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【艦これ】提督「私と艦娘が険悪な関係だと?」 五隻目【安価・コンマ】

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557 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/02/09(土) 13:08:32.75 ID:zrFa18ZoO
カッコイイ人。

それが私の司令に対する第一印象だった。

いつも背筋を伸ばして、自信の塊みたいな人で何をするにしても間違っているとは微塵も考えてないのがありありと伺えた。
そのせいなのか所作の一つ一つにも覇気が宿っている気がして、気づけば私はあの人のことを目で追いかけるようになっていた。
それからしばらくの間は私にとっては素晴らしい時間が流れた。
こんな素敵な人のもとで戦えるのが本当にうれしかったのだ。
きっと司令もそんな私のことを――してくれていたのだ。だから、つらい訓練も出撃もきっとはすべてが信頼の裏返しだったんだ。
だから私も必至でそれに応えた。
あの日までは。
558 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/02/09(土) 13:21:35.07 ID:zrFa18ZoO

ーー14:00ーー

XX17年 8月

鎮守府 執務室

蒼龍「あっつい……」

霧島「ええ……」

提督「……」ペラ

蒼龍「うぅ……こういう日は潜水艦の子たちと一緒に海で遊んでたいのになぁ」

霧島「私は空調のきいた部屋で本を読んでいたいです……」

提督「……」イラッ

蒼龍「あー、提督、空調の修理ってまだかかるんですか?」

提督「……あと3日間はこの調子だと聞いている。第一、冷房の調子が悪くなって昨日の今日ではないか。がまんしろ」

蒼龍「うへー……」

霧島「はぁ……」

提督「……」イライラ

霧島「しかし、こうも暑くては執務もままなりませんね……」

蒼龍「ほんとうにそうだよねぇ……」

提督「……」イライライラ

蒼龍「ねぇ、提督、どっか涼しいところ連れて行ってくださいよー」

霧島「ええ、ええ、いい案かと」

提督「……」イライライライラ

赤城「提督」

提督「……なんだ?」

赤城「麦茶をお持ちしました」

提督「ご苦労」

蒼龍「赤城さん、私の分って?」

赤城「無駄口ばかりで仕事もしない子に持ってきてるわけないでしょ? 自分で取りに行きなさい」

蒼龍「えー」

提督「……蒼龍、霧島」

蒼龍「あ、はい、どうかしましたか?」

霧島「はい」

提督「やる気がないなら出ていけ」

蒼龍「え、い、いや、やだなー。そんなことないですって、あ、アハハ……」

霧島「は、はい。蒼龍のいうとおりです」

提督「ならばそのやかましい口を閉じてさっさと目の前の書類をやっつけろ!! 暑いと思ってるのはお前たちだけじゃないんだ!」

蒼龍「ご、ごめんなさい……」

霧島「す、すみません……」

提督「ちっ……! ならば私はこれから対潜部隊の演習を見てくるが、それまでに書類を終わらせておけ」

蒼龍「それでしたら私が護衛だったはずなんで――」

提督「うるさい! 赤城、お前がついてこい! 黙々と作業をしていたお前ならばだいたい片付いているだろ」

赤城「ええ、大丈夫、大丈夫ですよ」
559 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/02/09(土) 13:48:18.31 ID:zrFa18ZoO

提督「ふん! そういうことだ!」

蒼龍「け、けど……」

赤城「蒼龍、耳を貸しなさい」

蒼龍「へ? いきなりどうしたんですか?」

赤城「いいから」

蒼龍「えっと、はぁ」

赤城「いいですか――」ヒソヒソ

蒼龍「――なるほど」ヒソヒソ

赤城「ということです。私の方が適任かと思いますがどうでしょう?」

蒼龍「うーん……分かりました……。今回は譲りますよ」

提督「なにをぐずぐずやってるんだ、早くしろ! このあとも予定はあるのだぞ!」

赤城「ええ、ええ、わかっております。けれど納得してことにあたらねば結果というのは上がらないと思ったので」

提督「ふん、一理あるがあの説明で了解できないのであれば私の中で蒼龍に対する評価を下げねばならんな」

蒼龍「あはは……いやだなぁ、ちゃんとわかってましたって……」

提督「どうだか」

赤城「ふふ……とにかくお待たせしてしまってすみませんでした、この赤城が提督のお供をいたしますね」

提督「ああ」
560 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/02/13(水) 09:55:13.14 ID:1Ea5AKyI0
申し訳ありません。
先日、投稿してからどうしてもこの状況が時系列的に起こり得ないことに気づいてしまい、なんとかすり合わせできないかと悪戦苦闘していたのですがどうしてもそれが出来ませんでした。
なので上の3レスはお蔵入りということにさせていただいて、新しく書き直したものを投稿いたします。
読んでいただいて方には方には本当に申し訳ありません……

1年ちょっともやって1スレ目のでXX17年10月に赤城が秘書艦に就任して、ここまでで作中時間3ヶ月しかたってないのをすっかり書いてる途中は失念したました……
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 10:17:32.03 ID:xxyqRCaVo
長くやってるとそういうこともある
待ってるからゆっくりでいいよ
いつもありがとう
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 16:02:33.55 ID:zwccfUiLo
全然気づかなかった
読み込みが甘くて申し訳ない
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 18:58:14.87 ID:ZcqPeCNHo
>>1は怪我の調子はどうなった?
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/12(火) 12:51:49.16 ID:N6igRhoQO
まだかな…
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/13(水) 11:12:32.81 ID:Mj16m9Gj0
風呂敷広げるだけ広げて逃げたか
こうなると思ってたよ
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/15(金) 13:17:52.40 ID:Fn6bNUjTo
俺は信じてるぞ
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 21:55:46.33 ID:sr3fyOu20
どうやらもう少し待っていたら戻ってくるそうだ
(ツイッターでのつぶやきによると)
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/15(月) 00:20:17.78 ID:BSij+qWZo
待つのは慣れてる
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 15:18:51.23 ID:9bHw1eYuo
明後日再開ですってヤッター!
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:01:45.54 ID:32DvAS3yo
令和元年
571 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:14:41.91 ID:FYHp2lkZ0
ながらくあけてしまい申し訳ありませんでした。
ツイッターのほうでぶつぶつとやっていましたが、あらかた勉強しなおして出張からも戻りましたので更新再開していきます。
とりあえず昨日から5日までお休みなのでストックの放出も兼ねてGW中は毎日更新できるとおもいます。

再開いたします。
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 22:16:59.93 ID:NpfizJ2/o
おかえりー
573 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:19:00.68 ID:FYHp2lkZ0


 ーー14:00ーー

 XX17年 8月


 鎮守府 執務室


提督「……む」

蒼龍「? どうかしたんですか?」

提督「お前が気にすることではない」

蒼龍「えー、そんなふうに言わないで教えてくださいよ」

提督「ちっ……赤城、このあとの予定はどうなっていた?」

赤城「確認いたしますので少々お待ちください。――はい、ヒトサンサンマルより対潜部隊の訓練の視察となっています」

提督「そうか。たしか護衛の手配はお前に任せていたはずだがどうなっている」

赤城「ええ、ええ、大丈夫、大丈夫ですよ。鉄壁の布陣をご用意しております」

提督「……護衛の選出ぐらいならとお前に任せたのだ、くれぐれも私の信頼を裏切るなよ」

赤城「勿論です」

提督「……」

蒼龍「あー、それよりも提督が予定をわすれるなんて珍しいですね」

提督「先ほどから言っているが余計なことは気にせず、お前はお前の仕事をしろ」

蒼龍「大丈夫です! 手はちゃんと別に動かしてますから」

提督「はっ! だまれと言っているのだ。そんなこともわからんとはな」

蒼龍「あー、もう怒らないでくださいよ。心配してるんだから」

提督「おまえにあれこれと心配されるほど落ちぶれたつもりはない! いいから仕事に戻れ!」
574 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:22:52.04 ID:FYHp2lkZ0
霧島「提督、ひとつよろしいでしょうか?」

提督「……なんだ」

霧島「蒼龍のいうように提督がご予定を失念されたことなど私の記憶にはありません」

提督「で、なにがいいたい?」

霧島「いえ、お疲れなのではないかと。よろしければ対潜部隊の視察に関しては私と蒼龍でいってきますのではおやすみをとられたほうがいいのではないでしょうか?」

提督「むーー」

赤城「いけません」

霧島「……赤城さんとはいえ、上官のことばをさえぎるというのは少し不敬なのでは?」

赤城「ふふ……いえ、あなたがあまりにおかしなことを言ったのでつい」

霧島「どういうことでしょう?」

赤城「理由は3つあります。対潜部隊の中にも提督に普段の成果をみていただこうと今日という日を待ちに待っている艦娘もいるかもしれません。そういった娘の士気を下げるようなことをするべきでないというのが一つ」

提督「そんなものがあそこにいるとはおもわんがな」ボソッ

蒼龍「? 提督、どうかしましたか?」

提督「なんでもない!」

蒼龍「あ、はい」

赤城「……二つ目に指揮下の艦娘の練度はしっかりと提督自身の目で確かめておくべきということです。そして最後に私の手配した護衛部隊にも提督をお守りするという経験を積んでほしいということです」

霧島「なるほど、あなたのいう理由は分かりました。しかし提督のおからだが第一です」

赤城「ええ、ええ、私もそうおもいます。心から」

霧島「……」

提督「もう結構だ。霧島、予定を失念していたのは別に疲れからなどではない。このあとは予定通り対潜部隊の視察に向かう」

霧島「……かしこまりました」

赤城「ふふ」
575 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:38:13.14 ID:FYHp2lkZ0


 ――13:25――

 鎮守府 第二演習場 観覧席席付近


朝潮「本日はご足労ありがとうございます! 対潜部隊一同、普段の努力の成果をお見せできるように励む所存です!」ビシッ

提督「うむ、期待している」ビシッ!

朝潮「あの、ところで……なぜ二水戦の方たちが……?」

神通「はい。本日は私たち二水戦が身命をかけて提督の護衛に当たることになっています。対潜部隊の方々もよろしくお願いします」ビシッ!

提督「護衛任務にお前らが適当であるとは微塵も思わんがな。赤城」

赤城「いえいえ、こういったこともいい経験になるかと思いまして」

提督「……余計な考えを起こすな。私は二水戦にそういったことをもとめてはいない。こいつらは敵ののど笛に食いつければそれでよいのだ。それ以上でもそれ以下でもない。一人か二人を置いて、ほかは普段の訓練に戻せ」

赤城「しかし、二水戦は艤装をはずした格闘戦でも一番成績がいいんですよ? それをもてあますなんてもったいないじゃないですか」

提督「ちっ……護衛なんぞに第二水雷戦隊の全てを振り分けることはないと言っているのだ。不知火と陽炎でことが足りるであろう」

赤城「提督のおっしゃるとおりではあるかと思いますが、訓練場が湾内にあるとはいえ海に面している以上は一定の警戒は必要ですし、さきほども言ったように陸地でのこういった任務も訓練の一環としてもいいのではないかと思いまして」

神通「……秘書艦もたまにはいいことをおっしゃりますね」

赤城「ええ、ええ、そうでしょう、そうでしょう。ふふ」
576 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:45:26.12 ID:FYHp2lkZ0
神通「……提督、大変申し上げにくいことですが白虹日を貫くという言葉があるほどに部下といっても油断ならないございます。鎮守府の中だからといってご油断なされるべきではないかと愚考いたします」

提督「馬鹿!」

神通「え、あの、そのーー」

提督「いいか!? 帝國では日といえば陛下をさすのだ!! 引用といえども不愉快だ! そんなことばは今後一切つかうな!」

神通「も、申し訳ありません。し、しかし、獅子身中の虫というのは――」

提督「もういい! 好きにしろ! 付き合っておれん! 陽炎、不知火、行くぞ! 朝潮も詳しい説明は歩きながらせよ!」

陽炎「はい!」

不知火「はっ!」

朝潮「は、はい!」

提督「まったく……なんということをいうのだ、あの馬鹿は……」ブツブツ

赤城「ふふ、怒られてしまいましたね」

神通「…・・・私の失言でした。提督のお怒りはごもっともです」

赤城「そうですねぇ。ただ気をつけてくださいね? これ以上、提督の血圧をあげてしまうのはご遠慮願いたいですし」

神通「あなたがいなければ私もあんなことをいう必要はなかったのですが」

赤城「はて? どういうことでしょう? 私ほど懸命に提督を支えている艦娘なんていないと思いますけれど?」

神通「よくもぬけぬけと……、まさにウサギに祭文というものですね。私は部隊全体の指揮をとるのでこれで失礼します」

赤城「ええ、ええ、がんばって下さいね。私はあなたがどうなろうとなんとも思いませんが、提督の御身は本当に大事に思っているんですから。せいぜい、死んでも提督をお守りして下さい」

神通「私も同じ気持ちです」スタスタ
577 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:48:35.02 ID:FYHp2lkZ0


 ――13:25――

 鎮守府 第二演習場 観覧席


朝潮「――以上が本日の訓練内容になります!」ビシッ!

提督「ご苦労。ところで不知火、お前から見て何か改善案などあるか?」

不知火「はっ! …・・・え? あ、あの、不知火に落ち度を探せと?」

提督「そこまで言ってない。お前も駆逐艦であるのだから、なにか思いつくことも有るかと思って聞いただけだ」

不知火「は、はぁ。そうですね……うーん……むむむ…・・・」

提督「・・・・・・もういい。それと対潜部隊全体の指揮はお前ではなく、五十鈴に任せていたと思うがアレはどうしたのだ?」

朝潮「五十鈴さんでしたら下で訓練の内容を再度確認しているかと」

提督「そうか、それならばそれでいい」

朝潮「? なにかご懸念ありましたか?」

提督「あれのことだからな、体調を崩したなどと偽って出てこないかと思ったが杞憂であったようで何よりだ」

朝潮「さ、流石にそのようなことはないかと思います」

提督「ふん、それよりも時間が惜しい。朝潮、行動を開始せよ」

朝潮「はっ! それでは失礼します!」ビシッ

提督「……まずは潜水艦と協力しての索的訓練だったな。不知火、二水戦ではこのような形式での訓練はどの程度の頻度で行っている」

不知火「あれがこうだから……」ブツブツ

陽炎「ちょっ!? 不知火!? あ、あの、二時間の訓練を週に二度おこなっています!」

提督「はぁ……わかった。いくら切り込み部隊とはいえ、それではあまりに時間が少ないな。砲雷撃戦だけでなく、対潜にももう少し力を入れさせるべきか」

陽炎「えっと、それは神通さんじゃないと判断が・・・・・・」

提督「何も答えんのは論外だがな、独り言にまであれこれと答える必要は無い」

陽炎「うぇ……!? あ、あの、すみません」

提督「別に構わん。さて、それでは――」

不知火「・・・・・・はっ! 思いつきました! 」
578 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 22:49:52.12 ID:FYHp2lkZ0
提督「・・・・・・いいだろう。聞くまでも無いと思うが、一応は聞いてやる」

不知火「はい! 先ほどの説明を聞くに休憩時間が多すぎると思います!」

提督「そうか、そうか」

不知火「……? あの、不知火になにか落度でも?」

提督「お前に聞いた私のミスだ。気にする必要は無い」

不知火「??」

陽炎「うわぁ・・・・・・」

不知火「あの、不知火に何か落ち度がありました……?」ヒソヒソ

陽炎「あんたも神通さんもよっぽどよね……」

不知火「??」
579 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/05/01(水) 23:06:46.70 ID:FYHp2lkZ0


 ――13:40――

 鎮守府 第二演習場 観覧席



択捉「ふぁあああ……」

霞「? さっきからなにみてんのよ」

択捉「わっ!? え、えっと……」チラッ

霞「観覧席? ――ああ、そういうこと。あんなのみてなにが楽しいのかしらね」

択捉「あ、あんなのってそんないいかたはないとおもいます! 司令、格好いいじゃないですか!」

霞「……別にだれもあのクズのことなんて言ってないじゃない。それよりもちゃんと艤装の点検しておきなさいよ」

択捉「うぅぅ……それは分かってますけどどうしても緊張したりいろいろしちゃって……」

霞「はぁ、赤城さんもよくいってるけど私たちは女学生じゃないの。ちゃんとそこらへん理解しているのかしらね」

択捉「も、もちろんです! 艤装だってちゃんと確認しましたもん!」

霞「ふーん、それならいいけどね」

択捉「むー」

五十鈴「ちょっと、そこちゃんと話聞いてた?」

択捉「ご、ごめんなさい!」

霞「ふん」

五十鈴「いや、そうじゃなくて話を聞いてたかどうかを――」

朝潮「失礼します! 五十鈴さん、司令への説明をしてきました」

五十鈴「ご苦労様。すぅ――対潜部隊総員、傾注! 行動を開始する!」

対潜部隊一同「はい!」
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/02(木) 00:18:27.76 ID:yW5QwE1vo
一旦乙
581 : ◆GU9rEi2owk [saga]:2019/05/02(木) 02:15:29.30 ID:+gRVfPq7o
おっつおっつ
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/02(木) 02:16:03.67 ID:+gRVfPq7o
上げちゃった、すみません
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/02(木) 02:51:36.34 ID:h+oT3wFAO
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 20:31:57.34 ID://AVpkamo
またしばらく時間空くかな。投下待ってます
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/21(火) 09:14:47.30 ID:2w1Mp1Gho
赤城改二来ましたね
このスレの赤城さんのヤバさも増しそう
586 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:02:56.85 ID:jPdfuE780


 ――15:05――

 鎮守府 第二演習場 観覧席


提督「……」イライラ

不知火「……あ、あの」

提督「……なんだ」

不知火「い、いえ、失礼しました」

提督「……陽炎、お前はいま目の前で繰り広げられている金のかかったお遊戯をどう思う?」

陽炎「は、はい! あまりに集中力にかけていると思います!」

提督「だ、そうだ。対潜部隊の責任者の一人である朝潮はどうおもう?」

朝潮「……もうしわけありません」

提督「わたしはもう叱咤をとばす気力もうせているが、敵が飛ばしてきた砲弾や艦載機もあの無様さで消え失せることを祈っている」

不知火「っぷ……」クスッ

陽炎「馬鹿っ!」

不知火「はっ!?」クチオサエー

陽炎「今更、遅いのよ!」

提督「はぁ……不知火」

不知火「は、はい!」
587 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:04:23.86 ID:jPdfuE780

提督「なにがおもしろかった? ちっともこの状況を楽しめていない私にぜひともご教授願いたいのだがね」

不知火「い、いえ、随分と司令がうまいことをおっしゃると思ったので……」

提督「ははは……そうか、そうか」

不知火「はい!」

陽炎「……あちゃー」ボソッ

不知火「へ?」

提督「馬鹿者! なにも面白くない! むしろこんなにも気分が悪いのは久しぶりだ!」

不知火「ひぃう!?」

提督「さきほどまでの組はまだマシになっていたが。今の組の動きはなんだ! 建造されたばかりの新兵以下だ! 朝潮、いつから対潜部隊は託児所になった!? 即刻、答えろ!」

朝潮「は、はい」

提督「はい!? 返事なんぞ求めていない! 私の質問に答えよ!:

朝潮「……お言葉ですが、あの組の4人も普段の訓練や出撃ではしっかりと成果を上げています。もう少しすれば調子を取り戻すかと思います」

提督「実戦であの見るだけで情けなくなる動きをされれば、それが一時のことだろうが即座に全線が崩壊するわ! それとも訓練でおこったことが本番ではおきんとでもおもっているのか!? だとすればお前の頭の中にはさぞ素晴らしい花畑が広がっているのだろうな!」

朝潮「……そ、それはおっしゃるとおりだとおもいますが」
588 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:06:42.71 ID:jPdfuE780

提督「あたふたとするだけでろくに部隊を掌握できていない旗艦の神風! それにつられてフラフラと漂っているだけの朝風! 連携をあきらめて好きに動いている霞! そして極めつけは訓練をする気がないのか旗艦の指示をきかずに一人で部隊の動きを阻害している択捉! なんだこの組は!? 私の血管を破裂させるために五十鈴が送り込んだ暗殺部隊か何かか!?」

朝潮「……」

提督「即刻やつらを後方へ飛ばしてやる! あんな練度でこの鎮守府においておけるか!」

朝潮「……そのご意見に朝潮は頷くことはできません! 彼女たちは対潜部隊の中では珍しく普段の成果を提督にご覧になっていただくのを心待ちにしていた艦娘たちです。やる気がから回っているだけだと思います!」

提督「はっ! 私が欲しいのは心意気ではなく、結果だ!」

赤城「提督、それは流石に全体の士気にかかわるご発言かと」

提督「む……うるさい!」

赤城「失礼しました」
589 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:07:47.73 ID:jPdfuE780

提督「朝潮、お前は奴らに次の砲撃訓練のあとに転属願いを書くようにつたえてこい! これがおわり次第、受理してやる!」

陽炎「……」

提督「返事はどうした!」

朝潮「……はい、了解しました」

提督「ふん!」

陽炎「あ、あの、司令、一つよろしいでしょうか?」

提督「……いってみろ」

陽炎「一度、護衛部隊の状況を確認するために神通さんと連絡をとってきもよろしいでしょうか?

提督「好きにしろ。護衛なんぞ赤城と不知火がいれば問題あるまい」

陽炎「ありがとうございます! それでは失礼します! ほら、朝潮、あんたもいくわよ!」

朝潮「……失礼しました」

バタン

提督「ちっ!」

赤城「……」

不知火「? どうかしましたか?」

赤城「いえ、大丈夫です、大丈夫。なにもあなたが心配するようなことはありません。提督の護衛を務めることだけに集中していなさい」

不知火「はっ!」
590 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:10:32.04 ID:jPdfuE780


 ――15:30――

 鎮守府 第二演習場 観覧席前通路


朝潮「……」

陽炎「あのさ、朝潮、ちゃんと受けた命令の中身分かってるわよね?」

朝潮「? もちろん私でも日本語で下された命令ぐらい理解しているつもりですが?」

陽炎「……じゃあ、ちゃんとあの子たちをちゃんと激励してくるのよ。提督が次までは我慢するって言ってくれてるんだから」

朝潮「!?」

陽炎「余計なお節介だったみたいだし、それじゃあね」

 ガシッ

陽炎「へ?」

朝潮「今の話どういうことですか!? 朝潮は彼女たちに転属願いを書くように言われたはずです!」

陽炎「……やっぱりきてよかったみたい」
591 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:12:58.08 ID:jPdfuE780

朝潮「このままでは私がうまく説明ができなかったせいで対潜部隊の皆さんにご迷惑をかけてしまうんです! 先ほどの言葉が嘘でないならそう判断する理由を教えてください!」

陽炎「まず言っておくけど対潜部隊全体の訓練内容としては提督、ほめてるってのはわかる?」

朝潮「は、はぁ。しかし、注意は他の組もいただいていますが」

陽炎「それはアドバイス。総評としては『マシになった』って言ってたじゃない。いいわよね、練度がそんなに高くないところはすぐに結果が出るから」

朝潮「色々と言いたいことはありますが……『マシになった』というのはそれほど褒めていただいているようには感じないのですが……」

陽炎「はぁ? 褒めてるわよ! 最上級ではないけど、それなりに成果を認めてるとき以外はつかわないもん!」

朝潮「えぇ……」

陽炎「それを念頭に考えればもう一度、チャンスをくれたってわかるんじゃない?」

朝潮「さっぱりです」

陽炎「……ちょっとは自分で考えて欲しいんだけど。私だって弥生にお菓子あげたり、司令の行動観察したりって努力はしてるのよ」

朝潮「いえ、今は時間が惜しいので」

陽炎「むー。仕方ないわね」
592 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:19:02.82 ID:jPdfuE780


陽炎「いい? 『砲撃訓練を終わった後に転属願いを書け』って言ってるんだから、次の砲撃訓練までは提督も我慢するってことなのよ。それが終わってから転属願いを書けってことはまだチャンスはあるから書かせないように朝潮が叱咤激励して来いってこと」

朝潮「……にわかにしんじられません。ただ顔を真っ赤にして 怒っていらしたようにしか思えないのですが」

陽炎「甘いわね。私は弥生の次ぐらいには提督のいってることが正確に理解できるのよ!」

朝潮「むむむ……」

陽炎「なにが『むむむ……』よ! 悩むまでもなく私の言ってることはあってるの!」

朝潮「しかしどうして私にこのことをおしえてくれたのですか? 先日の満潮と不知火さんの一件もありましたし、陽炎型の皆さんは私たちのことを嫌っているのかなと思っていたのですが」

陽炎「あの件については理屈はともかく喧嘩買っちゃったうちの不知火にも問題があるとおもったからそのお詫びに、ね。それに駆逐艦の長女同士、仲良くやっていくべきだとも思うし」

朝潮「……」

陽炎「信じる、信じないは勝手だけど後ろ向きで伝えたくない命令よりもわたしの解釈した命令のほうがいいでしょ?」

朝潮「……そう、ですね。陽炎さん、ありがとうございます。お礼に今度間宮さんの羊羹をご馳走させてください」

陽炎「うん。楽しみにしてるわ」
593 : ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/05/22(水) 06:21:12.70 ID:jPdfuE780

朝潮「……私はあなたを大勢の姉妹の長女なのに調子がよくて小心もので提督や神通さんに『はい』としか言えないのに二水戦であることを鼻にかけるばかりの艦娘だと思っていました。すみませんでした!」

陽炎「はぁ!? い、いや、そ、その評価が覆ったのなら伝えた甲斐があったわ……」ヒキツリ

朝潮「はい! それでは失礼します!」ビシッ

陽炎「あ、うん」ビシッ

 タッタッタ……

陽炎「はぁ……私ってそんな風にみんなに思われてるのかなぁ……」

陽炎「冗談じゃないわよ!?」

神通「? なにをさわいでいるんですか?」

陽炎「!? は、はい! なんでもないです!」
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/22(水) 09:08:46.93 ID:F+IsRfHzo
乙でした
陽炎強く生きろ
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/22(水) 11:52:23.98 ID:BfIw/SBEO
乙です
不知火より朝潮のほうがよっぽどヤバいw
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/22(水) 12:43:12.56 ID:GC53CPCzO

陽炎カワイソス
597 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/05/25(土) 13:38:31.24 ID:TDg5p2+d0


 ――15:20――

 鎮守府 第二演習場 第二会議室


霞「さっきのはどういうつもりよ!」バンッ!

択捉「うっ……ご、ごめんなさい」

霞「あやまるぐらいなら最初からまじめにやんなさいよ!!」

神風「霞、そこまでにして。あなたの行動だって褒められたものではなかったのよ?」

霞「はぁ!? そのどっちもどっちみたいな言い方やめてくれない! 私が一人で動いたのは旗艦のあんたがこの海防艦にかかりっきりになって指揮をおろそかにしたせいじゃない!」

朝風「なによそれ! 指揮云々言ってるけど貴女、神風姉さんの制止をきかなかったじゃない!」

霞「ふん! それに従ってたらあんたと同じように訓練時間一杯ふらふらと海の上で浮かんでるだけで終わったでしょうね」

朝風「なっ!? 失礼よ!」

霞「本当のことでしょ? 図星疲れたからって顔真っ赤にしてんじゃないわよ! でこっぱち!」

朝風「うぐぐ……」

神風「……とにかく、いったん落ち着きましょう。怒鳴りあってもなにも解決しないわ」

霞「ふん!」
598 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/05/25(土) 13:39:02.37 ID:TDg5p2+d0

神風「はぁ……まず択捉、なんで訓練中にあんな浮足立っていたの?」

択捉「そ、それは……」

神風「いいづらいようだったら――」

霞「あのクズのことずっと見てたせいでしょ! ふざけるんじゃないわよ!」

神風「――なんどきいてもその呼び方はどうかと思うのだけれど」

霞「今はそんなこといってる場合じゃないでしょ。それに私はそう呼んでもいいっていわれてるんだから! あんたとはちがうのよ!」

神風「それもそうね。はぁ……択捉、本当なの?」

択捉「あ、うっ……はい……」

神風「それは――流石にどうなのかしら」

択捉「わかってるんです。でも、司令が私をみてくれれると思うとどうしても……」

霞「自意識過剰ね」

択捉「そんなことないです!」

朝風「そうね。一人で訓練できると思ってる霞にいわれても説得力無いわよね」

朝潮「あ、あのぉ……」

霞「はぁ!? なによ、それ! 喧嘩なら言い値で買うわよ!」

神風「二人ともいい加減にしなさい! 怒鳴るだけで何が解決するの! それよりも話し合いましょう」
599 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/05/25(土) 13:45:29.88 ID:TDg5p2+d0

霞「ふん! この際、旗艦殿に教えてあげるけど、こういうのは教え諭すんじゃなくて鉄拳であろうが言葉であろうが徹底的に叩きのめして自分がなにをしたか分からせないとおんなじことを繰り返すのよ!」

神風「そんな乱暴なやり方はできません!」

霞「これだから対戦部隊なんてあまちゃんなところにくるのはいやだったのよ! 胃を空にするまで自身を追い込んで、何も考えられなくなるほど上官に怒鳴られるのが訓練っていうものなの!」

神風「それが通用するのは二水戦だけです! 私たち駆逐艦は未成年の体を模して誕生しているのだから、オーバーワークは避けるべきという論文もあります!」

霞「はっ! そんなわけないでしょ!」

神風「その論拠はなんですか!?」

霞「経験よ!」

神風「そんな乱暴な――」

朝潮「ご、ごほん! あの少し宜しいでしょうか!!」

神風「――なんですか? 朝潮さんは司令官に訓練の説明を行っているはずだと思いましたけど?」

朝潮「その司令官からお言葉を預かってきました」

択捉「!! 司令からですか! やった!」

朝潮「え? いや、その喜ぶようなことではないかと……」

神風「うっ……やはりお怒りでしたか?」

朝潮「それはそのとおりですが――」

択捉「そんなはずないです!」

霞「……はぁ?」

択捉「司令が択捉のことを怒るなんて絶対に無いんです!」

霞「あのねぇ……あんたの頭の中どうなってるわけ?」

択捉「だって司令は私を――」」

朝潮「と、とにかく! 提督からのお言葉を皆さんにお伝えします! 『この度の訓練では――』」

朝風「? いきなりつっかえてどうしたのよ?」

朝潮「えっと、その『――まことに遺憾ながら諸君の本来の力が出し切れていないように思われる。次の砲撃訓練は奮励努力し実力以上のものをみせてくれることを期待する』以上です!」

霞「……あんまり朝潮にこういうこといいたくないけど嘘くさいわね」

朝風「なっ!? なんていうことをいうんですか! ちょっと言葉は違いますがこういう意味だと聞いてます!」

霞「……」

朝潮「そ、そうだ! 霞、姉の言うことぐらい信じてください。それにそう喧嘩腰ではなかなか相手のことも見えなくなってくるものです。うん、不肖の姉も今日勉強したばかりですが先入観というものは時に――」

神風「朝潮さん、すみませんがそれぐらいで」

朝潮「あ、すみません」
600 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/05/25(土) 13:48:38.49 ID:TDg5p2+d0

神風「ごほん、みんな、たしかに朝潮さんのいうことはちょっと腑に落ちないけど提督が挽回を期待してくれているというのは間違いないとおもうの。次の砲撃訓練ではちゃんといつもどおりの結果を出しましょう!」

択捉「りょ、了解です!」

朝風「了解!」

霞「……了解」」

朝潮「うん、うん。是非とも次の訓練で先ほどの失点を挽回できることを祈ってます!」

霞「せっかくの空気に水を差すけど、私はそれだけじゃ納得しないわよ」

神風「……ええ、分かってるわ。択捉、司令官が気になるのは分かるけどあの人はあなたが一生懸命やっている姿を見られればとっても喜ぶと思うの。気にしないでというのは難しいかもしれないけど、それをしっかりと覚えておきなさい」

択捉「は、はい! 司令が喜んでくれるなら絶対に今回みたいなことはしません!」

朝風「神風姉さんも択捉もアレのどこがいいのかしらね?」

霞「ふん、まったくね」

朝潮「? 霞も提督のことは――」

霞「勘違いしないでわたしはこいつらみたいになよなよとした思いなんか微塵も持ち合わせて無いわよ」

朝潮「む。なるほど」

神風「そうときまったら艤装の点検を再度――」

コン、コン

神風「? はい」

伊26「ごめんくださーい。五十鈴さん、いますか?」

択捉「!?」ビクッ
601 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/05/25(土) 13:54:27.11 ID:TDg5p2+d0

神風「五十鈴さんなら第一会議室のほうにいるはずですが」

伊26「あー、やっぱりそっちかぁ。ちぇ、近くにいてくれたほうがありがたかったんだけどなぁ。あーあ、残念」

朝潮「? なにか潜水艦の方たちのほうで問題がありましたか?」

伊26「んーん、そういうわけじゃなくてちょっと細かい打ち合わせしたかったんだ。訓練は提督が支持してくれないからちゃんとつめないと間違っちゃうかもしれないからね」

神風「綿密な打ち合わせは大事ですからね。立派な心がけだと思います」

伊26「えへへ……そうでしょう? それじゃあ私はもういくね」

朝潮「はい! お疲れ様です!」

伊26「あ……択捉」

択捉「な、なんですか?」

伊26「さっきの訓練、どうしたの? あんなんじゃ違うよ。なんにも正しくない」

択捉「そ、それは……」

伊26「またあそこに帰りたいのならそれでもいいとおもうよ? だって、いわれた正しいことが出来ないなら提督の部下でいてもしょうがないもんね」

択捉「違います! 司令はそんなこと絶対にしない! 私をあそこから助けてくれた人だもん!」

伊26「……私だってあそこから転属してきたけど、そうは思わないなぁ。いい子だから、間違ってないから私たちはここにこられただけだよ。それに提督はいつも正しいからこそそんな優しいだけのことはしないよ、絶対に」

択捉「違う! 違うもん!」

伊26「はぁ、しょうがないなぁ。択捉がそう思うんなら、そうなんだろうね。択捉の中では」

択捉「……」

伊26「うん、おせっかいだったみたい。それじゃあね、ばいばい」

択捉「……はい。さようならです」

 バタン
602 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/05/25(土) 13:56:00.56 ID:TDg5p2+d0

朝潮「あ、あのそれでは私も提督の下にもどります。皆さん、ご健闘をいのってます!」

 バタン

神風「……択捉、いまはあなたと彼女の間になにがあったかは聞きません。ただ一回顔でも洗って心を落ち着かせなさい。酷い顔してるわ」

択捉「え……そ、そうですか?」

霞「ええ、。この世の終わりみたいなしみったれた顔してるわよ」

択捉「ご、ごめんなさい! えっと、ハンカチ、ハンカチ……」

霞「あー、もう! ほら、ハンカチなら貸してあげるからさっさっと顔洗って気tなさい」

択捉「え? い、いいんですか?」

霞「はぁ?」

択捉「すっごい怒ってたから……」

霞「私だってすきでおこってんじゃないわよ。あんたがちゃんとやればこんなこといわなくてすんだんだからね! そこんところよく考えなさい!」

択捉「は、はい!」
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/25(土) 14:56:36.33 ID:fzrIXSH3o
担乙
ニムちゃん闇が深くて怖い
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/25(土) 15:09:57.88 ID:mwCF+XfQO
ここよりひどい地獄ってどんなとこだよ……
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/26(日) 14:08:58.53 ID:TEJhA5ZZ0
この鎮守府は別にブラックではないでしょ
ただ上司が口下手で冗談のセンスが致命的で直情的なだけやし
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 16:36:10.13 ID:l7pCE4FmO
提督より同僚が……
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/27(月) 20:03:13.62 ID:KKDmsM210
隙らば謀略を巡らせるヤンデレ達の笑顔が耐えない素敵な職場
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 09:45:20.41 ID:OhqN/Z7O0
ヤン・デレ……?
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 09:53:36.08 ID:Ju5WEFpko
やっぱこのSS好きだわ〜
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/29(水) 23:38:16.19 ID:/GZAOVCOo
E2軽量編成だと全然割れない
友軍を待つべきか重量に切り替えるべきか迷う
611 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:19:51.76 ID:JGWQVV/N0

 ――15:55――

 鎮守府 第二演習場 観覧席前通路


陽炎「うぅ……散々な目にあった……」

朝潮「? なにかあったのですか?」

陽炎「ああ、朝潮も戻ったのね。どうだった?」

朝潮「最後に気になることもありましたが、おかげさまで士気も上がりました。陽炎さん、改めてありがとうございます」

陽炎「あはは、べつにいいって」

朝潮「それでさきほどの散々な目というのは?」

陽炎「あの後、神通さんにみつかちゃって『護衛中に提督のおそばを離れるとは!』って怒られたのよ」

朝潮「それはご迷惑をおかけしてしまいました」

陽炎「別に好きでやったことだし気にしないでいいわよ」

朝潮「恐縮です」

陽炎「あはは……」

朝潮「ふふ……」

陽炎「……ねぇ、朝潮って提督のことどうおもう?」

朝潮「? 上官としては申し分ない方だと思いますが。私も一つ大切なことを教えていただきましたし」

陽炎「それならちょっと私の提案を聞いて欲しいのだけれ――」

 ドーン!!

陽炎「!?」

朝潮「!? な、なんの音ですか!?」

陽炎「え、いや、わ、わかんない!」
612 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:21:33.36 ID:JGWQVV/N0

朝潮「わ、私はこの音の元を確認してきます! 陽炎さんは提督の護衛に!」

陽炎「そ、そうね!」

赤城「それでしたら私も陽炎とともに提督のところに戻りますので、朝潮は状況が判明次第、報告に来なさい」

陽炎「! あ、赤城さん! こんなところにどうして?」

赤城「いえ、少し花を摘みに。それよりも音の正体が不明な今は提督の御身をお守りするのが最優先です。陽炎、ついてきなさい」

陽炎「は、はい!」
613 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:25:29.10 ID:JGWQVV/N0

 ――15:58――

 鎮守府 第二演習場 第二会議室前通路


五十鈴「無事な子たちは負傷者の救助にあたりなさい!」

由良「皐月ちゃんは明石さんと秋津洲ちゃんをよんできて!」

皐月「了解!」

神通「二水戦は崩壊の危険とほかの爆発物の有無を調べます! 雪風の第一班は2階を、長波の第3班は1階をそれぞれ探索なさい!」

雪風「了解です! 皆さん、雪風についてきてください!」

長波「おう!」

五十鈴「ちっ……なんでこんなことに……」

朝潮「はぁはぁ……い、五十鈴さん! 状況は!」

五十鈴「遅い! 見ればわかるでしょ! 爆発よ、爆発!」

朝潮「そ、そんな……。提督に現状をおしらせします! 被害状況を教えてください!」

五十鈴「神風、朝風、択捉、霞の4名が意識不明! 近くにいた扶桑さんほか5名の艦娘が軽傷! 爆心地はたぶん第2会議室よ“」

朝潮「ま、まってください! 霞の行方も不明というのは――」

五十鈴「妹が心配なのはわかるけど今はそれよりも任務を優先なさい!」

朝潮「……了解!」

?「し、司令、お待ちを! 危険です! 観覧席にお戻りに――」

提督「はぁはぁ……うるさい! 口よりも足をうごかせ! なんだこの惨状は!」

五十鈴「……朝潮、説明は任せたわよ」

朝潮「はい! 提督!」

提督「朝潮か! なにがあった!!」

朝潮「爆発とのことです!」

提督「詳細を!」

朝潮「爆心地並び原因の詳細は不明! 扶桑ほか5名が軽症! 神風、朝風、択捉、霞の4名が行方不明! 現在、対潜部隊および第二水雷戦隊が周囲の警戒・救助にあたっています!」

提督「不知火、私の護衛を中断し、神通と合流して周囲の状況を把握することにつとめよ!」

不知火「し、しかし……」

提督「いけ!」

不知火「……了解!」
614 :訂正 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:28:04.11 ID:JGWQVV/N0
>>613
誤字です。

【誤】
五十鈴「神風、朝風、択捉、霞の4名が意識不明! 近くにいた扶桑さんほか5名の艦娘が軽傷! 爆心地はたぶん第2会議室よ“」


【正】
五十鈴「神風、朝風、択捉、霞の4名が行方不明! 近くにいた扶桑さんほか5名の艦娘が軽傷! 爆心地はたぶん第2会議室よ」
615 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/06/02(日) 22:31:49.45 ID:JGWQVV/N0

提督「ほかには――」

朝潮「提督、意見具申します! まだ爆発物がある可能性もあります! 提督はすぐに退避するべきです!」

提督「鎮守府内で爆発がおこったのだ! 退避した先も安全という保証はない! 時間が惜しい、ここで全体の報告を待つ!」

朝潮「し、しかし……」

提督「しかしもかかしもない! おまえも五十鈴の指揮下に戻り救助並びに周囲の警戒にあたれ!」

朝潮「は、はい! 了解しました!」

提督「うむ。総員、焦らずに周囲を探索せよ! 怪しいものは見つけ次第、各部隊の旗艦に報告せよ!」

赤城「……提督、観覧席にいらっしゃらなかったので心配しました」

陽炎「す、すみません! 陽炎、戻りました!」

提督「遅い!」

赤城「申し訳ありませんでした。それよりも不知火の様子が見えませんが……」

提督「二水戦のもとに返した。陽炎、お前もすぐに神通の元に戻り指示を仰げ」

陽炎「はい!」

提督「赤城は私とともにこの場で待機。報告を待つぞ」

赤城「意見具申いたします」

提督「許す」

赤城「すぐに神通と五十鈴から部隊の指揮権を返上させて提督御自ら指揮をとられるべきです。指揮系統を二分しては混乱を招きます」

提督「いまは何よりも速度を優先する。加えて今更、私が指揮を執っては命令の重複などで大きな混乱が予想される。却下だ」

赤城「……それでしたら執務室にお戻りになって報告をお待ちになった方がよろしいのではないでしょうか?」

提督「事態は一刻を争う可能性がある! いちいち、報告に誰かをやっていてはそれこそ時間と労力の無駄だ」

赤城「畏まりました。一航戦・赤城、身命を賭して提督をおまもりします」

提督「うむ」
616 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:39:19.26 ID:JGWQVV/N0

 ――16:08――

 鎮守府 第二演習場 第二会議室前通路


明石「報告します。神風、朝風、択捉、霞の行方不明者4名ともに第2会議室で倒れているところを発見しました」

提督「そうか。容体はどうなのだ?」

明石「神風ちゃんと朝風ちゃんは意識こそ失っていますが、それほどの傷ではないと思います。ただ択捉ちゃんと霞ちゃんは高速修復材を使用しても出撃までは一週間ぐらいかかりそうです……」

提督「むぅ……了解した。それで原因は判明したのか?」

明石「え、えっと、それがですね……」

提督「わかっているとおもうが鎮守府の大事だ。はっきりと答えよ」

明石「……まだちゃんとしたことはいえませんが、択捉ちゃんの主砲が内部からひしゃげていました」

提督「は?」

赤城「暴発の可能性があるということではないでしょうか?」

明石「はい。その可能性もあるかと……」

提督「馬鹿な! 冗談じゃない! 艤装の暴発など艦娘が現われてから一度も報告されていないのだぞ!? ありえない! あるはずがないではないか!!」

赤城「可能性を切り捨てるべきではないと思います」

提督「し、しかし……私の考えでは装備が艦娘を攻撃するはずがないのだ」

赤城「なにごとも例外というものは存在するということです」

提督「ぐぅ……択捉の装備と思われるものは破片の一つも残さずに回収せよ! 原因がどこにあったかが分かるまでは絶対に復元させるな!」

明石「そうなると結構な期間で出撃、訓練ともに参加できなくなってしまいますけど……大丈夫ですか……?」

提督「大丈夫も何もこんな状態の艦娘を運用できるか! パラワン水道の潜水艦掃討作戦に不安を残すがやむをえないだろうな」

明石「了解しました」
617 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:44:35.66 ID:JGWQVV/N0

提督「……それと北上と秋津洲を工廠に回すので改修作業を遅らせることのないように」

明石「そ、それは夕張ちゃんも回していただけても厳しいと思います……」

提督「むむむ……」

赤城「意見具申いたします。旧型の第六水雷戦隊はこの際、解散させて対潜部隊などに振り分けてしまってもよろしいと思います」

提督「いや、あれはあれで便利な部隊だ。……わかった、夕張は第六水雷戦隊旗艦のまま工廠での任務に従事させよう。その期間の水雷戦隊旗艦としての実務は代役を立てる」

明石「はい、私もそうしたほうがいいとおもいます。旗艦を外しちゃうと夕張のことだから期間が終わってもずっと工廠に入りびたりになると思いますし……」

提督「とにかくレイテ方面に怪しい動きがある今、装備の改修を疎かにするわけにはいかん。ゆめゆめそのことをわすれるなよ」

明石「うーん……ちょっと不安ですがやるだけのことはやってみます」

提督「期待している」

赤城「それと択捉の主砲は鎮守府で開発されたものだったんですか?」

明石「へ? それはどういう意味でしょう――」

赤城「択捉はほかの鎮守府から異動してきた艦娘だったはずです。それであれば暴発を起こした主砲がこの鎮守府で開発されたものとは限らないのではということです」

提督「……異動、か。まさか――」ボソッ

赤城「提督? どうかなさいましたか?」

提督「……なんでもない。明石、優先順位は治療を最優先としろ。処置が済み次第、装備の開発場所の確認をし報告せよ。暴発を起こしたと思われる装備の調査はその後で構わん」

明石「わかりました。それでは私はこれで作業に戻りますね」

提督「ああ」

 バタン

赤城「……さきほどからなにか気にしていらっしゃっるようですが、なにかご懸念が?」

提督「ふん、なんでもない。第一お前が気にすることではない」

赤城「ふふ……提督のなんでもないほど信じられないものもありませんねぇ」

提督「うるさい! 少し一人で考えたいことがあるのでお前は蒼龍と霧島を呼んで来い!」

赤城「畏まりました」
618 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:49:13.37 ID:JGWQVV/N0


――18:20――

 鎮守府 本棟 医務室


択捉「……ううっ」

明石「あ! 気づきましたか?」

択捉「え、えっと……」

明石「ちょっと失礼しますね。……はい、これ何本にみえますか?」

択捉「……3本にみえます」

明石「うん、大丈夫みたいね。あなたは今まで気を失ってたのよ?」

択捉「気を失ってた……?」

明石「そう。ゆっくりでいいからなにが起こったのか思い出してみて? ただ高速修復材を使ったけれどまだ腕がちゃんと固定されたりしてないから絶対に動こうとしたりしないでね」

択捉「……」

択捉「……あ」

明石「思い出した?」

択捉「あ、あの、射撃訓練のために主砲の確認をしようとしたら急に目の前が真っ白になって、すっごい大きい音が……」

明石「ふん、ふん、なるほど。ほかになにかきづいたことはある?」

択捉「……わからないです」

明石「なるほど。これ以上のことは他の子の回復を待つしかないわね」

択捉「え? ほかの子って……」

明石「霞ちゃんたちも同じように爆発に巻き込まれたみたいなの」

択捉「そ、そんな……皆さんは大丈夫なんですか!?」

明石「ええ、安心して命に別状はないわ」

択捉「よかったぁ……」

 ガラッ!

秋津洲「明石さん! 大変かも!」

明石「どうかしたの?」

秋津洲「やっぱり択捉の主砲が原因で決まりかも! 開発場所は旅順港鎮守府で破片から変な部品がみつかったかも!」

明石「なっ!? ちょっ!?」

秋津洲「すぐに提督に報告しないとダメかも!」

明石「――」

択捉「う、嘘ですよね?」

秋津洲「き、気づいてたの? あの、その、これは……」
619 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:52:35.96 ID:JGWQVV/N0

明石「――とにかく秋津洲ちゃんは提督に報告してきて」

秋津洲「わ、わかったかも」

択捉「待ってください!! ――痛っ!」

明石「立ち上がっちゃだめ! 傷が開くわ!」

択捉「け、けど、秋津洲さん、お願いです! 私も司令のところにつれていってください!」

秋津洲「え、え? そ、それはちょっと――。明石さん、どうするの!?」

明石「……わかったわ。択捉ちゃんも言わなきゃいけないこともたくさんあるだろうし、ベットごと移動しましょう。提督は執務室にもどってるのよね?」

北上「あー、うん。そうきいてるよ」

明石「……搬入用のエレベーターを使えば階段を使わなくてもいけるわね。秋津洲ちゃん、手伝って」

秋津洲「う、うん、了解かも」

択捉「明石さん、ありがとうございます……」

明石「ふふ、気にしないで。患者さんの心のケアも私のお仕事ってことで」

択捉「はい!」

明石「北上さん、私は二人と一緒に提督のところにいってきますのでほかの子はお願いします」

北上「ん。りょーかい」
620 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 22:56:27.42 ID:JGWQVV/N0


 ――18:30――

 鎮守府 執務室


提督「……」ウロウロ

赤城「あ、あの、どうなさいましたか?」

提督「なんでもない」

霧島「なんでもないとおっしゃられましても……」

提督「……」ウロウロ

神通「も、申し訳ありません。私たちがもっとしっかりと――」

提督「うるさい! なんども同じことを言わんでいい!」

神通「も、申し訳ありません……」

提督「ちっ……!」

蒼龍「はぁ……」

 コン、コン

提督「! 入れ!」

明石「し、失礼します」ガラガラ

秋津洲「失礼しますかも」ガラガラ

提督「まっていたぞ! あの装備の開発は――ん? ベット?」

明石「は、はい。ご報告するにあたって択捉ちゃんからの話も必要かと思いまして」

択捉「はい! 司令、私は――」

提督「必要ない」

択捉「――え?」
621 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 23:08:28.32 ID:JGWQVV/N0

提督「それよりもさっさと例の報告をせよ」

明石「……か、開発場所は旅順港鎮守府と判明しました。加えて内部に詳細は不明ですが、なにかの部品が――」

ドン!

明石「ひぃ」

赤城「提督!?」

提督「畜生めっ……! すぐに南方海域総司令部に連絡をとれ! 先任だろうが今度こそはあの忌々しい男を解任してやる!」

霧島「お、落ち着いてください! その部品が旅順港鎮守府で入ったものとは――」

提督「いや、こんなことをする奴は奴しかいない! 許されるなら深海棲艦の前にあの腐った果実を踏みつぶしてやりたいぐらいだ!」

赤城「お怒りはごもっともですが今は冷静になってください!」

提督「だまれ!」

赤城「し、しかし、確かな証拠がなければ逆に提督のお立場が――」

択捉「あの!」

赤城「――なんですか?」ギョロ

択捉「司令! 私の話を聞いてください! 私、主砲にそんなのが入ってるなんて知らなくて――」

提督「……択捉、どういうつもりでそうも気分が悪るくなるようなことをさえずっているのだ?」

択捉「……え?」

提督「私もお前の主砲をメンテナンスしたことはある。しかし、今回のようなことを起こすようなものが取り付けられていることは気づかなかった」

択捉「なら――!」

提督「だが、なぜ自己弁護に必死になる! 見苦しい! 今はほかにすべきことがあるのではないか!? 罪悪感が本当にあるのならば私の前に来るよりも巻き込まれた艦娘の顔を見に行くなり、謝罪するなりすべきだ!」

択捉「見苦しい……で、でも、わたし、司令に、この鎮守府に……」

提督「貴様の責任なんぞ最初から問うつもりはない! これで満足か? であれば、下がれ!」

択捉「ご、ごめんなさい……私、そんなつもりじゃ……ごめんなさい……ごめんなさい……」ポロ……ポロ……

提督「うっ……。て、帝國軍人たるものが涙を見せるなど言語道断だ! 下がれ!」

秋津洲「ジトー……」

提督「なんだその眼は!?」

秋津洲「……ひぃぅ! し、失礼したかも!」ガラガラ

 バタン
622 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 23:11:01.87 ID:JGWQVV/N0

明石「提督」

提督「……それよりも報告を優先しろ。血ののぼっていた頭も少し落ち着いた、場合によってはこの事故事態を隠蔽しなければならん」

蒼龍「隠蔽って本気ですか!? 鎮守府に爆発物おくりつけられたんですよ!?」

提督「……迂闊なことはできん相手ということだ」

蒼龍「は、はぁ。赤城さん、これでいいんですかね?」ヒソッ

赤城「……」

蒼龍「赤城さん?」

赤城「……なにかしら?」

蒼龍「いえ、なんでもないです……」

赤城「そう」
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/02(日) 23:11:11.10 ID:CN9y0YBro
厳しいと言うか正し過ぎると言うか
624 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 23:19:43.32 ID:JGWQVV/N0


 ――21:40――

 鎮守府 空母寮 一航戦の部屋


赤城「……」ズ、ズー

加賀「羽黒に勧められて少し高めのお茶を買ってみたのですがどうでしょうか?」フンス!

赤城「ええ、ええ、美味しいですよ?」

加賀「そうですか。やりました」

赤城「……そういえば談話室で龍驤さんたちがアジの南蛮漬けを肴に酒宴を開いていましたね」

加賀「! ちょっと行ってきます」

赤城「ええ、ええ、そうしてください」

加賀「失礼します」

 ガラッ

赤城「……」ズー

赤城「……蒼龍、はいってきなさい」

 ガラッ

蒼龍「あ、あはは……加賀さんがすごい勢いで出てきたからびっくりしました」

赤城「そう。それよりも加賀さんがお茶を変えたらしいのよ、飲みながら話をしましょう」

蒼龍「あ、ありがとうございます」

赤城「どうぞ」

蒼龍「いただきます。――あ、美味しい」

赤城「そうなの。それは良かったわ」
625 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 23:21:24.56 ID:JGWQVV/N0

蒼龍「……あの、本題なんですけど。あの爆発って――」

赤城「ええ、私が主砲の中に爆薬を仕込んで起爆させました」

蒼龍「……」

赤城「どうかしましたか?」

蒼龍「い、いえ、どうしてまたそんなことを……?」

赤城「蒼龍、あなたは蠅が目の前を飛んでたらどうする?」

蒼龍「そりゃあ、たたき落とすなりなんなりしますけど……」

赤城「そういうこと。提督に変な理想を求められるのは不快なの。別の鎮守府からの異動組だったしこういう風にしてもいいかなぁって」

蒼龍「な、なるほど」

赤城「……あなたも同じ穴の狢ということは忘れないでほしいわね?」

蒼龍「あはは……そういわれるとなんとも」

赤城「……しかし、あんなに提督が取り乱されるとは思いませんでした。あなたに何か心当たりは?」

蒼龍「いえ、残念ながら」

赤城「そう。残念ねぇ。本当に残念」
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/02(日) 23:25:22.99 ID:vldveJuqo
やっぱりな(白目)
627 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 23:26:59.66 ID:JGWQVV/N0


 ――翌日――
 ――12:00――

 旅順港鎮守府 執務室


旅順港提督「……」カリカリ

旅順港大淀「提督、ご報告が」

旅順港提督「はい、はい。どうぞ?」

旅順港大淀「――鎮守府に異動した択捉の主砲に仕込んだ盗聴器が見つかったようです。昨日から信号を受信できません」

旅順港提督「なるほど、なるほど。それで彼はなにかいってきているんですか?」

旅順港大淀「いえ、特にそのようなことはありません」

旅順港提督「うふ……そうですね、そうですね。当然ですよ、僕はそんなことを指示していないし、実行犯はもう海の底にいるんですから。それよりも今日は――くんが出撃していたはずですよね?」

旅順港大淀「……はい」

旅順港提督「それはよかった、とてもよかった。きっと姉妹を守るためにまた悲劇が起こってしまうんでしょうねぇ、悲しくてやりきれないですねぇ。こんなにも心が痛むなんて……くふ、くふふふ……」

旅順港大淀「……一つ後学のためにご教授ください」

旅順港提督「勿論! ああ、すばらしいですね! 大淀くん、君は実に勤勉だ! なんでもきいてください! この非才でわかることならなんでもこたえますよ?」

旅順港大淀「は、はい、彼女は何をしたんですか?」

旅順港提督「……」ジー

旅順港大淀「し、失礼しました!」

旅順港提督「なぜ謝るんですか? 私は感心していたんですよ? あなたの向上心に。すばらしいですね! 本当に素晴らしいです!」

旅順港大淀「も、申し訳ありません」

旅順港提督「別に謝る必要はないんですがね? そんなまじめなあなたにこのことを話すのは気が引けますね……」

旅順港大淀「どうぞ、わたしなんかにお構いなく」

旅順港提督「いい!」

旅順港大淀「!?」ビクッ

旅順港提督「謙虚ですねぇ! 長く生きていくためにはそのこころが肝心ですよ。いいでしょう、お話しします。あまりのことに怒りで自分を忘れないように……彼女はね、私の前で笑っていたんです」

旅順港大淀「……」
628 :択捉編 ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/02(日) 23:35:23.89 ID:JGWQVV/N0

旅順港提督「きっと私の矮躯をみて笑ったんでしょうね。私のこの線みたいに細い目を見て笑ったんでしょうね。きっと私の指揮能力を笑ったんでしょうね。きっと私の長いものには巻かれろという信条を笑ったんでしょうね。きっと私の鎮守府よりも前の鎮守府を懐かしんでいたからでしょうね。ねぇ、大淀くん、こんな不敬がゆるされるんですか?」

旅順港大淀「いえ、絶対に許されないことです」

旅順港提督「そうでしょう、そうでしょう。ああ、分かっているとは思いますが、もし大破して進めないなどと言ったらいつものように督戦部隊に沈めさせなさい」

旅順港大淀「……畏まりました」

旅順港提督「心が痛みますねぇ。任務とはいえこうして君たち艦娘を処分するのも。涙が止まりません。まさに滂沱のごとく。くふ、くふふふ……」

旅順港大淀「は、い」

旅順港提督「ああ、そうだ。その発見された盗聴器はなにか有益な情報をもたらしていたのですか?」

旅順港大淀「い、いえ、ほとんど動いていなかったようです」

旅順港提督「つかえない」

旅順港大淀「……」

旅順港提督「使えない。本当に救いようがない。くふ……」



 択捉編 艦
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/02(日) 23:38:15.43 ID:/XFnxpbho
マトモじゃない奴らに挟まれるとマトモじゃなくなる
オセロかな?
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/02(日) 23:41:32.39 ID:CN9y0YBro
乙でした
ペテ公ベースでヤベえ偉人のキメラ提督のエントリーだ!
631 : ◆idiDHwDMwc [saga]:2019/06/03(月) 00:01:12.36 ID:x7brUjTm0
というわけで中編規模になった【択捉編 艦】です。
分割での投稿になりましたが途中でいただきましたレスありがとうございます。
告知から随分とお待たせしました……一週間近く前に完成はしてたけどイベがね……割れそうで割れないE4とE5-1ってやつが悪いんだ……
あと新キャラがでました。
もともとニムニム一人でなんとかする予定の相手だったけど択捉も犠牲になりました。

Twitterで呟いたけどモデルは法正、范雎、フーシェ、サロトサルさんとかそこらへんの人たちです。能力は優秀。

次は鈴谷だし癒し。きっと癒し。2、3日中に公開したいです……

>>585
パワーアップしました(白目)

>>594->>596
当スレの長女は大体、不憫枠。球磨しかり、吹雪しかり……

>>603
ろーちゃんの小麦色の肌よりも深くて濃い闇ですが、何とかなる……はず……!

>>604
旅順港にある地獄。けも――やめておきます。

>>605
結構、致命的な欠陥なのでは……

>>606->>608
次の話はどうしようかなと考えると皆、勝手に動いてくれる良い子たちデス。

>>609
ありがとうございます!

>>610
今更ですが、>>1は大和幼稚園でやりました。友軍来たし、大和がスナイプすればヘーキヘーキ

>>623
それも択捉・ニム編のテーマのひとつなのかなぁーって

>>626
なぜバレた(白目)

>>629
オセロは草ァ! こういうレスができる人になりたい……

>>630
やべー奴。どれくらいやべーかっていうと最初は呉提督の予定だったけど不快な思いをする人が出るだろうから、要港部を格上げして鎮守府をでっち上げるぐらいヤバい人。
(鎮守府だった時もありました)
632 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/03(月) 00:39:40.19 ID:x7brUjTm0
すみません。次回のおまけコンマ取り忘れました……
もしよろしければご協力ください。

↓提督の??判定(コンマ以下が23以下で成功)

↓↓鈴谷の??判定(コンマ以下が56以下で成功)


あと次回、自主規制しないといけないセリフ一杯あるんですが、完全にピー音で消すか2文字くらい残すかでどっちのがいいんでしょう?
年齢制限したくないんだけど……
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 00:40:04.03 ID:9jwCnj4TO
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 00:40:28.02 ID:4YuTSKQLo
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 00:42:26.53 ID:/pqaltiM0
乙です
少し残す方でいいんじゃないかしら
636 : ◆idiDHwDMwc [sage]:2019/06/03(月) 00:43:18.73 ID:x7brUjTm0
ありがとうございます。
すげぇ数字がはしってる……感情度とかでなくてよかったのか……?
両者ともに大成功です。

失礼しました。
それではおやすみなさい。
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 00:59:12.11 ID:r3WyXRPvo
乙女鈴谷、提督の隣を堅守
さすがヒロインレーストップは違いますわ
赤城みてるか〜?
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 01:51:32.03 ID:Q/mApcXmo
おっつおっつ
やっぱりここの赤城さんいいわぁ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 10:02:53.41 ID:WrOmGYtEo
最新レス読んで思ったんだけど、赤城の味覚かなり鈍くなってるんかな
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/03(月) 14:48:18.92 ID:E6weOek+0
味覚が鈍いではなく、味覚に興味が無い様に俺は感じるな
ストイック的な感じ
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 16:02:51.23 ID:zK3bxYM3O
味覚を楽しむフリが面倒臭くなってそう
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 20:05:50.45 ID:3FGcMYle0
>>1
ちなみに次の艦娘安価とるタイミングって言ってたっけ?
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 20:08:27.56 ID:/9BmK22+O
言ってないけどまだまだ先
佐渡の前くらいじゃない
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/04(火) 07:25:24.43 ID:E3yGZo+mO

なんかよく分からんけど新しい提督は艦娘が自分を嗤ったから[ピーーー]ことにしたわってことか……?
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 09:06:43.67 ID:RnMjQo3Mo
>1
好きなことをして、ゆっくり休んで下さい
646 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 01:40:11.89 ID:vgEpN7BH0


 ――14:35――

 京〇閣競輪場


?「おま【ピー!】!! させぇ!! つっこむめ! 足がもげても行けぇ!! 踏ん張らんと46p砲をてめぇの家にぶち込むぞ!!」

南方陸奥「はぁ……」

提督「閣下、失礼します」

南方海域司令官(以下、南方)「うるせぇ! 今いいところ――あああああー!! ふざけんじゃねぇよ! 三万がパーじゃねぇか!! おま【ピー!】!! 陸奥、ぶっぱなせぇ!!」

陸奥「はい、はい。それよりも自分で呼んだんだから提督さんのお話をきいてあげたら?」

南方「あぁぁ!?」

提督「おひさしぶりです」

南方「おう! よく来たな坊主! 財布出せ!」

提督「……はっ。どうぞ」

南方「ひぃ、ふぅ、みぃ……結構、もってるじゃねぇか」

提督「閣下がここに私をお呼びになられたので準備はしてまいりました」

南方「へっへっへ……ものわかりのいいのは好きだぜ? そんじゃあ10万かりとくわ」

提督「ご随意に」

鈴谷「うえっ!?」

南方「あん? うるせぇぞ、ねーちゃん! ちゃんと利子付けてかえしてんだよ、外野がうだうだいうんじゃねぇ!」

鈴谷「ご、ごめんなさい……」

南方「ふん! で、なんだいこのねーちゃん。お前のこれか?」コユビ、タテ

提督「……いえ、ここにわたしが呼ばれた原因の代表です」

南方「ああ、なんだ、艦娘かよ。そりゃあだめだ。艦娘つーのは筋肉ばっかりついて抱き心地がわるくてな」

南方陸奥「悪かったわね!」

南方「はっはっは……! よっしゃ、次のレースはでかいからな、お前も賭けろ! 勝ったら一緒に風呂屋いくぞ!」

提督「……レースだけはお付き合いします」

南方「よっし! さて何番にすっかな。あれがこうきて、これがこうで……」ブツブツ

提督「はぁ……」

南方陸奥「ごめんなさいね? 嫌ならちゃんと私からいってやめさせるわよ?」

提督「余計なお世話だ。鈴谷、ついてこい」

鈴谷「う、うん」
647 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 01:48:46.87 ID:vgEpN7BH0


――――――

 
 京〇閣競輪場 売店


提督「これで」

おばちゃん「あいよー」

提督「ちっ。なんで新聞まで買ってこんなことをせねばならんのだ……」ブツブツ

ワー、ワー! ……ワー!

鈴谷「……」キョロキョロ

提督「なにをしている! おいていくぞ!」

鈴谷「ご、ごめんなさい」

提督「まったく……。お前、好きな数字はあるか?」

鈴谷「え? 数字?」

提督「そうだ。つきあわんと閣下のご機嫌を損ねるからな、適当に買うぞ」

鈴谷「……お金、賭けるんですよね? そんなのもったいないと思いま――」

提督「全くだ! 馬鹿馬鹿しいことこの上ない!」

鈴谷「え? それならかわなくていいじゃn――いいんじゃないですか?」

提督「閣下のご機嫌を損ねるといっているだろ! 見た目通り、頭は空っぽか!」

鈴谷「そんな風に言わなくても……」

提督「はぁ……宮仕えのつらさというものだな。ほら数字を言え」

鈴谷「じゃあ、7で」

提督「ななぁ? ……三番人気か。まぁ、いい。あとは2と……二車単は流石にな……二車複で5000円……いや、閣下が納得せんか。一万円っと」

鈴谷(うわぁ……一万円もつかっちゃうんだ。もったいなぁ……)

提督「……なんだその眼は?」

鈴谷「!? な、なんでもないです!」

提督「……一応は公営だ。ドブに捨てるわけではない。お国のためにもなるはずだ」

鈴谷「へ?」

提督「なんだ?」

鈴谷「なんでもないです!」

鈴谷(?? なんか話してて思ったけどこの人、ちょっと考え方がズレてるのかも)

提督「それでは発券機によって帰るぞ」

鈴谷「はぁ」

提督「気のない返事をするなとなんどいわせる! はっきりとしろ!」

鈴谷「は、はい!」

提督「ふん!」

鈴谷(やっぱり普通に嫌な人だ……)
648 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 01:54:49.71 ID:vgEpN7BH0


――――――


南方「おう! ……って、もう買ってきたのかよ」

提督「はい。帝國軍人たるもの即断即決が旨ですので」

南方「はっはっは……なるほどな! いいこというじゃねぇか。よっし、それならワシもそうするか。陸奥、これで買ってこい」

陸奥「……またこんな買い方するの?」

南方「おう! 勝負だ、勝負! 三連複と三連連で10万よ!!」

陸奥「はぁ……」

南方「で、お前さんは何を買ったんだよ?」

提督「2−7の二車複を一万円分です」

南方「へぇ、わかってんじゃねぇか。わっはっは……けどまぁ、小僧じゃあそんなもんだわな」

提督「恐縮です」

南方「はっはっは……で、おまえさんはどうしたい? 一応、艦娘のねーちゃんにもきいとくけどどうなんだよ?」

鈴谷「? ええっと、そのどういうこと――」

提督「……艦娘の意見など考慮する必要はないかと」

南方「はぁ……けどよ、相手が艦娘だって言っても自分たちの処遇に対しての要望ぐらいは聞いてやっても罰は当てらねぇと思うぜ?」

提督「個人の希望よりも戦局を優先すべきと愚考いたします。艦娘の希望などいちいちお耳に入れる必要はないかと」

南方「そんなんじゃ、いつまでたっても艦娘と強い絆は結べそうにねぇな」

鈴谷(うん、絶対に無理そう)マガオ

提督「……失礼いたしました」
649 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 02:06:49.39 ID:vgEpN7BH0

南方「小僧も納得したようだから聞くけど、ねーちゃんはどうしたいんだ?」

鈴谷「その、話の流れが……」

南方「ああん? 話しのわかんねぇ奴だな。今後、お前さんたちはどうしたいかってことだよ」

鈴谷「どうしたいのかといわれても……あのどんな選択肢があるんでしょうか?」

南方「あ? 面倒だな。おい、小僧」

提督「はっ。一度しか言わんので心して聞くように」

鈴谷「はい」コクッ

提督「まずお前たちのもとの指揮官は北方海域司令部の所属であったので北方に行くというのが一つだ。次に閣下の南方海域司令部の直属になるという選択肢がある。最後になったが私の鎮守府にとどまるということも勿論、可能だ」

鈴谷(そういわれても――)

鈴谷「す、すみません。私にはどうするのがいいかわからないです……」

提督「やはりこいつらの頭ではそこまでのことは考えられんようですな」

鈴谷「……むぅ」

南方「なぁ、小僧、お前さんわしの話はきいてたよな?」

提督「勿論です。しかし、すぐにでてこない希望など聞く意味もないでしょう」

南方「はぁ……もういい。で、小僧の意見はどうなんだ?」

提督「はっ! このまま鎮守府の戦力として正式にすべての艦娘を配置していただければ幸いです」

南方「……そりゃあそうだわな。しかし、最新鋭の戦艦1隻に軽巡洋艦1隻。これだけでもありえないほどの増強だぜ? そこに重巡洋艦と潜水艦なんてちょっとよくばりすぎってもんじゃねぇか?」

提督「私にお預けいただいている鎮守府は最南方の要と自負しております。ブルネイ、マニラ、サーモン諸島に建設された基地の全てを援護するためには戦力はいくらあっても過剰とは言えないと思います」

南方「まぁ、西方もこっちに援軍要請するときは小僧を必ず指名するしな。二方面に展開することを前提とすれば過剰ともいえんか」

提督「ご理解いただければ幸いです」

南方「まぁ、その辺は元帥の野郎にはよくよく伝えておいてやるよ」

提督「ありがとうございます」

南方「なぁ、あんなクソ爺だってお前が戦死するのを望んでるわけじゃ――」

提督「閣下、お言葉を遮るようですが私はそのようなことは一切考えておりません」

南方「……そうか」

鈴谷「?」

鈴谷(どうしたんだろ? なんか雰囲気が変わったような――)

南方「はぁ……陸奥の奴、おせぇなぁ。なぁ、ねぇちゃんもそうおもわねぇか?」

鈴谷「!? え、ええっと」

南方「きっと屋台でなんか買い食いしてやがるんだな。腹の出る格好してるくせに馬鹿な奴だよな?」

鈴谷「そ、そんなことはないと思いますけど……」

南方「はぁ? ねぇちゃんには聞いてねぇよ。いきなりどうした?」

提督「申し訳ありません。こいつは察するということができないようでして……」

南方「そうか、そうか。それよりも小僧の車券だけど当たると思うぜ? なんたって俺の読み通りだ」

提督「ありがとうございます」

鈴谷「えぇ……」

南方「それより本当におせぇなどっかで若いの捕まえてしっぱりと――ポカッ!――あ、いてぇ!?」

南方陸奥「なんてこといってんのよ!」

南方「てめぇがおせぇのが悪いんだろ! へっ、俺ならこんだけ時間あれば女の一人二人捕まえてきてんぜ? ガハハ……!!」

南方陸奥「はぁ……はい、はい。それより買ってきたわよ」
650 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 02:10:11.13 ID:vgEpN7BH0

南方「おう! へっへっへ……ここで当てて逆転よ! おま【ピー!】!!」

鈴谷「……」ゼック

南方「レース前の景気づけだ! お前らも叫べ! おま【ピー!】!!!」

提督「……」

南方「おま【ピー!】!! ……んだよ、ノリがわりぃいな」

提督「申し訳ありません。閣下のご命令とあれば何であっても努力はいたします。しかし、帝国海軍の品位を貶めるようなことはいたしかねます」

南方「ちっ! つまんねぇな。おい、陸奥、ビール買ってこい!!」

南方陸奥「……おつまみはどうするの?」

南方「唐揚げ」

南方陸奥「わかったわ。さ、あなたも一緒にいきましょう?」

鈴谷「え? 私もですか?」

南方陸奥「いくらあなたのところの提督さんがいてもこんな人と一緒にいたらセクハラされるわよ?」

鈴谷「えぇええ!?」

南方「おうよ! よけりゃあその乳、揉ませてくれや!! ガハハ……!!」

鈴谷「陸奥さんと一緒に行ってきます!」

南方「んだよ、つまんねぇ」

提督「……おい、鈴谷」

鈴谷「は、はい! な、なんですか?」

提督「これでなにか好きなものでも食べてこい」

鈴谷「え……いいの?」

提督「好きにしろ」

鈴谷「あ、はい」

陸奥「ふふ、よかったわね。それじゃあいきしょう」

鈴谷「……はい」
651 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 02:18:10.14 ID:vgEpN7BH0


――――――


南方陸奥「さぁ、鈴谷ちゃんはなにがたべたいの?」

鈴谷「それよりもビール買ってすぐに帰らないと怒られるんじゃないですか?」

南方陸奥「ああ、あの人は外でお酒飲まないから買う必要ないわよ」

鈴谷「えぇぇ!? それならどうして――」

南方陸奥「あなたの提督さんと二人でお話がしたいってこと。ふふ……人払いぐらいは海軍らしくスマートにしたいらしいわよ?」

鈴谷「は、はぁ……」

鈴谷(だから、あの人もお金くれたんだ……)

南方陸奥「ふふ……あの人たちといるの大変だったでしょ?」

鈴谷「そ、そんなことないですよ……あはは……」

南方陸奥「笑顔、ひきつってるわよ」

鈴谷「うっ。ちょっと大変でした……」

南方陸奥「ふふ、正直な子ねぇ。なにか買ってから私たちもお話しして時間つぶしましょう?」

鈴谷「は、はい」
652 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 02:20:42.95 ID:vgEpN7BH0


――――――


鈴谷「……」ハムハム

南方陸奥「このドーナッツ、美味しいわね」

鈴谷「は、はい」

鈴谷「……」

陸奥「……」

鈴谷(き、気まずい。海域司令部の秘書艦さんとなには話せばいいのかなんてわかんないし……)

南方陸奥「……ああ、そうだ。金剛は元気にしてる?」

鈴谷「え? 金剛さんとお知り合いなんですか?」

南方陸奥「ええ、建造されたのがほぼ同期なのよ。そろそろあのテンションもおちついたのかしら?」

鈴谷「あ、ははは……金剛さんはいつも元気いっぱいですね」

南方陸奥「ふふ、それは良かったわ。あの子も……」ボソッ

鈴谷「? ごめんなさい。最後のほう、聞こえませんでした……」

南方陸奥「ううん、なんでもないわ。気にしないで」

鈴谷「は、はぁ」
653 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/29(土) 02:24:00.77 ID:vgEpN7BH0

南方陸奥「ふふ……それよりもあなたのところの提督さんって可愛いわよね」

鈴谷「は、はぁ――ん? えぇぇ!?」

南方陸奥「うふ、冗談よ、冗談」

鈴谷「そ、そうですよね。ちょーびっくりしたぁ……」

南方陸奥「そんなに驚くことかしら。子供のときなんかは本当にかわいかったのよ? いっつも――」

鈴谷「子供の時のことなんて知らないですけど、今はこれっぽちも可愛くないです! いっつも私のことも馬鹿にするし……」

南方陸奥「男の子っていうのは素直じゃないのよ? 案外、あなたのことが気になってるだけだったりして」

鈴谷「いや、そういう次元じゃないですって……」

南方陸奥「あらあら」
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/29(土) 06:13:08.63 ID:1IxxoptbO
え、こんな話題が出るってことは子供の頃からの知り合いなのかこの人達……
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/29(土) 12:52:34.88 ID:YaqiMbfMo
南方陸奥さん一つ上の代から現役なのか
656 :空谷の跫音U ◆idiDHwDMwc [sage saga]:2019/06/30(日) 00:59:21.56 ID:k/baBHcO0


――――――


 一方、そのころ


ワー!ワー! ソコダー!

南方「そこだ! そのまま! そのまま! 余計な事すんじゃねぇぞ、おま【ピー!】野郎ども!! おま【ピー!】!!!!」

提督「……そのままだ、そのままいけ」ボソッ

 ワー! ワー! ワー!

南方「おっしゃあ!!!」

提督「……馬鹿な」

 ワー! ヤッター! フザンケンナー! ワー!! ワー!!

南方「ざまぁみやがれぇ!! こん畜生!! おま【ピー!】!!!!! ガハハ……!!!」

提督「当たった……?」

南方「んだよ、小僧もあたったんだろ? 喜べよ!」

提督「は、はい」

南方「嬉しいならなんでもいいから叫べぇ!」

提督「は、はい! う、うおー!」

南方「ちいせぇ!!」

提督「うわぉー!!!」

南方「ガハハ……!!」
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