ヒル魔「ぶっ!こ!ろす!!」雪歩「い、いえぇぇぇい!!」

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154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:28:47.18 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「止めるかどうか、決めるのはアイツだ」



雪歩「はぁ……はぁ……」


ゆきぽ「ぽえぇ〜……」

雪歩「え、えへへ……心配、しなくていいよ?」ナデナデ

雪歩「ちょっと、転んだだけだから……いつもの、事だから……」

ガクガク…



雪歩「……やります」

真美「む、ムチャだよぅゆきぴょん……」グスッ…


ヒル魔「大抵のヤツなら、こう考える」

ヒル魔「自分はやるだけやった、充分に頑張った、もういいだろう、ってな」

千早「……?」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:30:06.94 ID:i5OyujgV0
雪歩「はぁ、はぁ……」スッ


ヒル魔「コイツは、安い慰めで自分を言いくるめる事なんざ考えちゃいねぇ」

ヒル魔「勝利に飢えるってのは、そういう事だ。
    まして、他の誰かじゃなく、自分への勝利ってのは曖昧な分タチが悪ぃ」ジャキン

美希「自分への、勝利……」



雪歩「……ッ」ギリッ



ヒル魔「ちんちくりんのクセして、生意気なヤツだぜ。ケケケ……覚悟はいいか?」

雪歩「はいっ!」


ズダダダダッ…! タタン タンッ タンッ…
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:32:07.62 ID:i5OyujgV0
あずさ「雪歩ちゃん……」


ゆきぽ「ぽ、ぽえぇ〜……」グデー…

伊織「……」ナデナデ

伊織(心なしか、雪歩に似たこの子も、随分くたびれているように見えるわね)


ズダダダッ…! キュッ! タタンッ タンッ…



貴音「……蛭魔妖一」

貴音「貴方の狙いが、少し見えてきた気がします」



  打ちのめされた事が無い選手など存在しない。

  ただ、一流の選手はあらゆる努力を払い、速やかに立ち上がろうとする。

  並の選手は、少しばかり立ち上がるのが遅い。

  そして、敗者はいつまでもグラウンドに横たわったままである。


   ――テキサス大学アメリカンフットボールコーチ ダレル・ロイヤル
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:40:40.78 ID:i5OyujgV0
〜ジャリプロ事務所〜

伊藤「…………」ブクブクブク…


 『辞表  桜庭 春人』



伊藤「さ、桜庭ちゃんが……」

伊藤「こんな……あぁ…………」



伊藤「あ、諦めないぞ……!」グッ

伊藤「絶対に桜庭ちゃんは、アイドルとしてまだやれるんだ」

伊藤「アメフトなんていうボール遊びに取られてなるものか!」ダッ!
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:42:32.51 ID:i5OyujgV0
ガチャッ!

伊藤「おいっ、車を出……!」

伊藤「せ……って、え?」



社員A「あ、あがが……!」

社員B「……」ピクピク



伊藤「え……き、キミは、たしかアメフト、の……」



阿含「……あ゛ぁ〜〜〜〜、やっと来やがったか」スクッ
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:43:58.03 ID:i5OyujgV0
スタスタ

伊藤「な、何しにココへ来たんだっ!?
   というか、キミ、まさかウチの社員に乱暴を…」

ガッ ドンッ!

伊藤「ひっ!? い、痛い……!」ググッ


阿含「泥門のカスがバックアップしてるアイドルがいるんだってな」

伊藤「へっ?」



阿含「テメェのカスアイドルを引き立たせてやるってんだよ」

阿含「俺が765プロのソイツを出場不能にしてやりゃいいんだろ?
   王城に持ちかけた話を、俺が代わりにやってやろうじゃねぇか」

伊藤「き、キミ、どうしてそれを……!?」



阿含「もちろんタダとは言わねぇ」

阿含「ビジネスと行こうぜ、なぁ……?」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:45:41.88 ID:i5OyujgV0
〜765プロ事務所〜

ヒル魔「おーおー、天下の961プロ様のクセにケツの穴の小せぇこった」ケケケ

黒井「何だとぉっ!? ぐぬぬいいだろう、では500万だっ!!」

高木「ひ、ヒル魔君〜。ちょっと困るよ、私そんなお金持ってないよ?」

黒井「ハァーッハッハッハ!! さすがは弱小事務所だな高木ィ!
   たかだか500万ぽっちも払えないとは、惨めにも程がある!」

ヒル魔「その500万ぽっちを提示するまで散々ゴネてた、ケチくせぇ社長サマは誰かなァ?」ケーケケケ!

黒井「な、何だとぉっ!? お、おのれぇ言わせておけば、ならば700万だっ!!」

ギャーギャー…!



P「なぁ、あれ何やってんだ?」

律子「ライブイベントでお金を賭けるんですって。負けた方が勝った方に」フンッ

P「えぇっ!? ちょ、ちょっと待てよ、負けたらウチが700万払うってこと!?」

律子「もっと上がるんじゃないんですかー?」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:47:16.37 ID:i5OyujgV0
律子「まったく! 男共ときたら、揃いも揃ってバカみたい!
   勝手にしなさいよ、もう知らないんだからっ」プンスコ

小鳥「ふふっ、それにしても楽しそうですね」

律子「当事者が、あんな必死になって頑張っているのに……!」



小鳥「雪歩ちゃん、あれからどうですか……?」

律子「……何とか、レッスンメニューはこなしています」

律子「でも、終わった後は、自分で立てなくなるほどに疲労困憊の状態で……
   正直、本番当日まで壊れないでいられるかどうか……」

小鳥「……そうですか」



P「……俺から、彼に話をしてみよう」スクッ

律子「あっ、プロデューサーさん」



コンコンッ

ヒル魔「……?」

P「ヒル魔君……ちょっといいかな?」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:49:01.52 ID:i5OyujgV0
〜765プロ事務所 屋上〜

P「…………ふぅ〜、っと」ノビー


P「屋上は、主に喫煙所だ……俺はタバコは吸わないんだけどさ」

P「仕事で失敗したり、嫌な事があったら、ここに来てボーっとして、気分転換するのが
好きなんだ」

ヒル魔「…………」

P「遠くに電車が……ほら、あそこ。あぁして通り過ぎるのを眺めたりさ」

P「泥門高校は、方角的にはあっちかな。君は電車通学かい?」


ヒル魔「……テメェの仕事の愚痴を聞くために俺は呼ばれたのか?」

P「いや、雪歩の話だ」


P「俺は雪歩のプロデューサーだ。
  いくら君への協力が社長の肝入りとはいえ、担当アイドルが壊されるのを黙って見過ごす事はできない」

ヒル魔「…………」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:52:03.50 ID:i5OyujgV0
P「だが、止める気も無い」

ヒル魔「?」ピクッ

P「なぜなら、あのレッスンを完遂してステージに上がる事が、彼女自身の願いだからだ」


P「だから、屋上に連れて来たんだ。
  俺が今言った事を律子に聞かれたら、どやされるからね」

P「実際、担当アイドルを守ろうともしない俺は、プロデューサー失格だろうな」

ヒル魔「…………」



P「だが、教えてくれないか」

P「君は、なぜそこまでして雪歩にこだわるんだ?」

P「アメフトとアイドルは、まるで真逆……真裏の世界だ。
  彼女のプロデュースが、君のアメフトにどれだけ関わるというんだ」



ヒル魔「アメフトは、敵と味方しかいねぇ」

P「…………」

ヒル魔「倒さなきゃならねぇヤツらがいる。
    そのための特訓があり、揃えたカードをどう切るかの戦略を立てる」

ヒル魔「大まかに言えば、その連続だ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:53:46.26 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「逆に聞くが、アイドルの世界はどうだ?」

ヒル魔「倒さなきゃならねぇヤツがいるのか?」


P「どうだろうな……目標は、皆それぞれある」

P「憧れていた人のようになりたい、家族を養いたい、楽しみたいキラキラしたい……
  それぞれだ。一概にはとても言い尽くせない」

P「だから楽しいんだ。
  13人が13通りの夢を持っていて、それぞれに応じたプロデュースがある」

P「倒す、倒されるという明確な結末が無い分、アメフトよりも不明瞭ではあるのかも知れないな」

ヒル魔「そういう事だ」

P「えっ?」

ヒル魔「確かに、世界の裏側だ……だから、違う」



ヒル魔「目標が明確なら、取るべき手段も明確だ」

ヒル魔「到達してぇって願う夢が曖昧で不明瞭じゃ、行き先もルートも分からねぇはずだ」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:54:56.89 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「だが、あの糞モグラは自分を見失わずに前を見続けていやがる」

ヒル魔「それが気にくわねぇのと、知りてぇってだけだ」

P「知りたい……雪歩の強さの秘密を、か」


ヒル魔「もうこんなつまらねぇ事聞いてくんじゃねぇぞ、糞アルファベット」ザッ

P「すまない、最後にもう一つだけ聞かせてくれ」


P「君が初めて雪歩に出会ったのは、いつなんだ?」



ヒル魔「賊学のヤツらとさらった時だよ」

ガチャッ キィィ…

バタン…



P(……そんなはずは無い)

P(予め雪歩をさらう事を画策していたのなら、もっと前から雪歩を知っていたはずだ)


P「どういう事なんだ……」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:57:05.32 ID:i5OyujgV0
〜本番二日前 レッスンスタジオ〜

雪歩「〜〜〜ッ♪  〜〜〜〜〜♪」タンッ タン…


雪歩「〜〜♪ 〜〜〜、〜〜〜〜〜!♪」キュッ タッ タンッ!



雪歩「…………はぁ、はぁ……!」



律子「文句無し、ね…………よくやったわ、雪歩」



やよい「うっうー!! 無事『死の行軍』おしまいですー!!」ピョーン!

真美「やったぁー!! 亜美タッチ!」
亜美「タッチ!! やよいっちもタッチ!」パチン!
やよい「はいターッチ!! いぇい!!」パチン!

たかにゃ「しじょ!」 スッ 【祝 完走】
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 17:59:03.38 ID:i5OyujgV0
あずさ「本当に、よく頑張ったわね、雪歩ちゃん……」

雪歩「はぁ、はぁ……あ、あずささん、私……」


あずさ「私、実はね? 本当は雪歩ちゃん、やり遂げられないんじゃないかって、思っていたの」

あずさ「もしそうなっちゃったとしても、雪歩ちゃんが自分を追い詰めたりしないように、
    ちゃんとフォローしてあげなくちゃって、色々と考えてはいたのだけれど……」

あずさ「余計なお世話だったわね。ふふっ……本当に、すごいわ雪歩ちゃん」

雪歩「私は……迷惑、かけちゃったあずささんの、ぶ、分まで……え、っぐ……!」ジワァ…

あずさ「……その思いだけで、十分よ」ギュウッ

雪歩「う、わぁあぁぁ……!」ポロポロ…



春香「ううぅぅ、雪歩ぉ、すごいよぉ頑張りすぎだよぉ……!」グスッ

貴音「彼女の持つ、挫けぬ強い心による努力が結実した瞬間です。真、お見事です」

美希「ほらっ、ミキの言ったとおりでしょ?
   この調子でやれたら、本番もきっとラクショーなの!」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 18:00:48.92 ID:i5OyujgV0
雪歩「そ、そうだ本番!」ハッ!

伊織「さては『死の行軍』を終えた達成感に酔いしれて、本番を忘れてたわね」

響「いいじゃんかそれくらい! すっごいレッスンを終えたばっかりなんだぞ!」

雪歩「ううぅぅ……じゅ、ジュピターさん達に勝てなかったら、
   私達、アイドル辞めなきゃいけないんでしたぁ……!」

千早「しかも、負けた方が勝った方に1000万円を支払うという話らしいわね」

律子(あ、また増えたんだ)



ヒル魔「ケケケ、戦う前からビビってんじゃ勝敗は見えたモンだな」

雪歩「ヒル魔君……」


ヒル魔「テメェみてぇなビビりでも、闘志を奮い立たせる魔法の掛け声がある」


雪歩「えっ!?」

ヒル魔「知りてぇか?」ニヤッ
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 18:01:54.37 ID:i5OyujgV0
〜泥門高校アメフト部〜

一同「ぶっ!!」

一同「こ!」

一同「ろす!!」

一同「Yeah―――!!!」



雪歩「ひいぃぃぃ……!」ガタガタガタ…!

P「何という恐ろしい掛け声だ……」


モン太「それくらい、相手に勝つ! つー気合いが必要なんスよ!」

十文字「別に反則行為をしてまで相手をぶっ殺すワケじゃねぇ」

律子「で、でも、アイドルが本番前に行う掛け声としてはどうかと思うわよ」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 18:03:22.38 ID:i5OyujgV0
栗田「まぁまぁ! 一つのおまじないみたいなものだと思って」

まもり「気持ちは分かりますけど、慣れると意外と、違和感なくなりますよ」

P「そりゃそうだろうけどさ。あんまそのー、アメフトとアイドルは違うっていうかさ……」


セナ「僕も、最初はおっかなかったですけど……」

セナ「誰かに勝ちたいって気持ちを奮い立たせるには、一番だと思っています。
   あと、情けない自分にも、とか」

雪歩「自分に、勝ちたい……アイシールドさんでも、そう願う時があるんですね」

セナ(あ、そっか今防具着けてるから……うん、そうね)



ヒル魔「モノは試しだ。こっち来て一緒にやってみろ、糞モグラ」



雪歩「…………」ゴクッ

イソイソ…


黒木「うっひょぉ……雪歩ちゃんが隣に」

戸叶「バッカお前、鼻の下伸びてんぞ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 18:05:07.43 ID:i5OyujgV0
雪歩「わ、私は……」

雪歩「皆さんのご期待に応えられるか、分かりません。だけど……」

雪歩「やっぱり、勝ちたいです。
   勝って、支えてくれた765プロの皆や、ファンの人達に、恩返しをしたいなぁって」

雪歩「もちろん、ヒル魔君や泥門高校の皆さんにも……だから」

雪歩「私、勝ちに行きます!」


ヒル魔「勝ちに行くんじゃねぇ。ステージに立ったら考える事は一つだ」

ヒル魔「会場に来ているヤツら、丸ごとビビり倒して殺しやがれ」ケケケ

雪歩「うえぇぇぇっ!?」

一同「ぶっ!!」

雪歩「あ、わっ、ぶっ……!」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 18:08:10.98 ID:i5OyujgV0
一同「こ!」

一同「ろす!!」

一同「Yeah―――!!!」

雪歩「い、いえぇぇぇぇいっ!!」

ヒル魔「寝てんのか糞モグラ!! 主役がタイミング外してんじゃねぇ!!」ズダダダッ!

雪歩「す、すいませぇぇんっ!」

ヒル魔「もう一回だ!」


一同「ぶっ!」

一同「こ!」

一同「ろす!!」

一同「Yeah―――!!!」
雪歩「いえぇぇぇぇいっ!!」





コソコソ…

渋澤「クックック……」スチャッ

渋澤「……旦那。良い土産ができましたぜぇ」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 18:11:33.91 ID:i5OyujgV0
20時頃まで席を外します。
残りはあと5分の2くらいです。今日中に投下しきる事ができればと思います。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:02:34.75 ID:i5OyujgV0
〜当日 ライブイベント会場〜

セナ「うわあぁぁ……」


ガヤガヤ…


モン太「すげぇ人数だな。注意マックスしねぇとすぐに迷子になっちまうぜ」

栗田「でいへほいっはいでへふほー(出店もいっぱい出てるよー)」モリョモリョ

セナ・モン太「既にすごい量っ!!」


鈴音「泥門デビルバッツでーす! あっ、こんにちはーデビルバッツでーす!」パタパタ

まもり「鈴音ちゃん、何してるの?」

鈴音「あっ、まも姉も手伝って! 妖一兄から言われて、ウチらの宣伝してるの」ピラッ


 『最凶チーム 泥門デビルバッツ ○月×日 アメフト東京大会初戦!!
  アイシールド21の殺人走法が炸裂する瞬間を見逃すな!!』


セナ「走(ラン)でどうやって殺人を……?」

モン太「これ、本当に宣伝になんのか?」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:04:30.32 ID:i5OyujgV0
鈴音「会場にいる全員をビビらせろ! ハートを掴むってのはそういう事だ!」ケケケ!

鈴音「って言われたもーん♪」

まもり「鈴音ちゃん、ヒル魔君のモノマネ上手いね……」

黒木「主役でもねー俺達が観客のハート掴んでどうすんだよ」

溝六「で、そのヒル魔はどこにいんだ?」グビッ

雪光「一足早く会場に行くって言ってました」


 <シーラヌーガー ホトケ ホォーット-ケナイ クーチビル ポーカーフェーーイス♪

まもり「あっ……」ピッ

セナ「まもり姉ちゃん、どうしたの?」


まもり「……ヒル魔君から。頼みたい事があるんだって。
    ちょっと行ってくるわね。セナ、私の分まで物販見てきて!」タッ

セナ「あっ」

タタタ…



溝六「本当に付き合ってねぇのか、あの二人?」

セナ「うぇ、い、いやぁ〜……僕にはとんと……」ポリポリ
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:06:21.48 ID:i5OyujgV0
溝六「まぁなんだ……結局アイツ、アメフトの練習もしっかりこなしてたからな」

溝六「アイドルさんの面倒の方が疎かになってんじゃねぇかって心配したが……」

セナ「いえ、それが聞いた話じゃ、むしろあっちにいる時の方が生き生きしてたぞ、って」


戸叶「……聞いた話って、お前それ誰から聞いたんだよ?」

セナ「えっ? い、いやあの、我那覇響ちゃん、って子から」

戸叶「ハ?」
十文字「はぁ?」
黒木「はぁぁぁああ!?」

セナ「ひぃぃぃっ!? ご、ごめんなさい!!」

モン太「ていうか、絶対十文字も765プロのアイドル好きだろ」

十文字「あん? む、ぐ……」



十文字「……ま、適当に物販でも見て回るか。まだ時間あんだろ」ザッ

鈴音「誤魔化したー♪」ピョコッ

雪光「あっ、雪歩ちゃんのグッズだ……焼肉のタレ、買おうかな」

夏彦「僕らも行こうか鈴音! 鈴音の着れるサイズのTシャツがあるといいね」グッ!

鈴音「へっ、兄さんそれどういう意味?」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:07:19.01 ID:i5OyujgV0
夏彦「アハーハー、最近言ってたじゃないか、シュークリームを食べ過ぎて太ったとか…」

鈴音「太って!! な、いっ!! つーの!!」ギャリギャリギャガゲガギドギャゴ!!

夏彦「ア゛ア゛ア゛ァァァァァァッ!!!」

黒木「バカはほっとけ」

戸叶「だな」

テクテク…





小結「………………?」

小結「……ッ!?」キッ



ザワザワ…  ガヤガヤ…



小結「…………ッ」ハッ… ハッ…!

セナ「小結君、どうしたの?」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:08:46.80 ID:i5OyujgV0
小結「ッ!!」クルッ

小結「し、神龍!!」

セナ「しんりゅう?」

小結「ッ!!」コクコク!


セナ「しんりゅう? ……」

セナ(ど、どういう意味なんだろう……神竜……げ、ゲーム!?)

セナ(それともあの7つのボールの……でも何でこのタイミングでそんな話題!?)

セナ「ダメだ、小結君ごめん! く、栗田さんちょっと通訳…!」



店員「あー、お客様!! 困りますっ! あー!! お客様っ!! あーお客様!!」

栗田「うまふぃす」モゴモゴ



セナ「他人のフリしといた方が良さそうだ」(真顔)

小結「…………」ゴクリ…
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:10:49.83 ID:i5OyujgV0
〜会場 765プロ控え室〜

春香「はい、雪歩っ! 春香さんお手製のクッキーですよー♪」

雪歩「あ、ありがとう春香ちゃん」

律子「はーるーか。本番前にそんなもの食べたら喉がパサパサしちゃうでしょ?」

春香「ぱ、パサパサしませんよぉ! ちゃんとしっとりテイストに作ったんですから」

貴音「なるほろ、びみでふね」モゴモゴ

春香「なああぁぁぅ!! た、貴音さん全部食べないでっ!」

雪歩「えへへへ」ニコニコ



伊織「私達の命運がかかった大一番の前だってのに、随分とリラックスしてるじゃない」

雪歩「あ、伊織ちゃん」

千早「私では、春香のように気の利いた事は出来ないけれど……」スッ

コトッ


千早「お茶を……萩原さんの口に合わなければ、無理して飲まなくてもいいから」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:12:16.47 ID:i5OyujgV0
雪歩「ううん、千早ちゃん」

ズズズ…

雪歩「はぁぁ……落ち着きますぅ」

雪歩「……ありがとう、千早ちゃん。嬉しい」ニコッ

千早「わ、私は、別に……」カァァ


亜美「ねーねー兄ちゃん、ゆきぴょんの出番そろそろ?」

P「ん? もう少しかな。
  ジャリプロの桜庭春人が出なくなって、セトリも繰り上がったし」

響「アレは驚いたよなー。まーアメフトと両立するのは難しかったんだろうけどさ」


やよい「……あれ? うー、でもおかしい気がします」

真「何が、やよい?」


やよい「ここに来る前、外に桜庭さんの物販スペースがあった気がしたかなーって……」

真美「何だ、じゃあやっぱり出るの?」

律子「いや、もうプログラムは組まれてあるわよ。彼が出る予定は無いわ」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:14:50.22 ID:i5OyujgV0
あずさ「あら〜、じゃあ、何で桜庭春人さんの物販があるのかしら〜?」

律子「そんな事聞かれても……」


律子「……ところで、先ほどからヒル魔君の姿が見えないけれど」キョロキョロ

雪歩「なんか、用事があるって言ってましたぁ」

伊織「本番直前の担当アイドル放るほどの用事って、何よ」

P「今日のステージ用マイクも、彼が持ってきてくれる手筈になっていたはずだ。
  そろそろ準備をさせたい所なのだが……」

響「アイツの事だから、絶対ロクでもない用事に決まってるぞ」


雪歩「あまり良くない事を企んでいるのは、たぶんそうだと思います」

雪歩「だけど、ヒル魔君はたぶん、私を勝たせるための準備をしているんだと思うんです」

伊織「大した信頼関係ね」

雪歩「えへへ、あの……理由が無い事は、たぶんしないと思うから、あの人」

律子「……それもそうね」



P「ところで、美希は寝坊か?」

真「あ、そろそろ着くって連絡ありました。ボク迎えに行ってきます!」ダッ

P「しょうがないヤツだなぁ、アイツも」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:16:12.79 ID:i5OyujgV0
〜会場外 物販スペース〜

キャーッ! サクラバクーン!!  チョーダイチョーダイ!!

伊藤「あ、アハハハ。はい押さないでー、まだまだグッズはありますよー」

女性客「キャーッ!」「Tシャツくださーい!」

伊藤「ハハハ、は、は……!」チラッ



男「ぐっ……う、うあぁ……」ピクピク…



伊藤「ハハハ……」カタカタ… 

伊藤(き、気まずい……ていうか)

伊藤(コレ、犯罪だよねー、フツーに考えて……!)ガタガタ…!

伊藤(やっぱり乗っちゃマズかったかなー! でも断れなかったよなー!?
   殺されるって思っちゃうもんなー!?)
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:17:34.50 ID:i5OyujgV0
女A「ねーねー! 今日は桜庭君ライブに出るんですかー!?」

伊藤「はぇっ!?」ビクッ

女B「やだぁ、出るに決まってるじゃない! 出ないのにグッズ売るわけ無いでしょ?」

女A「えー? だってさーニュースやってたじゃん。引退するとかって」

女B「バカね、私達ファンを驚かせるためのフェイクニュースよ。ねー店員さん?」

伊藤「あ、アハハ……私一応社長なんだけどね」


伊藤(どうしよう。言いづらい……でも、言えない)

伊藤(こんな良い立地で、こんな繁盛してるのに……)

伊藤(正規の販売店員を半殺しにして得たスペースで売った所で、嬉しくもなんとも……!)



伊藤(桜庭ちゃん……ごめん。私は間違えてしまったようだ……)

伊藤(彼に唆されたとはいえ……)
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:19:08.92 ID:i5OyujgV0
〜会場外通路〜

ゴキャッ

警備員「あ、がっ……!?」

ドサッ



ツカツカ…

阿含「……チッ。カスの汚ねぇ血が付いた」ゴシゴシ


阿含「…………」



阿含(……この辺りだな)
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:21:34.51 ID:i5OyujgV0
阿含(…………?)ピタッ



テクテク…


美希「ふわぁぁ…………あふぅ」

美希「おんなじような通路ばっかりで、よく分かんないの」

美希「控え室、どこから入るのかなぁ?」



阿含「…………」ニヤッ



美希「デコちゃんに電話しよっと。あ、でも待っていればそろそろ真クンが迎えに…」

阿含「そこの君」

美希「ん?」クルッ
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:23:09.45 ID:i5OyujgV0
阿含「萩原雪歩さんに会いたいんだけど、どこかな?」

美希「え、雪歩?」

美希「あー。ひょっとしてファンの人でしょ。
   ダメなんだよ? 本当はここ、関係者以外立ち入り禁止なの」

美希「それに、ミキも迷ってる最中だから、聞かれても答えらんないの。ゴメンね?」

阿含「あぁ、そうなんだ。じゃあ一緒に探さない?」スゥ…


美希「えっ、なんで?」サッ

阿含「……!」ピクッ

美希「?」キョトン



阿含(……コイツ、死角から伸ばした俺の手をナチュラルに避けやがった)



美希「ミキの話聞いてた? ファンの人は、ここに来ちゃダメなの」

美希「雪歩のファンなら、そういうレーギはちゃんと持っててほしいって思うな」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:24:49.75 ID:i5OyujgV0
阿含「……あ゛ぁ〜〜〜、そうそう」ポリポリ

美希「?」


阿含「雪歩ちゃんの面倒見てる、ヒル魔ってヤツ、いるだろ?」

阿含「ソイツにちょっと用があるんだわ。言わなくて悪かったけどさ」

美希「あ、なんだ、ヒルの人のお友達? じゃあ話は早いの!」

美希「と言っても、ミキも場所分かんないから、他の人に聞こ?
   どこかいないかなぁ?」キョロキョロ

阿含「…………」



美希「ムムッ、あっちに人の気配が。ねぇねぇ、そこの人ー!」タタタ…


阿含「…………」

美希「あれ、寝てるのかな?
   警備員さんがお寝坊さんじゃ困るの、ねーねー起き…」グイッ

警備員「」ゴロン

美希「て…………」



美希「……ッ!?」ゾォッ…!
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:28:10.87 ID:i5OyujgV0
美希「な……何、これ……!?」

美希「誰が、こんなひどいこと……!」


ズォォッ…!

美希「ッ!?」

シュバッ! スカッ


タッ

美希「……ッ!」

阿含「やっぱりテメー、俺の動きが見えてやがんな」



美希「……ファンの人じゃないの?」

美希「警備員さんに、こんなひどい事をして……!」



阿含「……あ゛〜〜〜〜?」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:30:48.97 ID:i5OyujgV0
阿含「ククク……ファンだと? 俺がカス共の?」

阿含「笑いに来てやったんだよ。それと、現実を教えてやりにな」

美希「えっ……」


阿含「ヒル魔とかいう狡いだけのカスが、同じく才能のねぇヤツ捕まえて、
   夢見て努力しちゃってるらしいからよ」

阿含「そういうウジ虫共を」

阿含「プチッ」

阿含「と踏み潰してやるのが最高に楽しいってだけだ」

阿含「ジャリプロと961プロからは、邪魔者を潰した謝礼もオマケでもらえるしな」


美希「雪歩を、どうするつもりなの!?」

阿含「どうもしねぇよ。ただ横にいるプロデューサーをリタイアさせてやるだけだ」

美希「!!」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:36:42.93 ID:i5OyujgV0
阿含「961の社長、アイドルには危害を加えずに陥れろとかメンドくせぇ注文付けやがったからな」

阿含「今日、萩原雪歩の隣にいるのが、ヒル魔なのか正規のプロデューサーか知らねぇが……」ゴキゴキッ

阿含「精神的支柱が倒れりゃ、夢見ちゃったカスの無駄な努力もめでたくGAME OVERだ」



美希「…………」

阿含「だから安心しな、アイドルには手ェ出さねぇよ」

阿含「まぁ終わった後に違う意味で……」

ザッ

阿含「?」クルッ



テクテク…

P・雪歩「…………」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:37:47.94 ID:i5OyujgV0
美希「あっ! ゆ、雪……!?」

阿含「マイク持ってやがる……ククク、いるじゃねぇか」スッ

ギャオッ!


美希「は、速っ……危ないっ!!」



阿含「死ね」グァッ

ボッ!

P「」ガスッ!!

阿含「ッ!?」


タッ…



美希「が、ガードしたの!?」

阿含「……テメェ」

阿含(あの男……俺の手刀を、まるで槍みてぇな掌底で……)



阿含「“槍”……?」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:38:41.81 ID:i5OyujgV0
美希「あの人、プロデューサーじゃないの」

阿含「あ゛ぁ〜〜〜?」

美希「だって、ミキ達のプロデューサー、頭がPの字だもん」


阿含「……誰だ、テメェ」



P(?)「…………」ゴキッ

スッ



進「…………やるな」ゴキキッ


阿含「王城の、進清十郎……」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 20:40:08.03 ID:ORkM/9GV0
続き続き!
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:40:22.03 ID:i5OyujgV0
阿含「一丁前にスーツか……テメェにコスプレ趣味があるとはな」

阿含「何してやがる。こんなアイドルイベント、テメェの出る幕じゃねぇだろ」

進「ヒル魔妖一に頼まれた。お前を止めろと」

阿含「何だと?」


美希「ていうか……雪歩も、雪歩じゃないよね?」

阿含「……?」



雪歩(?)「うぅぅ……は、恥ずかしい」

クルッ

まもり「でも、畏れ多くても、雪歩ちゃんを守るためならって」


美希「あー! ヒルの人の彼女さんなのー!」

まもり「か、彼女じゃありませんっ!!」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:43:24.58 ID:i5OyujgV0
美希「でもすごいすごい! ソックリだったの。
   あ、それひょっとして本番用のマイク?」

美希「身長も雪歩より大きいのに、きゅ〜って縮こまってる感じがゼツミョーってカンジ」


ザッ

高見「見た目の身長というのは、姿勢の差、気の持ちようによる所が大きい」

高見「姿勢が変われば、見た目の印象なんて5cmくらいは変わるものさ」


美希「あ、また知らない人なの」

阿含「王城の投手(クォーターバック)か。
   何をしてやがる。ヒル魔のカスにこき使われてるたぁ情けねぇ」



高見「こき使われている、か……彼がどう思っているかは知らないが」

高見「俺達にとっても、明確な利があっての事だ。だから彼に協力している」

阿含「……何?」



進「春の関東大会では対峙できなかった、金剛阿含……」

進「一年前、王城が屈辱を味わってから、どれほど力を付けたか。
  俺を狙いに来るお前の、その力量を確かめる機会を得たが……」

進「今の手刀を見るに、どうやらそれほど成長してはいないらしい」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:45:31.45 ID:i5OyujgV0
阿含「あ゛ぁ〜〜〜!?」

阿含「今ので俺の力量を見抜いたつもりか。笑わせんな、カスの分際で」


高見「阿含……君の力はよく分かっているつもりだよ。何せ一年前にこの身で思い知らされた」

高見「だから俺達も努力した。
   それが無駄かどうかは、関東大会でウチと当たった時にでも確かめてみるといい」

高見「そして……今回、ヒル魔に協力しているのは、他ならぬ俺達のチームメイトからの要望でもある」

高見「俺達も、努力する者に感情移入してしまうものなんだ。
   “天才”には、一生分からないことかも知れないがね」

阿含「…………」



まもり「王城の人からの要望?」

美希「ていうか、ミキ、一つだけ気になるんだけど」

美希「彼女さんが持ってる雪歩の本番用マイク、そろそろ届けないとマズくない?」

まもり「あ、そ、それは……どうしよう」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:47:34.11 ID:i5OyujgV0
高見「任せてくれ」スッ

まもり「あっ」

高見「彼から渡された、このバッグに」スッ

高見(なるほど、ご丁寧にアメフトボール型のバッグか……用意周到な事だな)


高見「……あそこに、この会場の別棟となる建物があるだろう」

高見「大物アーティストなどが、ヘリコプターであそこに到着し、会場へ向かう演出も時折あるそうだ」

高見「当然、あそこからステージへ至る通路もある」

美希「それがどうしたの?」



高見「東京大会の本番前に、一足早くお披露目する事になるが……」

高見「まぁ、関東大会まで隠し通すつもりも無いから、阿含……君に見られても問題は無い」グッ

スゥッ…

阿含「……?」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:48:43.52 ID:i5OyujgV0
高見「」ドギュアッ!


美希「!?」

まもり「な、投げた!? アメフトボール型のバッグを……!」


ギューン…!


阿含「ククク、どこに投げてやがる」

阿含「せいぜいあの建物の屋上を狙ったんだろうが、こんな高さじゃ飛び越えて向こう側に落ちるぜ」

高見「いいや、狙い通りだ」

阿含「?」



ダッ!


美希「あっ、誰か屋上にいるの!」

まもり「あ、あの人は……!!」


阿含「……!!」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:50:33.45 ID:i5OyujgV0
高見「これが、新生王城の武器の一つ……」クイッ



桜庭「……ッ!」バッ


『エベレストパス』

バシィッ!!


まもり「桜庭君っ!!」

美希「た、高ぁーい!」


阿含(あの身長、あの腕の長さ……あんな高い到達点で、捕りやがった)



高見「桜庭も、苦しみながら努力を重ねて、今の王城に無くてはならない存在に成長した」

高見「そんなアイツからの頼みだったんだ。
   今日のために非常な努力を重ねた萩原雪歩のステージを、俺達も守りたい」

まもり「高見君……」



阿含「……なるほどな」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:52:16.24 ID:i5OyujgV0
高見「桜庭っ!! それをステージ裏にいる萩原雪歩へ届けろ!」

桜庭「はいっ!」ダッ!



阿含「……カス共が、どこまでも無駄なあがきをしやがって」

阿含「ヒル魔みてぇな素人が、アイドルのプロデュースの真似事をして何になる?
   そんな才能のねぇカスの指導を受けた所で、その道の天才にはどうせ敵わね…」

美希「そこのヘンな髪の人」

阿含「……あ゛ぁぁ〜〜〜?」


美希「さっきから聞いてれば、才能とか天才とか、カスとかうるさいの」

美希「そんなに才能が好きなら、才能と結婚でもすればいいって思うな」

まもり「ちょ、ちょっと、美希ちゃん……!」オロオロ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:53:56.60 ID:i5OyujgV0
美希「大体、本当に雪歩が勝てるわけ無いって思うなら、余計なジャマしなくたって良いでしょ?」

美希「まともな勝負にならないように、妨害しようとするのって、なんかおかしいの」

美希「正々堂々とやらない卑怯な人が才能がどうとか、チャンチャラおかしいってカンジ」

阿含「…………」イラッ


美希「雪歩は、強い子だよ。ミキが言うんだから、間違いないの」

美希「才能なんかよりずっと強いものを、雪歩はちゃんと持ってるよ」



阿含「…………」

高見「どうする、阿含?
   このままいけば、桜庭が無事に雪歩ちゃんへマイクを届けるだろう」

まもり(あ、今雪歩ちゃんって言った)

高見「俺達もこれ以上、いたずらに事を荒立てるつもりは無い。
   このまま君が帰ってくれるなら、俺達も何もしない」

進「…………」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:56:24.18 ID:i5OyujgV0
阿含「……あ゛〜〜分かったよ、メンドくせぇ」ポリポリ

阿含「俺だって、わざわざ手間暇かけてまで妨害してぇワケじゃねぇからな。
   そこの星井美希の言い分ももっともだ」

美希「ホント? アハッ、物分かりが良くって助かるの!」

阿含「あぁ、だから大人しく帰るよ」ザッ

高見「そうか」スッ



阿含「なんて言うと思ったか? カス共が」

ザウッ!!


進「!」

まもり「えっ……!?」

高見「なっ、まずい!! 桜庭のもとへ行くつもりだっ!!」


美希「えー!? 何でそんなネチネチするのっ!」

進「止める……!」ゴキッ

ザッ!
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 20:59:24.18 ID:i5OyujgV0
阿含「小遣い稼ぎもあるが……」

阿含「カス共が俺の思い通りにならねぇってのが一番腹立つんでな!」

ドドド…!


 【AGON V.S. SHIN】


進(右か、左か……!?)

進(どちらでも、来るなら来い、金剛阿含)

進(俺のスピアタックルとお前の走、どちらが勝るか、勝負だ!)


ザンッ!

進(左ッ! 甘い!!)

進(小早川セナに比べれば、金剛阿含、この程度かっ!)ゴキッ


阿含「ククク……」ザォッ!



高見「いや、あの方向は……!」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:00:57.50 ID:i5OyujgV0
進(とった!!)

『スピアタック……』

進「!!?」ビタッ

美希「う、わわっ……!?」


阿含「どうした?」ニヤッ

ゴォッ!!



阿含「女がいたんじゃ、自慢のスピアタックルも出せねぇか。紳士なこった」


進「……ッ!」

高見「あいつ、星井美希のいる方へカットして、彼女を盾代わりに……!!」ギリッ

進(逃げられたか……!)



ダッ!

阿含「ククク、後はこのまま桜庭春人を潰しゃあいい」

阿含「アイツももうアイドル引退して、ボディーガードもどうせ付いてねぇんだろ」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:02:41.50 ID:i5OyujgV0
黒井「そうはいかん」ピッ!



ザザザッ…!

阿含「!?」キキッ


黒服「金剛阿含だな。貴様をしょっ引けと、社長からの命令だ」

阿含「社長……お前ら、961プロの連中か」

阿含「オイオイ、何を勘違いしてやがる。俺はお前らの社長から依頼をされてだな」

黒服「……」つ タブレット端末

ヴゥン…!

阿含「……?」



黒井『……金剛阿含、キミはエラーを犯した』

阿含「あ゛ぁ〜〜?」


黒井『アイドルに手を出さない……そういう約束だったはずだな?』

黒井『765プロの者とはいえ、キミは星井美希を危険な目に遭わせた。
   よって、取引は決裂だ。同時にキミは、このライブイベントの招かれざる客となった』
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:04:39.35 ID:i5OyujgV0
阿含(コイツ……最初から難癖つけて、俺との取引を破棄する気だったな……!)

黒井『残念だが、そういう訳だ。即刻この会場から出て行ってもらおう』ヴン…!



高木「やぁ、まさかキミが美希君を庇ってくれるとは、ありがたい事だねぇ」

黒井「勘違いするなよ高木。
   あの不届き者との取引を白紙にする手頃なネタがあったから活用したまでの事だ」

高木「ウム、そういう事にしておこう」



ザッ

黒服「大人しく、この会場から出て行ってもらおうか。それとも怖い目見るか?」



阿含「……カス共が、俺を止められると思ってんのか」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:07:00.26 ID:i5OyujgV0
〜ライブイベント 会場内〜

ザワザワ…!


マシンガン真田「さぁーいよいよ近づいてまいりました、世紀のライブ対決!!」

真田「961プロのジュピター V.S. 765プロの萩原雪歩!!
   実況は私、『しゃべる速射砲』ことマシンガン真田と……!」

真田「毎度おなじみ、月刊アメフト編集部の熊袋さんにお越しいただいております!!
   熊袋さん、よろしくお願いします!!」

熊袋「ど、どうも……ていうか、何で私と真田さんがここに呼ばれているんでしょうか?」

真田「我が社のアイドル担当の実況マンは盲腸で入院中でして、
   熊袋さんはアメフト協会の御推薦だという風に聞いておりますが!?」

熊袋「おりますが!? って言われても……!」


熊袋(誰だ、こんなオファーを出したのは!? ていうか当て込んだのは……!?)

ケケケケ
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:08:49.99 ID:i5OyujgV0
モン太「い、いよいよ始まんぜ……!」ドキドキ

セナ「さ、サイリウム、あったよね? えぇと、雪歩さんの、白、白……」ゴソゴソ

雪光「雪歩ちゃんとジュピターの出番はまだ先だよ」



パッ!

鈴音「あっ! 見て見て、なんか映像流すみたい!」ピョコッ

戸叶「おっ、アレは……」



『会場にお越しの皆さんへ』

『きっとこの会場内には、何度もライブに来た事あるぜっていう百戦錬磨の強者もいれば……』

『僕みたいに、ライブってどういうもんなの? 何すればいいの?
 友達に誘われて初めて来たけど全然分かりません、っていう人もいるかと思います』



『そんなヤツらのために……』
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:11:37.79 ID:i5OyujgV0
デビバ『Ya――Ha―――!!
    イベントの開催前に、これから俺達がライブのいろはを教えてやるぜ!!』

コデビバ『師匠、お願いします!』


〜デビルバットとコデビバのアイドルマスター教室 ライブ編〜


コデビバ『デビルバット師匠っ!』パタパタ

コデビバ『さっそくだけど、アイドルのライブってなんか色々ルールとかあるんですか?』

コデビバ『バカな僕にも分かるように教えてください! アチョー!』


デビバ『とにかく曲に合わせて、流れてくるヤツを正確に押せ!』

デビバ『だが、スコアを稼ぐにはそれだけじゃ足りねぇ』

デビバ『コミュで培ってきた絆を爆発させろ! 『思い出ボム』!!』

デビバ『タイミングは一度きりの超必殺技! 『バーストアピール』!!』

デビバ『使えるモンは何でも使って、死ぬほどスコアを稼ぎやがれ!!』


コデビバ『? ……!?』

デビバ『ライブに来た時の観客はだなっ!!』グリンッ

コデビバ『は、はいっ!』
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:13:17.00 ID:i5OyujgV0
デビバ『アイドルの歌声を妨害するほどの大声を無闇に出したり……』ア˝ア˝ァァァッ!!!

デビバ『やたらとジャンプしたり……』ビョーン!

デビバ『手を大きく振り回したり……』グルングルン!

デビバ『とにかく危ねぇ事、他のヤツらの迷惑になる事は禁止だ!』クワッ!

デビバ『コールは分からなけりゃ無理すんな!』

デビバ『周りのヤツらは皆仲間だ! 困ってるヤツがいたら助け合え!』

デビバ『そしてこの瞬間を楽しむ事、感動を味わう事に全神経を注げっ!!』


デビバ『命燃やしやがれ!! 分かったか糞ドルオタ共ーー!!』ゴオオォッ!

ウオオォォォォォ…!!! パチパチパチパチ…!!



黒木「こんなん作ってたのか……」

十文字「なんかアイツ、こういうトコ変にマメだよな」

セナ(でも分かりやすいかも……)
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:14:33.49 ID:i5OyujgV0
栗田「ペンライト持ってない人いるー? あ、先生」

溝六「いいよ俺は」

モン太「あっ、やべっ、黄色しか持ってねぇ。何でだ」

小結「亜美真美っ!」フゴッ

夏彦「僕なんかジャケットの裏側にペンライト全色装着してるよ!」ぶゎさっ

戸叶「ライブ終わったらどーすんだよそのジャケット……」

鈴音「私手伝わないからね、それの後処理」


 むぃ〜ん…♪  むぃ〜ん…♪

セナ「う、うわっ!? 携帯が……」

モン太「うお、俺もだ! 何だこんな時に……」ピッ


栗田「……ヒル魔からだ」

鈴音「えっ!?」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:15:48.89 ID:i5OyujgV0
十文字「泥門デビルバッツは全員、防具を着て別棟に集合……?」

黒木「はあぁぁあ? 防具なんて持ってきてねーぞ」



ドルンドルン…!

セナ「?」クルッ



警備員「うわぁあぁぁっ!? な、何をしている止まりなさいっ!!」

葉柱「カッ! 止まれと言われて急に止まれるかよっ!!」ズギャギャッ!


セナ「葉柱さんんっ!?」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:16:44.04 ID:i5OyujgV0
キキィッ!

葉柱「さっさと乗れっ! こっちの頭数は用意してあるぜ」

モン太「そ、そう言われてもよ……!」


警備員「待てーーっ!!」ドタドタ…


雪光「……ひょっとして、ここにいたら僕達も捕まるのでは?」

十文字「そうだな」



ギャロロロロッ!!

鈴音「やーーーっ!!」

葉柱「振り落とされんなよ!」

溝六「ヒル魔の仕業か……相変わらずあの野郎、無茶苦茶やりやがる!」

賊学生「ひぃぃ、コイツ重っ!!」

栗田「す、すみません」ズシーン
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:17:54.69 ID:i5OyujgV0
〜会場別棟〜

タタタ…!

桜庭「はぁ、はぁ……!」


桜庭(まさか、アイドルを辞めてから、こんな形でアイドルに関わる事になるなんて)

桜庭(でも……)



  ――諦めたくありません。

  ――強くなりたいと願った自分を、裏切りたくないんです。



桜庭「あんな事言われちゃ……」

桜庭「こっちだって、負けてらんないよな!」

ダッ!
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:19:37.64 ID:i5OyujgV0
ザッ!

桜庭「ッ!?」キキィッ



黒服「いたぞ! アメフトだっ!!」

黒服「潰せ!! ひっ捕らえろー!!」グワァッ!


桜庭「な、なっ……!?」

桜庭「何でこうなるんだー!?」ダダーッ!



黒井「……イベント内に新たな不届き者が現れた。それも複数だ」

黒井「バイクで会場内を荒らし回っているそいつらは、高校のアメフト関係者だという」

黒井「不穏分子は全て排除しろ。アメフトは潰せっ!」



桜庭「お、俺はただこのマイクを届けに……!」ハッ

つ アメフトボール形のバッグ


桜庭「アメフト要素、これーッ!?」ガビーン
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:20:34.80 ID:i5OyujgV0
黒服「もう逃げられんぞ、この野郎っ!!」ダッ!

桜庭(まずっ……ルートが、塞がれ……!)





「…………ケケケ、ありがとよ糞ブラック」

「ご丁寧にお膳立てしてくれてなァ?」ニヤァ
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:21:57.34 ID:i5OyujgV0
グァッ…!

石丸「ふんぐっ!」ガッ!

黒服「なぁぁっ!?」


桜庭「で、泥門の……!?」

桜庭「誰だっけ?」

石丸(初登場でこの扱いっ!?)ガーン

石丸(いいよいいよ……)


ダダッ!

モン太「桜庭先輩っ!」

セナ「桜庭さん、僕達が加勢しますっ!」


桜庭「なっ、君達……!」


黒木「さっさと行くぞ。雪歩ちゃんの出番が近ぇんだ」ゴキゴキッ



桜庭「……あぁ!」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:23:03.92 ID:i5OyujgV0
〜会場 舞台裏〜

響「も、もう始まっちゃうぞ……!」ドキドキ

伊織「別にアンタが緊張する必要ないじゃない」

亜美「そういういおりんこそ、手が震えているみたいですなぁ?」

伊織「な、はぁっ!?」


あずさ「無理も無いわ。
    あれだけの練習を重ねた雪歩ちゃんを、間近で見てきたんですもの」

律子「そうですね……当の本人は、緊張どころかすごい集中力ですけど」チラッ



雪歩「………………」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:24:19.80 ID:i5OyujgV0
P「あぁ、後は……ヒル魔君を信じるしかない」

やよい「ヒル魔さん、お腹壊したりしてないでしょうか?」

春香「どちらかと言うと、対戦相手のお腹を壊してそうな類の気がする」


ザッ

冬馬「別に腹なんか壊しちゃいねぇよ」

真美「あーっ! あまとうだー!」

冬馬「あまとうじゃねぇ!」



北斗「チャオ☆ 今日はよろしく頼みますよ」

P「本番直前に敵情視察か。大した余裕だな」

翔太「と言われても、舞台袖はここしか無いんだから、本番前にもなれば一緒になるでしょ?」

千早「それもそうね」



雪歩「ジュピターさん」スッ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:26:12.61 ID:i5OyujgV0
春香「雪歩……」

冬馬「……萩原雪歩。面と向かって話すのは初めてだな」

雪歩「はい。私が……あまり、度胸が無くて、顔も合わせられなかったから……」


冬馬「へっ! そんな貧弱なメンタルで俺達と戦おうなんざ、百年早いぜ」

翔太「それに、このライブ、勝った方の事務所が2000万円もらえるんでしょ?」

北斗「3000万じゃなかったか?」

律子(また増えてる!?)


雪歩「わ、私、ひんそーでちんちくりんで、皆の足を引っ張ってばかりのダメダメですけど……」

雪歩「それでも」キュッ

冬馬「……!」



雪歩「導いてくれた人がいて、応援してくれた皆がいたから、今日、私はここに来ています」

雪歩「だから、勝ちたいです……勝ちます」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:27:38.91 ID:i5OyujgV0
翔太「へぇ……」

北斗「冬馬……どうやら彼女は強敵だぞ」


冬馬「……言ってくれるじゃねぇか」ギリッ

冬馬「だがな。俺達だって今日のためにハンパない練習積んできてんだ。
   自分だけが特別だと思うなよ」

冬馬「ステージで、格の違いってヤツをお前らに見せつけてやるぜ!」



貴音「その言葉、そっくりそのままお返ししましょう」

冬馬「な、何っ!?」


貴音「萩原雪歩が」

雪歩「うえぇぇっ!? た、貴音さん!」

律子「そりゃ、あなたが勝負するんだから、あなたが見せつけるんでしょうよ」

冬馬「口の減らねぇヤツらだぜ、765プロ……!」ワナワナ…
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:30:08.39 ID:i5OyujgV0
 パッ!

冬馬「ん?」

真美「また会場の、モニターがついたよ?」

伊織「また何か映像が流れるのかしら」



『会場に来ている観客諸君!』


P「く、黒井社長!?」

北斗「いつの間にか、こんなビデオを用意していたなんてねぇ」

翔太「クロちゃんこういう所、変にマメだよねー」



『ウィ。そう……私は961プロダクションの社長、黒井崇男だ』

『765プロとかいうチンケなプロダクションが調子に乗っていると聞いてなぁ?』

『そんな井の中の蛙共に、我が961プロが誇るアイドル達をご紹介しよう』

『どこぞの弱小事務所とは違う、圧倒的なパフォーマンスに驚嘆するがいい!』

『さぁ〜降臨せよっ!! ジュピタァー!!!』

ワアアァァァァァ…!!
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:31:37.65 ID:i5OyujgV0
『〜〜! ……〜〜……♪』

キャアァァァァァ…!!!



律子「さすがに、レベルが高いわね。所作の一つ一つ、どれを取っても繊細で無駄が無いわ」

冬馬「当然、だぜ! 今日の俺達があの程度だと思うなよ。
   もっとすげぇの見せてやるからな!」

響「ぐぬぬ……!」



『と、いう訳で……ジュピターの魅力、諸君らにも存分に分かってもらえたと思う』

『それに引き換え、あの765プロの萩原雪歩とかいう女はぁ……?』



『ぶっ!』
『こ!』
『ろす!!』
『Yeah―――!!!』
『いえぇぇぇぇいっ!!』


律子「あ、アレはっ!?」

P「泥門高校に行った時の、掛け声! どこであんな映像を……!」

ザワザワ…!
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:33:56.10 ID:i5OyujgV0
真田「あぁーっと!! これはマズいです!」

真田「コンプライアンスだかなんちゃらが厳しいこのご時勢
   アイドルとしては非常に不適切な言動が会場に流れてしまいましたー!!」

真田「素人目にもこれはとってもマズいヤツじゃあないでしょうか、ねぇ熊袋さん!?」

熊袋「素人って言っちゃったよ。でも……ある意味アメフトだから許される掛け声とも言えます」

熊袋「765プロにとって、逆風には間違いないでしょう。961プロの周到な戦略ですね」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:36:28.71 ID:i5OyujgV0
『ハンッ! やーれやれだ、こんな下品で野蛮なアイドルを擁立するなど、
 やはり下賤な事務所はやる事が違うなぁ〜?』

『常識的な感覚を持っている観客諸君らであれば、
 どちらがアイドルとして正しい姿であるか、分かってもらえる事を期待している』

『では、せいぜい楽しんでくれたまえ! ハァーッハッハッハッハ!!』



伊織「マズイわね……今の、印象は最悪よ」

亜美「で、でもぉ! アレは本当にアレしちゃう意味じゃなくって、気合を入れるっていうか……!」

貴音「そう、好意的に受け取ってくれる方々だけではないでしょう」

響「うわーん! どうするんだ、あんなの卑怯だぞー!!」ワシャワシャ


北斗「卑怯も何も、実際にああいう事を言ってしまっているのは、そちらの方じゃないのかい?」

春香「うぅ……何も言い返せない」



冬馬「純粋なパフォーマンスだけで勝負したかったのに、あのオッサン……余計なマネをしやがって」

翔太「でも、ぶっちゃけこの勝負、もう決まったようなもんかな?」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:38:29.39 ID:i5OyujgV0
雪歩「ううん」フルフル

千早「萩原さん?」

冬馬「……?」



雪歩「ヒル魔君も、泥門高校の皆も、ずっと私に良くしてくれたから」

雪歩「確かに、あの掛け声は、とても恐ろしくて物騒なものではあるけれど、その……」

雪歩「私、後悔はしていません。もし、それが原因で、負ける事になるとしても」


雪歩「後ろめたい事をしたとは、思っていません」



あずささん「雪歩ちゃん……」

冬馬「へっ! 開き直ってりゃ世話ねぇぜ。あんな事言ってファンのハートを掴……」


『続いて、765プロ側のプロモーションビデオをどうぞ』


冬馬「あん?」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:40:51.31 ID:i5OyujgV0
律子「765プロの、PV……?」

P「何か作ったのか?」

律子「私は何も知りませんよ」



律子「まさか……」



『ハンッ! やーれやれだ、こんな下品で野蛮なアイドルを擁立するなど、
 やはり下賤な事務所はやる事が違うなぁ〜?』



やよい「あ、あれっ!?」

響「黒井社長じゃないか! どうしてアイツが出てくるんさー!?」

千早「いいえ、それだけではないわ。これは……」



『常識的な感覚を持っている観客諸君らであれば、
 どちらがアイドルとして正しい姿であるか、分かってもらえる事を期待している』



貴音「先ほどと、同じ映像……?」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:42:42.78 ID:i5OyujgV0
『では、せいぜい楽しんでくれたまえ! ハァーッハッハッハッハ!!』



パッ!

『……お、オホン』


春香「あ、あの子。泥門高校アメフト部の、マネージャーさんだよね?」



『ところが黒井社長は……』

『765プロの萩原雪歩の強さを知ると、態度を一変』



『ヤダヨー、負けちゃうヨ〜〜! 萩原雪歩、強すぎるヨー!』ガタガタ

『おしっこチビっちゃったヨ〜〜!』ガタガタ



律子「!? ……ぶふっ!」

亜美「あ、アハハ!! 何アレー!!」ゲラゲラ!

北斗「黒井社長が、に、ニワトリになってる……!」プクク…!
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:44:06.47 ID:i5OyujgV0
『おおお! 鳥うまそー!』バシィッ!
『ひぃぃ、逃げろ!』


『太陽拳!』ビカッ!
『ひぃ、眩しい!』


ドシーンッ!
『おうふっ!?』


『貴様ら765プロの手先共がこのセレブな私によくも…!』
『ハンッ』
『ハ?』
『はぁ?』
『はぁああああ!?』
『アハーハー!』


ズドドドドドド…!
『ぴぎゃああああぁっ!!』


ギャリギャリギャリ!
『あががががががっ!!』


ジュージュー…!


ムシャムシャ… パクパク…
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:45:50.19 ID:i5OyujgV0
ドッ!! ワハハハハハハハ…!!

真美「ひぃー!! ひぃー!!」ゲラゲラ!

春香「アハハハハハ!! わ、笑っちゃいけないんだけど……!」

千早「く、くふふ……!!」


黒井「えぇぇぃっ!! 何だあのビデオは、消せっ!! 消せぇ!!」プンスコ!

スタッフ「そ、それが、システムが何者かにハックされているらしく……!」



「ケケケ……NASAエイリアンズの時に作ったヤツに、
 糞アゴヒゲと糞チアの分をちょいと足して、再利用」カタカタ…

「さて、仕上げだ」カタカタ カチッ


パッ!


P「こ、今度は何だ? また映像が切り替わっ……」

律子「あれは……この会場の外?」



真田「どうやらこの映像は、生中継のようですね!!」

熊袋「王城の、桜庭春人選手と……泥門デビルバッツの姿が見えます!」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:48:38.72 ID:i5OyujgV0
〜会場外通路〜

ドローン「」ヴィーン


ケルベロス「ガアァッ!!!」ドドド…!

セナ「ひぃぃっ!! け、ケルベロスが……!?」

モン太「何でカメラを背負って、こっちに走ってくんだよ!?」

ケルベロスカメラ「」ジィーー…

桜庭「そういえばこのバッグ、ほのかに焼肉の匂いがするような……」

一同「それだーっ!!」ガビーン


黒服達「高校生のガキ共め! 大人しくしろ!!」ザッ!


幸光「前門の虎、後門の狼か……!」

夏彦「どのみち、進む方向に代わりはないさ!」グッ

桜庭「あぁっ!」



桜庭「行くぞ! 泥門と王城、ライブイベント限りの共同戦線だっ!!」



 【961 PRO. V.S. DEIMON & OHJOH】
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:52:48.76 ID:i5OyujgV0
一同「うおおおぉっ!!」ダッ!

黒服「なっ!?」

黒服「こ、こいつら……!」



真田「こ、これは……!」

熊袋「黒木君と小結君が、黒服の人達への壁となる間……」

熊袋「泥門後衛(バックス)陣のセナ君、モン太君と、石丸君……
   そして、控えの雪光君とえぇと、何かもう一人!」

熊袋「い、今までの泥門のメンバーリストにはありません!
   アゴヒゲの人までもが、王城の桜庭君のリードブロッカーとなって……!」


夏彦「ジェントル瀧夏彦と呼んでくれ!」キラーン

モン太「何言ってんだこのバカ!!」



伊藤「さ、桜庭……ちゃん……?」

伊藤「あんな必死で、アメフトを……!」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:54:28.42 ID:i5OyujgV0
小結「ふごぉおぉぉぉっ!!」グオオッ!

黒服「な、何だコイツらのパワー……!?」

黒木「いけぇオラァァァァッ!!」ガガガッ!


桜庭「ッ!!」シュパァッ!



真田「抜けたーっ!!」


ファン「キャーッ!! 桜庭クーン!!」
ファン「さ、桜庭くん……!」ガクッ


伊藤「行けぇーー!! 桜庭ちゃぁーーーんっ!!!」



モン太「泥門と王城、即席チームの連携マックスだぜ!!」

セナ「で、でも、まだ黒服の人達がたくさん……!」

黒服「ここは通さぁん!!」ザザッ

石丸「む、無理なんじゃないかなこれ……」


雪光「……!」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:57:45.49 ID:i5OyujgV0
雪光「皆っ!」

夏彦「何だいムッシュー!」


雪光「僕の後ろについてっ!」ダッ


桜庭「えっ!?」

セナ「そんな、雪さんの力じゃ……!」

黒服「オラァァッ!」バシッ

雪光「うわあぁっ!!」ズテーン

モン太「やべぇ!! いくら何でもムチャだぜ雪さんっ!!」

黒服「何だぁ? コイツだけやけにヒョロガリだぜ」


雪光「そう、僕の力じゃ満足に相手なんてできない……」


雪光「だから、こういう手に頼らざるを得ないんだ」スッ


つ 萩原印の焼肉のタレ


黒服「ん?」クンクン

黒服「何だこれ、焼肉のタレがスーツに……」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 21:59:20.09 ID:i5OyujgV0
黒服「あっ」

ケルベロス「ヘッヘッヘッ……」シーカッシャ シーカッシャ ←ナイフとフォークを研ぐ音


黒服「何ぞこの犬ぅー!?」

黒服「何で二足歩行ぉー!?」

ケルベロス「ガッフォ!!!」ドドド…!

黒服「ひええぇぇぇっ!!」

ダダダ…!



桜庭「よしっ、この階段を降りて、後は会場まで一直線だ!!」ダッ!


黒服「待てぇぃっ!!」ズラァッ!

モン太「くっそ! いい加減しつこいぜ!!」


セナ「……!!」グッ

桜庭「アイシールド21!」

セナ「桜庭さん……!」


桜庭「アレくらいの連中なら、君にとって何のことは無いだろう!」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:01:05.09 ID:i5OyujgV0
ビッ!

セナ「う、わっ!」パシッ


桜庭「皆、アイシールドの道を開けるんだ!!」ガッ!


石丸「よ、よしっ!」
モン太「壁マーックス!!」ガッ!
夏彦「天才僕のジェントルブロック!!」ガガッ!

黒服「ぐっ、お、往生際の悪い……!」



桜庭「行けぇっ!!」ガガッ!

セナ「……!」コクッ


グッ…
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:02:08.92 ID:i5OyujgV0
ギャオッ!!


黒服「な……!?」

ズバァッ!


黒服「何だアイツは!! 何だあのスピード!?」



真田「来た来たァーー!! 泥門デビルバッツの伝家の宝刀!!」

真田「謎のランニングバッカー、アイシールド21の電光石火の走りが炸裂ゥーー!!!」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/27(土) 22:03:43.97 ID:1sQqug2yO
バーーーローー
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:04:09.33 ID:i5OyujgV0
熊袋「な、NASAエイリアンズ戦とは、段違いの走りです!」

熊袋「一体、どんなトレーニングを……!?」ゴクリ…



律子「すごいっ!! 陸上選手並みの、あんなスピードで走る人が!」

やよい「うっうー! まるで光みたいですー!!」

響「セナー! ちばりよー!!」

真美「へっ?」

伊織「セナ? 何言ってんの?」

千早「我那覇さん。あのアイシールドさんと、小早川さんは別人よ」


響「えっ? な、何を言ってるんだ皆?」

響「どっからどう見てもセナじゃないか!!」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:06:11.52 ID:i5OyujgV0
セナ(い、行けるかも……!)

セナ(いや、行けるかもじゃない……ヒル魔さんがつきっきりで指導した雪歩さんのために……)

セナ(雪歩さんに、このマイクを届けるために……!!)

セナ「行けるかもじゃない、行くんだっ!!」


黒服「こっちだ、逃がすなっ!!」ザッ

セナ「やっぱ無理かもー!」ガーン


グオッ

戸叶・十文字「うおらあぁぁぁっ!!」ガガガ!
栗田「ふんぬらば!!」ガガッ!

黒服「うおおおおぉっ!?」


セナ「み、皆っ!!」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:07:32.10 ID:i5OyujgV0
黒服「く、こ、この……コイツらのどこに、何でこんな力が!」ググッ…!

十文字「生憎、お前らがアイドルの世話にお熱になってる間にな」

十文字「こっちは、どっかの野郎のせいで、すっかりアメフト漬けになってんだよ!」

戸叶「アメフトバカ、ナメんじゃねぇぞオラァッ!!」グオォ!


黒服「う、うわあぁあぁ!!」ググッ…

栗田「ふんぬらばぁ!!」グオォッ!
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:09:25.34 ID:i5OyujgV0
【図】

   ●●戸十  栗●●

         セナ


    ↓


  ●●戸十    栗. プチッ

         セナ



グオオッ!

セナ「ひ、開いたっ!!」カッ!


シュバアッ!!



戸叶「っし!!」ガッツ!

栗田「やった!」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:11:52.31 ID:i5OyujgV0
黒服(大)A「マッタク、フガイナイ」ズゥーン

セナ「いいぃっ!?」

黒服(大)B「ココハ、トオシマセーン」



真田「おおぉっと、ここでまさかの961プロ黒服のボス二人組が登場だァーーッ!!」

真田「二人とも何という巨体ッ!! 間違いなくスーツは特注でしょう!!」

熊袋「喋り方からすると、日本人では無さそうですね」



 【961 PRO. BOSS×2 V.S. SENA】



セナ(だ、ダメだ……!)

セナ(こんな、通路のほとんどを塞がれちゃったら……)

セナ「ていうかどんだけ巨体っ!?」ガビーン

黒服(大)A「オナワニ、ツキ・ナ・サーイ」グアッ!


ブオッ!
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:13:50.55 ID:i5OyujgV0
真「せぇいやぁっ!!!」ドガッ!

黒服(大)A「ヌゥッ!?」グラッ


セナ「あ、き、菊地真さんっ!?」


進「……!!」ゴキッ!

『スピアタックル』ズガァッ!!

黒服(大)B「ガッ!? ファ……!!」グラッ

セナ「!? し、進さんっ!!」


進「行けっ!!」

真「早く、雪歩の所へ!!」



 【961 PRO. BOSS×2 V.S. SENA & MAKOTO & SHIN】



セナ「はいっ!!」ギュアッ!


『デビルバットゴースト』

ゴオオォォッ!!
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:16:13.67 ID:i5OyujgV0
進「!?」

進(あの走りは……!!)



真田「あぁぁーーッと!!
   王城の最強ラインバッカー進清十郎と、765プロの菊地真君の援護を受けてぇ!!」

真田「見事にラスボスをも通過ーッ!!」

熊袋「ラスボスて……」


ワアァァァァァァァァッ!!

「すげぇー、何だ今の!」
「アメフトだってよ! このチラシにある、泥門とかいう高校生らしいぜ!」
「さっきすごいタックルしたあの黒髪の人も素敵ー!」

「雪歩ちゃんのマイクを運んでくれてるんだってよ!」
「すげぇ凝った演出だなっ!」
「行けー、頑張れー!!」

ワアアアアァァァァァァァッ!!!


鈴音「やーーっ!! 会場の人達が、泥門デビルバッツを応援してくれてるー!!」

溝六「ヒル魔の野郎、泥門のPRも目的のうちか!」

まもり「……!」

まもり「ヒル魔君の言っていた、雪歩ちゃんがキーパーソンになるって、これの事……!」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:18:30.17 ID:i5OyujgV0
真「へへっ、やっりぃー!!」ガッツ!


進(……今の小早川セナの走り)

進(俺のスピアタックルで棒立ちになった所を抜いたように、普通の人間には見えただろうが……)

進(あの超高校級のスピードを、全く落とさずに左右に消える……)

進「クロスオーバー……ステップ…………!」



セナ「……!!」ダァッ!



黒服「早く、早く会場の扉を閉めろ!!」

ガァァ…!


セナ「ひぃぃっ、間に合わないっ!!」


十文字「いや、行ける」

十文字(お前の脚なら行ける……!)



十文字「翔べッ!!」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:20:12.11 ID:i5OyujgV0
セナ「……ッ!!」バッ!


黒服「なっ!?」


オオオオォォォッ!!



「食らいやがれ」

「40ヤード(36m)4秒2、光速の人間砲弾……」



『デビルバットダイブ』


ギュバアァッ!!


黒服「何ぃーー!?」



真田「扉を抜けたァーー!!!」

真田「そして、アイシールド21が会場の中に今ダァーイビーーング!!」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:21:39.01 ID:i5OyujgV0
セナ「やっ……!!」


セナ「あっ」



雪歩「あ、アイシールドさん……!」

律子「い、勢いがつきすぎて、内廊下の手すりを飛び越して……」

P「観客席へ……まずい、真っ逆さまだ! 大事故になるぞ!!」


セナ「あ、あぁぁ……!」


セナ(そりゃ、そうだよね)

セナ(調子に乗ってジャンプしちゃったけど……)

セナ(普通に考えて、会場の中は、防具を着けていない一般のお客さん達で一杯で……)

セナ(僕みたいな貧弱でも、タックルしたら怪我しちゃうよねー)

セナ(大事故に、なっちゃうよねー、的な……終わったかなーなんて)


ガシッ

セナ「えっ?」


セナ(う、上から、僕を誰かが……飛んでる最中なのに……?)
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:25:29.41 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「よくやった、糞チビ」

セナ「ひ、ヒル魔さんっ!?」



真田「こ、ここでまさかの泥門デビルバッツ悪魔の司令塔!!」

真田「ヒル魔妖一君が、な、何と……!?」

熊袋「ショー演出用のワイヤーで自分の体を吊って、その状態でアイシールド21をキャッチ……!」



ヒル魔「Ya――――Ha――――!!!」ガアアッ!

セナ「ひいいいぃぃぃっ!! 怖いぃぃぃぃぃっ!!!」



雪歩「ヒル魔君っ!!」

伊織「な、何てハデな登場……!」

P「ちょ、ちょっと待て! ワイヤーアクションは演者を吊るための人員が必要だ!」

P「今、ヒル魔君を吊っているワイヤーを操っているのは一体……!?」



ギュッ グイィ…!

ムサシ「……相変わらず人使いの荒い野郎だ」グィーッ
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:27:37.59 ID:i5OyujgV0
真田「ヒル魔君がアイシールド21を抱えたまま、ステージまで一直線ーー!!」



スタッ!

ヒル魔「悪魔の走りでフィールドをねじ伏せるノートルダム大のエースランナー!
    アイシールド21が所属する泥門デビルバァッツ!!」

ヒル魔「コイツの走りが見れる高校アメフト東京大会初戦は、一週間後の13時からだ!!
    今のが生で観たけりゃ、会場までお前ら死ぬ気で来やがれっ!!」

ワアアァァァァアァァァァッ!!! ヒューッ……!!!



律子「ステージに降り立った後の第一声が、アメフト大会の宣伝……」

P「大したタマだ」


雪歩「ひ、ヒル魔君……すごいねいきなり」

ヒル魔「待たせたな糞モグラ、こっからがようやく本番だ」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:29:35.27 ID:i5OyujgV0
セナ「あ、あのぉ、僕はもうこの辺でいいでしょうか。ば、場違い感が…」

ヒル魔「それでぇ〜?」クルッ

セナ(聞いてない!)


冬馬「チッ、無茶苦茶な事しやがって」

冬馬「そんなアイドルと関係無い演出で会場を沸かせたってなぁ。
   結局はステージの上でパフォーマンスできなきゃ意味ねぇんだよ!」

翔太「冬馬君、ワイヤーアクションやった事無いから妬んでるんだよ」コソッ

冬馬「なぁっ!?」

北斗「あまり悪く思わないでくれ、これも君達の演出を認めている証拠さ」

冬馬「か、勝手な事言うんじゃねぇ!」


ヒル魔「おーそうかそうか、今のじゃ物足りねぇか」ケケケ

ヒル魔「ウチの学校の敷地内に無断で侵入して隠し撮りした映像を公開するっつー違法行為を、
    こうして公衆の面前で披露する961プロ様はやはり一味違うよなァ?」

冬馬「なっ……!?」

響「や、やっぱ違法なのか?」

春香「う、うーん……不法侵入、みたいな感じかな?」

伊織(コイツだって黒井社長の肖像権侵害してそうな映像勝手に流してたけどね)
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:32:10.90 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「そんなお行儀良い961プロが、まさか俺達の試合前の掛け声を馬鹿にしていたとはな。
    アイドルと関係無い演出で沸かせたって意味ない、って言ってたクセに?」

ヒル魔「相手を殺すつもりで倒そうだなんて下品な言葉、まさか言えないよなァ。
    コソコソ他人を叩くのに精一杯な小心者の、慎ましやかな961プロ様じゃなァ〜?」ケーケケケ

セナ(大勢のファンの目の前で、トップアイドルさんをめちゃめちゃ煽ってるよこの人……)


冬馬「な、ナメんじゃねぇ!! 俺達が765プロにビビッてるって言いてぇのか!?」

冬馬「俺達はそんな卑怯なマネをして勝とうだなんて思っちゃいないぜ!
   お前達を隠し撮りして、勝負する前から蹴落とそうだなんてな!!」

北斗「おいおい、冬馬」


黒井「ムッ!? い、いかん! アイツを止めろ!!」


冬馬「ビビッてない証拠に、俺も言ってやるぜ!! そして宣言してやる!!」

冬馬「皆も、俺と一緒についてきてくれよな!!」クルッ

ワアァァァァァァァッ…!!


亜美「あっ。あまとうコレ言っちゃいけないヤツじゃない?」

千早「好きにさせてあげましょう」

冬馬「……」スゥゥ…
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:33:39.06 ID:i5OyujgV0
冬馬「ぶっ!!」

冬馬「こ!!」

冬馬「ろすっ!!!」

観客「Yeah――――!!!」

イエェェェェェ…!!!



〜〜

黒服「ガッ、ハ……!」ドサッ

阿含「……?」

阿含「随分、物騒な掛け声だな……本当にアイドルのライブか?」



テクテク…

初條「ようやく着いたよー、たぶん時間ピッタリだねぇ」デレデレ

初條の彼女「やぁんもう、早く入ろうよー」イチャイチャ


阿含「寄こせカス」べちーん

初條「へぶっ!?」ドテーッ

初條の彼女「出会い頭にチケットを強奪―っ!?」
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