【安価】男「記憶喪失だ」

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1 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 13:04:54.81 ID:yFPDSz23O

初安価。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1531713894
2 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 13:07:33.86 ID:yFPDSz23O


確か、それは雨の日。


身体が、頭が、痛い。


朦朧としてきた意識の中で最後に聞こえたのは救急車のサイレンの音。


そこで意識が途絶える。


______________________________。


目を覚ますと白い天井が目に入る。


男「ん……ここは…」


身体を起こし、辺りを見回す。
白色で構築された室内を見るにこれは…病室?
どうして僕はこんな所に。


男「いった…」


記憶を遡ろうとして頭痛が走る。
なんて事だ…僕は…僕自身の事を何も思い出せない。
僕は…誰だ?


その時、病室の扉が開かれる。
女の子だ、髪を片方に縛った可愛らしい女の子。
部屋に入って僕を見ると、とても驚いた様子で固まってしまった。


??「え………え…?男くん…?」

男「あ…」

??「良かった…!!やっと目を覚ましたんだね!!」


その女の子は僕にいきなり抱きつく。
な、なんだ急に…?
いきなり見知らぬ女の子に抱きつかれて恥ずかしくなってきた。


慌てて女の子の肩を掴んで引き離す。
僕が目覚めて嬉しかったのか?頬に涙が伝っている。
とりあえずこの子に聞きたい事がある。


男「>>3

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 13:08:39.88 ID:EadeaNTr0
誰だ?
4 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 14:25:52.51 ID:yFPDSz23O
男「誰だ?」

??「えっ……え……私だよ…?」

男「ごめん、ちょっと…何も思い出せなくて…」

??「そんな…!私!私だよ!男くんの彼女!」

男「か、彼女…!?君が…?」


なんて事だ、僕はこんな可愛いらしい子とお付き合いをしていたのか。
だとしたら、彼女の先程の反応も納得できる。


彼女「そうだよ!男くん……もしかして記憶喪失ってやつなの…?」

男「あーうん…君の事だけじゃない、自分自身の事もわからないんだ」

彼女「そんな……」

男「ごめん…」


彼女は顔を伏せて黙り込んでしまった、申し訳ない。
少しすると彼女は自分の両頬をパンパンと叩いて「よしっ!」と言うと僕に顔を向ける。


彼女「そっか!わかった!男くんが記憶喪失だとしても私は男くんの彼女だもん!任せて!」

彼女「男くんが記憶を取り戻す様に私も頑張るよ!まずは私達の馴れ初めからがいいかな!?それとも最近のデートの事とか!?それともそれとも──」


色々と話してくれようとする彼女の姿を見て、思わず笑みが零れてしまう。
良い子だな。


彼女「むっ!なんで笑ったのー!いまー!」

男「え、な、何となく…」

彼女「なにそれー!」


そう言った所で彼女のポケットから音楽が鳴り響く。
着信音みたいだ。


彼女「あ、ちょっとごめんね」

男「うん」


彼女が駆け足で部屋から出るのを見た後、改めて自分の状況を考える。
身体のあちこちに包帯が巻かれている、頭にも。
一体どんな怪我をしたのだろうか。

脇に置かれた机の上には少年と誰かが写っている写真がある。
これは…僕なのか?僕と思われる少年と母親らしき人が笑顔で写っている。

うーん…だめだ、家族の事もわからない…。
他には…菓子やら果物がある、彼女の差し入れかな?

他に何か…と探していると再び扉が開く。
彼女が戻ってきた。


彼女「ごめん男くん!ちょっとどうしても外せない急用が出来ちゃったの!ほんとごめん!」

男「いや、僕は大丈夫だから。行ってきな」

彼女「何か聞きたい事ない?1つくらいなら答えられるよ!」

男「そうだな…」

男「>>5
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 14:27:46.64 ID:0MYbkIfa0
何でここに入院してるか教えて欲しい
6 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 16:08:25.95 ID:yFPDSz23O
undefined
7 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 16:13:07.60 ID:yFPDSz23O

男「なんでここに入院してるのか教えて欲しい」

彼女「あ、確かに気になるよね。えっと…男くんは通り魔に大怪我をさせられちゃったの…」

男「通り魔……」

彼女「どこも痛まない…?包丁で切られたり刺されたり、挙句の果てには頭部も何度も強打されたらしいよ」


その言葉に僕は心底驚いた。
僕に怨みでもあったのか?そこまでやられるなんて尋常ではない。
今は痛みがないのは幸いだな。


彼女「酷い状態だったらしいけど、一命を取り留めたんだって。やっぱりスポーツやってた人は身体は頑丈なのかな?すごい生命力だ!って先生も言ってたよ」

男「そう…なんだ…」

女「あっ、そろそろ行かなきゃ!また来るよ!男くん!」

男「うん…またね」


彼女は笑顔を見せると早足で部屋を出ていく。
入院した理由はわかった。
切られ刺され殴られ…通り魔にしては過激すぎる…本当に通り魔なのか…?

って悩んでも仕方ないな、記憶が戻らなきゃ憶測しか立てれないし。
……そうすると、急に暇になるな。

彼女に、早く会いたいな。
8 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 16:14:17.74 ID:yFPDSz23O

______________________________。


彼女が居なくなってから数時間。
僕に気が付いたナースさんが先生を呼び、色々と診断をして貰った。
しばらくは安静という事で、病院生活は続きそうだ。

病室に戻った後は手掛かりになりそうなスマホを触ってみたが、壊れていて起動しない。
彼女に頼んで修理してもらおうか。

夕方になる頃だろうか、病室の扉が開かれた。
入ってきたのは少し背の低い、おさげの女の子。
僕に気付くと明るい顔になる。


??「お兄ちゃん!」

男「おに…ふぅぉっ!」


みなまでいう前に勢いよく抱きしめられる。
本日2度目だ、嬉しいけど。
発育も中々…ってあほか。

??「良かった良かった良かったぁ…」

男「う、うん……あのさ」

??「?」


抱きついた女の子を引き離す。
まずは確かめないと。


男「えっと、僕の妹…?」

??「え…?何言ってるの…?」

男「あ、いや…お兄ちゃんって呼ぶからさ…」

妹「妹だよ、しばらく見ないうちに忘れちゃったの?」

男「妹…」


しばらく見ないうちというのは…一緒に暮らしていたわけではない?
また新しい事実を知ったが記憶に変化はない。

とりあえず僕は妹に記憶喪失だと伝えた。
ショックを受けていたが、すぐに元の顔に戻る。


妹「そっかぁ…じゃあ何も覚えてないんだぁ…」

男「ごめん」

妹「謝らないで、お兄ちゃんのせいじゃないし。アイツの…」

男「え」

妹「あっ!何言ってるんだろ…何でもないよ!」


何だ?心当たりがありそうな雰囲気だったけど。
多分聞いた所で答えてはくれないだろう。

とりあえずは記憶に関する事を聞いてみよう。
妹ならば何かしら僕の話を知っていそうだ。


男「あのさ」

妹「うん?」

男「>>9
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 16:15:54.44 ID:hXURE3Wc0
一緒に風呂入ったことってある?
10 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 16:36:23.56 ID:yFPDSz23O

男「一緒にお風呂入った事ってある?」

妹「お風呂?…あるよ!懐かしね〜」

男「…」


別にそういうつもりではないが、妹の身体を舐め回すように見てしまう。
うん、良いね。


妹「お兄ちゃん、なに見てるの…」

男「はっ!違う違う!」

妹「えっちだなぁ、最近も一緒に入ったでしょ?」

男「え゛!?」

妹「嘘だよ」

男「嘘か!」


流石に今も一緒に入っていたら色々とマズいよな。
ちょっと残念。


妹「もー、そんな事聞きたかったの?」

男「いやいや、えっと…」


日も落ちてきた、あまり長居はさせられないな。


男「>>11
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 16:38:39.20 ID:sqjZJJECO
義理とかじゃなく本当の妹?
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 16:57:01.61 ID:N6WkZNmGo
某フリーゲームを思い出した
ミックスオレだっけ
13 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 17:36:12.69 ID:yFPDSz23O

男「義理とかじゃなく本当の妹?」

妹「そうだよ。ちゃーんと血の繋がった妹」

妹「私達は別居しててね、私はお父さんと一緒に暮らしてるの、お母さんはお兄ちゃんと…お母さんは亡くなっちゃったけどね」

男「え…」

妹「数年前に、ね。お兄ちゃんは今一人暮らしなんだよ?」

男「そうなんだ…」

妹「あ、そろそろお父さんのご飯作らないと…またね、お兄ちゃん」

男「わかった、また来てね」

妹「うん!じゃーねー!」


手を振りながら出ていく妹に手を振り返す。
今日はもうお見舞いは来ないだろう。

2人のおかげでわかった事を整理してみよう。
僕は通り魔に襲われて、入院。
彼女持ち、妹が居る、一人暮らし、母親は他界。


男「ふむ…」


まだまだ記憶を刺激するには情報が足りない…のかな。
早く記憶を取り戻したいな、今日はもう寝よう。
14 : ◆N38WduAZXg [saga]:2018/07/16(月) 21:19:14.38 ID:yFPDSz23O

______________________________。


翌日。
特にする事もなく、ロビーにある本棚から小説を拝借して読み耽っていた。

今日は誰が来るのだろう。
そんなことを考えていると病室の扉が開かれる。
入ってきたのは彼女でもなく妹でもない、男だ。

??「よっ、悪運だけは良いみたいだな」

男「あ、どうも」


中々の強面だが、声色がどこか優しそうな雰囲気を醸し出す。
気が合いそうな感じがする。


??「聞いたぜー、記憶喪失なんだってな?」

男「あ、そうなんだ」

友「俺見てもわかんねーか?友だよ友」

男「ごめん…」

友「そうか。本当に何も覚えてないんだな?」

男「うん」

友「……」


うわぁ、黙り込んだ顔こっわ。
睨まないで。
少しすると友は仕方ないな、みたいな顔をして僕の肩をポンと叩く。


友「ま、いいってことよ。覚えてねーんなら仕方ねぇ、つーかお前記憶喪失になったせいか大人しいな?」

男「普段は違うの?」

友「全然違うぜ?もっと強気だったっていうか男らしい…?ま、今みたく大人しい感じじゃなかったな」

男「ふーん…」


元の僕はどうやら強気だったらしい。
俺はーとかそんな感じだったのか。
想像出来ないな。

それにしても僕にこんな友達がいたとは。
僕の事何か知ってるか聞いてみよう。

男「>>15
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