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【艦これ】提督「私と艦娘が険悪な関係だと?」 五隻目【安価・コンマ】

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814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 11:26:17.28 ID:OUTAgL8vO

書き直しの類いは最低限全部終わってからでないとほぼ確実に途中で力尽きてるのしか見たことないな
少なくとも今やるのはやめておいた方が無難だと思う
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 15:16:42.22 ID:mTbCJwgLO
>>808
読みやすいように……あらすじ程度なら、時系列順に出来事纏めるのは?
余裕があれば提督とその時のメイン艦娘の心持ちを一言添えれば長々とせず見易くなると思う
前まではそう纏めてたんだが、消えて心が折れたから誰か頼む
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 16:43:10.48 ID:BlP5Zoz90
提督は赤城さんにはお礼の品を贈らないのかね…
いや、映画の割引券ぐらい贈るかな?
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/25(日) 02:44:48.96 ID:UgQ7g+dh0
提督は赤城がモノに執着しないのを知ってるから何も贈らないのか
それともただ赤城には何も贈りたくなかっただけなのか…
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/26(月) 01:17:27.24 ID:Ca7qwo2s0
下手にプレゼントしたら怖いからな。いろいろ曲解してヤンデレに磨きがかかりそうだし
まぁ「あの子とあの子にはプレゼントがあるのに私にはナシですか、そうですかそうですか」となっても怖いんだが
819 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/26(月) 05:06:16.71 ID:tg3R44+G0
更新していきます。
……昨日は帰ってきたら寝てしまいました。本当に嘘つき野郎で申し訳ありません。

>>813
ありがとうございます。
ご提案通りPIXIVのほうで本編時系列順にコピペしたものをあげていこうと思います。
基本書き直しなしで、誤字と脱字だけは流石に読んでいてヤバい頻度で有るので目についたものだけ修正します。

>>814
書き直しではなく、読みやすいようにまとめたいなぁって。
エタは入院もPCのぶっ壊れも乗り切ってきたので今回もフラグ折るはずです……うん。

>>815
やってみます。
来月の中ごろまでになんとか形にできればなぁ……って。

>>816
(贈ら)ないです。
提督としては公平に扱ってるつもりでも、かなり私情が入るというか……
だからみっちに殺されかけたりします。
モデルの東条さんの悪いところがもろに反映されてる感じ。

>>817
後者の方が近いと思います。
赤城さんは『頑張ってる艦娘』って対象には入るけど、『ものを贈る』って対象には入らない感じ。
820 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/26(月) 05:08:34.59 ID:tg3R44+G0
>>818
どっちにしても詰んでる……

そうやって爆弾が積みあがっていったし、これからもいくのがこの鎮守府ですね。
ヤバい(確信)
821 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/26(月) 05:14:33.18 ID:tg3R44+G0


 XX18年 2月

 ――10:00――

 ルソン島 海軍病院 提督病室


提督「くふ……ゲヒヒ……」

鈴谷「……」

潮「あの、御茶淹れてきました」

鈴谷「あ、うん、ありがとう。提督」

提督「そちらにおいておけ。私はもう少し勲章を磨いている」

鈴谷「……冷めちゃうよ?」

提督「構わん。ぐふふ……この輝きの素晴らしさよ。ああ、こうしているときだけが心が休まる」

鈴谷「はぁ……そういえば今日は鎮守府から報告書持ってきてくるれる日だったよね?」

潮「はい。今日は佐渡ちゃんがきてくれることになってたと思います」

鈴谷「あー、佐渡ちゃんかぁ。私はあんまり知らない子だなぁ」

潮「鈴谷さんは海上護衛任務にあんまり縁がないから仕方ないですよ。うーん、えっと、なんていうか――」

提督「ぐふ……クソガキだな」

潮「す、すみません!」

提督「あ? なんだ急に」

潮「い、いえ、だって……」
822 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/26(月) 05:15:32.31 ID:tg3R44+G0

提督「ふむ、訳の分からんことをいっているが今日は機嫌がいいので許してやる。それで佐渡だが私の目から見ると『クソガキ』の一言がピタリとくる」

潮「クソガキって……そういうことかぁ……。ほっ……」

鈴谷「……提督、佐渡ちゃんのこと嫌いなの?」

提督「別に。対潜部隊の中では割かし好んでいるほうだな。他がそろいもそろってアレなだけだがな」

鈴谷「うーん、確かに対潜部隊ってなんか知らないけど提督と相性悪い子多いかもね」

提督「ふん! 旗艦の教育の賜物だろうな! あのわんぱく小僧ぐらいならばまだマシだ!」

 ガラッ!

佐渡「でさぁ、そのクソガキが来てやったわけだけどさ。ニヒヒ、なんかご褒美とかあんの?」

提督「……ノックはどうした?」

佐渡「いひっ、べつにいいじゃん。かたいこといいこなしだって」

提督「茶は出してやるから勝手にしろ。ほれ」

佐渡「おう。あ! 冷めてんじゃん」

提督「それほどでもないだろ。文句をいうな」

佐渡「ちぇ……」
823 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/26(月) 05:17:57.67 ID:tg3R44+G0

潮「あの、御煎餅出してきますね」

提督「待て。鬼あられにしろ。馬公の鎮守府司令官からいただいた奴だ。あれは旨かった」

潮「は、はい」

佐渡「クソガキはどっちだっつーの……」ボソッ

提督「はっ! 私は好き放題にやっていても許されるだけの地位があるんだよ! 羨ましければお前も努力することだな! 佐渡大将になれば顎で私を使えるぞ! まぁ、無理だろうがな、はっはっは……!!」

佐渡「にひっ、覚えておけよ、その言葉。目にものみせてやっかんな」

提督「そのころには私は元帥だな。いや、墓の下かもしれ――」

鈴谷「はい、はい。それぐらいにしておいたほうがいいよ?」

提督「む」

潮「お待たせしました。えっと、どうぞ」

佐渡「ん。あんがと」

潮「えっと、はい」

提督「おい! 私に一番に渡すのが道理だろ! どういうつもりだ!」

潮「え……えっと、その……」

鈴谷「はぁ……その前に勲章片付けろってこと。クズついたらまた大騒ぎするんだから」

提督「馬鹿者め、もう片付けているわ」

鈴谷「……」

佐渡「食い意地はってんなぁ……」

潮「す、すみません。どうぞ」

提督「うむ」ボリボリ
824 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/26(月) 05:18:46.93 ID:tg3R44+G0

提督「ズズズー……それよりだ、4月にも相撲大会はするつもりなのでちゃんと練習しておくように」

佐渡「ひひっ……! 今度も絶対に優勝してやんよ」

提督「いや、今回は不知火がお前に土をつける。覚悟しておけ」

鈴谷「……あのちびっ子相撲またやるんだ」

提督「勿論だ。ある筋からの情報では私が企画した行事の中ではあれが一番、評判がいい」

鈴谷「……前回は龍驤さん出そうとしてグダグダだったじゃん」

提督「あれは五十鈴のやつが余計なこと言うからだ! 今回は不知火と陽炎にちゃんと基礎を教えてやったので問題ない!」

鈴谷「本当に負けず嫌いというかなんというか……」

佐渡「ひひっ。佐渡様的にはそういうとこ『だけ』は尊敬できるわ! 軍人は敢闘精神が大事だもんな」

提督「うむ」ズズズー
825 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/26(月) 05:20:16.52 ID:tg3R44+G0


――――――


 XX17年 11月

 ――09:00――

 鎮守府 執務室


叢雲「はい、これ」

提督「久々に顔を見せたと思ったらなんだこれは」

叢雲「あのねぇ、あんたがいったんでしょ!? レクリエーションしたいから意見聞いて来いって!」

提督「む……ああ、ここのところ色々とあったのでな。空母と戦艦の馬鹿どもには参ったものだ」

叢雲「……あんたの責任でもあるんだからね」

提督「派閥云々が私の責任だと?」

叢雲「当たり前でしょ?」

提督「むむむ……」

叢雲「なにが『むむむ……』よ!」

提督「……今月は増援として涼月と佐渡が着任したな。ちょうど、歓迎の意味も兼ねられるな。一石二鳥というものだ」

叢雲「はぁ……本当についてない……。なんで私、こんなところにまだいるのかしら」

提督「ふん! ほかの鎮守府がお前を欲しがるとは思えんから、永遠にここにいるだろうよ」

叢雲「さいっあっく!」
826 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/26(月) 05:22:49.66 ID:tg3R44+G0

提督「お前とじゃれあっているよりも今は書類だ。ふむ……」ペラッ

叢雲「……なにか気になることあった?」

提督「いや、艦娘というわりに男のような要望が多いとおもってな」

叢雲「そうかしら? お料理大会なんて女の子らしくていいじゃない」

提督「そうだな。しかし、運動系の要望のほうが多いじゃないか。サッカー、野球。珍しいところではラグビーや相撲か」

叢雲「ああ、一応要望あったからいれておいたけど、艦種が違うと試合にもなんないしそういうのはダメなんじゃない?」

提督「いや、今回は駆逐艦と海防艦のみでレクリエーションを行うつもりなのでその点は問題ない」

叢雲「……は? なんで?」

提督「艦娘の数がここまで多くなると鎮守府全体で行事というのは難しいのだ。それゆえ、こうした活動も今後は艦種を分けて行っていく」

叢雲「ふーん……それってあんまり交流になんないんじゃない?」

提督「仕方あるまい。加えて下手に艦娘同士で上下の結びつきを強めるべきではないということが今回の件でも明らかになった」

叢雲「むむむ……」

提督「なにが『むむむ……』よ!」叢雲ボイス

叢雲「……相変わらず腹立つ奴よね」

提督「はっはっは……!!」
827 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/26(月) 05:23:28.48 ID:tg3R44+G0

提督「しかし、どうしたものかな。野球やサッカーのようにチーム分けがあるものはそれだけで面倒になりそうだしな。個人競技がいい」

叢雲「それなら卓球とか?」

提督「どこから道具を用意するのだ。もう少し考えて話せ」

叢雲「うぐっ……それなら料理大会で――」

提督「お前は私を殺す気か!? お前たちが作れるものなど、せいぜい泥団子ぐらいだろ!?」

叢雲「……あっそ。それなら相撲大会でもしたら? 用具もいらないし、いいんじゃない?」

提督「相撲ねぇ……」

叢雲「今度はなによ?」

提督「悪い案ではないが、怪我をされると困る」

叢雲「はぁ……そんなこといったら何にもできなでしょ? それにいざとなったら高速修復剤ぶっかければいいじゃない」

提督「……こんなことで国家の資源を使えるか」

叢雲「それでどうするの?」

提督「うむ……そうだな、相撲大会でいいだろう。詳しくはこちらで決めて掲示板にて報告する。その前段階としてお前から告知をしておけ」

叢雲「はい、はい。青葉に頼んでおけばいいのよね?」

提督「うむ」
828 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/26(月) 05:27:24.48 ID:tg3R44+G0


 ――翌日――

 ――06:40――

 鎮守府 食堂


佐渡「お!」

大鷹「佐渡ちゃん、朝からどうしたんです? あとご飯食べてるときに新聞読むのはお行儀が悪いですよ?」

佐渡「そんなことよりもこれ! 見て!」

大鷹「あら……駆逐艦、海防艦でお相撲大会するんですね」

佐渡「うひひー! 叢雲になにかレクリエーションでやりたいことあるかって聞かれたから答えといたんだけど良かったぜ! いひっ、優勝者には豪快景品ってあるし!」

大鷹「佐渡ちゃん、お相撲得意なんですか?」

佐渡「いひひ! もっちろん! 絶対に優勝するにきまってるじゃん!」

大鷹「そうなんですねぇ。頑張ってね」

佐渡「おうよ! 当日は大鷹さんも見に来てくれよ」

大鷹「はい。五十鈴さんに頼んでおきますね」

佐渡「えへへ! 楽しみだなぁ!」

大鷹「ふふ……」


 佐渡編 艦
829 :佐渡編 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/26(月) 05:33:12.98 ID:tg3R44+G0
佐渡編 艦です。
相撲大会までやれよって話だけどそこまでやると……個別でやります。
ちなみに相撲大会は史実からとってきました。排水量とか、馬力は関係ないです。

次回は中編です。
3回ぐらいに分割投下するかもしれません。1万文字ぐらいで納めたい……(願望)
少将が久しぶり(?)に登場。

それでは少し寝てから雀荘行ってきます。
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/26(月) 10:40:04.51 ID:KN6zzIg0O

背中が煤けて帰ってくるんですね分かります
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/26(月) 17:13:30.83 ID:6LX4WJWY0
次回の中編で赤城と蒼龍の冷戦が見れるのかな?
提督も赤城に何かプレゼント渡していれば…
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/26(月) 19:27:08.77 ID:cbKI2C4Yo
乙でした
833 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/08/27(火) 16:08:07.33 ID:+EnBWFxOO
>>1です。
今回の中編で四人ぐらい退場させようかと思ってたんですが、あんまりにも話が鬱になりそうなので生死はコンマで決定することにしました。

22時半からやりますのでよろしければご参加ください
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 16:42:07.16 ID:61J1n8ByO
鈴谷死ぬんか……
835 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/08/27(火) 17:00:18.54 ID:+EnBWFxOO
>>836
基本的に名前明確にした艦娘は死なせないです
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 17:31:10.98 ID:od0UY5mfo
4人も赤城さんが食べちゃうなんて
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/27(火) 20:08:38.01 ID:FsD/aD+10
どうしてもシナリオの都合上しかたなく退場するなら納得できるけど、そうじゃないなら今一度考え直して欲しいなぁ
もし明確な理由があって退場するならコンマ取らずに退場させた方が良い気もするし...
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 20:32:25.80 ID:XU0a5+Kvo
いつぞやの埋めネタみたいにモブ艦娘なら気にならないがそうじゃないだろうな
839 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 22:16:03.52 ID:UFOYHN9g0
帰ってきました。
レス返して22:30からコンマとります。

あとレスの指定ミスってました……
>>835>>834への返事になります。

>>830
麻雀やめて上田に鯉食べに行ってました。
美味しかった(小並感)

>>831
それどころか色々と爆発する予定です。

>>832
ありがとうございます。

>>836
赤城さんはそれほど絡んでこない……かも……

>>837
本当ならここで退場と決めてあったんですが、>>1も書いてるうちに愛着沸いきてどうしようかなって状態です。
多数決はあれだし、どうするかコンマ神に聞いてみようと。
優柔不断で申し訳ないです……

>>838
明確に名前上げると内容分かるので伏せますが、それほど登場回数は多くない人たちです。
840 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 22:29:51.71 ID:UFOYHN9g0
それではコンマとります。
偶数で生存、奇数で退場になります。
名前明かすとアレですので伏せてのコンマになります。その人物の生死が確定した次のレスで???を明かします。
???の中はこちらで操作できないように階級順で決めてあります。

↓???のコンマ

↓↓???のコンマ

↓↓↓???のコンマ

↓↓↓↓???のコンマ
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:30:17.94 ID:+FbY2ygdo
ぽい
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:30:19.68 ID:LuO0o84w0
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:30:23.31 ID:BID7FILDO
はい
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:30:54.14 ID:mzLnI2Mxo
ぬい
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:31:39.56 ID:XU0a5+Kvo
一人逝ったか
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:32:10.21 ID:+FbY2ygdo
ああ艦娘以外の可能性もあるのか
847 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 22:36:02.07 ID:UFOYHN9g0
ご協力ありがとうございました。
ちょっと考えてみると多分これが理想形だと思います。

>>846
明言しますが全部艦娘以外です。
艦娘は名無しであっても「どうしようもないorIF編」以外では退場しません。
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/27(火) 22:37:27.55 ID:XU0a5+Kvo
これは上司一人かな?女提督は無事そうで良かった
849 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 23:13:25.54 ID:UFOYHN9g0


 XX18年 2月13日

 ――20:00――

 本土 陸軍参謀本部


将校「……ふむ」ペラ

 コン、コン

将校「入れ」

参謀「失礼いたします!」

将校「ん、ご苦労様。なにかあったかね?」

参謀「いえ、海軍の――鎮守府司令長官から快気祝いが届きましたのでお届けに上がりました」

将校「なんだ、もう退院したのか」

参謀「そのようです。どうぞ」

将校「うむ、ありがとう。それでは退院祝いを贈らねばならんな。なにがいいとおもう?」

参謀「いつもどおりお酒でよろしいのではないですか?」

将校「うーむ、そろそろ芸がない奴だと思われるのではないか? ――ん、向こうも酒だったか。考えることは同じということだな、はっはっは……!!」

参謀「ふん、葡萄酒ですな。海軍はお上品なことで」

将校「そういうな。よし、飲むか」

参謀「……仕事中ですが」

将校「かたいことを言うな。なんだ、お前も飲むか?」

参謀「結構です」

将校「はっはっは……!! そうか、そうか。ではラッパでいただくとするか!」グビグビ

参謀「……」

将校「ん?」

参謀「? どうかしましたか?」

将校「いや、なにか変な――ぐっ!?」

参謀「閣下!?」

将校「うぐぐ……!? あがっ……ゲッホ、ゴッホ……!」ビシャビシャ

参謀「あ、あああ……軍医! 軍医はどこだ!!」

 バタン

将校「ゲッホ……嵌められたか……」

将校「気を……つけろ……よ……。友よ……」
850 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 23:36:55.48 ID:UFOYHN9g0


 XX18年 2月 15日

 ――10:00――

 ルソン島 海軍病院 入口


提督「んー……やっと退院だな。こんなにすがすがしい気分は久しぶりだ!」

鈴谷「ふふ……長いようであっという間だったね。ね、潮ちゃん」

潮「は、はい」

提督「馬鹿を言うな。長かった、本当に長かったではないか!」

鈴谷「えー? そうかな?」

提督「そうなんだよ! 一日千秋だったわ!」

潮「あ、あはは……」

あきつ丸「……ご出所おめでとうございます」

提督「ん? なんだ、お前が出迎えか」

あきつ丸「車の運転は誰かさんのおかげでなれているせいであります」

提督「はっはっは……!! 感謝しろ」

あきつ丸「なにを馬鹿なことを……。それよりも早く乗ってほしいものでありますな」

提督「うむ。いくぞ」

鈴谷「はーい」

 ガチャ、バタン
851 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 23:39:33.62 ID:UFOYHN9g0

あきつ丸「話したいことがあり――シートベルトはちゃんと閉めていただきたい。陸軍が切符を切られるなどあってならないことであります」イライラ

鈴谷「あ、ご、ごめんなさい。すぐにしめるね!」

あきつ丸「まったく……」ブツブツ

提督「細かいことをぐちぐちいうな。で、話とは?」

あきつ丸「むぅ……鈴谷殿、潮殿もこの話は一切口外しないでほしいのであります」

鈴谷「え? う、うん、いいけど。どうし――」

あきつ丸「問答無用であります」

提督「ふむ……鈴谷、潮、いいな?」

鈴谷「う、うん」

潮「は、はい」

提督「ということだ、話せ」

あきつ丸「……将校殿が毒を飲まされたのであります」

提督「は? どういう――いや、奴は無事なのか!?」

あきつ丸「なんとか山はこえたとのことであります」

提督「そ、そうか……」ホッ……
852 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/27(火) 23:41:57.17 ID:UFOYHN9g0

???(?)94→生存

将校(中将・参謀次長)68→生存

???(?)31→退場

???(?)14→生存
853 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/28(水) 00:05:31.23 ID:s/cYUxKH0

あきつ丸「ご安心しているところ申し訳ないのでありますが、提督殿にも嫌疑がかかっているのであります」

提督「は!? なぜ、そうなる!」

あきつ丸「毒が入っていた葡萄酒は提督殿のお名前で贈られてきたとのことであります」

提督「ばか! わざわざ毒を自分の名前で送りつける奴がいるか!!」

鈴谷「て、提督、落ち着いて」

提督「これが冷静でいられるか! 私が奴に毒を盛るなど――あー! クソ! あきつ丸! すぐに本土へ行くぞ!」

あきつ丸「そんなに騒がなくても提督殿への嫌疑は一応というレベルであります。自分としても提督殿が犯人とは思えないと報告しているのであります」

提督「む……」

あきつ丸「提督殿は毒など迂遠な真似をせずに浅野内匠頭のようにその場で切り付けてくるような人とちゃんといったのであります」

提督「そんな短慮を起こすわけがないだろ! 馬鹿! 陸軍というのは頭空っぽか!」

あきつ丸「む……! かばったというのになんという言い草!」

提督「お前なんぞがなんといっても私が犯人になるわけないだろ!」

あきつ丸「それならば――」

鈴谷「提督! なんてこというの! あきつ丸さんがせっかく助けてくれたのに!」

提督「……い、いや、別に助けられてなど――」

鈴谷「むー……」ジー

提督「うぐっ……」

あきつ丸「ほう」

提督「な、なんだ」

あきつ丸「なんでもないのであります。ピュー、ピュー……」

提督「おい、口笛ふけてないぞ」

あきつ丸「そうでありますかー。くふふ……」

提督「ぐぐぐ……とにかく、すぐに鎮守府に戻らなければならん。できるだけ早くしろ」

あきつ丸「交通法規の中で頑張るであります」

提督「ちっ……」
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 08:27:38.00 ID:LZ/0bInOo
あきつ丸の悪友みたいな関係好き
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 08:36:19.20 ID:bgQMRsV3O
まあ自分の名前入りで毒酒送るバカなんているわけがないわな普通に考えたら
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 11:45:48.46 ID:NCt/iYK30
まずは身内の潔白を証明しないと話が進まんからな
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/28(水) 15:46:24.12 ID:eKqiUMO20
頼む...南方司令官は生存していてくれ...俺あの人好きなんだよ...
南方陸奥を泣かせないでくれ...
858 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 02:24:59.62 ID:CNG3O9Bq0
更新していきます。
今日は回想に入るまでやりたいなぁって……

>>854
かなり元のあきつ丸から遠くなってしまっていますが、そう言っていただけると嬉しいです。

>>855
絶対に走査線に上がるのでそんな奴いない(確信)
ただこのあとの進行については政治力学というか……うん……

>>856
ミステリーというよりもオリキャラが織りなすどろどろの政治劇を艦これでやっていいのか割かし悩みました。
許して……許して……

>>857
そこらへんが明らかになるまで今日は進めたいです。
859 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 02:47:45.28 ID:CNG3O9Bq0

 プル……プルル……

あきつ丸「電話、鳴っているでありますよ」

提督「わかっている、いちいち余計なことを言うな。 ――はい、もしもし」

西方『あ、もしもし。私だけれど』

提督「!? お、お久しぶりです! あの、いかがなさいましたか?」

西方『あ、いやね、大したことではないんだけれど僕のところに退院祝いを贈ってきたかな?』

提督「! それは飲んではなりません!」

あきつ丸「! ひょっとしてまたでありますか!?」

提督「うるさい! 静かに!」

あきつ丸「む」

提督「閣下、その酒ですが毒が入っている恐れがあります!」

西方『あ、うん。ありがとう』

提督「実は――」

西方『あ、その先はもう知っているから結構。それにこいつに毒が入っていることも先刻承知していたよ。こういうことはそれなりに鼻が利くのでね』

提督「さ、然様でしたか……。御見それしました」

西方『あ、世辞はいいんだ。それよりもこれの意図を君は理解しているかな?』

提督「奴だけでなく、閣下にも同じものが贈られていたということでおおよそのことは理解しました……」

西方『あ、そう。それならいいのだけれど』

提督「……」
860 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:08:57.67 ID:CNG3O9Bq0

西方『そう落ち込むことはない。僕の予想だとこんなこともあと2年ぐらいの辛抱だと思うしねぇ』

提督「それはどういうことでしょう?」

西方『あ、いや、そこらへんは自分で考えてくれるとありがたい。それよりも君には他にも親しくしている人がいるだろうし、そっちへ注意を促すほうが先決だと思うけれど』

提督「それは……」

西方『私の伝えたかったことは以上だよ。うまくやりなさい』

提督「……ありがとうございました」

西方『それではね』

提督「はい」

861 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:09:27.42 ID:CNG3O9Bq0

提督「……」

鈴谷「……あの、どうしたの?」

提督「いや、お前が気にすることではない。あきつ丸」

あきつ丸「……なんでありますか?」

提督「女提督はどこにいる」

あきつ丸「代理殿でありますか? それでしたら――あ」

提督「なんだ、その不穏な『あ』は?」

あきつ丸「いや、実はさぷらいずで提督殿の退院祝いをやろうという話になっておりまして――」

提督「そんなことをいっている場合ではない!」

あきつ丸「――わかっているであります、だから話しているというのに……もう……。この時間であれば代理殿は南方海域総司令部がある町の『魚克楼』という料亭にいるはずであります」

提督「南方海域総司令部……ということは司令長官がからんでいるのだな!」

あきつ丸「まぁ、そうであります。提督殿が退院したらその足で総司令部に連れて行って、さぷらいずの宴会の予定だったのであります」

提督「ちっ! 間に合えよ!」
862 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:42:21.01 ID:CNG3O9Bq0

 プル……プルル……

提督「早くでんか! あのバカ、クズ! おたんこなす!」

あきつ丸「……罵倒も子供みたいなものしか出ないとは本当に焦っているようでありますなぁ」

鈴谷「あ、あはは……」

潮「あわわ……」

提督「早くでろと言っているのに――」

女提督『あ、もしもし! せ、先輩! た、助けてください!』

提督「! 何があった!」

女提督『そ、それが……ちょっ!? や、やめてください!!』

提督「おい! どうした!? 落ち着いて現状を報告しろ!」

女提督『そ、それが……』
863 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:46:23.19 ID:CNG3O9Bq0

?『いいじゃねぇか! おま【ピー!】、見せろってんじゃねぇんだからよぉ! 尻撫でられるぐらい、女の勲章だっつーの!』

提督「……閣下だな」

女提督『そ、そうなんです! 助けてください!』

南方『ガハハ……! 乳でも構わねぇぞ! それともなんだワシの46p砲と一戦、交えてみるか!』

提督「……」

女提督『やめてくだ――やめろー!』

南方『うわっはっは……!!』

提督「何とかしてやる。代わってくれ」

女提督『は、はい! 南方海域司令長官! お電話ですよ!』

南方『あ? いいとこだったのよ、んだよ』

女提督『全然、よくないです! 先輩が代われって!』

南方『はぁ? せっかくのサプライズが台無しじゃねぇか……』ブツブツ

女提督『それよりもどうぞ!!』

南方『はぁ……はい、はい。ワシだけど。なんだ夢【ピー!】でもしたところを鈴谷の嬢ちゃんに見られたか?』

提督「閣下、冗談を言っている場合ではありません! すぐにその場を離れて南方海域司令部にお戻りを!」

南方『あ? ……なんだ、お前、なんか知ってんのか?』

提督「陸の友人と西方の閣下に毒酒が私の名前で送られたのです! 閣下にも危険が迫っていると思い――」

南方「……ふーん、そっか。あいつもそこまでおちちまったかぁ」

提督「はぁ!?」
864 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:52:41.36 ID:CNG3O9Bq0

南方『いや、なんでもねぇ。ただ安心しろ。こっちは難を逃れた』

提督「ということはなにかあったのですか?」

南方『おう! ワシのお気に入りの料亭が大爆発だよ! 悲しみで叫びてぇぐらいだ、おま【ピー!】って』

提督「けが人はどれほどの数が……?」

南方『んなもん、いねぇよ。なんか嫌な予感がしたんでな、強権ふるって非難させてみたらドッカーン!ってなもんだ』

提督「……なんとも常人離れした勘ですな」

南方『ワッハッハ……!! すげぇだろ! で、そっちの件は陸奥に任せて別の料亭に来てるわけだ! 安心しろや、親父として手前の退院祝いぐらいは首だけになってもやってやらぁ!』

提督「退院祝いなど結構です。それよりもお気を付けください。私もすぐにその場に向かいますゆえ」

南方『相変わらずかてぇな。かたいのはアソコだけに――』

 プチッ……ツー、ツー

提督「……あきつ丸、急げ。交通法規の中で」

あきつ丸「それはもうやっているのであります。それでなにかあったのですか?」

提督「物的にな、ひどいことがあったそうだ。とにかく南方海域司令部に向かうぞ」

あきつ丸「了解したであります」

鈴谷「……」

提督「……そう心配そうな顔をするな、大丈夫、大丈夫だ」

鈴谷「う、うん」

提督「……」
865 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:54:44.64 ID:CNG3O9Bq0

南方(大将・南方海域司令長官)94→生存

将校(中将・参謀次長)68→生存

???(?)31→退場

女提督(大佐・基地司令)14→生存
866 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:57:39.38 ID:CNG3O9Bq0

 ――同時刻――

 西方海域総司令部 執務室


西方「はぁ……」

 ガチャン

西方金剛「どうもお疲れみたいデース」

西方「あ、うん、まぁねぇ」

西方金剛「でしたら、このワインをグイっと一杯なんてどうネー!」

西方「ははは……ナイスジョークだ。ぐっすりと眠れそうだものね、もう起きられないだろうけど」

西方金剛「けど、彼にも困ったものデース。テートクにこんなに迷惑かけるなんて信じられないデース」

西方「いやいや、彼には感謝しないとならないよ。防波堤としてうまくやってくれているのだからね。先のないご老人の妄念というものほど怖いものはない」

西方金剛「防波堤?」

西方「ああ。本人にはその気はないだろうけどねぇ」

西方金剛「難しい話はさっぱりネー」

西方「あ、そうだね。その方が金剛は可愛くていい」

西方金剛「むー……バカにしてますネー?」

西方「いやいや、そんなことはない」

西方金剛「信じられないデース」

西方「あはは……参ったな、こりゃ」

西方金剛「今度、あのレストランに連れて行ってくれたら許してあげマース」

西方「それぐらいなら構わないがね。さてとそれでは予定をたてようか」

西方金剛「Yes!」
867 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/08/29(木) 03:59:14.57 ID:CNG3O9Bq0
すみません。意識がやばいので今日はここまでで許してください……
もう少しで回想なんだけど……うん、無理そう……

明後日には完結させたい……
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/29(木) 05:00:47.22 ID:4DXPV53Z0
おつ
タイトルが不穏だね
トロイラスとクレシダみたいな提督と艦娘もいたのかな……
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/29(木) 06:57:23.12 ID:75WkRUMkO
ttps://imgur.com/DU3jpRj
南方さん書いてみました。
イメージを損なう可能性があります。
すみません。
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/29(木) 08:26:12.82 ID:FmKgXC7Ko
乙でした
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/29(木) 13:03:32.96 ID:j3caq0kp0
良かった...マジで良かった...南方司令官と陸奥が一緒に...なんて最悪の事態まで想像してしまってソワソワしてた...
....え?ってことは....?
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/29(木) 15:02:14.40 ID:ZDPiCcfl0
乙です、これでまた提督は凹む
……それはそれとして何だかんだで赤城さんは喜びそうだけど
873 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:16:03.89 ID:r9IK3c2M0
意識がヤバい……
なんとかここまでに書き溜めた分、一気に投下して寝ます。
終わらなかったよ……すまねぇ……すまねぇ……

>>868
タイトルの意味が明解になるまで進みたかったのですが、その手前で力尽きました……

>>870
ありがとうございます。

>>871
当初の予定では爆発に巻き込まれてました。こっちのがキャラから考えると『らしい』ですね。

>>872
確実に凹みます。
赤城さんの行動ですが前回の失態があるので今回はちょっと精彩を欠いてます。
874 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:20:02.03 ID:r9IK3c2M0


 ――11:00――

 ルソン島 軍港


あきつ丸「ふぅ……やっと到着であります」

提督「うむ!」

 バタン!

赤城「提督、退院おめでとうございます。鎮守府の艦娘を代表して私たちがお迎えにあが――」

提督「そんなことはどうでもいい! すぐに船をだせ!」

蒼龍「えっ……あの、どうかしたんですか?」

提督「問題が発生した! 南方海域司令部に向かうぞ!」

蒼龍「?? あの、さっぱり――」

提督「説明は移動中にする! 寸暇を惜しめ!」

赤城「……畏まりました。すぐに船を出すようにつたえなさい」

漣「あらほらさっさー!」

赤城「……」

漣「す、すみません……」

赤城「結構です」

提督「なにをくだらんことをしている! 急げ!!」

赤城「失礼しました」
875 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:44:33.90 ID:r9IK3c2M0


 ――11:30――

 船中 会議室


提督「ここにいるものたちに現在起こっていることを説明したい。静聴せよ」

赤城「ゴホン……鈴谷、潮、あなたたちは部屋に戻っていなさい。提督、よろしいですね?」

提督「ああ、そうだな。鈴屋、潮、ご苦労だった。部屋で休んでくれ」

鈴谷「わ、私もここにいる! なにかお手伝い――」

蒼龍「ふん……あるわけないでしょ」

提督「蒼龍の言うとおりだ、これからのことはお前たちが知る必要はない。部屋に戻っていろ」

鈴谷「……」

赤城「あきつ丸、案内してあげてください」

あきつ丸「了解であります。さ、鈴谷殿、潮殿」

鈴谷「……うん」

 バタン
876 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:46:40.01 ID:r9IK3c2M0

提督「ゴホン……現状を簡潔に言えば『軍内の政争に巻き込まれた』以上の一言に尽きる」

蒼龍「政争ですか? なんでまた?」

提督「それを説明する必要性を感じない」

蒼龍「けど、そこらへんがはっきりしないことには――」

赤城「それよりも具体的な被害はあるのですか?」

提督「……うむ、まず陸軍の将校と西方海域司令長官に私の名で毒酒が送られた。あとはお前たちも知っていると思うが今日の退院祝いで使う予定だった料亭が爆破された」

蒼龍「ちょつ!? 待ってください!?」

提督「は? なんだ?」

蒼龍「聞いてないですよ! ねぇ、赤城さん」

赤城「……私たちには爆発があったという報告は来ておりません」

提督「む……」

霧島「これは南方海域司令部がその陰謀に加わっているということでは――」

提督「そんなわけがあるか!! 二度とそのようなことはいうな!」

霧島「し、失礼しました」

提督「……とにかく今は閣下と合流して善後策を講じるべきだと考えている。異論はあるか?」

赤城「私からは特には。蒼龍はどうです?」

蒼龍「私も特には」
877 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:50:18.59 ID:r9IK3c2M0

提督「そうか。では次の行動だが――」

蒼龍「ちょっと待ってください! あの、ひょっとして犯人のめぼしってついてたりするんですか?」

霧島「は? そんなわけないでしょ」

蒼龍「いやいや、なんか提督がちょっと変だからもしかしたらって。それでどうなんですか?」

提督「……それを知ってどうする?」

蒼龍「わかってるんですね? それならすぐにその犯人の元へ艦隊を向かわせましょうよ! 焼き払って――」

提督「馬鹿! そんなことができるか!!」

蒼龍「け、けど、ほっといたら提督が危険です!」

霧島「料亭に爆弾を仕掛けた犯人は戦果を確認するためにも付近にまだ潜伏しているはずです。これだけでも排除するべきかと」

赤城「霧島の言う通りでしょう。南方海域司令部には第一水雷戦隊が代理の護衛として入っています。ネズミ掃除であれば十分に可能かと」

提督「む……いや、向こうを刺激したくない。今後の方針を決めるまでは何もするな」

赤城「畏まりました」

蒼龍「……納得いきません!」

提督「お前が納得する、しないでものごとをきめてなどいない」

蒼龍「むー……!」

提督「ふん!」
878 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:52:16.84 ID:r9IK3c2M0

提督「それよりも本来のこの後の予定はどうなっていた?」

霧島「少々お待ちください。 ――はい、ヒトナナマルマルまで退院祝いの宴会。そののちはすぐに鎮守府へ戻ることになっていました」

提督「それだけか? ほかにどこかに移動するなどの予定はなかったな?」

霧島「はい。そのはずです」

提督「……であれば、これ以上は南方海域司令部には仕掛けはないか」

霧島「おそらく。あと何かを仕掛けてくるとしたら鎮守府に、でしょうね」

提督「女提督が南方海域司令部にいるということは鎮守府の指揮は誰がとっている?」

赤城「龍驤さんですねぇ」

提督「アレか、不幸中の幸いだな。よし、それであれば奴に艦娘を指揮させて危険物を捜索させろ」

霧島「畏まりました。すぐに連絡してきます」

提督「うむ。蒼龍、南方海域司令部周辺の地図を用意しろ。狙撃などの可能性を排除したいので移動ルートを策定する」

蒼龍「はい! すぐに持ってきますね!」

提督「艤装は?」

赤城「私共三人の分は船に積んできております」

提督「であれば、奴らが戻り次第、全員艤装を装着しておけ。ないとは思うが、海で襲撃を受ける恐れもある」

赤城「畏まりました」

提督「……艦娘が相手になるかもしれんということだが。その、なんだ、大丈夫か?」

赤城「? ええ、大丈夫、大丈夫ですよ? 艦娘であろうが薙ぎ払って御覧に入れます」

提督「……」

赤城「?」
879 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:56:36.06 ID:r9IK3c2M0


 ――12:00――

 南方海域司令部周辺の町 教会


?「……どうか私たちの愚かさの犠牲になったあの子たちが安らかに眠れるよう」

旅順港鎮守府提督(以下、旅順港)「おや、お祈りですか? あなたが基督教徒だったとはしりませんでした。洗礼はいつお受けに?」

?「……」

旅順港「おや? もしもーし! 聞こえてますかー?」

?「邪魔だ。うせろ」

旅順「おお、上官に向かってその態度。感心できませんねぇ、実に感心できない」

?「……」

旅順港「無視とは酷い。涙が出てきそうだ。ねぇ、大淀くん」

旅順港大淀「え、ええ。仰る通りかと」

旅順港「は? 本当に? そんなに悲しいものですかねぇ? ひょっとして僕のことを馬鹿にしている、とか?」

旅順港大淀「めっそうもありません! 尊敬している提督にそのような態度をとられてはご本人以上に回りが悲しくなるものだと、お、思います……」

旅順港「はぁ……! なるほど! ナルホド! あなたのいうとおりでしょうねぇ」

?「くだらんな」

旅順港「は? どういうことですか?」

?「私は私のやりたいようにやらせてもらう。それがお前の望んだ結果になるとは限らんがな」

旅順港「それは困りますねぇ」

?「言ってろ」

旅順港「……ああ、そうだ。聖書には復讐というのは神に任せるべきだとあるそうですよ? 私が言うのもなんですが今ならやめられますよ?」

?「私は私が進むためにもアレとは決着をつけるだけだ。お前たちの脅しなどきっかけにすぎん」

旅順港「くふ……くふふ……ナルホド! それでは私はただ成功を祈っております」

?「……」

 バタン!
880 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:58:34.31 ID:r9IK3c2M0


 ――14:00――

 南方海域司令部 軍港


提督「ここからの異動はどうなっている」

赤城「車を手配しております。先ほど決めたルートで南方海域司令部に向かわせましょう」

提督「よし。それでは降りる――」

赤城「提督、私の後ろに」

提督「……なんだ」スッ

赤城「あちらの倉庫の陰に何者か潜んでいます。霧島」

霧島「はい! すぐに制圧してまいります!」

提督「待て! 手を出すな!」

霧島「し、しかし……」

提督「聞き分けろ。赤城、相手は銃を持っているか?」

赤城「……いえ、目に見える範囲では」

提督「であれば、無視していくぞ。拳銃で狙える距離ではない」

蒼龍「し、しかし――」

提督「私には私なりの考えがある。命令だ」

蒼龍「……」グッ

赤城「蒼龍」

蒼龍「……はい」
881 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 04:59:35.56 ID:r9IK3c2M0

提督「よし、それではいくぞ。くれぐれも私から離れるなよ、死にかねん」

赤城「くふっ……」

提督「なにがおかしい?」

赤城「ゴホン……いえ、なんでもないです」

提督「であれば気を引き締めろ」

赤城「すみませんでした」

提督「ちっ……」
882 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 05:03:55.60 ID:r9IK3c2M0

赤城「提督、こちらの車です。すぐにご乗車を」

提督「ああ」

?「待て」

提督「――やはり最後は貴様なんだな」

警備隊司令「そういうことだ」

提督「……」

警備隊司令「同期のよしみだ、退院おめでとうとだけはいっておく」

提督「うむ。 ……それで何の用だ? すまないが今は忙しいのだ。話ならばあとに――」

警備隊司令「とぼけるなよ。私が何でここにいるかなどはわかっているだろ?」

提督「……知らんな。貴様がその腰に帯びている軍刀を抜かなければ何もなかったことにする。向こうに伏せている奴と一緒に今は消えろ」

警備隊司令「……そうか。残念だ」カチャッ

提督「あ?」

赤城「提督! お下がりください! 鯉口を――」

 パーン!

赤城「――は?」
883 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 05:17:12.23 ID:r9IK3c2M0

警備隊司令「ゴホっ……!?」

警備隊司令「ふ、ふふ……そ、狙撃手を伏せていたか……やはり、貴様はちゃっかりしてる……」

提督「ち、違う!! おい、誰が撃った!? すぐにやめさせろ!!」

赤城「そ、それが、その……」

提督「ええい! それよりも医者だ!」ダッ

警備隊司令「そう、か……」グググッ……

提督「……おい! 動くな! すぐに医者を呼ぶ! まだ助かるはずだ!」

警備隊司令「無駄……だ……」グググッ……

提督「いや、そんなことがあるはずがない! あってたまるか! 助かるはずだ! だからじっとしていろ!」

警備隊司令「なぁ……提督……お前もこれで、少しは……苦しんで――」

 パーン

 ……パーン

警備隊司令「……」

 バタッ

提督「……おい、なんだこれは!? 誰が撃てといった!? 赤城、お前の手配か!?」

赤城「いえ、これは――」

?「そうですよ。あなたの命を助けて差し上げたのは私ですよ?」

提督「お前……!」

旅順港「こんにちは! ご機嫌いかがですか? いやぁ、危ないところでしたねぇ」

提督「……」
884 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 05:18:03.12 ID:r9IK3c2M0

旅順港「まさか三羽烏なんて言われていたお友達から殺されそうになるなんて、どんな気分なんでしょうね! ぜひ、教えて欲しいものです」

提督「……今回の件はお前がすべて仕組んだのか、元帥からの指示か。答えろ」

旅順港「え? なんで私がそんな風にいわれるんです? わかりますか、大淀くん?」

旅順港大淀「い、いえ」

提督「御託はいい! ここまでやる必要があったのか!?」

旅順港「さて、あなたの話はさっぱりだ。見るべきものは見ましたし、私はこれでおうちに帰ることにしましょう」

提督「ふざけるな!! 逃がす――」

旅順港「どうぞ? ぜひ、その激情のままに行動してください。ただ私に手を出せば、どうなるかぐらいは賢いあなたはおわかりでしょう?」

提督「ぐっ……」

旅順港「くふっ!! その顔! いいですねぇ! あの物陰で動かなくなってる艦娘もそういう表情でしたよ!」

提督「……」ギリッ

旅順港「これで懲りたでしょ? これからは自分の身の程というものを考えて行動するように。それではアデュー」

提督「……」

赤城「……提督」

提督「……警備隊司令の遺体を船に。南方海域司令部に向かう」

赤城「はい」
885 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 05:23:34.93 ID:r9IK3c2M0
今日はここまでになります。
正直、地の文ないのがここまでキツイことになるとは思いませんでした。パーンのむなしさよ。
警備隊司令についてはもう少し本編で触れらればよかったんですが……。鹿島編の最後にちょろっと顔出しただけでこの始末は……ううむ……

最後になりましたが、ツイッターでまとめを作成していただけるというDMいただきました。
本当にありがとうございます!
なにか不明な点があればレスかDMいただければすぐにお答えしたいと思います。
886 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/01(日) 05:24:37.78 ID:r9IK3c2M0

南方(大将・南方海域司令長官)94→生存

将校(中将・参謀次長)68→生存

警備隊司令(大佐・提督と同期)31→退場

女提督(大佐・基地司令)14→生存
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 09:30:13.78 ID:qztwaRflO

深海棲艦という分かりやすい外敵がいるのに人類同士で殺し合いとか余裕ぶっこいてんなこいつら……
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 10:29:04.24 ID:z6QXgvpsO
>>887
旧帝国陸軍「ほんそれな」
旧帝国海軍「意識が足りていませんね」
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 11:15:48.65 ID:C0x56Rjro
乙でした
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 12:12:49.52 ID:aryZOL9M0

人類同士で内ゲバしないなんてそれこそ人類じゃないぜ!
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/02(月) 01:13:30.80 ID:HYv95ZJh0
乙です
個人的には西方さんが生き残ってくれてよかった
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/02(月) 02:45:36.58 ID:qhrrxi6l0
確かに南方提督は謀略にはめられて退場する様な玉じゃあないなぁ

個人的な南方提督のここ好きポイントは艦娘の抱き心地を知ってるところ
外では飲まないってのを陸奥が知ってるってことは....色々と妄想が捗るなぁオイ!!!
イッチが書くキャラは魅力的なキャラが多くてほんますこ
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 04:27:07.06 ID:z3XVtq8jO
乙 なまじ顔をだしたばっかりに・・・
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 03:45:13.02 ID:2MwB1u5p0
袂を分かつ運命の分かれ道はどこにあったんだろうね>三羽烏
伏せてる艦娘は既に制圧されているということかな
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 07:49:01.41 ID:oohd/ifRO
友人を信じられなくなったときじゃねえかな
提督はアレな人だけど最後まで信じようとしたよ友人
896 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 03:49:41.34 ID:63wHH6uE0

>>887
戦争が終わらないことを望んでる人もいたり、いなかったり……
ここらへんも今回の中編で明らかにしていきたいです。

>>888
予算の関係で陸軍と海軍はどこの国も険悪だから……(震え声)

>>889
ありがとうございます!

>>890
歴史的に内ゲバはクッソ多いですね

>>891
西方さんは規律第一のまじめな人だけど、こういう謀略に対する政治力高めです

>>892
ありがとうございます!
当初は避難誘導中に民間人庇って……という形でした。
キャラについてそういう風に言っていただけると本当にうれしいです!

>>893
本来はもっとがっつりいろんなところに顔を出してたはずなんですが……

>>894
>>895の方がいうように信じられなくなったのが大きいと思います。これから詳しくやってきます。
艦娘は……うん……最後にその……

>>895
提督は一定以上親しくなるとかなり対応変わってきますね。
そこも含めてアレではありますが……
897 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 03:54:59.22 ID:63wHH6uE0


――――――――――



――XX16年 9月 10日――

 南方海域司令部隷下〇〇鎮守府 対空部隊管制室


警備隊司令「撃って、撃って、撃ちまくれ! とにかく弾幕を張って敵を威嚇せよ!」

警備隊艦娘一同『了解!』

警備隊司令「いい返事だ! 海上に奴らの居場所がないことを教えてやれ!」

警備隊艦娘A「し、失礼します!」

警備隊司令「ん。どうした? それよりも敵の空襲が激しい。お前も今回は出てもらうぞ」

警備隊艦娘A「は、はい!」

警備隊司令「しかし敵も暇なものだ。こんな辺境の鎮守府を襲うとは、ね」

警備隊艦娘A「し、司令、それが本部より連絡が来まして……」

警備隊司令「……上は言いにくい状況ということだな」

警備隊艦娘A「は、はい。鎮守府司令長官が第二波の空爆で秘書艦の方ともども戦死なさったと報告が来ました」

警備隊司令「そうなると鎮守府全体の指揮を私がとることになっていたな」

警備隊艦娘A「そ、そうなんです! こっちもこんな調子なのに指示を出せって本部の子たちが――」

警備隊司令「慌てても事態は好転しない。出撃している艦娘を下げるように指示をだしておけ、この鎮守府で籠城戦を行う」

警備隊艦娘A「え……そんなことせずに各地で迎撃を続行すべきじゃ……」

警備隊司令「私はこれから本部に向かうのだぞ? 現状を継続するのは不可能だ。戦局の立て直しを優先する」

警備隊艦娘A「わ、わかりました。 え、えっと――」

警備隊司令「落ち着いて行動しろ。急いてもいい結果になるとは限らんぞ。深呼吸!」

警備隊艦娘A「……スゥ―。はい! 本部に艦娘を警戒させながら退却させるように伝えます!」

警備隊司令「よし!」

警備隊艦娘A「失礼しました!」

 バタン!


898 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 03:58:53.67 ID:63wHH6uE0


――XX16年 9月 15日――

 鎮守府 執務室


提督「……」

大淀「提督、失礼します。南方海域総司令部よりも連絡がきています」

提督「……閣下か?」

大淀「はい。南方海域司令長官です」

提督「はぁ……回せ」

大淀「畏まりました」

提督「うむ……ガチャッ……はい。――鎮守府司令長官の提督です」

南方『おう! ワシだけど。調子はどうよ?』

提督「はい、閣下のおかげさまで健やかにすごしております」

南方『ワシはお前にそんなことをしてやったおぼえはねぇけどな! ガハハ……!』

提督「…… それで今回はどのような御用でしょうか?」

南方『あんまり早い男は嫌われるもんなんがな。まぁ、今はその方が都合がいいや』

南方『で、○○鎮守府ってのはわかるだろ?』

提督「はい。同期が警備隊司令として赴任しております」

南方『ああ、知っている。それでな、本題はここからだ。その鎮守府が深海棲艦に5日前から包囲されてやがる、お前さんにその救援を頼みたい。マニラにいる第5戦隊と合流して早急に鎮守府を包囲してる敵さんをおちょくってくれ』

提督「畏まりました。一つ意見具申よろしいでしょうか?」

南方『ん』

提督「私の麾下の艦隊と第5戦隊では報告で上がっている敵の撃破は困難かと思います。さらなる増援をいただければ幸いです」
899 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 03:59:31.02 ID:63wHH6uE0

南方『まぁ、そうなるわな。ワシも艦隊を率いて向かうつもりだが、お前たちが到着してからさらに一週間ほどかかる。その間に鎮守府が落とされないように奴さんにちょっかいをかけ続けてくれればいい』

提督「畏まりました」

南方『……それとこの救援作戦だがどうもくさい。戦死した鎮守府司令長官は攻撃を受けた際、ワシではなく本土へ連絡を入れている。そのせいで初動がかなり遅れた』

提督「では相当に急を要する作戦という認識でよろしいでしょうか?」

南方『いや、件の鎮守府は戦力も備蓄も十分に揃ってる。慎重さをもって進めるべし――って言うのが本土の連中の指示だ。けどな、これはワシの勘では急がなきゃやべぇってでてるんだよ』

提督「……」

南方『つうわけで最速で救援に向かえ。できれば10日以内だ。辺境とはいえそれなりの規模の鎮守府が落とされると大規模作戦の勝ちにケチがついて、流れが変わりかねん』

提督「はっ! 1週間で出撃の準備を整えさせます!」

南方『それでいい。それとわーってるとおもうけど、今回は引いたり押したり恋愛ごっこみたいにやらにゃならん。この部隊の責任者は軍歴で第五戦隊司令官になるとおもうが、あれにこういう駆け引きは厳しいだろうから小僧がちゃんと手綱を握れ』

提督「はっ!」ビシッ!

南方『よっしゃ! 露払いは任せたぞ!』ビシ

 ブチッ
900 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:03:30.66 ID:63wHH6uE0

提督「――大淀、私はこのまま奴と敵艦隊迎撃の編成を練る。お前は第一並びに第三水雷戦隊へ出撃の命令を出しておけ。ほかの艦娘も即時出撃が可能なように準備だけはさせておけ」

大淀「先ほど見た敵の編成からは空母がいないと非常に難しい戦いになると思いますが?」

提督「ふん! そんなことは先刻承知している! そちらは向こうとのすり合わせの後に決める。お前ごときがアレコレと考える必要はない!」

大淀「チッ……了解しました」

提督「わかったのならばよろしい。さっさっとやるべき事をしろ!」

大淀「……はい」

 ピ、ポパ……プルル、プルル……ガチャ……

提督「こちら――鎮守府司令長官」

少将『――もしもし。こちら――基地司令、少将』

提督「随分と出るのが早いな」

少将『ははは、貴様と違って暇があるのでな』

提督「それは貴様の仕事が早いからだろうな」

少将『お世辞は結構。それでどうかしたか?』

提督「うむ。○○鎮守府が深海棲艦に包囲されたとのことだ。それの救出に向かわねばならん」

少将『む……そうか。どれだけの艦娘を出せばいい?』
901 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:11:59.25 ID:63wHH6uE0

提督「敵の大攻勢を防ぐためのかく乱が目標だ。作戦の性質を考えれば少数精鋭で臨みたい」

少将「なるほどな。そちらはどれほどの艦娘を動かすのだ?」

提督「うむ、まずは水雷戦隊3つと空母4隻。あとは重巡洋艦を数隻といった予定だな」

少将「空母か……誰を出すんだ?」

提督「? 五航戦と二航戦を出撃させる予定だが。なにか問題があるか?」

少将「いや、そんなことはないさ。ただ練度的には一航戦のほうがいいのではないかと思ってな。敵に食いつかれず一撃離脱というのは高い練度が必要だろ?」

提督「なるほどな、速度よりも練度か。二航戦に代わって一航戦を出そう。では、つづいてそちらの編成だが――」

少将「いや、待ってくれ。かく乱といってもあまり火力がなくては敵の注意をひけないのではないか? 金剛型も用いるべきだと私は思うが」

提督「――そうか? うむ、それでは金剛と霧島を出そう。ほかにもなにか意見はあるか?」

少将「そうだな。本隊を守る部隊であれば多少の鈍足でも構わないだろ、防衛戦力として戦艦も少数編成すべきではないか?」

提督「う、む……」

少将「ほかにも包囲している敵を破るならば超長距離からの砲撃も有効かもしれん。敵の砲撃が届かない距離から一方的に主砲で攻撃し、近づいてきたところを半月陣形を組んだ水雷戦隊で迎え撃ちつつ包囲していくのだ。おお、これならば敵を撃滅することが可能なのではないか?」

提督「……検討しておこう」

少将「そうか、そうか。ここ数回の戦いで私もそれなりに戦場の機微というものが分かってきた気がするのだ。今度はお前のところの艦娘だけが称えられるなどということはないだろうな」

902 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:16:14.35 ID:63wHH6uE0

提督「……それはそうと補給線なのだが」

少将「うむ。そこらへんの手配は任せろ。200隻までならばいつまでも作戦行動を継続させてやる」

提督「頼もしい限りだ。先ほどの提案はこちらで有効性を考えてみるので、貴様は水雷戦隊を率いて一週間後にこちらへきてくれ」

少将「うむ、了解した。それではな」

提督「ああ」

 ガチャッ

提督「……どういった意味での提案だったのだ? 分からん」

提督「私は所詮、そこまでということか……」

提督「フッ……」

903 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:20:40.79 ID:63wHH6uE0


――XX16年 9月 15日――

 南方海域司令部隷下〇〇鎮守府 鎮守府司令長官執務室


提督「……」

警備隊艦娘A「食料がそこをつきかけています……」

警備隊艦娘B「このままでは士気にも影響がでます。余力のあるうちに吶喊して敵中を突破するべきかと」

警備隊司令「……そんなことをすればすりつぶされて終わりだ。こちらのまともに戦える戦力を考えてくれ。食料の件はギリギリまでほかの艦娘に気づかれないようにするならばどれぐらいもつ?」

警備隊艦娘A「そうなると1週間ほどが限界だと思います。切り詰めていっても10日ほどになると思います。それ以上は……」

警備隊司令「うむ、それであれば量を減らすなどのことはするな。士気の低い籠城戦など話にならん。援軍もその時期には到着する手はずだ」

警備隊艦娘A「……」

警備隊司令「そんな顔をするな。いざとなれば山狩りをして食べるものを得よう。私たちがわずかに食つなぐ動物ぐらいはいるだろ」

警備隊艦娘A「……今回の襲撃は不運が重なりすぎてます。海域総司令部から輸送物資が運ばれる直前に鎮守府司令長官が戦死するほど苛烈な攻撃があった上に、援軍が本土の手違いで送れるなんてまるで――」

警備隊司令「そこまで。それ以上はいったところでどうにもならん」

警備隊艦娘A「はい……」

警備隊司令「とにかく、今は耐えよう。つらいとは思うが奮斗するよりほかにない」
904 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:25:15.67 ID:63wHH6uE0


 ――XX16年 9月 23日――

 マニラ島 軍港 第五戦隊旗艦 司令官私室


提督「――鎮守府司令長官の提督です。この度は援軍としてまいりました。足を引っ張らないように奮励努力所存であります」

第五戦隊司令官「ゲホ、ゲホ……知らない仲じゃないし、そんなに畏まらなくていいよ。私は先任ということぐらいしか能がないしね」

提督「そんなご謙遜を」

第5戦隊司令官「いやいや、本音だよ。この任務は少し荷が重く感じられてどうしようかと途方に暮れていたからね」

少将「……」

提督「……失礼ですがお体の具合がよろしくないのですか?」

第5戦隊司令官「情けないがどうも風邪をひいてしまったようでね。秘書官の青葉も随分と心配してくれているのだけれど、なかなか治らなくて参っているんだ」

少将「それでしたらどうぞお休みになっていてください。作戦は私たちが立案してご報告します」

第5戦隊司令官「といってもこの部隊の主将はわたしだからねぇ。なに座っているぐらいなら平気だよ」

少将「そうでしたか……。どうぞご自愛ください」

第5戦隊司令官「ありがとう。それで、あれだ、うん。先にもらっていた報告書を見ると提督君は随分と艦娘を連れてきたみたいだね?」

提督「……はい」
905 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:26:41.91 ID:63wHH6uE0

第5戦隊司令官「君のことだからなにか考えはあるのだろうけど……うん……その、どういった意図が?」

提督「そ、それは――」

少将「それは私の提案でそういった編成となりました。これで敵を撃滅することも可能かと」

第5戦隊司令官「ゴッホ……失礼。しかし、決戦は私たちの任務では――」

少将「いえ、私には秘策があります! 必ずや敵を打ち破ってみせます!」

第5戦隊司令官「……そ、そうか。そこまで自信があるのならば君に任せ――てもいいのかな?」

提督「……」コクリ

第5戦隊司令官「……それでは少将君、作戦立案は頼むよ」

少将「はい! お任せください!」

第5戦隊司令官「あ、うん。私はやっぱり少し横になるよ、申し訳ないけれど提督君は肩を貸してもらっていいかな?」

提督「かしこまりました。さぁ、どうぞ」

第5戦隊司令官「ありがとう」

少将「それではお大事になさってください」

第5戦隊司令官「う、うん」

 バタン
906 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:28:01.42 ID:63wHH6uE0

第5戦隊司令官「……」

提督「……」

第5戦隊司令官「……彼は、その、なんだ? 大丈夫なのかね?」

提督「はい、知勇兼備の名将と私は信じています。必ずや目的を達成するかと」

第5戦隊司令官「私みたいな愚将がいうのもなんだが、どうにも空回りしているように見えてしまってね……」

提督「奴は先日行われたカレー洋の海戦では獅子奮迅の活躍を見せました。ご安心ください」

第5戦隊司令官「う、うむ……」
907 :張耳と陳余 ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/09/06(金) 04:29:20.10 ID:63wHH6uE0
申し訳ありません。今日はここまでになります。
いろんなフラグが立ちました。次回で一気に結果を出していきます。
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/06(金) 09:34:58.16 ID:tnwEJ7VVo
乙でした
能力に差があるのはどうしようもないね
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/06(金) 15:32:28.04 ID:KpyRKcK6O

あんなことが続いたからこらも提督をハメようとしてるのかと思ったが単純にミスしてるだけなのか……
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/06(金) 23:22:52.05 ID:tnwEJ7VVo
お大事に
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/07(土) 00:16:35.33 ID:GWLWAbbr0
乙です
何となーく少将の提督に対する感情が見えてくる、気がする
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/07(土) 04:28:52.90 ID:YrJQSiNf0
一撃翌離脱を主軸とする戦術なら高速戦艦を旗艦とした水上打撃部隊が鉄板だけど、空母を主軸としてるあたり
この提督はよっぽど空母がお気に入りなんやな

空母を主軸とした場合は制空権が奪われない、且つ作戦行動範囲を敵に掴ませない前提の戦線構築が必要になるし練度的には一航戦の起用は間違いではないけど
ここの一航戦...というか赤城は血の気が多すぎて一撃翌離脱には気質的に...
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/11(水) 20:37:33.74 ID:aWLWdafRo
お加減いかがですか?
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