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ヒル魔「ぶっ!こ!ろす!!」雪歩「い、いえぇぇぇい!!」
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:06:29.37 ID:i5OyujgV0
セナ「延期っ!?」
モン太「秋大会が、っスか!? 何で!?」
ヒル魔「ニュースも見てねぇのか糞(ファッキン)チビ共」
まもり「最近よく、スポーツ業界のパワハラ問題が取り沙汰されているでしょう?」
まもり「アメフト協会にも、その疑惑が上がったみたいで、
調査委員会を立ち上げて、正式にその解明と解決に力を注いでいく事になったの」
まもり「具体的に誰かが被害を訴えた訳では無いのだけど、
協会の役員も文科省の調査には全面協力をするみたいで……」
雪光「だから、高校のも含めて、国内の大会はしばらくの間、開催を見送るみたいなんだ」
鈴音「へぇー、そんな事があったんだ」
溝六「まぁ、悪質タックル問題ってのもあったし、
数あるスポーツん中でも、槍玉に上がりやすい面はあるだろうな」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:08:59.87 ID:i5OyujgV0
小結「た、大会!」
栗田「小結君の言う通りだよ、このままもし大会が開かれなかったら、
僕達、今年中に全国大会決勝(クリスマスボウル)に行く夢が……」
セナ(パワフル語……)
ヒル魔「心配は要らねぇ」ケケケ
ヒル魔「何が何でも大会は開かせる。ただちっと延期するだけだ」
ヒル魔「ウチにとって、少しでも鍛える時間が稼げるアクシデントはありがてぇこった。
何ならもっかいアメリカ行くか?」
十文字「俺達を殺す気か」
戸叶(ていうか、コイツが時間稼ぎのために協会のパワハラ疑惑をでっち上げたんじゃねぇだろうな……)
黒木(あり得る)
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:10:25.38 ID:i5OyujgV0
溝六「なぁに、アメリカ行かなきゃ何にも出来ねぇってワケでもねぇ」
溝六「基礎をじっくり固め直すのも、フォーメーションを詰めるのも、今できる立派な練習だ」
モン太「相手チームの戦術を研究したりとかもそうっスよね」
夏彦「アハーハー! キミが知的な事を言うとどこか新鮮だね!」ビシッ
モン太「なぁっ!? テメェにだきゃ言われたかねぇ!!」ムキャー!
<シーラヌーガー ホトケ ホォーット-ケナイ クーチビル ポーカーフェーーイス♪
戸叶「おっ?」ピクッ
ヒル魔「?」
まもり「あっ、わ、わっ……!」ピッ
鈴音「あっ、今の『SMOKY THRILL』でしょ! まも姉の着メロなんだ!」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:11:59.51 ID:i5OyujgV0
栗田「あー、最近出てきたアイドルの子達だよね。えぇと確か……」
十文字「竜宮小町か。765プロとかいう」
黒木「俺は伊織ちゃんや亜美ちゃんよりも、あずささんだな」
戸叶「この間のアイドル大運動会見てたら、竜宮小町以外にも可愛い子いるぜ。
なかなか粒ぞろいなんだよな、あの事務所」ウンウン
セナ「く、詳しいんだね」
戸叶「ハ?」
十文字「はぁ?」
黒木「はぁぁぁああ!?」
セナ「ひぃぃぃっ!? ご、ごめんなさい!!」
黒木「何で知らねぇんだ!! 俺らの貸してやるから四六時中聴けっ!」ドサッ
戸叶「グラビア全部見やがれっ!!」バサバサ-ッ
十文字「おい、俺をコイツらと一緒にすんなよ」
セナ「はぁ……」
ヒル魔「耳障りだ、消せ糞マネ」
まもり「もう消したじゃないっ」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:13:40.41 ID:i5OyujgV0
夏彦「しかし、僕らと同い年くらいの子達が頑張ってるのは元気もらえるねー」クルクル
鈴音「水瀬伊織ちゃんなんて、特にすごいよね」
ヒル魔「…………」
鈴音「まだ中学三年生? なのにさ、竜宮小町のリーダーで、プリプリで」
雪光「彼女、どこかの財閥の令嬢だって噂だね。それでよくアイドルの道を選んだよなぁ」
ヒル魔「…………」
セナ「ヒル魔さん、どうかしたんですか?」
ヒル魔「……」スマホ スイッ スイッ
ヒル魔「……」カタカタカタ…
ヒル魔「…………」
ヒル魔「!」ピコーン
セナ「あ、何か思いついた顔だ」
モン太「ぜってぇ良くない事を思いついた顔だなありゃ……」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:15:29.67 ID:i5OyujgV0
〜某レッスンスタジオ〜
雪歩「う、わっ……きゃあっ!」ドテッ
真「雪歩っ!」
トレーナー「はーいストップー!」
真「大丈夫? ケガは無い?」
雪歩「う、うん……平気。いつもの事だから、えへへ……」
伊織「まったく、いつもの事じゃあ困るじゃない!」
雪歩「あ、伊織ちゃん……」
伊織「何回同じミスを繰り返したら気が済むのよ。
いい加減、同じレッスンに付き合わされる身にもなってほしいわ」
雪歩「うぅ……」シュン…
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:16:13.84 ID:i5OyujgV0
真「ちょっと伊織! そんな言い方は無いだろっ!」
伊織「本当の事を言って何が悪いのよ!」
真「何だと!?」
伊織「何よっ!!」
真・伊織「うぅぅぅぅぅぅ〜〜!!」
雪歩「あ、あの……二人ともケンカは…」
真・伊織「雪歩は黙ってて!!」
雪歩「ひぃぃ!」ビクッ
あずさ「うふふ。大丈夫よ雪歩ちゃん、真ちゃん」
雪歩「あずささん……」
亜美「そーそー、いおりんがホンキでそんなこと言うワケないっしょー!」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:17:59.50 ID:i5OyujgV0
伊織「ちょ、ちょっと二人とも、何を言って…!」
あずさ「私もね、すっかり伊織ちゃんの足を引っ張って、怒られちゃった時があってね」
あずさ「でも、事務所に戻ると、伊織ちゃんが私にプリンをくれたの」
伊織「あ、あれは皆にもセレブの味を知ってもらおうって思っただけで…」
亜美「その前の日は、ミキミキにババロアあげてたよね?」
伊織「うっ!?」ギクッ
真「そういえば……伊織、さっき新堂さんに電話でゴージャスセレブもなかを注文していたような……」
あずさ「あら〜、レッスン終わりのお茶請けにはもってこいだわ〜」
亜美「お茶好きなゆきぴょんが淹れてくれた、チョ→おいしいお茶のねー♪」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:19:13.65 ID:i5OyujgV0
雪歩「い、伊織ちゃん……」
伊織「な……何よっ! 私が好きなものを、皆に恵んであげてるだけじゃない!」
伊織「伊織ちゃんの優雅なティータイムに華を添えられるよう、
このレッスンも、その後のお茶も! ちゃんと頑張んなさいよねっ!」
雪歩「うん……うん! ありがとう、伊織ちゃん」ニコッ
伊織「……もう、何よっ」プイッ
真「ヘヘッ……なーんだ、素直じゃないんだな、やっぱり」
伊織「うるさいわねっ!」
トレーナー「よしよし、それじゃあ再開するわよー! はい、1、2、……!」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:20:09.41 ID:i5OyujgV0
〜夕方〜
テクテク…
亜美「ふわぁぁぁ、いおりーん亜美もうクタクタだよぅ」グデー
伊織「レッスンだけじゃなくて、事務所でアレだけはしゃいでたら当然でしょ」
真「プロデューサーの分のもなかに練りわさび入れたのはまずかったね」
雪歩「すごい形相で流しに駆け込んでいったよね、プロデューサー……」
あずさ「皆楽しそうで何よりだったわ〜」
真・雪歩「いやいやいや」
亜美「それじゃ、亜美はこっちだから。またねー!」タタタ…!
あずさ「あら〜、やっぱり元気ね〜。じゃあ、私もここで、失礼するわね」
真「あっ、はい」
雪歩「お、お疲れ様でしたぁ」ペコリ
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:22:13.92 ID:i5OyujgV0
テクテク…
雪歩「うぅぅ……今日も、しっかりできなかったなぁ……」トボトボ…
真「そんな事ないよ。上手に出来てた所もあったじゃないか」
雪歩「真ちゃんに比べたら、私のなんてダメダメですぅ……」
真「うーん……そういう、何というか、比べるものじゃないというか……」
伊織「まったく! いつまでもウジウジウジウジ!」ムスッ!
雪歩「伊織ちゃん……」
伊織「いーい、雪歩!? アンタの一番ダメな所はね!
レッスンが下手とか、そういう所なんかじゃないの!」
伊織「そうやっていつまでも小さい事を引きずってウジウジしてる所よ!
ダメダメなんかじゃないわよ。アンタは自分のダメダメな所を見つけすぎ!」
真「それはボクもそう思う」
雪歩「うぅぅ……」シュン…
伊織「ほらっ、そうやってまたシュンってする! まったく……」プイッ
真「まぁまぁ、伊織。あんまりそうやって責めるような事は…」
伊織「責めてなんか無いわよ!
私だって似たような経験があるから、黙ってられないの」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:24:22.48 ID:i5OyujgV0
真「似たような経験?」
雪歩「それはど…」スッ
ガバッ!
雪歩「ッ!!?」ガサガサ-…!
真「どういう事? まさか伊織もそんなウジウジしてた時期が……」
伊織「無いわよ! でも、優秀なお兄様達と比べられて……
そう、劣等感を抱いていたのは、否定できないわ」
伊織「それでも、私は水瀬家を見返してやるんだって、そう思ったから……
だから、劣ってるかどうかなんて、大した問題じゃないのよ」
伊織「これからどうするのか、どう抗ってやるのかが大事なんじゃないかしら?」
真「へぇ、珍しく良い事を言うんだな」
伊織「伊織ちゃんが良くない事を言った日なんて無いわよ。ねぇ、雪……」
伊織「……ほ?」ピタッ
真「あ、あれ…………雪歩?」キョロキョロ
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:25:42.46 ID:i5OyujgV0
雪歩「ンーー! ンーーッ!!」ジタバタ!
賊学生A「し、静かにしろって」
賊学生B「可愛い顔して、結構力強いぞ……っとと」
葉柱「カッ! 人さらいたぁテメェもいよいよ落ちぶれたな」
ヒル魔「ほぉー? さらったのは賊学の怖〜い生徒さんだよなァ?」
葉柱「テメェが言ったんだろが! もしこの事がバレたらテメェをチクって……!」
つ 脅迫手帳
葉柱「チク……逐一パシリとしてこき使ってくださいお願いシマス」ピキピキ
ヒル魔「ケケケ、分かってんじゃねぇか」スッ
ヒル魔「……あん?」
雪歩「ンー……!!」モゾモゾ!
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:27:43.36 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「おい、糞トカゲ」
葉柱「トカゲって言うんじゃねぇ。斗影(トカゲ)は兄貴の方だ」
雪歩「ンーーーッ!!」ジタバタ!
ヒル魔「コイツじゃねぇ。トカゲになりすぎてヒトの見分けもつかなくなったか」
葉柱「アァッ!? 何だとテメェ、指示された写真通りの人間だろうが!!」
ヒル魔「知らねぇなァ」
ヒル魔「ターゲットは水瀬伊織だ。コイツはほっとけ」
雪歩「ン……!?」ピクッ
葉柱「チッ……おい、解いてやれ」
賊学生「う、ウッス」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:29:13.69 ID:i5OyujgV0
雪歩「……ぷはっ!」
賊学生A「ご、ごめんね?」
葉柱「いいからテメェら、さっさと目当てのヤツ当たってこい」
賊学生B「は、はいっス!」ダッ!
タタタ…!
ヒル魔「チッ……そろそろ大通りに歩き着く頃だ。もうお付きの車に乗り込んでるだろうな」
葉柱「そんなに金持ちなのかよ」
ヒル魔「王城大学の筆頭出資者の、水瀬財閥っつートコの令嬢だ。
とりあえずソイツを……」
雪歩「い、伊織ちゃんを、いじめないでください!!」
ヒル魔「?」ピクッ
ヒル魔「…………」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:30:16.56 ID:i5OyujgV0
雪歩「……!」ギクッ
雪歩「ひっ!? あ、う、うぅ……わ、私、初対面の人になんて事を……!」ガタガタ…
ジャキッ!
葉柱「あ、おいっ!?」
雪歩「こんなダメダメな私は……!」
雪歩「穴掘って埋まってますぅ〜〜っ!!」ザックザック!
葉柱「な、何してんだ止めろ! ってオイ何だその掘るスピード早ぇなモグラか!!」
ヒル魔「ケケケ、ウジウジしたり暴れたり、忙しいモグラだな」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:32:36.22 ID:i5OyujgV0
雪歩「はぁ、はぁ……」
葉柱「やっと落ち着きやがった……このスコップもどっから出してきたんだ……」
葉柱「……あのな、コイツにそーいう説得はムダだぞ」
葉柱「今回だって大方、財閥の令嬢をさらって身代金要求するとか、
ロクでもねぇ事考えてるに決まってるぜ」
ヒル魔「ケケケ、誰がそんな事を狙ってるっつった糞トカゲ」
葉柱「トカゲじゃねぇっつってんだろ」
ヒル魔「言ったろ。水瀬財閥は、王城大やその附属の筆頭出資者だってな」
ヒル魔「王城高校の恵まれた練習環境も栄養管理も、水瀬の資金力があってのことだ」
雪歩「えっ……伊織ちゃん、何か、投資? をしてるんですか?」
ヒル魔(……頭は良くねぇな)
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:33:31.04 ID:i5OyujgV0
葉柱「じゃあ、その令嬢をさらって、王城へのサポートを止めろって要求すんのか?」
ヒル魔「ケケケ、そんな下品なマネはしねぇ。ちょいと聞きたい事があるだけだ」
雪歩「き、聞きたい……事?」
ガサガサッ!
伊織「あっ、いた!」
真「雪歩っ! 大丈夫!?」
雪歩「伊織ちゃん! 真くん!!」
ヒル魔「ほぉ、噂をすりゃ向こうから来やがった」
真「な、何だお前達はっ!!」
伊織「見るからに悪そうな連中ね」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:35:07.78 ID:i5OyujgV0
雪歩「わ、私は大丈夫。でも……」
真「雪歩っ! ボクの後ろに!」
雪歩「う、うん!」ササッ…
葉柱「どうすんだよコレ、言い逃れできる雰囲気じゃねぇぞ」
ヒル魔「いざって時は、都議のオヤジにでも泣きつくんだな」
葉柱「カッ! 結局、人頼みかよ」
真「雪歩をさらってどうするつもりだったんだ!
事と次第によっては、ただじゃ済まさないぞ!」
伊織「事と次第によらなくともただで済まさないわよ。立派な犯罪じゃない」
雪歩「あ、あの……伊織ちゃん」
伊織「何?」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:36:33.80 ID:i5OyujgV0
雪歩「実は、あの人達、私と伊織ちゃんを間違えちゃったみたいなんですぅ」
伊織「何ですって?」
真「どの辺を?」
葉柱「そこは掘り下げなくていい」
雪歩「伊織ちゃんが投資してる、ナントカっていうのが、えぇと……」
伊織「私の投資?」
伊織「一体どれの事かしら?
ブータンの紡績企業? それとも、イギリスの玩具メーカー?」
雪歩「何というか、もっとこう、王様っぽい感じの」
伊織「だとすると、デンマークの道路事業かしら。それかモルディブのリゾート産業……」ブツブツ…
葉柱・真「…………」
ヒル魔「王城」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:37:36.33 ID:i5OyujgV0
伊織「王城……?」ピクッ
ヒル魔「テメェに聞きてぇのは、王城高校アメフト部のトレーニング環境に関するデータだ」
ヒル魔「選手、コーチ、練習時間、メニュー、機材、そしてフォーメーション……
知らねぇなら情報収集してもらう」
ヒル魔「出資者としてのコネを使えば、そう難しい話じゃねぇだろう」
伊織「王城大学附属高校の、一部活動の情報収集ですって?」
伊織「フンッ!」ファサッ
伊織「どこの馬の骨か知らないけど、まるで分かってないわね、アンタ」
ヒル魔「ほぅ?」ニヤァ
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:39:33.79 ID:i5OyujgV0
伊織「人に物を頼む態度とはとても思えないし、仮にビジネスを持ちかけてるんだとしても、
魅力的な見返りも一つだって提示してこない」
伊織「脅迫してるつもりなら、それこそお門違いよ。
相手の素性を知りながら、私を敵に回してただで済むと思っているのかしら?」
伊織「レディーの心を掴みたいなら、もう少しマシな口説き文句を覚えてからにするのね」
葉柱(カッ! 結構なじゃじゃ馬だぜ、コイツぁ)
ヒル魔「おーおー、確かにお門違いだったな」
ヒル魔「南米と中欧で貿易会社を営む優秀な二人の兄と違い、
帝王学の一つも学ばせてもらえなかった可愛い可愛いオジョウサマ」
伊織「……!?」ピクッ
ヒル魔「水瀬家を見返してやりたくて飛び込んだアイドル業で結果を残すのは、
生半可な覚悟じゃねぇだろう」
伊織「アンタ、一体どこでそれを……!」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:42:53.82 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「しかし、ひでぇ話だよなァ」
ヒル魔「財閥の当主たるお父様の目は、ひたむきに頑張る実の娘ではなく、
王城の方に注がれているときたもんだ」
ヒル魔「ライバル事務所であるジャリプロのアイドル、桜庭春人が所属する王城高校アメフト部のなァ」
伊織「……ッ!」
真「じゃ、ジャリプロ!?」
雪歩「桜庭君って、あの、CMも雑誌もいっぱい出てるあの!?」
ヒル魔「愛娘じゃなく、ジャリプロ桜庭春人の学校への支援を行ってきた水瀬財閥」
ヒル魔「ご実家を見返すとかいうじゃじゃ馬令嬢の覚悟がありゃ、
王城の鍵となる情報の一つや二つ仕入れてこれそうなもんだが……」
ヒル魔「ご実家からのオイタが怖ぇから手を引くなんざ、
結局、伊織サマの崇高なお覚悟ってのも買い被り過ぎちまったかなァ?」ケケケケ
葉柱(中坊の女の子捕まえて、悪魔かコイツは……)
伊織「…………」ギリッ…!
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:43:57.66 ID:i5OyujgV0
伊織「いいわよ」
ヒル魔「!」ペカー
真「ちょ、伊織っ!」
伊織「勘違いしないで! こんな男の安い挑発に乗った訳じゃないわ」
伊織「まさか、アタシに一方的に働かせるつもりじゃないでしょうね」
伊織「ビジネスといきましょう。
言ったでしょう? 相応の見返りが無いと、私は応じられないわ」
ヒル魔「ほぉ〜……たとえば?」
伊織「765プロに協力しなさい」
伊織「アンタみたいな男がどう765プロに貢献できるか、自分で考えてこの場で提案してみせなさいよ」
ヒル魔「ケケケ、アイドルになれってか?」
伊織「冗談言わないで」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:44:51.96 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「そうだな……」ニヤッ
ヒル魔「…………」
雪歩「…………?」
雪歩「ふぇっ?」パチクリ
ヒル魔「そこの糞モグラをトップアイドルにしてやるってのはどうだ?」
伊織「へぇー、大きく出たじゃない。ぜひどうぞ、やれるもんならね」
雪歩「えっ……ええぇぇぇぇっ!?」
ヒル魔「ケケケ、面白ぇ」ニヤァ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:45:59.17 ID:i5OyujgV0
〜翌日、泥門高校 アメフト部部室〜
黒木「何だこりゃあァァッ!?」
カメラ「」ジーッ
ドローン「」ヴィーン
ロボ「」ガッショ ガッショ
セナ「あ、アハハ、なんかすごく、未来的な〜……」
小結「か、監視社会!!」
十文字「結構難しい言葉知ってんだな」
雪光「いや、でもこれ……たぶん、どう見ても僕達を見張ってるんだよね?」
モン太「ケルベロスも、何かカメラ背負ってやがる……」
ケルベロス「ガフォッ! ガルルル……!!」つ エサ付きカメラ
ムサシ「あぁ、それな」ザッ
まもり「あ、ムサシ君」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:47:32.39 ID:i5OyujgV0
ムサシ「ヒル魔のヤツに、今朝突貫でやらされたんだ」
ムサシ「アイツがいない間、お前らがサボらねぇようにってな」
ムサシ「そこらのカメラから、アイツの持ってるタブレット端末に、
全て映像が行くようになってるらしい」
戸叶「本当に監視社会じゃねーか……」
夏彦「アハーハー! ムッシューヒル魔が心配しなくても僕達なら真面目に練習するさ!
さぁ鈴音、僕のロッカーから防具を……」クルクル
ガンッ
ロボ「」ギロッ
夏彦「あっ」
ロボ「」ジャキッ どぱぱぱぱぱっ!
夏彦「アリエナイィィィィィイッ!!!」ドガガガ!
ムサシ「あぁいうバカ……もとい、オイタをするヤツはあぁして粛正されるってワケだ」
鈴音「うん……別にバカは言い直さなくていいよ?」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:49:20.78 ID:i5OyujgV0
モン太「こいつぁ、ヒル魔先輩がいる時と同じか、それ以上に注意マックスしねぇとヤベーな」
栗田「いやいや、あの、いつも通りにやっていればあのロボも怒らないと思うよ」
セナ「ところで……どうしてヒル魔さんは、いなくなったんですか?」
栗田「えっ?」
栗田「い、いやぁ……僕にはちょっと連絡が……」
まもり「溝六先生は、何か聞いてらっしゃいますか?」
溝六「アイツは昔から何にも相談してこねぇんだ」フンッ
黒木「ケッ。俺達を見張っておいてテメェはのんびりしてるんじゃ世話ねぇぜ」
戸叶「まったくだ」
ムサシ「いや、違うな」
黒木・戸叶「えっ?」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:50:54.43 ID:i5OyujgV0
ムサシ「アイツはロクでもねぇ男だが、アメフトにだけは嘘はつかねぇ」
ムサシ「どこにいようと、自分の練習だけは欠かさず行っているはずだ」
ムサシ「凡才の上、頭は回るクセして、目標だけはバカでけぇ……
そんなバカみてぇな事を大真面目にやろうとするために」
ムサシ「アイツは、与えられたカードで何をすべきかを、良く知っている」
十文字「…………」
セナ「ムサシさん……」
モン太「よーし、ずっとここにいたって始まらねぇ! 練習行くぜっ!!」ダッ
栗田・小結「う、うんっ!」「フゴッ!」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:52:00.84 ID:i5OyujgV0
十文字「おい、行くぞ」
黒木「はぁ〜あ……すっかりスポーツマンかよ俺ら」
戸叶「知るか」
ザッ…
鈴音「えへへ、皆、何だかんだ熱心なんだね」
まもり「ふふ……そうね」
鈴音「アタシも、ちょっとこのバカ兄を片付けてきたら、給水とか手伝ってくるね!」がっし
夏彦「」ズルズル…
まもり「あ、うん」
ガララ バタン
まもり「ふぅ……さてと」
まもり「…………あら?」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:54:07.16 ID:i5OyujgV0
まもり「これ……ヒル魔君のロッカー……」
まもり(勝手に覗いたら、悪いかな……でも、何か……?)キィ…
バサッ
まもり「きゃっ……!」ビクッ
まもり「あ……えっ?」スッ
つ アイドル雑誌
まもり「こ、これは……!?」
まもり(ヒル魔君、まさか、こういう趣味があったの!?)
まもり(いや、あのヒル魔君が、こんな世俗的な……で、でも……!)
まもり(一体……ヒル魔君に何があったのかしら……!?)
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:55:05.09 ID:i5OyujgV0
〜某レッスンスタジオ〜
響「うえぇぇ、そんな大変な事があったのかー!?」
千早「警察には届けたの?」
雪歩「い、いやぁ……誰も、ケガとかしなかったし、一応、円満に話はついたから……」
貴音「萩原雪歩、貴女は真、心優しい人ですね」
響「うーん、優しいだけってのとは、ちょっと違うと思うぞ……」
春香「それで、そのヒル魔さんっていう人は、いつから来るの?」
雪歩「へっ? あ、う、えぇと……」
ガチャッ
響「あ、トレーナーさん!」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:56:06.51 ID:i5OyujgV0
トレーナー「おはよう皆、さぁ今日も……」グイッ
トレーナー「う、わぁぁっ!?」ぐいーん
バタンッ!
春香「あ、あれっ? トレーナーさーん……」
貴音「?」キョトン
ガチャッ
ヒル魔「それではレッスンを始めます」ケケケ
雪歩「ひ、ひいいぃぃぃぃっ!?」ビクゥッ!
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:57:29.03 ID:i5OyujgV0
響「こ、この雪歩の怯えよう……あーっ!!」
響「ひょっとして、お前がヒルマヨウイチだなー!?」
千早「この人が……!」
ヒル魔「トレーナーは、急遽大切な用事が入ったのでキャンセルだ」
ヒル魔「ここは、この俺がテメェらを鍛えてやる。
特別メニューだ、覚悟しやがれ糞アイドル共」ジャキッ
春香「ひえぇぇ、何か物騒な物持ってるよぉこの人……!」
貴音「なるほど……貴方が、泥門高校の蛭魔妖一ですか」
ヒル魔「……?」ピクッ
春香「え……高校生?」
雪歩「ヒル魔君、泥門高校の二年生なんだって」
響「なーんだ、じゃあ自分と同学年だな!」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 13:58:34.21 ID:i5OyujgV0
雪歩「それより、貴音さん、ヒル魔君の事を知って……?」
貴音「故郷(くに)にいた時、じいやから聞かされておりました」
貴音「悪魔の如き才知を持つ、恐るべき家系がいる……
彼の者を決して敵に回すべからず、と」
貴音「四条の者と一時、雌雄を競い続けた……
蛭魔幽也の、貴方が息子……という事ですね」
ヒル魔「……何モンだ、テメェ」ギロッ
貴音「それは、トップシークレットです」スッ
春香(な、なんか並々ならぬ雰囲気……)
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:00:24.55 ID:i5OyujgV0
響「ちょ、ちょっと貴音! なんか自分、全然よくわかんないけど!」
響「そういう危ないヤツだったら、関わるのもピンチなんじゃ……!」
貴音「ふふっ、案ずる事はありませんよ、響」
貴音「敵に回したら恐ろしい……
それは、味方としてこれほど頼もしい者はいないという裏返しにもなります」
貴音「過去の事は忘れ、共に高みを目指しましょう、蛭魔妖一」
ヒル魔「生憎だが、俺はお前ら全員をトップアイドルにしろとは頼まれてねぇ」
ヒル魔「そこの糞モグラ」
雪歩「ふぇっ!? ……わ、私、ですよね?」
ヒル魔「糞デコとはソイツで話がついてる。他のヤツらはオマケだ、付き合えるヤツだけ付いてこい」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:04:06.64 ID:i5OyujgV0
千早「随分と、偉そうな物言いだけれど……ヒル魔さん」
千早「そういうあなたこそ、トレーナーとしての能力は標準並みにあるのかしら?」
春香「それは、えぇと、そうだよね?
あまり良くない言い方かもだけど、ひ、ヒル魔君もさ、この業界をどこまで……」
ヒル魔「高校アメフト大会の開催は40日後だ」
春香「ふぇっ?」
ヒル魔「40日間で、糞モグラをアイドルランクB(※)まで上げてやる」
※ランクB:ファン人数が700,000人以上。いわゆる一流アイドルレベル。
ヒル魔「そのためには、標準並みの段取り組んでるヒマなんざねぇ。
死ぬほどのレッスン積ませてやる。そう……」
ヒル魔「『死の行軍』(デス・マーチ)だ!」
一同「デス・マーチ!?」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:05:41.18 ID:i5OyujgV0
デビバ「アイドルの事なんざ知らねー。つーか興味もねー」
デビバ「そんな硬派気取りなクールガイ共に……」
デビバ「このデビルバット様が、アイドルの世界を簡単レクチャーしてやるぜ!!」
コデビバ「生徒役はこの僕、コデビバです。よろしくです」ピョコピョコ
〜デビルバットとコデビバのアイドルマスター教室 レッスン編〜
コデビバ「デビルバット先生っ!」ハイッ
コデビバ「アイドルのレッスンって、どんな種類があるんですか?」
コデビバ「アホなんで分かりません、教えてください!」
デビバ「レッスンで行われるのは、この三つだ! 脳ミソかっぽじってよぉく頭にたたき込め!!」
【ビジュアル】 正しいヤツを正確に押せ! 焦るな!
【ボーカル】 流れるヤツを正確に押せ! 呼吸に気をつけろ!
【ダンス】 リズムに合わせて正確に押せ! 早くなるぞ!
デビバ「死ぬ気でパーフェクト取りやがれ!! Ya―――Ha――――!!」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:07:07.84 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「ケケケ、この期に及んで一コ一コ、バカ丁寧にやるとは思うなよ」
一同「えっ?」
ジャキキンッ!
ドローン「」ヴィーン
一同「えぇぇっ!?」
ヒル魔「ドローンのカメラに向けて表情作りやがれ!」
春香「うえぇぇっ!? そ、そんな動きが速すぎて……!」
ヒル魔「それと同時にステップ!」ズダダダダダッ!
響「うぎゃあーっ!! な、何するんさー、ってうぉわっと!?」
ヒル魔「踊りながら歌え! 音程外したらもう一回だ!」
千早「む、無茶苦茶だわ!」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:08:28.63 ID:i5OyujgV0
雪歩「うっ、わ、わ……!!」アタフタ…!
貴音「い、いくら何でも無節操が過ぎます! もう少し加減を……!」
ヒル魔「時間がねぇ中でお行儀なんざ気にしてたら、取れるモンも取れねぇ」
響「時間が無いのはそっちの都合でしょ!
自分達、40日間とかいう期限なんて全然知ったこっちゃないぞ!」
春香「そ、そうだよ! 時間をかけてじっくり積み重ねていくとか……!」
千早「大きなライブとか、具体的な目標も無いままに、
いたずらに過酷なトレーニングばかりするのは、ナンセンスだわ」
ヒル魔「ほぅ」ピタッ
ヒル魔「具体的な目標がねぇのか? テメェらは」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:09:44.14 ID:i5OyujgV0
雪歩「えっ……?」
春香「い、いや……そりゃあ、トップアイドルになる、っていう夢は、あるけど……」
ヒル魔「それを叶えるのに手段を選んでられるほど、恵まれた環境にいんのかよ」
千早「……ッ!」
ヒル魔「ケケケ、めでてーヤツらだぜ。自分達が特別だと思ってやがる」
ヒル魔「漫然と頑張っていれば、そのうち向こうから夢がやってくるってか?」
響「そ、そんなこと!」
貴音「…………」
ヒル魔「まぁいい。目標があればいいって話だったな」ニヤァ
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:11:17.79 ID:i5OyujgV0
〜765プロ 事務所〜
律子「う、んん〜……概ね、企画書はこんな所かしら」ノビー
P「お疲れ様。竜宮小町の勢いはすごいな、感心するよ」
律子「いえ、まだまだです。
ようやく実施までこぎつけた765プロ単独ライブ」
律子「この機をしっかりモノにして、軌道に乗せていかないと」グッ
P「あぁ。俺も頑張らないとな。
チャンスを活かさないといけないのは、むしろこっちの方だ」
高木「ハッハッハ、竜宮小町のお陰で、事務所も活気が付いてきたねぇ」
小鳥「えぇ。アイドルの子達もプロデューサーさん達も、お互いに良い刺激になっているようです」
小鳥「今後の活躍が、楽しみですね」ニコッ
高木「全くだ」
ガチャッ
小鳥「あら? お客さんかしら、はーい」トトト…
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:12:46.67 ID:i5OyujgV0
黒井「ハァーッハッハッハ!
相変わらず小さい事務所だなぁ高木ィ!? まるで犬小屋じゃあないかね!」
小鳥「く、黒井社長!?」
律子「黒井社長って、あの、まさか961プロの……!?」
P「なんだなんだ?」
高木「やぁ、黒井じゃないか。今日はどうしたんだい? 小鳥君、コーヒーを」
黒井「やれやれ、相変わらず暢気な事だな、貴様は。その様子だと何も知らないと見える」
高木「あぁ、どうやらそのようだ」
黒井「フンッ! 私はセレブで心が広ぉ〜いから、特別に許してやるし、教えてもやろう」
黒井「何しろこの話は、お前達765の者から持ちかけられたのだからな」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:14:28.65 ID:i5OyujgV0
律子「私達の方から?」
黒井「今度予定される765の単独ライブに、我が961プロのジュピターも参加するのだよ」
P「な、何ですって!?」
黒井「それだけじゃあない。行われるのはジュピターと765のライブ対決だ!」
黒井「負けた方は、アイドル業界から強制追放! そういう約束だったなぁ!!」
小鳥「うええぇぇっ!?」
律子「そ、そんな! あまりにも無茶苦茶すぎます!!」
黒井「ンン〜〜? そちらから持ちかけた話を一言一句、私は正確に述べているに過ぎないのだが?」
律子「プロデューサー。まさか、あなたがあんな馬鹿げた事を…!」
P「じょ、冗談はよせよ! 俺がそんな話、誰にも相談無しに進めるわけ無いだろ?」
小鳥「じゃあ、一体誰が……」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:15:47.36 ID:i5OyujgV0
高木「フゥ〜ム……初耳だがまぁ、決まった話だと言うのなら、今さら変えられないだろう」
律子「しゃ、社長!?」
黒井「潔い事だな、高木ィ」
高木「大方、検討は付いている。そんな事を言ったのは、おそらく彼だろう」
高木「水瀬君が余所から助っ人として引き込んだ、泥門高校アメフト部の司令塔……
蛭魔妖一君」
律子「あ、あぁ〜〜……あの髪型がすごい、耳の尖った彼ですね。伊織が紹介してた」
P「ちょ、ちょっと待ってください! それならなおさら反故にすべきです!
正式な765プロの人間ですらない彼が、勝手に取り付けた約束など……!」
高木「確かに、無茶な話かも知れん。だが……」
高木「悪い話ではない。私はそう思うよ」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:17:50.21 ID:i5OyujgV0
律子「しゃ、社長……」
黒井「ハンッ! 随分な自信だなァ? 本番で貴様の吠え面を拝める日が楽しみだ」ズイッ
ドサッ
小鳥「あら、コーヒー豆。くださるんですか?」
黒井「本番が近づくにつれ、その虚勢も薄れてくるだろう。
せいぜいこのちっこいちっこい豆の数でも数えて不安を紛らせているがいい、ハァーッハッハッハ!!」
ガチャッ バタンッ!
P「くっ……何という事だ! 社長、本当に良いんですか!?」
P「もし負けたら、彼女達は夢を諦めなくてはならなくなるんですよ!」
高木「負けたらね」
小鳥「わーい♪ すっごく高いコーヒーですよコレ」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:19:43.85 ID:i5OyujgV0
律子「負けたらね、って……勝てばいいとか、そんな簡単な話じゃありません!」
律子「961プロのジュピターは、強敵です!
全国区のイベントやメディアを次々に席巻してきています」
律子「オーディション荒らしとしても、業界内では有名です。
961の裏金のおかげ、という噂だけでは説明できない確かな実力があるのも事実です」
律子「今のあの子達では、勝てるかどうか……!」
高木「あぁ、分かっているとも」
高木「だが、大事なのは、勝敗ではない」
P「勝敗では……ない?」
高木「彼と話をしたい。小鳥君、連絡を取ってもらえるかね?」
小鳥「あ、はい」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:21:17.94 ID:i5OyujgV0
〜レッスンスタジオ〜
響「うわーん!! ヒル魔のバカぁ〜、キツすぎるぞー!」
春香「とか言いながら、何だかんだ一番ちゃんとやってたのが響ちゃんなんだよね」
響「えっ、そ、そう? ふふーん、そりゃあ自分、完璧だからなっ!」ドヤッ
千早「しかし、ヒル魔さんのこんな非常識なレッスンが続くと、身が持たないわね」
貴音「ひとまず、蛭魔妖一も帰られた事ですし、私達も帰宅して身体を休めるとしましょう」
雪歩「あ、はい……あ、あの、皆」
春香「?」
雪歩「い、いや、その……ごめんなさい」
雪歩「私がダメダメだから、伊織ちゃんも同意して、ひ、ヒル魔君も、こんな……」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:22:39.88 ID:i5OyujgV0
響「何言ってるさー雪歩! アイツがムチャなのは雪歩のせいじゃないだろー!?」
千早「我那覇さんの言う通りよ。
それに、あんな言いたい放題されたら、私達だって黙っていられないもの」
春香「そうそう! 雪歩は何も心配しなくて大丈夫だよ、ねっ?」ニコッ
雪歩「皆……」
貴音「ふふっ、真、良き仲間に恵まれたものですね、雪歩」
雪歩「はい……本当に、そう思います」
春香「? 小鳥さんから着信が……」スマホ スイッ
春香「……うぇぇっ!? 皆、大変だよぉ!!」
響「どうしたんだー、春香?」
春香「961プロのライブとジュピター対決して、ま、負けたら追放を国外が!!」
千早「は、春香! 落ち着いて!」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:23:43.73 ID:i5OyujgV0
テクテク…
響「アハハハ! なーに、ジュピターなんて自分がいればなんくるないさー!」
雪歩「す、すごい自信だね響ちゃん……」
響「当ったり前さー! 雪歩もドンッと、大船に乗ったつもりでいてよね!」エッヘン
響「じゃあねー雪歩! ちゃんと教えた通りストレッチするんだぞー!」ダッ
雪歩「あ、うん! お疲れ様ー」フリフリ
タタタ…
雪歩(あ、あんなに踊った後なのに、走って帰っていっちゃった……)
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:24:54.11 ID:i5OyujgV0
テクテク…
雪歩「皆すごいなぁ……私だけ、ちゃんとついていけかったなぁ……」
雪歩「うぅん、いけないいけない」ブンブン
雪歩「帰ったら、ちゃんと復習しないと……皆、私を励ましてくれてるんだから、もっとがん……!」
雪歩「あれ?」ピタッ
ヒル魔「…………」テクテク…
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:26:39.96 ID:i5OyujgV0
雪歩(ひ、ヒル魔、君!?)ビクッ
雪歩(事務所の方から歩いてくる……レッスン終わった後、寄ったのかな……?)
雪歩(って、考えてる場合じゃないよぉ! か、隠れなきゃ……!)ザックザック…!
ヒル魔「…………」テクテク…
雪歩(…………ホッ。気づかれなかったみたいですぅ)ヒョコッ
雪歩(それにしても、どんな用事があったんだろう……?)
雪歩「…………」
コソコソ…
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:28:14.52 ID:i5OyujgV0
〜泥門高校〜
栗田「ふんぬらばっ!!」ガショーン!
セナ「はっ……はぁっ……!!」ズバババ…!
モン太「うおおぉ、キャッチマーーックス!!」ガシッ!
鈴音「やー!! モンモンナイスキャッチー!!」
雪光「ヒル魔君が置いてったロボ、『ヒルマ君』もすごい出来だねコレ」
溝六「ほれ、ケツを爆発させろ!!」ガツーン
十文字「おらぁぁぁっ!!」
黒木「ぶっ倒れろコラァァ!!」
戸叶「お前こ、そ……!!」
小結「ふごぉっ!!」
ヒル魔「……おーおーこんな時間まで」ケケケ
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:29:04.94 ID:i5OyujgV0
ガララ…
ヒル魔「……?」
まもり「あっ」
ヒル魔「何してやがる、糞マネ」
まもり「皆のトレーニング内容を記録としてまとめていたの」
まもり「ヒル魔君も、こうしてあった方が後で見直しやすいでしょう?」
ヒル魔「…………」
まもり「心配しないで。皆、真面目に取り組んでいるわ」
まもり「十文字君達も、皆……ヒル魔君がいなくても、ちゃんと」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:30:27.42 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「たりめーだ」ドサッ グイッ
まもり「ヒル魔君……765プロの、萩原雪歩ちゃんのお世話を?」
ヒル魔「……」ピクッ
まもり「葉柱君から、事情を聞いたの」
ヒル魔「あの糞トカゲ……まぁいい」
ヒル魔「なら、何で俺がそんな事をしてるかも知ってんだな」
まもり「大体はね」
まもり「あっ、皆にはまだ知らせてないから、安心して。
特に、黒木君達が知っちゃうと、たぶん大変だものね」
ヒル魔「アイツらだけじゃねぇ。アイドルオタクなんざ山ほどいやがる」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:32:06.01 ID:i5OyujgV0
まもり「……どうしてヒル魔君ってそう、無茶な事ばかりするの?」
まもり「私も、アイドルの業界がどんなものかって、全然知らないけど、
40日間で一流アイドルに育てるなんて、あまりに非常識というか……」
ヒル魔「非常識でも、勝算が無きゃハナから受けてねぇよ」
まもり「勝算って、どれくらい?」
ヒル魔「まぁ、良くて1%ってとこだな」
まもり「ええぇっ!?」ガーン
ヒル魔「それに、素人連中抱えてクリスマスボウルを目指そうって俺達が、
今さら常識を語れるモンでもねーだろ」
まもり「うん……ふふっ、そうね」
夏彦「おぉ何という麗しいマドモワゼル! マネージャー志望かい!?」
ヒル魔・まもり「?」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:34:22.31 ID:i5OyujgV0
雪歩「ひっ!? わ、私、その……!」アセアセ…
夏彦「アハーハー! 恥ずかしがる事なんてないさ!
僕の妹だって軽々しく真似事をやってるくらいだ! 誰にだってできるよ、さぁっ!」
グォッ…
夏彦「へっ?」
鈴音「バカ兄、今あたしの事バカにしたでしょっ!!」ギャリギャリギャリギャリ!
夏彦「ギャアアアァァァッ!!! おおごごごごごご……!!」
鈴音「兄さんにだけはバカにされたくないっての!!」ドギャゴガゲギグゲゴガゴ!
雪歩「ひぇぇ! あ、あの! す、すみません、私……!」
ガララッ
まもり「何の騒ぎ……あぁっ!?」
モン太「何だ?」
戸叶「何だ何だ?」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:35:33.41 ID:i5OyujgV0
戸叶「!! あ、あぁぁ……!!」
黒木「うあぁぁっ……!!」ガタガタガタ…!
黒木・戸叶「萩原っ!!」
セナ・雪光「ゆっ!」
モン太・栗田「きぃ!?」
小結・ケルベロス「ふごっ!!」「ガフォッ!!」
雪歩「ひいぃぃっ!! い、犬ぅぅぅぅぅっ!!」ズザザザザッ!
セナ・モン太「めっちゃ逃げてる!!」
雪光「いや、犬普通の人でもケルベロスは逃げるでしょ……」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:40:00.31 ID:i5OyujgV0
鈴音「やー!! ウソみたい、765プロの雪歩ちゃんとこんな所で会えるなんて!」
鈴音「私ファンなんです、握手してください握手!」がっし ぶんぶん
雪歩「うひゃああ、私なんてそんな、ランク低いアレのダメで……!」がっくんがっくん
ヒル魔「ケケケ、部外者が堂々と校内に忍び込むたぁ良い度胸だ」
栗田「あっ、ヒル魔!」
モン太「戻ってきてたんスか」
雪歩「ひ、ヒル魔君、違うんですぅ、これは、色々とアレがあの……」
セナ「ヒル魔、『君』!?」
戸叶「ハ?」
十文字「はぁ?」
黒木「はあぁぁぁぁああ!?」
鈴音「いつの間に妖ー兄、雪歩ちゃんとそんな親密になってんの!?」
ヒル魔「765プロにコイツのプロデュース任されてる」
一同「えええぇぇええぇぇぇっ!?」ドギャーン!
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:42:00.93 ID:i5OyujgV0
溝六「…………なるほどな。交換条件、とはいえ……」
溝六「もうちょいやり方ってモンがあんだろ。王城の秘密探るのに、そこまでやるか普通?」
栗田「先生、実に真っ当な意見……」
ヒル魔「うるせぇ糞アル中」
ヒル魔「手段なんか選んでいられるか。勝つために利用できるモンは何でも利用すんだよ」
雪歩「そ、そうは言っても……」
ヒル魔「あん?」
雪歩「ヒル魔君は、アメフトの練習も、あ、あるんですよね?」
雪歩「それなのに、私なんかのために、あれこれ面倒を見てくれて……」
雪歩「自分の練習時間も犠牲にして、見返りが、他校の情報だけというのは、どうなのかなーって」
ヒル魔「割に合わねぇってか?」ニヤッ
まもり「……?」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:43:19.73 ID:i5OyujgV0
雪歩「率直に言うと……は、はい……」シュン…
戸叶「雪歩ちゃんが落ち込む必要なんてないんだよ?」ニコッ
黒木「あんな外道の言う事なんか、何にも気にしなくていいからね?」キラキラ
雪歩「ひっ!?」ビクッ
ヒル魔「ケケケ、気にしなくていいのはアタリだ」
ヒル魔「糞モグラもテメェらも、黙って俺の言う事聞いてりゃいいんだよ」
栗田「ひ、ヒル魔ぁ、それはあまりに乱暴なんじゃ…」
ヒル魔「黙れ糞デブ!! 腸詰めされて美味しく出荷されてーか!!」ズダダダダッ!
栗田「うひゃああぁぁ……!」ばいんばいん
雪歩「ひぃ〜〜ん!! い、いつもこんな感じなんですかぁっ!?」
まもり(違う……!)
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:44:05.00 ID:i5OyujgV0
まもり(無茶苦茶で横暴なのはいつもの事だけど……何だろう)
まもり(今までのヒル魔君、黙って言われた通りにしろだなんて、あまり言わなかったはず)
まもり(こんな強引に、ロクに説明もしないなんて……何か、違う)
まもり(それに、あの楽しそうな顔……)
まもり(一体……何を、考えているのかしら……)
十文字「…………」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:46:30.85 ID:i5OyujgV0
〜月刊アメフト 編集部〜
『衝撃!! 桜庭春人、ジャリプロ引退の危機か!?』
ザワザワ…! プルルルルル…!
編集長「やれやれ、高校アメフト大会が延期になって、書く事が無くなって困る」
熊袋「桜庭君とジャリプロには悪いけど、とりあえず誌面を埋めるネタが出来て良かったですね」
編集長「だが、曲がりなりにもアイドルだ。
もし引退すれば、桜庭人気の分だけアメフトの注目度も下がるだろうな」
編集長「そもそも、アイドル人気にもあやかっていたのがこの業界の情けない所だが……」
編集長「アイシールド21とかも良いが、話題性のある選手やチームが出てこなければ、
我々も商売あがったりだぞ」
熊袋「う、うーん……それはそうですが……」ポリポリ…
FAX「」むぃ〜ん…
熊袋「おっ?」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:49:41.69 ID:i5OyujgV0
編集長「どうした?」
熊袋「いえ、ファックスが……アメフト協会から?」ペラッ
熊袋「こ、これは……!?」
編集長「何だ、どうしたと聞いてるんだ!」ガタッ
熊袋「あ、ある意味でもう一度、アイドル人気にあやかる事になるかも知れません……」
『アメフト協会全面協力! 765プロ V.S. 961プロ アイドル頂上ライブ対決!!』
編集長「な、なんだコレは……!?
編集長「何でアイドルのライブイベントなんぞにアメフト協会が絡んでくるんだ!」
島袋「し、知りませんよ!」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:51:15.93 ID:i5OyujgV0
〜765プロ事務所〜
ヒル魔「ケーケケケケケケケ!!」ゲラゲラ!
律子「どう考えてもおかしいですよ! 最初はただの一事務所のライブイベントだったのに……」
小鳥「な、何だか、泥門高校のヒル魔君が絡み出してから、話がどんどん大きくなってきてません?」
P「アメフト協会に働きかけを行ったのも、君か? ヒル魔君」
ヒル魔「まさか。勘違いすんな、俺はアメフト協会に協力なんざ仰いじゃいねぇ」
ヒル魔「大方、俺以外の派手好きなヤツが、話を大袈裟にしたんだろうなァ」〜♪
律子「ヒル魔君以外で、派手好きな人?」
ガチャッ!
黒井「ハァーッハッハッハ!!
今日の週刊誌を見たか765プロ! これでもう言い逃れはできんなぁ!?」
P・律子・小鳥「この人かーー!!」ガガーン!
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:52:32.26 ID:i5OyujgV0
高木「いやいやぁ〜、参ったよ。まさかここまで大事になってしまうとはねぇ、ハハハ」
黒井「フフン。そこの小僧には大いに世話になったよ。
忌々しい765プロを公明正大に潰す機会を、こうも簡単にもたらしてくれるとは」
ヒル魔「ケケケケ、何だって話はデカけりゃデカいほどいいからな」
ワハハハハハ…!
P「なるほどな。こうなる事を見越して、ヒル魔君は961プロを巻き込んだ訳か」
春香「あ、あのー……社長達、何であんなに楽しそうに話してるんですか?」
律子「知らないわよ。何であの三人、あんなに仲良しなのかしら」
やよい「ううぅ……負けたら私達、アイドル辞めなきゃいけないんですかぁ?」
千早「いくら話を大きくしたって、厳しい条件である事に変わりはありません」
雪歩「そ、そうだよね……」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:54:13.64 ID:i5OyujgV0
美希「……うぅ〜ん、何の話?」ムクッ
黒井「うおっ!? な、何だ、星井美希か」
美希「なんかオジサン達の声がうるさくて、起きちゃったの。あふぅ」
高木「我々がいる応接室のソファーの真ん中で、今の今まで寝ていたキミも大概だがねぇ」
ヒル魔「変なヤツばかりで飽きねェな」
高木「ありがとう。全くだよ」
美希「あぁ、今度の961プロとのライブ対決のこと?」
美希「んー、ミキ的には、別に大きくても小さくても変わんないかなってカンジ」
黒井「……何だと?」
美希「だって、ミキ達が勝てばいいってのは変わんないんでしょ?」
美希「ミキが出れば、チャチャーッて上手くいくから、何にも心配いらないって思うな」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:55:37.57 ID:i5OyujgV0
高木「ハッハッハ、これはまた、頼もしい事だ」
ヒル魔「ケケケ、言うじゃねぇか糞毛虫」
黒井「フンッ! 我がジュピターを相手に、随分と不遜な物言いだが、一つ残念なお知らせだ」
黒井「ジュピターが相手するのは星井美希、キミではない。そうだね、蛭魔妖一?」
美希「えっ?」
ヒル魔「あぁ、そうだな」
真美「えっ!? どういうこと、もう決まってんの?」
真「順当に行けば、今の765プロで最も知名度の高い、竜宮小町が相手をするって事なのかな」
黒井「蛭魔妖一が765側の代表として選抜したのは、萩原雪歩とかいうちんちくりんアイドルだ」
雪歩「…………え」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:56:54.17 ID:i5OyujgV0
真「ゆ、雪歩がっ!?」
響「765プロの代表で、ジュピターと!?」
雪歩「そんなっ! 私、ダメですぅ!! とてもジュピターさんの相手なんて務まら……!」
美希「いいよ」
雪歩「えっ?」
美希「雪歩なら、ちゃんとやれるから安心ってカンジなの」
美希「じゃ、おやすみー」バタン
黒井「あっ」
美希「Zzzz……」スースー…
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:58:46.05 ID:i5OyujgV0
黒井「フゥ〜、やれやれ。弱小事務所連中の、根拠の無い自信には困ったものだ。
あんなひんそーなちんちくりんに一体何ができ…」
ヒル魔「おい糞ブラック」
黒井「ンン〜?」
小鳥(糞ブラック!?)
ヒル魔「ちゃんと老人用のオムツ履いとけよ」
ヒル魔「俺が鍛える糞モグラのステージ観て、泣きながら漏らすハメになるんだからな。
何ならそのままステージに躍り出て見せびらかしてくれてもいいんだぜ?」ケケケ
ヒル魔「名は体を表す、てなぁ良く言ったもんだぜ。
その身を挺して放送禁止の黒塗りっぷりを表現してくれりゃ世話ねぇよなァ?」ケーケケケケ!
P「な、何という下品な煽り方だ……」
律子「大の大人が、しかも芸能事務所の一社長が、あんな挑発に乗るとは思え……」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 14:59:55.25 ID:i5OyujgV0
黒井「言わせておけば言いたい事をこの小僧ーーッ!!!」ガターン!
P・律子「やっぱり!」ガーン!
小鳥「あの人、昔からあんな感じなんです……」
黒井「よぉしいいだろう! せいぜい本番を楽しみにさせてもらおうではないか!」
ヒル魔「自慢のお友達には見せつけなくていいのか? 糞ブラックの世紀の[ピーッ]ショーをよ」
黒井「醜態を晒すのは貴様らの方だ!! 言われなくともたっくさん流布してやるさ!」
黒井「逃げ場が無くなった後で泣いて謝っても遅いのだからな!
せいぜい震えてその日を待つがいい、ハァーッハッハッハッハ!!」
ガチャッ バタン!
ヒル魔「アイツ高笑いしてばっかだな」
律子「ひ、ヒル魔君っ!」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:01:36.37 ID:i5OyujgV0
P「ヒル魔君、まずいよあぁいうのは。
大企業の社長を相手に、いくら勝つ気満々だとしても、それを露骨に示すと気を悪くされちゃうよ」
律子「そもそも勝つ気満々っていうのが信じられないわよ。
アレじゃ黒井社長の言う通り、根拠の無い自信で虚勢張ってると思われてもしょうがないわ」
ヒル魔「うろたえんな糞パイナップルに糞アルファベット」
律子「ファッキ……パイナップル!?」
P「アルファベットって、俺!? 俺のこの頭のこと!?」
小鳥(分かりやすい)
ヒル魔「テメェのペースで相手を動かすには、ビビらせんのが一番なんだよ」
ヒル魔「見ろよ、あの糞ブラック。もうHP更新してやがる。
感情的なバカは行動力があって助かるぜ、ケケケ」
P「本当だ……ライブの詳細と、協賛の企業に関する情報が見る間にアップされていく」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:03:17.83 ID:i5OyujgV0
律子「で、でもっ! まずは勝算が無い事には交渉も何も……!」
ヒル魔「アイドルってのは、観客を雰囲気に呑ませるのが仕事みてぇなモンだろ」
律子「……!?」
ヒル魔「本番では、あんなオッサン一人だけじゃねぇ、もっと大勢の観客共をビビらせなきゃなんねぇんだ」
ヒル魔「大企業の社長だか知らねぇが、その一人や二人くらい雰囲気に呑ませられねぇでどうすんだよ」
P「ん、うーん……それとこれとは、話が違うというか……」
高木「いや、ヒル魔君の言う事ももっともだと思うよ」
小鳥「そうでしょうか?」
高木「まぁ、何にせよ、だ……」チラッ
雪歩「あっ!? え、あう……えぇと……!」モジモジ…
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:05:43.54 ID:i5OyujgV0
千早「プロデューサー……本気ですか? 萩原さんを代表にすると」
P「お、俺に言うなよ。情けない話だけど、今回は俺は何も関与してなくて……」
雪歩「わ、私、無理ですぅ! 事務所の命運を掛けたライブ対決なんてぇ……!」ジワァ…
高木「責任は私が取る。ヒル魔君の手腕に掛けるとしよう」
律子「社長……前々から気になっていた事があります」
高木「何だね?」
ヒル魔「何で部外者である俺の言う事を、社長がホイホイ聞くのかってか?」
律子「えぇ、そうよ。
あなた、聞いた話だと脅迫手帳というものを持ち歩いているそうね?」
ヒル魔「ケケケ、誰から聞いた話か知らねぇが」ニタァ
律子「まさかとは思いますけど……社長の何か、後ろ暗い事をヒル魔君が握っていると?」
律子「引いては、社長には何か後ろ暗い事があるのかどうか……」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:07:52.64 ID:i5OyujgV0
高木「……フム」
律子「この場でお答えください、社長。
担当アイドルのプロデュースが、なぜ近所の高校生に好き勝手されなければならないのか」
律子「我々プロデューサーにも、メンツというものがあります。
これが明らかにされない限り、我々もこの事態を納得して受け入れる事はできません」
P「俺も律子と同じ意見です」
律子「ていうか、雪歩は元々プロデューサーの担当でしょう」
P「睨むなよ、ごめんて」
高木「…………ウム、分かった」
高木「ヒル魔君。私の方から説明しても構わないかね?」
ヒル魔「聞かれてんのはテメェだ。勝手にしやがれ」
高木「フフフ、ではそうさせてもらおう」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:09:27.51 ID:i5OyujgV0
高木「だが……始めに言っておきたい事がある」
高木「キミ達が今から聞く話は、そう明るい内容のものではない」
律子「! ……やはり、社長…!」
高木「まぁまぁ、最後まで聞いてくれたまえ」
高木「私がここで話そうが話すまいが、
我々がヒル魔君に協力しなければならない事実に変わりは無い」
高木「あるいは、聞かなければ良かったと後悔するような話かも知れない」
高木「でも、キミ達がそれを聞かなければ先に進めないというのなら、話そう」
P「…………」
高木「さて……察しの通り、端的に言えば、私はヒル魔君に弱みを握られている格好になる」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:12:18.73 ID:i5OyujgV0
春香「えっ!?」
律子「…………」
P「格好になる、とはどういう意味ですか?」
高木「この765プロを立ち上げるに当たっては、先代も苦労したんだねぇ」
小鳥「先代……前社長であり、会長の高木純一朗さんですね?」
高木「あぁ。小鳥君は、彼と仕事をしていた時期もあったから分かるだろう」
高木「社長と事務員の二人だけ……
プロデューサーはおろか、所属アイドルすらまともに確保できない時期が長い間続いた」
高木「当然、会社を満足に維持していけるような状態ではなかったワケだ」
高木「そこで、先代は魔が差してしまった……一時の気の迷いで、ギャンブルに目をつけたのだ」
高木「しかし、競馬やパチスロといった類いではない。
あてどなく彷徨い、歩いた末にたどり着いたのは、米軍基地」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:15:07.52 ID:i5OyujgV0
高木「そこで彼は、一人の中学生に出会った」
――――――
――――
『すごいな。キミには、どのチームが勝つのかが分かるのかい?』
『ケケケ、たりめーだ。俺が賭けた方のチームを指揮してんだからな』
『なんと! こ、こんな子供が、あのような屈強な男達を手駒にするとは……』
『アメフトは力だけじゃねぇ。ところでオッサン、何の用だ』
『こっちはヒマじゃねぇんだ。冷やかしならさっさと消えやがれ』
『頼む、少年!』ガバッ
『このしがない中年男に、人生を一発逆転するための秘策を教えてほしい』
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:17:35.17 ID:i5OyujgV0
『あぁ? 何だそりゃ、新手のギャグか』
『アイドル事務所を立ち上げているのだが、何ともかんともいかなくてねぇ』
『そりゃ大変だな。そこのアタッシュケースにあるヤツ、半分やるからどっか行け』
『えっ!? た、大金じゃないか、さすがに受け取れないよ!』
『目的も無く集めただけだ。次に掛ける分だけ手元に残して、後はやるってんだよ』
『……金や賭け事がどうでもいいのなら、なぜアメフトにこだわるんだ?』
『オッサンは何でアイドルにこだわるんだよ』
『それは、アイドルが好きだからさ』
『分かってんなら聞くんじゃねぇ』
『ムゥ……なるほどな』
『で、その大好きなアイドルが集まらねぇって話か』
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:19:10.64 ID:i5OyujgV0
『そうなんだよ。有望そうな子を探しているんだけど、なかなか見つからなくてねぇ』
『ケケケケ、才能のねぇカスは要らねぇってか?』
『そ、そうは言ってない!
だが……トップアイドルにするだけの実力があるかと言われると、正直……』
ザッ
『アメフトは個性のスポーツだ』
『えっ?』
『力だけじゃねぇ、つったろ。
それぞれに、自分の得意な武器を持ったヤツらが集まって闘う』
『そこで大事になるのは武器の強さじゃねぇ。闘い方だ』
『闘い方……?』
『あるモンで最強の闘い方を探ってくんだよ』
『無いモンねだりばっかしてる雑魚には、一生理解できねぇだろうけどな』
『…………ッ!!』
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:20:21.39 ID:i5OyujgV0
『俺から言えるのはそれだけだ』
『人生逆転のラッキーパンチすら狙って出せねぇオッサンじゃ、どうせ何やってもムダだ。
その金で、せいぜい消費者金融の懐を潤してくるんだな』ケケケ
『総合力ではなく、個性……個性を活かした闘い方、か……』
『……ヒル魔君、と言ったね』
『ありがとう。とても良い勉強になったよ』
『そして約束させてほしい』
『もし、私の事務所が僥倖に恵まれ、ある程度の繁栄を得ている時に、
キミが困っているような事があれば、その時は……』
――――
――――――
高木「その時は、どうか力にならせてほしい……というワケだ」
高木「大金だけでなく、ヒル魔君に説いてもらったアメフト論は、
先代、引いては我が765プロの理念にも大いに影響を与えたという訳だね」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:21:31.58 ID:i5OyujgV0
小鳥「先代とヒル魔君との間に、そんな事が……」
ヒル魔「その先代はどっか行方をくらましてるみてーだけどな。
よほど後ろ暗い事してんのか、この事務所」
高木「そ、そういうワケじゃないのだがね」
伊織「つまり……」ズイッ
律子「あ、伊織」
伊織「私が王城とつながりのある財閥の令嬢ってだけじゃなく、
765プロの関係者だって事も加味した上で、私を狙ったってワケ?」
ヒル魔「社長に話がいけば、断られるはずがねぇからな」
伊織「どこまで周到なのかしら……アンタ、ロクな死に方しないわよ」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:22:53.48 ID:i5OyujgV0
P「と、とにかくだ!」
P「確かに、先代社長はあぶく銭を受け取っていたのかも知れないが、
765プロはヒル魔君に弱みを握られているというより、恩がある、という事だな!?」
小鳥「あっ、恩! そうですね、恩です! プロデューサーさん上手い!」イヨッ!
律子「ヒル魔君からもらった資本金が無ければ、今の私達もこうしていられなかった……
あーあ、なんかショックだわ」
律子「でも、社長の仰った通り……
悔しいけれど、恩人である彼のやる事にケチを付ける筋合いは、私達には無さそうね」
高木「そういう事だ」
響「う〜……あのメチャクチャなレッスンが正当化されるのはイヤだぞ」
真美「真美、まだ受けたこと無いんだよねー。そんなにヤバイカンジなんだ?」
あずさ「うーん、一言で言うと、人間のやる事ではないわね〜」
春香「あずささん、結構辛辣っ!?」
雪歩(あれ……何か、おかしいような……?)
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:24:12.18 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「おら、分かったんならさっさとレッスン行くぞ糞アイドル共」ジャキキッ
春香「ひえぇぇっ!? そ、そういう危ないの持ち出さないでよぉ」
雪歩(お金をもらっていた事への恩義につけ込むのなら、
それを引き合いに、ヒル魔君は765プロに直接要求をすれば良いわけで……)
雪歩(わざわざヒル魔君が私達を……ていうか私を指導する必要、あるのかな……?)
ヒル魔「何ボーッとしてやがる。お前もさっさと来い」
雪歩(765プロは、先代が受けた恩義を無視できない。
ストレートに、ヒル魔君が他校の情報収集について要求すれば、応じていたはず……)
雪歩(何で、ヒル魔君は伊織ちゃんの依頼を無視しなかったのかな?)
雪歩(これじゃあまるで、ヒル魔君が765プロに、積極的に協力してくれ……)
ヒル魔「聞いてんのか、この糞モグラ!!」ズダダダダッ!
雪歩「ひいぃぃぃぃぃっ!?」
響「やっぱりアイツ、悪魔だぞ……」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:25:58.38 ID:i5OyujgV0
〜961プロ 社長室〜
黒井「年末のライブイベントで使ったデッカいスクリーンがあっただろう!
それを即刻手配しろ!」
黒井「PRも大々的に行うぞ! 報道機関各社に連絡を取れ!
週刊誌もな! あの渋澤とかいうジャーナリストも使って構わん」
黒井「ンンー!? ……いいだろう、そこは任せよう! くれぐれもぬかるなよ!」
ガチャン!
黒井「フゥ〜〜……」ギシッ
ミラクル伊藤「い、いやぁ〜〜黒井社長。お噂に聞いていた通り凄まじい働きぶりですねぇ〜〜」ヘコヘコ
黒井「ンー? 誰だ貴様は」
伊藤「や、ヤダなぁ黒井社長! お約束していたジャリプロの…」
黒井「あぁ、ミラクル伊藤殿か。失礼した、どうぞそちらに」
ギシッ…
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:28:07.16 ID:i5OyujgV0
伊藤「と、言うワケでですね、ウチの桜庭ちゃんを、今度のライブイベントで使っていただけないかなー」
伊藤「なんて! エヘヘ、そういう事をお願いできればなーなんて、思った次第でしてエヘヘ」ニコニコ
黒井「フム……」
黒井「桜庭春人……アイドルランクC。ビジュアル特化のスポーツアイドルか」
黒井「ボーカルは、目も当てられないような実力だと聞いているが?」
伊藤「ウグッ……!」
黒井「雑誌の販売イベントでミニライブを行ったら、あまりの不出来に気絶したファンもいたようだな」
伊藤(この男……どこまで情報を仕入れてやがる……!)ギリッ…!
伊藤「や、ヤダなぁ黒井社長。
何もジュピターの方々と競いたいだなんて思っていませんよぉ〜」ニコニコ
伊藤「むしろ、引き立て役になれればと思っているんです、えぇ」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:29:26.76 ID:i5OyujgV0
黒井「引き立て役?」
伊藤「そうですそうです。ホラ、そういうのがいた方が、盛り上がるでしょ? ねっ?」
伊藤「ジュピターさんや961プロさんのお邪魔にはなりませんから、ねっ?」キラーン
黒井「…………」ギシッ
伊藤(……ちょっと、強引過ぎたかな?)ゴクリ…
黒井「……了解した。その桜庭春人も、イベントの出演者に加えよう」
伊藤「! ……ほ、本当ですか!? やった、ありがとうございます!!」ガタッ
黒井「だが、あくまで前座だ」
伊藤「えぇーそりゃもう! ウチの桜庭ちゃんを使っていただけるんなら全然…!」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:31:45.03 ID:i5OyujgV0
黒井「よって、物販も桜庭春人のためのスペースは確保できない。それでよろしいか?」
伊藤「……へっ?」
黒井「大方、ライブイベントへの出演はおまけで、
本命はイベントに乗じた桜庭春人のグッズ販売による収益が目的だろう」
黒井「担当アイドルを引き立て役などと卑下するような輩に、かける情など無い。
自分のアイドルが一番であると、譲らぬ心すら無いのなら、ジャリプロは765プロ以下だ」
伊藤「な、んと……!?」
黒井「望み通り、せいぜい引き立て役にはなってもらおう」
黒井「蜜に群がるアリはアリらしく、せっせとおこぼれを掻き集めてみせることだな」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:33:12.60 ID:i5OyujgV0
ブロロロロ…
伊藤「ぐぬぬ……あ、の、黒井とかいうキザ野郎〜〜!!」
伊藤「こっちが好きでヘコヘコしてると思ったか!
下手に出てりゃ調子に乗っちゃって、くっそぉ〜〜……!!」
伊藤「ふむ……まぁいい……」ポパピプペ♪
伊藤「……」プルルルルル…
伊藤「……あぁ、桜庭ちゃん?」
伊藤「例の話ね、あれオッケーになったよ。うん、チョロいチョロい♪」
伊藤「それでねー、ちょぉ〜っと相談、したいんだけどねぇ?」
伊藤「桜庭ちゃん、やっぱりライブイベントで勝ちたいじゃない?」
伊藤「桜庭ちゃんの勝利に協力してくれる人、もちろん、王城にいたりするよねー? なんて」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:34:32.85 ID:i5OyujgV0
〜王城高校 更衣室〜
桜庭「い、いい加減にしてくださいっ!!」ガタッ!
高見「!?」
進「…………」
桜庭「そうまでして俺は、そんなイベントなんか……!!」
桜庭「それに、ウチにはそんなマネに荷担するような人はいません!
もう、勘弁してくださいよっ!!」
ピッ!
大田原「お、なんだなんだ桜庭どうした、腹減ってるのか?」ズイッ
高見「空気読め、大田原」
高見「ジャリプロからか? どんな電話だ、桜庭」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:35:53.95 ID:i5OyujgV0
桜庭「……くだらない話ですよ」
桜庭「俺がライブイベントで勝つために、
他のアイドルの妨害をしてくれる人が、王城にいないかって言うんです」
桜庭「タックル、すごいでしょって……アメフトを何だと思ってやがる……!」ギリッ
高見「なるほど……激昂するのも無理は無いな」
大田原「ばっはっは! ゲッコーするのは構わんが、イベントに勝つってのはケッコーじゃないか?」
桜庭「大田原さん……?」
高見(うわ、すっごいウンザリした顔)
大田原「勝てるならそれで良いじゃないか」
桜庭「えっ?」
大田原「よく分からんが、桜庭が勝てるというなら、俺達は何でも協力するぞ」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:37:31.00 ID:i5OyujgV0
桜庭「ば、バカ言わないでください!」
桜庭「あ、いやっ! 大田原さんがバカって意味じゃなくて……いや、えぇと…!」
高見「桜庭、言葉を選ばなくていい」
桜庭「俺がそんな勝ち方を望んでないってことです!
そんなのに協力してもらう必要なんてありません!」
大田原「ばっはっは! そうかそうか、じゃあヤメだ」
高見「だが、大田原は一つ良い事を言った」
大田原「ん?」
高見「勝利に飢える心は、いつだって俺達アメリカンフットボウラーに無くてはならない」
高見「勝つための手段を選ばない、というのは、一つの正義でもある」
高見「進、お前はどう思う?」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:39:34.10 ID:i5OyujgV0
進「…………」
進「……自分は、勝つための手段を多く見出せるほど、器用な人間ではありません」スッ
ガッシャン!
進「強くなる……自分の手段は、それだけです」
ガション…! ガション…!
桜庭「進……」
高見(ここ、更衣室だぞ、進……)
大田原「ばっはっは! 進も俺に負けず劣らずバカだな!」
大田原「おっと屁」ボフッ
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:40:22.50 ID:i5OyujgV0
高見「強くなる、か……」
高見(それを有言実行できる人間が、どれだけいるか……)
高見(俺達凡人は、醜く愚かしい手段にすがる可能性を常に否定する事ができない)
高見(フッ……ヒル魔妖一、か)
高見(彼なら、四の五の言わずに実行するだろう。それが目的であるなら)
高見(もっとも、あの男がアイドルのイベントに執心する姿など、想像もつかないが……)
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:44:13.60 ID:i5OyujgV0
〜レッスンスタジオ〜
雪歩「ひいぃぃぃぃっ!!」ダダダダッ!
ヒル魔「泣き顔しかできねーのか、糞モグラ!!」ズダダダダダッ!
伊織「ちょっとアンタ、いい加減にしなさいよ! こんな非常識…!」
ポンッ
伊織「ん?」クルッ
やよ「…………」
やよ「うっうー(低音)」ピョコッ
伊織「い、えぇぇぇっ!? 何この可愛い生き物ー!?」がっしぃ
真美「あぁっ! いおりん危ないっ!!」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:47:21.61 ID:i5OyujgV0
伊織「へっ?」
やよ「うっうー(低音)」ジャキッ…
やよ「」どぱぱぱぱぱぱっ!
伊織「ぎゃあああーっ!! いぃだだだだだっ!!」
ヒル魔「この『死の行軍』に参加するヤツらが増えてきたからな。
俺の代わりになるヤツを数体用意した」
ヒル魔「キャラクターデザインは泥門の漫画研究会、
中身の機械はロボット工学部の連中が、快く徹夜で作ってくれたぜ」ケケケケ
真「絶対快くないだろ、それ……」
春香「あ、でも見てっ! 私や千早ちゃんみたいなのもあるよ、可愛い!」
ちひゃー「くー」ジャキンッ
はるかさん「かっかー」ズオオォォ…
千早「手にしている物騒な物さえ無ければね」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:50:16.70 ID:i5OyujgV0
あふぅ「ナノ、ナノー!」どぱぱぱぱぱぱっ!
美希「うわっ、と。危ないなぁ、えいっ」ヒョイッ タタン タンッ!
ドローン「」ヴィーン
美希「アハッ☆ ドローンも、よく見てみると可愛いの!」ニコッ
美希「ひぁうぃご♪ ひぁうぃご きみーとー♪」タンッ タンッ
亜美「うあうあー! ミキミキすごすぎっしょー」
あずさ「ほとんど完璧にこなしてるわね〜」
響「まだこのレッスンに参加して日が浅いのに、本当器用だなー美希は」
ヒル魔「ほーぅ……」
貴音「蛭魔妖一」
ヒル魔「なんだ糞銀髪」
貴音「ライブイベント本番での、765プロの代表は、美希に任せてはいかがでしょう?」
雪歩(うん……私よりも、美希ちゃんの方がずっと……)
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:51:38.46 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「選抜に変更はねぇ」
雪歩「えっ!?」
ヒル魔「テメェだって糞モグラの方が適任だと思ってんだろうが」
貴音「ふふっ、見抜かれていましたか」
雪歩「な、何でですかっ! 私なんて、未だにこの特訓についていけてないダメダメで…!」
美希「雪歩は……」タン タンッ
雪歩「美希ちゃん?」
美希「……いよっと。全然ダメダメじゃ、ないの、っと!」タタンッ タンッ
あふぅ「ナノー……」グデー
美希「アハッ☆ いっぱい撃って疲れちゃったみたい」ナデナデ
美希「例えば、春香だったら、嫉妬しちゃうって思うな」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:52:42.71 ID:i5OyujgV0
春香「うぇっ!?」ドキッ
美希「ううん、竜宮小町でもそう。真クンでも、響も貴音も、真美もやよいも……」
美希「千早さんになったとしても、何でミキじゃないの! って、怒っちゃう」
美希「でも、雪歩ならナットクできるの」
雪歩「それは、何で……!」
美希「雪歩は一番強いの」
雪歩「!?」
美希「一番強いコが代表になるのは、全然ヘンじゃないって思うな」
美希「ねっ、ヒルの人?」ニコッ
ヒル魔「…………」
響(あっ、ちょっとイラッとしてる)
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/27(土) 15:54:00.91 ID:i5OyujgV0
雪歩「や、やめてよ……」
伊織「……雪歩?」
雪歩「私なんて、ダンスもボーカルもできない、泣き顔しかできない……!」
ヴィーン…
雪歩「そんな私が、皆の代表になって出場しても、惨めになるだけだよ!」
真「雪歩っ! 弱気になっちゃダメだ!」
ヴィーン…!
雪歩「私なんかに、期待しないで! 私なんか……!」
雪歩「私なんかっ!!」ジャキッ!
春香「落ち着いて雪歩! スタジオの床は掘っちゃダメ!!」
響「雪歩、スコップをしまうさー!!」
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