【ハイスコアガール】大野真「晶の体育祭へ行くわよ!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:08:07.18 ID:oBHl5UyH0
・時期的には高校時代で、ハルオ、大野姉妹、日高、宮尾が互いに顔見知りとなった後のいつかです。
・人によって非道徳的、卑猥などと受け取れる箇所があります。苦手なかたは御注意ください。
・くにおくんネタはありません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1542352086
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:10:03.25 ID:oBHl5UyH0
――大野晶専用車車内


ブロロロロ…


ハルオ「……」

日高「……」

宮尾「……」

真「ねぇ、後ろの席の3人」

ハルオ「……何スか」

真「何か喋んなさいよ」

宮尾「はあ」

真「ずっと黙っちゃってどうしたのよ。これからお通夜に行くんじゃないんだからさ」

日高「……」

真「小春ちゃんも。何でそんな緊張したみたいな顔してんの?」

日高「だって実際、緊張してますから……」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:13:33.98 ID:oBHl5UyH0
真「どうして?」

日高「だって、私が上蘭高校の体育祭へ行くなんて……」

真「別に普通よ。ただ単に他校の運動会を見物しに行くだけよ」

日高「私たちって大野さんとは赤の他人なのに、お姉さんと一緒に保護者席に座っちゃうなんて……」

真「まだ言ってる。全っ然問題ないわよ。誰かに何か訊かれたら親戚ですって言えばいいの」

宮尾「そうですね……こんな機会でもなければ、上蘭の校内に入るなんてできませんしね」

ハルオ「……」

宮尾「なぁハルオ?」

日高「…宮尾君」

宮尾「何だ? あっそうか、入試で…」

ハルオ「……俺は入ったことあるよ、校内」

宮尾「悪かった、ハルオ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:16:08.82 ID:oBHl5UyH0
真「はぁ? 何よ今のは。ハルオくん、ひょっとしてまだそんなこと気にしてんの?」

ハルオ「そういうわけじゃないよ……」

真「じゃあ何なのよ。アンタは違う高校へ行くことにしたんだから、もうただの他校でしょうに」

ハルオ「分かってるよ……」

真「日曜で天気もいいんだからさ、楽しまなきゃ損だよ?」

宮尾「はい、せっかく誘ってもらったんですから。今日はありがとうございます」

真「ううん、お礼を言うのは私の方。みんなには無理に来させて悪かったわね」

じいや「もし皆様がお出でくださらなかったら、保護者席にいるのは真様だけになってしまいますので」

ハルオ「あれ? じいやは?」

じいや「私の務めは送り迎えだけ。私がそのような場所にいることは差し出がましいことです」

日高「お父さんとお母さんは…」

真「ロスにいる。ほんのたまーにしか帰って来ないのよ」

宮尾「保護者席で応援するのがお姉さんだけじゃ、大野さんは少し寂しいかもしれませんね」

ハルオ「今日、大野はもう学校へ行ってるんだな」

じいや「朝早くにお送りしました。生徒さんたちには様々な準備あるそうで」

真「行きも帰りも、晶は私たちと別行動」

日高「あの……私もありがとうございます。今日のことだけじゃなく、いろいろ……」

真「気にしないで。あれはただのお近づきのしるしよ」

ハルオ「いろいろ?」

日高「うん。お姉さんにはお世話になっちゃって……」

宮尾「世話になった? どういうことか訊いてもいいか?」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:18:21.45 ID:oBHl5UyH0
真「小春ちゃん家(ち)が酒屋さんって聞いて、私の家からお酒を頼むように、私が家の人に言ったのよ」

日高「それが、ものすごくて…」

宮尾「ものすごい?」

日高「外国の1本何万円もする高級な物ばかり、シャンパン50本、ワイン100本」

ハルオ「ええっ!?」

宮尾「それは確かにものすごいな……」

真「私の家でパーティが開かれる予定があってね。それ用とかでね」

ハルオ「さすが大野の家……やることのスケールがハンパねぇ」

日高「全部ウチで扱ったことのない物で、お父さんもお母さんもてんてこ舞いで…」

真「ありゃ。逆に迷惑だった?」

日高「あっ、そんなことありません。父は“商売の幅が広がった”って喜んでました」

真「それなら良かった。とにかくさっきも言ったとおり、ただのお近づきのしるしよ」

日高「それで今日の、大野さんの体育祭に呼んでもらってることをお父さんに話したら…」

宮尾「ああ」

日高「“今後のこともあるから絶対行け。行ってゴマすってこい”って…」

宮尾「おいおい、そんなのここでバラしていいのか」

日高「いいの。私もそんなこと言うお父さんにちょっと呆れてたから」

真「ゴマするも何も、小春ちゃんは晶の友達で私の知り合いじゃん。誘うのは当たり前よ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:19:55.99 ID:oBHl5UyH0
日高(“友達”……)

日高(友達か……)

日高(お姉さんは、私と大野さんと矢口くんのこと……どのくらい知ってるんだろう)

日高「あの、お姉さん」

真「何ー?」

日高「私が来ること、大野さんへは…」

真「もちろん言ってあるわよ。それがどうかした?」

日高「あ、いえ、何でも……」

ハルオ(そうか……)

ハルオ(だから日高が今、ここにいるのか……)

ハルオ(大野と日高の接点なんてほとんどないはず。呼ばれても行く理由がねぇ)

ハルオ(でも家の事情があるなら……)

宮尾(俺が誘ってもらえたのは、単純に人数を増やす目的だと思うが…)

宮尾(日高にはそういう背景がある。だからあいつは断れなかったんだろう)

宮尾(まぁ、保護者席に大野さんが来ることはほとんどないと思うし…)

宮尾(今日は俺が気を使う必要なんてないのを祈るぜ)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:23:06.66 ID:oBHl5UyH0
真「小春ちゃんに来てもらった理由はね、ほかにもあるの」

日高「何ですか?」

真「やっぱさ、どんな集まりでも“華”がないとつまんないじゃん?」

日高「えっ…」

真「私以外は男ばっかなんだし」

日高「そんな……華なんて///」

真「おりょ? 照れちゃってかわいーなー」

日高「///」

宮尾「お姉さん、華ってことをいうなら自分自身だってそうじゃないですか」

真「ハッハッハッ、ありがとね宮尾君。たとえお世辞でも嬉しいよ」

ハルオ「自分が華じゃねーのをちゃんと自覚してんだな」ボソ

真「あ? 何か言ったか小僧!?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:24:36.38 ID:oBHl5UyH0
――上蘭高校校門


ハルオ「スゲェ……」

日高「何あれ……」

宮尾「学校の外からも見える。これってもうスタジアムだよな」

真「仮設だけどね。体育祭の時だけ観覧席が作られるの」

日高「さすがリッチな学校ですね……」

真「ここの体育祭は気合入ってるわよ。文武両道が学校のモットーだし」

じいや「皆様、IDカードはお持ちですな?」

日高「あ、はい」

宮尾「大丈夫です」

ハルオ「アイディー……これか」

真「それ、いつも首からぶら下げててね。そうしないとあっという間につまみ出されるわよ」

宮尾「セキュリティもちゃんとしてるんですね」

真「生徒には、いわゆる良家の子女ってのが多いから」

じいや「それでは、私はここで失礼いたします」

真「うん。それから、じいや」

じいや「何でしょう、真お嬢様」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:28:48.96 ID:oBHl5UyH0
真「まっすぐ家へ行くのよ?」

じいや「は? それはどのような意味…」

真「途中でパチンコ屋へ寄り道しちゃ駄目よ?」

じいや「うっ」

真「じいやって最近、5万円も負けたんだって?」

じいや「ううっ」

真「しかも新装開店のとこで」

じいや「ま、真様……なぜそれを」

真「家の中で愚痴りまくったって聞いたけど? 大野家にいる人なら誰でも知ってるわよ」

じいや「……」フラフラ

日高「フラフラしながら車の所へ行っちゃいました。大丈夫でしょうか」

真「心配ないわよ。その時のショックを思い出したんでしょ、いい薬よ」

ハルオ「お姉さん、パチンコなんて詳しかったんだな。“新装開店”とか“負ける”とか…」

真「えぇ? 全然知らないわよ。『黄門ちゃま』とか『マジカルパニック』とか、全然知らないわよ」

ハルオ「知ってるじゃん」ボソ

真「じゃあ行くわよ。私に付いて来て」

日高・宮尾「はい」

ハルオ「うん」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:30:51.92 ID:oBHl5UyH0
日高「お姉さんも上蘭だったんですか? ここのことよく知ってるし」

真「うん、途中からだけどね。ほかの学校から転入したの」

宮尾「じゃあ前の学校は…」

真「ロスの高校」

日高「えっ。アメリカの高校……」

ハルオ「そうか。大野が中3で日本へ戻って来た時、お姉さんは高校生か」

真「姉妹で、日本とアメリカの学校を行ったり来たりよ」

日高「……」

真「親の都合に子供が振り回されていい迷惑よ」

日高「アメリカ……」

宮尾「どうした、日高?」

日高「外国かぁ、すごいな、って……私まだ行ったことないし」

真「別に大したことじゃないわよ。小春ちゃんだってそのうち、いくらでも行けるようになるんじゃない?」

日高「そうだといいですけど……でもお姉さんと大野さんは旅行とかじゃなくて、住んでたんですよね」

宮尾「……」

日高「すごいなぁ……」

宮尾「何だか日高、そういうところも変わったな」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:32:57.30 ID:oBHl5UyH0
日高「変わった? 私が?」

宮尾「ゲームを始めただけじゃない」

日高「……」

宮尾「いろいろなことへ興味を持つようになったんじゃないか?」

日高「うーん……」

宮尾「……」

日高「自分じゃよく分からないけど……」

宮尾「もしかすると、誰かさんの影響がいい面で表れてるのかもな」チラ

ハルオ「何で俺を見んだよ。あと“誰かさん”って誰だよ」

日高(……)

日高(……そうかもしれない)

日高(私、昔に比べると少し変わったかもしれない)

日高(昔は、ほかにやることがないから、勉強ばかりしてた……)

日高(あの頃に比べて、いろいろなことへ少し興味を持つようになったかもしれない)

日高(そうなったのはやっぱり、矢口くんの影響なのかな……)
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:35:21.95 ID:oBHl5UyH0
真「Aブロックの3番」

宮尾「Aブロック……ここはDだからもう少し向こうですね」

ハルオ「ますますスゲェな。全席、番号で指定か」

真「全席じゃないよ。ある生徒たちの保護者だけに割り当てられるの」

日高「こういう席ってお相撲の中継で見たことあります」

宮尾「桝席だな。この場合は目の前が運動場で、間近で観戦できる」

真「大相撲の席に比べるとかなり広いけどね。一家がそろってお昼御飯を食べられるくらい広い」

ハルオ「ほかの保護者はその後ろの、階段状の席か」

真「どんな理由で我が家へこういう、いい席が割り振られてるか知らないけど…」

ハルオ「……」

真「学校への寄付金額が影響してる、ってのは聞いたことがある」

宮尾「授業料は当然、全生徒が同じ。でも、ほかの収めてるお金で様々な違いがつけられるわけですか」

ハルオ「ふーん……」

宮尾「ここからAブロック。3番はあそこです」

日高「あれ? 誰かほかの人がもう座ってる」

ハルオ「いや、あれは…」

ハルオ(あの後ろ姿は…)

ハルオ「大野!?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:36:49.15 ID:oBHl5UyH0
真「何よ晶、もう開会式が始まる時間じゃない。こんな所にいていいの?」

晶「…」コク

日高「えーと……お、おはよう、大野さん」

宮尾「大野さん、おはよう」

晶「…」コク

ハルオ「よう大野」

晶「…」

真「さ、みんな座って」

宮尾「……」

宮尾(いきなり“この3人”がそろう状況か……)

宮尾(今日は俺が気を使う必要なんてないと思ってたのに……)

日高「……」

日高(うぅ……間がもたない)

日高(何か話題……何かないかな)

日高(あ……そうだ!)

日高「お、大野さん…」

晶「…」

日高「その上蘭のジャージ……すごく可愛いね」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:38:31.33 ID:oBHl5UyH0
真「ああ、晶が着てるその体操服ね。評判いいみたいね」

日高「はい。この高校のは一流スポーツ用品メーカーが作ってるって話、聞きました」

真「デザインも実用性も優秀らしいわね。着てる方はそんなの分かんないけど」

日高「私の高校もこんな可愛いのだったらなぁ……」

晶「…」

真「小春ちゃんの学校は制服がいいセンスしてるじゃん」

日高「制服はまあまあなんですけど、体操服が全然……」

ハルオ「宮尾、日高たちは一体何を喋ってるんだ?」ボソ

宮尾「ファッション談義。いわゆる女同士の話ってやつだ。俺らは黙ってようぜ」ボソ

ハルオ(ファッション……服か)

ハルオ(体操服の、大野……)

ハルオ(そういえば、こいつのこういう格好を見るのはいつ以来だ?)

ハルオ(確か小学校で同じクラスだった時……いや、中3の修学旅行があったな)

ハルオ(……小学校で同じクラス、か)

ハルオ(あれから何年も経つんだな……)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:41:00.51 ID:oBHl5UyH0
真「おい、何見てんだ小僧」

ハルオ「ん?」

真「体操服の晶を舐め回すように見やがって。姉としては看過できないわね」

ハルオ「な、何言ってんだお姉さん。俺は別に…」

真「でも晶が長袖長ズボンのジャージ姿で、残念だったなぁ?」

ハルオ「何のことだよ」

真「露出の多い半袖短パン姿を見たかったんだろ? あぁ?」

晶「…」スック

日高「あ…大野さん」

晶「…」スタスタ

日高「立ち上がって、行っちゃった……」

真「ほれ、晶が逃げちまったぞ。アンタの野獣みたいな視線に耐えられなかったようね」

ハルオ「だから、俺は別に……ただ、あいつのああいう格好を見たのは久しぶりだな、って…」

真「おっ、ついに尻尾を出したな! 久しぶりに見て発育度合いをチェックしようとしてたんだろォ!?」

ハルオ「何だそりゃ、変態じゃねーんだから…」

真「オメーがまさにその変態だ! 発育した姿を目に焼き付けて、家へ帰った後ナニする気だった!?」

ハルオ「なな、何言ってんだよ! そんなことするわけ…」

真「うるさい黙れド変態! マセガキ! 糞童貞! シコリヌス三世!!」

ハルオ「何だよ、そのシコなんとかって……」

宮尾「なあ日高、世界史のローマ皇帝の名前みたいだが…」ボソ

日高「何…?」ボソ

宮尾「こんなの教科書に出て来たっけか?」ボソ

日高「知らないよそんなこと///」ボソ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:43:06.72 ID:oBHl5UyH0
『理事長、ありがとうございました! 理事長の開会宣言に続いて、校長先生からの御挨拶です!』


日高「司会の人、何だかプロみたい。ここの先生とかじゃないんじゃないかな」

宮尾「声がプロだよな。普通の人だとあんな声は出せない」

真「だってプロだもん」

ハルオ「マジで!?」

宮尾「ああ、思い出しました。どこかで聞いた喋り方や声だな、って思ってたんですが…」

日高「私も。あの人、ラジオのアナウンサーだよね。人気番組のパーソナリティーやってる」

真「上蘭のOBなのよ。司会と実況を毎年やってくれてるの」

ハルオ「そうなのか……いろんなことのレベルがいちいち、そこらの高校と違い過ぎるぜ……」

真「……」

ハルオ「やっぱ、ここに落ちて良かった……」

真「アンタみたいなヌルいヤツは、こういう所で揉まれた方が良かったのにね」

宮尾「文武両道の校風。体育祭も気合いが入ってるって言ってましたが…」

真「学年ごとにクラス対抗で優勝を目指す。各種目にポイントがあって、その合計値を競う」

ハルオ「じゃあポイントの高い種目ほど、クラス同士でアツいバトルが展開されるってことか」

真「そのとおり。さあ、プログラムだと開会式が終わったら早速、晶が出るわよ」

日高「種目は…」

真「女子100メートル走。ポイントが高い種目の一つね」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:44:50.59 ID:oBHl5UyH0
『女子100メートル走の出場者を御紹介しましょう! まず第1のコース、A組、大野晶さん!』


真「……」

宮尾「あれ? お姉さん、静かですね」

日高「応援しないんですか?」

ハルオ「太鼓や笛や拡声器やチアホーンを持って来ると思ったけどな」

真「何それ。一人でそんなことしたらアホみたいじゃない」

ハルオ「普段を見てりゃ、そのアホみたいなことを当然しそうなのに」ボソ

真「おい、オメーはさっきから一言多いようだな。あぁ?」

宮尾「まあまあ。でもお姉さん、応援して盛り上げた方が…」

真「別にいいのよ。私よりもハルオくん、アンタが応援してあげなさいよ」

宮尾「ああそうだなハルオ、お前がここから大声で励ましてやれ」

ハルオ「俺が?」

宮尾「そうだ。大野さん喜ぶぞ」

ハルオ「そんな必要ねーだろ。もう結果は分かってるんだし」

真「ま、そのとおりよね」

宮尾「“もう結果は分かってる”?」

日高「どういうことですか?」


パーン


『今スタート! あっ…速い! A組の大野さん速い! ほかの人を完全に置き去り!』
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:46:44.28 ID:oBHl5UyH0
真「行けぇええ晶!!」

ハルオ「うらぁあああ!! カッ飛ばせ大野ぉぉおお!!」

真「10秒切れーっっ!!」

ハルオ「そのままブッチギリだぁぁあああ!!」


『大野さんが1着! 各クラスは遅れて次々とゴール……大野さんの、A組の圧勝!』


真「……まぁこんなもんでしょ」

ハルオ「……相変わらず期待を裏切らねぇヤツだ」

日高・宮尾「……」

真「……何? 小春ちゃん、宮尾君」

ハルオ「……人のことジロジロ見んじゃねーよ、お前ら」

宮尾「何だったんですか今のは?」

日高「二人とも、急に人が変わったみたいに……」

宮尾「もう結果は分かってる、って言ってましたけど」

日高「大野さん、走るのすごく速いんですね。二人ともそれを知ってたんですね」

宮尾「お姉さんが知ってるのはもちろん、ハルオは同じ小学校だったからな」

真「……姉が妹を応援するのは当たり前でしょ」

ハルオ「……バトルを見てアツくなって、どこが悪りぃんだよ」

日高・宮尾(要するに実は騒ぎたいんだな、この二人は……)
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:49:57.28 ID:oBHl5UyH0
宮尾「あ、また大野さんが来た」

真「晶、おつかれー。まぁ楽勝だったわね」

晶「…」コク

ハルオ「何だお前。さっきは朝イチからここにいたし、クラスの席にいなくていいのかよ」

晶「…」

真「ほれ小僧、晶が半袖姿になったぞ? 下はジャージのままだけど」

ハルオ「だから、何言ってんだよ……」

真「晶が走る時のスタイルだ。さっきみたいにねっとり見ねーのか?」

ハルオ「ていうか、逆に煽ってんだろ……」

宮尾「大野さん、お疲れ様。すごい走りだったね」

日高「私もびっくりしちゃった。大野さんって勉強はもちろん、運動だって何でもすごいんだね」

晶「…」

日高「ゲームも、ものすごく強…あっ!?」

真「どうしたの小春ちゃん? 口を押さえたり、周りをキョロキョロしたり」

日高「あ、いえ、ここでは、その…」

真「ははは、気を使わせて悪いわね。大丈夫よ、誰も聞いてる人なんていないから」

日高「……」

真「まぁ確かに、上蘭でゲーセンへ行ったことのある生徒なんて、晶以外ほとんどいないと思うけど」

宮尾「ゲームやゲーセンのことくらい、いくら喋っても問題無しですか」

ハルオ「さっきお姉さんが俺へいくら怒鳴りまくっても、周りは全然気にしてなかったしな」

真「コイツの言うことはどうでもいいとして、晶が来たことだし…」

日高「何ですか?」

真「ちょっと早いけどおやつタイムにしようか」ガサ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:51:36.40 ID:oBHl5UyH0
ハルオ「えっ。そんな物があるんか」

宮尾「お姉さんがずっと持ってた大きめの紙袋。何だろうと思ってましたが……」

真「ただのおやつよ。ほら、サンドイッチとジュース。フルーツもあるわよ」

日高「わぁ…!!」

ハルオ「どうした日高?」

日高「すっごく綺麗! こんなにおいしそうなサンドイッチ、初めて見ました!」

宮尾「何だかいきなりテンションが上がったな」

日高「盛り付け方がとっても素敵!」

ハルオ「まぁ、女は食い気より食い気っていうからな」

宮尾「同じじゃん」

日高「お姉さん、食べていいですか!?」

真「どーぞどーぞ。どんどん食べて」

日高「いただきます!」

宮尾「いただきます」

ハルオ「じゃ俺も頂くとするか。いただきます」

日高「…!!」

ハルオ「ん? また日高…」

宮尾「今度は何だ?」

日高「すっごくおいしい! これがサンドイッチ!?」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/16(金) 16:53:44.82 ID:oBHl5UyH0
ハルオ「見りゃ分かるべ。んで、自分が今食ってるべ」

日高「どうしてこんなにおいしいの!? お姉さん、どうして!? どうしてですか!?」

真「いや、私へ訊かれても…」

日高「だって、入ってるのはハムとレタスとチーズだけ…!」

真「……」

日高「それが普通にパンで挟んであるだけなのに…!!」

ハルオ「まぁ確かにうめぇな。コンビニとかのより超うめぇ」

日高「どうして!? これ食べたらもうお店のなんて買えない!!」

真「どうしてって言われてもねぇ……私の家はずっとこれだし。逆に、この味以外知らない」

宮尾「……それは、こういうことだな」
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