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「黒山羊怪奇譚」
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1 :
◆XkFHc6ejAk
[saga]:2018/07/31(火) 20:38:44.68 ID:ssvcM0xZ0
少年「うーん……」
少年(僕は今、古い図書館で本を探している)
少年(生き物図鑑って何処にあるんだ?)
少年(聞こうにも誰も居ないし……入り口まで戻って聞こうかな)
「探し物は、これかな」
少年「!」
少年(……何だこの人)
少年(夏なのに真っ黒なローブを纏っている)
少年(身長は高く、脚がモデルのように長い)
少年(顔は目以外を包帯で覆ってしまっている)
少年(爛々と輝く満月のような両目に長い黒髪が合わさって、夜を連想させられる)
少年(瞳がおかしい……まるで、蛸や、山羊みたいな……)
少年(こいつ……人間じゃない!?)
「そう怯える必要は無い。少し話したいだけなんだ」
少年「……別に、怯えてなんか無いけど」
「くくく、威勢は良いな。気に入った」
「少し場所を変えよう」ゴポ
少年(そう言って、ヤツはすっと左手を伸ばした)
少年(これは……空間に黒い水? が発生して広がっていく)
少年(渦巻きながら丸い円の形になった……奥は何処かに続いているように見える)
「さあ、行くぞ」グイ
少年「ちょ、ちょっと待っ――」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1533037124
2 :
◆XkFHc6ejAk
[saga]:2018/07/31(火) 20:46:26.33 ID:ssvcM0xZ0
少年「……ブハッ!! ゲッホ!」
「初めての人間は大抵が酔って吐くのだが……やるじゃないか」
「それとも……」
少年(此処は……何処かの家?)
少年(いや、ボロボロだ。もう人が居なくて廃墟になっているのか)
「さて、急に連れてきて悪かったな」
「自己紹介をしようか。私は「黒山羊」と呼ばれる者だ」
少年「……僕は少年。あんた……何者なの?」
「さあ、自分でもよく分からん。色々混ざった曖昧な存在だよ」
少年(悪霊……いや、違うな。もっと上の何か……?)
「話を進めようか」
「貴様から強力な呪力を感じる。心当たりはあるかな」
少年「!」
少年(こいつ……適当に言っているんじゃない)
少年「……昔から、僕は奇妙な「何か」に惹かれる体質みたいなんだ」
少年「何度も怖い経験をしてきた」
「! ほう、それは良いな」
少年(黒山羊はそう言うと、目の力を強めて笑った)
「貴様の怪異に対する話を、全て私に聞かせろ」
「私が望むのはそれだけだ……どうだ? 特に悪い話でも無かろう」
少年「……条件が一つ」
「ほう」
少年「絶対に僕を傷つけない事」
「くく……まだ子供の割には、少しだけ頭が回るようだな」
「良かろう。約束してやる」
少年「それじゃ、契約成立と言う事で」
「そんな言葉何処で覚えた? くくく」
「ああ、契約成立だ」
少年「……どうも」
少年(所詮こんなの口約束だ。それでも、無いよりはよっぽどマシだ)
少年(僕が帰れるかはヤツの気分次第。あまり逆らうべきじゃない)
少年(果たして、僕は生きて帰れるのだろうか)
少年(僕は大げさに息をつくと、どかりと古びた椅子に座った)
少年「じゃあ、まずはこの話から話すよ」
3 :
◆XkFHc6ejAk
[saga]:2018/07/31(火) 20:48:44.97 ID:ssvcM0xZ0
【誘うもの】
少年「ねえ、辞めようよ。帰ろう」
友「良いじゃん、さっと行って帰ったら大丈夫だよ」
少年(桜が散ったばかりのある休日)
少年(僕らは森を探検していて、怪しい小屋を見つけた)
少年(緑の蔦に覆われている。古いものなのだろうか)
少年(人が居る気配は無さそうだ)
少年(ドアに隙間が空いている。つまり鍵は掛かってない)
少年(確かに気にはなる。けれど、何だか気持ち悪いんだよ)
友「なあ、入ろうぜ。大丈夫だって」
少年「……うう」
少年(こうして、僕は彼に誘われるがまま小屋に入ったんだ)
4 :
◆XkFHc6ejAk
[saga]:2018/07/31(火) 20:50:06.85 ID:ssvcM0xZ0
少年「うっ……」
少年(中はむっとした空気が漂っている。目がひりひりとする)
少年「……う、うわっ!?」
友「……」
少年(まず目に飛び込んできたのは……壁に付着した大きな染み)
少年(……人の形をしている……!)ゾッ
少年「出よう! 出よう早く!」
友「な、なあ……見ろよあれ」
少年「……!」
少年(友が指を指した先には、大きな絵画があった)
少年(黒い背景に、女の人の顔……肖像画って言うべきか)
少年(軽く微笑んでいるそれは……何だか妙に不気味だ)
友「なあ、これどう思う?」
少年「知らないよそんなの!! この染み見てよヤバいでしょ!?」
友「ああ、ヒトの形してんな……」ジー
少年(何のんびり観察してるんだこいつ……!)イラ
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