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【シャニマス】となりの大崎
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1 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 07:13:18.93 ID:4DRcBPkiO
大崎甜花。
17歳、高校生。
同じ学校。同じクラス。一番左後ろの窓際の席。
その隣の席で授業を受けながら、ちらりとその席に目をやる。
その席の主人、大崎は…
机に突っ伏し、授業そっちのけでお昼寝を謳歌していた。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1542665598
2 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 07:19:18.29 ID:4DRcBPkiO
正直、気持ちは分かる。
定期試験が終わった直後の授業だ、気も抜けるというものだ。
現に、クラスの3分の1くらいは同じように寝ており、残りのクラスメイト達も集中して授業を受けている様子でもない。
かくいう自分も、頬杖をついて堪えきれずに漏れ出したあくびを教科書で隠したりしていた。
ただ、この大崎に至っては始業直後の授業から大体こんな感じだったわけだが。
3 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 07:27:57.75 ID:4DRcBPkiO
大崎と話したことはない。
基本授業中は寝ているし、休み時間も起きてこそいるものの、ある事情から話しかけることがはばかられた。
ただ、そういう云々は抜きにしても、大崎は人と話すのが苦手なようだった。
だから隣の席の住人として、この教室が大崎にとって少しでも居心地の良い場所であるようにと、極力話しかけないように努めていた。
実際は、話しかける理由もきっかけも話題もないだけだけど。
4 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 07:40:02.83 ID:4DRcBPkiO
チャイムが鳴り、授業が終わる。教員が教室を後にし、昼休みが始まった。
寝ている人間を含めて(大崎以外の)全員がノソノソと動き出す。
弁当を取り出しながら、もう一度大崎の様子を伺うが、やはり机に突っ伏したままピクリとも動く気配が無い。
こちらには友人が2、3人こちらの席に集まってきて、各々適当に弁当箱やらパンやらを食べ始める。
いつもなら、そろそろ彼女がやって来る時間だが…
5 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 07:44:25.13 ID:4DRcBPkiO
「甜花ちゃん!!」
やってきた。
バン!と教室の机を元気に開け放ちながら。
その瞬間、ここまでピクリとも動かなかった大崎が、モソモソと動き始める。
大崎甘奈。
大崎の姉妹で、隣のクラス。
休み時間の度にこちらの教室にやってきては甜花と談笑し、帰っていく。
大崎甘奈は大崎の前の席の椅子に座り、手に持っていた2人分の弁当を机に置いた。
6 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 07:53:48.60 ID:4DRcBPkiO
「……なー…ちゃん…」
「おはよ、甜花ちゃん!お昼ご飯食べよ!」
「うん……」
大崎は眠そうに目をこすりながら小さくあくびをする。
寝ている時はどんな轟音がしようが目を覚まさない大崎だが、休み時間の度に訪れる大崎甘奈の声を聞くといつもすぐに目を覚ました。
「はい、あーん!」
「あー…ん…」
大崎が口を開け、そこに大崎甘奈がお弁当を放り込む。
初めて見た時は度肝を抜かれたが、もう見慣れた光景だった。
7 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:01:39.57 ID:4DRcBPkiO
よく眠り、起きてても眠そうで、他人と話すのが苦手。
それ故に大崎甜花はこのクラスでは孤立気味だったが、本人は気にしていない様子だった。
実際、ハブられているわけでもないし、これくらいの環境が本人的には一番楽なのかもしれない。
「甜花ちゃん、午後の最初の授業は移動教室だから、寝過ごしちゃわないようにね」
「あ…うん…ありがとう、なーちゃん」
ただ、隣のクラスの大崎甘奈が大崎よりもこちらの時間割まで詳しいのは、少しどうかと思う。
8 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:16:50.24 ID:4DRcBPkiO
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ーーーーーー
その日も、いつもと同じだった。
少しだけ怪しい雲行きに、静かな教室。
カツカツと、先生が黒板に数式を書いていく。
ノートに写しながら、隣の席を見るとやはり突っ伏した大崎。
一つだけ、いつもと違う点があったとすれば。
「………スゥ…スゥ…」
おそらく隣の席の自分にしか聞こえていないが、大崎は寝息を立てていた。
9 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:23:02.65 ID:4DRcBPkiO
大崎も呼吸するんだ、なんて意味のわからないことを考えたが、それだけ普段は静かなのだ。
「それじゃあここを…大崎ー」
先生が名前を呼ぶ、大崎は反応しない。
これはいつものことだ。
ただ、やはりいつもとは何かが違った。
耳が少し赤い。いつもはピクリとも動かない肩がほんの少し上下している。
緋色の長い髪のせいで表情は見えない、起きているのか寝ているのかさえ分からない。
でも、これはもしかして…
10 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:28:53.79 ID:4DRcBPkiO
「大崎ー。また寝てるのか、大崎甜花ー」
先生が教壇から大崎を呼ぶ。
大崎の反応はない。
…………いや。
「………なー…ちゃん……」
隣の席ですら集中しないと聞こえない、消え入りそうなほど小さな声。
「あ、あのっ!…えと、大崎、体調悪いみたいです!」
思わず、立ち上がってそう声を上げた。
11 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:40:16.62 ID:oWf9HBCI0
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その後、大崎を保健室に連れて行くと言い、眠いせいなのか体調が悪いせいなのかフラフラと足元のおぼつかない大崎を介護しながらなんとか目的地までたどり着いた。
どうやら大崎は本当に体調が悪かったらしい。今日は早退した方がいいかもしれないと、保健室の先生に言われていた。
大崎がベッドで落ち着いて寝息を立てるようになるまで待っているうちにチャイムが鳴り、昼休みになった。
何となくそのままボーッとしていると、保健室のドアが静かに開いた。
12 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:49:03.67 ID:I7YQrzkxO
「甜花ちゃん、大丈夫!?」
息を切らしながら駆け込んできたのは、大崎甘奈。
ここまで走ってきて、大崎を気遣ってドアを静かに開けるところまではいいが、声を抑えることは出来なかったらしい。
「甜花ちゃんが倒れたって聞いて、それで…!」
保健室の先生に詰め寄り、周りを見渡し、ベットの上の大崎を見て、涙目で駆け寄ってきて。
よほど心配だったんだろう、二人の仲が良いのは普段から見ているから気持ちは分かる。
13 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 08:53:16.04 ID:I7YQrzkxO
「あ、ねえ!」
邪魔をするのも悪いと思い、教室に戻ろうとしていると大崎甘奈に呼び止められた。
「えっと、その…ありがとね!」
「あー…うん、どういたしまして」
大崎甘奈と話すのは初めてで、向こうはこちらの名前も知らないだろうからたどたどしい会話になる。
「キミって、甜花ちゃんの隣の席の人だよね?」
「あ、知ってたんだ」
14 :
◆30lx83ehPU
[saga]:2018/11/20(火) 09:24:21.51 ID:oWf9HBCI0
話を聞くと、いつも昼休みに弁当を食べていると必ず隣の席にいるから覚えていたそうだった。
いつも一緒に食べている二、三人の友人たちについて覚えているか聞くと、流石にそこまでは覚えていないと笑われた。
大崎甘奈に近付きたいという一心であの席に近い俺と一緒に昼食を食べているのにと思うと、少しだけ彼らがかわいそうだった。
今度こそ、保健室を出ようとすると、
「確認だけど…甜花ちゃんに、変なことしてないよね?」
とだけ聞かれた。笑顔で。でも圧があった。
苦笑いしながら保健室を出る。
これが、となりの大崎との最初の接点だった。
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