴシャシャシャシャァ……

フィン「くっ、フリーズ殿!」

フリーズ「待て、今撃つ!」ビィィィィィ……

ドゥームズデイ「……」パキィッ……バキン、ドシドシ

フィン「くっ、この怪物ももはや本気という事か……!」

フリーズ「フィン! 退け!」

フィン「まさか! 今や私がただ一人の近接戦闘役! 友を背に庇い、おめおめと逃げるワケにもいきますまい!」スッ

ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ

フリーズ「フィン! 本当に死ぬぞ!」

フィン「……ならば、私も所詮そこまでの……!」

???「少し落ち着いた方が良い」ポン

フィン「?? え、っと、誰でしたか……」

スーパーマン「大丈夫、間に合った。もう安心して良いよ」ニコッ


フリーズ「す……」

ペンギン「な……」

デスストローク「は……?」

カルナ「む……」

アルジュナ「なんだ、この力は……」



ドゥームズデイ「……」ジリッ

スーパーマン「安心して。世界は僕が守る」グッ


ドッッッッガァァァァァァァァァ!!!



617 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:38:09.23 ID:69VCOY9o0



「マシュッ! 宝具発動、衝撃波から全員をガードしろ!」

「はい!!」ギュォォォォォォオオッ!!!


衝撃波「「「」」」ゴォォォォオォッ!!!

マシュ「う、ううぅぅう!?」ビリビリビリビリビリッ


バットマン「エジソン! エレナ! 何処だ!!」ダダッ

ペンギン「てめえっ、バットマン!?」ビクゥッ

バットマン「コブルポット!?」

フリーズ「……お前まで来たのか、バットマン」

バットマン「ヴィクター……それに、そこに居るのは」


デスストローク「……フン、何か言いたそうだな」

バットマン「……スレイド、何故ここに」


デスストローク「下らんな。俺の願いは世界無しでは成就せん、そういう事だ」

バットマン「……」



618 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:38:35.47 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「フンッ!」ドゴォオォ!!

ドゥームズデイ「!!」ガシィッ、ドッゴォ!!

スーパーマン「うっぐわ!?」ヒュオンッ、ゴシャァッ!!


バットマン「……詳しい話はあとだ! マシュ、ガードを解除してスーパーマンのサポートに! ビリー、ジェロニモ、ラーマ、シータ! 行けるか!」

ラーマ「ああ!」ザッ

シータ「いけます!」スッ

ビリー「オッケー!」チャキッ

ジェロニモ「行くとしよう!」ザザッ




ナイチンゲール「アナタを治療します」ガシッ

デスストローク「……恐ろしい話だな」




619 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:39:07.08 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「■■■■■■■■■■■■■■!!!」ゴォォォォォッ!!!


ビリー「ハッハー、耳元で大砲鳴らされたみたいだ! ビリビリ来るね!」

ジェロニモ「油断するなよ! ラーマ、いけるか!?」

ラーマ「無論だ! 行くぞ、クラークに後れを取るな!!」ダダッ

シータ「はいっ!!」シュパパパッ

ジェロニモ「よし! ……大地の精霊よ、この地を作りし息吹よ……!!」ググググッ


ジェロニモ(二度と誰にも汚させまい。二度と誰にも壊させまい。この地を。悠久の命根付くこの大陸を!!)


ジェロニモ「今ひと時、我に力を貸し与えたまえ!!! 『大地を創りし者』(ツァゴ・デジ・ナレヤ)!!」



ビリー「……えっと、何も起きないんだけど」

ジェロニモ「……」



―――ァァァォォォォォオオ……



ビリー「え?」


……ッ、ルドッ、ドドッ、ドドッ、ドドッ!!


大狼「グルルルァ!!」ドドッ、ドドッ、ドドッ!!


ビリー「えぇ!?」


ジェロニモ「さあ行くぞ! 恐れはいまや無用と化した!!」

ビリー「ハハ、ムチャクチャだなぁ!」


大狼「グルアァァァオオオオオオ!!!」ゴォォォオッ



620 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:39:35.76 ID:69VCOY9o0



ラーマ「せいっ!」ズバァッ

ドゥームズデイ「っ!」ヨロッ

ラーマ「やはり通用する! シータ!」

シータ「はい!」シュパパパッ

ドゥームズデイ「……!!」ドシュシュゥッ、グラリ


大狼「ガァルッ!!」ガブゥ

ドゥームズデイ「■■■■……」ガシッ、グォンッ

大狼「グラッ……」ドッシャァァァ……

ラーマ「ぬわあっ!?」ドッシャァァァ!!

シータ「ラーマ様!?」ギョッ


621 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:40:03.05 ID:69VCOY9o0



マシュ「たああっ!」ドシュゥッ

ドゥームズデイ「……」ガシィッ、ドゴォ!!

マシュ「っきゃぁ……」ドガァァァァ!!

ガシッ!!


マシュ「……って、あれ?」ピタッ

フィン「無事、でしたか?」キラリ

マシュ「あ、ど、どうも……」ペコリ

フィン「ふっ、気にする事はない。そも、花を守ろうとするのは自然な行いですから!」キラリ

マシュ「は、はあ……」



フリーズ「フィン! 悪い癖が出かかっているぞ、今は我慢するんだ!」



フィン「これは手厳しい! ではお嬢さん、後ほど!」ダッ

マシュ「は、はあ……じゃなくて、私も戦います!!」ガシャリ


622 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:40:30.06 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「■■■■■■■!!」

大狼「グルルルル……」ゴロリ、ムクッ

ラーマ「ぜえ、はあ、狼の下敷きで死ぬかと思った……」ムクリ

シータ「ご、ご無事ですか?」

ラーマ「うむ、余は平気だ!」チャキリ


ビリー「弾丸は弾かれるけど、弾丸の威力で相手の身体に圧力がかけられるね。よーし、これなら戦いようはある……!」

ジェロニモ「……よし、私も準備が整った。いざ、精霊と舞うとしようか」フーッ


地面「」ドゴォンッ


スーパーマン「おおおおおおおぉぉぉおぉぉ!!」ドッゴォォォォォォ!!!

ドゥームズデイ「■■■■■■■……!!!」ドッシャシャシャシャシャ……



623 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:41:06.57 ID:69VCOY9o0



ヒュォンッ

ドガァァァァァ!!

ドゴシャァァァァァ!!


ナイチンゲール「……」カチャカチャ、クルクル

デスストローク「……」

ナイチンゲール「……心変わりをしたものですね」カチャカチャ

デスストローク「……黙って仕事をしろ。治りゃあ戦える」

ナイチンゲール「アナタの身体の治癒力はけた外れに高い。軽い処置で完治までいくでしょう」

デスストローク「なら行くぞ」ムクリ

ナイチンゲール「……ですが、アナタの根本の病気までは治せません」

デスストローク「……」ピタッ



624 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:41:34.82 ID:69VCOY9o0



ナイチンゲール「アナタは病気です。根本の部分で、生への意味を見出せていない」

デスストローク「……」

ナイチンゲール「アナタは、死にたいと思っているのですね。自分に裁きが下される事を望んでいる」

デスストローク「ハッ、治療の次はメンタリストの真似事か? 当ててやろう、看護師。お前も病気だ。不治の病だ」

ナイチンゲール「……」

デスストローク「……お互い、絶対に手に入らないものを手に入れようと必死になっているんだろう。なら、お互い口出しは無しだ」

ナイチンゲール「……良いでしょう」

デスストローク「話の分かる女だ」

ナイチンゲール「私の事を怒っている、と言いましたね」

デスストローク「……」

ナイチンゲール「自分を棚上げするのは良くない事です」

デスストローク「ハン!」


625 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:42:16.75 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「ぐっ、ふう……」ツー……ポタ、ポタ


スーパーマン(これは、ちょっとキツイかもしれないな。ブルースが心配するわけだ)ドサリ


ガシッ

バットマン「クラーク! 無事か!」グイッ

スーパーマン「あ、あぁ、大丈夫……というか、キミはここに居ない方が良いぞ!? 戦いの衝撃波で死んでしまう!!」ギョッ

バットマン「仲間が命を懸けているんだ、クラーク。それに私はスーツで守られている、しばらくは死なずに済むさ。さあ、手を掴め」スッ

スーパーマン「な……」


スーパーマン(何処からツッコめばいいんだ!? キミってそんなキャラじゃなかったよな、とか、しばらくは死なずに済むなんて、確証の無い事を……)


スーパーマン「……ぷっ」

バットマン「……??」

スーパーマン「は、ははははは!! ははは、は、いたたたた、傷が……!」

バットマン「こ、この大事な時に何を笑って……キミを時折本当に図りかねるぞ、クラーク」ガシッ、グイッ

スーパーマン「ははははは……あぁ、すまない。ありがとう、ブルース」ムクリ

バットマン「無事か。この程度で音を上げるキミではないな?」

スーパーマン「勿論だ。キミが立つなら、僕も立つよ」

バットマン「なら、私ももう少し踏ん張るとしよう」ニヤリ

スーパーマン「ふふ、任せろ!」ニッ



626 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:42:46.31 ID:69VCOY9o0



マシュ「たああっ!!」ゴォッ!!

ラーマ「でやああっ!!」ズバァッ!!

ドゥームズデイ「……!!」ズシャシャシャァッ

シータ「そこっ!!」シュパパパパッ

ビリー「くたばれ!!」タァンタァン、タァン!!

大狼「グルォァアアウッ!!!」ドシィッ!!

ジェロニモ「せやっ!!」シュババッ!!

ドゥームズデイ「■■■■■■……!!!」ドシ、ドシィ、グラァ……


フィン「これが最後の、魔力だ……!!」ギュィィィィィィイイイッ!!

フィン「『無敗の紫靫草』(マク・ア・ルイン)!!」ズバシャァァァァァァァァ!!!


高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!


ドゥームズデイ「!!」バッ、ドシャシャシャシャ、ズシィ



627 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:43:13.06 ID:69VCOY9o0



カルナ「……いけるか」ゴゴゴゴゥ……

アルジュナ「いける」バヂヂヂヂヂヂヂィ……

カルナ「コブルポット。いけるぞ」ゴゥゥ……


ペンギン「よし、やっとだ! テメェら全員、そのデカブツの動きをできるだけ長く止めろ!! デカいのを撃つぞ!!」


フィン「フリーズ殿!!」シュウシュウシュウ……

フリーズ「フィン!!」

フィン「私の最後の魔力です! どうか有効に!!」シュゥゥゥゥゥ……

フリーズ「……!!」ガシャリ


フリーズ(フィン・マックール。愛と武勇に生きた騎士。私はお前を忘れないだろう……!)キュイィィィィィィ!!


フリーズ「怪物め……!」

フリーズ「動くなァァァ!!(Freeeeeeeeeeeeeze!)」ギュオォオォォォォオオオオオォォォ!!!


628 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:43:47.95 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「!!」バキバキバキィィィィ……ン

スーパーマン「うおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!」ガシッ、グググググ……

ドゥームズデイ「……!!」グググググ……

スーパーマン「僕なら大丈夫だ! その『デカいの』を撃ってくれ! 早く!!」グググググ……



カルナ「行くぞ、アルジュナ」フワリ

アルジュナ「……ああ」スッ



629 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:44:17.08 ID:69VCOY9o0



 アルジュナは弓を構え、電撃迸る矢を弦へ番えた。そうして、空中、燃える太陽じみて力を発するカルナへと狙いを定める。


 アルジュナは生前、卑怯な方法でカルナの命を奪った。めぐり合わせとはいえ、神々の思し召しとはいえ、それは卑怯であり、アルジュナの心に深い傷を残した。


 そして今、アルジュナはまたしてもカルナを殺そうとしている。だが、彼の矢じりが震える事は無かった。


(ならば、それが結果ならば、立ち向かうほかあるまい。それが取り返しのつかぬ一線であり、消せぬ罪であるというのなら……)

「己を受け入れろ」


 アルジュナは目を見開き、空中に浮かぶカルナを見た。太陽のような存在は、燃えながら、微笑みながら、あの時のようにアルジュナを見ていた。


「己を受け入れろ。英雄よ」
「……全く、貴様は度し難いほどに憎たらしい奴だ」


 アルジュナは思わず歪んだ笑みを浮かべ……そして、全身全霊を込めた一矢を、太陽を射落とす最高の一矢を放った。


 それは雷めいて空を翔け、過たずカルナの胸を刺し貫いた。カルナはそれを受け入れるかのように両手を広げ……そして、燃える炎の中に飲まれて行った。


 アルジュナはもはや全魔力を込めた一矢により存在を保てず、光とともに消えて行く。カルナもまた、その一撃を受け、炎の塊となりながら燃え尽きて行く。


 だが空中の炎塊は消えない。それどころか、あたりに雷を撒き散らしながら、もっと大きくなってゆく。まるで本物の太陽じみて、大きく、強く、そして深く。


 太陽は『射落とされた』。標的めがけ、その強大な力の塊はゆっくりと落ちて行く。ドゥームズ・デイへと。


630 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:44:43.41 ID:69VCOY9o0




「うぅぅぅぅぅぅうおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」


 スーパーマンは吼えながら、ドゥームズデイを拘束する力を強める。だがドゥームズデイも必死である。己を阻む氷塊と格闘しながら、スーパーマンを押しのけようと力を込める。



 その間にも、ジリジリと太陽が迫る。ドゥームズデイはとうとう氷塊を破壊し、スーパーマンを叩き伏せようと拳を振り上げる。

 だが、そこへ、宝具を解放したマシュが突っ込んだ。全身を光の防護で覆い、ドゥームズデイの片手を塞ぐべく決死の突進を行う。


 ドゥームズデイは煩わしげに片手で払おうとする。そこへ、ラーマが剣を振り抜き、ジェロニモと大狼が加勢する。三人と一匹でようやく一つの腕が止まりかける。


 太陽が迫り、ドゥームズデイの背中が焦げ付き始める。破滅が、近い。


「■■■■■■■!!」


 しかし、ドゥームズデイは目を光らせ、全エネルギーで拘束に対抗する。マシュ達が圧され、スーパーマンですらあまりの力に目を見開く。


 そこへ、ビリーが銃を連射し、ラーマの剣を、ジェロニモのナイフを、マシュの盾を後押しし始める。


「■■■■■■■……」


 そんな努力をあざ笑うかのように、ドゥームズデイの両目が激しく発光を始める。だが、


「撃て! 目だ!」


 バットマンの声が響くと同時に、シータの矢が、ペンギンの弾丸が、それぞれドゥームズデイの両目に命中し、閉じさせてレーザーを封じ込めた。


 ドゥームズデイは今の戦況を、こうなった理由を、己の慢心を探ろうとした。だがその時すでに、彼の背中を太陽が呑み込んだ。


「やった……」


 一瞬の気のゆるみ。そこを突かれ、まずラーマが弾き飛ばされた。

「ラーマさッ」
「■■■■■■■!!!」
「キャインッ!?」


 そして、マシュ、ジェロニモ、大狼が吹き飛ばされる。


「なんて化け物だ……!!」


 スーパーマンは肌を焼かれながら、その怪物を見上げた。背にプラズマ太陽を背負い、全身を燃やしながら、それでも敵意と憎悪を止めぬ怪物を。


「なすすべはないのか……」


 バットマンですら絶望しかけた、その時。遠くで発砲音が響いた。



631 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:45:34.83 ID:69VCOY9o0



 『その発砲』の直前、デッドショットは最適な着弾ポイントを探す必要があった。その一発は最高の一発でなくてはならず、そして世界を救う一発でなくてはならないからだ。


(おいおいおい、頼むぞ。悪党ですら世界を救う気になってんだ、ヒーローが負けてんじゃねえ)


 刻一刻と悪化してゆく状況を俯瞰しながら、デッドショットはスナイパーライフルを組み立てる。そして、作業を終え、スコープを覗き込み、そして、……そして一瞬、祈るように目を閉じる。彼の娘を想う。


(すまねえ)


 デッドショット。死の射撃。だが彼は、フロイド・ロートンでもある。だからこそその瞬間、彼は謝罪する。そうして、付け加えるように思考する。


(……おい、世界最高の暗殺者。同業者なら、ちったあ根性見せろよ……!)


 直後に、『それ』は撃ちだされた。




 ――全員が、その発砲音を聞き、意識を一瞬そちらへ向け、何が射出されたのかを見た。


 発射されたのは、緑に光る槍だった。バットマンは察する。アレはクリプトナイト製の槍であると。

 戦場へと走るデスストロークは、苦笑いの後に唇を引き結ぶ。アレは『自分宛て』だ。


 槍は正確にデスストロークの頭上へと飛来した。死の傭兵は走りながら跳躍し、それを掴み、破滅へと飛び掛かった。

 そして、クリプトナイトの槍を、ドゥームズデイの胸へと突き刺した。

「悪党の力も必要だろう」
「……」

 スーパーマンは驚きに目を開く。ドゥームズデイは吐血する。


「■■、■■■■■■■!!」

「ぐ、ううぅ!!」

 ドゥームズデイが苦痛に怯む。一方、スーパーマンも無事ではない。クリプトナイトはただその存在だけで彼らに悪影響をおよぼすのだ。


 両者の力が減じ、均衡は破られないかに思われた。しかし、スーパーマンの背後から、マシュが突撃した。マシュの光の防護の内側から、ジェロニモが、ビリーが、ラーマが、シータが、バットマンが突撃した。それが違いだった。


 ドゥームズデイはもはや抵抗する力もなく、よろめき、プラズマ太陽の中へと後退って行く。デスストロークは緑の槍を突き刺したまま、踏ん張ってドゥームズデイを押し込んで行く。

「スレイド! 戻れ!」
「断る」


 素っ気なく言い放ち、デスストロークはクリプトナイトの槍と共に太陽の中へ沈んで行く。ドゥームズデイは苦悶し、地獄から這い出ようともがく。しかし槍が、それを許さない。


「念のためだ。化け物と死ぬのは、化け物の宿命だな」


 ひとりごち、デスストロークは更に踏み込む。彼は全身が焼かれるのを感じながら、一瞬だけ、家族の幻影を見た。


(これがお前の怒りか)


 誰に向けた懺悔だっただろうか。スレイド・ウィルソンはようやく心からの笑みを漏らし、……直後に、太陽ごと、二人の化け物は消滅した。



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