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俺「アンチョビが画面から出てきた」
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1 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:33:28.61 ID:ema8T1+O0
注意事項
・このSSはフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。
・最終章等のネタバレを含みます。
・長いです。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1531658008
2 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:37:44.03 ID:ema8T1+O0
2017年11月5日。日曜日。
一人暮らしのリビングで、アンチョビが眠っているのを見つけた。
「…………???」
昨日は従姉妹の結婚式。
地元の愛知まで出向き久方ぶりの親族と顔を合わせ、疲れ果てて埼玉の自宅へ戻った俺は、酒をかっくらいながらガルパンの劇場版を観て眠りについたのだった。
それで、何故、自宅にアンチョビが?
まだ寝ぼけているのかと冷蔵庫からボトルコーヒーを取り出して口に含んでみたが、やはり目の前のアンチョビは消えてくれない。
いや、『アンチョビ』と表現してはいるが、冷静な頭で考えれば、彼女はアンチョビのコスプレをした一ファンに過ぎない。
コスプレの完成度は相当に高く、身に纏ったアンツィオ高校の制服などは、市販のものでなくおそらくは手製だろう。
彼女はこたつに倒れ込むようにして眠っているが、目を覚ます様子はない。
3 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:39:16.99 ID:ema8T1+O0
俺が連れ込んだのか、それとも不法侵入か。
さすがに前者であれば記憶も残っているだろうから、おそらくは後者だろう。
とはいえ、どれだけ間抜けな泥棒だって、ターゲットの家のこたつで眠りに就くなんてことしやしない。
「あ、鍵をかけ忘れたとか?」
それで彼女の方も部屋を間違えて入ってきてしまったとか?
顔を合わせたことはないけれど、お隣さんという可能性だ。
しかし玄関へ向かい確認してみたところ、問題なく鍵はかかっている。
――だとしたら、考えられるストーリーはこの辺りだろう。
俺は鍵をかけ忘れた。
部屋を間違えた彼女が内鍵をかけた。
内装が似ていたせいでミスに気付かず、疲れていた彼女はそのままこたつで眠り込んでしまった。
4 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:41:06.48 ID:ema8T1+O0
……俺の部屋に似ているなんて、彼女も相当ひどい生活を送っているんだなあ。
壁一面を覆い尽くす本棚。
そこに並ぶゲーム、漫画、小説、CD、Blu-ray。
床には同人誌タワー。空いた酒瓶に、Amazonの段ボール箱。
彼女が目覚める前に多少なりとも片付けておかないと。
「……と、その前に、シャワーでも浴びるか」
昨夜は風呂に入らなかったし、寝間着のままだ(フリースの上に着る毛布)。
シャワーついでに着替えてしまおう。
バスタオルと着替えを洗面室へ持って行き、シャワーを浴びる。
バスタオルで水滴を拭い服を着て髭を剃ると、リビングの方から「う"あ"あ"あ"っ!?」と音の濁った声が聞こえた。
5 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:43:42.13 ID:ema8T1+O0
目を覚ましたかとリビングの扉を開くと、その通り、彼女は座椅子の上に立ち上がり、大きく目を見開いていた。
「誰だっ!?」
発せられた声が思いのほかアンチョビとそっくりで驚く。
薄緑のツインテールを揺らしこちらを振り向いた彼女は、改めて見ると超がつく美人だ。
綺麗に巻かれた縦ロールが映える。
「いや、あの、どうも貴女は昨晩、酔っ払ってうちに入ってきちゃったみたいなんですよね。あ、私、戸庭といいます。二十八歳です。どうか落ち着いてください」
自分でもしどろもどろになっているのがよくわかる。
「落ち着いていられるかあ! どこだここは! ちゃんと説明しろお"お"お"っ!」
6 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:45:58.52 ID:ema8T1+O0
「えーっと、まず、ここは私の家です。朝起きたら貴女がリビングで寝ていたという状況なので、私もあまり話を飲み込めてません」
「……なにい? 本気か?」
「あ、はい。本気です。不法侵入なのではないかと疑ってるくらいですし。いえ実際その通りだと思うんですけど、ひとまず貴女の名前を聞かせてもらえますか」
「わたしはアンチョビ。ドゥーチェ、アンチョビだ!」
「そういうのじゃなくて、本名をお願いしたいんですけど」
「う…………安斎、千代美、です」
「いや、そういうのでもなくて」
「そういうのってどういう意味だあ"あ"あ"あ"っ!」
7 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:47:35.09 ID:ema8T1+O0
叫ぶ彼女はやはり音が濁る。
濁点だらけの彼女の声はやはりアンチョビそのものだ。
ファンだというだけでこれほど似せられるものなのだろうか。
あぁ、ひょっとして声優の卵だったりするのだろうか?
「仕事は何をされてるんですか?」
「わたしは学生だ! アンツィオ高校で戦車道をやってるぞ!」
どこまでもアンチョビになりきるつもりらしい。
確かに、アンチョビが現実にいたらこんな風だろうという出で立ちだし、演じたくなるのも無理はない。
年の方も――カマをかけて訊いてはみたが、働いているような年齢ではないだろう。
せいぜい二十歳くらいかと思う。
8 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:49:11.49 ID:ema8T1+O0
俺が疑いの眼差しを向けているのに気付いたのだろう、彼女は少し棘をおさめ、座椅子に尻をつけた。
「なんとなく、嘘をついてる感じじゃないな」
むしろ嘘をついているのはそちらなのでは、と言いたくなる気持ちをおさえ、「ホントのことしか言ってないですよ」と答える。
彼女は、大きなため息と共に、
「何が起きているのかはわからないが、事態は複雑そうだ。冬の大会も終わって、わたしももう引退。あの子たちに戦車道の訓練をつけているところだったんだけどなあ」
しみじみと、漏らすように口にする。
大した演技力だ。
全身に纏ったその空気は、声優はもちろん、女優にもなれるレベルだと思う。
9 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:51:00.26 ID:ema8T1+O0
――――。
まさかとは思うが、本当に?
「……あの子たちって? 誰のことですか?」
確かめるように、俺は質問を投げかけた。
「戦車道の後輩だ。ペパロニ、カルパッチョ、アマレット、ジェラート、パネトーネ――」
「アマレット……?」
馴染みのある名前のなかに、聞き覚えのないものが並ぶ。
「ん? 知り合いだったのか?」
「いえその逆です。まぁそれは置いといて、じゃあ、アンツィオ高校ってどういうところなんですか?」
「おおっ! うちに興味があるのか! そうだな! まずアンツィオ高校は19世紀にイタリア商人が――」
10 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:53:05.37 ID:ema8T1+O0
彼女はアンチョビだ。認めるしかない。
一体何が起きているのか俺には理解できないが――特徴的な髪の色、声質、語り口、姿形、知識。全てが全て、彼女がアンチョビであると示している。
一片の曇りもない。
試しに「ちょっとそのウィッグ取ってくださいよ」と言ってみたらノータイムで「地毛だ!」と返された。感動した。
「アンチョビさん。ファンです。握手してもらって良いですか」
「え、ええっ!? 今更か! し、仕方ないなあ〜」
俺の言葉に応じて握手してくれるアンチョビは、とてもサービス精神旺盛だ。嬉しい。
「アンチョビさん、そこに座って待っててください。とりあえず飲み物買ってきますから。部屋のものにはあんまり触れないでくださいね。あぁ、漫画ならいくらでも読んでてくれて構わないですよ」
「飲み物を買ってくる? わざわざ買わなくても、わたしは何でも構わないぞ」
「この家には酒とチェイサー用の水しかないんですよ」
「そうか……生活習慣を改めた方が良いと思うぞ」
11 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:55:26.88 ID:ema8T1+O0
自宅から徒歩1分のコンビニで、適当なペットボトル飲料を5種類ほど購入して戻る。
アンチョビは座椅子に座って『私の少年』を読んでいた。
「どうぞ、選んでください」
「買いすぎじゃないか? ありがとう」
コンビニ袋の中から、彼女はボトルコーヒーを取り出す。
俺はアンチョビの対面に座ると話を切り出した。
「まず、アンチョビさんに発表があります」
「と、突然どうした。やっぱりこれ、ドッキリか何かなのか?」
「驚かずに聞いてください」
アンチョビが喉を鳴らす。
「ここは、アンチョビさんがいたのとは、別の世界です」
俺は画面の向こうで何度も目にした「な"あ"に"ぃ""い"い"い"っ!?」という反応を期待していたのだが、実際の彼女はぽかんと口を開けるばかりだった。
「別の世界? どういう意味なんだ?」
なるほど、確かにこの言葉だけでは何一つ伝わらないだろう。
12 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:56:40.11 ID:ema8T1+O0
「本棚の、『私の少年』が並んでいる二つ下の段を見てください。そこに『ガールズ&パンツァー劇場版ハートフル・タンク・アンソロジー』という本がありますね」
「うん、あるな」
「手にとってみてください」
俺の言葉通り、素直に本を手に取ったアンチョビは、表紙を見て「これって」と呟いた。
「西住みほさんです。あぁ、継続のミカさんなんかもいますね」
「……西住、漫画になるほど人気があったのか?」
「主人公ですからね。たぶん中を見るとアンチョビさんも描かれてますよ。この世界では、貴女がたの物語は『ガールズ&パンツァー』と呼ばれており、絶大な人気を誇っています。原作はアニメですね」
「……な」
驚愕の表情を浮かべた彼女は、声を震わせて続きを口にした。
「な"あ"に"ぃ""い"い"い"っ!?」
ありがとう、ドゥーチェ。
13 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 21:59:23.14 ID:ema8T1+O0
一つ一つ、探り合うように互いの認識を共有していった。
ガールズ&パンツァーとは。
戦車道とは。学園艦とは。大洗とは。
アンツィオ高校とは。アンチョビとは。
俺の見た世界と彼女の見た世界は同じだった。
けれど、彼女はその世界の渦中にいて、俺は外側にいた。
彼女はアンチョビ。
アンツィオ高校のドゥーチェ、アンチョビなのだ。
話が一息つくと、彼女はばったりとこたつ机へと倒れ込んだ。
「朝もそうやって寝てましたけど、机拭いてないから汚いですよ」
「ショックを受けてるんだ……そっとしておいてくれえ……」
「まぁ、気持ちはわかります」
14 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:00:26.28 ID:ema8T1+O0
自分は物語の中の、創られた存在だと判明したのだ。
そりゃあしんどいだろうと思う。
俺だって、今いるこの世界が小説の中の一ページだと言われれば、きっと自分の存在意義に苦しむ。
「夢か? 夢なのか? ちょっとほっぺたつねってくれないか」
「自分でやってください」
彼女は右頬を自分で引っ張る。
が、「痛い」とすぐにやめてしまった。
「ドゥーチェ、うどん好きですか」
「嫌いじゃない……」
「ひとまず、お昼ご飯にしませんか。近くにうまいうどん屋があるんです」
俺が誘うと、彼女は低く「行く」と言葉を返した。
15 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:02:43.39 ID:ema8T1+O0
「いらっしゃ――」
うどん屋の主人は、俺の背後に目を向けた途端に声をつまらせた。
が、無理矢理に「いませー」と言葉を繋げると、俺たちを二人がけの席へと案内する。プロだ。
注文を取りに来たおばちゃんは「コスプレ? コスプレ?」と楽しそうに訊いてくるので、「いやまぁそんなところかもしれないですねー」と適当に返しておいた。
おそらくおばちゃんは、アンチョビの着ているアンツィオ高校の制服のことを指しているのだろう。
確かにこれは、我々の世界では高校の制服と言うには苦しいところがある。
「服、買わなきゃいけないですね」
「ああ、そうだな。……て、そういえばわたし、お金も持ってないんだが」
「良いですよ、出しますよ。それなりに収入はありますし」
「すまん。落ち着いたら、わたしのできる限りのお礼をするからな」
「あんまりそういうこと言わない方が良いと思いますよ」
16 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:04:39.19 ID:ema8T1+O0
うどんが届き、互いに箸へ手を付ける。
薬味をからめた透き通るような麺が美味だ。
「アンチョビさん、これからどうするんですか」
「帰る方法を探す。それしかないからな」
「具体的に、どうやって?」
「……うーん、すぐには思いつかないが、まぁ、何とかなるだろう」
ごにょごにょとアンチョビは語尾を弱める。
彼女もわかっているのだと思う。
身よりも何もない、金も持ち合わせていない彼女が、この世界でたった一人で生きていく術はない。
帰る方法を探す以前の問題だ。
今の彼女は、何もできない。彼女には助けが必要なのだ。
そして、彼女の事情を理解し、助けになれる人間など、俺をおいて他にない。
その事実は、俺にとって大層嬉しかった。
17 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:05:58.04 ID:ema8T1+O0
「アンチョビさん。なんでしたら、うちを拠点にしてくれても構わないですよ」
「え?」
アンチョビの顔に生気が増す。
良かった、嫌悪感を示されたらどうしようかと思った。
「アンチョビさんさえ宜しければですけど。一人暮らしにしては広めの物件を借りてますし」
物持ちなので漫画と小説を押し込めただけの部屋が一つ余っている。
中身を整理すればなんとかあの部屋は空けられるはずだ。
アンチョビは「うーん」と唸り、返事をかえす。
「それは助かるが。迷惑じゃないのか」
「いえいえそんな。迷惑というかむしろなんというか」
これ以上言葉を続けるのはやぶ蛇だろうからやめておく。
18 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:07:34.47 ID:ema8T1+O0
「――まぁ、助かるなら、決まりですね」
悩んだところできっとアンチョビの答えは変わらない。
だからさっさとそう言ってしまうと、彼女もすぐに言葉をかえした。
「……うう、なにからなにまで世話になって申し訳ない。絶対にお礼はするからな!」
「いえ、ホントお礼とか良いんですけど」
「あ、それだ。そろそろ、それをやめよう」
「はい?」
「敬語だ敬語ー。わたしの方が年下なのに敬語とかおかしいだろー?」
あぁ、まぁ確かに。
こちらとしては全国的な有名人と接してる感覚なのだからそりゃあ敬語になろうものだが、向こうからすれば違和感もあるのか。
「じゃあ、はい。ここからはタメ口で。これで良い?」
「うん、良いぞ」
アンチョビは笑顔で答えた。
19 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:09:02.26 ID:ema8T1+O0
「じゃ、そうと決まれば時間もない。とりあえず日用品を揃えなきゃいけないよな。俺が買うのも何だから安斎さんの方で見繕ってきてよ」
「安斎じゃない! アンチョビだ!」
「あぁ、そこはアンチョビで通すんだ。了解です。はい。アンチョビさんで」
器はお互い空になっている。そろそろ席を立とう。
「行きますか」
アンチョビに声をかけると、店主に伝票を渡し金を払う。
店を出る前に、うどん屋までの道程でなんとなくアンチョビが寒そうにしていたのを思いだし、彼女へコートを手渡した。
目立つ制服も少なからず隠せるだろう。
20 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:11:10.06 ID:ema8T1+O0
「店を出て右手へずっと歩いて行くと――ええっと、でっかいショッピングモールがあるから。アンチョビさんはそこで必要そうなものを買ってきて。俺はその間に部屋を片付けとくから」
「お、おう」
「まぁまずはお金を卸しにいきますか。あんまり手持ちもないので」
生活のためのあれこれを揃えるには――とりあえず10万円くらいは彼女へ渡しておく必要があるだろう。
郵便局のATMはすぐ近くだ。
うどん屋を出て「こっち」と短く声をかけて歩き出す。
「なんかこれって、よく考えてみたら、ど、ど、ど、どうせ、同棲――」
ごにょごにょと呟く彼女の顔を振り返るのは、どうにも気恥ずかしくてできなかった。
21 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:13:39.58 ID:ema8T1+O0
アンチョビが我が家へ戻ってきたのは4時間後――16時頃のことだった。
部屋の整理も初めは2時間もあれば終わるだろうとたかをくくっていたのだが、漫画を段ボール5箱ほど詰めたところで時間切れとなった。
処分する漫画の選別をしたり、懐かしくて読み返したりなどしていたせいである。
つくづく駄目人間だ。
「ごめん。片付け終わってない」
「大丈夫だ! 二人でやれば早いぞ!」
笑顔で応えるアンチョビが眩しくて見ていられなかったが、手伝ってくれるというのは助かった。
「これはいるか」「どうかなー読むかもなー」
「保留だな。じゃあこれは?」「あ、読むかなーどうかなー」
というやり取りを幾度か繰り返したところで、アンチョビが「ふあああぁ! 保留のやつ全部処分で決定だあぁああっ!」と叫んだ。
段ボールは計12箱となった。
残った空の本棚は部屋の隅に寄せ、廃品回収を依頼。
段ボールの中身は某古書店に電話した。
22 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:16:38.05 ID:ema8T1+O0
さて、これで居住空間は確保できた。衣食住の、『住』だ。
寝具についてはあいにく寝袋と毛布くらいしかなかったので、注文した布団が届くまではこれで我慢してもらう。
俺のベッドは同人誌や脱ぎ散らかした衣類だらけの寝室にある。申し訳ないけれど貸すことはできなかった。
「『衣』は、とりあえず買ってきてもらったし、残るは『食』か。まぁこれもどうにでもなるだろ」
「あ、食といえば、ついでに夕飯の食材を買ってきたぞ」
「え? アンチョビさん、料理するの?」
「んー。なんだその言い方は。これでも料理は得意だぞ」
「でもうち、調理道具とかないけど」
「包丁とまな板くらいあるだろう」
「ないよ」
「これまでどうやって料理をしていたんだ!?」
「料理をしないので」
「しょ、食事はどうしていたんだ?」
「外食か、総菜か、コンビニ飯」
「今日から節約だ!」
節約だ節約だ、と騒ぐアンチョビを見て、そういえばアンツィオ高校は気が遠くなるような時間をかけて貯めたお金でP40を購入したんだったな、と思い出した。
まぁこれからのことを考えると、アンチョビの言う通り、可能な限り節約をした方が良いだろう。
23 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:17:56.85 ID:ema8T1+O0
「そんなら俺、ちょっと調理道具買ってくるよ。そういえば食器もないし食器も。何がいるの?」
「おー、それが良い。ひとまずお皿にフォークに、包丁とまな板、フライパン、あとは鍋だな。あ、それと調味料もないよな? まず塩とコショウと――」
アンチョビの並べる名詞が思いのほか多いので慌ててメモる。
「終わり! これで全部だ!」
「了解。ちなみに何作るの?」
「牛肉のラグーソースとサラダ、あとはトマトスープだな」
「赤ワイン買ってこよ」
「節約するって言っただろ!」
24 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:19:47.63 ID:ema8T1+O0
自転車でららぽーとへ。
言われたものを購入して家へ戻ると、19時すぎだ。
「急いで作るからな」と言うアンチョビは30分ほどで調理を終える。
「いやー、アンチョビさんの手料理が食えるとか感動しかないなあ」
パスタを口にいれると外食と遜色ないほど美味で、堪らずワインへ手が伸びる。
そして「幸せだなあ最高だなあ」とぐびぐびワインを飲みながらアンチョビと向こうの世界の話をしていると、いつの間にか日付が変わっているのに気付く。
彼女へ「寝まーす」と告げて、俺は寝室のベッドへ倒れ込んだ。
25 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:22:39.66 ID:ema8T1+O0
2017年11月6日。月曜日。
少しだけ痛みの残る頭を抱えながら寝室を出ると、普段の我が家にはない香りが漂っているのに気付く。
違和感を覚えながらもシャワーを浴びて洗面室でじゃこじゃこと歯を磨いていると、「おはよお」と声が聞こえた。
視線を送ると、ドアの隙間から半分だけ、彼女が綺麗な顔を覗かせている。
そこでようやく俺は、アンチョビが我が家にやってきていたことを思い出した。
「おはよう、何で隠れてるの?」
「うう、終わったら言ってくれえ。わたしも着替えたい」
あぁなるほど、寝起き姿をあまり晒したくないんだな、と合点する。
ぺっぺっと口内の水を吐き出しゆすぐと、ワックスで髪型を整え、寝室へ戻りスーツへ着替える。
26 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:24:56.74 ID:ema8T1+O0
「じゃ、会社へ行くので」
ドアごしに洗面室の中へ声をかけると、すぐさまアンチョビの声が返ってきた。
「もう行くのか!? 朝食はどうした!?」
「会社でコンビニ飯。あんまり時間ないし」
「駄目だ駄目だ! パンを焼くから待ってろ!」
扉が開く。
アンチョビは髪を解きフリースのパジャマという出で立ちだ。ほう。
まだシャワーも浴びていないだろうに彼女は先程の恥じらいなど忘れたかのようにキッチンへ向かい、器用にフライパンで食パンを焼き、上にチーズとハムを載せた。
「完成だ! ほら、すぐできただろ!」
「絶対旨いやつじゃんこれ……」
実際に口に入れてみると、想像の倍ほど旨い。
数分で完食してしまったが、その間にアンチョビは洗面室の方へ消えてしまっていた。
俺はドアの向こうへ「今度こそ行ってきますよー」と投げかけて家を出た。
27 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:27:27.36 ID:ema8T1+O0
電車に揺られて新宿の会社まで1時間強。
顧客から仕様の詳細を聞き出したり、コードを書いたり、部下のコードをレビューしたり打ち合わせしたりなどしていたら夜が更けていた。
リリースまで一ヶ月と少し。問題は山積み、追い込みの時期である。
忙しくてかなわない。
未だ社内に残る同僚や部下に「帰るわー」と声をかけ、電車でどんぶらこ、我が家へ着いたのは深夜23時だ。
「遅すぎだろ……何時間仕事をしてるんだ……」
「SEというのは不思議な人種ですよね」
俺を出迎えたアンチョビは、パジャマ姿ではあるものの、朝とは違い髪をリボンでまとめていた。
28 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:30:59.18 ID:ema8T1+O0
SNSで「夕飯いらないので」と伝えておいた(スマホは俺の予備端末を貸した)のだが、キッチンからはトマトの香りが漂ってきている。
アンチョビも食べずに待っててくれていた(天使か)し、俺の分を捨てるのももったいないし、なによりアンチョビの手料理なら是非いただきたい。
遅めの夕食とあいなった。
「夕食のついでに今後の作成会議をしたかったんだが、また今度にした方が良いか?」
「いやいや、また今度となるとたぶん次の土曜とかになるから、今日やろう」
パスタと昨日の残りのワインを取り、こたつの前へと座る。
向かいにアンチョビも座ったのを確認し、口を開く。
「ちなみに、布団はもう届いた? 段ボールの引き取りは?」
「両方終わってるぞ。ばっちりだ!」
「良かった良かった。じゃあこれでひとまず暮らすのに支障はなくなったわけだ」
「おー、戸庭のおかげだ。ありがとう」
「いやいやそんな」
こうも面と向かって礼を言われると照れくさくなってしまう。
29 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:33:54.08 ID:ema8T1+O0
「それじゃ、ようやく元の世界に帰る方法を探し始められるな。何か案はあるの?」
「仲間を探す。……こんな状態になっているのはわたし一人だけじゃないと思うんだ。わたし以外にも――ガールズ&パンツァーじゃないかもしれないけど、他の世界からこっちに出てきた人がいるかもしれないだろ。その人達を探すんだ」
なるほど、今日一日で考えをまとめたらしいな。
「ちなみに根拠はある? 手がかりは?」
「う……実は、昼間に思いついてからネットで調べてたんだが、まだ何も見つかってない」
無理もないだろう。普通に調べて出てくるようなものじゃない。
画面の向こうからキャラクターが現れたなんて大ニュース、実際に起こってたらすでに俺が知ってなきゃおかしい。
仮にあったとして、公表していないか、デマだとあしらわれているかのどちらかだ。
30 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:36:19.07 ID:ema8T1+O0
「一日二日で何か見つかったら苦労しないでしょう。俺は――まぁさっき『案はあるか』なんて訊いておいてなんだけど、まずは情報収集から入るべきだと思うけどね」
「情報収集? なんのだ?」
「この世界とアンチョビさんのいた世界との違い。そして作品内で描かれているガルパンの世界と、アンチョビさんのいた世界との違いだ。後者は結構簡単だと思うけどね。昨日も少し認識合わせしたけどさ。今度は実際にアンチョビさんが作品に触れてみようってこと。うちにBlu-rayとドラマCDは全部揃ってるから、とりあえず全部消化しよう」
「ドラマCDなんてあるのか……」
「うん、これとか」
ドラマCD2巻の武部沙織によるアンツィオ訪問を流し始める。
と、初っ端で登場した自分の声に、アンチョビは「はあああっ!? なんでこんなものが録音されてるんだ!?」と叫んだ。
「マイクがどこかに設置されてたのか!? どういうことだ!?」
「あ、やっぱそういう認識なんだ。じゃあこっちは?」
今度はドラマCD4巻の戦車道講座(乗車編)だ。
31 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:38:44.22 ID:ema8T1+O0
「……あぁ、これは覚えてるぞ。カットされるかと思ってたところも全部収録されててびっくりした」
「収録? 向こうだとどういう扱いなの? これ、こっちのファンとしては『月刊戦車道のドラマCD版ってなんやねん』みたいな反応だったんだけど」
「月刊戦車道の公式サイトで配信したんだ」
なるほど、きちんと補間されてるなあ。
「まぁこの調子ならスムーズに進められそうかな。じゃ、一旦明日はこれをよろしく。仕事から戻ってくるまでに、ある程度、差異をまとめておいてくれると助かる」
「おお、了解だ!」
応えたアンチョビは、伏し目がちに言葉を続ける。
「……な、なんか、今日の戸庭は昨日よりも頼りになるような気がするな」
「脳みそが仕事モードになってるんですよ」
今日の作成会議はこれで終わり。
続きは明日だ。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/15(日) 22:38:45.64 ID:TELzLe0d0
三大珍味の話ではなかった…?
33 :
◆JeBzCbkT3k
[sage saga]:2018/07/15(日) 22:40:43.12 ID:ema8T1+O0
>>32
すまんかった。ガルパンです。
34 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:44:01.59 ID:ema8T1+O0
2017年11月7日。火曜日。
通勤電車の中で考える。
何故、アンチョビが現れたのは我が家だったのか。
もしかして、アンチョビは俺の妄想の産物なのではないかとも考えた。
漫画や小説でもよくあるだろう、俺がそれを願ったから、神様だか仏様だかがそれを叶えて彼女は現れた。
しかし、彼女はどうやら俺の知らない事実を知っているようだ。
アマレットの件が良い例だ。
俺が創りだした存在なのだとしたら、おそらく俺の脳内にないことは出てこないんじゃないかとも思う。
アンチョビの教えてくれた、俺の知らないガルパン世界の情報。
それが今後のメディア展開で明らかになる情報と一致すれば、また一つの指標にもなるだろう。
35 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:47:03.42 ID:ema8T1+O0
話を戻して、どうして我が家なのか。
これについて、今日のところは結論を出せなかった。
けれど、考えることに意味がある。
少しずつ情報を整理すればいつかゴールにも辿り着けるだろう。
家へ帰る。と、部屋が綺麗に片付けられているのに気付いた。
床にはホコリ一つないしどうもトイレや浴室なんかも掃除されているようだ。
「え、これ全部アンチョビさんやったの」
「他に誰がいるんだ!」
「なんかすみません」
リビングで腰を落ち着けて、再び作戦会議。
今日の夕飯はホワイトシチューとパンだった。
「そろそろ米が食べたいなあ。日本食は作らないの?」
「この家には炊飯器がないんだが。買って良いか?」
「あ、はい。ホントすみません。炊飯器含め、調理道具やら調味料やら好き勝手に購入していただいて良いので」
アンチョビにはまとめて数万円を渡してある。
足りなくなればアンチョビの方から申し出てもらうシステムだ。
ネット通販も自由に使って良い旨伝えてある。
36 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:48:36.62 ID:ema8T1+O0
「まぁその話は置いといて。じゃ、始めようか。アンチョビさん、報告をどうぞ」
「ああ。結論から言うと、勧めてもらったアニメとドラマCDに関しては、わたしの認識とのずれは一切なかったぞ」
「に関しては?」
「漫画とか小説も読んでみたが、そっちは記憶にないことが多かったな」
「確かに、そもそもコミカライズ版とか全然性格の違うアンチョビさんもいるし。記憶にない方はあくまでパラレルワールドの物語なんでしょう」
「パラレルワールドっていうのがよくわからんが、たぶんそういうことだな」
37 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:50:30.39 ID:ema8T1+O0
「あ、そういえば、アマレットって出てた?」
「おー。えっとな――――この子がアマレットだ!」
俺のPCを操作し、キャラクター画像を表示させる。
「Si子! Si子じゃないか!」
なるほどなるほど、となると。
「他にも言ってた、ジェラートとかも出てるの?」
俺が言うと、アンチョビは「いるぞー」と答え、OVA版を流し始める。
アンチョビが皆の前で演説をしているシーンだ。
配下の生徒を指さし、アンチョビは、「これがジェラート、これが――」と次々に口にする。
しかし、その口調から徐々に元気がなくなってきた。
一度言葉を切り、彼女はしんみりと呟く。
「……あの子たち、心配してないかな」
あぁ、ホームシック的な。
38 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:52:19.06 ID:ema8T1+O0
「向こうがこっちの世界と同じように時間が流れてるとは限らないよ」
「どういう意味だ?」
「アンチョビさん、こっちの世界に来た時、向こうでは何月だった?」
「12月だ。もう少しでカルパッチョの誕生日だった」
「こっちはまだ11月の初旬だよ。日付が一致してないんだから、極端な話、向こうの時間はいま止まってる可能性だってある。アンチョビさんがガルパンの世界へ戻った時、向こうでは全く時間が経過してないかもしれないよ。だから、そんなに焦る必要はないと思う」
「お、おー。賢いな! 戸庭!」
「それなりに小説読んでるからなー知識があるんすよねえ」
はっはっはと笑い、大人げなかったと反省して声のトーンを戻す。
「とにかくまぁ、こうして少しずつ情報を集めていきましょう。次は、この世界とアンチョビさんのいた世界との違いだ。でっかいところでは、世界の歴史や地形、ちっさいところでは存在するお店やブランド、漫画辺りかな。アニメ観る限り、とりあえずサンクスとか大洗の店舗はあるみたいだけど」
「おー! 任せとけ!」
39 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:56:05.88 ID:ema8T1+O0
2017年11月12日。日曜日。
簡単な朝食を済ませ、リビングでアンチョビと向かい合う。
久しぶりの休みなので(昨日は休日出勤だった)、今日は長めの作戦会議だ。
「そろそろ立ち直りました?」
「さすがにな。気落ちばかりしていても仕方ない」
水曜日のことだ、家に帰るとアンチョビが死にそうな顔でこたつに突っ伏しているのを見つけた。
この世界に『戦車道』が存在しないという事実がショックだったらしい。
続けざまに彼女は、学園艦、アンツィオ高校なども、全てこの世界には存在しないことを知った。
先週の段階で俺が話しておけば良かったのかもしれないが、だとしても受けるショックは変わらないだろう。
アンチョビは「薄々勘付いてはいたんだがなあ」とぼやきつつも、見るからに意気消沈していた。
おそらく彼女自身、ようやく別の世界に来てしまったのだという自覚が出てきたのだと思う。
40 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 22:58:28.27 ID:ema8T1+O0
ぱんぱんと頬を自分で叩き、アンチョビは威勢良く口を開く。
「さて、始めるぞ!」
「はい、どうぞ」
この数日間、アンチョビは俺のPCを介してどっぷりとこの世界に浸かっていた。
ネットにない情報は市の図書館で。
4日間もの時間を費やした彼女は、ニュースもろくにみない俺が持ってるくらいの情報はあらかた頭に叩き込んだことだろう。
「――まず率直な感想だが、この世界、大丈夫なのか」
「あー、そういう話になります?」
「戦車道がないのは、戦車がまだ実戦で使われてるからだろう。ていうか終末時計ってなんなんだ!」
「いやいや、実際アンチョビさんが思ってるのより世紀末感は薄いと思うよ。人類滅亡寸前ってことはない。それに、どうせアンチョビさんの世界とは関係ないんだし、こっちの世界のことは良いじゃん」
「んー、そういう話でもないんだよなあ」
41 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 23:01:13.16 ID:ema8T1+O0
「とりあえず置いておきましょう。はい。で、本題に戻して、じゃあアンチョビさん、以上の情報を踏まえて、案は何か浮かんだ?」
「……まぁ良いか。もちろん案はあるぞ。まずな、あんまり認めたくはなかったんだが、やっぱりガルパンの世界は創られたものだってことが実感できたんだ。戦車が競技に使われるなんてこっちの世界じゃありえない。だからこそ、娯楽として楽しめるようにガルパンが生まれた。わたしの世界との比較をすることで、それがよくわかった」
「元々この世界にいた自分としては、自明のことだな。それで?」
「だったら、ガルパンを創った人たちが、何か知ってるんじゃないか?」
ガルパンを創った人たち。
「ガルパンは創られたものだ。それは認める。だが、もしかしたら元になった何かがあるかもしれないだろ。その何かは、わたしと同じように、この世界へやってきたガルパン世界の誰かかもしれない。そして、ガルパンを創った人は、そこから着想を得たのかもしれない」
なるほど、単なる可能性の一つではあるが、確かに制作陣に事情を訊いてみるというのは、かなり有効な手だと思う。
懸念があるとしたら――、
「会ってくれるかどうかが、問題かなあ」
「それだよなあ」
アンチョビが天井を仰ぐ。
42 :
◆JeBzCbkT3k
[saga]:2018/07/15(日) 23:07:52.87 ID:ema8T1+O0
「向こうから見たらこっちはただのファンに過ぎないわけだし、難しいかもね」
「まぁ、やってみるしかないだろう。正直に全てを話すんだ」
「頭のおかしい奴だと思われて終わるんじゃないかなあ」
「やってみなきゃわからないだろ〜!」
アンチョビが可愛く唸るのでさすがにこれを無下になどできない。
「うーん、じゃあとりあえず試してみますか」
「おー! そうだな! とりあえず制作会社にメールを送ろう!」
「いや、メールだけだとホント、マジで気が狂ってるんだと判断されて終わりだと思うよ。迷惑メール直行ですわ」
「じゃあ、どうするんだ!」
「直接、会いに行こう」
「え? どこに?」
今日が11月12日だから、ちょうど1週間後だ。
「来週、11月19日、大洗であんこう祭りがある」
43 :
◆JeBzCbkT3k
[sage saga]:2018/07/15(日) 23:10:13.98 ID:ema8T1+O0
疲れたので今日はここまでにしておきます。
(たぶん)明日再開します。
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/16(月) 04:18:03.88 ID:a8DPH2nDO
期待
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/16(月) 08:58:01.47 ID:hQn4GSq/O
俺嫁豚はハーメルンとかで書けよキモいから
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