【二次創作】安価で進めるオリロンパ リミックス

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1 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:33:20.17 ID:1sh4MjUdO

【諸注意】
・何番煎じかもわからないオリロンパスレです
・エタらない事を重視するため、展開等が速いかもしれません
・キャラクターは以下のスレから拝借しましたが、一部に才能や氏名の変更があります
※エタロンパのキャラを書き留めるスレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17143/1499596380/l30

・前作を見なくても大丈夫な様に作るつもりですが、若干のネタバレを含みます

『終了作品』
【二次創作】安価で進めるオリロンパ
 https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1480764539/

【二次創作】安価で進めるオリロンパ ニューステージ
 https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1501335812/



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1532086400
2 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:34:47.06 ID:MUdXCtmHO

……夢を見た

遠い、遠い、ずっと小さな頃の夢を



『ゆーびきーりげーんまーん、うそついたらはりせんぼんのーます!』



女の子が二人……一人は私。もう一人は、顔が見えない

小指を絡ませたおまじない。誰でも知ってるささやかな契約

……指切りげんまん。私は嘘をつきませんと宣言して、指を切るアレだ

もし、約束を破ったら……針を千本も呑む必要があるらしい

指を切り終わった二人は、えへへと嬉しそうな顔をしている

確か……私は何を約束したんだっけ?

私は……誰と指切りをしたんだっけ?

私は………私は…………

3 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:35:32.38 ID:MUdXCtmHO







私は―――どうして、こんな嘘つきになっちゃったんだろう…………?







4 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:36:21.48 ID:MUdXCtmHO









【PROLOGUE】
  再誕 −Re:Birth−








5 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:37:41.75 ID:1sh4MjUdO

この世は、無数の嘘とほんの少しの真実で構成されている

別に、どこかの偉い先生が言った訳でも無いし、凄い本に書かれてた訳でもない

ただ、何となく。そんな感じがするってだけの感想だ

それでも……ふとそう思ってしまうのだ。特に、私みたいな人間は



「こっちに目線お願いしまーす!」


「別のポーズ出来ますかー?」


「ちょっと決め台詞やってくださーい」



ぞろぞろ群がる無遠慮なカメラ。レンズの先が見据えているのは私

でも、このフラッシュの光は……真実ではなくて、虚構を撮すもの

それに、映っている私も虚構の存在



「はーい! 皆、ダイスキだよーっ!」



ついでに言うなら……この、今の言葉だって、実は真っ赤な嘘なのだ

6 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:41:38.99 ID:MUdXCtmHO

偽りの笑顔、偽りの言葉、偽りの姿

溢れんばかりの嘘の中、曇った眼で虚構を欲しがる

ここにいる誰もが、真実ではなく、嘘を求めているんだ

見るに堪えない現実も、嘘のヴェールで綺麗に輝いて……

「……私が言えた事じゃないけどね」

ぽそり、と呟いてみる。どうせこの声は誰にも届きはしないんだ

甘いリズムとユルい歌詞。聴くだけで頭が悪くなりそうな音楽に合わせて踊る

……踊る阿呆になんとやら。どうせ嘘なら派手に踊らなきゃね

私は精一杯の笑顔で、観客に嘘を与える

……本当に、私は嘘つきだなぁ

7 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:42:25.86 ID:MUdXCtmHO

「ふぃ〜……疲れた〜ぁ……」

夜の10時近く、ようやくお家に帰れた私

今日は朝から一日中、歌を歌って踊りを踊って握手をして回って……

要するに、物凄く疲れているのです

「……寝る前に写真上げとこ…………」

本音を言えば明日にしたいけど、流行の移り変わりはびっくりする位に早い

取り残されるのは致命傷。カワイイには鮮度があるからね

「え〜っと、《今日は『マジカル☆サイバーズ』のミライちゃんです!》っと」

「後は……まあ、適当でいっか」

このアニメ、私が幼稚園の時からやってるからあんまり話す事無いんだよね……

……そして、今日やったミライちゃんは、私の思い入れのあるキャラ

好きなキャラに変身出来る……これだけで私の世界は素晴らしいものの様に思える

SNSに画像を投稿してベッドへ倒れ込む。今日は評価を気にする元気も無い

眠気もそろそろ限界だし、もう今日は寝ちゃおうかな

寝る支度を軽く済ませて、私は夢の中へと沈んでいった

「……おやすみなさ〜い」

8 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:43:17.27 ID:MUdXCtmHO



……突然だけど、私は、『夢』って都合のいい嘘だと思う



現実ではあり得ない事も、夢の中でなら簡単に夢を作り出せるんだ



世界は嘘で溢れている/世界は夢を求めている



嘘は真実よりも素晴らしい/夢は現実よりも素晴らしい



嘘で世界は変わっていく/夢で視界は歪んでいく



そして、私は……/そして、私は……




9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 20:43:49.79 ID:M8w9HDF8O
おっ、オリロンやん!
晒したろ!
10 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:43:56.87 ID:MUdXCtmHO

「……あれ?」

何か、ヘンな夢を見ていた気がする……

「そういえば、今何時……?」

寝惚け気味の頭を動かして、時計を確認しようとして……気づいた

「……あれ?」

ここ……私の家のベッドの上じゃない?

よーく見てみると、鉄線の巻かれた窓に雑草の生えている床。監視カメラ……?

ここは……異世界かな? だとしたら私は今流行りの異世界転生を?

「……な、訳ないかぁ」

それってどこのラノベ? まだ夢の中にいるのかな……

もう一回寝よっと……もう一度最初みたいに机に突っ伏して目を閉じて……

………………あれ?

「…………机?」

11 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:44:45.53 ID:MUdXCtmHO

「あっ、起きたんですね!」

「わきゃあぁああっっ!?」

どたっ

「……あ痛たたぁ」

いきなり声かけられたから、驚いて机から転けちゃった……

でも……これでわかった。このお尻の痛みは本物だ。つまり、ここは夢じゃない

「……………………え、えっと」

「大丈夫ですか? 立てますか?」

「あ、どうも……」

手を差し伸べてくれた人を観察してみる

男の子で……年は私より少し下かな? 

白くてサラサラの髪に、傷1つ無いもちもちのほっぺ……

「……あの、大丈夫ですか?」

「あっ、はい……」

……って、そんな事してる場合じゃない。まずは聞くべきことがあるよね

「……ねえ」

「は、はい! 何ですか?」

「……ここはどこ? 私は誰!?」

「え?」

「………………………………」

やっちゃったー……何言ってるの、私……


12 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:45:40.32 ID:MUdXCtmHO

「もしかして……貴女もですか?」

「え?」

「実は、僕にも記憶が無いんです……」

「え? え、ホントに?」

「はい。ですから、僕には……」

「ちょ、ちょっと待って! ゴメン!」

何か、私の変な事言ったせいで変な誤解をさせちゃった……!?

「実は私、自分の事は覚えてるって言うか、今のはほんの冗談って言うか……」

「冗談……ですか?」

「そうそう! だから気にしないで!」

「は、はあ……」

って、こんなアホな事やってる場合じゃないよね……

「君……自分の事がわからないの? なら名前も覚えてない?」

「あ……いいえ。一応、名前だけは覚えているんです」

「そっか……なら良かった」

流石に、ずっと何て呼べばいいのかわからないのは困るもんね

「それで……何て言う名前なの?」

「あ、はい! 僕は……」

スグル「神威 スグルといいます!」



【超高校級の???】
  神威 スグル(カムイ −−)


13 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:46:36.96 ID:MUdXCtmHO

「スグル君だね。よろしく!」

スグル「はい! ……スグル君?」

「え? 何かおかしかったかな?」

スグル「いや、別に……すみません」

スグル「そうだ……貴女の名前は?」

「あ、そっか。まだ言ってなかったね」

……記憶喪失だもんね。私、一応アイドルだけど

スグル「そうだ……貴女にもこれを渡しておきますね」

「これって……タブレット?」

スグル「はい。全員の分があったんです」

スグル「指紋認証機能があるみたいで、僕らには動かせなかったんですが……」

成る程……つまり、私専用って事ね

スグル「どうですか? 動きますか?」

言われるままに電源を入れて、指を画面に当てると……

そこには、確かに私の本名があった

14 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:47:21.14 ID:MUdXCtmHO

スグル「……どうでしたか?」

「え? うん……これ、私のみたい」

スグル「そうでしたか! 良かった……」

スグル「じゃあ、失礼して……」

「ちょ、ちょっと!? 何するの!?」

スグル「あ、すみません……貴女のお名前を見ておこうと思って……」

「人のモノを勝手に見るのはデリカシーが無いよ? 気をつけてね、スグル君」

スグル「すみません……」

全くもう、油断も隙も無いんだから……

でも、スグル君って何となく弟みたいで許せちゃうのよね……

スグル「えっと……それじゃあ、お願いしますね」

「うん……私は……」


15 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:48:06.58 ID:MUdXCtmHO



息を整えて、思考を楽にする



自己紹介は初めてじゃないけど、いつもこのタイミングはドキドキする



……今から、私は『私』になる。比喩でも嘘でもなんでもない、本当だよ?



「私の本名はね……」



瀬川「……瀬川 千早希。超高校級のコスプレイヤーだよ」



【超高校級のコスプレイヤー】
  瀬川 千早希(セガワ チサキ)



16 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:48:57.68 ID:MUdXCtmHO

瀬川「よろしくね。スグル君」

スグル「はい! 瀬川さん!」

スグル「……ところで、コスプレイヤーって何なんですか?」

あ、そこ聞いちゃうかー。まあ、如何にもアニメ見てませんって顔だもんなー

瀬川「えっとね、コスプレイヤーって言うのは簡単に言うと……」

瀬川「漫画やアニメ、ラノベとかの二次元。フィクションのキャラに成りきる事を目的とした人の事だよ」

スグル「は、はあ……?」

瀬川「他には、特定の職業の制服とか。判りやすいのはナース服とかセーラー服とかスクール水着とかだね」

瀬川「そんな感じで、普段なれない格好をして普段なれない自分になれるのが、コスプレの醍醐味なんだよ!」

瀬川「私はコスプレイヤー兼アイドルとしてコスプレをしているんだけど、そうしたら皆が私を見てくれるんだ」

瀬川「勘違いしないで欲しいんだけど、別に作品に愛が無い訳でも無いし売名のつもりもないんだけどさ……」

瀬川「でも、やっぱり嫉妬や偏見も酷いんだよね。私としてはコスプレしている時にとやかく言われるのは嫌だし……」

瀬川「あ! 因みにこの格好は今朝の時間に放送しているアニメ『マジカル☆サイバース』のミライってキャラクターなんだけどさ……」

瀬川「この子、本当に可愛いんだ! 普段はキャピキャピしてるんだけど、変身するとね……」

スグル「わ、わかりました! もうその話は充分ですから!」

17 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:50:35.67 ID:MUdXCtmHO

瀬川「……で、これからどうしよっか?」

瀬川「結局、私達を監禁?してる理由もわかんないし……」

スグル「そうなんですよね……」

瀬川「私達二人を拐って、何がしたいんだろうね……?」

スグル「……? 二人?」

瀬川「あれ? 二人だけだよね?」

霊視とかもう一人の僕とか言い出さない限り、どう見ても二人だけだけど

スグル「……実は、ここには僕達を含めて十六人の超高校級の方がいるんです」

瀬川「じゅ……十六人!?」

ちょっと待って!? そんなに超高校級の人がここにいるの!? ナンデ!?

瀬川「じゃあ、何でここにはスグル君しかいないの!?」

スグル「最初は皆さんここにいたんですけれど、瀬川さんが起きないから……」

スグル「何人か痺れを切らして、既に皆さんが各自に探索しているからです……」

瀬川「………………………………」


18 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:51:13.87 ID:MUdXCtmHO

瀬川「ご……ゴメン!」

スグル「あ、謝らないでください! 目覚めなかったのは仕方ない事ですし……」

スグル「そ、それに、皆さんもそろそろ探索が終わる頃じゃないでしょうか?」

スグル「僕達も行きましょう! さっきのタブレットに地図のデータが入っているので……」

スグル「早速、皆さんの様子を見に行きましょう!」

瀬川「あーうん、フォローありがとう」

年下っぽい子にここまで気を使わせるのは、なんとも情けない

……恥ずかしいし、さっさとその探索中の場所に行っちゃおう

私以外の超高校級の生徒も……気になるし

瀬川「……うん。それじゃ行こっか」

スグル「はい。そうだな……食堂、倉庫、体育館の順に回ってみましょう!」

これが旅立ちの一歩ってやつなら、これはチュートリアルかな

臆してなんていられない。新しい世界ってワクワクするものでしょう?

瀬川「……教えてよ。私達が行く所をさ」

19 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:52:20.85 ID:MUdXCtmHO

――『食堂』――



スグル「ここが食堂です。食材や調理用具は一通り揃っていました」

おお、立派な食堂だ。でも、ここにある食材って食べてもいいものなの?

瀬川「……大丈夫? 食べた瞬間ベトベタフードでしたはシャレにならないよ?」

スグル「あはは。一応、食材については何人かが毒味をしていたので平気かと」

スグル「それに、ここにある食材はどれも鮮度も品質も良い最高級品だとか……」

瀬川「何でそんな事が判るの?」

「俺達が調べたから……じゃ、不安かな」

「あは、スグルくぅん。その人が最後まで寝ていた人だよねぇ」

……私が当然の疑問を返したタイミング。丁度その時、誰かが奥から出てきた

スグル「あ……二人とも!」

「まあ疑う気持ちもわからなくは無いけれどな……今は信じてくれよ」

「よろしくねぇ。新米さん?」

断言した人……人当たりの良さそうな男子は、困った様な笑顔で頭を掻いている

第一印象なら……悪い人には見えないかな

隣にいる子は、ドレスの端をつまんで会釈する。あれカーテシーって挨拶だよね

でも……何だろう。なんか違和感が……

とにかく、話しかけないと進めないわねこれは……どうしよう?


【どちらに話しかけますか?】
 1:人当たりの良い男子生徒
 2:エプロンドレスを着た生徒
 ↓2

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 20:55:44.49 ID:6zJqCO/Lo
2
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 20:57:00.04 ID:rcT9gOyr0
1
22 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 20:59:50.16 ID:MUdXCtmHO

1:人当たりの良い男子生徒



瀬川「私は瀬川千早希。よろしくね」

スグル「よろしくお願いします」

「おいおい。スグルはさっき聞いたぞ」

「そうだな……宜しくな。瀬川」

瀬川「……少し聞きたいけど、何で食材は大丈夫って断言出来たの?」

「それか……毒味を担当したのが俺だっていうのもあるんだが……」

「ここの食材は……全て俺の故郷で作られたものだからだな」

瀬川「へ? 故郷?」

いきなりスケールが大きくなってない?

「俺の故郷は、畜産、農業、漁業、加工食品。全てが一流の品質なんだ」

「それも、俺の故郷。時雄島(トキオジマ)の立地や気候が恵まれて……」

スグル「あの、そろそろ自己紹介を……」

話が脱線しかけている事を察したのか、慌ててスグル君が軌道を修正する

……あれ、デジャヴ?

「ああ、悪い悪い……つい癖でべらべらと話し過ぎてしまったか」

駆村「俺は駆村 沖人(カケムラ オキト)。巷では地域振興委員なんて呼ばれているみたいだな」



【超高校級の地域振興委員】
  駆村 沖人(カケムラ オキト)



瀬川「地域振興委員……?」

駆村「その地域のPR活動に優れた人間と思ってくれれば間違いないぞ」

確かに、さっきは物凄い早口で話していたもんね……

何となく親近感。この人は悪い人じゃないみたいだね


23 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:00:39.36 ID:MUdXCtmHO

2:エプロンドレスを着た生徒



「ねぇ、貴女は何て言うのかなぁ?」

瀬川「瀬川千早希だよ。よろしくね」

「あは……瀬川さんだね。よろしくぅ」

「ところでぇ、スグルくぅん。私、少し疲れちゃったなぁ」

スグル「あ、座りますか? お飲み物も用意しますよ」

「ありがとぉ〜、スグルくんは優しくていい子だねぇ」

甘ったるい声色にとろりとした眼。私が言えた事じゃないけどオタサーの姫感が凄いわね……

それに……よく見たら判った。この違和感の正体は……

瀬川「貴女……ううん。貴方、もしかして男の娘じゃない?」

スグル「え……オトコノコ?」

「……へぇ、判るんだぁ。もしかして、君もそうなの?」

瀬川「こちとら伊達に女装レイヤーを見てきて無いわ。私もじっくり見て気づいたんだし」

「あは、経験の差って事かなぁ? なら今から自己紹介しちゃうねぇ」

朝日「私は御伽 朝日(オトギ アサヒ)だよぉ。気軽に朝日って呼んでくれると嬉しいなぁ♪」



【超高校級のショコラティエ】
  御伽 朝日(オトギ アサヒ)



瀬川「で、御伽君は何の超高校級?」

朝日「ショコラティエだよぉ。甘くて蕩けるチョコレートの事なら任せてねぇ」

朝日「……名前で呼んでくれないのぉ?」

……話してるだけで背筋がゾクゾクする。正直長々と話していたく無いわね

24 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:01:21.23 ID:MUdXCtmHO

駆村「そうか……瀬川はここが初めて来た場所なんだな」

瀬川「うん。目が覚めて、近い所がここだって聞いたからさ」

朝日「あは。ハジメテってなんかえっちな響きだと思わない?」

スグル「え? えーっと……」

瀬川「あー私達急いでいるから。ここに長くいるつもりはないからね」

駆村「そう急がなくてもいいだろ? 粗茶だが一杯くらい飲んでいけ」

瀬川「……それ、もしかして時雄茶?」

駆村「いや、普通の麦茶だが……そもそも時雄茶なんて無いぞ?」

瀬川「……………………」

朝日「きゃはは。顔赤ーい」

スグル「あ、一杯だけ貰いますね。飲み終わったら倉庫に行きましょうか」

……やってらんない!

因みに、普通の麦茶は案外美味しかった

25 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:02:05.70 ID:MUdXCtmHO

――『倉庫』――



瀬川「大きい倉庫……まるで森ね……」

スグル「森……? 確かに、それくらいに大量の荷物がありますね」

そういう意味じゃ無いんだけど……まあ、確かに色々な物があるわね

「ハ、ハ、ハ。彼女が件の眠り姫かね」

「お、スグルん! 先輩連れてきてくれたんっすね!」

瀬川「きゃっ!? 貴方達は……!?」

皆いきなり後ろから出てくるのは止めてよ、もう!

そんな事はともかく、いきなり出てきた二人を見てみる

男の人は、いかにも外人って感じの人。メリケン……

女の子の方は制服に何かの上着を腰巻きにしてる活発そうな子

二人はスグル君と何か話しているみたいだけど……何を話してるのかな

スグル「そうですか。見回りの人が……」

「そうなんすよねー。ま、ただサボりたいだけなんじゃないっすか?」

「如何にモ。あの二人はこの状況を楽観視している節があるナ」

……何か問題があったみたいだけど、今はそんな事関係ないよね

とにかく、さっさと話しかけときますか


【どちらに話しかけますか?】
 1:頭の良さそうな外国人の生徒
 2:活発そうな女子生徒
 ↓2

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:03:17.99 ID:HqQTJulpO
2
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:04:18.18 ID:pd2gEoqDO
1
28 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:05:53.04 ID:MUdXCtmHO

1:頭の良さそうな外国人の生徒



瀬川「えっと、えくすきゅーずみー?」

「おヤ? 先程君達に日本語で話しかけたはずなのだガ……?」

スグル「大丈夫ですよ。彼は日本語には詳しいそうですから」

瀬川「わかってるって。ちょっとしたお約束ってやつだよ」

「ハ、ハ、ハ! これは愉快なお嬢さんだ。して、名前は何といウ?」

瀬川「瀬川千早希よ。コスプレイヤーをやっているわ」

「ほう。cosplayer……君は知っていたかね? cosplayは世界共通言語なのダ」

瀬川「そうそう! やっぱり、コスプレは世界を繋ぐんだよ! クールジャ……」

スグル「あの! 瀬川さんへの自己紹介をお願いします!」

「失礼、失礼。では名乗ろうカ」

デイビット「私の名はDavid Kuregerと言う。profilerが生業ダ」



【超高校級のプロファイラー】
  デイビット・クルーガー



瀬川「プロファイラー……って、アレだよね。出てきたら警察が要らない子になるあの!」

デイビット「流石に、そこまででは無いサ。まあ有能なのは認めるがネ」

スグル「認めるんですね……」

デイビット「時に……瀬川女史には、嘘をつくと髪を触れる癖が無いかネ?」

デイビット「今、微かに指を動かした様だガ……何か隠し事があるのでハ?」

瀬川「……それが嘘でしょ? 簡単には騙されないわよ」

デイビット「ハ、ハ! これは失敬。そう、プロファイラージョークだとモ!」

……冗談じゃない。一瞬背筋が凍ったわよ

29 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:06:56.92 ID:MUdXCtmHO

2:活発そうな女子生徒



「ちっす! スグルんありがとっす!」

スグル「す、スグルん……ですか……」

「んー? 何か不味い事でもあったっすか? いひひっ!」

舐められてるわね、完全に……まあ、私もスグル君を下に見てる所はあるけど

「えっと、そっちの先輩の名前は、何て言うんすか?」

瀬川「せ、先輩? 瀬川千早希よ」

「なら瀬川先輩っすね! よろしくお願いいたしますっす!」

瀬川「あ、うん。よろしく……」

何という体育会系……これは私との相性は微妙な所ね

「あ! 自己紹介忘れてたっすね。さーせん先輩!」

照星「押忍! 自分は、照星 夕(テルホシ ユウ)っす! 柔道家っす!」

照星「好きな言葉は情熱。嫌いな言葉は無抵抗っす!」

照星「特技は寝技と極め技っす! 夜の寝技も得意っすよ。にひひっ!」



【超高校級の柔道家】
  照星 夕(テルホシ ユウ)



瀬川「へー柔道家ね……」

その割には随分露出してるわね。生足にヘソ出しに肩出しに……

照星「オシャレっすよね! 柔道家でも可愛くしたいっすから」

照星「ま、スグルんには刺激的だったっすかね?」

照星「チラチラ自分の胸元や脚を見てるの、丸わかりっすよ!」

スグル「あ、あはは……」

スグル君は反応に困る時には愛想笑いをするのね。ちい覚えたわ……


30 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:07:45.82 ID:MUdXCtmHO

瀬川「……そう言えば、さっきこそこそと何を話していたの?」

スグル「ああ、どうやら先程見回りの人が来ていたみたいなんです」

デイビット「まア、その内何処かで出会うだろウ。今早急という訳では無イ」

照星「にひひー先輩気になっちゃうっすか? あんま大した人じゃ無いっすよ」

瀬川「言っちゃうんだ……」

照星「あー気になったっすね? ここら辺徘徊してるみたいっす!」

デイビット「まあ気になるなら別の所へ移動する事をお勧めしよウ」

スグル「そうですね……行きましょう」

瀬川「はーい……」

次は体育館だっけ? また後ろから出てきたらどうしよっかな……

31 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:08:55.48 ID:MUdXCtmHO

――『体育館』――



スグル「……ここが体育館です」

瀬川「……そう」

そこは、何の変哲も無い体育館だった

バスケのコートやステージ。どれも学校で見たことのあるものばかり

だけど、そこには明らかな異物があった

「ホップ! ステップ!! グロォゥリアァァァス!!!」

「…………! ……………………っ!」

ステージの上でポーズを決め続けるのと端の方で素振り? をしている女の子

ぶっちゃけ、さっきの四人の方がまだ話が通じるんじゃないかと思うんだ

瀬川「……もう帰っていい?」

スグル「ダメですよ! ちゃんとお二人とも話さないと!」

嫌だなぁ……あんなのと話すの……?

仕方ない……覚悟を決めていきますか……


【どちらに話しかけますか?】
 1:ポーズを決め続けている生徒
 2:無言で素振りをしている生徒
 ↓2

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:10:33.34 ID:6zJqCO/Lo
1
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:10:57.47 ID:rcT9gOyr0
1
34 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:12:38.14 ID:MUdXCtmHO

1:ポーズを決め続けている生徒



スグル「すみませーん!」

「神よ! 何故オレにこの様な美しさを与えてしまったのだ!」

スグル「すーみーまーせーんー!」

「嗚呼! オレは鏡が憎い! 鏡よ鏡、どうかオレ以外の美しいものを教えてはくれないか!」

スグル「……ダメだ。聞いてくれないや」

瀬川「もういいじゃん。次に行こうよ」

私としても話さなくていいならそっちの方が何倍もいい

瀬川「それじゃ、私達は別の場所に行くからまた……」

「……待ちたまえ。美しいレディ」

瀬川「は?」

突然ポーズを止めて、私の近くに近づいてくる何者か

正直、見知らぬ男性に言い寄られるのは恐怖しか感じない

「美しい姿だ……名前は?」

瀬川「せ……瀬川……千早希……」

「エクセレンツ! 美しいお嬢さんには美しい名がよく似合う!」

飛田「そして、美しいお嬢さんの隣には最も美しい存在……飛田 弾(トビタ ハズム)が相応しいだろう!」



【超高校級のダンサー】
  飛田 弾(トビタ ハズム)



飛田「さあ、お嬢さん。オレの手を取りたまえ。そして二人でワルツを……」

瀬川「い……嫌っ!」

スグル「飛田さん! 今は忙しいので、お話は後でお願いします!」

飛田「そうか……仕方あるまい。オレはここで美しく舞っているとしよう」

そう言うと、再びステージに昇ってポーズを決め始める飛田君

絶対に一人で飛田君の所にはいかない。私はそう強く心に誓った

35 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:13:26.05 ID:MUdXCtmHO

2:無言で素振りをしている生徒



「…………! …………っ!!」

瀬川「あのー……少しいいかな?」

「…………っ! ……はぁ、はぁ」

瀬川「えっと、私は瀬川……」

「……ろ」

瀬川「…………は?」

何? 今、何て言ったのこの子?

「消えろ、と言ったんだ。売女風情が。僕の邪魔をするな」

瀬川「はぁ!?」

ば、ばい……!? って、初対面の相手に言う言葉じゃないよね!?

瀬川「ちょっと貴女……!」

「邪魔なんだよ。僕はお前と違う。暇な時間なんて無いんだよ」

それだけ吐き捨てると、また竹刀を振る作業に戻る

……正直、二度とこの子とは話したく無いからいいけどね

瀬川「……そう。それじゃ」

スグル「ま、待ってください! せめて名前だけでも……!」

「………………………………」

陰陽寺「……陰陽寺 魔矢(オンミョウジ マヤ)。超高校級のヒーロー」



【超高校級のヒーロー】
  陰陽寺 魔矢(オンミョウジ マヤ)



瀬川「ヒーロー……? この子が?」

どっちかと言うと、赤い方より黒い方のヒーローね

でも意外ね……てっきり剣道家とかかな。と思っていたのに

瀬川「……あれ? 女の子はヒロインじゃなかったっけ?」

聞こうと思ったけど、陰陽寺さんはもう素振りに戻っている

……また今度でいっか


36 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:14:12.21 ID:MUdXCtmHO

瀬川「……疲れた…………」

あの二人との会話は疲れる。いや、一人は話すらしてくれなかったけど

瀬川「スグル君、……スグル君?」

さっさと別の場所に行こうとして、気づいた。スグル君が何かを探している事に

スグル「えーっと……あれ?」

瀬川「スグル君、どうかしたの?」

スグル「いや……実は、この体育館は広いので、二人じゃ足りないから……」

スグル「もう一人、追加で探索している人がいるはずなんです」

瀬川「もう一人……?」

でも、後ろを振り返ってみても、周りを見渡してみても誰もいない

正確には、見たくない人が二人いるけど

瀬川「入れ違ったんじゃないかな? 私達も早く出ようよ」

スグル「そうなの……かな?」



「……待たれよ。スグル殿、瀬川殿」




37 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:14:48.64 ID:MUdXCtmHO

瀬川「……え? きゃあっ!?」

体育館から背を向けた途端、誰かが私の事を呼ぶ声がした

振り返ってみると、そこには全く見た事の無い女の子が立っていた

いや、格好だけは見た事がある……

瀬川「……ニンジャ? 何でニンジャ?」

口元を覆うスカーフに忍装束、どっからどう見たってくの一だ

「にゃあ!? 違うでござる! 拙者は忍者では無いのでござる!」

瀬川「嘘だっ!?」

その格好でその口調って、どう考えても狙ってやってるよね!?

スグル「あはは……自己紹介をお願いしていいですか?」

「む、かたじけないスグル殿……拙者とした事が、ついつい熱くなってしまったでござるな」

臓腑屋「拙者、臓腑屋 凛々(ゾウフヤ リリ)と申す……家事代行を承っているのでござるよ」



【超高校級の家事代行】
  臓腑屋 凛々(ゾウフヤ リリ)



瀬川「家事代行……?」

臓腑屋「呼んで字の如く、拙者は様々な家庭に雇われ、その家の家事を代行するのでござるよ」

スグル「臓腑屋さんは、ホワイトハウスや皇居の家事全般を行った事があるんですよね」

臓腑屋「そうでござる。改めて言われると照れるでござるな……」

顔を赤らめ、スカーフで顔を覆い隠す臓腑屋さん。その姿はまるで……

瀬川「……ニンジャだ」

臓腑屋「だから! 拙者は忍者では無いのでござる!」

38 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:15:35.01 ID:MUdXCtmHO

瀬川「ところで……臓腑屋さんは何処から来たの?」

瀬川「体育館は一通りみたけど、貴女の姿は見当たらなかったよ?」

こんな目立つニンジャ、ちらっと見ただけでも判ると思うんだけど……

臓腑屋「ふむ、スグル殿は兎も角瀬川殿は先程お二方と会話をしていたが故……」

臓腑屋「拙者の動向には気づかなかったのでござろうな」

……もうそのござる口調には突っ込まない

臓腑屋「本来は飛田殿、陰陽寺殿と体育館の探索をするのでござるが……」

臓腑屋「お二方が体育館に来た途端、勝手にサボり始めたのでござるよ」

確かに、あの二人の辞書からは協調性の単語が抜けている気がする

臓腑屋「故に、拙者はまず体育館の屋根へと登り周囲の確認をしたのでござる」

瀬川「は?」

今、さらっと屋根へ登ったって言った?

臓腑屋「しかし、屋根からは外の様子がわからず仕舞。そこでスグル殿と瀬川殿が来てくれたのでござる」

スグル「そうだったんですか……」

あ、スグル君はもう流す方向なのね。それが当たり前って認識なのね

臓腑屋「……瀬川殿は、まだ一階のエリアしか探索していないのでござろう?」

臓腑屋「であれば……地下施設へと向かうといいでござる」

瀬川「地下施設……わかった。スグル君、案内してよ」

スグル「わかりました!」

臓腑屋「瀬川殿、達者で。拙者はまだ体育館を調べておくのでござる」

瀬川「ありがと! 臓腑屋さん!」

臓腑屋さん……変な口調と格好だけど、間違いなくこの中では常識人だよ……!


39 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:16:16.37 ID:MUdXCtmHO

瀬川「……この学園って、地下にも施設があるんだね」

学園を歩きながら、スグル君とお話する

スグル君はニコニコ笑いながら、少しだけ施設の事を教えてくれた

スグル「はい……地下には図書室、ゲームセンター、AVルームがありましたよ」

瀬川「図書室はまあいいとして……ゲーセンやAVルームって……」

明らかに学校にあっていい施設じゃないよね……

でもAVルームはいいかな。大きな画面でアニメ見るのも迫力あっていいかも

瀬川「……って、これって扉?」

そんな事をぽやぽや考えていたら、偶然にも扉を発見した

……もしかして、ここから出られる?

スグル「……あっ、瀬川さん!」

予想通り、扉は全く開かない、けど……!

瀬川「スグル君も手伝って! もしかしたらここから……!」

40 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:17:03.14 ID:MUdXCtmHO

「ダメダメ! そっちは開かないよー」

「照星の嬢ちゃんや陰陽寺の嬢ちゃんも開けられなかったんだ。止めときな」

瀬川「……貴方達は?」

とたとたと廊下を走る音。それは、新しい超高校級の人との出会いを告げていた

「見回りをしているのだ! えへん!」

偉そうに胸を張る女の子。見回りってサボり扱いされている事を知ってるのかな

「まあそいつは建前で……単に若い連中に任せて休んでるだけだけどな」

あ、サボりなのは認めるんだ。この男の人……煙管持ってるけど、もしかして大人の人なの?

スグル「休憩もいいですけど……二人も、真面目にやってくださいね?」

「てへぺろ! ごめんなさーい!」

「はっはっは! 若ぇのにしっかりした坊主じゃねえか!」

若い飛ばして誤魔化す二人。とりあえず自己紹介でもしておこうかな



【どちらに話しかけますか?】
 1:どことなく幼い雰囲気の生徒
 2:煙管を持った和服の男性
 ↓2

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:17:33.89 ID:zRPa5PnW0
またパクリか
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:18:35.53 ID:mG9JOv8q0
43 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:20:29.62 ID:MUdXCtmHO

2:煙管を持った和服の男性



「ま、ぼちぼちやってこうや。俺は……」

スグル「ちょ、ちょっと! 何しているんですか!?」

「あ? 何って煙草だよ。吸っちゃ悪い事でもあんのか?」

瀬川「悪い事って……貴方何歳?」

「ざっとこんなもんだな」

三本の指を伸ばして揺らす。えっと、それってつまり……

瀬川「……アラサー?」

「そういうこったな。んじゃ、さくっとやらせてもらおうかね」

竹田「俺は竹田 紅重(タケダ ベニシゲ)だ。株式会社竹田屋の代表取締役をやっている」



【超高校級の玩具屋】
  竹田 紅重(タケダ ベニシゲ)



瀬川「代表取締役って……社長!?」

スグル「竹田さんは、老舗玩具店の跡取りなんだそうです」

瀬川「三十代で取締役だなんて、凄いです! お若いのに素晴らしい手腕なんですね!」

スグル「せ、瀬川さん?」

今の内に媚びを売っておけば、後の活動に有利になるわね!

竹田「おいおい、オッサン相手にすり寄るのは止めとけよ? 俺はそういうのは好きじゃねえ」

竹田「ま、若いってのはいいこった。オジサンとも仲良くしてくれよ。はっはっは!」

そう言ってべしべしと私とスグル君の肩を叩く。煙草の匂いがキツイ……!


44 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:21:27.30 ID:MUdXCtmHO

1:どことなく幼い雰囲気の生徒



「そこのキミ! お名前は?」

ぴしっ。と女の子に指を差された

瀬川「瀬川千早希よ。コスプレイヤーをやっているわ」

「そっか! コスプレイヤーって楽しそうだね!」

「こう……アニメのキャラをキラキラってやるの!」

瀬川「わかるの? やっぱりコスプレの醍醐味はね……」

スグル「あの、自己紹介をお願いしてもいいですか?」

「はーい! わかり前田のクラッカーだよー!」

天地「りぼんちゃんはね、天地 りぼんちゃん! なんと! 先生なのだ!」



【超高校級の家庭教師】
  天地 りぼん(アマチ −−)



瀬川「……え、天地さんって先生なの?」

先生って言うより、どちらかと言えば問題児っぽいんだけど?

スグル「何でも、天地さんに教わった子は絶対に夢が叶うとかなんとか……」

瀬川「…………マジで?」

天地「お代は要らないよ、何故なら教え子の笑顔が報酬だから!」

天地「さあ行こう! ビッグニュースを作っていこう!」

…………人は見かけによらないわね、ホント

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:21:46.60 ID:zRPa5PnW0



……突然だけど、私は、『夢』って都合のいい嘘だと思う



現実ではあり得ない事も、夢の中でなら簡単に夢を作り出せるんだ



世界は嘘で溢れている/世界は夢を求めている



嘘は真実よりも素晴らしい/夢は現実よりも素晴らしい



嘘で世界は変わっていく/夢で視界は歪んでいく



そして、私は……/そして、私は……


46 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:22:17.37 ID:MUdXCtmHO

瀬川「つ、疲れた……」

天地さんも竹田さんも、悪い人じゃないみたいだけど……

何て言うか……体が、相手のテンションについていけない……

天地「情けないぞーちさっち! 青春はまだまだこれからなのだ!」

竹田「それは俺には辛い一言だなぁ……」

スグル「あの、お二人は地下施設に居たんじゃなかったんですか?」

天地「面白くなさそうだからサボっちゃいました! ごめーんねっ!」

竹田「俺は煙草が吸いたくなってな、ついでに逃げてきたってワケよ」

スグル「あははは……」

瀬川「因みに、地下施設にいる人達ってどんな人なの?」

竹田「ああ、確か出るときにちらっと見たら喧嘩してたな」

スグル「大変じゃないですか!?」

天地「と、言うわけで走るのだ! 太陽は待ってくれないぞ!」

瀬川「なんか……都合よく追い出されてない? 私達……」

スグル「そんな事より……急ぎましょう。多分図書室の方だと思います!」

慌ただしく廊下を走る。急がないと……!

って、もう喧嘩になっているなら私達が急ぐ理由ってないよね?


47 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:23:06.79 ID:MUdXCtmHO

――『図書室』――



スグル「……あれ?」

瀬川「二人いるけど……喧嘩なんてしてないじゃない」

図書室では静かにしましょう。そんなの常識だもんね

本を読んでいる二人は、自分の世界に没入しているみたいで私達の事に気づいていない

瀬川「……どうする? 邪魔しちゃ悪いし違う所にいく?」

スグル「そう、ですね……お二人には悪いですが、今は喧嘩している人を……」

「…………その必要は無い」

瀬川「え?」

「……さっき、一人仲裁に向かった。今頃は頭も冷えているはず」

スグル「そうなんですか……焦って混乱させてしまいました……」

「……それよりも、自己紹介をするべき。私は貴女の事を知らない」

瀬川「そうね……私は……」

……あれ、この娘さっき見たような?

瀬川「…………瀬川千早希よ」

「……そう。いい名前、気に入った」

まあ、後で聞けばいいかな……それよりももう一人はずっと本を読んでるわね

自己紹介がてら、話してもいいけど……?



【どちらに話しかけますか?】
 1:先程会った様な気がする女子生徒
 2:ずっと本を読み続けている生徒
 ↓2

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:24:22.32 ID:6zJqCO/Lo
2
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:24:25.50 ID:rcT9gOyr0
2
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:24:31.10 ID:zRPa5PnW0
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:24:41.10 ID:ZrihMxLlo
1
52 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:25:36.26 ID:MUdXCtmHO

2:ずっと本を読み続けている生徒



スグル「すみません、自己紹介を……」

「……………………」

スグル「あの、少しお話を……」

「……………………」

スグル「……どうしましょう。全く聞いてくれません」

陰陽寺さんと似たタイプね……でも、相手は男の子。なら……

瀬川「まぁまぁ、ここは私に任せて」

スグル「……どうするんですか?」

瀬川「こうするの……よっ!」

背中に回って……こう、むにっと!

「……!? うわぁあああっ!?!?」

スグル「うわっ! 大丈夫ですか!?」

瀬川「少し刺激が強すぎたかな……?」

椅子から転げ落ちた男の子は、ビクビクしながらこっちを睨む

「な、な、何すんだよ……!」

瀬川「いやー自己紹介してくれなかったからさ」

瀬川「私は瀬川。君の名前は?」

「そ、そうかよ。お、俺の、俺は……」

吊井座「つ、つ、吊井座 小牧(ツルイザ コマキ)だよ……」



【超高校級のイラストレーター】
  吊井座 小牧(ツルイザ コマキ)



瀬川「イラストレーター……?」

吊井座「う、嘘じゃねえよ! こ、この本の挿絵だってお、俺がやったんだ!」

見せてきたイラストは凄く可愛くて上手い絵だった。ペンネームはコマ……

吊井座「も、もういいだろ。早く向こうへいけよ」

瀬川「……もう一回してあげよっか?」

吊井座「いっ……!? いいっての!?」

53 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:26:34.11 ID:MUdXCtmHO

1:先程会った様な気のする女子生徒



瀬川「ねえ、貴女もしかして……」

「……? 気になる事でもあった?」

距離があったから自信が無かったけど、間違いない。もしかして彼女は……

瀬川「貴女……朝日君のお姉さん?」

とろんとした朝日君と比べると、キッとした雰囲気だけどこの人は……

「…………違う」

瀬川「えっ!?」

違うの!? 結構自信あったのに!?

「……私は、妹。尤も、私はあんなのを兄とは認めていない」

瀬川「あ、妹だったの……」

月乃「御伽 月乃(オトギ ツキノ)。朝日とは双子の兄妹」



【超高校級の童話作家】
  御伽 月乃(オトギ ツキノ)



瀬川「へぇー双子なの……通りでそっくりな訳だわ」

瀬川「……って、朝日君は貴女の事を一言も話してなかったわよ?」

月乃「……アレは私の事なんてどうでもいいみたい」

……複雑な関係みたいね。あんまり踏み込むのは止めましょう

月乃「……兄の事なんかいい。瀬川の事を知りたい。色々と」

……訂正。やっぱりこの娘朝日君の妹だわ


54 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:27:25.63 ID:MUdXCtmHO

月乃「……そう。天地と竹田が」

吊井座「くそっ! アイツら、やっぱりサボってんじゃねーか……!」

月乃さんは呆れ、吊井座君は怒っている

まあ、先生と大人がサボっていたら文句の一つも言いたくなるよね

スグル「あはは。お二人ともそんなに怒らず落ち着いて……」

吊井座「な、舐めやがって……! どいつもこいつも俺を……!」

月乃「……ここはもういい。他はAVルームに揃っているはず」

月乃「……二人は早く行くといい。ここは私に任せて、さあ」

瀬川「わ、わかったわ……」

兄と比べると淡白な感じだけど、頼りになるわね

それじゃ、最後? の人達に会いに行くとしますか!

55 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:28:11.75 ID:MUdXCtmHO

――『AVルーム』――



「馬鹿にしたね!? 今、ボクの事を馬鹿にしたよね!?」

「うっさいなー! ウチは馬鹿にしたんやなくて、事実を言うたの!」

「ボクをダサいって! ボクをセンスの無い奴って言ったじゃないか!」

「だーかーら! それは事実や言うとるやろ、このアホナスビ!」

「アホナスビ!?」

スグル「……あれ?」

瀬川「……喧嘩、収まってないわね」

「……んー? スグル、その人が新しい人なん?」

スグル「はい! 彼女は瀬川 千早希さんです。コスプレイヤーなんですって」

瀬川「よろしくね。二人とも」

「よろしく! ボクは超高校級の中でも選ばれた人間なんだ!」

「なーにが選ばれた人間や……単にくじ引きで一等当てただけやろー?」

「う、うるさいな! 選ばれたのには間違いないだろ!?」

……見てわかる位相性が悪いわねこの二人

さっさと自己紹介を終わらせて、会話を打ち切らせた方が良さそうね



【どちらに話しかけますか?】
 1:派手な外見の女子生徒
 2:やたら自信に満ちた生徒
 ↓2


56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:29:16.59 ID:rcT9gOyr0
1
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:29:21.48 ID:pd2gEoqDO
1
58 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:30:53.39 ID:MUdXCtmHO

1:派手な外見の女子生徒



「おー、アンタ瀬川って言うんか。よろしゅうな!」

瀬川「よ、よろしくね……」

「あーウチの口調が気になるんか? あんまし気にせんといてーや」

方言……の、割りには、服装がギャル寄りなのよね

照星さんがスポーティな軽さだとしたらこの娘はハラジュクにいそうな……

「にしても、コスプレイヤーってアニメのキャラの物真似やろ? にしてはセンスええなー!」

瀬川「ホント!? キャラの物真似って訳じゃないけど、素直に嬉しい!」

「いやー最近のアニメも侮れんなー。ウチももっと精進せなアカンな」

古河「ウチは古河 ゆめみ(コガ −−)言うんや。スタイリストやっとるんやでー」



【超高校級のスタイリスト】
  古河 ゆめみ(コガ −−)



古河「服の取り合わせに悩んどるならウチの所に来るとええでー!」

スグル「あ、ありがとうございます……」

瀬川「私もお願いしてみようかな……」

古河「ええでええで! ウチは去るモン追わんし、来るモンは拒まんわ!」

スタイリストね……いつか、私もコスプレじゃない私服を見てもらおうかな

59 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:32:13.82 ID:MUdXCtmHO

2:やたら自信に満ちた生徒



「遅いじゃないか! もっとテキパキと行動しなきゃ!」

スグル「ご、ごめんなさい!」

「全く、キミがちゃんとしないと皆に迷惑がかかるんだぞ!」

瀬川「ねえ、自己紹介を……」

「ああゴメンゴメン! スグルクンが遅いから注意してたんだよ、注意!」

ウザいわね……こういう先輩風吹かせまくる人って大概ロクでもないのよね

「それで、自己紹介だよね? なら速く終わらせようか」

御影「ボクの名前は……御影 直斗(ミカゲ ナオト)だよ」



【超高校級の幸運】
  御影 直斗(ミカゲ ナオト)



瀬川「御影君は何の才能なの?」

御影「ふっふっふ……ボクの才能は、超高校級の幸運なんだ!」

超高校級の幸運……? 確かになんか凄そうな才能ね……

スグル「超高校級の幸運は、全国の平均的な高校生から抽選で選ばれるんです」

瀬川「……え? じゃあ、本人はそんなに凄くないの?」

しかも、全国の平均的って……

御影「そ、そんな事無いって! ちゃんと実力だってあるんだ!」

御影「無くしていた消しゴムがタンスの奥から出てきたりとか…………」

……ショボい。どうやら本当に普通の人みたいね

60 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:32:54.63 ID:MUdXCtmHO

「……あら? スグル君、その人は………」

スグル「あっ……!」

古河「おーどこ行ってたん? 御影が急に騒いどって苦労したわー」

御影「さ、騒いでないだろ!?」

二人を宥めていると、誰かが新しく部屋に入ってきた

見た目だけだと才能がわからないけど……

なんとなく、こう、オーラみたいなものが感じられる

瀬川「貴女も超高校級の生徒?」

「ええ。宜しくね。瀬川さん」

瀬川「……あれ? 名乗ってないよね?」

「職業柄耳はいいの。古河さんと御影くんと話していたのが聞こえたのよ」

瀬川「へぇ……」

手を口許に当ててくすくすと笑う。仕草の一々があざといわね

月神「私の名前は月神 梓(ツキガミ アズサ)。超高校級のアイドルよ」



【超高校級のアイドル】
  月神 梓(ツキガミ アズサ)


61 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:33:46.54 ID:MUdXCtmHO

瀬川「アイ、ドル……?」

月神「そうよ? 私はアイドルとして、超高校級に認定されたの」

瀬川「……そう、なんだ」

月神「……どうかしたの? 具合でも悪いのかしら?」

瀬川「だ、大丈夫だよ……」

……私だってアイドルなのに、私は超高校級に選ばれなかった

月神さんは私よりもずっと努力して……だから、超高校級になれて……

なら、私は……?

スグル「……? 瀬川さん?」

瀬川「あはは、何でもないってー!」

瀬川「それで……これからどうしよっか。そもそも、ここってどこ?」

さっきからずっと気になっていた疑問。

それを口にした途端、まるで見計らっていた様なタイミングでソレは流れた



『えー、そろそろ全員のチュートリアルが終わったかな?』

『オマエラに告ぐ! 至急、学園の正門まで集合してくださーい!』


62 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:34:45.92 ID:MUdXCtmHO

瀬川「え…………?」

今のアナウンス、何……?

月神「今の……機械音声みたいだけど……」

吊井座「お、お、おい! いいい、今の放送は何なんだよ……!?」

月乃「…………私は、私達を浚った、犯人のものだと思っている」

古河「おー月乃に吊井座も来たんか」

御影「学園の正門って……あの開かなかった扉の事だよね?」

月神「きっと、皆も今の放送を聴いているはず……急ぎましょう!」

月神さんの号令と共に、集まっていた皆は足早に外に出ていく

私は……なんとなく、彼女の指示には従いたくなかった

スグル「……行きましょう、瀬川さん」

瀬川「……そうだね、行こう!」

待ってくれていたのか、スグル君が声をかけてくれた

……グズグズしていたら皆に何か言われるかもしれない。私は正門へと走っていた

63 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:35:43.82 ID:MUdXCtmHO

――『正門前』――



スグル「……あっ! 皆さん!」

竹田「よう。坊主共で最後みてえだぜ」

照星「にっひひ! スグルんは遅れたから罰ゲームっすよ!」

臓腑屋「そんな事をしている場合ではないでござろう……」

朝日「あは。月乃ちゃん、そっちはどうだったぁ?」

月乃「…………黙って、変質者」

飛田「その冷たい眼差し……美しい!」

駆村「正気か? お前は……?」

デイビッド「これで16名……当初にいた数が揃ったナ」

陰陽寺「もういいだろう。僕はもう戻らせてもらうからな」

御影「それフラグ! フラグだから!」

予想通り、正門前には今まで出会った人達が揃っていた

だけど……正門が開く気配は欠片も無い。いったいなんでここに呼んだの……?

64 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:36:30.83 ID:MUdXCtmHO

古河「なーなー皆ー、この扉って、まだ開かんの?」

吊井座「そ、そんなの試してみればいいだろ。確かめてみろよ」

天地「よーし! りぼんちゃんキックでブチ破ってみよー!」

月神「止めた方がいいわ……何があるかも判らないもの」

スグル「そうですね……何か危険があるかもしれませんし……」

正門の前は大騒ぎ。不安になる人、冷静に分析する人、我関せずな人……

私はどこの輪にも入れ……入らず、ぽつんと隅に立っていた

速く開いてくれないかな。なんて思った瞬間、がちゃりと大きな音がした

御影「……んっ? 今、音がしたよね?」

駆村「よし……皆は離れていろ。まず俺が確めてみようか」

駆村君が扉を少し開く。すると……

月神「……きゃっ! 眩しい……!」

瀬川「目……目がぁ……!」

スグル「…………くっ!」

外の世界から漏れ出た光が私達を包む。そのまま、私達は……

65 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:37:10.40 ID:MUdXCtmHO

月神「……皆! 大丈、夫……!?」

臓腑屋「む……な、なんと……にゃあ!?」

竹田「……おい、これは俺がボケ始めている訳じゃねえよな?」

古河「な、なんで……ウチらはいつの間に外に出とったんや?」

目を開けた時、そこは学園の中じゃなくて……外だった

でも、私には外に出た覚えが無いのに……

御影「……うっ!? うわあぁぁ!?」

駆村「大丈夫か、御影……なぁ!?」

瀬川「な……何アレ!?」

御影「なんだよ……なんだよ、アレの中にボク達はいたの!?」

吊井座「あ、あ、あんなの……ただの廃墟じゃねーか……っ!」

後ろを振り向くと……なるほど。皆が驚いた理由がわかった

そこは一階部分以外は鉄骨が生え、鉄筋が剥き出しになった……廃墟と呼ぶに相応しい場所だった

66 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:38:05.25 ID:MUdXCtmHO

「廃墟? いやいや、そんな事を言ったらダメだよ」

「何故なら……これからオマエラが住む所なんだからね!」

月乃「…………誰?」

飛田「何だ? 今のブサイクな声は」

陰陽寺「お出ましか、姿を現せ」

唐突に響く可愛らしい声。皆は声の聴こえた方へと向き直った

「うぷぷ……いいでしょう! なんだかんだと聞かれたら!」

答えてあげるが世の情け! って、いけないいけない。ここは自重して……

「答えてあげるが世の情け! ボクはモノクマ!」

ぴょいーん

モノクマ「この学園……NEO才囚学園の学園長なのだーっ!!」



【(NEO)才囚学園学園長】
  モノクマ



67 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:38:58.29 ID:MUdXCtmHO

天地「モノクマ……? 何それ?」

古河「ダサいデザインやなぁ……」

竹田「なんつうか、子供向けアニメに出てくるキャラみてえだな」

駆村「いや、デザインはどうでもいい。今あの熊は何て言った……?」

吊井座「ネ、ネオ才囚学園って何なんだよ、それ……」

照星「如何わしいホテルみたいな名前っすね。ネオ才囚学園!」

モノクマ「ネオじゃなくてNEO! アルファベットのN、E、O!」

モノクマ「これはテストに出るからね、しっかり覚えておいてね」

天地「はいはーい! りぼんちゃんは覚えましたー!」

臓腑屋「いやいやいや! ここの場所なぞどうでもよかろう!?」

デイビッド「肝心要は最後の部分ダ。ワタシの聞き間違いでなけれバ……」

朝日「私達が住む所って……これってどういう事なのぉ?」


68 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:39:38.69 ID:MUdXCtmHO

モノクマ「言葉通りの意味だよ?」

モノクマ「オマエラには、これからこの学園で過ごして貰います!」

御影「過ごすって……どのくらい?」

モノクマ「期限? 期限はね……なんと、一生涯! 寿命でお亡くなりになるまでです!」

瀬川「えぇ!?」

スグル「なっ……! 一生……!?」

一生をここで過ごせ……? いきなり何を言っているの、モノクマは……!

竹田「ほーぅ、一生ねぇ」

照星「赤ちゃん何人出来るっすかね? いひひっ!」

月乃「…………そう」

瀬川「……アレ?」

焦る私とは対照的に、皆の反応は冷たいものだった

まるで、私だけが別の世界に来たみたいな……そんな違和感が私を支配していた


69 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:40:24.78 ID:MUdXCtmHO

モノクマ「……あれ? あれあれあれあれあれあれ?」

モノクマ「ちょっと……何でオマエラそんなに落ち着いてるの?」

モノクマ「もっとさぁ……な、なんだってー! とか……嘘だドンドコドーン! とかさぁ……」

モノクマ「そんな冷静になられるとか、ぶっちゃけありえなーい!」

デイビッド「御託はいイ、それで、この共同生活はどうすれば終わル?」

吊井座「そ、そうだ。ずっとここに居るとかふざけんなよ……」

モノクマ「ふざけているのはそこの忍者かぶれでしょ?」

臓腑屋「だから! 拙者は!」

モノクマ「ま、そう言うだろうと思っていたんで……特別措置を用意しました!」

瀬川「特別措置……? それってどうすればいいの?」



モノクマ「……人が人を殺すことだよ」



70 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:41:16.79 ID:MUdXCtmHO

瀬川「………………………………」

瀬川「………………え?」

人が、人を殺す? この中から出るには誰かを殺さないといけない……?

モノクマ「才能溢れるオマエラは、ここで保護しないといけないのです」

モノクマ「ですが、この中で最も優れた才能には、特別措置としてこの学園から卒業出来るのです!」

モノクマ「殺るなら今の内だ! 先手必勝、見敵必殺、サーチ・アンド・デストロイ!」

モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ! ここは殺しのコロッセオなのだー!」

スグル「そんな……絶対に認めない……!」

モノクマ「なら、諦めてここで永住するんだね! やれるものならね!」

瀬川「そんな……そんなの……っ!」



ここで永遠に過ごすか……誰かを殺すか

そんな選択を、モノクマは私に突きつけてきたんだ

…………絶望。そんな単語が頭をよぎる

皆も、私と同じ様に絶望に震えて……


71 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:42:07.62 ID:MUdXCtmHO







月神「―――ね? 皆、私の言った通りでしょう?」


72 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:42:48.55 ID:MUdXCtmHO

瀬川「……え?」

モノクマ「……は?」

月神「でも……幾らなんでもやり過ぎだと思うわよ?」

吊井座「お、驚かせやがって……」

駆村「それにしても、随分と悪趣味な番組を考えたな……」

デイビッド「ハ、ハ、ハ! ニホンのバラエティーはクレイジーだナ!」

瀬川「ば、番組? バラエティー?」

月神「ああ……瀬川さんには、まだ言っていなかったわね」

月神「これはきっと……テレビのバラエティー番組の一つなのよ」

朝日「常識的に考えて、私達全員が気づかれずに運ぶなんて無理だしねぇ」

月乃「……きっと、大掛かりなドッキリ番組の一つだと思っている」

御影「まあ? ボクは殺れるけどね? 本当だからね!」

瀬川「そ、それもそうだよね……」

な、なんだ……番組の演出だったんだ……

馬鹿だな、私……本気にして慌てるなんて恥ずかしいよ……

73 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:43:42.16 ID:MUdXCtmHO

モノクマ「ちょ……ちょっと待ってよ! 何勝手に決めつけてるの!?」

モノクマ「マジなんですけど! ガチのマジでモノホンなんですけど!」

モノクマ「テレビ番組なんて嘘まみれのものなんかと一緒にしないで欲しいんですけど!」

陰陽寺「うるさいぞ。貴様のその気色悪い面を叩き割ってやろうか」

飛田「全く、オレの出る番組ならば……」

飛田「マスコットも美しいものを用意するのが筋というものだろう!」

古河「こんな怪しいモンが出てきた時点で興醒めやけどなー」

照星「でも、自分は遠目で見たら可愛いと思うっすよ!」

竹田「最初はそれなりに雰囲気があったけどよお、殺せだのなんだので一気に察したな」

天地「りぼんちゃんの目は誤魔化せないのだ! ふふん!」

モノクマ「……悲しいなぁ。これが現代の闇というヤツなのかなぁ」

モノクマ「やっぱりネット社会は悪なのです。実物を見ずに、情報だけで決めつける欠陥品なのです」

臓腑屋「む……何やらぶつぶつと言っておるでござるが?」

御影「あのーさっきから何を言って……」

74 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:44:35.56 ID:MUdXCtmHO









モノクマ「と、言うわけでボクの本気度を見せる為に見せしめをしまーす!」

モノクマ「おいでませ! 極大雷撃召喚魔法、『ゼウスの雷霆』!!!」








75 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:45:03.15 ID:MUdXCtmHO

……ドスッ!





瀬川「……え?」

モノクマがそう叫ぶと、空から一筋の光が降り注いだ

落ちてきた光は、熱と轟音を引き連れて私の、目の前……






スグル「………………………………え?」

スグル君の胸を、貫いていた


76 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:45:46.14 ID:MUdXCtmHO

御影「………………は?」

月神「い……いやぁあああっ!!」

照星「だ、大丈夫っすか!? これも番組の演出なんっすか!?」

臓腑屋「そんな訳ないでござろう!? 早く手当てを施さねば……!」

駆村「……! まだ息があるぞ!」

陰陽寺「……どけっ!」

モノクマ「はいそこまでー! 全く、どうしてくれるんだよ!」

モノクマ「オマエラが疑うせいで、無駄に死にかけにしちゃったじゃないか!」

スグル「………………ぅ、あ」

モノクマ「ま、スグルクンはボクが助かるので持っていきまーす!」

モノクマ「それじゃあオマエラ、良いコロシアイ学園生活を〜!」

瀬川「………………嘘、だよね?」

ぽつり、ぽつりと呟く。そうであって欲しいという願いを

目の前の出来事が現実のものだって、手に付いた血の暖かさで分かっているのに

77 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:46:21.93 ID:MUdXCtmHO










私は世界を俯瞰する

混乱する人、冷静であろうとする人、未だに状況を飲み込めていない人……

これが、私達の始まり。嘘と本当が入り交じる世界の原点

私は、そんな世界で……ただ、立ち尽くす事しか出来なかった








78 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:46:48.86 ID:MUdXCtmHO









【PROLOGUE】
  再誕 −Re:Birth− 【終】 








79 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:47:20.70 ID:MUdXCtmHO




アイテム:『NEO才囚学園校章』

解説:プロローグを見終えた証。本来の才囚学園のものとは色が反転している
   学園内の超高校級の生徒達は、全員この校章を何処かに身に付けている



80 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 21:48:22.53 ID:MUdXCtmHO
本日はここまで。今作はこのメンバーで進めていきます
後で生徒名簿を貼っておきます。質問や感想などあればどうぞ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/20(金) 21:58:35.74 ID:rcT9gOyr0
乙 新作も期待
82 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 23:59:13.32 ID:EfgBs+1yO

【生徒一覧】

【女子】その1
※身長、胸囲はフィーリングなので、おかしい場合は目を瞑ってください

【名前】瀬川 千早希(セガワ チサキ)
【才能】超高校級のコスプレイヤー
【身長】167cm
【胸囲】87cm
【好きなもの】クレープ
【嫌いなもの】カメラフラッシュ

【名前】天地 りぼん(アマチ −−)
【才能】超高校級の家庭教師
【身長】161cm
【胸囲】77cm
【好きなもの】プラネタリウム
【嫌いなもの】宝くじ

【名前】御伽 月乃(オトギ ツキノ)
【才能】超高校級の童話作家
【身長】172cm
【胸囲】94cm
【好きなもの】雲
【嫌いなもの】尖ったもの

【名前】陰陽寺 魔矢(オンミョウジ マヤ)
【才能】超高校級のヒーロー
【身長】166cm
【胸囲】74cm
【好きなもの】竹刀
【嫌いなもの】ハムスター


83 : ◆Wd9XQcLkjx0n [saga]:2018/07/20(金) 23:59:43.81 ID:EfgBs+1yO

【女子】その2

【名前】古河 ゆめみ(コガ −−)
【才能】超高校級のスタイリスト
【身長】170cm
【胸囲】88cm
【好きなもの】流行りもの
【嫌いなもの】水たまり

【名前】臓腑屋 凛々(ゾウフヤ リリ)
【才能】超高校級の家事代行
【身長】165cm
【胸囲】82cm
【好きなもの】干したての布団
【嫌いなもの】火事

【名前】月神 梓(ツキガミ アズサ)
【才能】超高校級のアイドル
【身長】168cm
【胸囲】85cm
【好きなもの】ぬいぐるみ
【嫌いなもの】パクチー

【名前】照星 夕(テルホシ ユウ)
【才能】超高校級の柔道家
【身長】169cm
【胸囲】88cm
【好きなもの】マット
【嫌いなもの】避難訓練


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