五十嵐響子「Pさんは泣き虫」

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1 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 16:55:21.55 ID:8oY/yg9Y0
SSを書くたびに各所から「[ピーーー]」「精神病院に行け」「二度とSSを書くな」「戻って来るな」「精神病院に行け」「自殺しろ」と絶賛の声が上がっているので初投稿です。
地の文キャラ崩壊に勝手な設定など沢山ありますのでもう無理な人は読まない方がいいです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1534578921
2 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 16:57:00.48 ID:8oY/yg9Y0
P「うわぁあああああゴキブリだぁあああああ!!!! なんで事務所にリスポーンするんだよぉおおお!!!」

ちひろ「ちょっ、落ち着いてくださいPさん!」

P「マジでダメなんですよゴキはぁああああ!!! かさかさするしエグイし!!! あともう生理的に無理!! 絶滅希望種ですよぉおおお!!!」

ちひろ「私もダメですよ一人で逃げないでくださいPさぁああん!??」

響子「私が行きますっ!」

ちひろ「響子ちゃん!?」

響子「せいっ!」パシーン

P「一撃だと!?」

響子「ふっふっふ……鍛え上げた私の新聞紙の前では、ひとえに風の前の塵に同じです」

ちひろ・P「やだ、カッコいい……」

響子「この子は私が始末しましたので……あ……」

P「……」涙ドバー

響子「ま、また泣いてる……」

ちひろ「全く、Pさんの泣き癖にも困ったものです」

響子「いや、ちひろさんも少し泣いちゃってますよ」

ちひろ「ひぇ……」

 私のプロデューサーは、泣き虫です。すぐに泣いてしまいます。何かあったら、涙を流します。
 私と初めて会った時もそうでした。
3 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 16:57:29.94 ID:8oY/yg9Y0
 Pさんの泣き虫メモ。
 どうやら、悲しいことや辛いことがあったときや、刺激あるモノを食べた時以外にも涙を流す時もあるみたい。嬉しいときがそれ。
4 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 16:58:13.40 ID:8oY/yg9Y0
 それは、私が鳥取にある実家で、お買い物からの帰路をゆっくりと歩いていた時のお話です。
 私はいつもより少し多めに買った野菜を持ちながら、途中何度か休憩を挟みながら帰っていました。その時は、私は丁度家の近くの公園のベンチに、深く腰をかけていました。
 流れる汗が髪を肌に張り付けてしまいます。髪、切っちゃおうかな、なんていつも考えているのですが、結局そんな暇はなく、仕方ないのでサイドテールにしてまとめています。前髪だけは自分でも切れるのですが、流石に後ろ髪を弄る勇気はありません。ハンカチで汗を拭いて、もう一息。
 見れば、満遍ないオレンジが、公園を浸しています。いつもは黄色に見えるジャングルジムが、やけに鈍く、オレンジに輝いています。少し、目に刺さります。
 時期は八月中旬だったでしょうか。太陽が傾いていたとはいえ、相当キツイ日差しが、公園に差し込んでいました。私以外には遊んでいる子供もおらず、公園は閑散とした雰囲気で満ちています。なんだか私だけが夕暮れに取り残されたみたいで、少しだけ哀愁の感情が沸き上がってきました。
「よしっ」
 と意気込んで、私はベンチから立ち上がりました。荷物は実に重く、持っただけでもどっと汗が噴き出しましたが、家までは後少しです。公園を抜けて、近道。横断歩道を渡って、道をまっすぐ進むだけです。
5 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 16:58:42.82 ID:8oY/yg9Y0
「……」
「……」
「……え」
「……」
 横を見れば、知らないおじさんが座っていました。いえ……おじさんと言うほど老けては見えません。お兄さん、といったところでしょうか。とはいえ、彼から溢れ出る負のオーラから察するのに、何か落ち込んでいることがあるのは、想像に難くありません。真夏だというのにきっちり着こなした黒のスーツ。汗一つかいていないような、乾いた表情。全く音もなく私の横に座ったにしては――どこか幽霊めいていました。 
「こ、こんにちは……」
 一応、声を掛けました。不審者に会ったら元気の声を掛けるか、何かされそうになったら逃げなさい――そう先生に言われた小学生時代を思い出しました。もしこの人が不審者でなかった場合、今にも死にそうな顔をしている見知らぬ人です。いえ、見知らぬ人だからといって放置するわけにもいかないのですが。
6 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 16:59:21.00 ID:8oY/yg9Y0
「こんにちは。一つお聞きしたいことがあるんですが、良いですか?」
 丁寧な言葉を話す人だな、と思いました。私なんてどうせ子供に見えるんだから、敬語なんて使わなくてもいいのに、と直感的に思いました。
「なんですか?」
「なんでこの辺、自販機がないんですか……?」
「……」
 乾いた声でした。
 というか、汗をかいていないというのは、熱中症の初期症状でしたね。その人は間違いなく、熱中症の人でした。
「飲み物でしたらありますよ。どうぞ」
 私は買い物袋からペットボトルを一本取り出して、彼に渡しました。彼は「いいんですか?」なんて遠慮していたようなので、私は「困ったときはお互い様です」と飲み物を押し付けました。こういう時のために買いだめしようとしていたスポーツドリンク、さっそく一本なくなってしまいました。飲み干したころには、彼はぽろぽろと泣いていました。
「美味しいなぁ……」
「な、泣くほどですか……」
 私にとって、大の大人が目の前で泣いているという光景は、少し異常に映りました。汗を取り戻すように顔を伝い涙が、ゆっくりと流れていきます。
7 : ◆V1gN/9sbLo :2018/08/18(土) 17:01:00.72 ID:8oY/yg9Y0
「ふぅ、ありがとうございました。助かりましたよ」
 空になったペットボトルを大切そうに持って、その人は言いました。
「自販機を探して街中を歩き回ったのですが、中々発見できず……」
「実は一本抜けた路地裏なんかにあったりするので、地元民でもないとわかりにくかったりするのかもしれませんね」
「危うく死ぬところでした」
「現代日本で枯死って……」
 とはいえ、そう冗談でもない現実でした。
「あ、お金。返しますよ」
「そんな、いいですよ」
「そういうわけにはいきません。それと――」
 そういって、その人はお財布を取り出して、二枚の紙を取り出しました。
 片方はお札で、もう片方は名刺。
「おつりは貴方の好意です。もう一枚は、お誘いの一枚」
「お誘い?」
「僕はアイドルのプロデューサーをしているのです。貴方、アイドルになってみませんか?」
 宗教勧誘かと思いました。
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