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【モバマス】龍崎薫「せんせぇは魔法使い!」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/06(金) 23:02:47.85 ID:Fem557eKO
千川ちひろ「ん〜っ」ノビー
モバP(以下P)「お疲れ様です。どうぞ、お茶です」コトッ
ちひろ「…………」ジー
P「紅茶の方が良かったですか?」
ちひろ「いえいえっ、そういうわけじゃないですよ? だた、何でかなぁと思って」
P「?」
ちひろ「プロデューサーさんって、一息吐こうかなぁと思ったらお茶を持って来てくれたり飴をくれたりするじゃないですか」
P「そうですか? 千川さんもそうでしょう?」
ちひろ「それはまあ、お仕事ですからね」ウン
P「いつもありがとうございます」ペコッ
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1530885767
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:05:37.65 ID:DGju/apgO
ちひろ「いえいえ、こちらこそ……」
ちひろ「じゃなくてですね」
P「違うんですか?」
ちひろ「私が言いたいのは、何でそんなにタイミングが良いのかということですよ」
P「そうですかね?」
ちひろ「そうですよ。仕事を取られている気がします」
P「そんなつもりは……」
ちひろ「あ、意地悪で言ってるわけじゃないですよ? ただ、私がプロデューサーさんに貰ってばかりなのが、こう……」
P「気に入らないとか?」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:06:38.44 ID:DGju/apgO
ちひろ「違います! 気を遣わせているみたいで申し訳ないと言うか、そんな感じです」
P「そんなことはないですよ。好きなだけです」
ちひろ「お茶を出すのが、ですか?」
P「はい。小さい頃、祖母がお茶を出すのが格好良く見えたんです」
ちひろ「格好良い?」
P「祖父が何も言ってないのにお茶を出したり御煎餅を出したり、それが魔法みたいに見えたんですよ」
P「それから真似をするようになって、祖父も喜んでくれるが嬉しくて、それが今でも続いているんだと思います」
ちひろ「へぇ〜、お婆ちゃんに憧れていたんですね」
P「だって凄くないですか? まるで心を読んでいるかのような、あの自然な動き」
ちひろ(アイドルのこと以外でこんなに楽しそうに語るのって初めて見た気がする)
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:07:35.65 ID:DGju/apgO
P「魔法の正体が知りたくて、あの頃は祖母について回ったもんですよ」ウン
ちひろ「ふふっ、魔法は教えてくれましたか?」
P「この魔法は年を取らないと覚えられないって言われました。泣きましたね、あの時は……」
ちひろ「あ〜、その優しさは子供には伝わらないですよね」
P「ええ、お婆ちゃんを困らせてしまったことは今でも反省してます」
ガチャ!
龍崎薫「おっはよーう!!」
P「おはよう、薫」
ちひろ「おはよう、薫ちゃん」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:08:29.64 ID:DGju/apgO
薫「せんせぇ、あいお姉ちゃんは?」
P「まだ来ていないんだ。もうちょっとで来ると思うよ」
薫「そっかぁ、早く来ないかなー」
ちひろ「チョコレートのCM撮影でしたっけ?」
P「はい、二人ならイメージにぴったりだと思いまして」
ちひろ「あれ? 向こうからでなくて、プロデューサーさんが決めたんですか?」
P「僕が決めたと言うか、何度か話し合いをする中で案を出したら採用してくれたんです」
ちひろ「二人の関係は親子のような友人とありましたけど」
P「ええ、二人の距離感なら両方出せるかなと思いまして」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:09:23.04 ID:DGju/apgO
ちひろ「距離感?」
P「母親と言うと東郷さんのイメージが揺らいでしまうとも考えましたが、これなら違和感なく新しい一面を見せられる」
P「CMは短いですが与えるものは非常に大きいですからね。時にはドラマ主演よりも強く印象に残る場合もあります」
ちひろ「○○のCMに出てる人って言われたりもしますからね。そう考えると凄いですよね……」
P「個人的にはどれだけ時間が経っても記憶に残るものがCMだと思っています」
P「撮影とかは素人ですけど、やるからにはこっちもしっかり考えないと」ウン
ちひろ「採用して下さって良かったですね」ニコッ
P「ええ、頼りになる方ばかりです」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:10:32.66 ID:DGju/apgO
ガチャ
東郷あい「おはよう」
薫「あいお姉ちゃん!」
あい「おはよう、薫」
薫「今日はいっしょにお仕事だね」ニコッ
あい「ああ、こんな機会は滅多にないからとても楽しみだよ」
P「東郷さん、おはようございます」
あい「おはよう。待たせてしまったね」
P「いえ、まだまだ余裕はありますから問題はないですよ。あ、そうだ」
あい「どうしたんだい?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:12:11.94 ID:DGju/apgO
P「のど飴どうですか? 檸檬味」
あい「フフッ、ありがとう。頂くよ」
P「薫にはこっちをあげよう」
薫「みかんだ!」
P(うん、二人ともいい感じだ)
P「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
あい「そうだね。よろしく頼むよ」
薫「いってきまー!」
ちひろ「行ってらっしゃい。撮影は大変でしょうけど、頑張って下さいね」ニコッ
P「はいっ、では!」
ガチャ パタンッ
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:13:26.83 ID:DGju/apgO
撮影現場 控室
ガチャ パタンッ
P「ふ〜っ、やっと着きましたね」
あい「お疲れ様、大丈夫かい?」
P「いやぁ、一日にこんなに頭を下げたのは生まれて初めてかもしれないです」
薫「はいっ、今日はよろしくお願いします。はいっ! せんせぇのマネ」ペコペコ
P「え、そんなだったかな」
薫「だった! カクカクしてた!」
P「そ、そっか、カクカクしてたかぁ……」
あい「張り切るのは分かるけれど、あれでは挨拶だけで疲れてしまうよ?」
P「申し訳ないです……」
あい「でも、気持ちは伝わったよ。私も薫も精一杯頑張るから見ていてくれ」ニコッ
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:14:30.48 ID:DGju/apgO
P「と、東郷さん、ありがとうございますっ!」ペコッ
薫「ありがとうございますっ!」ペコッ
P「……薫はしなくていいんだぞ?」
薫「いいの?」
P「挨拶は大事だけど、薫は元気に挨拶するだけでいい」ウン
薫「そうなの?」
あい「頭を下げてばかりだと、相手の顔を覚えられないからね」
薫「あ、そっかー」
あい「深々と頭を下げるだけが挨拶じゃない。そうだろう?」チラリ
P「は、はい。その通りです」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:15:33.65 ID:DGju/apgO
あい「責めているわけじゃないよ?」
あい「ただ、君が簡単に頭を下げるような人物だと勘違いされるのは嫌なんだ」
P「東郷さん……」
薫「おこられてるの?」
P「ち、違う違う。心配してくれているんだ」
薫「心配かけちゃだめなんだよ?」
P「……そうだね。その通りだ」
P(ちょっと空回りしてた。落ち着いて行こう)
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:16:32.97 ID:DGju/apgO
あい「少しは落ち着いたかな?」
P「はい、もう大丈夫です」
あい「フフッ。それは良かったよ」
P(東郷さんは凄いな。もっともっと頑張ろう。この人が、今よりも輝けるように)
コンコンッ
『失礼しまーす』
P「あ、スタイリストさんが来たみたいだ。東郷さん、薫、また後で」
あい「ああ、また後で」
薫「せんせぇ、またね!」
ガチャ パタンッ
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:17:41.32 ID:DGju/apgO
撮影現場
P(思っていたより凄いセットだな)
監督「プロデューサーさん」
P「あ、監督、今日は宜しくお願いします」
監督「あははっ! さっき挨拶したばかりじゃないですか〜!」バシバシ
P「そ、そうでしたね。どうしました?」
監督「薫ちゃんの役柄でちょっと」
P「何か問題が?」
監督「場面は夜。バリバリ仕事をこなす女性が、仕事に疲れてバスに揺られる」
P「そこに薫が演じる子供が近付いてきてチョコを渡す。でしたよね?」
監督「そうです。でも、この夜ってのがキビシイんですよ」
P「何故ですか?」
監督「大人が仕事を終えて帰る際のバス。そこに子供が乗っているってのが、です」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:19:12.83 ID:DGju/apgO
P「まさか、それで批判が来ると?」
監督「依頼元の○○はそう考えたみたいですね。で、急遽変更することになりまして」
P「変更はどの程度ですか?」
監督「場面に変更はありません。薫ちゃんの役柄は妖精に変更します」
P「………妖精」
監督「妖精」ウン
P「あの、そんなので大丈夫なんですか?」
監督「夜に子供がダメなら、子供じゃなくすれば良いんですよ。大丈夫大丈夫!!」
P「でも、急なことで大変でしたよね? ありがとうございました」ペコ
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:20:30.23 ID:DGju/apgO
監督「いいんですよ。私も楽しみにしてたし、セット無駄にするわけにもいかないし!」ニコッ
P(頼もしい人だ)
監督「衣装の変更は言ってあるんで問題はないです。後は役柄に伴って台詞も変更ですね」
P(あ、そうか。急には決まらないよな……)
監督「プロデューサーさんならどうします?」
P「ん〜、そうですね……いっそ、台詞をなくしてみるとか?」
監督(やっぱり、この人は面白い。色々なアイドルと仕事をしているからか発想が柔軟だ)
P「駄目ですかね?」
監督「台詞ナシだと演技に誤魔化しが効かないですけど、大丈夫ですか?」
P「大丈夫です。対応出来ます」
監督「そう言ってくれると思ってました!」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:21:33.85 ID:DGju/apgO
P「最初からそうするつもりで僕に?」
監督「ええ、他にも案はありましたけど台詞ナシが一番良いかな〜とは思ってました」
P「何故ですか?」
監督「音楽や雰囲気、画、それに合うセリフを作り直すのってとても大変なんですよ」
監督「だったら台詞をナシにして、雰囲気を引き出すような形にした方がベストじゃないかなと」
P「なるほど、勉強になります」
監督「あははっ、プロデューサーさんも思いついたじゃないですか!」
P「僕は思いついただけですよ。演出については考えていませんでした……」
監督「私も後から考えただけで最初はそんなもんです。自分の感覚を信じることは大事ですよ?」ニコッ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:22:54.03 ID:DGju/apgO
P(感覚か)
監督「演技に関しては撮影が始まったらということで良いですか? 細かな変更もあるので」
P「はい、分かりました」
監督「あ、そうだった。内容を大まかに書いておきました。字が汚いのは勘弁して下さいね?」
P「これは助かります。ちょっと行ってきます!」
監督「セットの調整で少し時間が空くんで、説明はお願いします」
P「分かりました!」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:24:34.05 ID:DGju/apgO
撮影現場 控室
P「……ということで、変更になりました」
あい「そんなことで批判は起きない、とは言い切れないな。過ぎたことは仕方がない」
あい「監督が用意してくれたメモもある。これがあるだけで助かる」
薫「せんせぇ、なんて書いてあるの?」
P「えーっと、最初の画は、会社で仕事している東郷さん。瞬く間に時間が過ぎていく」
P「場面が変わって、バスに揺られる東郷さん。流れる夜の景色を見て溜め息を一つ」
P「で、時間が止まる」
P「そこに薫扮する妖精がやって来て、東郷さんにチョコレートを渡して、隠れて様子を見てる」
P「東郷さんは薫の存在に気付くけど、気付かないふりをしてチョコレートを食べる。喜ぶ薫」
P「いたずらな、甘みが香る。○○スイートチョコレート(○○は企業名)。で、終わり」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:25:35.04 ID:DGju/apgO
薫「わぁ、全然ちがうね?」
あい「そうだね、最初の台本とは全然違う」
薫「でも、かおるはこっちのが好き」
P(難しいとは言わない方が良いな。変な緊張を与えると演技がぎこちなくなる可能性がある)
薫「せんせぇ」
P「?」
薫「これ似合う? しろいワンピース」
P「ああ、とっても似合うよ。本当に妖精みたいだ」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/06(金) 23:26:49.41 ID:DGju/apgO
薫「えへへっ、やった」
あい「フフッ」
P「東郷さん、ちょっと」
あい「?」
P「大丈夫そうですか?」コソッ
あい「私達なら出来ると判断したんだろう? だからOKした。違うかい?」
P「そうです」
あい(やれやれ、いつもこれだ。彼は、私より私を信じている。だから、応えたくなる……)
P「東郷さん?」
あい「いや、何も心配は要らない。君は安心して見ていてくれ」ニコッ
P「はいっ!」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:48:10.85 ID:ZA+Xy5PFO
撮影現場
監督「次、薫ちゃん入ります」
P(今のところは順調だ。変更はここからだ)
監督「薫ちゃん、もうちょっとだけ隠れていいよー」
薫「はーい!」
監督「あいさん、微笑むのも良いですけど、次はちょっと困った感じに笑ってみて下さい!」
あい「なるほど、やってみるよ」
P(二人とも凄いな。変更なんてなかったように進んでる)
監督「……ハイ、OKでーす!」
P(良かった。良かったけど、本当はもっと東郷さんを……)
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:48:45.91 ID:ZA+Xy5PFO
薫「む〜」
あい「薫?」
薫「あいお姉ちゃん、なんかチクチクする」
あい「チクチクする?」
薫「うん。指がチクチクする」
あい「ちょっと見せてごらん?」
P「薫、どうした?」
あい「刺が刺さってるようだ。セットを触った時に刺さったのかもしれない」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:49:22.25 ID:ZA+Xy5PFO
P「薫、ちょっと見せて」
薫「うん……」
あい「ピンセットを借りて来るよ」
P「あ、これなら大丈夫ですよ。ちょっと待って下さい」
監督「どうしたの?」
カメラマン「薫ちゃんの指に刺が刺さったみたいっす」
監督「ふ〜ん……」ジー
P「ちょっと待っててくれ」
薫「おサイフ?」
P「あったあった。これでよし」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:50:00.23 ID:ZA+Xy5PFO
あい(5円玉?)
監督「撮って」
カメラマン「はい?」
監督「早く、あの三人を撮って。プロデューサーさんの後ろから、顔が映らないように」
カメラマン「わ、分かりました」
P「薫、手を貸して」
薫「う、うん。いたくしない?」
P「痛くしない、大丈夫だよ」ニコッ
P「いいかい? こうやって、5円玉で上から押すと……」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:50:35.31 ID:ZA+Xy5PFO
薫「あ、とげが出てきた」
P「後は1円玉を二枚使って、挟んで、取る」ピッ
薫「わぁ、せんせぇすごーい!」
P「昔、教えてもらったんだ。役に立って良かったよ」
あい「…………」
カメラマン「何つーか、優しい顔してますね。母ちゃんみたいな……」
監督「…………」カキカキ
監督(プロデューサーさんは、あいさんの新しい一面を見せたいと言っていた)
監督(さっきの撮影ではいつもカッコイイあいさんだ。あれじゃあ足りない)
監督(でも、これなら使えるかもしれない。後で掛け合ってみよう)
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:53:51.03 ID:ZA+Xy5PFO
監督「よし」
トコトコ
薫「?」
監督【せんせぇにチョコレート食べさせて】
薫「えへへ」
P「薫? どうしたんだ?」
薫「せんせぇ、お礼にチョコレートあげる。あーんして?」
P「あ、もらってたのか。え〜っと」チラリ
あい「あーんして?」
P「」
薫「せんせぇ、とけちゃうよー」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:54:19.49 ID:ZA+Xy5PFO
P「あ、あーん」
コロン…
薫「おいしい?」
P「……ん、甘い」
あい「甘いのは嫌いかい?」
P「チョコレートなんて久しぶりに食べました。美味しいですね」
あい「私も食べてみようかな」
監督「ハイ、OK!!」
あい・P「えっ!?」
カメラマン「いやぁ、良かったっす」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:54:51.63 ID:ZA+Xy5PFO
あい「撮っていたのかい?」
カメラマン「はい、監督の指示っす」
監督「プロデューサーさん、これ使えるかもしれないですよ!」
P「使えるって、何にですか?」
監督「CMって、短めのも流すじゃないですか」
P「編集されたやつですか?」
監督「ええ、それです。その編集したパターンの他に今のも使えないかなと思いまして」
監督「撮影現場の風景を流すCMもあるじゃないですか? あれですよ、あれ」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:55:57.63 ID:ZA+Xy5PFO
P「いやいやいや、無理ですよ!」
監督「微妙なところですけど、ちょっと話してみます。連絡は後日、ではまた!!」
P(行ってしまった)
あい「面白い人だね」
P「面白いですけど、大丈夫でしょうか」
あい「まあ、あのまま使われることはないだろうね」
P「きっと何か考えがあるんでしょうけど……撮影は終わりましたし、支度して帰りましょうか」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:57:07.63 ID:ZA+Xy5PFO
あい「そうだね。控室に戻ろう」
薫「はーい」
P(東郷さんのスーツ姿、やっぱり綺麗だな)
あい「ん?」
P「いえ、行きましょう」
あい「そう言わずに、もう少し見惚れていても良いんだよ?」クスッ
P「かっ…」
あい「か?」
P「か、おる、行こうか?」
薫「あるいてるよ?」
あい「くっ…フフッ」
薫「せんせぇ、かおまっかだよ?」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 00:58:38.63 ID:ZA+Xy5PFO
ここまでです。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 01:07:08.17 ID:kX1t2vnNo
終わり?
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 01:14:46.61 ID:ZA+Xy5PFO
変わってますけど
>>1
です。
今日はここまでという意味でした。申し訳ないです。
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 03:44:29.89 ID:xVvdxuf+0
一旦乙ー
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 04:25:27.68 ID:f+6ccC+Yo
乙です
いい関係だなあ
想像しただけでほっこりする
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:43:49.12 ID:EZnmiYOIO
1週間後 事務所
あい『いたずらな、甘みが香る。○○、スイートチョコレート』
ちひろ「おぉ、来ましたね〜」
P「どうですか?」
ちひろ「プロデューサーさんが言っていた感じは出ているんじゃないですか?」
P「感じ、ですか」
ちひろ「ええ、あいさんの顔を見ると二人は仲が良いんだろうなぁと思います」ウン
ちひろ「薫ちゃんが可愛い、まるで天使って、反響も凄いみたいですよ?」カチカチ
P「それは良かったです」
ちひろ「もう一つの方はどうですか?」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:44:46.26 ID:EZnmiYOIO
P「既に決まりました。新たに撮るようです」
ちひろ「良かったじゃないですか!」
P「まあ、それはそうなんですけど……」
ちひろ「どうしたんですか?」
P「参考に渡されたものがちょっと、これなんですけど」
ちひろ「あるなら言って下さいよ〜。じゃあ、早速見てみましょう」
カチャ
P「あ、ちょっと」
ちひろ「え〜、良いじゃないですか、折角ですから見ましょうよ」ポチッ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:45:42.27 ID:EZnmiYOIO
薫『せんせぇ、お礼にチョコレートあげる。あーんして?』
あい『あーんして?』
P『』
薫『せんせぇ、とけちゃうよー』
あい『甘いのは嫌いかい?』
ナレーション『ありがとうを貴方に。○○、スイートチョコレート』
ちひろ「出来てるじゃないですか!!」
P「だから、これは見本です! そのまま使うわけにはいかないでしょう!?」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:46:29.82 ID:EZnmiYOIO
ちひろ「え、でもプロデューサーさんの顔は見えてないし、音声も切ってありますよね?」
P「画的に問題があるんです。きちんと台本書いて、新たに俳優を起用するらしいです」
ちひろ「勿体ないような気がしますね」
P「表情はとても素晴らしいですけど、照明とかがないので駄目ですよ」
ちひろ「そうですかね? 撮影終わりで素の感じが出ていて、私は良いと思いますけど」
P(女性特有の感覚なのかもしれない。覚えておこう)
ブー ブー
P「はい、もしもし。はい、はい、分かりました。すぐに行きます」
ちひろ「早速ですか?」
P「ええ、監督からでした。ちょっと行ってきます」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:47:50.07 ID:EZnmiYOIO
ちひろ「プロデューサーさん」
P「はい?」
ちひろ「近々、凛ちゃんのレコーディングもあります」
ちひろ「どちらかが疎かになることはないと思います。ただ、張り切り過ぎて体を壊さないように気を付けて下さいね?」
P「はい。千川さん、ありがとうございます!」
ガチャ パタンッ
ちひろ(プロデューサーさん、頑張って)
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:48:53.67 ID:EZnmiYOIO
廊下
P(千川さんのお陰で助かった。よし、まだ時間はある。渋谷さんの様子を見に行こう)
コツコツ
P(スポーツドリンクは……)
チャリンチャリン ガコンッ
P(これでよし……)
P(いや、待て。集中しているだろうし、邪魔になるなら終わるまで待っていた方が)
ウロウロ
渋谷凛(あ、プロデューサー)
トントン
P「はい?」
凛「なにウロウロしてるの?」
P「あれっ、渋谷さん?」
凛「で、何してたの?」
P「丁度、行こうか悩んでいたんですよ」ウン
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:50:40.84 ID:EZnmiYOIO
凛「あのさ、悩むくらいなら来てよ」
P「ごもっともです……」
凛「何かあった?」
P「いえ、レッスンの様子を見たかっただけです。あ、これどうぞ」スッ
凛「……ありがと」
キュッ コクコク
P「休憩だったんですか?」
凛「違うよ、今日はもう終わり。ボーカルレッスンは2時間にするってさ」
P(調整してるのか、もうすぐだからな……)
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:51:23.45 ID:EZnmiYOIO
凛「最近はかなり忙しそうだったね」
P「ええ、中々顔を出せずにいましたけど、これからは大丈夫です」
凛「本当?」
P「CMの方は落ち着きましたからね。もう一本撮ることになりましたけど、何とかします」
凛「体は一つなんだから無理しないでよ?」
P「僕は大丈夫ですよ」ニコッ
凛(いつもこれだ。しっかり休んでるのかな)
P「あ、そうだ。CMは見ましたか?」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:52:45.47 ID:EZnmiYOIO
凛「うん、見たよ」
P「どうでしたか? 渋谷さんから見て」
凛「良かったよ。二人とも良かったけど、薫の色が強いよね」
P「やはり、そう思いますか……」
凛「あいさんが負けてるってわけじゃないよ? あれは見せ方の違いだと思う」
P(よく見てる。こんなに若い子まで気付くとなると、次のCMは絶対に必要だ)
凛「あのさ」
P「はい?」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:53:36.27 ID:EZnmiYOIO
凛「今から時間ある? 歌詞のことで相談したいんだ」
P「これから打ち合わせなので、戻ってからなら大丈夫です。疲れているなら明日でも……」
凛「いい、待ってる」
P「分かりました。戻ってから話しましょう」
凛「気を付けてね?」
P「はい。では、また後で!」
スタスタ
凛(うん、プロデューサーは元気だ。私も頑張ろ)
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:54:03.47 ID:EZnmiYOIO
ガチャ パタンッ
ちひろ「凛ちゃん、お疲れ様」
凛「うん。ちひろさん、なに見てるの?」
ちひろ「もう一本別のCMを撮るらしくて、その見本です。凛ちゃんも見ますか?」
凛「いいのかな?」
ちひろ「事務所に来たものですから大丈夫ですよ」ポチッ
凛「これ、プロデューサーだよね?」
ちひろ「やっぱり分かります?」
凛「この事務所のアイドルなら全員分かるよ。仕草とか、背中で……」
ちひろ「ふふっ、そうですね」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:55:19.18 ID:EZnmiYOIO
凛「あっ、今の」
ちひろ「どうしました?」
凛「あいさんの顔、もう一回見せて」
ちひろ「は、はい」
あい『あーんして?』
あい『甘いのは嫌いかい?』
凛「……これだ」
ちひろ「えっ?」
凛「ちひろさん、もう一回」
ちひろ「は、はい」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:58:33.33 ID:EZnmiYOIO
某所 会議室
監督「……ということで良いですか」
P「ええ、先程連絡は取りましたので大丈夫です」
監督「では引き続き、あいさん、薫ちゃんは決定。俳優のついては後日改めてということで」
P「はい」
監督「熱が冷めないうちに取り掛かりますんで、急ぎになりますけど宜しくお願いします」
P「分かりました」
監督「じゃあ、今日はこの辺にしときましょうか」
P「ありがとうございました」ガタッ
監督「プロデューサーさん、この後晩ご飯でもどうですか? スタッフも含めて」
P「ちょっと事務所に連絡します」
監督「じゃあ、外で待ってますんで!」
P(ご飯か、これは最初から想定しておくべきだった。渋谷さんには明日しっかり謝ろう……)
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 13:59:50.33 ID:EZnmiYOIO
事務所
コツコツ
P(助かった。何とか早く帰ってこられた。車じゃなかったら居酒屋行きだったな)
ガチャ パタンッ
P「ただいま戻りました」
凛「お帰り」
P「………渋谷さん。何で」
凛「遅かったね。何してたの?」
P「事務所には連絡したはず」
凛「約束したよね? 待ってるって言ったよね?」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:00:32.94 ID:EZnmiYOIO
P「も、申し訳ありません……」
凛「今のは冗談だよ」シレッ
P「………今度、ドラマに出てみますか?」
凛「怒るよ」
P「冗談です」
凛「ハァ、ちょっと座って待ってて」
P「え?」
凛「いいから待ってて」スタスタ
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:01:03.93 ID:EZnmiYOIO
P(渋谷さん、どうしたんだろう?)
スタスタ
P(あ、来た)
凛「はい、お待たせ」コトッ
P「ココア……これは渋谷さんが? ありがとうございます」
凛「大袈裟。粉とお湯を混ぜただけだよ」
P「そんな言い方しなくても……あ、うまい」
凛「……ん、いつもお疲れ様」
P(優しい子だ。見た目とは違う温かさがある。もっとこういうところを見せていきたい)
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:01:51.70 ID:EZnmiYOIO
凛「ねえ、なんか言ってよ」
P「えっ? あ、凄く嬉しいです。本当に」ウン
凛「そっか、良かった……」
P「でも、どうしたんですか? こんなに遅い時間まで待ってるなんて」
凛「歌詞のこと」
P「何か不安が?」
凛「うん。ちょっと掴めなくて、分からなくなってたんだ」
凛「曲調は激しいから勢いで押せるかもって思ってたけど、やっぱり、そう甘くないみたい」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:02:42.35 ID:EZnmiYOIO
P「分からないとは、どの辺りがですか?」
凛「全体的な雰囲気かな。求めて、私に溺れて、そういう感覚は分からないんだ……」
P「自分でなくても良いのでは? 小説などで曲に合う人物を見付けて、その人物になりきって歌うとか」
凛「私も同じ事を考えた。それで、モデルを見付けたんだ」
P「モデル? どんな感じですか?」
凛「私に溺れろ、じゃなくて、ゆっくり優しく溺れさせる感じかな」
P「優しく溺れさせる、ですか。誰を参考に?」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:03:29.13 ID:EZnmiYOIO
凛「それは秘密」
P「事務所の人ですよね?」
凛「秘密だってば」
P「……東郷さんですか?」
凛(鋭い)
P「いや、包容力と言うと他にも候補が……」ウーン
凛(私は見本を見て感じたけど、プロデューサーは前から気付いてた。ずっと、あいさんを見てたんだ)
P「あ、こんな時間だ。送ります。ご家族に連絡はしましたか?」
55 :
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:2018/07/07(土) 14:04:20.33 ID:EZnmiYOIO
凛「したけど、いいの?」
P「勿論です。ちょっと待っていて下さい」
凛「うん」
凛(あいさんの表情、多分だけど、あれはきっと……私には出来ない表情だ)
P「行きましょうか」
凛「ごめんね?」
P「?」
凛「折角感覚を掴んだから、どうしても伝えたくてさ」
P「いいんです。僕も渋谷さんと話せて良かったです。迷ったら相談して下さい」
凛「……ありがと」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:05:47.94 ID:EZnmiYOIO
ーーーー
ーーー
ーー
ー
P「渋谷さん、渋谷さん?」
凛「んっ、あれ?」
P「着きましたよ」
凛「寝てた……」
P「今日はゆっくり休んで下さい」
凛「うん」
ガチャ パタンッ
P(さてと)
コンコン
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/07(土) 14:06:34.39 ID:EZnmiYOIO
P「?」カチッ
ウイーン
P「どうしました?」
凛「プロデューサーさんもちゃんと休んでよ?」
P「ええ、今日はもう休みます」
凛「うん、そうして。それじゃあ、また明日」
P「ええ、また明日」
ブロロロ…
P(まず、候補に挙がった俳優を調べよう。なるべく年齢が近くて、実力がある若手……)
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