バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」

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132 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:29:51.71 ID:UHLu638i0




ベイン「ふむ……もう少し歯ごたえのある相手かと思っていたが」ボキボキ


所長「……」グタッ

レオナルド「くうっ……!」プルプル……


ベイン「存外、こんなものなのかも知れんな。希望というものは」


133 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:30:18.58 ID:UHLu638i0



ベイン「ではそろそろ、ここも滅ぼすと……」ドシ、ドシ

ベイン「……?」ピタッ


光る壁「」ブォン……


ベイン「……立ったか。しぶといな、貴様」

所長「お生憎様、しぶとさだけはどの職員より上よ……」フラ、フラ……


所長(内臓破裂数か所。殴られる寸前に身体に保護魔法をかけてなければ、今頃壁の染みになってたわね……)ゴフッ


134 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:30:47.18 ID:UHLu638i0



ベイン「で、どうする? このまま俺とぶつかり合って死ぬかね?」

所長「……まさか。私達は生き残るわよ」

ベイン「フフフフ、フフフフフ!!! そう、それだ。お前達は確証もない事を平気で口にする! 今、目の前に明らかな絶望があったとしても! だから面白い!」ドシ、ドシ

所長「ハァッ……」ギュドドドドッ

ベイン「豆鉄砲だ、こんなものは!!」ベチベチ、ベチィ

所長「今よレオナルド!!」

レオナルド「よし、作動!!」ポチッ

ベイン「何」ギュォンッ


135 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:31:19.71 ID:UHLu638i0



レオナルド「悪いね、君を虚数空間へ飛ばす! 保護式無しじゃ存在が数秒ともたないだろうけど、アデュー!」ピピピピ、ギュォォォォッ

ベイン「ふ、フフフフ。成程、命懸けの誘導作戦だったか。これが上手く行くと良いな」グニャ……ギュォ……

所長「飛んで、行きなさい!!!」パパパ、ポチッ

ベイン「覚えておくと良い。絶望は、こんな……」ブゥン



レオナルド「……ふぅ、終わった……」バタリ

所長「っはぁ、はあ……治癒、しないと……」ドシャッ

レオナルド「ああ動かないで、オルガマリー所長。私が何とかするから」ムクリ


136 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:31:46.01 ID:UHLu638i0



レオナルド「しかし、強敵だった。まさかあそこまでやるとはね」ポポポ……ジュゥゥゥゥ……

所長「えぇ、こちらのフィールドとはいえ、負けるかと思ったわ……うっ」

レオナルド「けどまぁ、倒せた。かなり邪道な倒し方ではあったけどね」ジュゥゥゥゥ……

所長「……邪道でも何でも、所員を守れたなら文句は無いわ。ありがとう、レオナルド」


「そうか」


所長「え?」

レオナルド「!?」バッ


137 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:32:24.44 ID:UHLu638i0



「そこまで所員が大事か、オルガマリー。では貴様に味あわせる絶望は決まった」


空間「」バキィ! ベキィ!


レオナルド「馬鹿な……!?」

所長「レオナルド、まさか……」

レオナルド「立って所長! これは、」


空間「」バリィィィィィィィ!!


ドシ、ドシ。ドシ、ドシ


ベイン「フフフ……葬れたと、思ったか?」ボキボキ


138 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:33:18.77 ID:UHLu638i0



レオナルド「……まさか突き破って出て来るとはね。脳筋にも程があるんじゃない?」ジリッ

ベイン「その顔。その絶望だ、俺が見たかったのは。全ての策は破れ、敵わないと知った時の顔だ」

レオナルド「随分と悪趣味だ!」ギュギュギュォッ!

ベイン「そうとも、俺は破滅(ベイン)だ!!」ベチベチ、ブォンッ

レオナルド「ぐあっ!?」バキバキ、ドシャシャァッ


139 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:33:46.03 ID:UHLu638i0



レオナルド(無茶苦茶だ。皆が逃げる時間を稼がなければ)


レオナルド「所長、逃げて!」

所長「……」

レオナルド「ここは私が食い止める、早く!」

所長「……馬鹿言わないで!!」

レオナルド「っ」

所長「アンタだって大事な所員の一人よ! 見捨てて逃げるリーダーが何処に居るもんですか!!!」

ベイン「フフフフ、フフフフフフハハハハハ!! 俺の前に立つか、所長殿!!!」ドシ、ドシ

所長「ナメるんじゃないわよ、デカブツ!!」ギュギュギュオォォォォッ



140 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:34:14.12 ID:UHLu638i0



ガギィン! ガィン! ドガシャァ!


フラン「……う、ウゥ……」ムクリ

フラン「……?」バチバチ、バチ……



モードレッド「だらぁぁぁぁぁっ!!!」ガギィ! ギギィィ!

アルトリア「……」ギィンッ、ギャリィンッ、ブォンッ

モードレッド「ウっ!?」ガギャァ、ズシャシャシャ

アルトリア「……」ヒュンヒュンヒュンッ

モードレッド「ぐ、うぉ!?」ギャ、ギャギャギャギャ!



141 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:34:43.34 ID:UHLu638i0



ダンッ!


アルトリア「!!」スッ

ジャック「たあっ!」ギャリリリィ!


モードレッド「ジャック!?」

ジャック「おくれてごめんね!」スタッ

ナーサリー「ようやく痺れが、取れたのッ!」ギュドドドドド!!


アルトリア「……」ギャギャンッ


ナーサリー「……もう、隙を突いたつもりだったのに全部弾かれるなんて!」


142 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:35:11.30 ID:UHLu638i0



モードレッド「……手強い敵だぜ」

ジャック「じゃあ、いつもどおりだね」

ナーサリー「大丈夫よ、私達は一人じゃないわ!!」


ダダダ、ダダダ……

ワトソン「ぜえ、ぜえ……君達、いいね、若くて……階段も、楽々だ……」ダダ、ダ……ヨロヨロ

モードレッド「……呆れた奴らだ、全くよ」

ワトソン「三十秒だけ待ってくれって伝えておいてくれ、あの槍を持ってる人にも……」


アルトリア「……」


モードレッド「伝わるか馬鹿、シャキっとしろ」

ワトソン「そうか、世の中は、厳しいな……」ゼエゼエ


143 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:35:37.71 ID:UHLu638i0



アルトリア「……」ヒュンヒュンッ、ガシャリ……ジリッ


モードレッド「来るぞ! 全員構えろ!」ガシャッ

ジャック「!」スッ

ナーサリー「っ」バッ

ワトソン「ぬお!?」カチャリ


アルトリア「……」グ、ググ……


ドォン!!


アルトリア「!?」バチバチバチバチィ!!

フラン「ウゥゥゥ!!!」バリバリバリバリ!!


モードレッド(フラン!!)


モードレッド「よっしゃ今だ!! 突っ込むぞォ!!!」ダダッ

ジャック「うん!」ダンッ

ワトソン「ええい、やるしかないか!」ダッ

ナーサリー「牽制するわ!!」ギュドドドッ



144 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:36:04.65 ID:UHLu638i0



光弾「「「」」」ギュオォォォォッ

アルトリア「……」ガギギギギィ!

アルトリア「……」クルッ、ズバァッ

フラン「う、ウゥ……」ヨロッ


モードレッド「アーサーァァァァァァァアアアア!!!」ダダダダダッ、ブンッ

アルトリア「……」クルリ、ガキィ!

モードレッド「今だジャック!」

ジャック「かいたいするよ!!」ダダ、ズババッ

アルトリア「っ」ギギギィン

モードレッド「そこだ!」ブンッ、シュバッ

アルトリア「!!」ギャァンッ、ズシャシャァッ


145 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:36:30.41 ID:UHLu638i0



モードレッド(大丈夫だ、オレは怖がってねえ! このまま父上を斬る!! 斬って終わらせる!)


アルトリア「……、……」ギリギリギリギリ……

モードレッド「こんのォォォォ……!」ギリギリギリギリ……!

アルトリア「……」フッ

アルトリア「……やるようになったな、モードレッド」

モードレッド「……何?」

アルトリア「フッ!」ドゴォ!!

モードレッド「ぐわあっ!?」ドシャシャッ



146 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:36:57.54 ID:UHLu638i0



ジャック「やあっ!!」シュパパパパッ

アルトリア「……」ギィンッ、ドッゴォ!

ジャック「あぐっ!?」ヒュオンッ、ドガァァァァァァ……


モードレッド「はあっ、はあっ!!」ゴロゴロッ、ムクリ


モードレッド(喋った……? オレを、認めた? あの父上が?)グイ


アルトリア「……」コツ、コツ


モードレッド(オレの気の迷いが見せた幻覚か? それとも本当に? なんで? なんでだ、父上、オレは……)


アルトリア「……」ガシャリ


モードレッド(オレは、アンタを、殺したのに……)ググッ……



147 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:37:23.37 ID:UHLu638i0



「う、うおぉぉぉぉっ!!!」バッ

アルトリア「!!」スッ

ワトソン「させるものか、貴様!!」ドォン!

アルトリア「……」パシ、シュゥゥゥゥ……

ワトソン「……ええーい、今更弾丸を掴み取られたくらいで怯むと思うなよ!」ダッ、シュバッ

アルトリア「……」ガキィ、バッ、シュバッ

ワトソン「ぐわっ!?」ドサリ、ゴロゴロッ


アルトリア「……」グ、グググ、ググググググ……



148 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:37:49.28 ID:UHLu638i0



ナーサリー「何なの……? あの人の槍に、霧が吸い込まれて行く……?」

ジャック「くっ……」

フラン「う、ウゥ……?」

モードレッド「全員、オレの後ろに隠れろ!!! 宝具だ、全部吹き飛ばすつもりだ!!」


アルトリア「……」ニヤリ

モードレッド「……!! 急げ!!!」


ジャック「!!」ダッ

フラン「う、ウゥ……!」ヨロヨロ、タタッ

ワトソン「くっ、この……」ズリ、ズリ

ナーサリー「急いでおじさま!」

ワトソン「急いでるよ、見ての通り……!」ズリズリ、ズリズリ


アルトリア「『突き立て、食らえ、十三の牙』」グ、ググググ……シュゥゥゥゥゥゥゥ……

モードレッド「……父上……!」

アルトリア「……モードレッド。強くなったな。仲間にも信頼されているようだ」


149 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:38:16.76 ID:UHLu638i0



モードレッド「意識があるなら、抗えるハズだ! それとも、本当に……」


モードレッド(本当に、オレが憎いのか? 父上)


アルトリア「お前が憎いと思った事など、一度もない。モードレッド」シュゴォォォォォォォオオオオ……

モードレッド「……じゃあ、なんで」

アルトリア「私は人間を愛している。人間という存在を」シュゥゥゥゥゥゥゥ……ギュオォォォォオォォオオ!!

モードレッド「父上!!」


モードレッド(駄目だ! オレ達の事なんて見てねえ! 父上は世界を壊すつもりだ、この世界を……いや、全てを!)

モードレッド(ならどうする、モードレッド! お前はどうする! また殺せるのか、王を!)


(((行け、モードレッド。世界を救って来い)))

(((まるで生前、誰かに認められていた自分を再現しようとしているようだ。涙ぐましい)))

(((オレはずっと、憧れの影だった)))

(((お前はブリテンの王の器ではない。私の息子としても、認めはしない)))

(((お前なんて)))

(((お前なんて、作らなければ良かった)))

(((所詮、あの人の影だもの)))



150 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:38:43.83 ID:UHLu638i0



モードレッド(まるで焼き直しだ。父上はオレを見ているようでまるで見ていない)

モードレッド(あの人を殺したところで、オレは所詮影のまま。なら、)

モードレッド(なら、オレは、)

モードレッド(オレは、勝てるハズもなかったのか?)



151 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:39:10.06 ID:UHLu638i0



アルトリア「『最果てにて輝ける槍』(ロンゴミニアド)!!!!」ドガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!


「『ロード・カルデアス』!!!」ドゴォォォォォォォォォッ!!


152 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:39:37.33 ID:UHLu638i0



モードレッド「何……」

「遅くなったな、モードレッド」

「遅れてすみません、皆さん!!」ギギギギギギギギギ……

モードレッド「お、お前ら……!」

ナーサリー「ネコミミさん、マシュ!」

バットマン「構えろ、マシュの防御が解除された瞬間反撃に移るぞ!」

マシュ「まずこれを受け切れるかの心配もお願いします!!」ギギギギギギギギィィィィィィ!!



153 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:40:02.97 ID:UHLu638i0



モードレッド「どうしてだ……マシュを見捨てたんじゃ」

バットマン「私は人より欲が深いんだ、モードレッド。構えろ、世界を救うチャンスが来るぞ」

ドクター『ブルースくん、早めに終わらせてくれ! カルデアもそろそろベインがヤバイ!』

バットマン「必ず間に合わせる。もう少しだけ持ちこたえてくれ」

マシュ「う、うぅぅぅぅぅぅ……!!!」ジリジリ……



154 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:40:29.70 ID:UHLu638i0



アルトリア「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォ……ピタッ


マシュ「!! 今です!」


バットマン「良し! チャンスだ、行くぞ!!」ダッ

ワトソン「よし、よし……! 僕だって!!」ダダッ

ジャック「たああっ!!!」ダンッ

フラン「ウウゥァ!!」ダダッ


モードレッド「……」


(((所詮、あの人の影だもの)))


モードレッド「……!!!」



バットマン「モードレッド!!!」


モードレッド「!!!」


バットマン「力を貸せ!!!」


モードレッド「……っ」



155 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:40:55.98 ID:UHLu638i0


モードレッド(そうだ。オレは影じゃねえ)

モードレッド(オレは騎士、モードレッドだ)


ナーサリー「行って、モードレッド!! 大丈夫、だってこれは……貴方のための物語だもの!!!」ギュォオォォォォォッ!



モードレッド(ナーサリーの魔力がオレに移って来てる……これなら、撃てる!!!)


モードレッド「……オオォオォォォォォォォ!!!!」ギュォォォォォォッ



156 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:41:22.90 ID:UHLu638i0



モードレッド「退け、テメェら!!! 撃つぞ!!!」ゴゴゴゴゴゴォォォォォ……

アルトリア「!!!」バッ

モードレッド「『是こそは、わが父を滅ぼし邪剣』……」ググググ……

モードレッド(さようなら、父上)


モードレッド「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!!」ゴォッ!!



ゴォォォォォォオォォォォォォオォォッ!


アルトリア「……」

アルトリア「……」フッ


ドガァァァァァァァァァ……



157 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:41:54.37 ID:UHLu638i0



モードレッド「はあっ、はあっ……」ドサッ


聖杯「」カラン……


ワトソン「やったか……! やったんだな!!」

バットマン「ああ、やった……」

マシュ「聖杯、確認。回収します」スタスタ


モードレッド「……ああ、終わりか……」シュウシュウ……

ナーサリー「ええ、終わりね。……さようなら、ネコミミさん、マシュ。それに皆。また何処かで会いましょうね」シュゥゥゥゥゥゥ……

ジャック「……おかあさん、きえちゃいそうだよ」シュウシュウ……

バットマン「……大丈夫だ、ジャック。また会える」

ジャック「ほんと!? なら、今度はおいしいもの、いっぱい食べさせてね! あと、ゆーえんち? っていうのと、絵本をよんでもらうのと、あと、あと……」シュゥゥゥゥゥゥ……

バットマン「……」


158 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:42:40.84 ID:UHLu638i0


ドクター『よし、レイシフトを終了させる! ただちにこちらへ帰還し、ベインの撃退を頼む!』

バットマン「了解だ」

モードレッド「……おい、あのな」シュウシュウ……

バットマン「どうした」

モードレッド「……その、なんだ。オレも、お前らと一緒に戦えて、光栄だったぞ」

バットマン「そうか」

モードレッド「そうだよ、最後まで愛想のねえヤツだな。……またな」シュウゥゥゥゥゥゥ……

バットマン「……ああ、また会おう」


159 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:43:07.18 ID:UHLu638i0



ワトソン「さて、……なんだか皆どんどん消えて行くな」

バットマン「ああ。……ワトソン医師、そう言うキミは何故とどまっている?」

ワトソン「えっ、僕も消えないと駄目だったのか? そんな手品師みたいな事はできないんだが」

バットマン「……人間だったのか?」

ワトソン「なんだと思ってたんだ!?」


160 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:43:34.06 ID:UHLu638i0


マシュ「マスター、おかしいです。なかなかカルデアへの帰還が始まりません」

バットマン「確かに、妙だな……もしもしドクター、レイシフトは終了しているのか?」

ドクター『……? なんだ、おかしいな……うん? 駄目だ、AIがロンドン地下に巨大な魔力反応を検出した。それが楔となってこの時代をとどめてるみたいだ』

バットマン「成程。マシュと共に地下へ降り、原因を確かめる」

マシュ「了解!」

ドクター『迅速に頼むよ! 何度も言うけど、ベインが……』

バットマン「分かっている。急ぐぞマシュ!」ダッ

マシュ「はい!」ダダッ


161 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:44:02.29 ID:UHLu638i0



ワトソン「ま、待て待て! 何処へ行くんだ、そっちは敵の本拠地……」

バットマン「ワトソン医師、キミは残っていてくれ! この場の安全確保を頼んだぞ!」ダッダッダッ

ワトソン「む、むぅっ……無理をするんじゃないぞ!」

バットマン「ああ!」ダッダッダッ

マシュ「失礼します!!」タタタタッ


162 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:44:31.17 ID:UHLu638i0



フラン「……」ボロッ

ワトソン「うわっ、キミも残っていたのか!?」

フラン「ウゥ」コク

ワトソン「……酷い傷だな、治療しようか?」

フラン「ウゥゥ……」コクコク

163 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:44:59.66 ID:UHLu638i0



バットマン「……」ダダ、ダダダ……

マシュ「マスター、この魔力……」タッタッ

バットマン「……ああ、そうだろう。戦闘に備えろ、マシュ」

マシュ「はい!」


164 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:45:27.43 ID:UHLu638i0


ダッダッ……


バットマン「……居るんだろう、出てこい!!」

マシュ「……」ガシャリ


空間「」グニャァァァァ……バチバチ、バチィッ!!


「覚悟は、済んだようだな。ブルース・ウェイン」バチバチ……スタ、スタ


バットマン「……来たか」

ソロモン「クックッ、久しいな」



165 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:46:11.50 ID:UHLu638i0



バットマン「ソロモン。いや、ソロモンの亡骸を利用している者」

ソロモン?「……ほう? 気付いたという訳か?」

バットマン「こう呼んだ方が良いか? レメゲドンの原書。72の悪魔を司る者、ゲーティアと」

???「……フン」


166 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:46:47.68 ID:UHLu638i0



???「その名に辿り着くのが、予想より遅かったと言っておこう。そうだ、我が名はゲーティア。意思持つ式、ゲーティアである」

バットマン「……確証を得られなかったんだ。お前の正体について……だが、ヒントをもらえた。これでようやく対等だな」

ゲーティア「思い上がるな。貴様が私の正体に気付いたとしても、何の解決にもなっていない。いずれ来る破滅の言い訳にもならん、下らん些事だ」グワァッ

マシュ「!!」ガシャリ

バットマン「……」ジリッ

ゲーティア「私が此処に来た理由は分かっているだろう、ブルース。答えを聞こう。私と共に来るか、それとも愚かな人間共と一緒に焼き尽くされるか」


167 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:47:32.29 ID:UHLu638i0



ゲーティア「実際、ここまでの特異点はお遊びのようなものだ。だがそのお遊びも半分を切った。私も本気を出さざるをえん」

バットマン「……」

マシュ「マスター……」

バットマン「まだだ、マシュ……ゲーティア、ひとつだけ訊きたい。永遠の命というのは、お前自身の願いなのか?」

ゲーティア「そうだ。私の願いだ。輝く生において、死はあまりにも暗く重い。……ならばそこから死を取り除こうというのが、それほど不自然な事か?」

バットマン「……」

ゲーティア「……ブルース、見てきたハズだ。二面性に苦しむ人間を。永遠の眩しさを。エゴの醜さを。そして恐怖を。お前ならば、私と共に歩める。永遠の命を作り出そう」

バットマン「……」


168 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:48:04.91 ID:UHLu638i0



ゲーティア「お前の両親の事は、悲劇だった。……私も残念に思う」

バットマン「……」

ゲーティア「それでも、ここからは二度と繰り返させまい。新たな歴史を重ねれば、お前の悲しみも薄れよう。こちらへ来い、ブルース。その少女、マシュも、永遠の命を手に入れれば、決してお前から離れる事などない。大切なものを、今度こそ守り抜けるのだ」

バットマン「……」

マシュ「……マスター……」

バットマン「……」


169 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:48:31.05 ID:UHLu638i0


バットマン(……)


バットマン(……あの時、私は)

バットマン(私は、確かに地獄に居た。両親が殺されたあの時、あの路地裏で)

バットマン(マシュも死ぬのだろうか? 職員達も、殺されるのだろうか? それは分からない。いつか必ず起こる悲劇なのだろう)

バットマン(……しかし、それでも……)


(((マーサ、ブルース)))


バットマン(……それでも……)


バットマン「……それでも、私は……あの時、最期まで気高くあろうとした私の両親を、誇りに思う」



170 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:48:57.33 ID:UHLu638i0



バットマン「それが、私の答えだ。ゲーティア」

ゲーティア「……フン。どうやら思っていた以上に愚かだったらしい」

マシュ「私は!! 私は、マスターに賛同します!」

ゲーティア「……」

マシュ「人はいつか死にます! だからこそ生きられる!」

ゲーティア「愚か者共め」


171 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:49:27.91 ID:UHLu638i0



バットマン「……」

ゲーティア「お前達はこの日の事をいつか後悔するだろう。せいぜい、いつか来る破滅に怯えて過ごすが良い。……さらばだ、次に会う時は殺す」グニャァァァ……シュンッ

バットマン「……」シュウシュウ……

マシュ「マスター、レイシフトが終了、帰還に入りました」シュウシュウ……

バットマン「…………マシュ、ありg」シュウシュウ……

マシュ「いいえ、マスター。お礼は、良いんです」シュゥゥゥゥゥゥゥ……



172 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:50:10.40 ID:UHLu638i0




ベイン「……」ドシ、ドシ。ズルズル……

所長「……」ズルズル……

ベイン「さて、ここが管制室か? 働いてもらおう、所長。暗証番号を」グイッ

所長「……クソ、くらえ」

ベイン「ふむ。……ああ、俺はサーヴァントだったな。拳で開けば良い話だった」ポイッ

所長「あぐっ」ドサッ

ベイン「全く、慣れない身体だ……」ググググ……ブォンッ


ドア「」ガッシャァァァァァァァァ!!


173 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:50:39.35 ID:UHLu638i0



ドクター「なっ!?」

職員A「うわ!?」

職員B「まさか」

職員C「もうここまで!?」


破壊されたドア「」ゴワン……ゴワン……


ドシ、ドシ。ドシ、ドシ……


ベイン「ここが管制室か? 脆弱な守りだったな」ボキボキ



174 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:51:11.45 ID:UHLu638i0



職員A「くっ!」カチャリ、ダダダダダダダダダダダ!!

ベイン「ん? フフフ、銃か! 懐かしい、そういうモノもあったな」ガシ、グイッ

職員A「ぐわああああああ!?」ゴキィ、プラァン……

ドクター「こ、このっ、離せ!!」ベシベシ

ベイン「無理はしない方が良い。さもないと、こうやって」ダァン!!

ドクター「うぐっ!?」ドシャッ

ベイン「……ああ、すまんな。引き金を引いてしまった。必要以上に殺しをするつもりじゃなかったんだが」


175 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:51:37.46 ID:UHLu638i0



職員B「ど、ドクター!!」

ドクター「だいじょうぶ、肝臓は逸れてる……!」


ベイン「では、施設を破壊するとしようか。どれが『コフィン』だ、ドクター」ドシ

ドクター「うぐっ!?」

ベイン「早く口を割った方が良い。雑巾のように全ての血液を絞り出してしまうぞ」グリグリ

ドクター「……死んだって、言うもんか……!」

ベイン「ほう、そうか。では諦めて別の職員に尋ねるとしよう」カチャリ

ドクター「……!!!」



「ドクターッ!!!」




176 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:52:48.14 ID:UHLu638i0



 その瞬間、全員の意識がその声の方向へと向いた。ベインは青い箱じみたモノから飛び出した影を見た。それは天井を蹴り、ベインへ奇襲を掛けようとしていた。

(遅い)

 だが予測範囲内。大きな手で拳を逸らし、カウンターを叩き込もうと……したところで、ベインはもう一つの影に気付いた。それは彼を回り込むように飛び、背後の壁に当たって跳ね返り、ベインの首筋目掛け……


「チィッ」


 裏拳で弾いたそれは、盾だ。クルクルと回転する盾の向こう、マシュが壁を蹴り、盾を掴んで叩き付けた。ベインはそれを受け止め、数センチ後退る。


(こいつ、強くなっている)


 動きが違う。そしてその瞳。輝く瞳孔には迷いがない。一直線にこちらへ向かって来る。


(戦士か。いや、希望を見つけたか)


 ベインはニヤリと笑い、片手でマシュの全力の前進を盾越しに押しとどめ、拳を振り上げる。叩き潰すつもりなのだ。だが、その拳が振り下ろされる寸前……何かが飛来し、ベインはそれを弾かねばならなくなった。弾かれた『何か』が宙を舞う。

 コウモリの形をした手裏剣。それは、バットラング。その向こう、コウモリの騎士が厳しい表情でこちらを睨んでいる。一瞬の隙を突き、マシュは盾を離して小さく跳躍。ベインの顔の前で回転している。


(ふむ、これは)


 破滅が己の敗北を悟るのに時間は要らなかった。バットマンは右手の甲の刻印を輝かせ、叫んだ。


「令呪を以て命ずる! 全ての魔力をマシュの膂力へ変換しろ!!」


 マシュの渾身の回し蹴りが、ベインの首を捉えた。



177 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:53:21.31 ID:UHLu638i0



ドゴォォォォォォォッ、ガッシャァァァァァァ!!!




マシュ「ふうっ!!」スタッ

バットマン「ドクター、大丈夫か!!」

ドクター「平気、平気だから……それよりレオナルドは!?」

所長「大丈夫よ、大丈夫……彼女なら、生きてる……」

バットマン「全員無事だな!?」

職員A「右腕以外は……」

職員B「無事です!」

職員C「大丈夫です!」



「そこまで心配か、ミスター・ウェイン」


178 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:53:53.06 ID:UHLu638i0



バットマン「!!」

マシュ「皆さん下がって!!」ガシャリ


ドシ、ドシ……


ベイン「ふう……効いたぞ今のは。中々悪くない一撃だった、マシュ・キリエライト」


マシュ(……確実に、倒した手応えだと思ったのに……)ジリッ


バットマン「もう一度食らわせるまでだ、マシュ。二人ならやれる」

ベイン「ふ、フフフ。まさか一度敗北したというのに、こうも躊躇なく挑んで来るとはな。面白い」

マシュ「……人は何故落ちるか、ご存知ですか」

ベイン「何だと?」

マシュ「這い上がる事を、学ぶためです」

ベイン「ほう……?」


179 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:54:34.88 ID:UHLu638i0


ベイン「……ふ、フフフ」

ベイン「フフフ、フフフハハハハハハハハハ!!」

ベイン「ハハハハハハハ……フフフ、今回は大人しく負けを認めよう。素晴らしい成長だ、マシュ・キリエライト。そして……相変わらず、病的なまでの不屈ぶり。安心したぞ、ミスター・ウェイン」

バットマン「……」

ベイン「お前達を引き留める役だったハズのゲーティアも、どうやら役目を放棄したようだ。俺も、長居する必要は無いだろう……さらばだ」ギュォォォォォォ……ドシ、ドシ


バットマン「……待て! お前の目的は何だ、ベイン! ここを滅ぼそうと思えば、簡単にできたハズだ!」

ベイン「……まだ、明かす訳にはいかない。お前達がもっと強くなり、本物の『希望』として俺の目の前に現れた時……その時、俺は話すだろうよ」ドシ、ドシ……シュンッ


180 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:55:01.63 ID:UHLu638i0



計器「」バチ、バチチチ……

観測器「」ヂリヂリヂリ……


ドクター「……あぁ、散々だよもう」

所長「帰った、の?」

バットマン「……ああ、帰って行った」

マシュ「早く、治療しましょう!!」

ドクター「いててて、叫ばないで……傷に響くから……」


181 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:55:29.71 ID:UHLu638i0



レオナルド「待たせたね! この存在抹消銃でキミの事を粉々に……あれ?」ダダダッ、ピタッ

バットマン「……遅刻だ、レオナルド」

レオナルド「あれぇ? お、お帰り……?」

バットマン「ああ、ただいま。……皆の治療を急いでやってくれ」


182 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:55:57.25 ID:UHLu638i0



………………


ベイン「……」ドシ、ドシ

ベイン「……」ドシ、ドシ……


???「おやおや? ベイン坊ちゃんのお帰りかな?」

ベイン「……フン」

???「そう邪険にするなよ、久しぶりに会えたんだろ、バッツと。羨ましいぜ、俺はここにカンヅメだったってのに!」

ベイン「黙って仕事をしたらどうだ」

???「ユーモアは必要だぜベイン君! 知ってるか、一日一回笑うと死神も逃げていくって……おっと失礼、死神の前で言うべきじゃなかったかな? ウフフフフフッ」

ベイン「……」

???「で、どうだったんだよ? 教えてくれても良いじゃねえか、そんなに人に聞かれたくないならコソコソ話でも付き合うからさあ!」


183 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:56:24.08 ID:UHLu638i0


ベイン「……バットマン。アイツは相変わらずだ」

???「へえ! 狂ってやがるのか? ウフフフ、頭の固いバッツ君は相変わらず自分の事を優等生だと信じて……」

ベイン「だが、少しだけ変わった。マシュという少女を大切にしている」

???「……へえ?」

ベイン「それだけだ。俺は前線を押し戻しに行く」ドシ、ドシ

???「……ふうん、そうか。大切なものが出来たのか、バッツ」


184 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:56:58.98 ID:UHLu638i0


???「……ウフ、ウフフフフフ」

???「ハハハハハハハハハハ、ヒャァーッハッハッハッハッハ!!」

???「ったく最高のジョークだぜネコミミちゃん、大切なものが出来た!? 前振りもここまで丁寧だと観客が冷めちまうよ!!」

???「だけど任せな、そんな馬鹿まじめなお前とコンビを組んでも……最高に客を沸かせられるのが、この俺様、ジョーカーだ!! 待ってろバッツ、お前の期待通りにしてやるからな!!」

ジョーカー「ハハハハハハハハハハハ! アヒャハハハハハハハハハハハ!!」


185 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 00:57:38.44 ID:UHLu638i0



第四章

死界魔霧都市 ロンドン


生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト

死者 ダビデ

186 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/11/28(水) 00:58:07.74 ID:UHLu638i0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 01:31:04.39 ID:TLWgbttvo


4章は味方陣営がかませでしかないからssでも活躍の場面が見れて嬉しい
次は5章か・・・マン・オブ・スティールなのか、昔はコラボしてたしダブルシールダーになるか
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 02:38:30.64 ID:FsspDiZ1o
乙。とうとうジョーカー来たね

それにしても女が父上で娘が息子って一体このゲームの性別はどうなっとんねん…
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 12:30:34.11 ID:EOyamjUMO
深い事情があるのよ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 15:26:55.34 ID:sq0whND5O
割とマジでだいたい社長のせい
詳しい説明は避けるけど、ユーザーニーズを読んだ上の決断で、その結果一大ブランドになるまで成長させたから大当たりの判断だったのよ
なおその後アーサー王とは縁もゆかりもない新撰組にまで同じ顔が増えるもよう
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 15:43:46.49 ID:X3zYOxPA0
乙!
ワトソンくん生身で乳上に立ち向かってたのやばすぎない……?? かっこいいね……また出ないかな……
みんな大好きジョーカーも顔出ししたし、次回も待ち遠しいぜ!

ところでFGOといえばとちくるったイベントだと思うのだけど、バットマンVSチェイテピラミッド姫路城とか……ない……のかな……?
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 20:10:37.29 ID:Fbpa8jHR0
乙、いよいよ宿敵の登場か
アメリカならバットマン以上に有名なあのヒーローも出るのかな
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 21:38:41.28 ID:UCRPsUFao
乙。さてマシュちゃんはデスインるのかキリングジョクるのか、続きが気になる
194 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 23:10:14.36 ID:UHLu638i0


 その日も、雨が降っていた。


 一仕事終えた俺は、未だに硝煙を上げる筒を前に、娘に謝罪のメールを送るところだった。この携帯のメールアドレスから送るのは初めてだが、自分からのメールだと分かってくれるハズだ。

 送信と同時に、依頼完了のメールを受信した端末が震えた。用意した偽の口座にかなりの額の入金。ビジネス完了、ずらかるとしよう。

 スナイパーライフルを背負い、屋上を駆け出す。もし入金が無ければ依頼者も撃てる位置を取っていたが、もう必要ない。更に震える携帯。画面には『これからも良い取引をしよう ミスターデッドショット』の文字。

 娘からの着信だと思ったのに期待させやがる。走りながら携帯を捨てようかと迷ったが、もう少し持っている事にした。もしかしたら返信が来るかもしれない。俺は迷った挙句、『誕生日おめでとう』のメールも送る事にした。


 あらかじめ用意した逃走ルートを走り抜け、屋根を跳び渡り、路地へ降りようとしたところで……不意に、空が輝いた。思わず足を止め、見上げたその先には、巨大な光の帯があった。


 最初、その帯はもっと近くにあるものだと思っていた。それは巨大すぎる視認対象が引き起こす錯覚だと気付いた。ゆっくりと降りて来る巨大な破滅の帯は、飛んでいた飛行機に当たり、飲みこんだ。破壊の音すら立たなかった。

 天罰? それとも地獄への誘い? ……直感的に、あの光は全世界を包むと悟った。その時俺は、死んだら本当に地獄へ堕ちるのだろうかとか、家族は天国へ行けるのだろうかとか、そんな事ばかり考えていたのだと思う。だから、それが目の前に迫っていても、実感がわかなかった。


 光に飲まれる直前、俺の手から携帯が落ちた。娘に謝罪のメールは届いただろうか。最期まで、気掛かりだった。


195 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/28(水) 23:10:40.71 ID:UHLu638i0



第五章

北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム



196 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/11/28(水) 23:14:16.83 ID:UHLu638i0
短すぎて申し訳ない、今回の更新はここまでです。それと、悪役の参考資料です

https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/deadshot.html
197 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/11/29(木) 00:08:11.27 ID:oXFljNIX0
イベントはそうですね……全て書き終わって余力があれば、一考してみようと思います。

でもギャグ一辺倒とかになっても許してくださいね……
198 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:07:31.60 ID:oXFljNIX0


………………


デッドショット「まだ飲んでやがるのか、コブルポット」

ペンギン「酒は貴重だ。貴重品こそボスが嗜まねえとな、ハハハ」

キャットウーマン「ほどほどにしなさいよ」

ペンギン「説教垂れずに酒を注げば良いんだ、売女め……」

キャットウーマン「……いつかアンタの酒に毒を混ぜてやるからね」

デッドショット「最近この辺はどうなってやがるんだ。この前はデカい氷山を見たと思ったら、今度は槍を持った侵略軍? 何世紀だ此処は」

ペンギン「無学な狙撃手に講座のお時間だ。通りの本屋に置いてある『アンクル・トムの小屋』、アレは19世紀半ば頃の著書だ。つまり、今、ここは19世紀半ば、南北戦争に近い時代のアメリカさ。分かるか?」

デッドショット「……お前こそ分かってんのか、俺達はちょっと前まで21世紀に居たんだぞ。頭が痛くなりそうだ」

ペンギン「フン、俺は全く困らんがね。俺と一緒にどうやら手下もここに呼ばれたようだし、ここで一旗揚げるのも悪くない」グビ


199 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:08:12.05 ID:oXFljNIX0


ペンギン「……それにしても、聞いたか。フリーズの野郎も来てるらしいぞ」

デッドショット「ハ、まるでゴッサムの同窓会だな。……そう言えば、『彼』の噂を聞かなくなったが」

ペンギン「捕まったらしい。俺の手下が言うには、地元の子供を人質に取られて、降参しちまったとか」

キャットウーマン「何処も思うように行かないわねえ」

デッドショット「……じゃあ、『ダグザの棍棒』はどうだ?」

ペンギン「眉唾だ、あんなものは!」

デッドショット「ただの眉唾な道具のために、お相手はあんだけ動員してる。この前ここに攻めてきたヤツを拷問したら、『ダグザの棍棒目当て』と抜かしてたぞ。本当に何もないのか?」

ペンギン「……一応、俺の手下が方々を探してる。だが無理だ、見つからんだろうよ。どうもここには、俺達の時代に失われて久しい『魔術』ってのが存在してるらしいからな」

キャットウーマン「まあ怖い。魔女も出て来るのかしら」

ペンギン「フン……俺の目の前に居るヤツが魔女だった気がするぜ」

キャットウーマン「よく言うわ、テディベアさん」


200 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:08:38.42 ID:oXFljNIX0


ドォン……ドォォ……


デッドショット「……奴ら、また手勢を送り込んできたらしい。少し出て来る」スクッ

ペンギン「せいぜい死なんようにな。俺の手下も殺さんように」ヒラヒラ

デッドショット「俺の射線に出なきゃ平気だ」スタスタ……


スイングドア「」ギィ、グォン……



201 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:09:07.07 ID:oXFljNIX0



ヒュォォォォォォォオォォ……


太陽「」ジリ……ジリジリ……


通り「」……


デッドショット「……」ザシ、ザシ


デッドショット(こういう光景は、西部劇の映画で見た事がある。ここに枯草でも転がってくりゃ、雰囲気は完璧だ)

デッドショット(強い日差し、弱々しい風。いかにもそれらしく寂れた建物……だが、これは映画じゃない。どういう訳だか、俺はここに立ってる。しかも身体は常に絶好調、まるであのスーパーマンにでもなった気分だ……)

デッドショット(ここはあの世か? ……いいや、違うよな。あの世でまで争いが起きるとは思えない)


ウォォォォォ!! ヤッチマエエエエエエエ!!



202 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:09:33.23 ID:oXFljNIX0



ペンギンの手下A「負けるな! コブルポットさんにどやしつけられちまうぞ!」

ペンギンの手下B「テメェこそサボってんなよ、言いつけてやるからな!」バァン、バァン!!

ペンギンの手下C「おい、言い争ってる場合かよ! 押されてるぞ!」ギィン!! ガァン!!


槍を持った男達「「「……」」」ザン、ザン、ザン、ザン……


デッドショット(……ケルト兵め、また来たのか……)


203 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:10:00.76 ID:oXFljNIX0



デッドショット「遅れたな、状況はどうだ」カチャ、ダダダダダダダダ……

ペンギンの手下A「で、デッドショット! 助かった……見ての通りだ、ケルト兵の奴らまた攻めてきやがった! 戦闘員じゃねえ住人は街の中央へ避難させてるけど、このまんまじゃ辛いぜ!」

デッドショット「分かった。とにかくこの波は俺一人で何とかする、お前らは後退して俺の撃ち漏らしを狩れ」ダダダダダダ、カチャリ、ダダダダダダダ……

ペンギンの手下B「へへっ、了解だぜ! おい野郎ども、後退だ!」

ペンギンの手下C「俺が指示出すんだよ馬鹿! 後退しろテメェら!! 無駄弾使わずにデッドショットに任せろ!!」

デッドショット「……」ダダダダダダダ……


204 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:10:34.56 ID:oXFljNIX0



ケルト兵G「……」ダダッ

デッドショット「……」タァン

ケルト兵G「っ」ドシャッ

ケルト兵H「!?」ドシャァッ

ケルト兵I「ぐ!?」ゴシャッ


デッドショット「ブルズアイ」カチャリ

デッドショット(一発の弾丸で三人ずつ仕留める。いつも通り、良い調子だ)ダダダダ、タァン


デッドショット(……それにしても、今日のこいつらは様子がおかしい。まるで何かに追われるように焦っているが、どうしたんだ……?)カチャリ


205 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:11:02.35 ID:oXFljNIX0



???「よーし、アタシ再臨リサイタルゥ! 歌ってくわよ、聴いて行きなさい!」

デッドショット「……?」


デッドショット(何だ、ケルト兵の後方に何か居るのか?)


???「スゥゥゥゥゥーッ……」

???「ボォォォォエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜ッ♪♪♪」ゴォォォォォォォオォォォォッ!!


デッドショット「!?」

ケルト兵達「「「」」」バタタタタッ……

デッドショット「な……」


デッドショット(何だ今のは、並み居るケルト兵達が一瞬で倒されたぞ!?)


206 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:11:32.53 ID:oXFljNIX0



???「ふう、アタシったらまた熱が入っちゃった! ついて来れなかったファンが倒れちゃってるわね、まーロックは激しいから仕方ないわっ!!」

デッドショット「……」カチャリ


デッドショット(ろっく? どういう意味だ? 今の攻撃の名前か? ふぁん……ファン? まさかコイツ、イカれてんのか?)


???「……あっ、倒れてない見どころのあるファン発見〜〜!! サインしてあげようかしら、フフッ」テテッ

デッドショット「!?」ジリッ


デッドショット(コイツ、距離を詰めてきたぞ!? 銃を向けてるのに! 馬鹿なのか!? いや、やっぱりイカれてやがるんだ! 撃つしか……)カチャッ


???「えーっと、どんなサインが良い? アイ・ラブ・エリザベートとか? ズッ友☆スーパースターとか!?」

デッドショット「……」


デッドショット(何を言っているんだ……俺はどうすれば良いんだ……?)


207 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:11:59.02 ID:oXFljNIX0



………………


デッドショット「……つまり、こういう事か? 急に連れて来られて、さっきのケルト兵共に襲われていたと」

エリザベート「……うん」


エリザベート(絶対アタシの過激ファンだと思ったのに……ちょっと嬉しかったのに……)

デッドショット(……参った。ここの性質がいよいよ分からなくなってきやがったぞ……悪党だけじゃなく、こんな少女まで連れて来られるとは)


エリザベート「まあでも、アンタならさっきの奴らより話は通じそうね! 名前はなんていうのよ!」

デッドショット「俺はフロイd……いや、デッドショットだ」

エリザベート「デッドショット(死の射撃)? 変な名前ね。アタシはエリザベート・バートリー! アンタ、特別にアタシのマネージャーにしてやっても良いわよ?」

デッドショット「光栄だ。行くアテはあるのか、エリザベート」

エリザベート「……もーちょっとリアクション取りなさいよね。無いわよ、来たばっかりだもの」

デッドショット「ならここに留まるっていうのはどうだ。こっちの戦力も強化できる、お前は落ち着ける。いいことづくめだと思うが」

エリザベート「あら、良いわね。アタシって冒険も好きだけど、こうやってライブ会場の周りを巡るのも……」

デッドショット「なら決まりだな。ついてこい」クルリ、スタスタ

エリザベート「最後まで言わせなさいよぉ!」タタッ


208 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:12:27.25 ID:oXFljNIX0



エリザベート「全く、はらたつぅー……にしても、随分寂れた街ね。人の気配が少ないっていうか」スタスタ

デッドショット「ケルト兵達がここの住人を殺して行った。残った僅かな住人達の元へ、俺達が連れて来られたってワケだ」ザシ、ザシ

エリザベート「へえ〜……俺達?」

デッドショット「俺達、悪党共だよ。どうしようもない、折り紙付きのな」

エリザベート「えぇ〜。アンタ悪党なの?」

デッドショット「……露骨に嫌そうな顔をするな。これから会う奴らは俺よりもっと凶悪だぞ」

エリザベート「よくそんな悪党だけで街を守れてたわね」

デッドショット「どうしようもない奴らの方が、こういうのには適任なんだよ。ようこそ、ヴィランストリートへ……」



209 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:12:58.56 ID:oXFljNIX0



………………


バチバチ……ギュォォォォォォォオオッ


バットマン「ふっ!」スタッ

マシュ「わっ!!」スチャッ

バットマン「……もしもし、ドクター。今回のレイシフトも無事に完了した」

ドクター『もしもし……オッケー、二人共バイタルサインは正常だ。何か見えるものはあるかい?』

マシュ「いいえ。見渡す限りの荒野が広がっています……それと、空を覆う大きな光の帯は相変わらず」

ドクター『うぅむ、前回の特異点は霧で見えなかったからな……久々に観測すると、改めてその異常さが分かるよ。あの帯は一本で出来てるんじゃなく、凄まじいエネルギーを持つ光線が束になって現れたものだ。あんなものが地上に降りて来たら世界滅亡じゃ済まないぞ……』

バットマン「危険だな。降りて来る兆候はあるか?」

ドクター『いいや、今のところはないね。……それより、君達よりかなり前方で戦闘が起こってるみたいだ。様子を見に行ってくれるか?』

バットマン「了解。行くぞマシュ」

マシュ「はい!」


210 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:13:39.65 ID:oXFljNIX0



ドクター『気を付けてよ。今回はマシュ以外のサーヴァントは居ないんだ……ベインにボロボロにされたカルデアの復旧が。もっと早ければ良かったんだけど。ごめん』

バットマン「過ぎた事だ」スタスタ

ドクター『……カルデアを虚数空間の中に分離させて初めてのレイシフトだけど、本当に違和感とかない?』

マシュ「今のところは……ありません。ね、マスター」

バットマン「ああ、正常だ。そちらこそ、何も異常はないのか?」

ドクター『うん、大丈夫。ごめんね、僕たちがもっと強ければこんな対策を取らずに済むんだけど……』

バットマン「ベインはカルデアの座標を割り出したんだ。いつまた襲撃に来るか分からない以上、このやり方が一番安全だろう」

ドクター『うん……よし、いつも通り頼むよ二人とも!』


211 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:14:13.36 ID:oXFljNIX0



バットマン「……伏せろマシュ。岩に隠れろ」サッ

マシュ「はい……アレは」ジッ


槍を持った男達「「「ウォォォォォォォォォ!!!」」」ドドドドドド……

ロボットの兵隊「「「……」」」ガシャン、ガシャン、ガシャン



バットマン「……文明の差が著しいな。ドクター、あの陣営のどちらかにサーヴァント反応はあるか?」

ドクター『んーと、待ってよ……えーと、槍を持ってる男達の方に二人。ロボットの方に一人』

バットマン「成程……聖杯反応は?」

ドクター『どちらにも感知できないな。武装レベルを見るに、どちらもこの時代に適した武器を使ってるとも思えないし……どっちがどっちとも言い難い。どうする?』

バットマン「……このまま少し、観察を続ける。マシュ、いつでも戦闘に参加できるよう準備しておけ」

マシュ「はい」ガシャ……



212 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:14:56.48 ID:oXFljNIX0



太陽「」ジリジリ……


バットマン「……」

マシュ「……」


マシュ(あつい……)


バットマン「……! マシュ、アレが見えるか?」

マシュ「はい! え? えっと……」ジッ


赤い服の女性「……」バシィ! ガシッ、グルグル、バッシィン! ドォン!


バットマン「……何をしているように見える、アレは」

マシュ「えー、えーっと、その……男達を殴って、蹴って、ロボットの首を取って……怪我人の治療をして、その人が襲い掛かって来たらまた殴ってます……」

バットマン「……やはりか。すまない、私も見えてはいたが暑さによる幻覚かと思ったんだ。ドクター、あの女性の観測を頼む」

ドクター『サーヴァントだね。バーサーカーみたいだ』

バットマン「……バーサーカーは確か、話が通じにくいタイプだったか?」

マシュ「は、はい。少しその、独特の世界観を持っている方が多いクラスです……」


213 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:15:36.54 ID:oXFljNIX0



バットマン(さあ、どうしたものか……)ジッ


マシュ「……あっ、マスター! 見て下さい、アレ……」


ピンク髪の女性「も〜〜っ、さっさとこの戦線を叩き潰してクーちゃんに戦勝報告するつもりだったのに台無しよ! アンタ何なのさっきから!」プンプン!!

紫髪の少女「ちょっとちょっと、もう! 困るわよ、ロボットは治療できないんだから!」

赤い服の女性「……」チラッ



バットマン(両陣営のサーヴァントが出て来たか。よし、これで見極めを……)



赤い服の女性「困るのはこちらです!!!!!!!!!」ゴォッ



女性「!?」ビリビリッ

少女「!?」ビリビリッ


マシュ「!?」ゴォッ

バットマン「!?」ジリッ



214 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:16:02.96 ID:oXFljNIX0



赤い服の女性「ずっと怪我人ばかり出し、終わらない戦いは不毛!! これが分からないのですか!!!!」

女性「な、何よ、説教するっての!?」

少女「勢いの良い人ね!? 私だってできれば戦いたくないけど……これは仕方ない戦争よ、ミセス!」





ドクター『ちょっと、カルデアにも響いてきたよさっきの怒声……』

バットマン「マシュ、いけるか」

マシュ「え? は、はい! いけます!」

バットマン「行くぞ、あの赤い女性を助け出す」

マシュ「た、助けるんですか!?」

バットマン「彼女なら理由もなくこちらを攻撃しないだろう。それに、長い間この戦争を見て来たのなら、事情にも詳しいハズだ。情報収集も出来る」

マシュ「成程!」

バットマン「行くぞ!」

マシュ「はいっ!!」


215 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:16:43.89 ID:oXFljNIX0



女性「良い度胸じゃないの……一人っぽっちのくせにこのスーパーケルトヒロインにお説教なんて、気に入ったわ!! 叩き潰してあげるッ!!!」

少女「話が通じるタイプじゃなさそうね……武力行使って嫌いなんだけど、やるしかないわね」

赤い服の女性「かかって来なさい。あなた方の病気、根本から叩き直して差し上げましょう!!!」

「たああっ!!!」

三人「「「!?」」」


盾「」ヒュォンッ


女性「チイッ」バッ


蹴り「」ゴォッ


少女「きゃっ、危ない!?」ババッ



マシュ「初撃、どちらも躱されました!」スタ、タタッ

盾「」ヒュンッ

マシュ「どちらも手練れかと思われます、マスター!」パシィ

バットマン「サーヴァントは任せたぞ。私は雑魚を処理する」スタッ

赤い服の女性「あなた方は?」

バットマン「敵ではない。今のところは」

マシュ「助太刀に来ました!」

赤い服の女性「助太刀……?」



216 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:17:50.16 ID:oXFljNIX0





赤い服の女性「……何にせよ、助かります。彼女らを止めましょう」スッ

バットマン「ああ」

マシュ「……」ガシャリ


女性「も〜、何なのかしら……クーちゃん呼んじゃおっかな……いやでも……」ボソボソ

少女「あら、変わった格好してるわね! マハトマの導きによるものかしら? それは……猫の耳?」

バットマン「……」

マシュ「気が抜けると言うべきでしょうか……」

バットマン「……来るぞ、油断するな」



217 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:18:29.55 ID:oXFljNIX0



女性「きーめたっ。私帰るわね! それじゃ!」

赤い服の女性「待ちなさい! まだ治療は終わっていません!」

女性「治療て。ここは戦場よ、クイーンはまだまだこんな序盤じゃ取られちゃ駄目なの。だから『ナイト』を出すわね。ヨロシク、ナイトちゃん!」


ダダンッ、ズッサァァァァ!!


土煙「」モクモク……


女性「それじゃあね〜(はぁと)」ヒラヒラ


バットマン「ドクター!」

ドクター『気を付けて、サーヴァント反応! かなり強大だ!』

マシュ「!!」ガシャリ


218 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:18:55.84 ID:oXFljNIX0



???「……フン、こんなところで会えるとはな」ザシ、ザシ

バットマン「……!? その声は……」

???「俺だ」ザシ……ピタッ


土煙「」……ザァァァァ……


バットマン「……お前までここに来ていたのか」

デスストローク「勿論、来るとも。報酬も弾んで貰えてるしな」


219 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/11/29(木) 22:19:25.87 ID:oXFljNIX0



マシュ(……身のこなしから分かる。かなりの手練れ。マスターにも引けを取らないほどの……)


デスストローク「ほう、使いっ走りをコマドリからお嬢ちゃんに鞍替えしたのか? 賢明とは思えんが」

バットマン「彼女を嘗めていると痛い目に遭うぞ、デスストローク」

デスストローク「……フン。ではお手並み拝見といくか?」カチャ、シュリィィィィィ……スッ



少女「……」ジリッ

赤い服の女性「……治療、開始します」カチャリ

デスストローク「デヤァァァァァァッ!!」ヒュンッ

マシュ「!!!」ガシャリッ


220 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/11/29(木) 22:22:35.34 ID:oXFljNIX0
今回の更新はここまでです。

悪役の参考資料です。

ペンギン
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/penguin.html

キャットウーマン
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/catwoman.html

デスストローク
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/deathstroke.html

221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 00:49:31.41 ID:jpmjoARgO
デスストローク=サン!デスストローク=サンじゃないか!
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 07:33:54.04 ID:lFQbYTd5O
まさかのデスストローク
ベイン並みに強敵…
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 12:20:30.58 ID:52fnNGBAo
乙。アーカムビギンズのスレイドおじさんとの戦いはメッチャ興奮したな
それにしても流石バットマンのローグスギャラリーは豊富で良いね
224 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:23:15.81 ID:IANAA/0D0


………………

牢屋「」ピチャン……ピチャッ……



フリーズ「……」

シータ「……あの、少しお話をしませんか?」

フリーズ「囚人と話す看守は居ないだろう」

シータ「それはそうかもしれませんけど、牢の中ではやる事もなくて……」

フリーズ「……」

シータ「……ではその、私が話すので、聞いていて頂けますか?」

フリーズ「好きにしろ」ガシャ、ガシャ


225 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:23:45.64 ID:IANAA/0D0


シータ「ふふっ、優しいのですね。実は私、ここに来る前はインドに居たのです」

フリーズ「……」

シータ「そこで運命の人に出会って、結婚して……幸せだったのですよ? でも、鹿に変えられて攫われたり、風神様に見つけてもらったり、お猿さん達と一緒に戦ったり……」

フリーズ「……」


フリーズ(この話は聞いた事がある。確か、インドの古代叙事詩『ラーマーヤナ』の……)


シータ「……それで、挙句の果ては国民に貞潔を疑われて追放されたり! 民は国の宝とは言いますが、あれは酷いと思います!!」

フリーズ「……」

シータ「……でも、あの人は最後まで信じてくれた。お猿さん達と迎えに来た時は、ちょっぴりカッコ悪かったけど……でも、いつまでも好きな人なんです」

フリーズ「……」

シータ「なのに、呪いで幸福を分かち合えなくなっちゃったんです! 一緒に居たら駄目なんて言われて、納得できるワケないじゃないですか」

フリーズ「……」


226 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:24:29.54 ID:IANAA/0D0


シータ「……ごめんなさい、愚痴みたいになって」

フリーズ「いや……災難だったな」

シータ「! ほ、本当ですよ! アレで私の人生がどれほどくすんだか……!」グヌヌヌ

フリーズ「お前は、どれほどの犠牲を伴っても、人を好きで居たいと思うか?」

シータ「え?」キョトン

フリーズ「……いいや、何でもない」ガシャリ……


フリーズ(ノラ……)


227 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:25:02.44 ID:IANAA/0D0



シータ「……あなたは、どうなんです?」

フリーズ「少し喋り過ぎだ。十分暇潰しにはなっただろう」

シータ「でも……」

フリーズ「もう良い」ガシャ、ガシャ……


フリーズ(……これ以上喋れば、情が移る。決心が揺らいではならない。外道共に仕えている理由を忘れては駄目だ)ガシャリ、ガシャリ

フリーズ(全てはノラのため。『聖杯』とやらでノラを治療すれば、すぐに終わる。……もう少しだよ、ノラ。また一緒に、手を取り合って歩けるんだ)


(((……でも、いつまでも好きな人なんです)))


フリーズ「……」ガシャ、ガシャ……


228 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:25:29.41 ID:IANAA/0D0



………………


デスストローク「これは驚いた! 確かにやるな、お嬢さん!」ヒュンヒュンッ、ヒュン!

マシュ「ぐっ……」ガシャリ


マシュ(駄目、あの棍のせいで間合いが詰められない! それにあの身軽さ、舞うような身のこなしから繰り出される強烈で的確な攻撃……この人、相当場慣れしてる!)


バットマン「フン!!」ゴッシャァ!

ケルト兵A「ぬぐ!?」ドッサァァン!

ロボットA「ガガガガガ!!」バキャァ!



紫髪の少女「ええ……あの人、鉄のロボットを粘土みたいに潰したんだけど、サーヴァントじゃないわよね……?」

赤い服の女性「隙有りッ!!!」ダンッ、シュバッ

少女「きゃ、危ない!!」ババッ



デスストローク「まだ倒れてくれるなよ、久々に滾って来たんだ!」ヒュォンッ

マシュ「!!!」スッ



229 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:26:00.86 ID:IANAA/0D0



 風切り音と共に、鉄製の棍が迫っていた。辛うじて反応し、盾で防げば、デスストロークはその反動を利用して反対の端で殴りつける。盾でガード。再度棍が襲う。再度盾でガード。猛スピードで連続するやり取りに風が巻き起こる。断続的に火花が散り、熱で棍の両端が赤く染まり始めた。

 傍目には単調なその動きも、その実、恐ろしいほどの計算と予測からなる高度な防御と攻撃の応酬である。マシュは悟る。相手もまた、こちらの動きを全て予想しているのだと。

 不意にデスストロークが屈んだ。直後、彼は足元の砂を蹴り上げた。マシュの視界が砂塵で覆われ、一瞬の隙を生む。次の瞬間、砂のカーテンを突き破り、棍がマシュの脳天へと振り下ろされた。

「!!!」

 だがマシュとて三下の戦士ではない。数々の修羅場を潜り抜けたサーヴァントだ。盾を頭上へと振り上げ、棍での攻撃を打ち返す。必殺、パリイング。がら空きになったであろう敵の胴体目掛け、砂塵を突き破って正拳突きを繰り出す……

 そして、空振った。空を切る手応えに、マシュは目を見開いた。死の傭兵はエモノを弾かれ、マシュの頭上、空中できりもみ回転している。

(やはり油断できない相手だったな)


 仮面の奥に笑みが浮かぶ。マシュは敵の経験値を侮っていたとようやく知った。傭兵は回転の中で剣を引き抜き、今度こそマシュの脳天目掛けて必殺の一撃を……


「滅菌!!!」


 振り下ろそうとしたところで、横合いから入った蹴りをガードせねばならず、弾かれて着地した。


230 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:26:29.30 ID:IANAA/0D0



赤い服の女性「無事ですか」スッ……

マシュ「は、はい! ありがとうございます」


デスストローク「野暮な女め」ザシシィ、クルッ

バットマン「そこだ!」シュパパッ


バットラング「「「」」」ヒュォォォォォォォッ


デスストローク「お前は黙って……」ガギギィ、スッ……

バットマン「爆破ジェル、塗布済みだ!」ポチッ

バットラング「「「」」」ドドドドォッ!!

デスストローク「ぬおっ!?」ヨロッ

マシュ「たあああっ!!」ヒュゴッ!!

デスストローク「ぐあ……」ドッシャァァァァァァ……


231 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/11/30(金) 21:26:58.13 ID:IANAA/0D0



紫髪の少女「う、うぅ……脳震盪が……」ヨロヨロ……


バットマン「今だ、退避するぞ」

赤い服の女性「しかし、まだ何も解決していません!」

バットマン「ここで戦っていても何も解決しないだろう。来るか、それとも残って不毛な争いを続けるか。どちらだ」

赤い服の女性「くっ……」

マシュ「行きましょう、すぐに回復して襲ってきますよ!」





デスストローク「……やってくれる……」プル、プル……





赤い服の女性「……分かりました。行きましょう」

バットマン「よし、行くぞ。南へ撤退だ」

マシュ「はい!」



紫髪の少女「ま、待ちなさ……うっ、吐き気が……」ヨロ……

ロボットD「戦闘の続行は不可能と判断。拠点へ撤退します」ガシッ

紫髪の少女「ちょ、ちょっと下ろしなさい、まだ戦えるわよ!」ジタバタ

ロボットD「ここで消えてはエジソン様が悲しまれます」ウィー、ガシャ、ガシャ……



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