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【ミリマスSS】ゼンシツ
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8 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 21:51:39.31 ID:dwPX/NyW0
undefined
9 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 21:53:30.98 ID:dwPX/NyW0
一息置いてからセリカが口を開いた。
「元に居た場所に戻りたいと思わないんですか?」
私は今まで関わってきた人間たちの顔を思い浮かべた。
「戻っても仕方ないわ。私を待っている人は、もう居ないし。」
一度死んだせいか、執着心がなくなったような気がする。
それとも、これもあの子の“魔を祓う力”の効果なのか。
「あなたこそ、元の場所に戻らなくていいの?」
「私が1人居なくなるくらいでは、私の使命を全うするのに支障はありません。」
セリカはその見た目にそぐわない言葉を、見た目通りの可愛らしい声で言った。
「こうしている今も、たくさんの私たちが人間の為に尽くしているはずです。」
「人間の為に……ねぇ。」
「はい、人類の繁栄の為に尽くすのが私たちアンドロイドの使命ですから。」
私が見てきた人間たちは、少なくともセリカに尽くされるような立派なものではなかった。
「一目で私の正体を見破れる程優秀なあなたが、どうして人間のお世話なんかしているのかしら?」
「それは、マザーが私たちをそのように造ったからです。」
10 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 21:59:05.34 ID:dwPX/NyW0
undefined
11 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:01:57.11 ID:dwPX/NyW0
>>7
の続きから仕切り直します。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/06(金) 22:03:57.05 ID:cwlVo2KY0
メルティファンタジア
http://i.imgur.com/z8Di3NX.jpg
と夜想令嬢
http://i.imgur.com/76E9Zuc.jpg
のクロスか
13 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:10:50.47 ID:dwPX/NyW0
>>7
の続きです
「ヴァンパイア……いわゆる吸血鬼ですか?」
「そうね。」
「実在するのですね。私に蓄積されている同型機たちの観測データと照らし合わせましたが、ヴァンパイアとアンドロイドの邂逅はこれが初めてのようです。」
「そうなの?なんだか凄い状況なのね。それにしてもこんなにあっさり正体がバレるだなんて。これでも元居た場所ではそれなりに上手く隠し通していたのよ。」
秘密を暴露して肩の力が抜けてしまった。
「ともかく、お互いに人間じゃないということがはっきりしたわけね。」
「はい。もしかすると、本当に違う世界から来たのかも知れません。」
確かに、そう思った方が納得出来るかもしれない。少なくとも私の居た世界にセリカのような機械人形は居なかったし、セリカの世界にもヴァンパイアは居なかったようだ。
それがどうして面と向かい合って会話しているのか。私は根本的な質問をした。
「あなたはどうやってこの部屋に来たの?」
セリカは一瞬困ったように眉尻を下げた。
「それが、ここに来る直前の記録が無いんです。定期調整の為にポッドに入ってスリープモードになった所までは覚えているのですが、気がついたらこの部屋に入ってきていました。」
セリカは私が入って来た扉に視線を向けた。
「それからこの部屋を一通り見回して、ここが前室と呼ばれる場所だと仮定した所であなたが入って来ました。」
「そう。」
14 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:14:10.46 ID:dwPX/NyW0
「あなたはどうやってここに来たんですか?何か覚えていますか?」
「いえ。私も直前の事は……」
思い出す。この部屋に入る前の最も新しい記憶。
「そう、あの子の手にかかって。」
「誰かに攻撃されたんですか?」
怒りと哀れみを帯びた瞳。体を刺し貫かれる衝撃。
「そうね。まぁそうなるだけの事を私はしたもの。仕方ないわ。」
自分の胸元に手を当ててみたが、どうやら穴は空いていないようだ。ドレスにも傷はない。
「でも、確かに私は死んだの……つまりここは死後の世界という事になるのかしらね。」
「どうでしょう。生物ですらない私も居ますし。」
「確かにそうね。」
人間同士だと思わせているつもりでいたが、蓋を開けてみればここにはヴァンパイアと機械人形しか居ない。
なんだかこの状況が馬鹿馬鹿しく思えた。
「まぁなんでもいいわ。久し振りにヴァンパイアだって隠さなくて良い場所に来たんだし、少し羽を伸ばさせてもらいましょうか。」
「なるほど、ヴァンパイアには羽があるんですね。」
「無いわ、物の例えよ。」
「そうですか。」
心なしか残念そうに見えた気がした。
15 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:16:28.83 ID:dwPX/NyW0
一息置いてからセリカが口を開いた。
「元に居た場所に戻りたいと思わないんですか?」
私は今まで関わってきた人間たちの顔を思い浮かべた。
「戻っても仕方ないわ。私を待っている人は、もう居ないし。」
一度死んだせいか、執着心がなくなったような気がする。
それとも、これもあの子の“魔を祓う力”の効果なのか。
「あなたこそ、元の場所に戻らなくていいの?」
「私が1人居なくなるくらいでは、私の使命を全うするのに支障はありません。」
セリカはその見た目にそぐわない言葉を、見た目通りの可愛らしい声で言った。
「こうしている今も、たくさんの私たちが人間の為に尽くしているはずです。」
「人間の為に……ねぇ。」
「はい、人類の繁栄の為に尽くすのが私たちアンドロイドの使命ですから。」
私が見てきた人間たちは、少なくともセリカに尽くされるような立派なものではなかった。
「一目で私の正体を見破れる程優秀なあなたが、どうして人間のお世話なんかしているのかしら?」
「それは、マザーが私たちをそのように造ったからです。」
16 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:19:50.66 ID:dwPX/NyW0
「マザー……機械のあなたにも母親がいるの?」
「はい。マザーRITSUKO-9こそ私たちの母にして人類を管理する者です。」
セリカは続けた。
「マザーは全ての人類と全てのアンドロイドを管理するAI、自律思考プログラムです。東京スプロールの全ての事象は私たちにより観測され、マザーRITSUKO-9の意思決定により正しく運用されます。」
「それはまた、立派すぎるほど立派な母親ね。まるで神様だわ。」
「ただ……」
セリカの視線が私から机の天板に移った。
「私が姉妹たちの感情データを送信してから……マザーは何も答えてくれなくなってしまいました。」
先ほどまでの調子とは違い、言葉尻が弱々しい。不安な心情が視線と口調から伝わってくる。
とても機械には見えない。その姿は人間そのものだった。
「そうなの。」
「はい。」
「マザーに会えなくて寂しい?」
「……多分。」
セリカは机から私に視線を戻して言い訳をするように続けた。
「すみません。感情が芽生えたのがつい最近の事なので、私も私の気持ちが分からないんです。」
「いいのよ。分からないものよ、自分の感情なんて。」
「……そうなんですか?」
「そうよ。みんなそう。」
不安と戸惑いを含んだ表情のセリカがこちらを見ている。
「今のあなた、とても人間らしいわ。」
17 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:23:54.61 ID:dwPX/NyW0
「そうですか。私が人間らしい……」
「えぇ、とても。」
「なんだか、不思議な感じです。フワフワするような、苦しいような。」
セリカは自分の胸に手を当てて、少しうつむいた。
「そう。きっとその感覚はあなたにとって大事なものなんじゃないかしら。忘れないで。」
「はい、ありがとうございます。」
セリカはそのままの姿勢で瞼を閉じ、自分の気持ちを注意深く感じ取ろうとしているようだった。
私はそれを黙って見ていた。
しばらくするとセリカは目を開け視線を再びこちらに向けた。先ほどの不安そうな表情はすっかり無くなっていた。
「あの……こんな状況でご迷惑かもしれませんが、1つお願いをしてもいいですか?」
セリカは姿勢を正して真っ直ぐ私を見据えた。
「私、やってみたいことがあるんです。私の姉妹たちの記憶で見た行為で、おそらくこの前室にある装置を使えば可能なはずなんですけれど。」
セリカは部屋を見回した。必要な物を目で確認したようだった。
「いいわ、何がしたいか言ってごらんなさい?」
セリカが期待を込めた視線を私に向けた。
18 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:25:25.17 ID:dwPX/NyW0
「お茶にしませんか?」
私は口元に少しだけ笑みをこぼしながら答えた。
「いただこうかしら。」
19 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:26:45.42 ID:dwPX/NyW0
おわり
20 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:31:19.18 ID:dwPX/NyW0
「不味いわね。」
「えっ!」
「全く、こんなもの飲ませるだなんて。」
「申し訳ありません。」
「仕方ないから私が淹れなおしてあげる。見て覚えなさい。」
「はい、よろしくお願いします!」
21 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:32:05.22 ID:dwPX/NyW0
蛇足おわり
22 :
◆EvdV0vSTSk
[sage saga]:2018/07/06(金) 22:40:23.30 ID:dwPX/NyW0
行数制限に引っかかる凡ミスのせいで読みにくくなってしまいごめんなさい。最後までご覧いただきありがとうございました。
HTML化依頼出してきます。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 07:44:36.93 ID:ZqCUH8Xvo
すき
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 09:50:33.32 ID:m7oSjFdfo
面白かった
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 12:12:08.48 ID:hkpKFG47o
乙乙
こういうのもいいなぁ
劇中劇ならではというか
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[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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