【偽三次創作】どこかの誰かの話 その2【のんびり、まったり】

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195 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/04/06(月) 22:57:04.92 ID:tOBzwzn/0
さて、本編が反董卓連合編に突入しましたので、反則気味な方法で横着さん乱入です。

ーーーーーーーーーー

「ふん」
洛陽某所、我らがゴリラ親方こと横着、随分とご機嫌斜めであります。
「どうなされたのですか?」
むっつりと黙り込んだまま、嫁の問いかけにも答えず苦虫を数万匹単位で噛みつぶしたような表情でただ座っている。
こういう時の横着は触らない……嫁が触れてもどうということはないがそれでも夫の不機嫌さの原因が何となくわかる以上触れる気がしない……
そう決めている横香は、ただ側で黙って針仕事をしている。
「阿呆どもが」
「どなたがですか?」
針仕事を続けたまま、夫の言葉にそう返す嫁。
「どいつもこいつもだ。命を何だと思ってやがるのか」
「まぁ兵なんて偉い方々からしたら単なる使い捨ての駒ですから」
「その駒にも駒の人生があるんだがな」
「そんなこと考えて戦に出られるのは旦那様くらいですよ」
「だから腹の虫が収まらんのだ。あいつらはどれだけの覚悟で戦をやろうというのか。どう見ても己の欲得で言いがかりをつけてるとしか思えん」
「まぁ先様にも先様の事情が御有りなのかと」
「事情。か」
吐き捨てるように会話を打ち切る横着。横香はそのまま針仕事を続けている。
「なぁ」
「駄目ですよ」
ぴしゃりと夫の言わんとする事を拒絶する嫁。針仕事の手を止めると、

「死にに出る戦ならお止めください。というか具直、アンタアタシを置き去りにするつもり?」
「そんな訳あるか。牡芍を置いて死ぬつもりはねぇよ」
「なら、なんで袁に付いて出陣しないのさ」
「俺が?」
そこで初めて笑い声をあげる横着。否その笑いは哄笑と呼べた。
「ざけんな。袁の長女が手前で覚悟決めて出るってんなら息子共々付いていくだろうさ、けどな」
笑いの調子が嘲笑へと変わり、
「紀の怨将軍様に担がれて傀儡の大将ってんなら話は別だ。第一単なる権力争いだ。ついでに言やあいつら(袁)くそったれな事やらかしやがったからな」
「ここ(洛陽)の物の流れを見事に引っ掻き回したからねぇ。おかげで庶民は大事になっているしねぇ」
「宮中の切った張ったはまぁいい、皇帝が挿げ替えられたのもまぁいい。だがな、手前ぇらの勝手都合で民を巻き込むんじゃねぇよ」
だぼが。そう毒づく横着。
「『なら手前ぇが止めろ』と言われんのは百も承知よ。だがな、宮仕えがどこまで出来るかってなるとたかが知れてんだよ。
 だったら、せめてな紀のだぁほんだらに一喝くれてやろうかとな」
「まったく……」

溜息一つの横香。そのまま横着の胸倉を掴む。横着はなすがまま。
「いいかい。これだけは約束しておくれ。死ぬんじゃないよ。アンタはあの戦の時も必ず帰ってきてくれた、今度の事はアンタが喧嘩売りに行くだけの
 馬鹿やらかすだけだからね。涼しい顔して五体満足で戻っておいで」
そう言うと、自分から情熱的に口吻を交わす横香。横着から唇を離すと、
「これは約束の証だかんね。ちゃんと帰ってきたら、その時は」
「ああ、存分にな。気絶しても止めないからな」
「一言多い!」

「まぁあいつらも腕に覚えある奴は欲しいだろうし、せいぜい暴れてやろうか」
そこには袁の臣でも、漢文官でもない、『悪人の上前をはねる悪党』と恐れられた若き日の横超過の表情がよみがえっていた。
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