【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】

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332 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:02:22.32 ID:+zvgsWogO


皆の言葉は、吊井座君にとってはどうなんだろう?



更なる絶望への呼び水になったのか、それとも微かな希望になったのか



皆の言葉は身勝手だ。他人への憐憫をダシに、生存した優越感に酔っているだけだ



……でも、もし仮に、皆の言葉が吊井座君の彷徨う足跡の道標になったのなら



きっと、この言葉は無駄にはならないはずだから



瀬川「バイバイ。君とはもっと遊びたかったよ」



これでいい。私は皆とは違うから、ちゃんと吊井座君の事を思って口に出したから

……こんな事を考えている時点で、私は自分を騙しきれていないんだろうな

だけど、吊井座君の瞳に映るモノ。瞳から零れる一筋の涙の理由は……多分、きっと良いものだと思いたいから

吊井座「俺は、お、お、俺は…………?」

吊井座「……………ゆ、赦された。のか………………?」

モノクマ「それでは、今回は超高校級のイラストレーターである吊井座小牧クンの為にスペシャルなオシオキを用意しました!」

モノクマ「それでは張り切っていきましょう!オシオキターーーイム!!!!!」


333 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:03:42.82 ID:+zvgsWogO










GAME  CLEAR!

ツルイザ  クンが  クロに決まりました


オシオキを  開始  します









334 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:04:44.80 ID:+zvgsWogO
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335 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:05:51.01 ID:+zvgsWogO



……砂嵐が、ザーザーと画面に吹き荒れる
砂嵐と言っても、テレビに写る方じゃない。文字の通りに激しく砂埃が舞い、風に吹かれて踊っている

徐々に砂嵐が薄れていく。その奥に見えるのは、机を前に、椅子に座らせされた吊井座君だ
ピンとお手本の様に真っ直ぐ座り……と言うより、固定されていて、よく見たら腕には糸の様なモノがくっ付けられている

完全に砂嵐が薄れ、漸く状況がハッキリとわかった
吊井座君が連れられた場所には見覚えがある。確かあれは昔の闘技場……コロッセオだ

ゴロゴロ、ゴロゴロ……。異音が周囲に鳴り響き、顔には薄く影がかかる
後ろに設置されたのは、妖しく黒光りし、中心部にはデジタル式のタイマーがついた……結構ステレオタイプな時限爆弾だ

【0:60】

高台に立ち、モノクマがウォッチを起動させる。吊井座君の腕が動き出すのと、タイマーが動き出すのは完全に同時だった……

『燃えよペン! 真剣お絵描き一本勝負』
『超高校級のイラストレーター  吊井座小牧処刑執行』

【0:50】
吊井座君の動きは、正しく神がかっていた
人間離れした速さで、紙に線を引いていく……機械が後ろで、ガチャガチャと腕を動かしていたから
それでも彼の目には諦めはない。目の前の紙に真剣に向き合っている

【0:30】
真っ赤に染まった顔と腕。よく見たら摩擦の熱か、機械と紙からは煙が上がっていた
ガリガリとペンを動かすその手は、既に限界を迎え始めていた。指はあらぬ方向に曲がり、爪はとっくに割れて出血している
それでも止められない……止まらない。それは最期になろうとも作品を描きあげる執念からなのか……

……ところで吊井座君は何を描いているんだろう?

【0:10】
指はへし折れ、爪は剥がれ落ち、腕はとっくに言う事を聞かなくなっている
手をガンガンと机に叩き付ける。最早、絵を描くと言うより何かと戦っている様にしか見えない風景だ
それでも、最期の一息。一際大きく腕を振り上げると……
……ブチッ!と音がして、固定していた機械が吹き飛ばされる
その勢いで、持っていたペンが遠くへと飛んでいく

慌てて拾い上げ、顔を見上げると

【0:00】の文字が、激しく光り……

轟音。視界が真っ白に彩られていった
336 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:08:14.93 ID:+zvgsWogO





パチパチ。パチパチと音がする

まるで拍手をする様な。裁判を終えた私達を労うかの様な……そんな軽快な音だ

目の前に映っているのは、灼熱で真白に変色した大地。そして、黒く染まった……ヒトガタの染み

ずっと見ていたからわかる。編集やトリックなんてあり得ない。あの染みは、紛れもなく……

モノクマ「エックストリーーーム!!」

御影「う……うぎゃああああああああっ!?!?」

月神「吊井座…………君…………!」

竹田「野郎……マジで殺しやがったぞ……!」

飛田「ひ、人が粉微塵に溶けて大地に……あぶあぶあヴッ!?」

臓腑屋「飛田殿!?失神したのでござるか!?」

古河「か、解説すんなや……!アカンやろ、こんなん……!」

モノクマ「アハハハハ!この程度で気絶なんて最近の子は軟弱だね!」

駆村「この……人でなしめ……」

モノクマ「クマだからね!」

朝日「こんなの……こんなの、嘘だよぅ……」

月乃「……何が目的?こんな大がかりな事をして、私達に何をさせたいの」

……皆が疑問に思っていた。最初から疑問に思っていた

それを月乃さんが問いかける。モノクマはうぷぷっと笑った上で、確かにこう答えたんだ




モノクマ「……絶望。『今は』それだけだよ」


337 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:09:16.68 ID:+zvgsWogO

瀬川「……今は?」

今。その言葉に、どこか言い様のない引っ掛かりを覚えた

まるで、それそのものが目的じゃなくて、その先にある何かを期待している様な……?

御影「今……?今はって……どういう事だよ!?」

ハルカ『はーい!では今日はここまでー!』

ヨウ『次回を楽しみに待っていてくれ』

モノクマ「それではオマエラ、また明日〜!」

……どこまでも人を馬鹿にして、どこまでも私達を弄ぶ

不愉快な三人……いや、二体と一匹は、画面を暗転する事で私達の目の前から逃げ出した

残されたのは、裁判を終えた私達だけ……誰からともなく、口からは嗚咽を垂れ流した

御影「何で……だよ……!何で、ボク達がこんな目に会わないといけないんだよ!?」

御影「昨日まで、あんなに楽しかったのにさぁ!何でこうなっちゃったんだよ!?」

陰陽寺「黙れ。騒々しい文句しか言えないのなら口を閉じろ」

デイビット「御影氏、一度落ち着くのだヨ。今回の事は冷静に受け止めねばなるまイ」

御影「……っ!どうして、二人ともそんな風に平気な顔でいられるんだよ!」

御影「二人にとっては天地さんも吊井座クンもどうでもいいだろうけどさ!ボク達にとっては大事な仲間だったんだぞ!?」

陰陽寺「その仲間同士で殺し合いしていたら、世話無いがな」

御影「何だと!?このクズ!人間のゴミ!」



月神「もう……止めて……っ」

338 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:09:57.56 ID:+zvgsWogO

月神「もう、学級裁判は終わったの。これ以上誰も傷つく必要は無いの」

月神「だから……もう喧嘩は止めて。そして、私と約束して」

月神「もうここには来ないって……誰かを傷つけ、学級裁判をさせないって……」

月神「私も……精一杯、頑張るから」

か細い懇願。月神さんは気丈に、だけども涙を堪えながら誓う

その誓いは……きっとそう遠くない未来に破られると思う。けど

月乃「……わかった。私もやれる限りの事はする」

竹田「んじゃ、今日はさっさと休むか。飛田の坊主も連れてかねえとな」

臓腑屋「にゃあ。お供するでござる……拙者も、もうこんな事はしたくない故に」

月神「陰陽寺さんも……そうやって誰かを傷つけないで。貴女はきっと、心優しい女の子なんだから」

陰陽寺「……余計なお世話だ」

月神「御影君も……あまり感情的にならないで。貴方が二人と仲が良かった事は知っていたけど……」

御影「あ、あぁ……うん。わかったよ」

陰陽寺さんと御影君が言い合って、月神さんが制止する……なんだか、デジャヴを感じる喧嘩だった

そうだ。確か初めて出会った時も、こんなやり取りをしていた気がする……もう、ここに居ない二人は戻ってこないけど

月神「それじゃあ……戻りましょう。明日、また、皆でこれからの事を考えましょう……」

もう、あの日へは戻れない。だから、前へ進むしか出来ないんだ。一人、また一人とエレベーターに乗り込んでいく

最後に残ったのは私だけ。何処か後ろ髪を引かれる思いを断ち切って、エレベーターに上がり込んだ

339 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:11:21.54 ID:+zvgsWogO

瀬川「…………ふぁああ。もう真っ暗だ」

欠伸を噛み殺しながら、エレベーターから出る

外の世界を見上げると、空には夜の帳が落ちていた

まばらに光る小さな星。キラキラと揺れる星の光がいいアクセントになっている

……もう、他の皆は寄宿棟に戻ったみたい。今夜はきっとよく眠れるだろう

でも、私はまだそんな気分になれない。肢体にまとわりつく火照りを冷ます為、少し花畑を歩いていく

瀬川「ふんふん……ふふふーん……」

鼻唄を口ずさみながら花の動きに沿うように歩いていく。風が花を揺らすと、私の髪も揺らめいた

ふと、視界の隅に光が瞬く。空を見上げると、そこには……




瀬川「わっ……!流れ星だ!」

幾筋もの星屑が、空に線を描いては消えていく

さっきのオシオキとは全く違う、美しくて幻想的な星の軌跡

そんな美麗な景色を独り占めしてる優越感。そんな流麗な景色に、私は……


340 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:14:23.86 ID:+zvgsWogO





瀬川「…………っ!?」ゾクゾクッ

異様なまでの、不安感に襲われた

341 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:14:54.52 ID:+zvgsWogO


瀬川「…………え?」


……何で?何でこんな感情を抱いたんだろう


今の景色に嫌悪感を抱く要素なんて何処にもない。なら、他に何か理由があるのかな


他に何処かで似た様な出来事を見た事がある……ううん。そんな訳無い。流れ星だって今初めてだし


なら、別の何か……?でも、何を連想したんだろう


円形の壁に囲まれた学園に、落ちてくる星屑……


記憶を辿る。どんどん、どんどん。学級裁判の始まりすら越えた記憶に、答えはあった


……ああ、わかった。この嫌悪感の正体が。私は、きっと知っていたんだ

342 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:15:34.27 ID:+zvgsWogO





瀬川「あんな奴……本当に死ねばいいのにっ!!」



そのグチャグチャをいっきに飲み込む。残った缶を備え付けの『ゴミ箱』に放り投げた



クルクルと綺麗な放物線を描いた『ゴミ』は、すとんと『円形の箱』の中に落ちていく



ゴミ箱の中を確認する。缶は、ティッシュやお菓子の包装のゴミ等に埋もれていた







343 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:16:08.39 ID:+zvgsWogO







瀬川「……帰ろう」



頭に浮かんだ空想を切り捨て、私は寄宿棟へと足を進める



今日という日を捨てて、明日を手に取る。その明日も、明後日にはゴミになるだろうけど



そうして、今まで私達は生きてきた。きっと、あの壁はそのツケを払わせる為の檻なんだろう




そうして命を消費する。それが私達の生き方だから

そうして私は生きていく。この狂った物語の中心で



イロトリドリの、海の中で

………真っ赤に染まった、明日(ミライ)を抱いて



344 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:16:37.87 ID:+zvgsWogO








【Chapter1】
  イロドリミライ  【END】

  生徒総数:14








345 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:17:08.88 ID:+zvgsWogO




GET:スケッチブック
 一章を閲覧した証。吊井座小牧の遺品
 絵を描く時に使用する場合が多い。中身は新品の様に真っ白なので、自分の好きに絵を描こう


346 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/24(日) 21:19:45.14 ID:+zvgsWogO
本日ここまで。これで一章完結です。ありがとうございました
二章は近日中に始めたいと思います。何か質問や感想、して欲しい事などあれば可能な限り答えさせていただきます
347 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/03/03(日) 22:13:14.62 ID:pxpzq/4EO

建てました。よろしくお願いします
【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】ch.2
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1551617155/
348 : ◆upV/60xbhSrj [sage]:2019/03/25(月) 22:10:03.67 ID:Ef2ohd7zO
建て直し版です。お間違えの無いようお願いします
【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】ch.2
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1553517832/
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