梨子「悪意にも無関心にも」

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1 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:07:33.09 ID:zstzB+O7O
放課後、音楽室
 
ポロロ〜ン♪
 
梨子「0を1にする、か」
 
梨子(でも今までみたいなやり方じゃ駄目なんだろうな。行き当たりばったりとか、μ′sの後追いとかじゃ)
 
パチパチパチパチ
 
梨子「誰?」
 
ダイヤ「いい音色ですわね、梨子さん」
 
梨子「ダイヤさん」
 
鞠莉「とマリーもいるよー☆」
 
梨子「お二人はどうしてこんなところまで?」

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2 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:09:13.94 ID:zstzB+O7O
ダイヤ「見回りですわ。もうすぐ下校の時間ですので」
 
鞠莉「こんな遅くまで学校に残っている悪ーい娘には……お仕置きデース!」クワッ
 
梨子「す、すみません」ペコッ
 
ダイヤ「気にせずに。まだ下校の時間ではありませんので」
 
梨子「あっ……そうでしたね」
 
ダイヤ「そういうことです。ところで今日は練習しなかったのですか?」
 
梨子「はい。千歌ちゃんと曜ちゃんとルビィちゃんは三人で衣装の生地を買いに、善子ちゃんと花丸ちゃんは夏祭りの演出のために会場の下見に行きました」
 
ダイヤ「そうでしたか。梨子さんはその夏祭りに使う曲を?」
 
梨子「ええ。ちょうど一段落したところです」
 
鞠莉「だったら私達とちょっとティータイムでもしましょっ」
 
ダイヤ「鞠莉さん、無理に誘っては──」
 
梨子「いえ、いいですよ」
 
梨子(ちょうどダイヤさんと鞠莉さんには色々聞いておきたいこともあったし)
 
鞠莉「じゃあけって〜い☆ 理事長室までレッツゴー!」グイッ
 
梨子「わかりましたから、強引に腕を引っ張らないでくださいってー」
3 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:10:25.55 ID:zstzB+O7O
理事長室
 
ダイヤ「東京から戻って来て三日が経ちましたが、まだスクールアイドルを続けるのですわね?」
 
梨子「はい、千歌ちゃんはその気です。もちろん私も、他のみんなも」
 
鞠莉「そうね。あの程度の敗北でロストハートしてるようじゃ、スクールアイドルはやってけないわよ。そこの硬度10は『東京に行かせることがどういうことか』って危惧してたけどね」
 
ダイヤ「そうでしょう。わたくし達はあの後で解散になったのですから」
 
梨子「そういえばダイヤさんと鞠莉さんは、果南さんと三人でスクールアイドルやってたんですよね?」
 
鞠莉「イエース☆」
 
梨子「東京で折れてなかったら続けるつもりでしたか?」
 
鞠莉「モチのロンよ。……あのハグ魔がヘタレてなければ──」
 
ダイヤ「果南さんはヘタレてなど……いえ、何でもありませんわ」
 
梨子(ダイヤさん、何か隠してるのかな?)
4 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:12:02.08 ID:zstzB+O7O
ダイヤ「数値上の結果だけ見れば残念でしたが、aqoursはよくやれたと思いますわ。票が入っていないからといって、誰も興味を示さなかったという訳では──」
 
鞠莉「ノンノン! 世の中は目に見える結果が全てなのよ!」
 
ダイヤ「鞠莉さんっ!」
 
鞠莉「ソーリー♪ でもそれが事実よ。どんなに思ってても見える形で提示されなければ意味がないの」
 
梨子「……わかってます、あの時思い知らされましたから。でも諦めるつもりはありませんからね」
 
鞠莉「ほらね、この娘達はそんなに弱くない。ダイヤは過保護なのよ」
 
ダイヤ「わかっておりますわ、1stライブの件で」
 
鞠莉「そうそう。ダイヤったらその時だって発電器を──」
 
ダイヤ「ぶーですわ!」クワッ
 
梨子(ああ、やっぱり)
 
鞠莉「このツンデレの言うことは話半分に聞いときなさい、ってことよ」
5 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:13:45.18 ID:zstzB+O7O
梨子「ダイヤさんと鞠莉さんはずっと私達が本気かどうか確かめてきたんですよね?」
 
ダイヤ「ええ」
 
鞠莉「そうよ」
 
梨子「やっぱり。いずれこういう形で壁にぶつかることも予想していたからですか?」
 
ダイヤ「その通りです。ルビィから『東京行きの許可を貰いたい』という話を聞いた時はゾッとしました」
 
鞠莉「で、私がオッケーしたからって、もう無理矢理迫ってきてキャンセルさせようと……きゃっ♡」
 
ダイヤ「別に破廉恥なことをしようとした訳では──」
 
鞠莉「壁ドンまでしといて?」
 
梨子「かっ、壁ドンっ!?」クワッ
 
ダイまり「「梨子(さん)!?」」ジー
 
梨子「……何でもないです」
 
梨子(やっば。危うく趣味バレするとこだった)
6 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:14:38.56 ID:zstzB+O7O
梨子「それにしてもダイヤさんと鞠莉さんって仲がいいんですね」
 
ダイヤ「鞠莉さんとは長い付き合いになりますので」
 
鞠莉「腐れ縁ってヤツね」
 
梨子「果南さんも?」
 
ダイヤ「ええ」
 
鞠莉「イエース」
 
梨子「いいなぁ、そういう関係って」
 
ダイヤ「心配する必要はありませんわ」ポンッ
 
鞠莉「時間が解決してくれるものよ、そういうのって」ポンッ
7 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:15:56.58 ID:zstzB+O7O
梨子「ありがとうございます。……とは言うもののどうやれば7,000組の中を駆け上がっていけるものか」ハァ
 
鞠莉「7,000ねぇ〜、実質その1/3もあるかだけど」
 
梨子「へっ!? 鞠莉さん、それってどういう意味ですか?」
 
鞠莉「その数値、ソースはダイヤよね?」
 
梨子「はい、東京から戻って来た時に」
 
ダイヤ「ええ。『その中でもよくやれている方です』と伝えましたわ」
 
鞠莉「なるほどねぇ……果たしてその中の誰もが本気で優勝、ジャパンイズワンを狙っていると言えるのかしら?」
 
梨子「あっ、言われてみれば確かに」
 
梨子(毎年全国制覇を狙っていく部もあれば、お遊び程度で構わないって感じの同好会もあるよね)
 
ダイヤ「鞠莉さんっ!? どうしてそんなことを?」
 
鞠莉「ちょっとハードなことばかり伝えてきたから、ねっ」
 
梨子(気にしてはいたんですね)
8 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:17:08.18 ID:zstzB+O7O
ダイヤ「鞭役に徹しようと決めていたのに日和ってしまうつもりですの?」
 
鞠莉「先にデレたのはダイヤじゃーん!」ブーブー
 
ダイヤ「それは……ルビィが泣いていたので」
 
鞠莉「このシスコーン! さっさと謝りなサーイ!」
 
ダイヤ「……それはおいおい」
 
梨子(ダイヤさんも気にしてはいたんですね。ルビィちゃんにキツく当たってきたこと)
 
ダイヤ「コホン。数値の件について補足しておくなら、解散してからきちんと登録を抹消せず放置したままのグループも多数ある、と言われております」
 
鞠莉「私達はそこんトコちゃんとしてたけどね」
 
梨子「ダイヤさんもいますしね」
 
ダイヤ「梨子さん……ありがとうございます」ペコッ
 
鞠莉「でもダイヤって案外抜けているのよ。この前だってアイスを落っことして──」
 
ダイヤ「ぶっぶーですわ!」クワッ
 
梨子「はは……」
9 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:18:37.38 ID:zstzB+O7O
ダイヤ「何にせよ、始めて三ヶ月でイベントに招待されるのは凄いことです。そこは誇っていいでしょう」
 
鞠莉「私達の後釜として運営がチェックしてただけかも」
 
ダイヤ「話の腰を折らないでください、鞠莉さん」
 
鞠莉「はーい☆」
 
ダイヤ「その中で0票は仕方ありませんわ。あの手のイベントは皆、あらかじめ決めていた贔屓のグループに投票するものですので」
 
梨子「なるほど、そうですよね。私達はあくまでぽっと出な訳ですしね」
 
ダイヤ「ええ。他校のグループはどこも3年4年と代を重ね研鑽を積んだところがほとんど、それに固定ファンも多いですし」
 
鞠莉「だから芸術って評価するのが難しいのよね。絵とか文章もね」
 
梨子「分かります。みんなが『面白い』と噂の小説を読んでみても、『これって単に流行りに乗ってるだけで中身がないんじゃ?』って感じることもあるので」
 
梨子(まあ、流行り物にすぐ飛び付く私も私だけど)
10 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:20:07.57 ID:zstzB+O7O
ダイヤ「どこでどういう動きをすれば加点、みたくスケートのように明確な基準が設けられているとかではありませんからね。審査員ごとに何を重視するかも違いますので」
 
鞠莉「どこがポイントに繋がるか分からないから、みんな四苦八苦って訳よ」
 
梨子「なるほど。そういえば千歌ちゃんが『私達、このままμ′sの後追いでいいのかな?』って悩んでました」
 
ダイヤ「千歌さんが?」
 
梨子「はい」
 
ダイヤ「んまぁ、千歌さんなりに色々考えているのですわね。確かに今でもμ′sの猿真似をするグループは多いものですし」ムスッ
 
梨子「……なんか不満そうですね」
 
ダイヤ「当然ですわ! その手の輩などわたくしから言わせれば、人気なり話題なりに乗っかって単に点が欲しいだけのプライドもへったくれもない俗物でしかありませんもの!」
 
梨子「うわぁ、なかなか過激な言い分ですね」
 
ダイヤ「もちろんみんながみんな、とまでは言いません。中途半端が嫌いなだけですわ!」
 
鞠莉「ほんっとダイヤってば抜くところで抜けないんだから」ハァ
 
梨子「そうなんですか」
 
梨子(私も他人のことは言えないけど)
11 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:21:13.39 ID:zstzB+O7O
鞠莉「まあトップを目指す戦略としてはベターなんだけどねぇ。妹モノが一本売れたら、どこの出版社もこぞって妹妹アンード妹で売り出そうとするどこぞの業界みたく」
 
ダイヤ「μ′sとライトノベルをいっしょくたにしようなどぶっぶっぶーですわ!」クワッ
 
梨子「ふふっ、見てて飽きないなぁ」
 
鞠莉「だってダイヤ。マリーと漫才コンビでも──」
 
ダイヤ「組みませんわよ」
 
鞠莉「オゥ……じゃあ果南とペアで」
 
ダイヤ「どうぞご勝手に」
 
鞠莉「で、マネージャーはダイヤね」ニコッ
 
ダイヤ「わたくしを巻き込まないでください!」
12 : ◆ZHduIyUZNo [sage]:2018/07/30(月) 19:22:55.77 ID:zstzB+O7O
鞠莉「もちろんギャランティは払うから、2割」
 
ダイヤ「はい? 三人なのですからせめて3割は」
 
鞠莉「ダイヤのケチー」ブーブー
 
ダイヤ「ケチではありませんわ。正当な労働の対価を──」
 
鞠莉「舐めてるのっ! 単なる裏方風情が、表舞台に立つメンバーと対等な権利を要求しようなどとは!」
 
ダイヤ「地球上のあらゆる裏方の人に謝りなさい! 何事も目に見えないところで汗水垂らして頑張っている人がいてこそでしょうに!」
 
梨子「あはは……どちらの言い分にも一理ありますよね」
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