【ミリマス】令嬢らは媚薬で抑えられない!

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1 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:19:47.17 ID:HZVkJLTW0
【一 腐れ鳥は爛れた夢を見る】

・ここはご存知765プロダクション

小鳥「うふふ、ふふっ、ふっふっふー♪」

小鳥「天知る地知る人が知る。そして何より我が知る……!」

小鳥「ある時は怪しい露店を巡り回り。またある時はネットの闇をさらいすくい」

小鳥「業務の合間の時間を縫って探し求めたかの秘宝」

小鳥「その効果が絶大過ぎた故に、発売禁止を喰らった幻の!」

小鳥「あっ! 幻の香水『リタンガルヤ』! 又の名を媚薬『ヤリタガルン』!!」


小鳥「はぁーん……。今月先月先々月と肴のグレードを落とした侘しい晩酌が続いたけれど」スリスリスリスリ…

小鳥「プロデューサーさんを混ぜた飲み会にも行けなかったけれど!!」ダンッ

小鳥「ぬふふふふ……! この、魚の醤油さしに偽装された中身を一吹きするだけで――」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1531149586
2 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:22:37.26 ID:HZVkJLTW0
===

カツ、コツ、カツ、コツ、カツ……。

A男「おい、見ろよあそこにいる女」

Y男「どれどれ……。おっと! コイツはスゲェ」

C男「ヒュー♪ たまんねぇフェロモンバリバリだぜ!」

小鳥(うふふふふ。みんな私を見てる見てる!)


小鳥「って、あ痛ぁーっ!?」ドカッ

E男「おっと失礼。ついアナタの美しさに気を取られて……」

E男「道を譲るのを忘れてしまったようだ。お怪我はありませんかマドモアゼル?」

小鳥(うはっ! 絵に描いたようなイケメン登場!!)

小鳥「え、ええ。お気遣いなく……っ!」ジクリ

E男「!! いけない、膝を擦りむいている。……御免!」サッ

小鳥(ピヨぉ!? お、おおおおお姫様抱っこ!!?)フワリ…

E男「向こうにある静かな部屋で手当しましょう。……ヨードチンキを使っても?」

小鳥「け、結構ですわ、ムッシュー……ぽっ」

ギギィ……バタン。あっ、そんな……凄く赤いチンキを……
ちょく、せつ、なんて……あっ、ああ! あああぁぁぁぁ〜〜〜……!!
3 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:24:13.14 ID:HZVkJLTW0
===

小鳥「なーんて! なーんてっ!! しーみーるーわー、でゅふふふふふふふふっ!!!」バンバンピーヒャラ

P「いやー。えらく楽しそうですね小鳥さん」

小鳥「ぴっひょほぉぉおおおっ!!? プププププププロデューサーさん!!」ガタタン!!

P「どうもどうも。社長に呼び出されてやって来たんですけど」

P「留守ですかね? 小鳥さんしか見当たらないようじゃ」


小鳥「あっははは、ははは! そ、そうなんですよ!」

小鳥「社長ったら、今度プロデュースしてもらう予定のユニットを紹介するのに」

小鳥「どうしてもガイトウが必要になると言って」

P「ガイトウ? ……っていうと、あの道に生えてる」

小鳥「そりゃ街灯」

P「演説カーが」

小鳥「それ街頭」

P「お客様の中にお医者様は――」

小鳥「該当するのは私です。――って、下らないことさせないでくださいよ!」バシッ

P「ああ! まだ注射器ネタが残ってたのに!」
4 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:26:02.39 ID:HZVkJLTW0

P「……まあいいや。それならそれで、社長が戻るまで待ってますよ」

小鳥「ええ、大人しくそうしてください。そうだ! お茶でも入れてあげますね」

P「嬉しいなぁ。ありがとうございます小鳥さん」

小鳥「いえいえうふふ♪ それでは――」トコトコトコ


P「……行ったか」

P「さて、彼女がいない今のうちに」クルッ

机の上のリタンガルヤ「やっほ」

P「コイツを隠しておかないとな。全く、偶然彼女の妄想に鉢合わせたからいいものの」

P「許してください小鳥さん。これも同僚としての優しさです!」シマイシマシ

P「アナタを三面記事に載るような犯罪者には出来ませんからね」フィー


P「で、次は――」

P「小鳥さーん! 社長の件ですけどー」

小鳥「はーい?」

P「俺、この後に予定があるの忘れてましたー。また後で寄るって伝えておいてくださいー」

小鳥「えぇっ!? そんな、今お湯を沸かし――わっちゃ!?」ドンガラガッシャーン!

P(チャンス!)

P「お大事にっ! 失礼致しましたー!」ドタドタドタドタ…!
5 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:27:44.17 ID:HZVkJLTW0
【二 コロッケにゃソースだソイソース】

・こちらはお馴染み765プロライブ劇場。
・その事務室。

 てってってってってって、ガチャ

P「はー。ただいま戻りました」

千鶴「あらプロデューサー。丁度いいところにお帰りになって」

P「千鶴さん? どうかしたんですか」

千鶴「いえ。急ぎの用事はありませんが」

千鶴「ウチのシェフが拵えたコロッケを配っていたんですわ」ニッコリ
6 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:28:56.59 ID:HZVkJLTW0

P「ああ、こりゃどうも。いつもいつもすみませんねぇ」

千鶴「もう、プロデューサーったら。それは言わない約束ですわよ」

P「でもホント、千鶴さんの差し入れてくれるコロッケはいつでも美味しいのなんのって――」スッ

千鶴「っ!」ヒョイ


P「……なんで入れ物を遠ざけるんです?」

千鶴「食べる前には手を洗っていらっしゃいな。仮にも食中毒なんて起こしたら――」

P「ああ、はい、一大事ですよね! ……い、急いで洗ってきますから睨まないで!」

千鶴「素直でよろしい。さぁ!」

P「行ってきます!」バタバタバタ
7 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:30:16.74 ID:HZVkJLTW0

千鶴「……ふぅ」

千鶴「全く、普段の業務ではミスも抜かりも少ないのに、それ以外についてはからっきし」

千鶴「劇場にはフードコートもあることですし、一度衛生管理については徹底的に――あら?」


偶然床に落とされてったリタンガルヤ「どうも」


千鶴「これは……醤油さし?」

千鶴「プロデューサーが落としたのかしら。でも、どうして彼はこんな物を……」

千鶴「…………」ムーン

千鶴「まぁ、深く考えるほどのことも無いですわね。大方お弁当についていた物をポケットか何かに仕舞い込んで」

千鶴「そのままにしてあったのかもしれませんし。……えぇっと、ウェットティッシュはあったかしら?」
8 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:31:28.91 ID:HZVkJLTW0

キュッキュッキュ……。

千鶴「ふふっ、アルコールも使って除菌完了」ニッコリ

千鶴「……とはいえこれではわたくしも、彼のことをあまり強くは言えませんわねぇ」

千鶴「大体封も開いていない新品同様のお醤油を、後生大事にポケットに仕舞っておくだけなんてことは」

千鶴「例え天地神人が許しても、この二階堂千鶴は許しません!」カカン!

千鶴「ああ、勿体ない勿体ない……」ブツブツブツ


P「……? 何をブツブツ言ってるんですか千鶴さん?」

千鶴「わひゃあっ!?!? プッ、プププププププププ――」ワタタタタ

P「プリンプリン?」

千鶴「ぶっ、無礼ですわよプロデューサー! レディの後ろに突然現れるだなんて!」
9 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:32:42.14 ID:HZVkJLTW0

P「そうは言っても、出入り口が千鶴さんのちょうど真後ろですし」

千鶴「あ、あら本当」

P「ね?」

千鶴「…………」

P「…………」

千鶴「……おほん!」


千鶴「とにかく! 手はしっかり洗って来ましたわね?」

P「ええ。爪の間までバッチリです」

千鶴「良いでしょう。では、今度こそ差し入れのコロッケを」

P「へへぇ、有難く頂戴致します!」

千鶴「別にそこまでかしこまらなくても良いですのに」
10 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:33:45.41 ID:HZVkJLTW0

千鶴「とはいえ、ご堪能なさって下さいまし」

P「じゃ、いただきまーす!」

もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

P「うん、美味しい!」

千鶴「おーっほっほっほっほ……けほん、げほん! と、当然ですわ!」

千鶴「何せ、今朝もわたくしがジャガイモの皮を一つずつ丁寧に――」

P「はい?」

千鶴「い、いいえ! ウチのシェフ自慢の一品なのですから!」

千鶴「さぁさぁ、おかわりも遠慮なさらずに」

P「は、はぁ。勿論頂きますけれど」
11 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:34:51.24 ID:HZVkJLTW0

もっきゅ、もっきゅ……もっきゅもっきゅ……。

P(でもなー。ソースぐらいはつけたいよなぁ)モキュ…

P「あのー、千鶴さん」

千鶴「どうなさって?」

P「コロッケ、このままでも十分美味しいんですけどね」

P「だからこそソースか何かもつけて食べてみたいなー……って」

千鶴「ああ、そういうことでしたら――」

千鶴「ちょうど、ここにお醤油が」スッ

P「コロッケに醤油……ですか?」

千鶴「……美味しいですわよ」ジロリ

P「べ、別に千鶴さんを疑っちゃ。ああ、だから睨まないで!」

チュ、チュ、チュー……。


千鶴「さぁ、どうぞ」

P(うぅーむ、衣がべちゃべちゃだ……が!)
12 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:36:12.57 ID:HZVkJLTW0

P「南無三っ!!」モッキュ

千鶴「…………」ジー

もっきゅもっきゅ。

千鶴(……はっ!?)

千鶴(わ、わたくしったらつい先ほどのお醤油を彼に断りもなく!)

千鶴(どうしましょう? ほ、本当は随分古いお醤油で、使おうにも使えない代物だったりしたら!)

もっきゅ、もっきゅ……。

千鶴(あ、ああ……! コロッケが、プロデューサーのお口の中に消える、消える……!)

P「…………」ゴックン

千鶴「…………」ドキドキドキドキ…


千鶴(た、食べてしまいましたわ。平然と、何事もなく)
13 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:37:42.57 ID:HZVkJLTW0

千鶴「プ、プロデューサー?」

P「……はい?」

千鶴「その、つかぬ事を尋ねたいのですが」

千鶴「コロッケの味は――」

P「おかわりです!!」ババッ!!

千鶴「は、はぁ?」

P「醤油がこんなに合うなんて! 俺、全然知りませんでした!」

千鶴「そ、そうですの? ……はっ! そ、そうですのよ!」

千鶴「お芋とお醤油の相性は抜群。これもセレブ界では常識事項ですわ! おーっほっほっほっほ」アセアセ


チュチュチュッチュー。

P「うん! 美味しい美味しい!」モッキュモッキュ

千鶴(はぁー……。何とか事なきを……)
14 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:38:34.69 ID:HZVkJLTW0

千鶴「…………」チラリ

千鶴(それにしても、プロデューサーったら子供のように喜んで食べますわね)

千鶴(ああ、ああ。口の端っこに衣だってつけて)

千鶴(親指と人差し指をそんなに油で光らせて――)


千鶴「……はぁ、はぁ……」ツッ

P「……?」モキュ…?

千鶴「プロデューサー? ……その、アナタの口の端に……」
15 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:40:45.01 ID:HZVkJLTW0
===

「衣が――」

そう言って女は小首を傾げるようにすると、
コロッケを頬張るプロデューサーとの距離を一歩詰めた。

普段は気丈にセレブらしく、斜に構えている品のある眉が、
今は突然のにわか雨に降られて困った婦女のように、すがるようにして眉尻を下げている。

再び一歩距離を詰める。

千鶴の視線は男の顔、そのある一点へと注がれ揺らぎもしない。

乾いた唇を湿らすために、彼女の赤い舌先が口唇をなぞる。

まるで蛇に睨まれた蛙のように。金縛りにかかったかのように。

男は体を固くすると、食べかけのコロッケを持ったまま沈黙する。


千鶴の細く長い指が、男の肩の上に触れた。
そしてそのまま左右十本の指がジャケットに深い皺を作る。

もはや千鶴の大きく豊かな胸の、
その出っ張り分しか隙間が存在しない距離において、

女は熱に浮かされたような瞳を瞬かせ、
男の肩に体重をかけるようにしてゆっくりと踵を持ち上げると、

口内に溢れる粘膜が下品に千切れる音を隠しもせず――。
16 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:44:06.91 ID:HZVkJLTW0

「……ちゅく」

キス、と呼ぶには位置が違った。
しかし与える感触は似たような物だ。

千鶴は唇によって囲んだ小さな空間の中、舌先で衣を掬い取ると、
男の肌に吸いつけた花唇を僅かに震わせる。

その度に組み付かれているプロデューサーは、
くちゅ、くちゅ、という千鶴の舌のうねる音を、

その温かでいて艶めかしいナマモノが確かに這う音を、

その耳で捉え、熱を感じ、

自身の体が緊張以外の感情によって、
段々と自由を奪われていくのを否応なしに理解させられていく。
17 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:45:57.99 ID:HZVkJLTW0

「ん…………はぁっ」

と、その時。不意に千鶴の顔が後ろへ引いた。

女の名残惜しむような吸引が、
彼の肌に痣を残そうとするかのように強く、強く押し付けられて。

浮いていた踵が地面に着く。
皺を刻んでいた指から順に力が抜ける。

上品なフレグランスの味わいをプロデューサーの鼻先にふわりと残し、
頬を赤らめた千鶴は高貴な女性としては実に恥じ入るべき粗野な動作

――まるでそう、野生児が喰らいついた肉から口を離し、滴る血を拭うようにして――

二人の間にかかっていた、唾液の橋を拭い取った。


===


千鶴「……失礼。どうしても気になってしまったので」カァァ…

P「…………」ポカーン
18 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 00:46:25.30 ID:HZVkJLTW0
とりあえずここまで。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 00:49:03.71 ID:A5ApsaYl0
エロいね
一旦おつです
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 02:06:48.88 ID:d2JqgO8n0
一旦おつー

ええぞ!
21 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 05:58:33.49 ID:n0KiRiKG0

千鶴「なっ、何か仰ってくださいな!」

P「えっ!?」

千鶴「わたくし、わたくし……。あ、やだ、なんで……こんな……!!」モジモジモジ

千鶴(顔が、まともに合わせられない……。まるで操られたようにふらふらと……)

千鶴(ふらふらと……私、あんなことを……!)

そっと自身の唇に触れる千鶴「…………!!」

Pのてらてらとした指先を見て、思わず生唾を飲み込む千鶴「…………!!」ゴクン
22 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 05:59:21.37 ID:n0KiRiKG0

P「あ、あの」

千鶴「っ!!?」ビクッ

P「千鶴さ――」

千鶴「私! 用事を思い出して……。ご、ごめんなさいませっ!!」クルッ、スタタタタタ…

千鶴(離れなきゃ! これ以上おかしくなる前に……!)

千鶴(でないと私、私……!!)
23 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 06:00:09.33 ID:n0KiRiKG0

P「…………な」

P「何だったんだ。今の……」

P(白昼夢ってワケじゃないぞ。確かに、千鶴さんが俺の頬を――)

頬に触れるP「…………」ネチャ…

P「……はっ!?」


床に転がるリタンガルヤ「よぉ」


P(お、お、お前かああぁぁぁーーーっ!!!?)

ほぼ空っぽになったリタンガルヤ「その通りよ」


P「なんてこった! コイツのせいで千鶴さんは――」

P「って、いうか香水じゃなかったっけ!? 直接摂取して構わんのか!?」

P「…………おのれ腐れ鳥。何という恐ろしい物をその身に纏おうとしていたんだ」

P「もし、あのまま彼女の正気が戻って来なかったら。今頃は……」
24 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 06:01:05.24 ID:n0KiRiKG0
===

千鶴「プロデューサー。今すぐこの場でわたくしを!」

P「ああいけません、いけませんったら千鶴さん!」

千鶴「そう仰っても千鶴はもう、こんな関係を耐え忍ぶ自信がありません……!」

P「しかし! 僕にはまだ負債の残った劇場と、トップアイドルにすると誓った五十一人のアイドルが」

千鶴「嫌っ! 嫌っ!! そんな言葉は聞きたくない! 今だけはわたくしのアナタでいて――」

P「あ、ああ。千鶴さん……! 泣かないでください」

P「――貴女に涙は似合わない」

千鶴「ならばプロデューサー……。そのまま私の、不安ごと」

千鶴「抱きしめて、忘れさせて……!」ドサッ

P「千鶴さん、千鶴、ああ、ちづる――っ!」ギュウゥ…


るーるるーるるるるーるるー♪ギッシギッシ
25 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 06:02:11.57 ID:n0KiRiKG0
===

P「そして館をうつ激しい雨の音。ランプの灯りも消えた寝室、軋むベッドの上で二人」

P「雷鳴がとどろくその度に、浮かび上がる令嬢の肌は男の手の平にしっとりと吸い付いて――はっ!?」


P「い、いかんいかん! こんな破廉恥な妄想に己を滾らせてる場合なんかじゃないぞ!」

P「ぬぅぅぅ……。良からぬ薬だってことしか聞き取れなかったのは痛いよなぁ」

P「せめて名前でも分かればネットで調べもできるのに……」

リタンガルヤ改めヤリタガルン「そうさな」

P「取り合えず、これ以上の被害が出ないようコイツはしっかり回収して」シマイー


P「効果が切れるのはいつ頃だ? サウナでも入れば早くなるか?」

P「いや、それ以前にアイドル達と必要以上の接触をしないよう身を隠さねば」

P「恐らくこの匂いに反応して相手は常時発情を――」

P「くっそぉ……貴重な有休が……!!」ピッポッパッポ…
26 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 06:03:33.90 ID:n0KiRiKG0
【三 めいくみー・はっぴー・すぺーす】

・場所は同じく765プロライブ劇場内。

ウウゥゥウゥゥゥゥゥー……。ウウウーウウゥウウゥウゥーー……。

……ピンポンパンポーン。

『劇場勤務スタッフ、並びにアイドルの皆さんに連絡します』

『本日午後二時三十分。プロデューサーが職務放棄』

『館内にて行方をくらませて、通常業務に支障が出ております』

『発見次第速やかに確保、拘束。規定の措置に従って身柄をセキュリティに引き渡し――』
27 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 06:04:30.31 ID:n0KiRiKG0
・東サブユニット階段下倉庫。
・……に、あるプロデューサー秘密のアジト兼仮眠室

P「……ったく!」

P「律子もどーして大事にするもんかね。好き勝手放送かけちゃって」

P「こっちは休ませろって言っただけだぞ」

P「……そりゃ、溜まってる仕事を全部押し付ける形になるけどもさ」

P「だからっていきなりこんな仕打ち。これじゃあ劇場から身動きとれないなぁ……はっ!?」


ドタドタドタドタドタドタドタ……!


『いたか!?』

『いません!』

P「…………!」

『よく探せよ! 見つけられなきゃ今度のシフトはチームでまとめて宇宙にポイだ!!』
28 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage saga]:2018/07/10(火) 06:06:16.17 ID:n0KiRiKG0

バタバタバタバタバタバタバタバタ……!

P「……い、行ったか?」

P「ふぃー、しかしおっかないね。誰だって命綱一つで真空遊泳なんて嫌だもんな」

・「ねー? ガラス拭きはロボット使う方が安全じゃん」

P「でもあれは、リースにかかる金額がべらぼうに……うぉぉ!?」

・「わわっ!!」

P「め、恵美か!?」バササ!

恵美「ちょっとプロデューサーってば声大きい!」ガタン!


ダバダバダバダバ!


『今何か物音が聞こえなかったか!?』

『やっぱりこの近くに隠れてるんですよ!』

『探せ、しらみつぶしにだ!』


P「な、なんでお前がここにいるんだ!?」コショコショコショ

恵美「逆だって! アタシが居たらプロデューサーが入って来たの!」ヒソヒソヒソ
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