【偽三次創作】どこかの誰かの話 その2【のんびり、まったり】

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12 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2018/07/20(金) 23:43:46.51 ID:+iNJuFRk0
前スレ972よりの続きです。いい加減横着さんを洛陽に連行せねばw



で、阿呆もとい阿彭様の為の宴席が設けられた。場所は陳留城下の高級酒家である。

「まぁしかし随分と張り込みやしたねぇ」
店を紹介し、宴会の算段を調え、支配下の妓楼から綺麗どころを結構引き連れてきた親分が、感心とも呆れとも取れる口調で感想を言う。
「流石に俺一人ではここまでは出来んよ。幾らかは曹家からも出ている」
宴は結構順調に進んでいるようで、阿呆の品のない笑いが控えの間のこちらにまで聞こえてくる。
それを耳にしながら、費用の舞台裏を親分に明かす。
「さいで。しかしあんな役人にあれだけのもてなしとは、太守様も何を考えているのやら」
「さてな。ま、ろくでもないというか、阿呆には最悪の結末を用意しているみたいだが」
阿呆は知らずにたかりに来たようだが実は曹操様、正式に陳留太守に任じられた。故に阿呆にこれだけの供応は不要なのだが、
『あら、折角貴方がお膳立てしたのだから最後までちゃんと利用しないとね』
悪い笑顔であっけらかんと返事した曹操様には流石に苦笑するしかなかった。

「横超過よ、そろそろだぞ」
許将軍が宴席を抜け出して次への進展を促しに来られる。
「ということは、夏候惇殿が噴火寸前。ということですかな」
「うむ。何とか持ちこたえていたが奴め調子に乗って曹操殿を随分と悪しざまに言いよった。早くせんと阿呆の首が飛ぶか、それとも半殺しか。
 宴席が血で染まるぞ」
阿呆がやらかした事とそれが供応役である夏候惇殿を本気で怒らせたという事態を知らされ、即座に、
「それはいけません。親分、行くぞ」
「へい」
三人で宴席へと急ぐ。

「貴様ぁ、宮中の官人だかなんだか知らぬが主を侮辱してただで済むと思っておるのかあっ!」
慌てて飛び込んだ私の視界に、夏候惇殿が阿呆の胸倉を掴んでいる姿が入った。すぐさま、
「よさんか、夏候惇殿」
間に割って入り、二人を引きはがす。かなり強く胸倉を掴まれて襟首を絞められていたのであろう阿呆の顔色は真っ青である。
急に解放されて呼吸が可能になった阿呆、激しくむせこみながらも、
「ゲホッ。恐れ多くも皇帝陛下ゲホゴホッ、より、官職を任じられたこのわしにっ、なんという狼藉じゃ!」
顔を真っ赤にして怒り狂う。が、

「そらま、主を馬鹿にされて怒らない忠臣はいねえよ」

冷静に突っ込みながら阿呆の片腕を極めて、床に転がす私。尚も騒ぎ立てる阿呆に、
「おい……お前さん、太常府の偉いさんだとか僭称してやがったな?お前さん、六品官じゃねえか。調べたらすぐわかったぞ」
無茶ぶり軍師殿に調べてもらった結果を冷酷に突き付けてやる。
たちまち赤くなったり青くなったり、忙しく顔色を変化させる阿呆に、
「第一な、曹家というか曹孟徳様が正式に陳留太守に任じられたんだよ。それくらい調べてから集りに来いや、木っ端がぁ!」
とどめの一言をかます。


結局、単なる小役人なので、
「いくら人手が欲しいといっても使い物になるとは思えないし、第一こんなブ」
以下壮絶すぎる軍師殿の罵詈雑言だけの酷評すら生温い講評でとどめを刺された阿呆はそのまま拘置され、今回の悪行と罪状を記した文書と共に洛陽に送還される事となった。


だが、宴の料理だ酒だはまだまだ残っているし第一酒家の主が、
「お代は予め頂戴いたしましている以上、せめて今お出しできるモノまではお運びさせていただかないと」
と随分頑固に引き留めてきた。
こちらとしては、騒ぎを起こした身なのでそのままお開きもやむなし。と思っていたのだが、
「曹操様から『日頃の労とここまでの功に対する褒賞代わりに受け取りなさい』と言付かっております。それに横着様、貴方様も費用を拠出された身。
 何も飲食されずにお帰りとは随分ともったいなくはございませんか?」
主の説得に、そういうことなら、と改めて席に着くこととした。が、親分と許将軍様にも、
「お付き合いしてくださいよ」
「わしは構わん。飲み直しじゃ」
「あっしもお相伴にあずかれるのですか」
更に夏候惇殿も、
「横着ー飲み直しだ飲み直し」
となぜか隣に座らせられて、結局朝まで痛飲する事になった。ちなみに親分からなにやら言い含められていた綺麗どころ達も最後まで付き合ったどころか、
しきりに秋波を送られ続けていたが、断じて浮気はしていない。
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