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バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
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477 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:23:17.47 ID:G22OK9G00
ラーマが斬り掛かる。デスストロークはいつも通り柔軟に回避しようとし……目を細め、動作を中途で止めた。ラーマの太刀筋が、進化している。以前までは軽く躱せていたその剣が、食らいつくかの如く致命的な軌道を描き直す……!!
バットマンも起き上がり、実に厄介な立ち位置から掌打を繰り出そうとしている。そのスピードは速くはない。だが、厄介極まりない攻撃範囲。このままこれを食らえば少なからず隙を生み、そこにラーマがトドメを持ち込んで来る……
さらに追い打ちをかけるかの如く、銃弾と矢がデスストロークの足元へ殺到する。これでは思った通りの柔軟な回避など不可能。ではどうするか? ここから最適な回避をするには? ……たやすい。
死の傭兵はつま先の足裏だけで地面を打ち、その力だけで数メートル跳躍した。そのままスピン回転、飛来する弾丸や矢を弾き返しながら、まずは蹴りを繰り出した。バットマンはそれを手甲で防御、衝撃の8割を受け流すも、残りの2割を受けて吹き飛んだ。
次に回転の勢いを利用した斬撃を、ラーマの首へ。ギリギリで反応したラーマは剣を縦に構え、それを受ける。そして威力に耐えきれず、吹き飛ばされる……
死神が、着地した。同時にバットマンが木に背を打ち付け、吐血してうつ伏せに倒れる。ラーマはケルト兵を数人巻き込みながら吹き飛び、地面に転がった。
近接戦闘組、全滅。デスストロークは仮面の奥で笑う。
「さあ、総崩れだ」
後は作業のみ、そう考えていた彼は直後、寒気を感じて反射的に防御姿勢を取った。その瞬間、赤いつむじ風じみた存在が飛び出し、拳を叩きつけた。
「こんにちは。あなたを治療します」
ミシミシと拳をめり込ませながら、ナースの冷たい挨拶が通る。ナイチンゲールだ。その瞳に浮かぶ相変わらずの狂熱に、デスストロークは苦笑いしながら一歩退く。
ナイチンゲールは極端なまでの前傾姿勢を取り、死の傭兵へ拳を押し付け続ける。デスストロークは一瞬の隙を突き、拳をいなして回転。そして跳躍。姿勢がブレた看護師のその首を、剣が刈り取る……その一瞬前に、矢と銃弾が飛来。デスストロークの腕に命中し、跳ねのけた。
「っ」
今度はデスストロークが怯む番だった。ナイチンゲールは大きく踏み込み、敵の首を掴んで地面に叩き付ける。揺れる地面。振動は木々に伝播し、森の上から枝葉が落ちる。
「ケルト兵! この戦線は俺に任せ、敵本拠地への進軍を再開しろ!」
少なくないダメージに身をよじりながら、デスストロークは吼えた。途端、ゲリラじみて潜伏していた多数のケルト兵は、サーヴァントたちを囲むのをやめ、エジソンの拠点目掛けて進軍を開始する。
当然、動けるエジソン勢力はこれを無視するわけにはいかない。ビリー、シータは一旦援護射撃を中止し、進み始めたケルト兵を倒し始める。だが数が多すぎる。進軍が、止まらない。
マシュが治癒しきるまで魔術的防護を張ろうと残っていたジェロニモも、この看過できない事態に動く。ケルト兵を切り、大地の精霊に力を借り、狼を呼んでケルトを倒す……だが、足りない。この物量。まるで南側には、最初から戦力が居ないと知っていたかのような、この物量……
「余所見か」
ナイチンゲールはおのれの胸を貫いた冷たい感触に驚き、身体を見下ろした。剣が貫通している。デスストロークは一瞬の隙を突き、彼女の急所を攻撃した。力が入らなくなる身体を支え切れず、彼女は倒れた。
デスストロークは立ち上がり、ナイチンゲールにトドメを刺そうと剣を振り上げた。だがその一瞬前に、爆発的な存在感が蘇ったのを感じ取り、目を上げた。
脇腹を包帯でくくったマシュが目を光らせ、歩いて来る。
478 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:26:17.36 ID:G22OK9G00
「学習しました」
マシュはたった一言だけ言い放ち、重い音を立てて盾を放った。ビリー達がケルト兵と戦う音が遠くなり、二人の周囲の空間は断絶されたかの如く静まり返る。一対一。以前の焼き直しになるか? いや。デスストロークもまた、無限に学習する戦士。
「そうか。お前は強いからな」
デスストロークも剣を放り捨てた。アレは近距離戦闘では僅かに取り回しが悪い。素手で戦わねば、若干の有利を相手に与えてしまう。そして何より、マシュの前で素手で戦った事は『ない』。未だ学習されていない戦闘スタイルだ。慣れる隙も与えず、一気に圧し潰す。
風が通り抜け、葉がこすれて音を鳴らす。マシュとデスストロークは睨み合う。マシュが一歩、踏み出す。デスストロークも一歩、踏み出す。だが互いに飛び掛からない。この一歩は互いにフェイントじみた動作。カウンターを呼び、それにカウンターするための布石。だがどちらも慎重であり、そうやすやすと敵の思惑には乗らない。
さらに一歩、互いに踏み出す。互いに臆する色は瞳に無い。既に素手での攻撃範囲内。だが互いに手を出さず、相手の心を読もうと努める。さながら居合の瞬間、達人同士でどちらが速いかを極限まで計算するかの如く……一瞬を読み合う時間が続く。マシュの筋肉が動いた。デスストロークが霞んだ。
その瞬間を先んじたのは、やはりデスストロークだった。彼は余計なものを捨てており、ゆえに彼に迷いはなかった。マシュの拳に先んじて、傭兵の拳がその喉を打った。
彼女はよろめいた。勝機と見るや、彼は容赦なく飛び掛かる。拳を繰り出す。マシュは辛うじて防御。二段の蹴り上げ。マシュは辛うじて防御。ソバット。躱し切れず、頬に直撃。体勢を崩した彼女の頭部へ、更に蹴りが直撃。更に蹴りが直撃。更に蹴りが直撃。
耳鳴りが満たす思考の中、マシュは後退しながら必死に腕を上げようと試みた。デスストロークが力強く踏み込み、破滅的威力の正拳突きを彼女の鳩尾へと叩き込んだ。マシュは吐血し、心臓が止まった事を自覚した。
(嫌だ。まだ)
いかにも単純な思考で、だが強い力で、マシュは死に抗った。そしてその言葉を思い出した。
(((心せよ、マシュ。人が戦う時、最も強い原動力となるのは────……)))
マシュは命を燃やした。
479 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:27:00.13 ID:G22OK9G00
デスストロークは戦いが終わったと確信していた。彼女は死体に変貌した。これで周囲の者を片付けられる。
まず彼が感じた違和感は、手首にあった。何かに掴まれている。そして次に、マシュの息遣いを感じた。死んで、いない? 何故? デスストロークには理解できない。それを余計なものと断じ、切り捨て、省みなくなってしまった戦士には、それを理解できない。
マシュは目を鋭く光らせ、歯を食い縛り、全身に力を籠め、死の傭兵に抗った。デスストロークは腕を引き戻そうとする。できない。マシュの力が、跳ね上がっている。
「学習、しました」
デスストロークは……スレイド・ウィルソンは、この瞬間、初めて戦慄した。自分は何かを見落としたのか? それは何だ? この力は何だ?
凄まじいパワーのパンチが、デスストロークの顔面を捉え、仮面を弾き飛ばした。右目を眼帯で覆った初老の男性の顔が露になる。その顔は殆ど呆然としていた。それは自分が負ける理由を、今になってもう一度探し始めたかのようでもあった。
マシュは情け容赦のない連続パンチをスレイドの顔面に叩き込み続ける。スレイドは何とか距離を離そうともがくが、マシュは彼の腕を放さず、至近距離に置き続ける。
「貴様!!」
スレイドのフックがマシュの脇腹に突き刺さる。一瞬の力のゆるみに乗じ、体をもぎ離すと、彼は落ちていた剣を拾い上げた。格闘戦すら学習されたのならば、近距離戦にこだわる道理など無し! 少し離した間合いから徹底的に潰すのみだ!
それは事実、見事なまでに冷静と呼べる切り替えだった。スレイドは勢いを盛り返し、マシュへと飛び掛かる。中距離からでも届く蹴りの連打だ!
獰猛な蹴りの嵐の中、マシュは防御姿勢を取り、決して崩さなかった。顔中血みどろになり、鎧の節々の肌から痛々しい内出血の痕が見える。だが彼女は耐え続ける。スレイドは敵の不屈を不可解に思う。とうに限界のハズだ。頭部へのダメージは深刻なまでに蓄積され、今にも気絶するほどだろう。だというのに、これは?
「これで、どうだ!」
スレイドは美しいまでに均整の取れた姿勢で、ムチのようにしなる蹴りをマシュの頭部へと叩き込んだ。強烈な音が鳴り響き、マシュの姿勢が揺れる。勝機! その瞬間を狙い、スレイドは剣をマシュの顔に振り抜いた。一瞬後、彼女の頭部は半分に両断され、湿った音を立てて地面に落ちた。
…………そうなるハズ、だった。スレイドは軌道上で止まった剣を訝しみ、視線をやった。彼女は歯で刃を噛み締め、止めていた。
「馬鹿な」
マシュは体を捻り、回し蹴りを繰り出した。その蹴りはスレイドの首を目掛け、猛烈に加速して行く。それはデスストロークの潰れた右目側からの一撃であり、完全に死角を、虚を突いた回し蹴りだった。それは以前と同じ敗因であり、遡ればあの時点で、彼はこの戦いに負ける事が決まっていたのかもしれない。
…………遡れば? デスストロークの脳に走馬燈じみて生前の出来事が去来する。遡れば、この右目が潰れていた事が敗因であり、遡れば、自分が傭兵を始めた事が敗因であり、遡れば……
「ああ」
スレイドは自らが振りまいてきた理不尽に押しつぶされるのを感じながら、その一撃を受け入れた。
480 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:27:50.86 ID:G22OK9G00
マシュ「はあっ、はあっ……!」ドサッ
ナイチンゲール「……ぐっ……」プルプル
バットマン「マシュ、フローレンス……!」ムクリ
ビリー「駄目だ、ケルト兵を止められなかった! 連中、僕たちの拠点に行っちゃったぞ!?」
バットマン「……このふたりを回復させねば」
ジェロニモ「退いてくれ、ブルース。少しなら回復させられる」
バットマン「フローレンスは頼んだ。マシュ、『令呪を以て命ずる』。回復しろ」
マシュ「ありがとう、ございます」ジュゥゥゥゥゥゥ……
ジェロニモ「……」ポウッ
ナイチンゲール「……」ジュジュゥゥゥ……
481 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:28:22.63 ID:G22OK9G00
バットマン「動けるか、マシュ。フローレンス」
マシュ「……はい、いけます。大丈夫です」
ナイチンゲール「……まだ少し難しいかと」
バットマン「フローレンスは私が背負う。全員、このまま敵の拠点へ向かうぞ」
ジェロニモ「ま、待て待て。我々の拠点へ向かったケルト兵はどうするんだ?」
バットマン「放っておけ。聖杯が最優先だ」
ジェロニモ「そうは言ってもだな、あそこには民間人も居るんだぞ!?」
バットマン「……少々の犠牲は仕方あるまい。それよりも早く聖杯を入手すれば良い話だ」
ジェロニモ「……!!」
マシュ「ま、マスター……!」
482 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:29:02.58 ID:G22OK9G00
ジェロニモ「……キミは本当にそれで良いと思っているのか?」
バットマン「何一つ、問題はない」
ジェロニモ「……」
マシュ「マスター、なんで……」
バットマン「全員行くぞ。聖杯を取り戻す」
483 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/12/23(日) 22:29:49.65 ID:G22OK9G00
バットマン(……デスストロークが、南の森へ来た。何の情報もなく? それは考えられない)
バットマン(……)
バットマン(誰が信用できるか、しっかり考えなければな)
バットマン(我々の中に居る裏切り者の尻尾が、見えてきた頃だ)
484 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/12/23(日) 22:30:20.04 ID:G22OK9G00
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/25(火) 14:28:03.11 ID:juxc0MtEO
乙!そろそろクライマックス?
486 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:23:16.72 ID:Elqc4oHU0
………………
ケルト兵達「「「」」」ドドドドドドド……!!
ロボット達「「「」」」ババババババババ
エジソン「フンッ!! ……思ったより敵の攻勢が緩いな。これならば行ける!」ドグシャァ
ケルト兵A「っ」グシャァ
エレナ「油断しないでエジソン、緩いと言ってもロボット達と互角以上の勢力よ。私達が頑張らないと支えきれないわ」ギュドドッ
ケルト兵B「!?」ドシャァ
エジソン「うむ、平気だ! 私は油断していないとも! ……ところで、猫の御婦人は何処へ?」
エレナ「え? セリーナ? ……あら、何処に行ったの?」
エジソン「……まさか、はぐれた?」
エレナ「まさか……」
487 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:24:18.42 ID:Elqc4oHU0
キャットウーマン「……」タタタタ
キャットウーマン「……」タタタタ……
キャットウーマン(……許される事ではない、わよね)
キャットウーマン(……でも、それでも)
キャットウーマン「愛してるわ、ブルース」タタタ……
488 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:24:48.73 ID:Elqc4oHU0
………………
メイヴ「……あの女からの連絡だと、やっぱり南側に本命が出て来たんだって。どうする、クーちゃん?」
クーフーリン「……フン、北を囮に使ったのか。イカれたヤツが居たもんだぜ……俺が潰しに出る」
メイヴ「そう来なくっちゃ。じゃあ私も出るわね!」
クーフーリン「来ても良いが、足手まといにはなるんじゃねえ。全員、槍の準備をしろ」
ケルト兵達「「「……」」」ガシャリ
クーフーリン「……殺戮の時間だ」スク……
489 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:25:17.77 ID:Elqc4oHU0
………………
太陽「」ジリジリ……
エリザベート「……っ、奴が拠点から出て来るわよ」
デッドショット「よし、伏せろエリザベート。狙撃する」
エリザベート「本当にここから狙撃できるの? 遠いし、何より……射線が通ってないと思うけど」
デッドショット「射線を通す必要はない。跳弾角度の計算、弾速、威力と不意討ちが最高のパフォーマンスを発揮するのはこの屋上だ」カチャリ……
デッドショット(ここから撃つ。クーフーリンとかいうクソ野郎の頭に一発風穴を開いてやる……)
デッドショット(向こうからこちらは視認不可能。対してこちらは、町の中の各所に隠したミラーのおかげで全部見通せる……)
デッドショット(お前の墓場はここだぜ、クーフーリン。要人を殺したのは一度や二度じゃねえ。お前も、俺の呪われた功績に仲間入りさせてやる)
(((パパ)))
デッドショット(……黙れ、黙れ、今だけは! 俺だって黙っていられるか! 他人に理不尽を押し付けてきた事は知ってる! それでも、俺にだって意地がある……!!)カチャ……
490 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:25:48.18 ID:Elqc4oHU0
エリザベート「……ねえ」
デッドショット「何だ」
エリザベート「震えてるわよ、デッドショット」
デッドショット「……」
デッドショット(……)
デッドショット「……お前なら撃てる、そう言ってくれるか? 頼む」
エリザベート「……」
デッドショット「……」
エリザベート「……大丈夫よ、デッドショット。アンタなら撃てるわ」
デッドショット「……ありがとう。すまねえ」
デッドショット(……ごめんな)
491 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:26:16.50 ID:Elqc4oHU0
小さなミラーに、ケルト兵達を引き連れて城から現れる大男が映った。右手に持った朱色の槍、左手に持った緑の槍。それは間違いなく、ケルト兵の王、クーフーリンであった。デッドショットは瞬間的に沸騰しかけた怒りを無理に鎮め、深呼吸してスコープを覗き込む。
スコープの中、拡大された狙撃ポイントは、民家の壁にかけられた仮面だ。あれが第一跳弾ポイント。クーフーリンが狙い通りのポイントに差し掛かった瞬間、撃つ。準備は完璧。あとは自分との戦いだ。
フロイドはトリガーに指を掛け、息を殺してその瞬間を待った。ひりつくような太陽が容赦なく照りつけ、彼の思考を陽炎に変えて立ち昇らせる。集中力を高める必要がある。彼は狙撃の瞬間、心を落ち着ける記憶に浸る。娘との、ひと時の記憶に。その瞬間、彼は真に狙撃手足りうる。だからこそ、その瞬間、彼は謝罪する。
(ごめんな)
指がトリガーを引く……その時、デッドショットの目は信じられぬものを捉える。小さなミラー越しにクーフーリンが振り向き、フロイドをまっすぐ見据え……にやりと、笑ったのだ。脳からの電気信号は止まらず、指がたたまれ、サイレンサー付きの銃口から弾丸が飛び出した。
仮面に銃弾が当たり、跳弾。家屋の壁に当たり、跳弾。弾丸が標的に到達する僅かの時間に、デッドショットは自分の敗北を悟った。奴はこちらの狙撃に勘付いていた。この一撃は、防がれる……
果たしてその通り、小さなミラーの中、人外じみた柔軟性で振り返ったクーフーリンは飛び来た銃弾を槍で弾いた。そのまま周囲のどよめきを置き去りに、槍を投げる体勢に入る。
(逃げねえと)
逃げて、何処へ? 一種の自殺願望じみた思考が、デッドショットの思考を鈍らせた。ここで死ねば楽になれる。地獄のような現実ともおさらばだ。このまま、アイツが投げた槍に、胸を貫かれてしまえば……
クーフーリンは槍を投げた。それは二者の間にあった建物を次々に突き破り、あっという間にデッドショットの目の前に飛来した。デッドショットは、フロイド・ロートンは、静かに目を瞑った。これで死ねる。娘を傷付けずに済む。
だがその瞬間はいつまで経ってもやって来なかった。デッドショットは頬に散った生温かい感触に、ゆっくりと瞼を開いた。
彼の目の前、小さな背中から朱色の槍が飛び出していた。ドラゴンのような尻尾が苦しげに動く。
「エリザベート?」
死の高揚から引き戻されたデッドショットは、ひきつる喉から声を絞り出した。
492 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:26:47.62 ID:Elqc4oHU0
か細い声に、エリザベートは振り返り、笑って返そうとした。代わりに口から血が溢れ、屋上を濡らす。
「エリザベート、お前、」
「なんて顔、してんのよ」
おのれを強いて笑みを浮かべ、エリザベートはさらに咳き込み、吐血する。生々しい血の色が屋上に広がって行く。デッドショットは真っ白になった頭で、とにかく行動を起こそうとした。
「掴まれ、逃げるぞ」
「ええ、ええ……逃げて、ゴホッ」
「馬鹿言うな、お前も逃げるんだ」
自分の声が何処か遠く聞こえるのを感じながら、エリザベートを抱え上げる。フロイドはこの白昼夢のような現実感のない光景に、必死になって追い付こうとしていた。
「大丈夫、大丈夫だ」
大丈夫ではない。
「絶対に助けるぞ」
コイツはもう、助からない。
「だから、生きるんだ。分かるな」
コイツは、死ぬ。
「情け、ないわよ、デッドショット」
「そうだな、そうだ……もっと軽口を叩け、お前が治った時に倍にして返してやる」
彼は走った。ケルト兵の追撃が途中に何人か来たが、反射的に撃ち殺し、走った。そうして、彼は極力背中のエリザベートから目を逸らした。彼女が致命傷を負った事実を受け入れられなかったのかもしれない。
デッドショットは街はずれの岩陰まで走り、ようやく止まった。その時、エリザベートの鼓動はもはや、殆ど感じ取れないほどに弱まっていた。
493 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:27:23.18 ID:Elqc4oHU0
デッドショット「……エリザベート、聞こえるか。エリザベート」
エリザベート「……聞こえてるわよ」
デッドショット「……なあ、逃げ切ったぞ。悪かったな、ヘマして。次は絶対成功させる」ギュッ
エリザベート「……本当、駄目ね。アンタは、アタシが居ないと……」シュウシュウ……
デッドショット「そうだな。その通りだ。なあ、お前は良くなるからな……」ギュゥ……
エリザベート「……」シュゥゥゥゥゥ……
デッドショット「待て、エリザベート、待て……待て、待ってくれ」スカ……
光の粒「」フワァ……
デッドショット「…………頼む……」ギリィ
494 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:27:52.16 ID:Elqc4oHU0
………………
メイヴ「……どうする? 追撃、もっと出す?」
クーフーリン「フン、下らねえ。……だが危険だな。万が一あの狙撃手が戻って来て『アイツ』を解放でもしたら、俺達がこの世界を滅ぼすのはかなり難しくなる」
メイヴ「それじゃあ、どうする?」
クーフーリン「俺は戻って拠点を守る。テメェはあの女と合流して攻め込んで来る勢力を叩け」
メイヴ「分かった。気を付けてね、クーちゃん」
クーフーリン「何にだ?」
メイヴ「……ふふ、心配する必要ないわね。あのクーフーリンだもの」
クーフーリン「フン……」ザシザシ
495 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:28:20.35 ID:Elqc4oHU0
クーフーリン(……余計だ。全部余計だ)
クーフーリン(余計なモンばっかりだ。壊さねえと、邪魔で見えやしねえ)
クーフーリン(壊して、終わらせりゃあ、見えて来る)
クーフーリン(俺が誰なのか)
496 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:28:47.42 ID:Elqc4oHU0
………………
バットマン「……」ダダダダ……
マシュ「……」ダダダダダ
ビリー「……」タタタタ
ラーマ「……」タタタタ……チラッ
シータ「……」タタタタ……ハァ
ジェロニモ「……」ダダダ……
マシュ「……」ダダダダ……
マシュ(……不信感だ。皆今まで、マスターを信じてついてきたけど……ここで、信じられなくなってる)
ナイチンゲール「……ブルース」ユッサユッサ
バットマン「喋るな、フローレンス。回復に専念しろ」
ナイチンゲール「大事な話です」
バットマン「……」ピタリ
全員「「「……」」」ピタッ
497 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:29:19.68 ID:Elqc4oHU0
バットマン「……なんだ」
ナイチンゲール「今まで私は、目的のためなら命を投げ出す事もいとわない覚悟でした。この世から怪我や病気で苦しむ人を無くせるなら、この命ひとつ、惜しくなどないと」
バットマン「……」
ナイチンゲール「ですが、今、この背に命を置き去りにして……私は悩んでいます。答えて下さい、ブルース。ある目的のために命を犠牲にする事は、果たして正しいのですか?」
バットマン「……」
ナイチンゲール「……」
ビリー「……」
ラーマ「……」
シータ「……」
ジェロニモ「……」
マシュ「……」
498 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:29:48.49 ID:Elqc4oHU0
バットマン「……正しくなどない。それは自己満足だ。残された者の気持ちを考えない、最悪の手だ」
マシュ「!!」
バットマン「私にはまだ、よく分からない。だが、いかに命を犠牲にする選択肢が容易で、そして確実であったとしても……それは、取るべき行動では決してない」
ジェロニモ「……」
バットマン「……人は、本当に死ぬからだ。それも簡単に」
マシュ「……」
499 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:30:16.73 ID:Elqc4oHU0
ビリー「……うん、やっぱり」
バットマン「何だ」
ビリー「キミについてきて良かった、って思うよ」
バットマン「……?」
ラーマ「ふふ、余の人を見る目に狂いはなかったという事だ」
シータ「不器用な方なんですね」クスクス
バットマン「何の話だ?」
ジェロニモ「まあ、なんだ。今の話を聞いて思ったが、お前ほどの男が無策で敵に本陣を明け渡すハズがない。何か策を施して来たんだろう?」
バットマン「……何故分かる」
ジェロニモ「キミは、ふふっ……なんというか、鈍い男だな」
バットマン「どういう事だ……?」
500 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:30:44.75 ID:Elqc4oHU0
マシュ「……」
マシュ(……やっぱり、マスターはマスターですね)クス
ナイチンゲール「……お答えいただき有難うございました。参考にします」
バットマン「何故今その質問を?」
ナイチンゲール「さあ、自分の胸に手を当てて考えてはいかがですか?」
バットマン「……」
501 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:31:18.03 ID:Elqc4oHU0
バットマン「……時間が無いんだ。行くぞ」
マシュ「はいっ!!」
ビリー「うん!」
ラーマ「ああ!」
シータ「はい!」
ジェロニモ「おうとも!」
ナイチンゲール「よろしくお願いします」
バットマン(何故士気が高まった……?)
502 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:31:50.33 ID:Elqc4oHU0
バットマン「……見えたぞ、あれが」
マシュ「あれがケルト兵の本拠地の……町、ですか?」
ナイチンゲール「どうやら町単位で拠点にしているようですね」ヒョコ
ラーマ「うん? ……むむ、あれは、セリーナ?」ジッ
バットマン「……」
キャットウーマン「……来たのね」
メイヴ「ああ、ようやく来たの? 遅かったわね……それじゃ兵士たち、歓迎の準備をしなさい!」
ケルト兵達「「「!!」」」ザザザザザザ……
503 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:32:17.74 ID:Elqc4oHU0
バットマン「セリーナ」
キャットウーマン「こんにちは、ブルース。その顔、この展開は予想済みだったかしら?」
バットマン「我々の中に裏切り者が居る事は分かっていた。……キミだったようだな」
キャットウーマン「ふぅん、あんまり驚いてないのね」
バットマン「全員が裏切る予想は立てていた。その予想の内のひとつになっただけだ」
キャットウーマン「……相変わらずねえ」
504 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:32:46.46 ID:Elqc4oHU0
ケルト兵達「「「……」」」ザザザザザ……
マシュ「マスター、まずいです。囲まれました」ガシャリ
バットマン「……」
キャットウーマン「そう、私よ。南を少数精鋭で突破すると分かったから、ケルトにその情報を流したの。だから南にデスストロークを配置できたし、数の暴力で突破して本陣まで攻撃を及ばせる事もできた。……でも、スレイドは失敗したみたいね」
メイヴ「あら、それだけじゃないでしょ? ヴィランストリートが手薄になる時期まで知らせてくれて、ホントに助かっちゃったわ」
キャットウーマン「……」
バットマン「……」
キャットウーマン「……何か言ったら? バットマン」
505 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:33:15.35 ID:Elqc4oHU0
バットマン「……分からないのは、セリーナ。キミが何故、ケルトの側についたのか、だ」
キャットウーマン「……」
バットマン「武力の差か? ……違う。キミはそんな考えで動く女ではない。ではキミを動かした理由は、何だ。キミの行動には、いつも何かしらの善意が、ひとかけらだけでも含まれる。たとえその善意が間違いであっても」
キャットウーマン「……はあ。本当に、何でもお見通しよね」
バットマン「……付き合いが長いからな」
506 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:33:42.36 ID:Elqc4oHU0
キャットウーマン「そうね、武力の差じゃないわ。でも、お宝目当てでもない。私がこっちについたのは、私の願いのため」
バットマン「願いだと?」
キャットウーマン「……小さな願いよ。くだらない、馬鹿らしいほどの」
バットマン「……」
キャットウーマン「……あなたの両親が殺された過去を、消したいの」
バットマン「……!!」
507 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:34:09.21 ID:Elqc4oHU0
マシュ「なっ、それは……!」
キャットウーマン「自己満足? 私の我儘? そうでしょうね。分かってるわ、マシュ。でも」
キャットウーマン「……でも、惚れた男の、悲惨な幼少期を消して、幸せに過ごして欲しいなんて、そんなにおかしな願いかしら?」
マシュ「……っ」
キャットウーマン「……あなたになら分かるでしょう、マシュ? あなた、ブルースの事を心から慕ってる。『あの人』から聞いたでしょ? それとも見せられたかしら? ブルースの両親が殺されたのを」
マシュ「……」
キャットウーマン「……ねえ、こっちに来て。大丈夫、あなたのマスターは殺さないわ。今より幸せな記憶の中で、生き続けるだけ……」
バットマン「マシュ」
マシュ「っ」
バットマン「愛と哀れみを履き違えるな」
508 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:34:36.62 ID:Elqc4oHU0
キャットウーマン「……」
バットマン「セリーナ。私は確かに不幸だったかもしれない。両親を生き返らせて欲しいと願った事も、一度や二度ではない」
マシュ「……」
バットマン「……だが、私は今、この状況に感謝してすらいる。私はカルデアに来て、ドクターに、レオナルドに、所長に、職員達に、マシュに出会えた。その今を哀れむ事など、誰にも許さない」
マシュ「……マスター」
キャットウーマン「……そう」
バットマン「私は戦う事を知らない腑抜けではないぞ。……お前こそ、こちらへ戻って来い。セリーナ」
キャットウーマン「ムリよ。まだ諦めきれていないわ」
バットマン「なら、その願望ごとお前達を叩き潰す。行くぞ」
マシュ「はい!」
ビリー「よし!」
ラーマ「いくぞ!」
シータ「はいっ!」
ジェロニモ「ああ!」
ナイチンゲール「ブルース、降ります」
バットマン「まだ駄目だ」
ナイチンゲール「ブルース」
バットマン「駄目だ」
ナイチンゲール「……」グググググ……
バットマン「……駄目だ」ギギギギ……
509 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:35:09.76 ID:Elqc4oHU0
………………
デッドショット「……」
デッドショット(……いつまで座ってるつもりだ、馬鹿野郎。立て。エリザベートは死んだ。お前は生きるんだ)
デッドショット(怒り? 怒りはない。無力感だけがある。俺の自殺願望で人が死んだ。止める事もできなかった)
デッドショット(……生きる事への、最も強い原動力はなんだ? 人はどうしたら生きられる?)
デッドショット(俺の命は、何故まだ途絶えていない?)
デッドショット(俺は立てるのか?)
510 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:35:40.11 ID:Elqc4oHU0
デッドショット「……」スクッ
デッドショット(ああ、立てた。僥倖だ。なら次はもっと簡単だ。戦え)
デッドショット(怒りはない? ないだと? 大嘘だ。立てば、湧いて来る。足元がぐらつく溶岩になったみてえだ。怒りで全身が熱い。燃えるようだ)
デッドショット(自分への怒り? クソ喰らえ。今まで散々理不尽を押し付けて来て、今更殊勝に自分を省みようってのか。俺は悪党だ。デッドショットだ。フロイドじゃねえ)
デッドショット(クソッタレのケルト兵共め、目にもの見せてやる。お前らが奪ったエリザベートの命、取り戻すまで鬼になるぞ)
デッドショット「殺してやる」カチャリ
511 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:36:09.26 ID:Elqc4oHU0
………………
マシュ「はあっ、はあ……!!」ガシャリ
ラーマ「くっ、なんという……!!」ギリィ
キャットウーマン「……もう無理、ね。逃げなさい、メイヴ」シュウシュウ……
メイヴ「あら、どうも。それじゃあ失礼するわね」タタッ
キャットウーマン「……」フッ
バットマン「待て! ビリー、逃がすな!」
ビリー「よーし、狙い撃ち……」カチャリ
ケルト兵B「!!」ババッ
ビリー「ってもう、邪魔だなぁ!」ドォン!!
バットマン「くっ……」ダダッ
キャットウーマン「行かせないわよ」バッ
512 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:36:38.58 ID:Elqc4oHU0
バットマン「……」スッ
キャットウーマン「結局、人なんて何処まで行っても『自分のため』よ。本物の愛がこの世にあると思ってる?」シュウシュウ……
バットマン「問答か。似合わないな、セリーナ」ジリッ
キャットウーマン「答えて、バットマン。貴方は本気でこの世界を救うの? どうしようもないほど不平等で、汚れきっていて、救いようのない世界なのに」シュウシュウ……
バットマン「救う。私の両親が愛した世界だ」
バットマン(そして、カルデアの皆が愛した世界だ)
キャットウーマン「貴方は頑固ね。意地でも自分を見ようとしない。本当に助けが必要なのは貴方よ、それに気づかないと……」
バットマン「……その通りだ」
キャットウーマン「……え?」
513 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:37:13.32 ID:Elqc4oHU0
バットマン「私には何も分からない。暗闇の中を手探りで進んでいるような感覚だよ、セリーナ。こんな事は、初めてだ」
キャットウーマン「……」
バットマン「……いつかまた、私の『家族』は死ぬのだろう」
キャットウーマン「なら……」
バットマン「だが、それでも、私はもう躊躇いはしない。私は怪物ではない、セリーナ。人間なんだ」
キャットウーマン「……」
バットマン「……必ず、世界を、救う」
キャットウーマン「……ふふっ」シュウシュウ……
514 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:37:41.73 ID:Elqc4oHU0
キャットウーマン「……なら、お行きなさいな。頑固なのは変わらないんだから」
バットマン「……」
キャットウーマン「……そこの女の子、マシュって言ったかしら?」シュウシュウ……
マシュ「え? は、はいっ!」
キャットウーマン「よろしく頼むわね」シュゥゥゥゥゥ……
マシュ「……はい!」
515 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:38:09.82 ID:Elqc4oHU0
………………
デッドショット「……」ダダダ……
デッドショット(? なんだ、あの集団は)
盾の少女「」シュバッシィィィ!!
赤い服の看護師「」ゴォォォォッ
赤髪の少年「」ズバァッ!!
赤髪で目がハートの少女「」シュババババ……
デッドショット「……」
デッドショット(笑ってくれ、エリザベート。お前が死んだショックで妙な幻覚が見え始めた)
516 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:38:37.60 ID:Elqc4oHU0
バットマン「? あれは……」ピタッ
デッドショット「……」
バットマン「……フロイド?」
マシュ「すみませんマスター、今は戦っているので集中を!」
バットマン「あ、ああ、すまない……」バシィ!!
ケルト兵F「!?」ドシャァッ
バットマン(まさかマシュに集中を指摘されるとは……気が逸れた。疲れているのか? まさかな……)
デッドショット(ああ、バットマンの幻覚まで見えやがる。クソッ、俺はとことんショックを受けたらしいぜ、エリザベート……お前の声が恋しいよ)
517 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:39:05.86 ID:Elqc4oHU0
デッドショット(けど、こんなところで止まってる時間はねえ。奴らの根城の裏口から突破して、クーフーリンを暗殺する。お前の無念晴らしてみせるぞ、エリザベート)
デッドショット(全部終わったら俺も自殺する。地獄に落ちる。……それで許してくれとは言わねえよ。けど、俺は満足だ)
デッドショット(まあ、自殺なんざするまでもなく、死ねそうだけどな……)タタッ
バットマン(……行ってしまった。まさか私は、連日荒野を歩き続けて、暑さで脳がやられたのか……?)
バットマン(ああ、駄目だ。自己不審に陥るのは良くない。だがまさか、デッドショットの幻覚とは……)
バットマン(……)
バットマン「マシュ、お前はそこに居るな?」
マシュ「え? は、はい……え?」
ナイチンゲール「治療ですか?」
バットマン「いや……うむ……」
518 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/01/16(水) 01:39:44.21 ID:Elqc4oHU0
ラーマ「ブルース、ボケている場合ではないぞ! そろそろ敵の本拠地が近い!」ズバァッ
ケルト兵H「っ」ドグシャァ
シータ「そうです! しゃんとしないと駄目ですよ!!」
バットマン「あ、ああ……そうだな、その通りだ。全員陣形を組み直せ!」
ジェロニモ「ブルース、敵陣の中には三騎のサーヴァントを感知したぞ! 恐らく敵の幹部級だ!」
ドクター『おまけに聖杯反応! 大詰めだ、気張ってくれ!』
バットマン「よし……では、」
ナイチンゲール「行きましょう」スタスタ
バットマン「待て、息をそろえて……」
………………
519 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/01/16(水) 01:40:17.67 ID:Elqc4oHU0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。あけましておめでとうございます。
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/17(木) 01:28:58.44 ID:5FgaZb8G0
乙。
バットマンが人間に戻っていくのが、妙に不穏なフラグに見えてしまうのは何故なのだろうか。
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/17(木) 15:22:15.20 ID:BTy6tK6A0
あけおめ乙!
デッドショットとエリちゃんの雰囲気好きだなぁ……
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/21(月) 01:01:27.74 ID:StVkCVbco
良かった…家でひとりで夕食をレンジでチンするブルースさまはもういないんだね…
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/25(金) 01:56:09.40 ID:prKtt5iio
乙
一応聞くけどキャットウーマン戦はスキップでいいのよね?
何度か戦闘無しで消滅シーンのみかと思ったら投稿忘れてた云々があるから判断に困る
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/02/20(水) 18:05:51.51 ID:A+yvLRSPo
やっとおいついた…とてもおもしろい
ズーインアーとか出たりするかな?
525 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/04/25(木) 02:08:58.72 ID:YcegZolL0
目覚めた時、俺は既に「王」として決定づけられていた。朱色の槍を与えられ、歪んだ意志を授けられ、そして「クー・フーリン」としてある事を求められた。
世界は歪んでいた。俺の持つ力も歪んでいた。だが何より歪んでいたのは、常に俺の隣に居る女だった。
「クーちゃんは王になるの。貴方はこの世界に突き立つ一本の槍になる」
奴はそう言っていた。彼女が聖杯にそう願い、俺は創られた。
人の願いだ。そこには不純物が混じる。奴は俺を「王」として召喚したが、そこに邪悪さを、そして愛をつけ足してしまった。おかげで俺は兵器足りえず、余計な思考を持ってしまった。
勝手な女だ。そう思った。だが、俺はそれ以上を考える事は無い。何故なら俺は王であり、常に奴の隣に存在する邪悪であり、……そして、それだけだからだ。
……だが、俺の意志から遠い場所で、誰かが常に叫んでいた。俺は誰なのか、と。
526 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/04/25(木) 02:09:25.79 ID:YcegZolL0
………………
ラーマ「それで、どうする。まさか真正面から突っ込むのか?」
マシュ「マスター、どうしましょう」
ナイチンゲール「なぜここで立ち止まるのです?」グググ……
バットマン「当然、作戦はある。ナイチンゲール、お前は止まれ」グググ……
ビリー「力すごく強いんだけど……!」グググ……ズリズリ……
シータ「ナイチンゲール様、どうか……!」グググ……
ナイチンゲール「……」グググ……
527 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:09:51.82 ID:YcegZolL0
…………
バットマン「……つまり、裏口や奇をてらった突入はしない。堂々と、真正面から突っ込む」
ビリー「キミ、暑さで正気失った? 敵の本拠地に、真正面から突っ込むだって?」
バットマン「私は極めて正気だ。まず、敵は私達の奇策を一度目の当たりにしている」
ジェロニモ「北の主戦場を避け、少数精鋭で南を通り抜けた事か?」
バットマン「そうだ。奴らは恐らく警戒している。私達は奇策を使い、裏口や、その他の予想だにしない場所から攻めて来るだろう、と。
だからこそ、予想の中心を攻める」
マシュ「灯台もと暗しという奴ですね!」
バットマン「その通りだ」
ラーマ「……むむ、少し待て。今の流れで思い出したが、我々の拠点は今頃どうなっているのだ?」
バットマン「それは……」
528 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:10:18.44 ID:YcegZolL0
………………
ケルト兵達「「「」」」ザン、ザン、ザン……
エジソンの拠点「」シィィ……ン
ケルト兵A「内部を徹底的に調べろ」スタスタ
ケルト兵達「「「ハッ」」」ザン、ザン、ザン
ケルト兵A「もしもし、こちら南部本隊。エジソンの拠点に到着しましたが、人の気配がありません……」スタスタ
廊下「」……ッ、ピッ……
ケルト兵A「……? いえ、少々お待ちを。何か、物音が……」
廊下「」……ピッ、ピッ、ピッ
ケルト兵A「何でしょうか……赤い発光体じみたものが……」
爆弾「「「」」」ピッ、ピッ、ピピピピピピ……
チュドドドドドドドドォォォォォ!!!!
529 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:10:46.43 ID:YcegZolL0
………………
エジソン「フンッ!」シュドッ!!
エレナ「無茶しないでエジソン! ……ブルース達からなかなか連絡が来ないのが気がかりね、今頃南側はどうなって……」
チュドォォォォォ……
エレナ「……ああ……」
エジソン「む……罠が発動したか」
エレナ「拠点を囮にしたの? 驚いたわ。よく同意したわね」
エジソン「私とて本意ではなかったが、ここで一気に勝負を付けるためには致し方なし! 責任は全て私が背負おう!!」
エレナ「なら、私達もここが正念場ってわけね!」
エジソン「勿論だとも!! ……キミ達に賭けたぞ、ブルース!!」ガオオッ
530 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:11:12.21 ID:YcegZolL0
チュドォォォォ……
バットマン「……罠が発動した」
爆煙「」モク……
ジェロニモ「なんという破滅的な策に出たものだ……一つ訊くが、拠点で働いていた民衆は無事なのか?」
バットマン「全員事前に脱出させた。ある種賭けだったが、うまく行ったようだ」
マシュ「突入タイミング、今が最高と思われます」
ナイチンゲール「……」グググ……
シータ「うううう……」グググ……
ラーマ「……落ち着け……!」グググ……
バットマン「シータ、ラーマ、離してやれ。突入するぞ」
531 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:11:38.80 ID:YcegZolL0
………………
デッドショット「クッ……」ダダダ!! ダダダダダダダッ!!
ケルト兵達「「「」」」ザン、ザン、ザン
デッドショット「チクショウめ、撃っても撃っても湧いてきやがる! 一人特攻は無謀だったか!?」ガシャリ
デッドショット(どうなってやがる、わざわざ手の薄そうな裏口から入って来たのに……むしろ正面より警備が厳重だぞ)
デッドショット「舐めるなよ、雑魚が何匹群がっても的が増えただけだ!」ダダダダダダダ!!
532 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:12:05.64 ID:YcegZolL0
………………
バットマン「マシュ!」
マシュ「はいっ!!」ブォンッ
ケルト兵D「!?」ゴッシャァ
ビリー「よっと!」タァン、タァン!!
ケルト兵E「っ……」ドシャァ
バットマン「全員隊列を崩すな! このまま廊下を突き進み、玉座に突入を……」
ラーマ「!! 止まれブルース!!」ガシッ
バットマン「!?」
ムチ「」ヒュパンッ!!
ラーマ「ぐっ……」グラ……
バットマン「ラーマ!?」
「……ふーん、やっぱりここまで来ちゃうんだ。面倒な奴らね」
バットマン「お前は……」
メイヴ「まさかデスストロークをあっさり退けるなんてね。アイツも所詮そこまでの奴だったって事かしら」
533 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:12:32.01 ID:YcegZolL0
マシュ「敵の女王です! メイヴ!」
バットマン「女王メイヴ。お前は終生クー・フーリンとは相容れず、敵同士だったハズだ。何故お前達が行動を共にしている」
メイヴ「あ、そういう無粋な事訊いちゃうの? セリーナが惚れてるっていうから、どんな男かと思ってたら……こんなつまらない奴だったなんてね」
ビリー「あはは、質問に対する答えになってないなぁ」カチャリ
メイヴ「ふふ、目の前にある事象を事実として受け入れるのよ。いちいち『これはこうだ』『あれはああだ』なんて、理解してたらつまらないでしょ?」
バットマン「……」
ラーマ「ブルース、どうするのだ」
バットマン「構えろ。奴を叩き潰す」
534 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:12:58.32 ID:YcegZolL0
メイヴ「叩き潰すですって? 生憎だけど、潰されるのはアナタ達の方よ。ノコノコ敵の本陣まで踏み入っちゃって、蟻より軽い命になっちゃったわね」
ナイチンゲール「命の重みは平等です」
メイヴ「ああもう、初めて会った時からアナタの事が嫌いだったわ。邪魔よ。戦争の邪魔なのよ。全部奪って私のモノにするハズだったのに、アナタ達は本当に……!」
ケルト兵達「「「」」」ザザザザ……
ジェロニモ「……ブルース、囲まれたぞ」
バットマン「全員、背中合わせだ。マシュ、ラーマ、シータ、ナイチンゲール。お前達はメイヴを。ジェロニモ、ビリー、ケルト兵をやるぞ」
ビリー「りょうかいっと」
マシュ「はい!」
ラーマ「任せろ!」
メイヴ「今度は抵抗なんてさせないわ。王の元になんて行かせない。私の戦争にケチはつけさせない。奪って、殺して、愛すのは私。命は私が愛でるのよ」
ナイチンゲール「命は救うものです」ジリッ
メイヴ「ほざいていればいいわ!!」バッ
535 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:13:24.75 ID:YcegZolL0
………………
デッドショット「はあ、はあ……」
死体「「「」」」ゴロ……
デッドショット「ふう……」
デッドショット(あらかた片付けたか。しかし戦ってるうちに、随分奥の方まで来ちまったな……)
緑の扉「」ジリジリ……
デッドショット(……おいおい、あれは何だ……)
536 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:13:51.18 ID:YcegZolL0
緑の扉「」ギゴゴ……
緑の天井「」ジリジリ……
緑の壁「」ジリジリ……
緑の床「」ジリジリ……
デッドショット(なんてこった、緑一色の部屋だ……こんなところ、一日だって居たら気が触れちまう)
???「……」グッタリ
デッドショット(……誰か倒れてやがる)
デッドショット「おい、アンタ。大丈夫か」ガシッ
謎の男「……」ゴロリ
デッドショット(胸にSのマーク……? 青いコスチュームじみた服、赤いケープのマント……おい、おいおい、おい)
デッドショット「アンタ、まさか……」
537 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:14:33.76 ID:YcegZolL0
………………
マシュ「たああっ!!」ヒュゴッ
メイヴ「くっ……!!」ズシャァァ
ナイチンゲール「そこ!」シュバッ
メイヴ「遅いわよ!」ガギィィィィ!!
バットマン「フンッ! ビリー!」ガッシィ!
ケルト兵W「!?」ジタバタ
ビリー「オッケー!」バァン!!
ケルト兵W「っ」ドシャァ
ジェロニモ「ブルース!」ブンッ
バットマン「よし!」ガシッ、ドゴォ!!
ケルト兵X「!?」ドッサァァァン
バットマン「ビリー、ジェロニモ、このラインを死守するぞ! メイヴのところに増援を辿り着かせるな!」
ビリー「了解!」
ジェロニモ「任せろ!」
538 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:15:40.51 ID:YcegZolL0
ラーマ「シータ!」ヒュンッ
シータ「はい!」シュパパッ
矢「「「」」」ヒュォォォォッ
メイヴ「うっ……!」ドシュゥッ
マシュ「そこ!」ダンッ、シュバッ
メイヴ「この……!」ズササァ、タタッ
ナイチンゲール「甘い!」ヒュババッ
メイヴ「うっ、とうしい!!」ガシィ!!
539 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:16:08.31 ID:YcegZolL0
ナイチンゲール「……!!!」ググググ……
メイヴ「……本当に邪魔ね、アンタ……!」ググググ……
ナイチンゲール「貴女の行為は既に無益なモノになっています。投降しなさい」ググググ……
メイヴ「お断りよ。戦争は終わらない。終わらせない」
ナイチンゲール「もはや取る国すら失ったというのに、貴女の戦争にいかほどの意味があるのですか。死者と痛みばかり生み出す地獄に何の価値があるのですか」ギリィ
メイヴ「国が無くなったのなら、次は世界よ。跪かせて、私に服従させる。従わせてみせるわ」ググ……
ナイチンゲール「貴女は破綻しています。根底が病んでいる。世界を消してまで、自分が愛されているという確証が欲しいのですか!」
メイヴ「人は愛を求める生き物よ。私は世界を愛してる。だから奪うのよ!!」
ナイチンゲール「ならば、私は貴女を治療しましょう……! たとえ貴女を殺してでも!」
540 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:16:36.14 ID:YcegZolL0
マシュ「やあっ!!」ブォンッ
メイヴ「あぐっ……!」ゴッ、ズシャシャァ
ラーマ「そこだ!」シュバッ
メイヴ「ちっ、この」バッ
シータ「とどめ!」シュバッ
矢「「「」」」ヒュオォォッ
メイヴ「しまっ……」ドシュシュッ
ナイチンゲール(心臓を矢が貫通。死は免れず……)
メイヴ「か、はっ」ビチャッ
ナイチンゲール(……いや)
ナイチンゲール「マシュ! 避けなさい!」
マシュ「!!」バッ
ムチ「」ヒュパンッ!!
メイヴ「こ、の……!!」ギリィ
541 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:17:04.01 ID:YcegZolL0
ナイチンゲール「心臓部へのダメージは壊滅的なハズです。動けば苦しみが長引きますよ」ジリッ
メイヴ「諦めて、死ねっていうの? ありえない。ありえないわ。クーちゃんを残して、死ねない」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「貴女の苦しさは分かります。その症例は何度も診て来ました。地獄のような痛みと苦しみのハズです」
メイヴ「だから……だから、どうしたってのよ!!」
542 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:17:42.86 ID:YcegZolL0
メイヴ「こんな痛み! 世界に焦がれる、あの人に焦がれる痛みに比べれば小さいものよ!」ザシィ
メイヴ「いつだってそう! 何処までだってそうだった! 『持てるモノに満足しなさい、人を羨むのはやめなさい!』 下らない教えのせいで、世界は色あせていた!!」
メイヴ「私は違う! 私は手に入れる! 想い人を、世界を! 後悔なんてするもんですか! 進んだ果てが破滅でも、たとえ他に正しい道があっても! 私の王道を邪魔するのは、許さない!!」
マシュ「っ……!」
メイヴ「ひれ伏しなさい! コノートの女王の前に!!」ダッ
543 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:18:11.38 ID:YcegZolL0
マシュ「くっ、」
ラーマ「危ない!」バッ、ガギィィィ!!
シータ「なんて生命力……!」シュパパ
矢「「「」」」ヒュオッ
メイヴ「ぐっ……」ドシュシュシュ……
シータ「とうに致命傷のハズ!」
ラーマ「油断するな、シータ!」ギリギリギリ……!!
メイヴ「邪魔……邪魔よ! 邪魔、邪魔、邪魔なのよ!!」ギリギリギリ……バッ、ギャギャァン!!
ラーマ「うおっ!?」ズシャァッ!!
マシュ「なんて執念……! これはまるで、バーサーカーか、アヴェンジャーじみて……霊基が、変質している……!?」ジリッ
ナイチンゲール「……」ジッ
544 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:18:39.28 ID:YcegZolL0
ナイチンゲール「……成程。献身こそ全てと思っていた私には、理解のできない話ではありますが……それでも、納得はできます」
メイヴ「邪魔! 邪魔! 全部よ! 全部が!!」ダッ、ブンッ
ナイチンゲール「貴女はやはり病気です。必ず救います」ガシィ!!
メイヴ「ああああああああああ!!」ギチギチギチ
ナイチンゲール「苦しいものだったでしょう。形は違えど、貴女も決して叶わぬ愛を追った身」
メイヴ「黙れ! 黙れ!! 知ったような口を利くな!!」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「人は満たされれば、必ず乾きを知ります。私が治療した兵士たちの多くは、また前線に赴き、死んで行った。救えない命の多さは、届かない希望の辛さは、よく分かります」
メイヴ「私は……!」
ナイチンゲール「だからこそ、貴女を救ってみせる。女王メイヴ。地獄はもう作らせない。それが私です」
545 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:19:06.99 ID:YcegZolL0
マシュ「たあっ!!」シュンッ
メイヴ「!!」ゴシャァ、ゴロゴロッ
ナイチンゲール「フンッ!!」ガシッ、グイッ
メイヴ「ぐうっ」ブラァ……
ナイチンゲール「……終わりです!!!」ドゴッシャァァァァァ!!
メイヴ「っぐは……」グシャァァ
バットマン「……!!」
ケルト兵達「「「!」」」ヨロッ
ビリー「終わった!?」
ジェロニモ「そのようだ!」
546 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:19:42.99 ID:YcegZolL0
メイヴ「なんで……これで、終わり……?」
ナイチンゲール「終わりです。貴女の夢も、ここで潰えた」パッ
メイヴ「……あぁ、終わっちゃったんだ……」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「……人は必ず、叶わない夢を見ます。貴女のこれは夢だった。ですが、貴女は夢に命を懸けた。敬意を表します」
メイヴ「……ふふ、あぁ、終わっちゃったんだ……ごめんね、クーちゃん……」シュウウゥゥゥゥ……
ナイチンゲール「さよなら、女王メイヴ」
547 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:20:26.57 ID:YcegZolL0
マシュ「戦闘、終了。……ケルト兵達も、消えて行く……?」
ケルト兵達「「「」」」シュウゥゥゥゥゥ……
バットマン「終わったか」
ラーマ「ああ、恐ろしい相手だった」ハァ、ハァ……
ナイチンゲール「ええ。後は玉座の間に居る『王』だけですね」
ジェロニモ「しかし、何故ケルト兵達も連動して消えるんだ?」
バットマン「ドクター、何か仮説は?」
ドクター『えっと、多分だけど、そのケルト兵達自体がメイヴの存在に引っ張られて召喚された……とか? だから、消える時は連動して消えるって感じ……かなあ?』
バットマン「成程」
シータ「という事は、北の戦線に居るケルト兵達も?」
バットマン「どうだろうな。聖杯から生じたケルト兵と、メイヴに付属するケルト兵では性質が違うかもしれない。何にせよ、早急な決着が望まれる」
マシュ「行きましょう! 玉座の間は目と鼻の先です!」
バットマン「ああ。全員、気を引き締めろ。大詰めだ」
548 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:20:55.25 ID:YcegZolL0
………………
???「……」ピクッ
???「……」ノソリ、スクッ
扉「」ギギギギギ……
バットマン「……ラーマ、マシュ、先頭を。ビリー、シータ、ジェロニモ、ナイチンゲール。後方支援を徹底しろ」
マシュ「はい。……暗いですね」ジリ、ジリ
ラーマ「……注意しろ、皆。前方に何か居る」
松明「」ボッ
バットマン「!!」
松明「「「」」」ボボボボボ……
「……お前らが此処に居るって事は、メイヴはやられたか」スタ、スタ
バットマン「……お前は」
クー・フーリン「フン。アイツが引き際を見誤るとはな」スタ……
549 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:21:22.55 ID:YcegZolL0
クー・フーリン「……ったく、勝手に俺を王に祭り上げといて、挙句に勝手に死んだか」
ナイチンゲール「誇り高い最期でした。夢に殉じた、女傑と呼ぶにふさわしい執念だった」
クー・フーリン「どう呼ぼうがテメェらの勝手だ。だが、そうか……アイツはそこまで熱中して消えて行ったんだな」
ナイチンゲール「……」
クー・フーリン「……フン、俺も所詮奴に喚ばれた存在だ。どうせもう、長くはもたねえ。願いの大元が消えた以上、王である意味も無くなったしな」シュウシュウシュウ……
バットマン「ならば、大人しく聖杯を渡せ。クー・フーリン」
クー・フーリン「うるせえぞ。テメェら、誰に喧嘩を売ったのか忘れてねえだろうな」ガシャリ
マシュ「!!」ガシャッ
クー・フーリン「俺はアルスターのクー・フーリン。クランの猟犬。何より鋭い一本の槍だ。たとえ王でなくなっても、俺は戦士だ。戦いの果てに何も残らねえとしても、俺はお前達を叩き潰す」
ラーマ「……ブルース!」
バットマン「全員構えろ! 奴から目を離すな! ビリー!! 牽制だ! マシュ! 突撃を!」
ビリー「了解!」タァン!!
マシュ「はい!!」ダダッ
550 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:21:56.86 ID:YcegZolL0
クー・フーリン最大の武器はその「投擲術」である。槍を投げ、敵の心臓を貫き、然して殺す。百発百中の殺技であり、当然バットマンはこれを警戒した。ゆえに、牽制としてビリーに先手を打たせ、マシュの近接格闘戦に持ち込もうとした。
だが、クー・フーリンはこれを無視した。他の全てを無視し、うずくまるように屈み込み、地面に両手をついた。それはまるで、エモノに飛び掛かる直前の肉食獣じみていた。
自らの経験に無い敵の動きに、マシュは思わず立ち止まる。狙いを外した弾丸が壁に当たり、火花を散らす。一瞬の静寂。ブルースでさえ、敵の次の動きを予測しかねた。
まず聞こえたのは、くぐもった、不快な音であった。バットマンは気付く。それは、肉と骨が軋む音である。マシュは見る。クー・フーリンの背中から真っ赤な棘が生え、骨格が歪み、筋肉が醜く膨れるその様を。
「……」
その怪物は、巨躯を有していた。顎は頭ほど肥大化し、片目は顔に埋もれ、反対の目は大きく突出していた。突出した目の中には七つの瞳が現れ、全身は赤黒く染まり……
彼の者は、蒸気じみた息を大きく吐きながら、その顔を上げた。あまりの殺気に、空気がビリビリと震えた。ラーマは思わず息を飲み、シータは震える手で弓を握り締めた。
怪物が消えた。マシュは反射的に盾を持ち上げた。そして、殆ど不可視じみたスピードの一撃を受け止めた。
火花が大きく散り、甲高い音が鳴る。マシュはたった一撃で弾き飛ばされ、吹き飛ばされて壁にめり込む。怪物は歪んだ笑みを浮かべる。
皆の心に絶望が生じかけたその時、怪物へと進んでいく赤い存在があった。彼女は、一人の看護師は、重圧をものともせず、怒りにも似た執念と共に突き進んで行く。
その姿に、皆が鼓舞された。ジェロニモが戦士を称える古い詩を叫び、ビリーが弾丸を込め直し、ラーマが剣を構え、シータはラーマと並び立ち、マシュは瓦礫をふるい落とし、戦闘が始まった。
551 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:22:25.37 ID:YcegZolL0
………………
廊下「」ゴゴゴォ、パラパラ……
???「……っ」ビクリ、ガバッ
デッドショット「ようやくお目覚めか。世話が焼けるぜ、正義の味方サンよ」
???「ここは……キミは? 僕は、確か……子供達を助けようと……」フラ……
デッドショット「アンタは奴らに負けて、クリプトナイトで出来た部屋に閉じ込められてたんだ。覚えてるか?」
???「……クリプトナイト……そうだ。キミが助けてくれたのか? 確か、名前は……フロイド・ロートン」
デッドショット「……いちいち小悪党の名前を覚えてるんじゃねえってんだよ。スーパーマン様ともあろうものが」
スーパーマン「……ありがとう。これでまた、戦える」ヨロ、ヨロ
デッドショット「何? 馬鹿言うな、さっきまで死にかけだったんだぞ。休んで行かねえと」
ゴゴォ、パラパラ……
デッドショット「……畜生、なんだってんだ。さっきから城が揺れっぱなしだ」
スーパーマン「行かなければ。奴らは危険だ、僕が止めるしかない」
デッドショット「無理するな。誰かは知らねえが、この城じゃ俺達以外にも戦ってる奴が居るらしい。休む時間くらいはある」
スーパーマン「……しかし、僕は……」
デッドショット「今のお前じゃ足手まといだ。……俺が代わりに行く。動くんじゃねえぞ」タタッ
スーパーマン「なっ、待て……」フラリ、ドサァッ
デッドショット「そのまま寝てろ! お前の出番は無えさ!」タッタッ
552 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:22:58.31 ID:YcegZolL0
………………
マシュ「たあああっ!!」ヒュンッ
クー・フーリン「ガアアァッ!!」ガギィィィ、シュババッ
マシュ「くっ、ダメです! 敵のスピードが速い!」ズバァ、ドシャシャ
ナイチンゲール「下がりなさい! 貴女のダメージは深刻です!」ダッ
マシュ「フローレンスさんこそ!」ムクリ
ジェロニモ「精霊たちが怯えている……! 何て強大な敵だ!」
ビリー「ああもう、的の動きが速すぎる……!」
シータ「あれではまるで、魔王(ラーヴァナ)……」
ラーマ「マシュ! フローレンス! 数の利点を活かすのだ! 囲い込むぞ!」ダダッ
マシュ「はい!」タッ
ナイチンゲール「分かりました!」ザザァ
バットマン「駄目だ! 屈め、ラーマ!」
ラーマ「何っ!?」
クー・フーリン「ゴガァァァァ!!」ブォンッ
ラーマ「っぐわ……!?」グサァ、ブシャァァァ……
553 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:23:40.17 ID:YcegZolL0
シータ「ラーマ様!?」
バットマン「ビリー! ジェロニモ! ラーマを援護だ! シータ、矢の射出を止めるな! 少しでもクー・フーリンの動きを制限しろ! マシュ! 予測だ! 敵の筋肉の動きを見るんだ!」
バットマン(囲い込めば、それだけ敵も攻撃機会が増える。自分達より数段速く強い相手に、それは悪手……!)
バットマン(だが、クー・フーリンも消滅が始まっているハズだ! だというのに、ここまで戦えるものなのか!?)
ナイチンゲール「治療を!」ガシッ、ズルズル
ラーマ「ぐ、ぶっ、あ……!」ブシッ、ブシィ
ビリー「ジェロニモ! 何かないの!? こう、一発逆転できる精霊とかさぁ!」タァン、タァン!!
ジェロニモ「あったら使ってるさ! 神話は万能じゃないんだ!」ダッ
ビリー「駄目かぁ! やっぱり銃で解決するしかないよね!」
クー・フーリン「ググググ……グラァッ!」ダンッ
ビリー「消えた!?」
マシュ「ビリーさんっ、後ろです!」
ビリー「なに……」
クー・フーリン「ガァァァッ!!」ズバァッ
ビリー「ぐあ……!?」ドシャァッ
ジェロニモ「ビリー!?」ジリッ
クー・フーリン「ツギハ、オマエダ……」ドシ、ドシ
ジェロニモ「くっ……」
554 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:24:09.05 ID:YcegZolL0
マシュ「そうは、させません!」バッ
クー・フーリン「グロォ……」
マシュ(仲間は全滅寸前。敵は強大。今こそ、命を燃やす時……!)スーッ、ハーッ
マシュ「マシュ・キリエライト、交戦します……!」ジリィ
555 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:25:28.79 ID:YcegZolL0
怪物を前に、マシュは半身になった。はちきれんばかりの緊張感の中、殺気と覚悟がぶつかり合う。
クー・フーリンが床を蹴った。遅れて床が爆ぜ、破片を撒き散らす。そのスピードはこの場の誰にも見えぬほどであり、バットマンには疾風じみた影しか見えない。
が、マシュはそれを予測していた。構えた盾と醜い爪がぶつかり合い、火花を散らす。マシュの筋肉が軋み、クー・フーリンは歪んだ笑みを浮かべる。
次の瞬間、台風のようなやり取りが始まった。爪が盾を掠り、槍を拳が捉え、尻尾がマシュの脇腹を打ち、頬を拳が打ち抜く。
風が吹き荒れ、瓦礫が吹き飛んで行く。マシュの瞳の輝きが増し、クー・フーリンの全身から禍々しいオーラが噴出する。
ここへ更に、凄まじいスピードで参戦する影があった。ジェロニモ。精霊の力を借り、風のように素早く、山のように力強く、火のように荒々しく踏み込む。
三人はもはや常人の目には見えず、食らい合うような攻撃で身を削りながら戦い続ける。
シータも覚悟を決め、矢筒から矢を引き抜く。そして、もはや霞む色としか思えない乱戦の中に目を凝らす。
(神々よ。そしてラーマ様。どうかご加護を。私にこの一矢を撃つ勇気を)
シータは目を開き、しっかりとその乱戦を見据えた。マシュが槍を受け止め、生じた隙にジェロニモがナイフを振り抜く。クー・フーリンは爪で受け止め、尻尾を振り抜こうと地面を踏みしめる。
そして、矢が放たれた。空気を裂き、その一矢はクー・フーリンの首を目掛けた。怪物は意外そうに目を開き、その一撃を見ていた。
矢が、彼の喉を穿った。クー・フーリンは血液を口から漏らす。致命傷だ。もはや勝負あった。マシュは動きを止める。
だが、直後に尻尾がマシュの頬を打ち据え、弾き飛ばした。ジェロニモが飛び退いたコンマ1秒後、それまで彼が立っていた場所に槍が突き刺さった。
クー・フーリンはもはや己の命にすら頓着せず、血を撒き散らしながら吼えた。彼は血走った目を開き、ジェロニモへと向かって駆けて行く。
不死身じみた怪物の暴動。しかし終わりは見えていた。クー・フーリンの背中から立ち昇る光の粒が、加速度的に増えて行く。それは消滅へのカウントダウンだ。
556 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:26:00.62 ID:YcegZolL0
(ようやく見えた。ようやく見えたんだ。命が終わろうとしてやがる。俺は終わりだ。余計なモンが全部消えて行く)
クー・フーリンは歓喜しながら、爪を振るう。下手にガードしたジェロニモは吹き飛び、壁に突っ込んで粉塵を撒き散らす。
(終わりだ。だが、終わらせるのも俺だ)
クー・フーリンは、次いでバットマンに目を移す。殺気に打たれ、片膝をついていたバットマンは立ち上がる。だが、彼が立った時には既に、怪物はバットマンの目の前で爪を振り上げていた。
そこへ、マシュが飛び込み、盾で爪を受け止めた。バットマンはマシュの頭上を跳び越え、怪物の顎へと蹴りを繰り出す。
怪物は無造作にその蹴りを掴む。一動作。マシュはその隙を突き、正拳突きでクー・フーリンの鳩尾を抉る。こらえきれず、吐血が散る。
バットマンは素早く蹴り足を戻し、空中で回転しながら怪物の喉に突き刺さった矢へと拳を繰り出した。更に深々と突き刺さり、クー・フーリンはよろめく。
バットマンは着地し、マシュがそれを庇うように立つ。万全のコンビネーションであり、これを破るのは難しいだろう。
そして、死が近い。怪物は今や全身を赤く染め、立っているのもやっとな状態である。魔力はとうに枯渇し、消滅の光粉は止まらない。だが、それでも、怪物は立ち続ける。
「俺はクー・フーリンだ。俺は。クー・フーリンだ」
下らねえ。ヘドが出る。自分の言葉に笑いながら、それでも怪物はうわ言じみて呟き続ける。お前がそう願ったなら、俺はそうあろう。王であり、槍であり、一人の男であろう。たとえ歪んでいたとしても。
ラーマが起き上がり、剣を構えた。ジェロニモも壁から抜け出し、シータは弓に矢をつがえる。ビリーも床に手をつき、ナイチンゲールは怒りと共に怪物へ向き直る。
誰かが吼える。静寂を破り、またしても全員が動き出す。
557 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:26:39.93 ID:YcegZolL0
クー・フーリンはシータへと飛び掛かった。が、ラーマがそれを庇い、袈裟懸けに切り裂かれた。
ラーマは膝をつくかに思われた。だが、開いた傷は煙を噴き上げ、音を立ててふさがっていった。
クー・フーリンはその原因に目をやる。戦場の中心、燃える瞳で自分を睨む赤い看護師へと。
「貴方はもう、何者をも害する事は無い。戦の禍よ。これが終わりです」
「終わりだと。終わりだと!!」
怪物が吼える。槍が輝く。ナイチンゲールは決してひるまず、歩いて距離を詰めて行く。
「貴方は病気です。私は救ってみせる。全ての命を」
「終わりだと!! これが!!」
「私は天使ではない。女神でもない。それでも私は、全ての毒あるもの、害あるものを絶ち、人々の幸福を導きましょう」
宝具だ。怪物は気付く。看護師の宝具が、周囲の者を癒している。傷を癒している。地獄を癒している。
ラーマが斬りかかる。ビリーが撃ち込む。クー・フーリンは片手でそれを払いのけ、今や一人の看護師とまっこう向かい合う。
ジェロニモが飛び掛かる。シータが射る。マシュが殴りかかる。怪物は三人分の圧力と組み合い、なおも看護師を睨む。
「もう、傷付けさせない。私が居る限り!」
「黙れ! 終わるか! 俺は、まだ!!」
不意に、銃撃音が響いた。クー・フーリンは自分の身体を見下ろした。そうして、胸に空いた穴を見た。遅れて穴から血が噴き出し、床を染めていった。
怪物は、未だ理解が及ばないといった体で、後ろを振り向いた。そこには、いつぞやの狙撃手が立っていた。
「仇は取ったぞ、エリザベート」
狙撃手は独りごちた。怪物は崩れ落ちた。
558 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:29:20.09 ID:YcegZolL0
クー・フーリン「……ちっ、終わりか……」シュウシュウシュウ……
クー・フーリン(メイヴ、お前はどんな気持ちだった。俺と同じ気持ちか?)シュウシュウシュウ……
クー・フーリン「……」フッ
シュゥゥゥゥゥ……
聖杯「」カラン……
559 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:29:49.23 ID:YcegZolL0
バットマン「……フロイド?」
デッドショット「動くな。テメェら、全員だ」カチャリ
ビリー「ちょっちょっちょ、待ってよ。味方なの? 敵なの?」カチャリ
シータ「ラーマ様!」バッ
ラーマ「こやつ、相当できる……あの距離から、心臓を撃ち抜くとは」ガシャリ
マシュ「マスター、指示を!」
バットマン「待て、全員止まれ! フロイド、何故ここに居る!?」
デッドショット「そいつはこっちの台詞だ、コウモリ野郎め。忌々しいぜ、こんなところでも因縁が付いてきやがる」
560 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:30:17.34 ID:YcegZolL0
バットマン「……事情は分からないが、今までのお前の動きを見る限り、敵とは思えない」
デッドショット「どうかな? 聖杯ってのは万能の願望器なんだろ? なら、俺の家族とエリザベートを呼び戻す事も出来るって訳だ」
マシュ「……! それは……」
デッドショット「世界を救う? クソ喰らえだ。俺は自分の願いを優先させるぜ。お前らみたいな聖人君子ってワケじゃねえからな」
バットマン「この人数差だ。やれると思うのか、フロイド」
デッドショット「やれねえと思うのか、バットマン。俺は切羽詰まってるぞ」カチャリ……
561 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:30:49.28 ID:YcegZolL0
ナイチンゲール「……家族、ですか。戦争に巻き込まれ、殺されでもしましたか」
デッドショット「黙れ」
ナイチンゲール「では貴方は、他の皆に地獄を押し付け、自分一人が楽となる事を良しとするのですか」
デッドショット「黙れ。俺は慣れてるぞ」
ナイチンゲール「貴方の家族はどうです? エリザベートとやらは、他人に理不尽を押し付けるのを良しとしますか?」
デッドショット「……黙れ! お前の眉間から撃ち抜いてやろうか!?」チャキ
ナイチンゲール「それは貴方の願いです。目を逸らしてはいけません。少なくとも、ここの王も、女王も、自分の願いを誤魔化しはしなかった」
デッドショット「……!!」
マシュ「ま、待ってください! 皆さん、聖杯を……!」
562 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:32:52.75 ID:YcegZolL0
聖杯「」コロコロ……
???「ふむ、参ったものだ。まさか、五つ目の特異点まで攻略されてしまうとはな」コツ、コツ
バットマン「お前は……!!」
レフ「くくく、久しいな。黒衣の騎士に、マシュ・キリエライト。健闘してるようだ」
マシュ「レフ・ライノール!? 第二特異点で、アルテラに両断されたハズじゃ……」
レフ「ははは、主のおわす『玉座』に接続し直せば、このような身体はいくらでも作り直せる」
バットマン「……ゲーティアか」
レフ「ああ、お前達はもうあの方の言葉を聞いたのだったな。あの提案を蹴るとは、愚かしさも極まったものだ」
563 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:33:24.50 ID:YcegZolL0
ナイチンゲール「ブルース、彼は」
バットマン「人理の病気の原因だ。しつこい奴だよ」
デッドショット「何者だ。その杯から手を放せ」カチャ
レフ「ククク、人間程度がこの私に指図かね。面白い、実に面白い。この聖杯の真なる使い方も分からん猿が」
バットマン「また聖杯を取り込んだ肉の柱と戦わされるという事か? 芸がないな、レフ・ライノール」
レフ「あぁ〜、それも良いが……今回は少し趣向を変えるとしよう。諸君らも気付いているだろうが、今回の特異点は神話絡みが多かっただろう?」
バットマン「……」
レフ「ククク、因果律というものがあってな。意図せずとも、関連性のあるものが引きずり出されるという事はままある」
バットマン「何が言いたい」
レフ「おや、では要点を言うとしよう。全ての世界の終わりとは、神話の終わりとは、どのような日になる?」
564 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:34:04.91 ID:YcegZolL0
ラーマ「……? どういう事だ?」
バットマン「……! まさか、貴様……!」
レフ「そう、審判の日(ドゥームズ・デイ)だ。キミが居てくれてよかったよ、バットマン。そして、意図せず召喚された、神の如き『彼』もまた……十分な因果を作ってくれた事だろう」
バットマン「全員、奴の聖杯を全力で奪取しろ! マシュ、令呪を以て……!」
レフ「もはや遅い!! 来たれ、全ての終焉よ! 星の終わりよ! そして、神々の絶望よ!!」
聖杯「」ギュオォォォオォォォオオォォ!!!
マシュ「この、魔力反応は……!!」
ドクター『!! 観測機器が故障したのか!? なんだコレ!?』
レフ「では、さらばだ。また会えると良いな、バットマン」シュンッ
バットマン「待て……!」
聖杯「」カッッッッ!!!!
565 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/04/25(木) 02:34:43.23 ID:YcegZolL0
シュゥゥゥゥゥ……
バットマン「げほっ、ごほっ……」
マシュ「マスター、無事ですか。召喚の衝撃波が、今までとは比べ物にならないくらい……」
バットマン「……」
マシュ「……マスター?」
バットマン「……マシュ、構えろ……」
???「……」ムクリ
マシュ「……!? マスター、あれは、一体……この魔力は!? こんな、滅茶苦茶な……まるで、世界そのもののような……」
バットマン「マシュ! 構えろ! 集中するんだ!」
バットマン(不味い。アレは、この世界にあってはならないものだ……!)
バットマン(ドゥームズデイ……!!!)
ドゥームズデイ「……」ユラリ……ドシ、ドシ
566 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/04/25(木) 02:36:06.45 ID:YcegZolL0
間が開いて申し訳ない、今回の更新はここで終わりです。
キャット戦はスキップです。度重なるミスのせいで疑心暗鬼にさせて申し訳ありません。
567 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/04/25(木) 02:42:30.10 ID:YcegZolL0
ドゥームズデイ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%87%E3%82%A4_(DC%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/doomsday.html
今回の悪役の参考資料です
568 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2019/04/25(木) 02:58:10.94 ID:YcegZolL0
スーパーマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/superman.html
すみません、ヒーローの参考資料を忘れていました
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/25(木) 11:12:35.93 ID:YCgYOrAOo
おつおつ
こうやってちゃんと投下しに来てくれるんだから
待ってたかいがあるもんだ
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/25(木) 13:50:39.03 ID:LIJkG9tkO
更新きたか!
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/25(木) 15:34:22.38 ID:MZueujoWo
おつ!
スーパーマンはやっぱ安心感半端ないな
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/26(金) 19:38:47.06 ID:qbiKSO4A0
乙乙!
婦長がかっこよくてよかったです(コナミ
あとデッドショットがほんとすき……
これからもやりやすいペースでいいのよ、俺らは待ってるからさ
573 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/05/05(日) 03:15:01.93 ID:69VCOY9o0
………………
その異様な気配を感じ取り、『彼』は目を覚ました。彼はまず、空気の匂いを嗅いだ。朝の匂いだ。彼はその中に、無意識にナパーム弾の匂いを嗅ぎ取ろうとしている自分に気付き、止まった。
彼は森の中、横たわったままで暫く動けず、何故自分がこのように……無様に、地面に転がっているのかを思い出そうとしていた。
燃え上がるような闘志の少女との激突。二度にわたる敗北。迫る回し蹴り。因果応報などという、陳腐な言葉。彼は吹き飛ばされた仮面を遠くの地面に見つけ、己の顔に手を当てた。指に触れる眼帯の感触に、初老の男性は苦笑いを浮かべる。
ならば、己は敗北したのだろう。デスストロークは地面に手を突き、苦労して体を起こす。そうして、棍を杖じみてつき、仮面を取って顔に付けた。
異様な気配の出どころは、自分達の本拠地である。クー・フーリンの気配は既にない。つまり、自分達は敗北したという事だ。世界ごと滅ぼす策など、破れかぶれも良いところなのだから。
(では、俺はどうする。因果の裁きすら受け、周りに何もなくなり、戦士としての拘泥すらなく、スレイドとして行動する時、俺はどうなる)
スレイド・ウィルソンは溜息を吐き、上を見上げた。そして身体を奮い立たせると、戦場で培ったカンを活かし、素早く駆け出した。
574 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/05/05(日) 03:15:35.88 ID:69VCOY9o0
………………
フリーズ「!!」ビリビリビリッ
フリーズ(なんだこの……嫌な感覚は!? 何が起きている!?)
フリーズ(方角は、あちらか? フィンを連れて行かねば……いや、だが、しかし、フィンは……)
フリーズ(どうすればいい? どうすれば……)
………………
ペンギン「よし、それじゃあ第二ラウンドは俺が審判だ。良いか、お互いに……!?」ビリビリビリッ
カルナ「!?」ビリビリビリッ
アルジュナ「っ、なんだコレは!?」ゾワァ
ペンギン「お、おぉ、なんだ……!?」ヨロ
カルナ「嫌な、感じだ。向こうの方角から」ジッ
アルジュナ「カルナ、貴様らの陣営か!?」
カルナ「馬鹿を言うな。俺達は知らない」
ペンギン「何が起きてる!? おいっ、神通力か何かで分からんのか!」
アルジュナ「……ともかく、行くしかないだろうな。どうだカルナ」
カルナ「異論はない」
575 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/05/05(日) 03:16:02.65 ID:69VCOY9o0
………………
ケルト兵達「「「」」」シュウシュウシュウ……
エジソン「……? ケルト兵が、消えて行く? いったい、何が起きて……」
エレナ「あ、ああぁ、あぁ……ダメよ、そんな、ダメ……」ガクガク
エジソン「エレナ女史? どうしたと……!?」ビリビリビリッ
エレナ「見えたわ。見えたの。だって、あんな大きな存在、見えない訳がない……マハトマも、ハイアラキも、皆消されてしまう……」ブルブル
エジソン「ど、どういう事だ?! 何が見えたというのだ!? こ、この嫌な感覚は!?」
エレナ「来る……アレが、来る……!」
576 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2019/05/05(日) 03:16:35.88 ID:69VCOY9o0
………………
『それ』が召喚された瞬間……否、正しくは召喚の手順を踏んでいる間も、絶え間なく見えない力は働いていた。地球を守らんとする力、人類を守らんとする力である。それらは普段、我々には見えず、大いなる力で我々を守る……と、されていた。
だが、その大いなる力は、純粋にもっと巨大な力でねじ伏せられた。存在格が、違い過ぎるのだ。『それ』が地に足をついた時、大いなる力は、まるで敗北を受け入れたかのように静まった。
おおよそ人とは思えぬ巨躯。体毛一本すら無い、筋骨隆々の身体。殺意と憎悪に燃える瞳。全身でもって、生命への敵対を表す究極の悪。
新約聖書には、明確に人々の『最後の日』が定められている。その日、人類は天使と悪魔の最終戦争で引き起こされる災厄によって、殆どが息絶える事となる。
ドゥームズ・デイ。人々はもはや、逃げまどう他に無い。
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