カグノコノミが咲く頃(相棒×名探偵コナン)

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1 :暗黒史作者 ◆FPyFXa6O.Q [saga]:2018/08/25(土) 16:31:36.81 ID:pVxxeIvg0
はじめに


「相棒」と「名探偵コナン」を「一通り知ってる人」を対象としたつもりですが、
もしかしたら私の知識が負けているかも知れません。その時はすいません。


二次創作的アレンジと言う名の
改変、御都合主義、進行の変更等々が入る事がありそうです。


プロットに誰得の予感が漂っています。投石は控えめでお願いします。


Respect 竹内明


それでは今回の投下、入ります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1535182296
2 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 16:42:20.02 ID:pVxxeIvg0
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 ×     ×

4月21日 警視庁刑事部捜査第一課課長室

「何? 杯戸町内のマンションで
銃撃された女性の御遺体が? 男性が重傷。
分かった、すぐ臨場する」
3 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 16:44:03.68 ID:pVxxeIvg0

ーーーーーーーー

東京都内杯戸町。
現場となったマンションの1LDKリビングでは鑑識作業があらかた終わり、
事件性の有無に於いて疑問の余地は皆無。
と言うよりも、日本基準では見紛う事無き重大事件と言う事で、
日本基準では見紛う事無き重大事件と言う事で、
日本基準では見紛う事無き重大事件と言う事で、
日本基準では見紛う事無き重大事件と言う事で、
本部の各中枢部署にも早々の連絡が放たれていた。

早速に、初動に当たる所轄、機動捜査隊に続いて、
警視庁本部刑事部捜査第一課第七係
伊丹憲一、芹沢慶二巡査部長も現場に足を踏み入れる。

「よう」
「おお」

伊丹部長刑事が、顔見知りの鑑識員益子桑栄巡査部長に声を掛ける。

「仏さんか」
「ああ」

シートを被った膨らみを目で示し、伊丹と益子が言葉を交わす。
伊丹と芹沢が床に片膝をつき、片手で拝んでシートをめくり上げる。
そこに横たわるのは、豊かな黒髪を下敷きにした若い女性だった。

慣れた面々から見たら、
この有様でも生前はスタイルのいいなかなかの美人だったとも推察されるが、
今は見開いた両目との三角点となる位置に余計な穴を穿ち、
大の字の体勢で背中から床に倒れ込んでいる。
4 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 16:46:39.32 ID:pVxxeIvg0

「こりゃあ即死か」
「まず間違いないだろうなぁ」

伊丹の呟きに、口を挟んだのは無駄に渋さダダ漏れな刑事調査官だった。

「見た目だけなら22口径、良くても脳死コースだ。
生きた状態、恐らく死亡直前に髪の毛から背中と倒れ込んで、
そっから動かされた形跡も無しだ」

「マル害(被害者)の着ていたものは?」

「二人分、ベッド脇にひとまとめで見つかっています。
損傷らしい損傷はありません。今の所、自分で置いたと推定されます」

近くできびきびと働いていた女性鑑識員が伊丹の問いに答える。

「で、これがもう一人の?」
「ああ」

立ち上がった伊丹とベッドの間に残る血痕を目で示し、
伊丹と益子が言葉を交わす。

「生きてたのか?」
「生かされてた、ってのが正確な所か」

伊丹の言葉に刑事調査官が言った。

「両方の脛、右腕、下腹部、大腸、右の肺」
「うわ」

刑事調査官の語る羅列に、芹沢が思わず声を漏らす。

「報せじゃあ、どうも砕けるタイプの弾じゃないかってよ。
辛うじて救急車に乗せられたが手の施しようが無かったって事だ」
「うわぁ」

芹沢が、本格的にドン引きする。
5 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 16:50:23.59 ID:pVxxeIvg0

「それに、左腕と右の腿にもう少し古い傷があった。
腕は弾丸が掠めた可能性もあるが、脚の方はもっと荒っぽい刺し傷。
どっちも荒っぽく治療した痕跡があったって事だ。
状況から見て、這いずって子機から119番をプッシュしてそのままダウン、
あの傷じゃあ、それだけでも並外れた執念だな」

「それがなけりゃあ、もっと発見が遅れてたって事か」
「銃声の情報もありませんしね、性能のいい音消しを使ったんでしょうか」

刑事調査官の言葉に、伊丹と芹沢が言った。

「施錠されてたからな。マル被(被疑者)はピッキングで開錠して、
犯行後に恐らく持ち去った鍵で施錠してる。鍵穴から痕跡が見つかった」

伊丹の言葉に益子が補足した。
その時、伊丹がスマホを取り出し通話を始めた。

「もしもし? 何?」

ーーーーーーーー

「特命係の冠城亘うぅーっ」

怨念に満ちた自分の名前を聞き、
廃ビルの2階フロアに立つ長身の男がそちらへと振り返り小さく目礼を返す。

「随分とお早いお付きで」
「組対5課にも要請が来ましたからね。お手伝いですよ」

引き続き口の中を苦虫で満たした伊丹の問いに、
警視庁特命係所属冠城亘巡査が実質的な関連部署の名前を出して答える。

「僕としては、美人全裸銃殺事件の現場に直行したかったんですけどねぇ」
「あー、そういう躾けは後にしてくんねぇか」

後輩の胸倉を掴み上げた冠城に伊丹が口を挟んだ。

「で、見つけたのって?」
「ええ」

芹沢に促され、既に鑑識作業の始まっているがらんどうのフロアで、
冠城がハンドライトを照らし始める。
6 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 16:51:47.55 ID:pVxxeIvg0

「まずここ、血痕でしょうね」
「ああ」

冠城の案内で、伊丹と芹沢が床の汚れを確認する。

「で、あっちの壁に弾痕らしき痕跡。
状況から言って、あの入口から発砲して体を掠めた、
その可能性は十分あると」
「で、冠城巡査はどうしてこんな所に?」

簡単に説明する冠城に芹沢が問う。

「あー、地理的な条件から言って、
もしかしたらここになんかあるんじゃないかと………」
「あるんじゃないかと、
察しを付けた人は何処にいるんですかねぇ」

絡み付く伊丹に答える様に、冠城はハンドライトを動かす。
点在する血痕を追い、一同は素通しになった窓際に来ていた。
呑み屋街からの香ばしい煙が微かに漂う。

額を抑える伊丹の横で芹沢が窓から下を覗くと、
そこでは、シートを被った物体の横で、
眼鏡を掛けて仕立てのいいスーツを着た中年すぎの男性が
両腕を振って呼びかけている所だった。

「で、どうだ?」

気を取り直して窓から下を見た伊丹が、
こちらに到着していた益子に呼び掛ける。

「ああー、この破れたシートの下でぶっ壊れた木箱から血痕が見つかった。
そこの窓から飛び降りた、って言っても辻褄が合う」
7 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 16:59:46.87 ID:pVxxeIvg0

 ×     ×

4月25日 東都スタジアム

「よぉーっ」
「どうも」
「また真田の追っかけかい?」

スタジアムの廊下で、いかにも業界人なテレビマン山森慎三が、
まだうら若い女性記者香田薫に軽口を叩く。

「ちょっと付き合わねぇか?」
「いえ、今日は………」
「追っかけてるんだろ、杯戸町の件」

山森が指鉄砲を上に向け、僅かに声を潜める。

「いいネタあるぜぇー」

ーーーーーーーー

「な、いいネタだろ」
「そうですね」

米花町の寿司屋小上がりで、
青柳の喉越しを堪能した香田が山森に答える。

「最近ここに入ったんだけど、
握ってるの俺の親戚なんだ」
「そうですか」
「で、どうよ? 仲良くやってる?」
「お陰様で」

山森が香田のグラスにビールを注ぎ、
それぞれ日売テレビ、日売新聞と言う
資本の繋がった会社に属する二人の間で適当な世間話が交わされる。
8 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 17:01:06.61 ID:pVxxeIvg0

「で? どうよ?
少しはいいネタ掴めた? 随分ガード固いって言うけどさぁ」
「随分と言うか、異常です」

気軽な口調で言う山森に、
白身の握りを続けて飲み込んでいた香田がカチッと言った。

「ハムの仕切りだろ?」

低く言う山森に、香田が頷く。

「もちろん、表立った帳場(捜査本部)は一課が当たっています。
でも、彼らの捜査は極めて限定的。
仕切りはハム、公安でまず間違いない」
「ってーと、どっかに裏帳場でも立ってやがるか」

山森の言葉に香田が頷いた。

「そもそも、煽情的な殺され方に対する人権上の配慮、
を名目に被害者の身元自体が公表されていません。
もちろん、一部はこちらで独自に掴んではいますが、
周到な根回しによって報道各社も非公表を了承しています」

「確かになぁ、こっちでもそこん所はがっちり釘刺されてるよ」

ビールを冷酒に切り替えた山森が言った。

「三人も殺害された、それも拳銃を使用して。
にも関わらず、この情報の無さはやはり異常です。
少しは場数を踏んで来たつもりですが、こんな事は初めてです」

「マンションの部屋で二人、真っ裸で撃ち殺されてたんだよなぁ」

「ええ、男性は致命傷を逃れて救急搬送されましたが間もなく死亡、
女性は正面から頭を打ち抜かれて即死だったそうです。
部屋で撃ち殺された女性は、部屋の借主だった女性看護師の友人で、
事件の三日前に男性共々転がり込んでいた様ですね」

「で、その女性看護師もバラされたと」
9 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 17:03:12.08 ID:pVxxeIvg0

「22日に失踪、23日には殺害されて翌日堤無津川に浮上した。
これが大まかな流れです。
遺体発見時に公安機捜が早々に現場と御遺体を押さえて、
必要な資料だけ刑事部に下げ渡された。
だから、この時系列を把握する事も簡単じゃなかった」

「じゃあ、その仏さんが痛め付けられてたってのも」

「ええ、右手の指を折られて耳朶を焼かれてから恐らく拳銃で眉間を一発。
沈めるでもなく丸裸で無造作に川に投げ込まれたのだろうと。
その辺りの事もギリギリの所で聞き出しました」

「そんなこんなも表に出ず、か」
「ええ。やはり状況等から身元を含めて詳しい報道を行うのは好ましくないと」
「建前だな」

「更にその裏で公安的配慮、
元々が拳銃を使った凄腕のプロ、それも組織的犯行を伺わせる手口で、
公安方面の組織的犯行、何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が高いとかで。
捜査上、治安上の理由による報道自粛の協力要請。
この非公式な要請が、ハムと繋がったデスクやその上を通じて根回しされて、
実質的に現場を抑え込んでいます。かつてない強さで」

「その方面のネタ取りから上に上がったのも結構いるからなぁ」

山森の言葉を聞きながら、香田が切子の冷酒を飲み干す。

「こんな時、あの人がいれば………」
「ん?」

「会った事も無い女性記者の大先輩ですけどね。
帝都新聞に、この手の危ないネタに滅法強い人がいた。
なんでも、面白いネタ元を身近に掴んでいた、って、
特にこの件に関わってからよく耳にするんです」

「面白いネタ元ねぇ」

とととっと冷酒を手酌しながら山森が呟く。
10 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 17:04:30.93 ID:pVxxeIvg0

「そこまではまだまだですから、
今は地道に追いかけるしかないですねぇ。
でも、これだけの大きな事件、しかも何か凄い裏が隠されてる。
そこを掴めば………」

「やめとけ」

あははっと笑ってから真顔になった香田の前で、
山森はことっと冷酒の瓶を置いて一言告げた。

「この商売、長生きしたきゃあ絶対踏んじゃならねぇ虎の尾がある。
お前みたいな若造なら尚の事よ」

ガタリと立ち上がりかける香田の前で、
グラサンの山森は不敵に笑った。

「現に、俺んトコも他んトコもそこん所は察してる。
そこん所押さえとかねぇとなぁ」

山森は、切子の冷酒を飲み干した。

「死ぬぞ」
11 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 17:06:43.44 ID:pVxxeIvg0

 ×     ×

「暇か?」

4月28日
警視庁特命係係長杉下右京警部、同係所属冠城亘巡査は、
何時もの一言と共に特命係所在地である小部屋に顔を出した
角田六郎警視に視線を向ける。

「そうですねぇ」

スーツ姿に英国風紳士の片鱗を見せる
穏やかな杉下警部の曖昧返答をするりと聞き流しながら、
角田は勝手に部屋の道具でコーヒーブレイクを開始する。

縦に長目の顔立ちで、
坊主頭に太目の黒縁眼鏡はその口調と共に剽軽な印象も与えるが、
生活安全部所管時代から
銃器、薬物対策のプロとしてマルBと渡り合って来た猛者。
そうしながら、ノンキャリア刑事として警視階級、
組織犯罪対策第五課課長に迄上り詰めた叩き上げのやり手であり曲者だ。

「まあなぁ」

傾けていたパンダ柄のカップを一度置き、
角田は左手に持っていた図面を部屋の真ん中のテーブルに広げる。

「サミットですか」
「流石だねぇ」

右京の言葉に角田が合いの手を入れる。
12 :カノコミ ◆EO2CFwwgUE [saga]:2018/08/25(土) 17:08:39.04 ID:pVxxeIvg0

「臨海統合リゾート施設<エッジ・オブ・オーシャン>。
こいつは略図だが、来月開業の手始めに
1日からのサミット会場に使われる事になってる。
刑事警備公安各部が交代で警備点検に入ってるからな、
うちもそろそろ仕度しないとな」

「カジノタワーにショッピングモール、
サミットが行われる国際会議場の一階にはレストラン街。
臨海エリアの中で果たす役割は計り知れない程の規模になりますね」

「施設への交通網は海を渡る二本の橋、
何かあったら封鎖せよって出来るのが諸刃の剣って言うか。
テレビなんかでも見ましたけど、あの中に日本庭園とか、
見た目はなんちゃって日本テイストみたいな」

図面を見ながら、右京、冠城がそれぞれに思いを口に出す。

「まあー、サミットってなるとメインは警備公安、
うちは精々お手伝い、マンパワーだからね」
「我々は更にお手伝いの何でも屋」
「必要でしたらなんなりと」

角田の言葉に冠城、右京が続く。

警視庁特命係。実際の所、特命係に関わる「関連部署」は幾つかあるのだが、
単に警視庁特命係と書くのも又実態を反映している。
大雑把な説明をすると、警視庁内の特定の部、課に直属せず、
警視庁の中にぽんと存在しているのが特命係だと言う事になる。

その中で、特命係と比較的関係が深いのが
角田六郎課長が率いる組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課。

鶏が先か卵が先かの説明は割愛するが、
とにもかくにも特命係と組織犯罪対策五課は警視庁の庁舎内で
地理的物理的隣人部署の関係にあり、
歴代の特命係の係員は、組織犯罪対策五課が臨時の人手を求めれば快く応じ、
角田の側も特命係の関わった案件に
出来る限りの便宜を図る良好な関係が続いている。
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