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星空みゆき「とうおるるるる……るんるん♪」
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391 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 10:59:42.76 ID:eR3BStoPO
ジョーカー「ウルフルンさ〜ん、お疲れさまでしたァん♪ あなたのおかげでプリキュアのパワーを見定めることができましたよォン!」
ウルフルン「……ア、アガ」
ジョーカー「あなたにはこれからもっと働いてもらわないとッ! ここで再起不能になられては困りますよ〜」
ハッピー「あ、あなた誰!?」
ジョーカー「こーんにちわ〜ん♪ プリキュアのみなさーん。わたくしジョーカーと申します。……偉大なる皇帝ピエーロ様に仕えるモノです」
マーチ「皇帝ピエーロ……?」
サニー「なんや、いきなり出てきて偉そうやでッ!」
ジョーカー「まあまあそう角をたてないでぇん♪ 今日はほんの挨拶と言うことで、プリキュアのみなさん、またお会いしましょうね〜ん♪ ではラリホーッ!!」ヒュルルルン
ジョーカー「(プリキュアの力。そしてあの妖精……ミラクルジュエルのカギはどうやらあれが持ってるようですね〜。くく、面白くなってきました!)」ヒュルンッッ
ピース「あ、逃げちゃった!」
392 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 11:34:40.71 ID:eR3BStoPO
ビューティ「ジョーカー……いままでの人たちとはどこか違う。ドス黒いなにかを感じます」
ビューティ「そして……」クルゥリ
キャンディ「オニーチャンンンン!!」ダキィイッ
ポップ「キャ、キャンディ……放してほしいでござ……つ、つぶれ……」ぎゅううう
ビューティ「キャンディ(?)と、この方は一体……」
393 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 11:35:10.77 ID:eR3BStoPO
トニオ「さ、料理をつづけましょうか!」バァアーン
みゆき「ト、トニオさん、もう平気なんですか?」
やよい「あまり無理しちゃダメですよ〜……」
トニオ「トンでもない! 最後までみなさんを楽しませなければプロの名折れです。みなさん遠慮せずに堪能してくだサイ」
なお「そ、そこまで言うなら遠慮なくいただこうかなぁ」ジュルリ
あかね「なお、よだれよだれ」
れいか「それで、これが最後の料理ですか?」
トニオ「はい!心を込めて作らせてイタダキましタ! 『レモンピールのジェラート』デス」
394 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 11:35:49.43 ID:eR3BStoPO
【ドルチェ】
『レモンピールのジェラート』
【材料】
・レモンピール(アマルフィ産)
・リモンチェッロ(レモンのリキュール)
・牛乳 ・白砂糖
(賞味時期 溶けないうちに)
トニオの故郷、ナポリはアマルフィ海岸の伝統食品であるレモンピールとリモンチェッロを使ったアイスクリーム
トニオ「イタリアでレモンと言えばシチリアと言う人が多いですが、アマルフィのレモンも世界に誇るイタリアのレモンと言えます。
肉厚で甘さのあるこのレモンは菓子づくりにおいて最適なのです」
みゆき「わあ、おいしそ〜♪」
やよい「見た目もスゴくキレイッ!」
なお「トニオさん、パティシエもこなせるなんてスゴいな〜! それじゃ、いただきますッ!」カプッ
あかね「!!」
れいか「!?」
みゆき「────あっ」
395 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 11:36:19.95 ID:eR3BStoPO
その瞬間、みゆきたちの舌の上で『天国』が作られたッ!
それはまさに『メイド・イン・ヘブン』!!
みゆき「舌に広がるレモンの酸味と香りから、見たこともない景色が広がっていく……」
あかね「太陽がサンサンと降り注ぐ海岸沿いに、光をたっぷり浴びて育ったレモン畑が並んどるのがみえる……」
やよい「見たことも聞いたこともないのに、ハッキリと映る情景、イタリアのアマルフィ海岸の肥沃な土地が、脳裏に浮かんでくる!」
なお「そうか、これが……これが『天国』
……わたしたちがたどりつきたかった場所」
れいか「郷愁の想いが広がっては切なく溶けていく……。懐かしくも優しく、そして哀しい味です……」ホロリ
396 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 16:04:35.76 ID:WIHZrbcLO
トニオ「そうです。今日のコースのテーマは『郷愁』……誰しもの心にある故郷の想いを揺り動かす料理を作りました」
トニオ「日本にくるまでに行った修行の日々の合間に、時々思い出し、哀しくなることもありますが、わたしにとっては今でも大切な故郷です」
トニオ「『天国』とは『故郷』なのでは……わたしはソウ考えます。みなさんも自分の天国を大切にして、幸福を掴んでほしいデスネ」
みゆき「……」
…………
……
397 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 16:05:17.92 ID:WIHZrbcLO
トニオ「それではみなさん! 本日はお越しいただきありがとうゴザイマシタ!」
なお「いや、ほんと美味しかったです! 感動しました!
あなたはまるで『天使』のような料理人だッ!」
やよい「また食べたいくらい美味しかったです……!」
れいか「ええ、料理でここまで感動したのははじめてです。とてもよい時間を過ごしました」
みゆき「おみやげももらっちゃったし、今日はもうウルトラハッピーだよ〜!」ハッピー
みゆき「あかねちゃん、今日は呼んでくれてありがとね! じゃ、また明日ッ!」
あかね「おー、気をつけて帰りや〜」
トニオ「グラッツェ〜♪」
バイバーイ
デハ,マタアシタ……
あかね「……」
398 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 16:06:02.06 ID:WIHZrbcLO
トニオ「あかねお嬢さん、ドウカしましたか?」
あかね「いやな。なんてか……うちもまだまだやなァって思ってな」
あかね「トニオみたいに、いつか人を心から感動させて、幸せにできる料理人になれるかなあってな……」
あかね「ほんま、長い道のりやな……」
トニオ「……お嬢さん、今日、みなさんに渡したオミヤゲ。なんだと思いますか?」
あかね「へ? ……なんなん?」
トニオ「『ピッツァ・マルゲリータ』……イタリアでもっとも有名なピッツァです」
トニオ「その美味しさに惚れ込んだイタリアの王妃、マルゲリータ妃が自らの名をそのピッツァに与えた……。
そんな逸話があります」
あかね「ほえー……。そりゃまた大層やな」
399 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 16:06:50.53 ID:WIHZrbcLO
トニオ「あかねお嬢さんの『名前』も、いつか自分の料理に与える時が来る。そんな風になると良いでスネ」ニッコリ
あかね「……せやな。そーなるように、うちもたくさん頑張らんと!」
あかね「よし! 明日の仕込み始めるかっ。行くで〜トニオ!!」
トニオ「オ・カピートォ♪ 任せてくだサイ。
……ちなみにあかねお嬢さん」
あかね「なんやー?」
トニオ「明日は何曜日でしたか?」
あかね「『ドメニカ(日曜日)』」キリッ
400 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 16:07:18.34 ID:WIHZrbcLO
キャンディ「オニーチャン……ZZZ……」ギュウウウウ
ポップ「拙者……もしかして忘れ去られてるでござるか……?」ギュウウウウ
←TO BE CONTINUED……////
401 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2018/12/21(金) 16:08:08.39 ID:WIHZrbcLO
今日はここまでです
ぶっちゃけバオーをやりたかっただけ
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/21(金) 17:35:59.72 ID:79bvSTd6o
乙乙
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/21(金) 20:15:07.56 ID:REFA70Jg0
乙
笑うなという方が無理だこれは
404 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/01(火) 21:23:33.77 ID:MipiI2AvO
レモネード先輩……
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/22(火) 00:22:29.11 ID:Lxo5T8QSO
保守
406 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:11:40.98 ID:ABcTus3vO
皆さんお久しぶりです
本日投稿します。
ちょいとキツいシーンもあるけど『覚悟』すれば問題ないッ!!
407 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:13:04.12 ID:ABcTus3vO
とうおるるるるるるるるる……
もしもし? ボスですか? ……はい、わたしです、みゆきです
……はい、はい……デコルは順調に集まってるよ。うん、もうすぐ女王様も復活するって言ってた。うん……みんなのおかげだよ
え、今はデコルを集めることに専念……?よくわからないけど……ボスが言うなら間違いないよねッ!
任せてボス! わたし、がんばるから! だから……『みんなで幸福に』なろうね?
ガチャ
……
…………
408 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:13:50.89 ID:ABcTus3vO
……
…………
『みんなで幸福に』か……
みゆきよ……『誰かの幸福は誰かの不幸』という法則で出来ている……この世とはそういうものだ
皆が皆、幸福を掴むことなど……出来はしないのだ……
しかし……それでも幸福は……私たちにこそふさわしい……
物語の『主役』だけが幸福に至る……
『バッドエンド』など『悪役』のような末路はあってはならない……当然だ
私たち……だけが幸福を掴めるのだ……
409 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:14:51.73 ID:ABcTus3vO
バッドエンド王国
マジョリーナ「もうずいぶん人間どもからバッドエナジーをしぼりとったと思うけど、ピエーロ様はいつ復活するんだわさ?」
アカオーニ「しらねーオニ、ピエーロ様の様子は全部『アイツ』が知ってるオニ。アイツに聞けばいいんじゃあねーかオニ?」
マジョリーナ「ケェーッ! あたしがアイツを嫌いなのを知ってて言ってるのかい?」
アカオーニ「ふん! アイツを好きな奴なんてそもそもいるわけねーオニ。……それにしても気に入らねーオニ、いつになったらピエーロ様は復活するオニ?」
マジョリーナ「そうだわさ。早く『世界をバッドエンド』にしないと、このままじゃあたしたちの存在が……」
ジョーカー「はぁーい、お二人ともお元気ですかぁん?」バァアーン
アカマジョ「ジョーカーッッ!!」
410 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:16:31.62 ID:ABcTus3vO
ジョーカー「仲良くおしゃべりですかぁ? さすが幹部は余裕があっていいですねぇん♪」
アカオーニ「けっ、いちいち勘にさわる言い方オニ。で、何しにきやがったオニ!?」
ジョーカー「いえいえ♪ ただの報告ですよォ〜? みなさんのお陰でバッドエナジーが順調に集まってますからね〜。……そろそろ復活するんですよ」
マジョリーナ「ハッ……!?」
ジョーカー「ピエーロ様が」ニヤァリ
アカオーニ「な……なにッッ」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ジョーカー「そぉ〜う♪ まもなくピエーロ様は復活なされます……そして世界をバッドエンドにしてくれるのです。よかったですねぇ〜♪」
マジョリーナ「そうかっ! ようやくこれで……」
アカオーニ「俺たちの時代オニッッ!!」
ジョーカー「た、だぁ〜〜しッッ!!」
アカマジョ「!?」
411 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:17:48.64 ID:ABcTus3vO
ジョーカー「我々の邪魔をするうっとうしい方々がいますよねェエ〜? どうもその人たち……『プリキュア』との戦いは良くないらしいですが? んん〜おかしいな〜?」
アカオーニ「ぐ、ぬぬぅ〜……!」ギリギリ
マジョリーナ「痛いところを……!」
ジョーカー「ハイ! そんな困ったあなた方に私から便利なモノをプレゼントしちゃいます! それがコレ……『青っぱな』です」ス……
アカマジョ「青っぱなァア〜〜?」
ジョーカー「これは今までの赤っぱなとは違い、デコルを変化させたモノではありません。つ、ま、り〜〜……プリキュアの技では浄化されないのです!」
マジョリーナ「ほう……そいつは便利だわさ」
アカオーニ「そいつをつかってプリキュアをぶっ潰してやるオニ!」
ジョーカー「あぁ〜ですが、気を付けて下さいねぇン?
青っぱなのアカンベェは確かにプリキュアの技は効きませんが、代わりにパワーとスピードは少〜し劣ります。
そこのところ頼みますよ?」
412 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:18:59.45 ID:ABcTus3vO
ジョーカー「あ、それと……『ウルフルンさん』はどちらにいらっしゃるのですかぁン? さっきから姿が見えませんが」
アカオーニ「ウルフルン? ああ、アイツなら……」
マジョリーナ「部屋に引きこもってるだわさ。だけど、アイツはもうダメだわさ。完全に心がポッキリ!」
ジョーカー「ほほう、それは……なぜそのようなことに?」
アカオーニ「前にプリキュアにボッコボコにされたショックだオニ。まったく情けねーヤツオニ!」
ジョーカー「それはなんと痛ましい! しかし、困りましたね。大切な戦力が減るのはいただけません。……ちょっと『お話』しないといけないかも知れませんねェエ〜?」ニヤァリ
413 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:19:47.94 ID:ABcTus3vO
ウルフルンの部屋
ジョーカー「ウルフルンさーん♪ お元気ですかァア〜? 私です、ジョーカーです!」コンコン
……………
ジョーカー「ん〜……返事がないですね。あー……いいですか? 勝手に入らせてもらいますよ?」シュンッッ
ジョーカー「ハイ、この通り。瞬間移動でぇす!」パッッ
ウルフルン「なッッ!?」
ジョーカー「ダメじゃないですかぁ〜? せっかくみんなで『プリキュア』を倒すための作戦を練っていたというのにッ」
ウルフルン「プ、プ、プリキュア……!?」
ジョーカー「うん?」
414 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:20:57.21 ID:ABcTus3vO
ウルフルン「プリキュア……プリッキュアッッ……!!」ブツブツ
ウルフルン「────きゃぁああああああああッッッッ!?」クワッ
ジョーカー「おやおや、叫ぶほど嫌ですか? 『プリキュア』の名を聴くのが」
ウルフルン「そそそその単語を言うんじゃあねェェ─────ッッ!?」ガタガタ
ジョーカー「そんなに怖がらなくたっていいじゃあないですか。ここに『プリキュア』はいないんですから」スタスタ
ウルフルン「やめろぉぉこっちにくるなああ─────っ!!」ビクビク
415 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:22:08.80 ID:ABcTus3vO
ジョーカー「……はァア〜……これは重症ですねえ、かわいそうに……。ですが、いいのですか? ウルフルンさん」
ジョーカー「あなた、また『昔』に戻りたいのですか?」
ウルフルン「うッッ」ビク
ジョーカー「ピエーロ様はまもなく復活なされます。その時にあなたがそんな様では、はてさてどうお叱りを受けることやら」
ジョーカー「もしかしたら『全て取り上げて』しまうかも……。あなたのだけね」
ウルフルン「ぬ、ぐ……!」
ジョーカー「そうなりたくなかったらキッチリ働いてくださいよ? タダで手に入れられる『安息』なんて……ありえないんですから」
ウルフルン「……」
416 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:23:29.95 ID:ABcTus3vO
ジョーカー「ま! そこまで心が『再起不能』では見込みも薄いでしょう! どうぞ落ち着くまでゆっくりと休んで下さいね〜? ……永遠に」
ウルフルン「待てコラ……」
ジョーカー「はい?」
ウルフルン「プリキュアは怖い。認めたくねーが……あそこまで恐怖したのは事実だからな……死にかけたし……そこは認めるぜ……」
ウルフルン「だけどな! 昔に戻ることのほーがよっぽど『怖えー』ぜッッ! プリキュアなんか目じゃねーくらいにはなァァ────ッッ!!」
ジョーカー「ではぁ、やる気になってくれたんですね?」
ウルフルン「ケェーッ! ここまできたらもうなんだってやってやるぜェェ────ッッ!!」
ジョーカー「それはすばらしいッッ!! ではあなたには特別な『任務』を与えることにしましょう!」
ウルフルン「任務だぁあ〜?」
417 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:25:17.03 ID:ABcTus3vO
ジョーカー「任務は『二つ』。ひとつはメルヘンランドに伝わる伝説の秘宝、なんでも願いを叶えると言われる『ミラクルジュエル』の捜索です」
ウルフルン「ああ〜あれか……そういやそんな話があったな……て、あれはおとぎ話じゃあなかったのかよ」
ジョーカー「いいえ、ミラクルジュエルは確実に存在します。そして、それがプリキュアの手に渡ったらどうなるか……かなり厄介でしょうねえ」
ジョーカー「なんとしてもプリキュアよりも早く私たちが手に入れなくてはなりません。わかりますね?」
418 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:26:26.17 ID:ABcTus3vO
ウルフルン「お、おう。それで、二つ目はなんなんだよ」
ジョーカー「はい、これはある意味ではもっとも重要な任務ですねェエん♪ それに、この任務はあなたにこそふさわしいと思っているのですよ」
ウルフルン「だぁからなんだってんだよ」
ジョーカー「なに、いたってシンプル。────キュアハッピーの『抹殺』です」
ウルフルン「……!!!」
ジョーカー「フフッ♪」
419 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:27:01.32 ID:ABcTus3vO
【Rapsodia】……イタリア語で狂詩曲を意味する
420 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 12:27:43.97 ID:ABcTus3vO
冒頭終わり
続きはおやつの時間に
421 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/24(木) 12:42:32.94 ID:o7J87MM5o
乙乙
422 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:16:04.69 ID:ABcTus3vO
続きを投下します
423 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:16:32.94 ID:ABcTus3vO
わたし、星空みゆきです! 中学二年生、スマイルプリキュアのキュアハッピーやってまーす!
わたしたち5人がプリキュアになってけっこう時間が経ちました。みんなだんだん慣れてきたかな?
そんなある日、わたしたちのところにメルヘンランドの使者、ポップがやって来たの! 色々あって自己紹介が遅れちゃったけど、なんでもプリキュアは何のための存在か伝えにきたみたい。それで、プリキュアっていうのは……
────プリキュアとはッ!
ひとつ 伝説の戦士なり!
ふたつ ロイヤルクイーンの力の欠片であり!
みっつ クイーンを復活させる存在である!
よっつ あらゆる自然現象の能力を兼ね備え
しかも その能力を上回る!
そして その形は川村敏江のデザインのように美しさと可愛らしさを基本形とする。
424 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:17:37.28 ID:ABcTus3vO
みゆき「つまりわたしたちはッ!」
やよい「スーパーヒーローッ!」
みゆき「うんうん、メルヘンランドの女王様を復活させるためのね。それで、デコルをいーっぱい集めなきゃならないんだよねっ」
やよい「伝説の戦士、プリキュアの絵本の主人公がわたしたちで……その絵本のページはまだ途中、白紙! 続きは主人公のわたしたちに託される。……なんか話ができすぎてる気がするー……」
みゆき「そうかな? わたしはぜったい『運命』だと思うなァ〜。この町に来て、キャンディに出会って、一気に物語が進んだんだよ」
やよい「みゆきちゃんはそれが運命だって信じてるの?」
みゆき「うん! こうしてやよいちゃんとも友達になれたのも、あかねちゃんもなおちゃんもれいかちゃんも、みんな『運命に選ばれた』んだと思うの。それってなんだか素敵じゃない?」
425 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:18:15.93 ID:ABcTus3vO
やよい「うーん、よくわからないけど……わたしはみゆきちゃんと友達になれて良かったって思ってるよ」
みゆき「えへへ、わたしもやよいちゃんのことだーいすきっ!」ガバッ
やよい「きゃっ! ふ、ふええ……恥ずかしいよみゆきちゃん……」
みゆき「まあまあ遠慮しないで〜♪ それで、今日は何して遊ぶ〜?」
やよい「え、えと、せっかく不思議図書館に出入りできるようになったから、そこでデッサンでも描こうかなって」
「あ、あの、星空さん!」
みゆき「ん?」クルゥリ
男子生徒「こ、こ、これ、受け取ってください!」つ手紙
みゆき「あ、どうも」ヒョイ
やよい「……」
426 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:19:10.82 ID:ABcTus3vO
男子生徒「そ、それじゃッッ!! 返事お願いしますね!!」ピューン
みゆき「ああ〜……また受け取っちゃったよ。返事書くのってけっこう頭使うんだよねー」
やよい「……みゆきちゃん、それ、今月入って何通目……?」
みゆき「うーん、40……あれ? 50だったかな?」
やよい「す、スゴい……。みゆきちゃんって、かなり男子に人気あるよね……わたし一通ももらったことないよぉ」
みゆき「そうかなぁ、最初はみんな怖がってたみたいな気がしてたけど、最近急にもらうようになったんだよね。ふしぎー」
やよい「不思議だね……(黙ってれば美少女だし、それに……奇妙な魅力……フェロモンってのかな?出てる時があるような……。
ある意味れいかちゃんより人気かも……)」
427 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:20:24.67 ID:ABcTus3vO
やよい「そ、そういえばみゆきちゃん、この七色が丘に『岸辺露伴』先生がいるってウワサがあるんだけど、ほんとかなあ?」
みゆき「へ!? き、岸辺露伴って、あの『超』人気漫画家の……? なんでまたそんなグレートな有名人が……ッッ」
やよい「ウワサだとね、どうも家が火事になったり、破産したり……『色々不幸なことが』重なって……気分転換に旅行してるんだって」
みゆき「でもでも、なんでこの町に? もっと良いところなんていっぱいあると思うけどなあ」
428 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:21:11.41 ID:ABcTus3vO
やよい「……あのねみゆきちゃん、実は露伴先生、この町にある『ウワサ』に興味があるみたいなの」
みゆき「『ウワサ』ァアア〜?」
やよい「突然空が暗くなったり、ピエロのお化けが暴れてる幻覚を何人も見てたり」
やよい「それと戦う5人の女の子の姿を目撃したり……」
みゆき「……それって」
やよい「わたしたちだよ……ねェエエエエ? それに、これってさァアア〜? みゆきちゃんの言う……『運命』だと思うんだッ!! うん」ズイ
みゆき「運命!!」
429 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:21:51.71 ID:ABcTus3vO
やよい「だから今度一緒に会いに行こーよォォォォ!! 一人じゃ怖くて行けないのォォォォ!!」ビエエ
やよい「滞在してる間に1度だけでもいいのッ! 露伴先生と会って握手! サイン!! できれば漫画のアドバイスとかァァ!!」
みゆき「わ、わかった、わかったよやよいちゃん。うん、今度ね? わたしも前から漫画家さんって興味あったからね、一緒に行こ?」
やよい「ありがとみゆきちゃんッッ!!」ダキッ
みゆき「よちよち」
430 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:22:55.51 ID:ABcTus3vO
七色ヶ丘図書館ッ
みゆき「えーと、確か本棚があればどこからも入れるんだったよね。なるべく人が見てないところから入んなきゃね。ついでになんか借りよっかな〜?」
やよい「み、みゆきちゃん、今日は本を借りにきたんじゃなくって」
みゆき「あぁ〜だいじょぶ、だいじょぶだよぉ〜? ただね? せっかく図書館にきたんだからさ、ちょっぴり珍しい本でも、無いかな〜って思っただけだよ……」
やよい「みゆきちゃん、心から本が大好きなんだね……なんだか尊敬しちゃうなあ」
みゆき「ふふ、それほどでもないよ。ただ暇があったらお休みの日はいつもここにいるだけだからね……」
みゆき「……うん?」
ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ
みゆき「なんだろ……こんな本図書館にあったっけ?」スッ
431 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:23:44.40 ID:ABcTus3vO
やよい「あったっけって……も、もしかしてここにある本を全部知ってるの?」
みゆき「そうだよ、ここのコーナーに置いてある本は全部読んじゃったし、何が置いてあるかは大体分かってたはずなんだけど……」
みゆき「なにこれ……『ヤギとオオカミ』の絵……?」
ウルフルン「見つけたぜェエ〜……キュアハッピー……!!」
みゆき「!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ウルフルン「よぉ、久しぶり……だな……」
みゆき「オオカミさん……」
やよい「バ、バッドエンド王国!?」
432 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:25:15.31 ID:ABcTus3vO
ウルフルン「テメーだ」ビシィッ
みゆき「え?」
ウルフルン「テメーに会ってからだ……全部『ケチ』がつきはじめたのはよォォォォ……」
--
ウルフルン『キュアハッピーの抹殺だぁあ〜!? なんであんなのに構うんだよ』
ジョーカー『考えてもみてくださぁい? 彼女がすべての始まりであり、同時に……あなたが今そんな風になっている原因でもある……。そうは考えられませんか? え?』
ウルフルン『!!』
ジョーカー『キュアハッピー……星空みゆきさんがプリキュアになってからの行動は恐ろしく速い……』
433 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:26:07.26 ID:ABcTus3vO
ジョーカー『いち早く仲間を集め、プリキュアチームをまとめ、リーダーシップを取り指示を出して戦う……。あるんですよ、彼女には、あの平凡な顔の裏に隠された……』
ジョーカー『支配者の顔が』
ウルフルン『……』ゴクリ
ジョーカー『思い当たるふしがあるのではないですか〜? 追い詰められた他のプリキュアを……誰が叱咤し、誰が励まし、誰が支えてきたか……。
そう、他ならぬキュアハッピーです』
ジョーカー『チームの精神的柱ほどやっかいなモノはありません。
何度痛め付けても、ああいうムードメーカーを兼ねたリーダーがいると、しつこくチームがよみがえってしまうんですよねェエ〜? ほんと、困った困った!』
434 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:27:22.27 ID:ABcTus3vO
ウルフルン『……ってことはよー、アイツさえぶっ殺しちまえば……』
ジョーカー『はい、柱が崩れればあとはバラバラ♪ プリキュアはおーしまい♪ 我々の勝利でェェーすッ!!』
ウルフルン『……そうか……言われてみりゃあ確かに……』
ウルフルン『そうだよなあァァァァ!?……確かにその通りだぜ、アイツと会ってから……』
ウルフルン『まっったく! 良いことがねえッ!! 1度もだッ!
ムカつくがよォォォォ……やっとわかってきたぜ。……俺にとって、アイツこそがッ!』
ウルフルン『なんとしてでも倒さなきゃあならねえ『宿敵』だってことがなッッ!!』
435 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:29:00.91 ID:ABcTus3vO
--
ウルフルン「テメーを始末すりゃあよ……俺はもう一度返り咲けるんだ……だから……何がなんでもテメーを……」
ウルフルン「ぶっ殺すぜッッ! プリキュアッ!! さあおっ始めようじゃ」ピシィッ
司書「図書館ではお静かにィィッッ!! ……ね。 二度も言わせないでくださいよ?」ガッ
みゆき「……」
やよい「……」
ウルフルン「……お、おっ始めよーじゃあねーかァ〜?」ヒソッ
みゆき「無理しなくてもいいよ?オオカミさん」ヒソッ
やよい「かわいい」ヒソ
ウルフルン「うるせっ! ……ん?」ヒソ
ポゥウウウ……
ウルフルン「なんだあ? そのピカピカ光ってる本は? 珍しいじゃあねーかよおい」
みゆき「え? わ、わ、なにこれ? 本が光ってるッ!?」
436 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:30:26.09 ID:ABcTus3vO
やよい「みゆきちゃん! な、なんか変だよその絵本〜!」
ウルフルン「絵本……まさか……プリキュアに関係が……」
ウルフルン「……まさかッ! その絵本が『アレ』なのかよ!? 『ミラクルジュエル』ってえのはよォォォォ!!」
みゆき「『ミラクルジュエル』……?」
ウルフルン「へ、ちょうどいいじゃあねーかよコラ……テメーを始末するついでにミラクルジュエルまで手に入れちまえばよォォォォ?」
ウルフルン「もう俺の天下だッ! 誰にも文句は言わせねー……ジョーカーであっても黙らせてやるぜ────ッ!!!」ガバァッ
みゆき「いやぁああああああ!?」
やよい「みゆきちゃああああああん!?」
437 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:31:40.37 ID:ABcTus3vO
ウルフルン「オラッ! とっととそれ渡せコラッ!! 放しやがれェェ────ッ!」グイグイ
みゆき「ちょ……ッ!? だ、だめだってば! そんなに引っ張ったら本が破けちゃうよぉ!」グイグイ
やよい「端から見ると子どもが取り合いっこしてるみたいだよ……」ヤヨーン……
ウルフルン「いい加減放しやがれテメェェ……!!」グググ
みゆき「だから引っ張っちゃダメだってば……!!」グググ
つるぅぅんッ!
みゆき「はぅわあっっ!?」ステーン
ウルフルン「ウオワッッあぶねッ!?」ツルーン
やよい「ああッ!? みゆきちゃんがこんなときに出さなくてもいいドジっこ性能を出したッ! これはあざといィィ!!」
みゆき「いや、やよいちゃんに言われたくなああああああああああ!?」
ウルフルン「おおおおおおおっっ!?」
ドシィィン……
438 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:33:17.20 ID:ABcTus3vO
ウルフルン「イテテ……! こ、こらテメー……! だいたいなにもねー所でスッ転んでンじゃあねッ…………ッッッ!?」フニン
ウルフルン「………!!!」
フニン フニン
やよい「みゆきちゃん、だいじょ……!? は、はわわわわわわわ……!?」カァァ
ウルフルン「(こッ……この『感触』はッ! うっすら『ふくらみ』のある柔らかい『感触』はッ!)」フニフニ
ウルフルン「(先っぽにコリコリと弾力のある心地よい感触の『これ』は、まさかァアッッ!!?)」コリコリィ
みゆき「オ、オオカミさん……っ。 んッ」ビク
ウルフルン「うおああああああああ!?」ガバァッ
みゆき「うう……」
ウルフルン「ち、違う! これは俺のせいじゃあねェェェェェェ!! オ、オメーが転んだせいで────」
みゆき「オオカミさん……」
ウルフルン「はッ……!?」
439 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:34:25.83 ID:ABcTus3vO
みゆき「……痛いよ……」グスッ
ウルフルン「──────!?!?!?」ピシャァアアン
この時! ウルフルンの全身を電流が走った!
それは彼が今まで感じたことのない『奇妙な感覚』であった。
まさに『黄金体験』ッ!!
440 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:39:24.54 ID:ABcTus3vO
みゆき「……」ジー
ウルフルン「うお、お、お……な、何みてんだよ……」
みゆき「……じー」
ウルフルン「わ、わかったよ……その、なんだ……わ、わり」
やよい「いい……スゴクいい!! いいラブコメ!!
シチュエーションといい甘酸っぱさといい、こういうの良好! はかどる! ベネ!」シュババババババ
ウルフルン「オメーはスケブにナニ描いてんだァァ────ッッ!?
やめろ描くんじゃねェェ────ッそして忘れろォォォォォ!!」
ビッカァァアア─────ッッ!!
みゆき「うわあっっ!?」
ウルフルン「ウオオ!? な、なんだぁァアア〜!?」
やよい「ほ、本がッ!? 今までよりももっと強い輝きをッ!?」
441 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:40:54.17 ID:ABcTus3vO
ウルみゆ「うきゃあああああああああ!?」ズキューン
……………
………
……
…
やよい「う、うう……なにが起こったの〜……? ねえ、みゆきちゃん……?」
やよい「……あれ?」
ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ
やよい「みゆきちゃん、どこ? あれ、オオカミさんも……」
ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ
442 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:43:05.16 ID:ABcTus3vO
………
……
ウルフルン「…………」
ウルフルン「う、うう……!? 俺は一体……なにが……」ググ
ウルフルン「そうだ……『キュアハッピー』だ……! キュアハッピーのおっぱ……って違う!」
ウルフルン「アレだッミラクルジュエルッ! 何処へ行きゃあがったんだコラッ!?」
ウルフルン「……『何処へ』?」
443 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:43:55.81 ID:ABcTus3vO
ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ
ウルフルン「……こっ……ここはっ!」
ウルフルン「ここは何処だァァァァ────ッッ!!?」
444 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:45:32.77 ID:ABcTus3vO
再び図書館ッ!
やよい「ふ、二人ともどこいっちゃったのォォ〜?」オロオロ
やよい「とつぜん『光』が……ば────ってなって……それで……うう、何がどうなってるのかわかんないよ……」グスッ
キラッ
やよい「うん?」
絵本「」ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ
やよい「みゆきちゃんが持ってた絵本……も、もしかしてこれが原因……!?」
やよい「もし、こ、これが原因なら誰かに……そうだ! ポップに見せればなにかわかるかも……!! は、はやく行かなくちゃッ!」
チョイチョイ
やよい「だれっ!?」
445 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:46:21.16 ID:ABcTus3vO
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
司書「……」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
やよい「ひいいっ!?」ビクゥーン
司書「このメスガキが俺をなめてんのかッ!? 何回言わせりゃあ理解できんだコラァ!!」クワッ
司書「ド低脳がァ────ッ!!」グワァアア
やよい「ごごごごめんなさァァ────いッッ!!?」ピューン
446 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:47:19.89 ID:ABcTus3vO
七色ヶ丘市名所そのA
『七色ヶ丘図書館』
行き方:おせーて! おせーてくれよォ!
市内で唯一の図書館
閑静で古風な雰囲気が味
みゆきはひまがあればここに来て絵本を読んだりしている
絵本コーナーだけでなく、古い童話集などのコーナーも充実している
最近、司書が物静かで知性に富むが非常にキレやすい美青年に替わったらしい
447 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 15:48:01.77 ID:ABcTus3vO
いったんここまでです
続きは夜の予定です
448 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:32:17.54 ID:QUHUVAerO
続きを投下します
449 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:33:14.54 ID:QUHUVAerO
その頃、ウルフルン!!
ウルフルン「じょ、冗談……じゃ」ゼェゼェ
ウルフルン「ねェェ────ぞォォォォッッ!!
なんなんだここはァァァァ!? 歩いても歩いても木、木、木ィィィィッッ!!」
ウルフルン「……おいおいおいどーなってやがんだこれはよォォォォ〜? 俺は確かに図書館に居たんだぜ……それがどーしてこんな森ん中に居るんだッ!?」
ウルフルン「やっぱりあの本……『ミラクルジュエル』とは関係ねーのかぁ? でも、あれのせいとしか思えねーが……」
450 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:34:00.97 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「……んん? なんだぁありゃ」
ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ
それは! 森にそぐわぬ一軒家!
まるで中世ヨーロッパの童話から飛び出したかのような趣がそこにはあったッ!
ウルフルン「なんでこんな……『森の奥』に家があるんだ……? おかしいぜこりゃあよ」
♪〜♪♪〜……
ウルフルン「誰か出てきやがった……! っておい、アイツ……」
みゆき「わたしは〜♪ おかあさんヤギ〜♪ みんなのやさしいヤギのおかあさん〜♪」ランラン
451 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:34:49.72 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「キュアハッピー! アイツもここに……つーかなんだあの格好は? 頭に角が生えてるぜぇぇ〜? ケケケ、まるでヤギだなありゃ」
ウルフルン「……」
ウルフルン「ヤギ?」
ウルフルンは気づいていなかった! 自身の運命が示す避けられぬ出会いを!
これから自分に待ち受ける過酷な試練の始まりを!
452 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:35:35.83 ID:QUHUVAerO
不思議図書館ッッ!
あかね「……で、これがその絵本てわけか? なんや怪しいもん持ってきたなあ」
やよい「うん、スゴい光がこれからバーって光って、気がついたら二人とも……」
なお「これ……もしかしなくてもメルヘンランドのものだよね……。
みゆきちゃんと、バッドエンド王国のオオカミもこれのせいでどっかに行っちゃったんだ」
キャンディ「クル〜……みゆき心配クル〜……」
れいか「問題は、これが一体なんなのか、そしてみゆきさんは無事なのか、です」
キャンディ「れいか……」
453 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:36:31.34 ID:QUHUVAerO
れいか「今、ポップさんがメルヘンランドからこちらに向かっています。なにかわかれば良いのですが……」
あかね「せやな……こればっかりはうちらにはどうにもならへん。こーいうのの専門に調べてもらわんと」
やよい「ポップ……まだかなあ」
ポップ「皆の衆! 待たせたでござる!」
4プリ「ポップ(さん)!!」
ポップ「話は聞かせてもらったでござる。しかし、これはやっかいなことになってしまったでござる……」
あかね「ポップ、みゆきは一体どこに行ってまったん?」
やよい「みゆきちゃんは無事なのッ!?」
454 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:37:18.82 ID:QUHUVAerO
ポップ「落ち着いて。みゆき殿なら無事でござる。そして……みゆき殿はこの中にいるでござるッ!」つ本
なお「ほ、本の……中ッ!?」
れいか「ポップさん、どういうことですか?」
ポップ「これはメルヘンランドに伝わる『はじまりのオオカミと七匹の子ヤギ』でござる」
4プリ「『はじまりのオオカミと七匹の子ヤギ』?」
ポップ「このページを見るでござる」パラッ
みゆき『わたしィィ〜はやさし〜いおかあさん〜♪』ランラン
あかね「み、みゆきやッ!!」
455 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:37:56.09 ID:QUHUVAerO
ポップ「みゆき殿はオオカミと七匹の子ヤギの世界に入り込んでしまったでござる」
れいか「ポップさん、この本は一体……」
ポップ「この本は世界中のオオカミと七匹の子ヤギの本と繋がっていて、その全ての絵本の幸せの源なのでござる。
もし、この本が悪者の手に渡ってしまったら……」
なお「ね、ねえちょっと……これって……もしかして……」
れいか「なお、どうかしましたか?」
やよい「ま、まさか……!?」
456 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:38:39.72 ID:QUHUVAerO
ウルフルン『ここは何処なんだァァァァ────ッ!?』
あかね「オオカミがアイツやァァァ───ッ!?」
ポップ「バッドエンド王国ッ!? まさかもうこの本の結末を変えようとしているでござるか!?」
なお「結末を変えるって……どういうことなのさ?」
ポップ「もしも、このはじまりの本の結末をバッドエンドに変えてしまったら、世界中の全ての『オオカミと七匹の子ヤギ』の結末がバッドエンドになってしまうでござる!」
やよい「そんな、それじゃどうすればバッドエンドにならなくて済むの?」
ポップ「物語の結末通りに話を進められれば問題ないでござるが……バッドエンド王国の者が必ず邪魔をしに来るでござるな」
れいか「それでしたら、やることは決まっていますね」
457 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:39:41.47 ID:QUHUVAerO
あかね「れいか、なんかええ考えでもあるんか?」
れいか「『私たちも物語の世界に行く』……これがベストな判断だと……思います」
やよい「わたしたちもッ!?」
なお「……まあ、みゆきちゃんを放っては置けないからね」
れいか「ポップさん、可能でしょうか?」
ポップ「確かに……皆の衆が一丸となって事に当たれば、バッドエンドから守れるかも知れないでござる」
キャンディ「お兄ちゃん、そうじゃないクル」
ポップ「キャンディ?」
キャンディ「ここにいる皆は『みゆき』が『大好き』で、『心配』なんだクル。キャンディもみゆきが大好きクル。
物語の筋書きはどうしようもないかも知れないけど、みゆきのいのちには替えられないクル!」
ポップ「キャ、キャンディ……そのような立派な考えを……! 兄は嬉しいでござる!!」
458 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:40:50.48 ID:QUHUVAerO
あかね「せやな、何はさておき今はみゆきや! うちらの大切なともだち、はよ助けに行かんと!」
やよい「そうだね! みゆきちゃんには今までいっぱい助けてもらったんだから、今度はわたしたちが助けなきゃ!」
なお「ともだちは助けなきゃッ! 筋を通すなら今だと理解したよ!!」
キャンディ「みんなでみゆきを助けに行くクル〜!!」
れいか「みなさん、少々お待ちを。見てください、どうやら物語に動きがあったようです」
あかね「ん、これは……?」
459 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:41:43.96 ID:QUHUVAerO
……………
………
……
…
ある所にお母さんヤギと七匹の子ヤギが暮らしていました。
ある日、お母さんヤギは街へ出かけることになり、子ヤギたちに「誰が来ても、決してドアを開けてはいけませんよ」と注意して家を出ました。
みゆき「じゃあ、みんな! わたしはこれから街に買い物に行くから、いいこでお留守番しててね♪」
みゆき「あ、後ね、誰が来ても決してドアを開けちゃダメだからね!
悪いオオカミさんが来て、みんな食べられちゃうから!」
みゆき「じゃ、いってきまーす!!」ランラン
ウルフルン「……」コソッ
460 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:42:57.70 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「……やっぱり、これってよぉ……アレだよなあ? うん、『アレ』」
ウルフルン「オ、オオカミと七匹の……くっ、お、俺が出る話じゃあねーかッ! 胸くそわりーぜチクショウがッ!」
「ねぇねぇオオカミさん」
ウルフルン「しかも、よりによってッ! アイツが……キュアハッピーがメスヤギだとォ〜? 主役じゃあねーか、ますます気に入らねェェェェぜッ!!!」
「ねぇねぇねぇったら、オオカミさん」
ウルフルン「うるせーぞッ!! 今考え事してんだよおおおおおおああああああああ!?」ビクゥーン
みゆき「えへー♪」
461 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:44:16.67 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「ななななんでオメーここにッ! ここに居やがるんだァア!? 街に行ったんじゃあねーのかコラァアッ!?」
みゆき「だってぇ〜、オオカミさんいつまで待っても家に来ないんだもん。ほら、早く『家を訪ねなきゃ』それが『筋書き』だよ?」
ウルフルン「筋書きっておまえ……今、この状況がどんだけおかしいか分かってんのか?」
みゆき「ヤギのおうちに狼がやって来ますが、狼のがらがら声で『お母さんですよ』と言っても子ヤギたちにはすぐに見破られてしまいます」
ウルフルン「おい、オメー話聞けよ」
みゆき「そこで狼は店でチョークを買い、それを食べてがんばって声を変えます。……子ヤギたちを騙すために」
ウルフルン「お、おい」
462 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:45:15.93 ID:QUHUVAerO
みゆき「はい、オオカミさんチョークだよ♪ ちょっと早いけど買ってきたの♪」ス
ウルフルン「なんでオメーがこんなモノをッ!? つーかバカかオメーは!! チョークで声が変わるわけねーだろ!!」
みゆき「」うるうる
ウルフルン「ハッ!?」
みゆき「……オオカミさん、イヤなの……? ダメだよ、悪いオオカミさんは『チョークを食べる』の。筋書き通りに……」うるうる
ウルフルン「いやオメー……でもチョークはさすがによぉぉぉ……」
みゆき「うぅー」うるうる
ウルフルン「……ま、まあどーしてもってゆーならよぉぉぉ……
……食ってやっても……いいぜ……な、なんて」
みゆき「ほんと!?」パアア
ウルフルン「う、うむ」
463 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:46:52.32 ID:QUHUVAerO
みゆき「オオカミさん、ありがとうッ!」ダキィッ
ウルフルン「お、おお、わかったからよ、さっさと寄越せよなオメー」
みゆき「じゃあこれ全部食べてね♪」ジャラジャラ
ウルフルン「ブフォウウッッ!?」
みゆき「一本じゃあ足りないと思って、いっぱい買ってきたんだ〜♪」
ウルフルン「ちょ、待ておま、その量は……ッ」
464 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:47:59.93 ID:QUHUVAerO
みゆき「声を変えるって筋書きは辿らなくっちゃあダメなんだよ……? だって、それが物語なんだもん。
ホラ、『いっぱい買ってきたから』がんばって食べよう? ね?」ジャラジャラ
ウルフルン「」
みゆき「食べようね♪」ニコォ
ウルフルン「」ゾォォ
465 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:48:58.30 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「じょ、ジョーダンじゃあねーぜっ!? 付き合いきれるかってんだ!!
第一よく考えたらなんでオメーの言うこと聞かなきゃあならねんだコラァア!?」
ガシィイイイイッッ!!
ウルフルン「ウオオオオオオオオオッ!?」
みゆき「ダメだよ……いっぱい買ってきたんだから……食べなきゃ。ね?
だいじょうぶ、ちょっとガマンすればいいの。すぐ終わるから」グググ
ウルフルン「ムグゥウウオオオオオオ!?(コイツ、変身してもいねーのになんてパワーだ!? ビクともしねェ────ぞ!?)」グググ
466 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:50:30.63 ID:QUHUVAerO
みゆき「はい、アーンして♪ アーン♪ アァァァァァァン♪」グイグイ
ウルフルン「ウグオアアアアやめろオオオオおおおおおお!!! 口を開けるんじゃねェェェェ────ッ!!」グイグイ
グパアアアア
ウルフルン「はがァアああああああ!?」クパー
ジャラジャラジャラジャラァァァァ
ウルフルン「ウグオエエエエッッ!!? オグウフオゥウウ」ジャラジャラ
みゆき「はい、よくかんで食べてね? カーミカーミしようね♪ カーミカーミ、カミカミ♪」グイグイ
ウルフルン「ウゴゲエエエエエエ─────ッッ!!?」バリボリバリ
467 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:51:34.28 ID:QUHUVAerO
みゆき「はい、ごっくん♪ ……ん、良くできました! これで声も良くなるよ、オオカミさん♪」
ウルフルン「ぼへぇえあっっ!? ふ、ふざけんな……声なんて変わるわけ……」ゼェゼェ
みゆき「あれ、おかしいなあ? 声が変わってない……まだ『足りない』のかな」ハテ
ウルフルン「─────」
ウルフルン「……な、なんてこった!? 声がまるで天使のようなソプラノボイスにッ!(夢の国のネズミ風)」
みゆき「わぁあああスゴォオオオオオイッ!! グーだよオオカミさんとってもグー♪」
みゆき「はい、それじゃあ玄関まで行ってきて、おかあさんヤギの真似してね? あ、逃げちゃあダメだからね、逃げちゃ」
ウルフルン「お、おぉぉぉう! 任せとけ。
うん、スゲー任せとけよなァアびしっと決めて来るぜチクショー!(よぉぉぉぉしっ逃げんなら今っきゃねーぜッ!)」スタスタ
468 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:52:21.90 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「(まずはコイツからなるべく距離を取ってから、一気にトンズラして……)」スタスタ
みゆき「えへへ♪」スタスタ
ウルフルン「……お、おう、なんでオメーまで一緒に付いてきてんだよ?」
みゆき「オオカミさんがちゃんと筋書き通りにするかどうか見てあげるんだよ?」ウデクミィ
ウルフルン「────」
みゆき「がんばって! オオカミさん♪」ニコォ
ウルフルン「……へ、へへへ」
469 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:52:54.54 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「─────なんでだァアああああああッッッ!?」
470 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:54:53.24 ID:QUHUVAerO
現実世界ッ!
4プリ「」ガタガタガタガタガタガタ
キャンディ「」ガクガクガクガクガクガク
ポップ「」ブルブルブルブルブルブル
やよい「ね、ねえキャンディ、オオカミと七匹の子ヤギって、こんなお話だったっけェェ〜……?」ガタガタガタ
キャンディ「キャ、キャンディこんなお話知らないクル〜」ガタガタガタ
あかね「なんやこれ……メルヘンなはずの絵本がサイコホラーみたいになっとるやん。
これぜったい子どもに見せたらアカンヤツや……」ガタガタガタ
れいか「なお、大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですが……」ガタガタガタ
なお「れれれれれいかこそかかかっかか体が、震えてるよっ!?」ガタガタガタ
471 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:56:34.13 ID:QUHUVAerO
ポップ「まさか、みゆき殿にこれほど強靭な精神力があるとは……。
きっと、物語の正しい筋書きを通すために恐るべきパワーを発しているのでござる」ガタガタガタ
あかね「冷静に分析しとる場合ちゃうで。これこのままじゃどうなってまうん? オオカミもう死にそうやん。序盤で死んだら話終わってまうやん」
ポップ「う、うむむ、やはり絵本に入って、みゆき殿の暴走を止めるしかないでござる。
このままだと物語そのものが恐ろしい結末を迎えてしまうでござるな……」
ポップ「皆の衆! やはりここはそなたらがなんとかするしかないでござる!」クルゥリィ
4プリ「」ドンビキィー
ポップ「あれェェッ!? さっきまでやる気に満ち溢れてたのになんでそんな遠くに引いてるでござるか!? 友だちでしょそなたら!」
472 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:57:33.77 ID:QUHUVAerO
あかね「イヤ……せやかて、なあ?」
やよい「わざわざ死にに行くみたいなモノだし……」
なお「無理無理無理ィィ!? ダメなの! あたしああいうの絶対無理なの!」ギュゥゥ
れいか「よしよし、なお」ナデナデ
キャンディ「キャンディまちがってたクル。みゆきはきっと助けなくてもなんとかなるクル〜」
ポップ「冷たい! なにこの手のひらの返しよう!? さっきまで熱いこと言ってた連中とは思えないでござるゥゥ!!」
「ほんとだわさ。仲間って言っても所詮その程度の関係かい?」
「これじゃあ俺たちのほうがまだ優しいオニ!」
なお「あ、あんたたちは!?」
やよい「バッドエンド王国!!」
473 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 19:59:11.84 ID:QUHUVAerO
マジョリーナ「あの本の気配を感じたと思ったら、ウルフルンに先を越されちまったわさ」
アカオーニ「このままアイツに手柄を取られてたまるかオニ! さあ始まりの絵本を渡すオニ!」バッ
れいか「あ、お待ちなさい! 手荒な行為は許しませんよ!」
ポップ「本を渡してはダメでござる!」バッ
れいか「わかってます!」
474 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:00:26.51 ID:QUHUVAerO
ガシィイイイイ
マジョリーナ「ええい、放しな小娘! これはあたしたちのモンだわさ……!」グイグイ
れいか「あなたたちに渡す道理などありません……!」グググ
やよい「ちょ、ちょっと二人とも、本をそんな風に引っ張ったらダメだよ?」オロオロ
あかね「なあ、アレ破いてもうたらどうなるん? もしかしてみゆき、ずっと出てこれなくなるんちゃうか?」
なお「こ、怖いこと言わないでよ!?」ブルッ
アカオーニ「なにやってるマジョリーナ! 俺に任せろオニ!」グイ
475 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:01:09.16 ID:QUHUVAerO
マジョリーナ「ま、待ちな! バカ力のあんたが引っ張ったらほんとに破け……」
アカオーニ「誰が『バカ』オニ!?」グイッ
ビリィィッッ
アカオーニ「あ」
マジョリーナ「あ」
れいか「」
3プリ「え?」
キャンディ「……破けちゃったクル〜」
ポップ「イヤイヤイヤなにやってんだおまえらァァァァ!?」
ビッカァアアアア────ッッ!!
なお「うわあなんだこの光────ッ!?」
476 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:01:52.28 ID:QUHUVAerO
あかね「破けたページから溢れてきとる!! な、何がどうなっとんのやァァァァ!?」
れいか「これは……私……私のせい……?」オロオロ
やよい「れいかちゃんしっかりしてェェ────ッッ!?」
────キャァアアアアアアアア!?
……………
………
ポップ「ひ、光が収まったでござる……皆の衆、大丈夫でござるか……?」
ポップ「……あれ、皆の衆?」
477 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:02:46.26 ID:QUHUVAerO
再び物語の中ッ!
みゆき「さあオオカミさん、ドアをノックしたら『ただいま〜♪ おかあさんですよ、ドアを開けてちょうだい♪』って言うんだよ! ね、わかった?」
ウルフルン「なんで俺がそんなこと……」
みゆき「オオカミさん、声」ニコォ
ウルフルン「ノックしてもしもお〜〜〜しで良かったかしらッ!?
だからそのスマイルはやめてとっても怖いのォォォ!?(夢の国のネズミ風)」
478 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:03:31.59 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「あーテステス……よし、いっちょやったるかァァ」
トントン
ウルフルン「ただいまァァ〜ン♪ おかあさんですよォ?ドアを開けてちょうだァァ〜いン♪」
シィィ────ン
ウルフルン「……返事がねーな」
みゆき「あれぇ? おかしいなー? ここは子ヤギちゃんたちが『おかあさんの声だ〜』って言う所なのに」
みゆき「オオカミさん、リテイクゥ……!」びし
ウルフルン「あー? またやんのかよったく……」ゴホン
479 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:04:24.98 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「ノックしてもしもお〜〜〜し? おかあさんよォォォン♪
今ならおみやげでテキーラ酒もあるわよぉん? だから開けてちょうだぁいんッ」ムホ
「なんでヨーロッパのおとぎ話にテキーラが出てくんねん!」
ウルフルン「は? そういうオメーはなんで関西弁……て誰だ!?」
みゆき「あれ? あかねちゃんの声だ」
「返事してんじゃあねーだわさこのスカタン! ストーリーがすすんじまうだわさッ!」
ウルフルン「ばあさんの声ッ!?」
480 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:07:08.26 ID:QUHUVAerO
「キャンディ、あんた結局ヒツジなの? それともヤギ?」
「キャンディヒツジさんでもヤギさんでもないクル〜!」プンスカ
「お、俺の体がこんなにちっこくなっちまったオニ!?」
「わあ、オニさんかわいい〜!」
「バッドエンド王国の皆さんまで来てしまうとは……それに私たちのこの格好は」
ギャーギャー!!
クルゥゥ
みゆき「み、みんなの声……もしかしてッ!?」
481 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/24(木) 20:08:32.33 ID:QUHUVAerO
バターンッッ!!
やよい「あーみゆきちゃんだァァ〜! よかった〜! もう会えないかと思ったよ〜」ビェェ
みゆき「やよいちゃんッ!? その姿……か、かわいいっ!
じゃなくて、どうして『この世界に』……!?」
やよい「わたしだけじゃないよ……」
あかね「なんやうちらも」
なお「巻き込まれちゃったみたい。……はは」
れいか「すみません……私の責任です」
キャンディ「みんな子ヤギさんクル〜♪」
482 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/01/24(木) 20:09:36.54 ID:QUHUVAerO
ウルフルン「なんでオメーらまでこっちに来てんだッ!? そんでもってなんでオメーらが子ヤギなんだよ!?」
マジョリーナ「ケェーッ! 抜け駆けは許さないよ!」
アカオーニ「オメーだけに手柄はやらねえオニ!」
みゆき「いち、にい、さん……うん、全部で七匹だね? そっか、みんなが子ヤギさん役なんだねー♪」
あかね「これもうオオカミと七匹の……なん? ヤギ要素ほぼ無いわ。ヒツジとオニと魔女が混じっとるやん」
キャンディ「だからキャンディヤギさんじゃないクル!」プクゥ
あかね「それはもうええっちゅうねん!!」
ウルフルン「なんなんだよ……このグレートにカオスな展開はよォォォ?」
483 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 07:41:10.75 ID:2fY9igp5O
寝落ちしてしまったので続きはお昼頃投下します。
484 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:20:40.28 ID:2fY9igp5O
みゆき「あーそっかぁ〜? みんなも物語の筋書きを通しに来たって」
全員「!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
みゆき「ことだよ……ねェェ〜? なんだか嬉しいなッ! みんなと一緒に絵本のお話をやれるなんて」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
あかね「み、みゆき? うちらは別に遊びに来たんとちゃうで?」
みゆき「えー? でもでも、みんな子ヤギさんの『役』でしょ?
『役』は決められた通りにこなさなきゃダメなんだよ?」
あかね「みゆき……?」
485 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:22:14.79 ID:2fY9igp5O
みゆき「だって、ここは『物語の世界』なんだもん。物語をハッピーエンドにするには、『正しい筋書き』を辿らなきゃあ……ね?
わかる? これは『正しいこと』なの。みんなハッピーになるために必要なことなんだよ♪」
やよい「みゆきちゃん、何言ってるの? 今のみゆきちゃん、なんだかこわいよ……」
なお「なんか、ヤバいよこれ。みゆきちゃんフツーじゃない」
れいか「もしかしたらですが、物語の世界に来たことで、みゆきさんの精神が何か影響を受けているのかもしれません」
ウルフルン「それってよぉ、ワリー方向にだよなあ? あれ見ればわかるぜぇイヤでもよォ」
アカオーニ「なんだオメー、ずいぶんげっそりしてるオニ」
486 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:24:52.51 ID:2fY9igp5O
みゆき「あ、そーだオオカミさんッ! ちょっと早くなったけど、みんなに姿を見られちゃったね。だから、早く『済ませちゃって』もいいよ?」
ウルフルン「はあ? なんの話だよ」
みゆき「もー、忘れちゃあダメだってば。『姿を現したオオカミはこどもたちを次々と食べてしまいます。助けておかあさん!
こどもたちの悲鳴をよそに、とうとうオオカミは六匹の子ヤギを丸のみにしてしまいました』……だよ?」
全員「!!!!」
みゆき「無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね? じゃあみんな、『キャンディ以外は全員オオカミさんのお腹に』─────」
あかね「ちょちょちょい待ちみゆきィィ! 落ち着かんかい!?」
なお「そ、そーだよッ! みゆきちゃん冷静になって!!」
みゆき「え? なにが?」キョトン
487 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:26:12.18 ID:2fY9igp5O
あかね「いくらなんでもあんな腹ん中入れるワケないやん! うちら下手したら死んでまうわ!」
みゆき「だいじょぶだよー。ここはファンタジーやメルヘンの世界なんだから。ちょっと狭いかもしれないけど、お腹に入ったくらいじゃあ死なないよ。たぶん」
あかね「『たぶん』じゃあないわァァ!? ほんまにやったらマジでアカンことになるわッッ!!」
れいか「みゆきさん、体格的に考えて私たちがオオカミさんのお腹に入るとは思えないのですが」
やよい「そ、そうだよね、何もそこまで『筋書き通り』にしなくてもいいんじゃないかな」
なお「うん、こればっかりは直球じゃなくてもいいと思う」
488 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:27:03.75 ID:2fY9igp5O
アカオーニ「だいたいなんでオメーの言う通りにしなきゃならねーオニ!?」
マジョリーナ「そうだわさ! そもそもあたしたちはこの絵本を『バッドエンド』にするために来たんだわさ!」
マジョリーナ「ハッピーエンドなんかこの手で『ぶち壊して』─────」
みゆき「─────え?」キロリ
マジョリーナ「………!!!」ゾワァ
ウルフルン「ば、ばか、オメー……」ゾク
489 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:29:02.26 ID:2fY9igp5O
みゆき「なあに? 『バッドエンド』? ハッピーエンドを『ぶち壊す』? ……って言ったのかなあ? 聞き間違いじゃあ無ければ。
……どうしてそんなこと言うのかなあ?
ダメだよそんな、カスみたいなことをのたまっちゃあ」ブツブツ
なお「……これは」
あかね「アカン……とてつもなくアカン気がする……」ゾク
490 :
◆S0pw.EDnyA
[saga]:2019/01/25(金) 13:31:25.09 ID:2fY9igp5O
みゆき「ねえ、魔女さん? 魔女さんは今子ヤギさんなんだよ?」
マジョリーナ「は……?」
みゆき「子ヤギさんは『食べられる』のが『役割』なの。それが決定されてるの。
……なのにあなたはそれを『無視』しようっての?
せっかく与えられた役割なのにッッ!?」
マジョリーナ「お、おまえ、何を」
みゆき「……ねェェ〜……? もしかしてみんなも『そう』思ってたり……するのかな? 役割や筋書きってのは『無視』しても構わない軽いものだって……」ワナワナ
やよい「みゆきちゃんッ! 思ってない! わたし全然そんなこと思ってないよォォォ!?」ガタガタ
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