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艦娘サンダーボルト DECEMBER SEA
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202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/06(水) 22:57:52.50 ID:fYwxjPgO0
今回はここまで。
200レス突破しました。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 19:49:07.57 ID:sZvlpJCw0
電 「雷ちゃん、ソナーから敵の反応が消えたのです……。電達は遂に戦艦水鬼を倒したのです……」
電 「電は戦艦水鬼を沈めたかったけど、暁ちゃんと響ちゃんの無念を晴らしたかったけど……」
電 「それを雷ちゃんの命と引き換えにしてまで手に入れるつもりは無かったのです!」
電 「だから……お願い……目を開けて……」
雷 「で……ん……」
電 「雷ちゃん!?」
雷 「てき……は……」
電 「やっつけたのです」
雷 「そう……」
雷 「電……あんたは無事……?」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 19:59:00.06 ID:sZvlpJCw0
電 「電は大丈夫なのです」
電 (雷ちゃん、こんな時まで自分のことより電の心配を……)
電 「任務達成したから帰投するのです。帰ったら明石さんに修理して貰って――」
雷 「電……」
電 「ん?」
雷 「笑いたい……心から……」
雷 「」
電 (雷ちゃん……)
電 (少しの間お別れなのです。電もすぐ逝くのです)
電 (向こうでは神様だって、きっと電達を元の身体に戻してくれるのです)
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 20:08:45.07 ID:sZvlpJCw0
赤城 「雷ちゃん、電ちゃん、聞こえてるなら応答して!」
赤城 「これ以上は退路を確保出来ない!」
電 (赤城さんからの通信……)
電 「赤城さん」
赤城 「良かった、状況は?」
電 「作戦は成功したのです。戦艦水鬼も沈めたのです」
赤城 「凄いじゃない! よく頑張ったわ……貴女達が今日のMVP間違い無しよ」
赤城 「もう十分よ、こちらに合流しなさい」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 20:18:14.34 ID:sZvlpJCw0
電 「赤城さん、電はもう合流出来ないのです」
赤城 「敵の増援に包囲されたの? 援護します」
電 「たとえ援護して貰っても長くは動けないのです」
赤城 「雷ちゃん、電ちゃんを説得……」
赤城 (さっきから雷ちゃんが一言も話してない。まさか!)
電 「雷ちゃんはもう死んだのです」
電 「雷電の艤装は二人で動かすことが前提だから、電一人ではまともな速力も出ないし回避も出来ないのです」
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 20:27:05.64 ID:sZvlpJCw0
赤城 「落ち着いて、諦めないで」
電 「電は冷静なのです」
電 「この戦いで深海棲艦を全滅させた訳ではありません。鎮守府を守り抜く為に、生還可能な艦は帰投すべきです」
電 「赤城さんが電に付き合うことは無いのです」
赤城 「私にあなたを見捨てろというの?」
加賀 「赤城さん、電の言っていることは正しいわ」
赤城 「加賀さん!?」
加賀 「私と清霜が電の救出に向かっています。赤城さんは帰投して下さい」
赤城 「たった2隻で!?」
加賀 「比叡さんが旗艦の友軍も間もなく到着します。戦力的に問題ありません」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 20:46:26.35 ID:sZvlpJCw0
赤城 「加賀さん、今どこに居るの?」
加賀 「電の作戦ポイントまであと20分の地点です」
赤城 「電ちゃん、それまで頑張れる?」
電 「……頑張るのです」
加賀 「これ以上は通信を傍受される恐れがあります。通信を切ります」
赤城 「待って!」
赤城 (『言っていることは正しい』……か)
赤城 (大破寸前のこの身体では助けにいっても私の方が足手まといになりかねない)
赤城 (……)
赤城 (ごめんなさい)
赤城 「分かりました。一航戦赤城、単艦にて現海域を離脱、鎮守府に帰投します」
電 (20分……)
電 (雷ちゃんが生きてたら悪あがきしたけど、もう……)
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/10(日) 20:47:46.04 ID:sZvlpJCw0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 20:18:00.05 ID:eRUuK09M0
天龍 「とても20分じゃ着かねえだろ……」
加賀 「正直に話せば電は生還を諦めたでしょう。嘘も方便です」
加賀 「時間が無いので私達はもう行きます。清霜」
清霜 「はい」
天龍 「ではもう一仕事しますか」
加賀 「何を言っているのですか? あなたは帰投でしょう」
天龍 「電が頑張ってるのにこのまま帰れるかよ」
加賀 「大破した艦を護衛しながら――」
天龍 「自分の身は自分で守る」
加賀 「今のあなたは足手まといと言っているのです」
天龍 「提督といい、加賀といい、俺を馬鹿にしやがって!」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 20:31:11.78 ID:eRUuK09M0
武蔵 「もう止せ」
天龍 「!?」
武蔵 「我達は帰投、入渠する。加賀、清霜、後を頼む」
武蔵 「だな、秘書艦」
長門 「ああ」
天龍 「何でだよ……」
武蔵 「今の損耗した我等では被害担当艦の役割も碌に果たせぬだろう。そもそも長門や私では空母や駆逐の足に追い付けない」
天龍 「俺は追い付ける!」
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 20:45:59.74 ID:eRUuK09M0
武蔵 「もう少し味方を信用しろ。一航戦の加賀と、ここの鎮守府の最高練度清霜が救援に向かうと言っている」
武蔵 「清霜はこの武蔵が鍛えた。それでも信用出来ないか?」
天龍 「それは……」
長門 「天龍」
長門 「電が帰って来た時にお前がいないと電が悲しむ」
長門 「電に十字架を背負わせたくなければ自重しろ」
長門 「帰るぞ」
天龍 「……仕方ねぇなぁ、一緒に帰ってやるよ。仕方ねぇな!」
長門 (電、頼む。お前も帰って来てくれ)
長門 (私はお前に謝りたい)
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 20:51:09.04 ID:eRUuK09M0
電 (雷ちゃんはよく頑張ったのです)
電 (向こうでは暁ちゃんと響ちゃんも居るからきっと寂しくないのです)
電 (……あの世で4人一緒になって、また一緒に歌うのです)
電 (でもその前に……)
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 20:54:55.96 ID:eRUuK09M0
電 (一隻でも多く、深海棲艦を道連れにする!)
潜水ソ級 「コノテキ バクライヲ トウカ スルノカ!?」
電 (六駆を全滅させた仕返しなのです!)
戦艦タ級 「ジンケイヲ イジシロ!」
電 (それが六駆で最後に沈む電の役目!)
重巡リ級 「テキハ アトスコシデ シズム」
電 「姉妹を皆殺しにされた電の苦しみを思い知るのです!」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 21:06:29.68 ID:eRUuK09M0
電 「暁の水平線の向こうに勝――」
北方棲鬼 「マッテ!」
北方棲鬼 「モウ、ヤメヨウ。アナタ イッパイ キズツイテル」
電 「……止めないのです」
電 「……電は機械の手足になってたから、義手を艤装に差し込んで使うようになってたから……」
電 「目の前で死んでゆく雷ちゃんを抱きしめることすら出来なかった!」
北方棲鬼 「ソレハ ホッポモ オナジダヨ。ソノクルシミハ ホッポモ ジュウブンニ ウケタヨ」
北方棲鬼 「アナタハ ホッポト オナジ、ホラ」
キュ、キュ、キュ、カポッ
電 (外した!? あの手、手袋やグローブじゃなくて義手なの!?)
港湾水鬼 「……」
グググ……カポッ
電 (鉤爪のある手が外れた!? ……外したあとの手の先が電と同じなのです)
空母ヲ級 「ヲッ」
スポッ!
電 (ヲ級の頭のクラゲみたいな部分が取れた!)
北方棲鬼 「ヲ級flagハ アナタガ シズメタ。 ソレデモ ヲ級ハ アナタヲ ナカマトシテ ウケイレルト イッテル」
電 (まさかサイコ艤装の技術って……)
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/17(日) 21:11:09.52 ID:eRUuK09M0
今回はここまで。
今月中の完結を目指します。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 18:45:18.51 ID:4XQS4R7z0
天龍 「フウーッ……ここの鎮守府はドックが6つあって助かったぜ」
吹雪 「前の司令官がドックを拡張させたんです。……惜しい人を亡くしました」
天龍 「早く治んねえかなぁ。電が帰って来る前にドックを空けねえと」
伊58 「先に入渠してるゴーヤが最初に治るでち。その心配は無用でち」
島風 「あれ? 長門さんも帰投されたんですよね」
武蔵 「長門は明石に捕まってる」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 18:51:35.49 ID:4XQS4R7z0
明石 「長門さんもご覧になったと思いますが、清霜ちゃんを元の身体に戻しました」
長門 「ああ、正直ホッとした」
明石 「電ちゃんもこれで元に戻れます。元に戻す方法はこちらの資料にまとめました」
長門 「何故私に渡す?」
明石 「私が非番の時に『明石が居ないから元に戻せない』何てことにならない様にです。やり方は工作艦でなくても出来ます」
長門 「資料の内容が難しくないことを祈ろう」
明石 「大丈夫ですって」
明石 「……」
長門 「どうした、明石?」
明石 「長門さん……私達艦娘って何なんでしょうね」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 18:58:02.33 ID:4XQS4R7z0
明石 「私達は、いえ私は……」
明石 「艦娘を人間に近しい存在と考え、そのことに疑問すら持ちませんでした」
明石 「それはかつてこの鎮守府に赴任した原提督が私達に対し、人に接するのと同様に接したからです」
明石 「いえ、人同士でもここまでの信頼関係は簡単に築けなかったでしょう」
明石 「提督自身は早朝から深夜まで働き詰めでしたが、私達には出来る限り無理をさせませんでした。私達を気遣い、フレンドリーに接しつつも公私をわきまえ、戦果を挙げれば感謝の言葉をかけてくれました。時には自腹でプレゼントを用意してくれました」
明石 「日々の演習内容や実戦において立案する作戦からは、提督が私達の誰一人沈めないように務めていることが伺えました。そして私達もまた提督を信じて任務を全うしてきました」
明石 「容姿では大分見劣りするのに、今の提督より余程艦娘達に慕われていました」
明石 「今の提督になって分かりました。中には艦娘を兵器としか思っていない人間だっていると」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 19:05:36.10 ID:4XQS4R7z0
長門 「真実を知った後はお前だって前の提督を嫌悪していたのではないか?」
長門 「前の提督が言ってたぞ。明石が急に余所余所しくなったと」
明石 「私が原提督を避けていたのは長門さんの話を聞いてから提督を見るのが辛かったからです」
明石 「尊敬出来る方なのに、艦娘にとっては忌み子とも言える存在……」
明石 「しかし、あの人自身に罪は無かった筈です!」
長門 「あいつは産まれて来たこと自体が罪だ! この世界に存在してはいけなかった!」
長門 「産んだ私自身が断言する」
明石 「それでは今の提督と同じじゃないですか」
長門 「何?」
明石 「出自だけで原提督を排除した私達は、艦娘というだけで私達を兵器扱いした今の提督と何ら変わりありません」
明石 「違いますか、長門さん?」
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 19:11:06.84 ID:4XQS4R7z0
長門 「明石は原益三を葬ったことを後悔しているのか?」
明石 「クロスオーク計画の再開を阻止する、それ自体は崇高な使命です」
明石 「ただ、事情を話して原提督を仲間に――」
長門 「オークの血を引くケダモノと手を組めというのか?」
明石 「何も知らない原提督に対して私達はあまりに惨いことをしました」
明石 「かつて陸奥さんが沈んだことをあれだけ悔やんでいた原提督が、陸奥さんの砲撃で殺されたのですよ」
明石 「オーキシジェンデストロイヤー搭載弾頭で生きたまま身体を溶かされながら」
長門 「済まなかったな、明石」
長門 「明石がそんな風に考えていたとは気付かなかった」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 19:18:14.21 ID:4XQS4R7z0
明石 「長門さん?」
長門 「嫌なことに巻き込んでしまった」
明石 「長門さん、私は決して――」
長門 「勝手な依頼ばかりして、対オーク兵器『オーキシジェンデストロイヤー』まで開発して貰って」
長門 「事が露呈したら解体処分どころでは済まない程の危ない橋を渡らせてしまった」
長門 「それどころかサイコ艤装の設計図を明石に見せたことで、結果明石に辛い思いをさせた」
長門 「明石でなくても後悔する」
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 19:24:58.89 ID:4XQS4R7z0
明石 「長門さん、私怒りますよ」
明石 「オーキシジェンデストロイヤーにしても、サイコ艤装にしても、私は長門さんから話を打ち明けられた時、工作艦として出来ることをしたいと思ったんです」
明石 「陸奥さんが沈んだのも、六駆が電ちゃんだけになったことも、私の力が及ばなかったから。そのことは悔やんでも悔やみきれません。清霜ちゃんの手足を切った後も涙が止まりませんでした」
明石 「それでも、長門さんの話を聞いて行動を起こした……」
明石 「そのこと自体に対して後悔はありません! これは私に対する侮辱です」
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/21(木) 19:26:15.57 ID:4XQS4R7z0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/22(金) 22:32:10.14 ID:lNFiz4cP0
明石 (あの後長門さんは『頭を冷やしてくる』と言って入渠に行って、結局大事な話が出来なかった)
明石 (打ち明けたら長門さんは止めようとするか、あるいは……)
明石 (長門さん、もしかしたらさっきのがあなたとの最後の会話になるかもしれません)
明石 (ただ、サイコ艤装に対する私なりの決着はつけるつもりです)
明石 (清霜ちゃんのおかげで、サイコ艤装艦娘を元に戻す方法は確立した。大分荒っぽいけど工作艦の私が居なくても可能な方法で。後は電ちゃんが生還してくれるのを祈りましょう)
提督 「明石、そこに居たか」
明石 「提督」
提督 「『提督』じゃねえよ。誰が清霜の身体を元に戻せと言った?」
明石 「サイコ艤装は雷ちゃんと電ちゃんが装備して出撃中です。清霜ちゃんを出撃させる為には、彼女を通常の艤装が使える状態に戻す必要がありました」
提督 「だとしても俺に相談くらいしろ」
明石 「はい。ところで早速ご相談なのですが……」
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/22(金) 22:45:14.59 ID:lNFiz4cP0
天龍 「連れて帰って来るんじゃなかったのかよ!」
赤城 「……」
加賀 「……ごめんなさい」
天龍 「頼む……連れて帰って来たと言ってくれ……ウウウ……」
長門 (電、帰って来れなかったのか……)
長門 (入渠を終えてドックから出て来たらいきなり突きつけられた現実)
長門 (第六駆逐隊は全滅したのだ)
天龍 「……」
ツカツカツカツカ
長門 (天龍の奴、明石のところに行く気か!?)
長門 「天龍? ……天龍、どこへ行く?」
天龍 「え?」
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/22(金) 22:52:29.64 ID:lNFiz4cP0
長門 「落ち着け、明石だって好き好んでしたことではない。任務だったんだ」
天龍 「はぁ?」
長門 「お前が六駆を大事に思ってきたのは分かる。しかし明石に怒りをぶつけるのは間違っている」
天龍 「何言ってんだよ?」
吹雪 「長門さん、ひょっとしてご存知ないのですか?」
長門 「何をだ?」
天龍 「……ああ、そういうことか」
天龍 「安心しな。俺はしばらく独りになりたかっただけだ。そもそもただの人間相手にケンカなんてしねえよ」
長門 (ただの人間?)
吹雪 「実は長門さんの入渠中に……」
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/22(金) 23:02:06.36 ID:lNFiz4cP0
ベッドの上で私は目を覚ました。
誰かが私の顔を覗き込んでいた。
天井の照明が逆光になって顔はよく分からなかったが、頭から角が伸びていた。まるで鬼のようだった。
その直後、私は息を呑んだ。一つは鬼が女性だったこと。それは長い黒髪と声色で分かった。そしてもう一つは鬼が泣いていたこと。鬼は私の手を取り、涙声で「済まない明石、許してくれ」と言った。
明石って……誰?
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/22(金) 23:10:40.99 ID:lNFiz4cP0
提督 「長門、相変わらず長風呂だったな。それはさておき朗報だ」
提督 「俺達は鎮守府を守り抜いたぞ。敵は撤退した。これで取り敢えずは一安心だ」
提督 「一時はどうなることかと思ったがこれで俺の首も――」
長門 「提督、聞きたいことがある」
提督 「何だ?」
長門 「何故明石を解体した?」
提督 「それで執務室に飛び込んで来たのか。明石にはサイコ艤装の研究開発に失敗した責任を取らせた」
長門 「その為に……」
長門 「だったら私を解体すべきだ! サイコ艤装の運用を提案したのは私だ」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/22(金) 23:13:15.43 ID:lNFiz4cP0
今回はここまで。
そろそろラストが見えて来ました。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:27:30.85 ID:JzocI3J20
@提督 「流石に2名も解体するのはな」
長門 「私一人解体すれば良かったろうに」
提督 「お前は栄えあるビッグセブンだ。解体すれば上から睨まれる。それに戦力の問題もある」
提督 「ただでさえ金剛が沈み、第六駆逐隊が全滅した今、これ以上の戦力の喪失は避けねばならん」
長門 「だから工作艦の明石を解体し、戦艦の私を残した」
提督 「そうだ。残してやったことを感謝しろよ」
長門 「違うな」
提督 「何?」
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:30:29.13 ID:JzocI3J20
失礼。
書き溜め時に入れた通し番号の"@"が入ってしまった。
上げ直します。
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:31:06.99 ID:JzocI3J20
提督 「流石に2名も解体するのはな」
長門 「私一人解体すれば良かったろうに」
提督 「お前は栄えあるビッグセブンだ。解体すれば上から睨まれる。それに戦力の問題もある」
提督 「ただでさえ金剛が沈み、第六駆逐隊が全滅した今、これ以上の戦力の喪失は避けねばならん」
長門 「だから工作艦の明石を解体し、戦艦の私を残した」
提督 「そうだ。残してやったことを感謝しろよ」
長門 「違うな」
提督 「何?」
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:38:34.49 ID:JzocI3J20
長門 「サイコ艤装の研究開発は大本営に報告を上げていない。報告書をまとめようとした時に深海棲艦の大侵攻を受けたからだ。だから大本営はサイコ艤装のことを知らない」
長門 「つまり提督の言うサイコ艤装の失敗に対する引責とは、大本営への示しなどではない。では何故明石を解体した?」
長門 「他の艦娘達、特にサイコ艤装運用艦となった第六駆逐隊と清霜への示しか? それともサイコ艤装が期待外れだったことに対して、提督は個人的に明石を恨んだのか?」
提督 「随分と俺に対して失礼な物言いだな」
提督 「確かにサイコ艤装の研究開発で資材は大分溶けたが、明石を解体したところで元は取れんし、俺の気分も晴れん」
長門 「ならば目的はサイコ艤装の封印か?」
長門 「艦娘は解体されると、艦娘としての能力とそれまでの記憶を失い只の人間になる」
提督 「副産物として資材を出してな」
長門 「サイコ艤装の設計図は工作艦の明石しか内容を理解出来ない。つまり明石さえ解体すればサイコ艤装の技術を封印出来る」
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:45:58.49 ID:JzocI3J20
提督 「それがご名答か否かをいちいちお前に明かす義務が俺にあるか?」
長門 「義務はない。だが私は真実を知りたい」
提督 「長門よぉ、お前達艦娘を増やす、もしくは性能を向上させるのに、人間様はそれはそれは苦労してきたんだ」
長門 「それは知っているつもりだ」
提督 「そうだったな。お前は知ってるよな」
長門 「どういう意味だ?」
長門 (何なのだ、この提督の下卑た笑みは?)
提督 「オークにチ○ポ突っ込まれた挙げ句失敗作ばかり産み落としてたお前ならなぁ!」
長門 「!?」
長門 「……」
長門 「貴様アッ!」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:51:32.30 ID:JzocI3J20
提督 「止め……苦し……」
長門 「死にたくなければ、全部話せ……」
提督 「話……す……」
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 22:54:32.56 ID:JzocI3J20
提督 「ゲホゲホッ! ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
提督 「締め殺されるかと思った……」
長門 「話して貰うぞ」
提督 「明石を解体した理由か?」
長門 「その前に聞きたいことがある」
長門 「私の過去をどうやって知った?」
提督 「大本営の極秘資料を無許可で覗いた。提督の俺でも本来閲覧が許されないレベルの機密だ。将官でも知っている者は殆ど居るまい。おそらくここの前任者の原も知らなかったろう」
提督 「軍の暗部そのものだからな」
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 23:08:54.59 ID:JzocI3J20
長門 「『無許可で覗いた』だと? 何故そんなマネをした?」
提督 「お前もよく知る男のせいだ」
提督 「原益三、俺はあいつが大嫌いだったんだよ」
提督 「原は士官学校の同期で、俺は常にあいつの後塵を拝していた。俺だってこの年で提督になったから出世は早いが、それでもあいつが妬ましかった。ブサイクの癖に優秀で上からも下からも好かれ、実際俺の同期で初めて鎮守府提督になったのは原だった」
提督 「だから原がくたばったと聞いた時は内心『ざまぁ』って思ったもんよ」
提督 「それから俺は原の後釜でここに着任した。上からは『志半ばにして英霊となった原の遺志を継ぐ者として、同期の君を抜擢した』と言われた。初めて提督になれたのは原のおかげかと思うと心中複雑でな」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 23:16:01.66 ID:JzocI3J20
提督 「それでもって鎮守府に着任したら、お前達艦娘共から聞こえるのは原の死を惜しむ声ばかりだ。死んだあいつのせいで今だに劣等感に苛まされるのかと思うと情けなかった。だからお前達には辛く当たった」
提督 「見返してやりたい相手はとっくに海の底に沈んでいて、奴に俺の姿を見せて悔しい思いをさせることは出来ない」
提督 「原の生い立ちを知りたくなった。容姿以外であいつを見下せるものを見つけたかった。そしたら『クロスオーク』計画に辿り着いたんだよ。愕然としたぜ。笑っちまうよな」
提督 「俺は豚と艦娘の血が入ったバケモノに嫉妬してたのかってな!」
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/26(火) 23:18:29.61 ID:JzocI3J20
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
あと2回、3/28(木)夜と3/29(金)夜の投下で完結の予定です。
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/28(木) 23:55:00.26 ID:R59cxf/50
提督 「これで分かったろう。何故俺がお前を厚遇していたか、秘書艦として傍に置いたか」
提督 「お前はここの艦娘で唯一、原の死を悲しんでないように見えた」
提督 「母親なのにな」
長門 「あの男を我が子だと思ったことはない」
長門 「次の質問だ」
提督 「明石を解体した理由だな。いいだろう、話してやる」
提督 「結論から言うと人類を守る為だ」
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 00:03:02.63 ID:LIXiSMwA0
長門 (人類を……守る?)
提督 「長門の言う通り、明石の解体はサイコ艤装開発技術の封印が目的だ。それが人類を守ることになる理由だが……」
提督 「明石の奴、とんでもないこと抜かしやがった」
提督 「理論上はサイコ艤装の技術が人間にも転用出来るんだってよ!」
長門 「!?」
提督 「人間には艤装が扱えんが、なら人間に艤装を扱う適性がゼロかというとそういう訳では無い」
提督 「人間にも艤装を扱う為の適性が多少なりともあることはこれまでの研究で明らかになっている。ただ、問題が2つあった」
提督 「一つは人間と艤装を接続させる技術が無かったこと」
提督 「そしてもう一つは、仮に接続させたところで人間の適性では起動に必要な最低限のラインに届かないこと」
提督 「だがな、サイコ艤装でこの両方がいっぺんに解決するんだよ!」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 00:20:41.75 ID:LIXiSMwA0
提督 「特筆すべきは適性の問題だ」
提督 「清霜一人では継戦時間が短かった超大和型サイコ艤装を、雷と電の二人を接続させることで長時間の作戦行動が可能となった。適性の低さは人数でカバー可能という訳だ」
提督 「明石が言うには、これが艦娘でなくて人間でも可能なんだとよ。一つの艤装に何人もの人間を接続すれば人間でも艤装を扱える。これの意味は大きいぞ」
提督 「深海棲艦が厄介なのは、通常兵器が通用せず、艦娘の艤装しか有効な兵器が存在しないからだ」
提督 「そして艤装を扱える唯一の存在である艦娘の増産が容易ではないことが、人類と深海棲艦との戦いを膠着状態にしている」
提督 「だがサイコ艤装の技術を人間に使えば、人類は文字通り人海戦術で深海棲艦を滅ぼせる」
提督 「深海棲艦との戦いで多少数が減ったとはいえ人間なんて何十億人も居るからな」
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 00:29:11.73 ID:LIXiSMwA0
長門 「サイコ艤装で人類は深海棲艦に勝てる。ならばその技術を封印する理由は何だ?」
提督 「問題は深海棲艦に勝った後よ」
提督 「断言する」
提督 「深海棲艦を滅ぼしたら、人類は人同士の戦争やテロでサイコ艤装を使う!」
提督 「自爆テロよりマシだとサイコ艤装を装備する人間」
提督 「拐われたり家族や恋人を人質に取られたりしてサイコ艤装を強制的に付けられる人間」
提督 「手足を切り落とされて艤装の部品にさせられた人間が殺し合う。そんな狂った世界が今後の人類の歴史でそれこそ文明が滅ぶまで続く」
提督 「アインシュタインの言葉にあるだろ。第三次世界大戦後の後、人は石と棍棒で戦うようになるって。少なくともそうなるまではサイコ艤装が人間同士の戦いで使われ続ける」
提督 「それならいっそ深海棲艦とパワーバランスが拮抗して一進一退してる今の方がマシだ」
提督 「俺はサイコ艤装の狂気から人類を守ったんだよ」
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 00:31:02.82 ID:LIXiSMwA0
今回はここまで。
次回、3/29夜の投下で遂に完結です。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 23:06:48.17 ID:ZokhzJ7G0
ラストをどうするか決めかねてます。
最終投下を明日正午に延期します。それまでにラストまで書き上げます。
申し訳ありません。
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:00:08.66 ID:5F3CVNws0
昨晩は失礼しました。
これより最終投下です。
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:08:04.41 ID:5F3CVNws0
長門 「人には優しいのだな」
提督 「人を護るのが仕事だからな」
長門 「その優しさの半分でも我々に向けてくれれば」
提督 「さっきも言った通り、お前達がいつまでも原のことを吹っ切れんからだ」
長門 「だからと言って、人間が手足を切り落とされるのには反対しても、艦娘が手足を切り落とされるのはいいのか?」
提督 「お前達は人ではない」
長門 「それでも意思や感情はある!」
提督 「それに人間は清霜みたいに元に戻らん。一度手足が無くなれば終わりだ」
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:16:40.35 ID:5F3CVNws0
長門 「今の歪んだ世界が続くか、サイコ艤装がもたらす狂った世界になるか、果たしてどちらにより救いがあるか判断が難しいが……」
長門 「提督なりに、人間目線でよりマシな方を選択したのは理解した」
長門 「だが明石を解体したことは償って貰う」
提督 「償い?」
長門 (サイコ艤装の情報は私が明石にもたらした。私が明石を巻き込んだ。それでも……)
長門 (提督、私はあなたを許さない)
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:25:39.82 ID:5F3CVNws0
提督 「お前の自己満足に何故俺が付き合わされる?」
提督 「そもそも明石だってホッとしていたぞ」
提督 「あいつは最後にこう言ったんだ。『これでもう仲間の手足を切り落とさずに済みます』ってな」
長門 「……他に明石は何と?」
提督 「『こんなことになる位ならもっと早く提督の命に背くべきでした。今更解体されても六駆や清霜に顔向け出来ない』とか言ってたっけな……」
提督 「……何だその顔は……。おい、何か言え」
提督 「知っていることは話した!」
提督 「落ち着け、長門」
提督 「反逆や抗命は重罪だぞ!」
長門 「問題無い」
長門 「私が提督を殺すのは今回が初めてではない」
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:33:52.91 ID:5F3CVNws0
清霜 「よし、今日の遠征も無事成功!」
天龍 「おうよ」
天龍 「先月の戦闘で危うく資材が尽きかねなかったからな。遠征も重要任務よ」
清霜 「うん。武蔵さんが言ってました。『資材を大量消費する大型艦が戦えるのは遠征部隊のおかげだ。戦艦たる者そのことへの感謝を忘れてはならない』って」
天龍 「姐御も嬉しいこと言ってくれるぜ」
天龍 「……」
清霜 「どうしたの、天龍さん?」
天龍 「……いや、お前といると、ついあいつ等のこと思い出しちまって」
清霜 (無理もないよ。第六駆逐隊が誰も居なくなってまだ一ヶ月だもん)
天龍 「六駆のチビ共も今の清霜みたいに元の姿に戻れてるのかなって」
清霜 「清霜が元に戻れたからきっと戻れてると思います」
清霜 「向こうの世界がこっちより理不尽とは思えないから」
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:41:26.53 ID:5F3CVNws0
客1 「ねえ……あのテーブル」
客2 「どうしたの?」
客1 「あのテーブルの女の人、綺麗じゃない?」
客2 「……本当だ。……何か似てるね、姉妹かな?」
客3 「美人姉妹か。羨ましいなあ」
客1 「うちらと大違いだわ」
客2 「お姉ちゃんひっどーい!」
客1と客3 「ハハハハハ!」
榛名 「榛名達、目立ち過ぎでしょうか?」
戦艦英棲姫 「こういう時は落ち着いている方が疑われないデス」
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:47:26.37 ID:5F3CVNws0
戦艦英棲姫 「そうデスカ、長門が……」
榛名 「はい、金剛お姉様が沈んだ後、榛名は比叡お姉様所属の鎮守府で入渠させて貰って、傷が癒えてから鎮守府に帰投しました。帰って来たら長門さんは査問にかけられて……今は榛名が秘書艦を務めてます」
榛名 「長門さんは無実を主張してます。提督は拳銃自殺されたと」
榛名 「榛名も、長門さんが提督を殺害するなんて思えません」
戦艦英棲姫 「長門を疑うつもりはないけど……」
戦艦英棲姫 「人も艦娘も軍規通り行動するとは限らないネ。榛名も今、憲兵に見つかったら秘書艦解任では済まないことしてるネ」
榛名 「榛名は金剛お姉様とお茶してるだけです」
戦艦英棲姫 「新しいテートクに見つかったら大変ネ」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 12:55:33.13 ID:5F3CVNws0
戦艦英棲姫 「そう……。鎮守府の状況は分かったネ。深海棲艦になったミーが言うのも何ですが、亡くなった方々は気の毒ネ、それに残された方も辛いネ」
榛名 「お姉様、榛名と一緒に来ませんか? 榛名は金剛お姉様と戦いたくありません。金剛お姉様の今については伏せていますが、比叡お姉様も霧島もきっと同じ思いです」
戦艦英棲姫 「それは出来ないネ」
榛名 「どうしてですか?」
戦艦英棲姫 「人や艦娘への愛を忘れない深海棲艦が一隻くらいはいないと悲し過ぎるネ」
戦艦英棲姫 「ミーは深海で同志を増やすネ。そうすれば、いつか深海棲艦と艦娘と人類は和解出来るネ」
榛名 「そこまで考えていたんですね。流石金剛お姉様です。ならば榛名は陸でお姉様の計画を手助けします」
戦艦英棲姫 「サンキュー榛名。でも表向きミーと榛名は敵同士を装うこと、オーケー?」
榛名 「はい!」
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 13:02:09.35 ID:5F3CVNws0
戦艦英棲姫 「そういえば新しいテートクはどんな感じの人?」
榛名 「初老のお優しい殿方です。これまで自分の指揮下の艦娘が沈むと、艦娘の霊を慰める為に植樹をされてきたそうです」
榛名 「お姉様の木も植えて下さったんですよ。『榛名に取っては慰めにもならないかもしれないが、君の姉さんへのせめてもの手向けだ』と言って下さったんです」
戦艦英棲姫 「今度のテートクはジェントルマンね、良かった」
戦艦英棲姫 「……」
榛名 「お姉様?」
戦艦英棲姫 「榛名、怒らないで聞いて欲しいネ」
榛名 「金剛お姉様のお言葉ならたとえ罵倒されても榛名は怒ったりしません」
榛名 「その時は落ち込むとは思いますが」
金剛 「一つ、頼みがあります」
榛名 「はい、お任せ下さい」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 13:09:38.20 ID:5F3CVNws0
客1 「なんか凄い音したよ」
客2 「さっきの音、ビンタだよね」
客3 「『お姉様』って言ってたから店出てった方が妹でしょ?」
客2 「仲良さげに話してたのにどうしたんだろ……?」
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 13:11:56.92 ID:5F3CVNws0
戦艦英棲姫 (まだほっぺたが痛い……)
戦艦英棲姫 (あんなに怒った榛名の顔を見たのは初めてかも)
戦艦英棲姫 (辛い役目を押し付けたのは分かってます。それでも榛名にしか頼めなかった)
戦艦英棲姫 (ミーもいつか他の深海棲艦のように人や艦娘を呪うのではないか、そう思うと……怖い)
戦艦英棲姫 (その時は榛名……)
戦艦英棲姫 (あなたがこの姉を沈めるのデス)
戦艦英棲姫 (その為にも強くなるのですよ、榛名)
戦艦英棲姫 (それともう一つ……)
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 13:20:52.55 ID:5F3CVNws0
店長 「お客様、お金をお持ちでないとはどういうことでしょうか?」
戦艦英棲姫 (榛名ァー! お金払わずにお店出たのですか!?)
戦艦英棲姫 (深海棲艦のミーが地上のお金持ってる訳ないでしょ!)
戦艦英棲姫 「皿洗いでも掃除でもしますのでどうか許して下さい」
店長 「そのサングラスは傷か何かを隠す為の物なのでしょうか? もしそうでないのなら謝罪する時位、顔を見せて頂きたいのです」
戦艦英棲姫 (グラサン外して赤い目を見られたら深海棲艦とバレる……)
戦艦英棲姫 「そうデス。顔に醜い傷があるのデス」
戦艦英棲姫 (深海棲艦とバレないように艤装も外してるし、一人二人相手ならともかく警察まで呼ばれたら……)
店長 「皿洗いや掃除以外で出来ることは?」
戦艦英棲姫 「ミーは紅茶を淹れるのが得意です!」
店長 「紅茶ねぇ……。うち喫茶店なんですよ。うちの紅茶そんなに不味かったですか?」
戦艦英棲姫 「そういう意味で言ったのではありません!」
戦艦英棲姫 (このままだとミーのハートが呪いに染まりそうです……)
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 13:36:18.39 ID:5F3CVNws0
長門 (陸奥は今どうしてるだろうか?)
長門 (証拠不十分で無罪にはなったものの、大本営の私に対する疑いが晴れたとは思えない)
長門 (立て続けに提督が死亡した鎮守府の秘書艦なのだから当然と言えば当然)
長門 (結局私はそれまで秘書艦を務めていた鎮守府を追われ、欧州戦線に回された)
長門 (陸奥の安否を確かめたいが今はそれも叶わない)
長門 (私達艦娘に親は居ない。子供でも産まない限り、肉親と呼べるのは姉妹のみ)
長門 (子供を産まされたことはあってもそれが肉親どころか憎しみの対象でしか無かった私にとって、陸奥だけが唯一の肉親なのだ)
長門 (そして姉にとって、妹が自分より先に沈むのは何より辛い)
長門 (陸奥、どうか無事でいてくれ)
長門 (そしていつかまた陸奥との再会が叶ったら妹に問いたい)
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 13:49:49.79 ID:5F3CVNws0
――陸奥、どうしてサイコ艤装の技術を私に委ねた?――
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 14:01:32.62 ID:5F3CVNws0
これにて完結。
最後まで読んで下さった皆さんありがとうございました。
タイトル通り12月に完結させる予定が遅れに遅れて年度末の完結……。
艦これとガンダムサンダーボルトは戦争の悲哀を強く感じさせる点において親和性があり、クロスさせると面白くなるのではと思って書き始めたのですが1 の力量不足でした。
そして前作で筆がサクサク進んだのは、広島、長崎の被害者の方々への思いが1を突き動かしていたからだと今作を書いている最中に気付きました。
動機付けや主題の絞り込み等、反省しつつ諸々次に活かします。
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/30(土) 15:41:40.69 ID:m1Zth7kdO
乙です。
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/03(水) 23:34:43.08 ID:8iSBykb70
先程HTML化依頼出しました。
>>262
最後まで読んで頂きありがとうございました。
陸奥が長門にサイコ艤装の技術を委ねた理由を明かさないまま話が終わるのは、いくら素人の創作物とはいえどうなのかと言われそうですが、投げっ放しではなく続編で明らかにするつもりです。ただそれは大分先のことになるかと思います。
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