【たぬき】早坂美玲「ウチの七日間妖怪戦争」

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1 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2018/07/13(金) 01:38:03.24 ID:w37DgofV0

 モバマスより早坂美玲と小日向美穂(たぬき)達のSSです。
 独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。


 前作です↓
【たぬき】小日向美穂「お弁当戦線異状なし」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530984089/

 最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1531413482
2 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2018/07/13(金) 01:38:56.22 ID:w37DgofV0


 夏だった。


 どこもかしこもバカみたいに暑くて、新幹線から降りるなりウンザリだ。
 セミがミンミン鳴いてる。その鳴き声にまでも熱があるような気がした。

 東京。

 ヤツはここにいる。


「――よしッ」

 ふん、と気合を入れ直す。


 ウチは、ここに遊びに来たんじゃない。

 戦いに来たんだッ。

3 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:39:44.96 ID:w37DgofV0


  ◆◆◆◆


  ―― 7月某日 事務所


P「事務所のエアコン蛾物故割れた」

周子「のっけからバグっとるやないかい」

P「のうみそがゆだる」

ちひろ「お決まりの展開ですねー」

P「あぁあぁあぁ! 暑い! 暑すぎる!! 空調の整備もできんで何がクールビズか!!」

楓「プロデューサー。クールビズというのは、暑い夏の日にぐいっとビールを一気飲みすることですよ」

P「それはビールクズです戻してきなさい」

楓「あら、いいんですか? 冷凍庫で凍る寸前まで冷やした缶ビール……」ピトッ

P「キンキンに冷えてやがる……っ」

P「……じゃない! ノー! ビールクズダメ!」

楓「あら残念♪」

4 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:40:49.83 ID:w37DgofV0


美穂「ぽこ」タヌキ

紗枝「こん」キツネ

智絵里(グテー)ウサギ


P「あのキュートどうぶつトリオは揃って何してんの」

周子「冷たい床にべたーって伸びて涼をとってるんやって」

P「かわいいなおい」

P「はぁ……確か冷凍庫に買い置きのアイスがあったはず……」

周子「あゴメンあたしが今食べてるので最後だわ」ペロペロ

P「…………」

周子「……いる?」

P「それは色々と際どいのでいいです……」


 ミーン ミーン


P「あ゙づい゙」

周子「暑いねー……」

ちひろ「ですねぇ……」

楓「壊れたエアコンは、ホットけませんね……」

5 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:41:56.12 ID:w37DgofV0


小梅「涼しくなる話、してあげよっか……」ニュッ

P「ぬおっ出たな夏の風物詩」

周子「あーいいかもしれんね怪談。お願いしていい?」

小梅「わかった……。それじゃあ――――」

 〜(怖い話)〜

小梅「――――それでこの話を聞いた人のもとには三日以内に」

P「わかった! よくわかりました!! もういいッス!!」ゾワゾワゾワ

周子「ゾクゾク来るけど手加減してや! 夜眠れんくなるわ!!」オゾオゾオゾ

小梅「んぇへへ……♡」


P「は〜ぁ……仕事すっかぁ」

ちひろ「そうしてください」

P「…………………………」

P「あっちぃ! 汗が! 汗がダダ洩れるッ!」

ちひろ「んもー。そうやって暑い暑い言うから余計暑くなっちゃうんじゃないですか」

P「ちひろさんそのUSB扇風機俺にも貸してください」

ちひろ「いーやーでーす。買えばいいじゃないですか自分で」


 ミーン ミーン

6 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:43:14.65 ID:w37DgofV0


   〇


  ガチャ

アーニャ「ドーブラエ・ウートラ……おはようござ」


P「アーニャぁぁああああああああ!!!」

アーニャ「シトー? ど、どうしましたか、プロデューサー?」

P「アーニャ! 頼む! 後生だ! この通り!」

周子「神様仏様雪娘様!!」

ちひろ「このままじゃ仕事ができないんです!」

楓「クールにしてくれる子が来ーるー♪」

美穂「ぽこー!」

紗枝「こーん!」

智絵里(シュバババババババババババババ)

7 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:44:31.57 ID:w37DgofV0


  ひんやり〜


P「オォウ……天国ゥ……」

美穂「涼しいですねぇ〜……」

アーニャ「おカゲン、いかがですか?」

周子「ちょうどいぃ〜ん……さいこぉ〜……」

紗枝「極楽とはこのことやなぁ〜……」

小梅「わぁ……きもちいい……♡」

智絵里「生き返った気分です……♪」


ちひろ「ごめんなさいねアーニャちゃん、エアコンが壊れちゃったばっかりに……」

アーニャ「ニェット、謝らないでください。みんなの役に立ててとっても、嬉しいですね♪」

楓「アーニャちゃん、前より力を制御できてるようになってますね」

アーニャ「ダー! シキの家で、たくさんプラクティカ……練習、しました!」

P「アーニャは志希んちに居候してるからな。どうあいつ? ちゃんと家いる?」

アーニャ「アー、今朝、思い付きで一人でオキナワに行きました」

P「連絡つかねぇと思ったら!!」

8 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:45:51.57 ID:w37DgofV0


P「しかしアーニャ様々だなぁ。めちゃくちゃありがたいよ」

アーニャ「フフッ。そんなに褒められると、アーニャ浮かれてしまいます……♪」

P「いやいや、ほんとほんと。しかも完璧に力をセーブできてるじゃないか」

アーニャ「ダー! いっぱいがんばりましたっ」ヒュオオ

P「よっ、氷属性! カッコいい! 美人! 最高!」

アーニャ「ウフフフッ、プロデューサーはお上手ですねっ」ヒョオオオオ


P「」カチコチーン


美穂「プロデューサーさーんっ!!?」

小梅「わぁああ……『シャイニング』の最後のジャック・ニコルソンみたい……!」キラキラ

アーニャ「アア……ッ! イズヴィニーチェ! ついやりすぎてしまいました……!」


周子「テンション上がると出力も上がるんやなやっぱ」

智絵里「ふ、冬ごもりしちゃいそうですぅ……」

9 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:46:34.28 ID:w37DgofV0


   〇


P「お湯かけたら戻った」

周子「プロデューサーさんもだいぶ人間離れしてきてない?」

P「そんなことはないぞ。啓蒙だって低い」

こずえ「のうにひとみをー……」

P「今こずえいなかった?」

美穂「? こずえちゃんだったら、寮でお昼寝してましたけど」


周子「しっかし、エアコンが壊れたからアーニャちゃんの力に頼る、とは……」

ちひろ「いよいよ非日常が日常って感じになってますねー」

紗枝「ええやない。うちらにとってはこれが当たり前どす〜♪」コンコン

10 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:47:49.72 ID:w37DgofV0


 プルルルル プルルルルル


ちひろ「あら内線。はい、こちら第〇〇芸能課」

ちひろ「はい。……はい? え? はぁ、わかりました……」

P「なんですか?」

ちひろ「ええと……プロデューサーさんに、お客様が来てるそうなんですが」

P「客?」

ちひろ「アポありました?」

P「いや全然」

ちひろ「ですよねぇ」

11 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:48:51.41 ID:w37DgofV0


   〇


  ―― エントランス


??「…………」


P「…………えーと」

??「ふ〜〜ん……」ジロジロ

P「あのー」

??「なんだ。フツーの人間じゃんかッ」

P「あたりめーだ。啓蒙もゼロだわ」

こずえ「ちをおそれたまえー……」

P「ねえやっぱりこずえいない?」


P「って違う、そもそも誰だ君。どっかで会った?」

??「ふんッ。オマエみたいな冴えないオッサン、ウチが知るもんか」

P「それじゃますます何なんだよ……」

12 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:50:35.74 ID:w37DgofV0


   〇


  ―― 物陰


美穂「誰なんだろ、あの子……」

周子「ずいぶんパンキッシュな子が来たねぇ」

紗枝「またぞろ、プロデューサーはんがどこかで引っ掛けてきた子なんちゃいます?」

周子「言い方」


小梅「………………」


美穂「小梅ちゃん?」

小梅「あの目……」

美穂「目? 目がどうかしたの?」


周子「てか、エントランスなのに静かすぎない? あの子とプロデューサーさんの二人しかおらんやん」

紗枝「……これは……人払いのまじないやろか?」

美穂「え? まじないってどういう――」

13 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:51:25.00 ID:w37DgofV0


   〇


P「えーっとアイドル志望の子かな? それなら後日ちゃんと審査するから、相応の手順をだね」

??「はぁ? アイドルぅ? 何言ってんだよ、ウチがアイドルとかありえないだろ」

??「って、そんなことどうでもいいんだよッ。オマエに聞きたいことがある!」ビシッ

P「はぁ」

??「オマエんとこに女がいるだろ」

P「アイドルなら多数在籍しておりますですよ」

??「そういうことじゃないッ。最近、宮城から来た女だッ!」

P「宮城? それって――」


  ウイーン


まゆ「あら? 人が少ないですねぇ……」

まゆ「あ♡ おはようございます、プロデューサーさ――」

14 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:52:58.44 ID:w37DgofV0


??「いた……! おい、オマエッ!!」

まゆ「え?」

??「ようやく見つけたぞッ。ここで会ったが百年目だ――佐久間の蚕娘ッ!!」

P(まゆの正体を……!?)

まゆ「……」

??「宮城から追ってきたんだ! ウチのこと、知らないとは言わせないぞッ!」

まゆ「…………えぇと。すみません、どちら様でしょうかぁ?」キョトン

??「ずこーーーッ!!」

P(古典的にずっこけた!)

??「な、な、な……ッ!!」

まゆ「えぇとごめんなさい。まゆ、仙台にいた頃はあんまり人に興味がなくって……」

??「う、うぅう……」


美玲「美玲だ! 早坂美玲ッ!!」


まゆ「早坂――」

美玲「もういい、話は終わりだ! 行くぞッ!」

15 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:54:13.58 ID:w37DgofV0


  ザワ ザワ ザワ
   ワイ  ワイ


美玲「!?」

P「人が集まってきた……」

美玲「な、なんでだ!? 人払いの結界は張ってるのに……っ」


周子「――それってこれのことー?」ヒラヒラ

美玲「あ、それ……!」

周子「周りの壁に貼ってあったけど。てかシールなんだ。こういうのって普通お札じゃない?」

美玲「か、返せッ! ウチのだッ!」

周子「はい高い高ーい」ノビー

美玲「ああっこのっ、ずるいぞッ!」ピョンピョンピョンピョン

16 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:55:15.52 ID:w37DgofV0


P「…………えーっと。知り合い?」

まゆ「では、ないんですけど……」

まゆ(早坂は、確か……)

P「早坂さんだったかな。とにかく、ちょっと話をしてみるってわけにはいかないか?」


美玲「…………ふん、わかったよッ」

美玲「オマエら、そいつに誑かされてるみたいだからな。目を覚ましてやるッ」

まゆ「どっちかっていうと、まゆの方が誑し込まれちゃったんですけど……///」

P「人聞きの悪いこと言わない」ホッペプニ

まゆ「ひゃんっ♡」

17 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:56:26.12 ID:w37DgofV0


  ◆◆◆◆


 ……そう。ウチは遊びに来たんじゃない、戦いに来たんだ。

 悪い奴は絶対にやっつけてやる。どんな相手にも負けるもんかッ。

 って思って、ここまで来たけど――――


  ◆◆◆◆

18 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:56:56.23 ID:w37DgofV0


美玲「……」

アーニャ「チャーイ……お茶、ぬるかったら言ってください。すぐに冷やし直しますから」カチャ

美玲「…………」

芳乃「おせんべいをどうぞー」

美玲「………………」

うえきちゃん(…………)

美玲「……………………」

ひまわり星人(…………………………)


美玲「どーゆーことだこれはーッ!!」ウガーッ!!


P「わぁ!? な、何が!?」

19 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:57:48.38 ID:w37DgofV0


美玲「何がもナマハゲもあるかッ!! なんで同じとこに――」

美玲「化け狸とッ!」

美穂「ぽこ!?」

美玲「化け狐とッ!」

紗枝「こんこ〜ん♪」

美玲「化け兎とッ!」

智絵里(・x・)

美玲「あとなんだ、雪女か!?」

アーニャ「ニェット、少し違いますね? アーニャ、ドゥフ……精霊の、孫です」

美玲「あとあと……なんか、この、なんなんだこいつらは!!」

ひまわり星人(ニョロニョロニョロニョロニョロ)

うえきちゃん(シパシパシパシパシパシパ)

20 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:58:37.95 ID:w37DgofV0


美玲「どんな人外魔境だよ! 恐山か何かかここは!?」

P「東京の普通のアイドルプロダクションです……」

美玲「ンなワケあるかぁーッ!!」ガオーッ!!

P「ふぇぇ……」

ちひろ「思わぬところで常識的ツッコミを喰らっちゃいましたね……」

美玲「大体オマエらは何なんだ!? なんでこんなとこにいてヘーキなんだよッ!?」

P「慣れ……ッスかね……」

ちひろ「一応凡人のつもりなんですけどね私達」



芳乃「ふむー。驚かれるのも、無理からぬことでしょうー」

楓「問題はあなたが何者で、どうしてここに来たのか。ということですね」

美玲「はぁ、はぁ……そんなの決まってるだろッ」

21 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 01:59:47.42 ID:w37DgofV0




美玲「ウチは……コイツらみたいな妖怪を、祓いに来たんだッ!!」



22 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:00:32.82 ID:w37DgofV0


P「祓う!?」

紗枝「それはまた、思い切りのええことどすなぁ」

まゆ「……じゃあ、やっぱり……あなたが早坂家の当代なんですねぇ」

美玲「当代? ……ふん、家のことなんか知らないモン。ウチは自分で決めてここに来たんだッ」

美穂「ちょちょちょ、ちょっと待って! は、祓うってそんなっ! 私達は悪いことなんて――」

美玲「うっさい、てい!」ペタシ

美穂「ぽこーっ!?」ポンッ!

P「ああっ美穂の変化が解けた!?」

周子「おでこにシール貼っただけで!?」

美穂「ぽっぽこ、ぽこ〜っ!」サササッ

P「おおよしよし。今おでこのシール剥がして……あ、これ毛ぇちょっと抜けるな」

美穂「ぽん!?」フルフルフル


まゆ「……両親に言われたことがあります。早坂の者には気を付けろって」

まゆ「早坂家は退魔の家系。目を付けられれば祓いに来る、と……」


周子(蘭子ちゃん大喜び案件やん!)

P(この場にいなくて良かったのやら悪かったのやら……)

23 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:03:43.00 ID:w37DgofV0


楓「宮城の早坂といえば、源氏に起源を持つ退魔師ですね。代々、仙術や妖術を巧みに操るといいます」

芳乃「宮城と山形にはー、蔵王山を修験の場とする山伏の血族が多くあると聞き及んでおりまするー」

芳乃「それらが分派し、降魔の術を究めし家が生まれるもまた、自然のなりゆきかとー」

楓「刈田嶺には蔵王権現様が祀られていました。元はきっとそれを御本尊とする流派でしょう」



ちひろ(……わかります?)

P(ぜんぜんわからん)

周子(京の晴明公みたいなもんかいな)

紗枝(蔵王権現像いうたら、今は奈良にありましたなぁ)

智絵里(奈良にも凄い人がいるって聞いたことがあります……こわい)フルフル

24 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:04:48.49 ID:w37DgofV0


楓「それなりに長い家筋でしょうけど、こんなにお洒落で可愛い女の子がそうだというのは意外ですね」

美玲「おしゃれ……」ニヘッ

美玲「って違う! なんだよ、やけに詳しいな。どこのどいつだッ?」

楓「あ、申し遅れましたね。私は高垣楓といいます」

芳乃「わたくし依田は芳乃でしてー」

美玲「ヨリタ……ひょっとして鹿児島の依田か? なんか聞いたことあるぞ」

芳乃「大したことはありませぬー。ただの巫でしてー」

美玲「……タカガキは知らない。なんだオマエッ」

楓「それはそうでしょう。私はただの一般人なので♪」


周子「しっかし、見た目全然そんな感じに思えないんやけど」

P「ともかく……美穂、じっとしてろよ」ペリペリ

美穂「くーん……」ペリペリ

  ポンッ!

P「剥がれた!」

25 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:06:15.92 ID:w37DgofV0


美穂「ぷはっ! ま、まさかシールにこんな力があるなんて……」

芳乃「ほー……よく見れば、確かに相応の妖力が込められておりまするー」

楓「あ、ひょっとして封印(シール)とかけてます?」

P「なんで嬉しそうなんですか」

美玲「どうだッ。ウチなりのアレンジだ!」

美玲「お札バサバサとか数珠ジャラジャラとかホラ貝ぶおおおおとか、今どきダサすぎてやってらんないからなッ」


芳乃「」ガビーン


周子「芳乃ちゃんに流れ弾が!?」

美穂「すごいショック受けてる!?」

芳乃「法螺貝は、なういのではないのでして……?」

美穂「そ、そんなことないよ! すっごくイケてるよ!」

周子「ナウいも化石レベルの死語やけどね」


芳乃「」ガビガビーーン


美穂「しゅ、周子ちゃん〜!」

周子「あ、ごめんつい……」

26 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:07:37.51 ID:w37DgofV0


美玲「――さて、もういいだろ」


  ダンッ!


美玲「話は終わりだ! オマエらみんな祓ってやるから、そこになおれッ!!」

P「そっかー……え!? 今から!?」

美玲「当たり前だッ! 佐久間の娘が宮城を出たっていうから、どこで何をしてるのかと思えば……」

美玲「まさかこんな伏魔殿で群れてたなんてなッ。どうせロクでもないこと企んでたに決まってるんだ!」

まゆ「…………」

美穂「そんな、まゆちゃんは悪いことなんて……!」

美玲「問答無用ッ! まとめて片付けてやるッ!!」バサァッ


楓「……そうですか」

P「まずい! みんな伏せっ――――」


  シュルルルルッ

27 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:08:07.82 ID:w37DgofV0


  ニョロニョロニョロニョロニョロニョロ


美玲「な!? のわぁぁぁああああーーーーーーッッ!!?」

うえきちゃん(シュルシュルシュルシュルシュルシュル)

ひまわり星人(ウニョウニョウニョウニョウニョウニョ)

まゆ「あら、触手……」

ちひろ「あ、ごめんなさい。手持ち無沙汰だったんで、ついついお水あげすぎちゃいました」

P「やったぜちひろさん有能!」

美玲「んなッ、このッ、離せよッ! なんなんだコイツらッ!?」

P「花屋さんから買ったから多分花」

美玲「そんなワケな、あっちょっ、やめッ! くっくすぐった! ひゃひッ!? どどどどこ触ってんだぁッ!!」


 ウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネ……

28 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:09:11.92 ID:w37DgofV0


   〇


美玲「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」グッタリ


P「退魔師も変な花には相性が悪かったようだな」

ちひろ「思いっきり不意打ちでしたしね」

うえきちゃん(♡)

ひまわり星人(♪)

智絵里(;・x・)


まゆ「美玲ちゃん……あなたの言いたいことはわかります。でもまゆは……」

美玲「う……うるさい近寄るなッ! 今日は不覚を取ったけど、次は絶対負けないぞ!」


美玲「オマエら全員祓うまで諦めないからなッ! 首洗って待ってろーーーッ!!」


  タタタタタタ……


美穂「……行っちゃった」


29 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:09:52.94 ID:w37DgofV0


  ……タタタタタッ


P「あ、戻ってきた」

美玲「この辺にしばらく泊まれるとこ無いか?」

P「そこノープランなの!!?」

美玲「うるさいッ」

まゆ「驚きの体当たりっぷりですねぇ……」

P「お前が言うな」

まゆ「うふ♡」

30 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:13:02.26 ID:w37DgofV0


P「えぇ〜、でも飛び込みでこの辺だろ? しかも連泊?」スマホスマホ

P「……駄目だ全然無いぞ。どこも今日から埋まりまくりだ」

美玲「どっか無いのかよッ」

P「なぜ俺がホテルの検索を……お、あったあった。一拍のお値段こんなんですが」ゴージャスゥー

美玲「はぁ!? こっこっ、こんなに高いのか!? ウチ払えないぞ!」

美玲「帰りの新幹線代もあるし、動物園行きたいし、原宿にだって行くつもりだしッ!」

P「思ったより観光気分だった」

美玲「せっかくの夏休みだからなッ」フンス

美玲「……じゃない! じゃあウチどうすればいいんだ!? 野宿かッ!?」

P「うーん……あ、そうだ」


P「あのさ、この子寮に泊めてやってくんない?」

31 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:14:33.92 ID:w37DgofV0


美穂「!?」

紗枝「あらぁ」

智絵里「ふぇっ」

美玲「……なッ!? りょ、寮ってコイツらが……!?」

P「うん。この子らが集まって暮らしてるとこ。芳乃、いいか?」

芳乃「よろしきかとー」


美穂(で、でもプロデューサーさん、危ないんじゃ……!)ヒソヒソッ

P(芳乃がいるから大丈夫だ。それに、これまでの会話でわかったけど――)

P(悪い子じゃない。少なくとも、寝首を掻くようなことはしないだろう)

美穂(それは……そうかもしれませんけど……)

P(突き放して放っておくわけにもいかない。お互い敵同士のまんまってのも嫌じゃないか)

美穂(……ですね。わかりましたっ)

32 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:15:38.43 ID:w37DgofV0


美穂「ねえ美玲ちゃん、もし良かったらうちに来ない?」

美玲「な……う、ウチに敵のアジトまで来いっていうのか!?」

美穂「私達は敵じゃないよっ。寮のみんなも良い子ばっかりだし、ね、まゆちゃん?」

まゆ「……ええ、そうですねぇ。まゆが保証します」

まゆ(この子が何を考えてるのかは、そばにいないとわからない……)

周子「ま、ええんちゃう? 女の子一人を夏の東京にほっぽり出すわけにもいかんでしょ」

周子(どっかから襲撃されるよか、近くで見てるのが得策かねぇ)

小梅「私も……賛成……」

小梅(きっとその方がいいから……あなたも、そう思うでしょ……?)

あの子(コクコク)フヨフヨ

美玲「う……うるさい! その手には乗らないからな! 祓うぞ、封じるぞ、ひっかくぞッ!!」


  グゥ〜


美玲「あ……」

33 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:16:45.16 ID:w37DgofV0


P「……腹減ってんの?」

美玲「減ってないッ! ずっと探してたから何も食べてないなんてことないぞッ!」

ちひろ「語るに落ちまくりですね」

紗枝「せや、今日のお夕飯は何やったやろか?」

智絵里「えっと確か夏キャベツを使った冷しゃぶと、カレーコロッケ……ですよね、まゆちゃん」

まゆ「新鮮な夏野菜がたくさん買えましたからねぇ♪」

美玲「ううっ」ググゥ〜

芳乃「美玲さんー……。お役目を持つ者として、あるいは譲れぬ一線もあるやもしれませぬがー」

芳乃「せめて夕餉の時は、互いに心穏やかでありたいものですー」

楓「ディナータイムは、敵味方無しでなー……ですね。ふふっ」


美玲「………………わかったよ」

美玲「オマエらが何企んでるのか、この目で見てやるッ」

34 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:17:54.45 ID:w37DgofV0


  〇


  ―― しばらくして 女子寮


美玲「」


こずえ「おかえりー……」ヒョコッ

イヴ「お外、暑くありませんでしたか〜?」

ブリッツェン「ブモフー」ブルルンッ

菜帆「冷たい麦茶がありますよ〜♪」


美玲「」


みく「そのコが電話で言ってたお客さん?」

響子「いらっしゃい! 今からご飯作りますからねっ」

小梅「入って……大丈夫、みんな友達だから……」


美玲「ウ……ウチは……」

美玲「ウチは負けないッ! ゼッタイ負けないんだからなーーーーーッ!!」ウガーーーッ!!

35 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:21:32.47 ID:w37DgofV0


   〇


  ―― 食堂


一同「いただきまーすっ!」

響子「はいっ、召し上がれ!」

まゆ「たくさん食べてくださいねぇ♡」

美穂「うん、おいしいっ! ……でも」


美玲「…………」ウー


みく「……すみっこでめっちゃ威嚇してるにゃ」

美穂「やっぱりまだ警戒してるのかなぁ……」


由愛「……」ガタッ

美玲「わ。な、なんだオマエ! 近付くなッ」

由愛「あの……これ、カレーコロッケです」スッ

由愛「カレー味で……新鮮なコーンとか、チーズも入ってるんです。おいしいですから……ね?」

美玲「ごくり……」

美玲「そ、そんなに言うなら……食べてやんないこともない」パクッ


美玲「!!!」

36 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2018/07/13(金) 02:22:56.99 ID:w37DgofV0


美玲「はむっ、はふはふッ、んふっ、もぐもぐもぐ……ごっくん!」

周子「おー、ええ食べっぷり」

美玲「なんだこれウマッ……あ、いやそのッ」

まゆ「うふ。それ、まゆが揚げたんです♪」

由愛「おなかすいてたんですよね。あの、まだたくさんあるから……」

由愛「良かったら……座って一緒に食べませんか?」

美玲「あ……えと……」


美玲「……う、ウン」


輝子「フヒ……どうぞお隣へ……」ガタッ

小梅「……♪」

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