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【ミリマス】琴葉「プロデューサーレベルが」紗代子「上がりました!!」
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1 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:11:25.35 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「プロデューサーのレベルがアップした。その不可解で不思議な現象は」
琴葉「劇場の定期公演も終わり、後片付けもあらかた済ませた頃に起こったのです」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1535127084
2 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:14:02.70 ID:ep1+7OqQ0
===
紗代子「お疲れ様です琴葉さん。今日の公演も大成功でしたね」
琴葉「ふふっ、そっちもお疲れ様」
琴葉「確かに紗代子が言う通り、今日はお客さんの反応だって良かったし」
琴葉「成功したって、胸を張って言いきってみても構わないかも」
P「おいおい、琴葉はまたなーにをイイ子してるんだか」
琴葉「っ!? プロデューサー!」
紗代子「お疲れ様です!」
3 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:14:36.38 ID:ep1+7OqQ0
P「うん、二人ともお疲れ様。着替えも終わってるみたいだな」
P「今日の公演、端で見てた俺も手応えを感じるデキだったぞ」
琴葉「ほ、本当ですか?」
P「嘘ついてどうする」
紗代子「ふふっ、それもそうですよね」
紗代子「琴葉さん、もっと自信を持ってください!」
琴葉「そういう紗代子も褒めて貰ってるんだからね」
P(うんうん、仲良きことは美しきかな)
P(本番が終わればこうしてきゃっきゃしてる二人でも)
P(練習時やステージの上じゃあ切磋琢磨するライバル同士)
P(むぅ、実に青春である!)
4 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:15:48.53 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「……ところでプロデューサー。一つ、気になってることがあるんですけど」
P「気になること?」
琴葉「はい。……その頭の上にあるのは一体」
紗代子「漫画の吹き出しみたいなのがプロデューサーから出てますけど」
吹き出し『プロデューサーレベルアップ!』
P「むっ! やっぱり二人には気づかれたか」
琴葉「気づきますよ!」
紗代子「目立ちますし!」
5 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:16:47.30 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「レベルアップって文字が読めますけど……」
P「そうなのだ。どうも、今回の定期公演で得た経験でレベルが上昇したらしい」
紗代子「はぁ……レ、レベルがですか」
琴葉「にわかにはとても信じられない話ですね。この目で直接見てるのに……」
P「まっ、普段から不可思議な怪現象には困ってないのが765プロだ」
P「そこでプロデューサーをしてるんだぞ? この程度で一々驚いてちゃあ身ももたんさ」
琴葉(だからって、慣れたらいいって話でもないような)
紗代子(プロデューサーでそれだったら、いつかアイドルの私たちにも似たようなことが?)
6 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:18:34.24 ID:ep1+7OqQ0
P「だけど、レベルが上がったからってどうなる話でもないんだよな」
P「妙ちきりんなポップアップが出てるだけで、何かが変わったような気もしないし」
紗代子「……確かに、見た目の変化はないですよね」
琴葉「うん。いつも通りにカッコ良くて」
紗代子「そう、頼れる雰囲気が端々に――」
紗代子(って!? い、今、私とんでもないことを口走ったような!?)
琴葉(あ、あわわわっ! 私ったら何を言って……プロデューサーの目の前なのに!)
7 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:19:12.00 ID:ep1+7OqQ0
P「はっはっはっ! だろう? いつも通りにカッコ良くて頼れるプロデューサーだ」
琴葉「!」
紗代子「!!」
P「二人に褒めて貰えて嬉しいよ。ありがとうな」
琴葉「い、いいえ、そんな! 喜んでもらえたのなら……ねっ、紗代子?」
紗代子「そっ、そうですよ! 琴葉さんも言った通り、私たちがプロデューサーを頼りにしてるのは事実ですから!」
P「なっはっはっ、褒め殺しもそのぐらいで勘弁してくれよ」
琴葉「あはは、褒め殺しだなんて。……すみません、ちょっと困らせちゃいましたね」
紗代子「ふふっ。悪気はなかったんですけど」
P「そうだろうそうだろう、あっはっはっはっはっ――」
8 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:19:43.97 ID:ep1+7OqQ0
P「…………ふぅ」
P(っぶねーっ! なんだ急に、二人ともカッコいいだとか頼れるとか!)
P(そういうこと、マジな顔で言われるとオニーサン勘違いしちゃうから!)
P(そりゃあ最近はだいぶ打ち解けて来たとは思ってたけど、思ってたけども!)
P(不意打ちはダメだよ不意打ちはさぁ。特に、普段からそういうことを言いそうにない二人だから余計にびっくりしちゃったよぉ〜!!)
P(あー、もー、いかんいかん! ……気を引き締めろよ、俺。あんまりにやついてると気味悪がられるぞ)
9 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:20:19.31 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「…………」
琴葉(――どうしよう。プロデューサーが黙っちゃった)
琴葉(やっぱり私が、カッコいいとか急に言っちゃったからかな?)
琴葉(でもでもでも! ちょっとお調子者だけど、仕事中のプロデューサーは実際カッコいいし)
琴葉(特に、今みたいに考え事してる横顔が素敵。……それに今日はいつもの二割、三割、ううん五割増しぐらいでそう感じる)
琴葉(……変、かも。さっきから私、妙に浮ついた気分になってるな……どうしてだろう?)
10 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:20:48.82 ID:ep1+7OqQ0
紗代子「…………」
紗代子(こ、困っちゃうな。二人とも静かになっちゃうと、私、何話せばいいかわかんないよ)
紗代子(プロデューサーの吹き出しだって気になるけど、琴葉さんの熱い眼差しも気になるし)
紗代子(……薄々感じはしてたけど、この人もプロデューサーのこと好きなのかな?)
紗代子(地味な私なんかが贅沢言わない。プロデューサーには、悩み事を聞いてもらえるだけでもいいと思ってたけど)
紗代子(も、もう少しぐらい、積極的にアピールしていくべきなのかも……でないと)
紗代子(でないと、プロデューサーが私の前からいなくなりそう。……それは嫌だな)
11 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:21:46.88 ID:ep1+7OqQ0
紗代子「――プロデューサー、ちょっといいですか?」
P「ん、ど、どうした紗代子?」
紗代子「その頭の上に出てるやつって、直接触ってみたりできるんでしょうか?」
紗代子「いつまでもそのままっていうのは気になりますし」
紗代子「閉じるというか消せるのなら、そうした方がいいんじゃないかなって」
12 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:22:20.93 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「そ、そうですね。プロデューサー、そのままだと外に出た時目立ちますよ」
P「むぅ、二人の言うことも一理あるな」
P「触らぬ神にもってことで、勝手に消えるまで無視しようとも思ってたけど」
紗代子「ダメですよそんな! 寝てれば風邪は治るみたいな考え」
琴葉「私も紗代子の意見に賛成です。とりあえずそこの椅子に座ってもらえますか?」
琴葉「このままだと、私たちにはちょっと目線が高すぎるので」
P「分かった、座ろう――よっと」
琴葉「それじゃあプロデューサー、前を失礼します」
紗代子「あっ! 私も一緒に」
P「う、うん。ケンカはしないようにな」
P「……あっ!?」
13 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:23:12.18 ID:ep1+7OqQ0
P(……って、迂闊だった。言われるままに座ったけど)
P(この姿勢じゃ、目線の高さに丁度彼女ら二人の胸が、胸がっ!)
P(しかも何だかいい匂いもするぞ……)
P(公演が終わって衣装から着替えているからだ。シャワーを使った後だからだ!)
琴葉「……びっくり。この吹き出し平べったいけど触れるのね」
紗代子「SFとか、出てきますよねこういうの」
紗代子「機械から何もないトコにパって感じで」
琴葉「うん。そういうイメージは確かにあるね」
P(触れるホログラムってやつか……)
P(しかし、君ら二人が吹き出しをどうにかしようとすればするほどに)
P(俺の目の前では二つの膨らみが無邪気に押し合いへし合い)
P(畜生、耐えろ俺! 耐えるんだ俺っ! 真面目にやってくれてる二人に失礼だろう!)
14 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:24:14.39 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「――あっ」
吹き出し『ようこそプロデューサーレベル2へ!』
紗代子「表示が変わった!」
琴葉「文面にタッチしたからかな?」
P(俺は目の前のお山にタッチしたい)
琴葉「また触れば新しい文が出てくるかも……えいっ」
紗代子「っ!! 変わりましたよ!」
紗代子「"特典を選択してください"?」
P「と、特典?」
15 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:24:56.36 ID:ep1+7OqQ0
紗代子「はい。レベルが上がったご褒美でしょうか」
紗代子「吹き出しの中に一覧がズラッと……」
琴葉「でも、殆どはハイライト表示されてないね」
紗代子「選べないんじゃないですか、それ」
P「確かにそういうのってあるよな。ステータスが足りてないとかで」
P「ちなみにどんなのがあるんだ? 鏡でもないと俺には見えないから」
琴葉「あっ、待ってください。えぇっとぉ……」
16 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:25:40.08 ID:ep1+7OqQ0
手懐け屋『警戒心を解いてあげましょう! ツンツンしてるあの子が懐きやすくなります』
子供好み『身長150センチ以下の人物から好かれやすくなります』
胃・大拡張『もっともっと沢山食べられます! 引き続き体重を気にしなければ、ですが』
パワー充填!『移動型元気貯蔵庫になりました! 元気を他人に分けられます』
励まし上手『アナタほど大勢の落ち込んだ人間を一斉に笑顔にできる人はいません!!』
いい匂い『普通の人でも分かる程の、リラックス効果のある匂いが出ているみたいですよ』
17 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:26:22.20 ID:ep1+7OqQ0
P「…………それだけ?」
琴葉「いえ、ホントはもっとありますけど……」
紗代子「今ハイライトされてるのは以上ですね」
琴葉(……嫌われ者『兎にも角にも不思議なことに、皆アナタが嫌いになりました』とか)
紗代子(女たらし『"いい人"よりも一歩先へ! 異性からの好感度がより底上げされます』とか)
二人(怪しくて危ないのもあるなんてことは絶対言えないっ!!)
P「そうか、今はそれだけなのか」
琴葉「は、はい。そう、そうなんです!」
紗代子「多分、どれか一つでも選べば吹き出しも消えるんじゃないでしょうか」
P「うん。理由は無いけど何となく俺もそう思うよ」
P(二人とも妙にぎこちないのが気になるけど)
18 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 01:27:45.51 ID:ep1+7OqQ0
>>14
訂正
〇紗代子「えっと……"特典を選択してください"?」
×紗代子「"特典を選択してください"?」
とりあえずここまで。そんなに長い話にはならないです。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 01:38:59.00 ID:WQqc4nUK0
紗代πが目元とかヤバい、たんおつ
http://i.imgur.com/Ps1ZQ2X.png
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 04:13:29.45 ID:t34tK1CBo
某アイドル専用の特典があるんですが…
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 06:25:58.69 ID:FZ0og7a20
一旦乙
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 06:42:42.31 ID:UT9E5WoiO
紗代子をいやらしい目で見るのはやめなさい
23 :
◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/08/25(土) 10:53:54.95 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「それで、プロデューサーはどれを選ぶんですか?」
紗代子「正直、役に立つかどうか分からないのも混じってますけど」
P「そうだなぁ……。手懐け屋とか子供好みとか」
P「人に好かれやすくなるのは便利そうに思えるけどな」
琴葉「でも、それってちょっと怖いです」
琴葉「もしかしたら、この不思議な特典のせいで人の心を操ることになるんですから」
P「うん。俺だってそう思うよ」
P「誰かと仲良くなりたいなら、真摯に時間をかければいい話さ」
紗代子「わ、私もそう思います! 変な副作用があっても困りますし」
琴葉「プロデューサー、紗代子……! ふふっ、ですよね」
24 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 10:55:15.75 ID:ep1+7OqQ0
P「それじゃあ次に、胃拡張とパワー充填だけど」
琴葉「はい」
紗代子「胃拡張は文字通りの効果と意味ですね」
P「これも便利は便利そうだよな。付き合いで何かと食事に行くことも多いから」
P「外で食ったりお菓子を食ったり差し入れの料理を平らげたり」
P「今はもうだいぶ慣れたけれど、あったらあったで使えそうだ」
琴葉「そう考えると、プロデューサーって意外に大食漢なのかも」
紗代子「痩せの大食いの方が合ってるんじゃ?」
25 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 10:56:28.51 ID:ep1+7OqQ0
P「いや、実は意外とそうでもないらしい」
琴葉「……と、言うと?」
P「風花が前に言ってたけど、俺の場合摂取と消費のエネルギーがうまい具合に釣り合ってるんだそうだ」
紗代子「そうなんですか?」
琴葉「それで太らない、と」
P「らしいぞ。……まぁ、心当たりなら確かにある」
P「普段の業務に加えて皆の練習に付き合ったりだとかしてるから」
琴葉「そう言われれば、プロデューサーは皆の外遊びに参加したり」
紗代子「趣味に付き合ってあげたりとかも」
紗代子「確か、今度も登山に参加する予定なんですよね?」
P「うむ、麗花の企画・主催でな」
26 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 10:57:13.01 ID:ep1+7OqQ0
P「しかし、そう考えると今のバランスを崩すのは得じゃないな」
P「胃拡張を選ぶのは止めておくか」
琴葉「正しくは胃・大拡張です、プロデューサー」
紗代子「そこ訂正するんですね」
琴葉「だって、こういうのはキッチリしておかないと」
P「ははっ、琴葉は真面目だなぁ」
琴葉「もうプロデューサー、それは言わないお約束です!」
紗代子「うふふっ。……あれ?」
紗代子(でもこの特典の説明だけなんだかちょっと引っかかるような……)
27 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 10:57:50.73 ID:ep1+7OqQ0
P「さて、お次はパワー充填か」
琴葉「他と比べて説明が抽象的ですけど……」
紗代子「元気を分けられるってなんでしょうね?」
P「それはほら、ゲームで言うトコの回復魔法的なアレなんじゃないか?」
P「こう、ハンドパワーで誰かの疲れを取れるみたいな」
P「肩こりとか、腰痛とか、筋肉痛や二日酔いも」
琴葉「何でしょう? だいぶ用途が偏ってる気もするような……」
28 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 10:58:51.80 ID:ep1+7OqQ0
紗代子「だけどプロデューサーの言った通りのことが可能なら、これって凄く実用的な特典だと思います」
紗代子「少なくとも皆疲れ知らずになれそうだし、二十四時間ライブだって出来そうだなって思いませんか!?」
P「さ、紗代子、ちょっと落ち着こうな?」
P「確かにやろうと思えば出来るようになるかもしれないけど……」
琴葉「それはお客さんの負担も大きいんじゃ」
紗代子「なら、お客さんにも元気を分けてあげて!」
P(うーむ、つくづく考え方が体育会系なんだよなぁ)
29 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:02:57.11 ID:ep1+7OqQ0
P「まあ、こいつは一考の余地ありってことで一旦保留にしておいて」
琴葉「あと残ってるのは励まし上手といい匂い」
紗代子「私、励まし上手はプロデューサー向きな気がします!」
P「そーお?」
紗代子「そうですよ! ……だっていつも、プロデューサーには励ましてもらっていますから」
琴葉「…………?」
琴葉(なんだろ? 紗代子ってば……照れてる?)
30 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:03:25.42 ID:ep1+7OqQ0
P「そっか。今までもちゃんと励ましてこれてるか」
紗代子「はいっ!」
P「……だったら要らないんじゃないかなぁ」
紗代子「あっ」
琴葉(ううん、がっかりしてるみたいだから、多分私の気のせいね)
31 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:04:08.85 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「ならプロデューサー。いい匂いの方はどうします?」
P「それな、実を言うと一番気になってるヤツなんだよ」
琴葉「えっ!? そ、そうなんですか?」
紗代子「説明を読んだ限りじゃ、いい匂いがするようになるだけらしいですけど……」
P「おいおい二人とも、案外"匂い"の効果は馬鹿にできないぞ?」
P「そもそもだ。匂いには"美味しそう"だとか"危なそう"みたいに」
P「俺たちが見た目で物を判断するのと同じぐらい、いや! それ以上の多様な情報が込められてる」
P「誰だって不快な臭いがする物より、いい香りのする物の方が好きになるだろう?」
P「それだけじゃない! 匂いってやつは人の気分にも影響する」
P「元気が出たり、落ち着いたり、頭が冴えたり懐かしくなったり色々とな」
32 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:05:02.10 ID:ep1+7OqQ0
P「まっ、説明を読んだ限りじゃリラックス効果がメインみたいだけど」
P「それでも十分な効果じゃないか。本番前、俺が一緒にいるだけで皆の気が楽になるのなら」
P「プロデューサーとしては十分検討してみる価値がある!」
琴葉「……なるほど、確かにプロデューサーの言ってることは理解できます」
紗代子「でも私たちだってバカじゃないんですよ?」
琴葉「プロデューサー? 本音はどうなんです」
P「ほ、本音?」
33 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:05:32.72 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「アナタが演説じみた話をした時には、決まって何か裏があることを知っていますから」
紗代子「いつまでも新人だと思わないでください。それが分かるぐらには一緒にお仕事してるんです」
P「ぐ、む……成長したな、二人とも」
琴葉「誤魔化さないで」
紗代子「さ、どうぞ」
P「む、うぅ……その、何だ。何と言うか……」
34 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:06:10.86 ID:ep1+7OqQ0
P「……君たちに汗臭いとかいう理由で嫌われたくないです」
琴葉「はぁ……だとは思いました」
紗代子「原因の一端は可憐ですね。彼女がしきりにプロデューサーの匂いを気にするから」
P「いや、でも、しょうがないだろ!? 最近じゃ星梨花や環まで可憐の真似をして――」
P「俺の傍で鼻をスンスンスンスン。それで嫌な顔でもされてみろ、傷つくってば!」
35 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:08:07.94 ID:ep1+7OqQ0
琴葉「……されたんですか? 嫌な顔」
P「さ、幸いされなかったけれど」
紗代子「だったらいい匂いは必要ありませんね」
琴葉「この特典も選択肢からは外す、と」
P「お、おいおい、妙に強引だな……」
琴葉「そんなことないです!」
紗代子「気のせいですよ!」
琴葉(だってプロデューサーからいい匂いだなんて、花が虫を集めるみたくなりそうだし)
紗代子(事務所の子はしょうがないとしても、他所の子までプロデューサーに惹かれかねない要素なんて……)
二人(絶対に嫌っ!)
P(……なんだろう? 二人から強い共通意識を感じるぞ)
36 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:08:51.45 ID:ep1+7OqQ0
P「――で、だ」
P「一通り吟味してみたけど、候補に残ったのは"パワー充填!"一つだけか」
P「他のはどうにもメリットと使いどころがなぁ……」
琴葉「じゃあ、プロデューサーが選ぶのは"パワー充填!"ということで」
紗代子「決定しちゃってもいいんですか?」
P「……ん! まぁ、構わないだろ」
37 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:09:21.33 ID:ep1+7OqQ0
P「そもそもだ。RPGなんかで言えばプロデューサーってのはサポート職」
P「ならトップアイドルって高みを目指すパーティに回復役は必須だろう? なっ?」
琴葉「は、はぁ……RPGですか……」
琴葉「すみませんプロデューサー、そういうのあまり詳しくなくて」
紗代子「それじゃあ、選びますからジッとしててください」
P(ああ、寂寞感が胸に満ちる……)
P「う、む。紗代子、よろしくやってくれ」
紗代子「はい! ……さっきみたいに、選びたい特典をタッチしたらいいはずですよね?」
38 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:09:59.99 ID:ep1+7OqQ0
吹き出し『――――』
紗代子「あっ!?」
琴葉「吹き出しが消えた……!」
P「そうか! ……なら、晴れてレベルアップ完了ってトコだろうな」
琴葉「でもプロデューサー。そうするとさっき選んだ特典も授与されたってことになりますよね?」
紗代子「体の方とか、なんともなってないですか?」
P「うーん、特に変わったようには感じない――うぉっ!?」
琴葉「きゃっ!?」
紗代子「眩しっ!?」
P「ひ、光が……俺の、体から……!!」
39 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:11:55.49 ID:ep1+7OqQ0
===
琴葉「――その時、まるで私たちの質問に答えるように」
琴葉「プロデューサーの体からはまばゆい光が溢れ出したんです」
琴葉「そうして、ようやく視界の戻った私たちの前には」
琴葉「冷たい床の上に横たわる、変わり果てた彼の姿があったのでした」
40 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/25(土) 11:12:35.78 ID:ep1+7OqQ0
とりあえずここまで。
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 11:25:15.15 ID:JbvUhD8Do
期待
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 13:08:00.80 ID:p2IRjjMho
おいおい気になるじゃねーか
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 14:39:11.60 ID:gPxIIOEio
また冷たい床に
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/25(土) 21:13:07.95 ID:7/rOajIJ0
エアコン効いた部屋は寒いんだ続きはよ
45 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:42:04.52 ID:U6jiUfxw0
===
琴葉「そ、そんな……嘘……!」
紗代子「プロデューサー! どうしちゃったって言うんですかっ!?」
琴葉「待って紗代子! 意識の無い人を揺すったり動かしたりしちゃダメ!」
紗代子「でもプロデューサーが、プロデューサーが……!」
琴葉(落ち着け、落ち着くのよ琴葉……!)
琴葉(プロデューサーだって言ってたじゃない。765プロじゃ怪現象は日常茶飯事)
琴葉(私もそこのアイドルだもの。現実離れしたことが起きたとして、一々取り乱してちゃ務まらない!!)
46 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:42:54.35 ID:U6jiUfxw0
紗代子「琴葉さん、プロデューサーが……!」
琴葉「……ええ、眼鏡が曇ったワケじゃない。私も紗代子とおんなじ物を見てる」
紗代子「ならプロデューサーの顔は確かに――」
紗代子「アルファベットの『P』になってる!?」
琴葉「アルファベットの『P』になってるわねっ!?」
P(改めP表記)「………………すやぁ」
紗代子「しかも寝てる! 寝息立ててますよ!?」
紗代子「どこに口があるかも分からないのに……!」
琴葉「仰向け、辛くないのかな? 丁度カーブの部分が床に当たってるみたいだけど」
47 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:44:53.43 ID:U6jiUfxw0
琴葉「それにさっきの光が引いてない。まだプロデューサーの全身は淡い輝きを放ってるわ」
琴葉「もしこの光が"変身"の原因だとしたら」
紗代子「っ!? 触れば、私たちもプロデューサーみたいなPヘッドに?」
琴葉「うん、可能性は十分考えられる」
琴葉「……もしかすると形はPじゃなくて、TやKになるかもしれないけど」
紗代子(なら私の場合TかSだ!)
琴葉「でも、そうなると同じイニシャルを持つ人が困っちゃうか」
琴葉「私たちがどっちもTになったら、見分けてもらうのが難しくなるし」
紗代子「そ、そこは深く悩まなくても、名札とかなんなりあるんじゃないです?」
紗代子「――と、言うか琴葉さん! 今はプロデューサーをどうするかの方が!」
琴葉「はっ!? そ、そうね! 紗代子の言う通りね!」
48 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:45:54.54 ID:U6jiUfxw0
琴葉「――とはいえ、寝息を立ててるってことは安心してもいいのかな?」
P「うぅ〜ん……ぐぅ」
紗代子「……普通に寝返りもうってますね」
琴葉(ふふっ、お腹まで掻いて、プロデューサーったら子供みたい)
紗代子(琴葉さん、またプロデューサーにそんな顔して)
49 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:46:31.52 ID:U6jiUfxw0
紗代子「むぅ」
琴葉「どうかした、紗代子?」
琴葉(急に難しい顔になっちゃって)
紗代子「……別になんでもありません。それよりプロデューサーを起こさないと」
紗代子「直接触るのが危ないなら何か棒みたいな物でつっついたり」
琴葉「だけど、この部屋にはバットしか置いてないわ」
紗代子「十分です! これで寝ているプロデューサーの肩を――」
P「ん、ぐぅ……すぅ……?」
紗代子「肩を、こう、揺らすように」
P「んん、むにゃ……」
紗代子「あっ! プロデューサーってば!」
琴葉(コロンって寝返りうっちゃった。可愛い♪)
50 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:47:12.18 ID:U6jiUfxw0
紗代子「そうじゃなくて! 起きて、起きて欲しいのに……」
琴葉「――ねぇ紗代子、握りが少し甘いんじゃない?」
紗代子「握りですか?」
琴葉「ちょっと代わって。……はっ!」
P「ふがっ!?」
琴葉「ふっ! はっ! はぁっ!!」
P「んがっ、へっ、ぐにゃっ!!?」
紗代子(す、凄い! なんて鋭い突き!)
紗代子(そういえば、琴葉さんってフェンシングやってるんだっけ)
P「う、うぅ……あ痛たたたた」
琴葉「おはようございますプロデューサー」
紗代子(そして何事もなかったようにバットをしまう)
51 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:47:52.23 ID:U6jiUfxw0
P「琴葉、紗代子、俺は一体……。おかしいな、なんで床に寝てるんだ?」
P「……おまけに肩の周りが妙に痛い」
琴葉「大丈夫ですか? プロデューサーは吹き出しが消えたすぐ後に突然気を失ったんです」
琴葉「椅子から落ちて床の上へ。多分、肩もその時に打ったんだと……ねっ、紗代子?」
紗代子「へっ!?」
琴葉「私たち二人で見てたものね?」
紗代子(…………笑顔が怖い)
紗代子「は、はい! もの凄い勢いで肩から落ちて!」
P「そうか、なるほど、そういうワケか……」
52 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:48:29.70 ID:U6jiUfxw0
琴葉「しかもプロデューサー、変化はそれだけじゃありません!」
P「なにっ!?」
琴葉「ご自身の体を見てください! 今もポワポワした光がプロデューサーから溢れてます」
P「おぉっ!?」
琴葉「おまけにプロデューサーの頭は今、アルファベットの『P』になってるんですよ!?」
P「アルファベットのP……かどうかは分からないが」
P「た、確かに! 触った限りじゃマトモな形の頭じゃない!」
P「なぜか五感は残ってるみたいだけど……これじゃあ俺はのっぺらぼうだ!」
53 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:49:01.58 ID:U6jiUfxw0
紗代子「……っ!!?」
紗代子(き、聞き間違いかな? 今一瞬、琴葉さんから物凄い怒りの波動を感じたような……)
琴葉「? どうしたの紗代子、人の顔なんてじっと見て」
紗代子「い、いえ! なんでもないですけど」
琴葉「そう? ……ふふっ、変な紗代子」
紗代子「あは、は、あははは……」
紗代子(崩れの無い優等生スマイルが怖い)
54 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:49:29.53 ID:U6jiUfxw0
P「しかし参ったな。こんな頭じゃ吹き出しの方が数倍マシ――」
琴葉「あっ!」
紗代子「ああっ!?」
P「うぉっ!? ど、どうした二人とも。急に大きな声なんか出したりして」
琴葉「それがプロデューサーののっぺらぼうに――」
紗代子「さっきの吹き出しが張り付いたテレビみたいな画面が開いてます!」
P「……はぁ?」
55 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2018/08/26(日) 07:49:56.90 ID:U6jiUfxw0
画面『仕事をもっと効率化したい? 人間関係を円滑にしたい? 人一倍の働きを見せて昇格のチャンスを掴みたい?』
画面『喜んでください! そんな画面の前のアナタに嬉しいお知らせがあるんですっ!!』
P「うるさっ――何が起きてるんだ!?」
紗代子「だから画面ですよ! プロデューサーの!」
琴葉「……教習ビデオみたいなのが始まった?」
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