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【安価】夏を過ごす
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47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 17:56:05.60 ID:2UlNzNhm0
潮の匂いがする道に日が強く照りつける。砂浜には数名が釣りをしていた。
「暑いな」
錆びた民宿や民家が並ぶ景色は廃れた印象を受けるが、これでもこの季節になればそれなりの客が集まるらしい。
風を感じながら歩いていると陽炎の先に何かが見えた。僕はそれが何かわかった瞬間に駆け出した。
「おい、大丈夫か?」
「……ぅぅ」
その荷物から察するに、クロスバイクでそこそこの日数をかけてここまで来たのだろう。
「名前は?」
その状態から言葉を発するのには無理があり、意識すら曖昧だった。バックパックの隙間にあったメッセージカードを覗き見る。
名前
容姿
>>49
まで
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 17:58:07.55 ID:65d+Ky0m0
楠倫(くすのきりん)
黒髪ロング、細身だが巨乳
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 18:07:38.15 ID:rFChBvaj0
名前壬生 翔子(みぶ しょうこ)
容姿赤髪のショート 背は高めのモデル体型
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 20:39:48.81 ID:2UlNzNhm0
ひとまず壬生をすぐ近くの病院に連れて行くことにした。動転していた僕はより効率的な手段を考える前に、荷物を降ろさせ軽くなった彼女を背負った。
その感触や匂いや首元に当たった髪なんかに気を配ることはなく、ただひたすらに目的地へ向かって歩いていた。苦しそうな荒い息が僕をさらに急かす。
病院までようやく半分ほど来たあたりで例の少女と出会う。
「あっ……」
「……向井」
「手伝ってくれ」
or
「見世物じゃないぞ」
>>52
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 20:43:32.75 ID:96cI6ApDO
手伝ってくれ
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 20:44:57.71 ID:5lPsl14i0
手伝ってくれ
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 20:45:04.74 ID:65d+Ky0m0
見世物janaizo
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 20:59:10.96 ID:2UlNzNhm0
「手伝ってくれ」
「えぇ……」
こういうのをドン引きと言うのだろうか。嫌悪感を隠しきれないその顔を僕は数週間忘れないだろう。
「……誘拐? 犯罪の片棒は……駄目です」
「違う! 断じて違う! 道に倒れていたんだ」
なにか勘違いをされているらしい。一刻も早く壬生を病院に連れて行きたかったので、懸命に弁明した。
そして……
「……わかりました。こっちです」
指をさした先には小さくて、お世辞にも綺麗とは言えない軽自動車が止まっていた。
「兄の車です……」
「その兄も乗っているんだけどな。……乗れよ。緊急事態だろう?」
窓から顔を出した男は伸びきった髪、シワだらけの服でいかにもこの車の持ち主だという風だった。言われなければ確実に向井の兄だとはわからないだろう。
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 21:16:12.25 ID:2UlNzNhm0
そもそも人を多く乗せることを想定していないらしく、後部座席は色々なもので散らかされていた。助手席に壬生を、その後ろに僕と向井が座った。
「あんた、妹の友達か?」
「ええと……」
向井兄が僕に聞くと煙草を取り出した。
「……」
ツンとした視線を横の方から感じる。
「いいえ。顔見知りですが、名前すら知りません」
「あはははは。そうか。……おっと、もう黙るな」
むすっとした向井は窓の外に流れる景色を眺める。そこはすでに病院のすぐ手前だった。
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 21:50:30.80 ID:2UlNzNhm0
診断の結果は風邪。点滴を受けたのち薬を処方されることになった。同じ女性ということで向井が付き添い、僕と向井兄は待合室にいた。
「ありがとうございます」
「なに、礼を言うまでも無いさ」
ぽりぽりと頭をかいて言う。そして再び煙草を取り出した。
「おっと。ここは禁煙だったな」
「僕は村瀬 清一です。お兄さんは……?」
「俺は向井 瑞穂。あははは、似合ってないよな!」
僕もそう思った。現時点での彼のイメージには合わない名前だった。しかし、よく見れば顔は整っている。その長く伸びた髪や身なり、生活習慣を見直せばかなり良くなるのではないだろうか。
「ちなみに妹は千穂。家出してこっちに来てからは毎日図書館に通い詰めてるよ」
「大学をばっくれた俺が言うのもアレなんだけど、平日の昼間から何してる? もう夏休みなのか」
「いいえ。強いて言えば僕の人生が夏休みを迎えたところで」
「くあははは。いいなそれ。俺も使うわ!」
気に入ってもらえたらしい。
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 21:59:17.27 ID:2UlNzNhm0
しばらくの談笑の後、僕は住所を書いた紙を渡して壬生のバイクや荷物を回収しに行った。そのまま放置されていたそれらを担いで鋭い色のシャーシを眺める。この胸の高鳴りは何だろう。一種の憧れだろうか。
「重たい……」
向井から聞いた壬生の言い分を要約すると『帰れない理由がある。助けてくれた人に泊めてほしい』とのことで、偽善ついでに部屋を貸すことにした。
まだ日は高く日光は痛みに変わる。
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 22:41:48.92 ID:2UlNzNhm0
その後、向井兄妹は僕の住処の前で壬生を降ろしていった。去り際に妹の方が「……また図書館で」と言い残したが、カードを返す手間が省けていいなと思った。
僕よりもおそらく年上の女性を部屋に通す。一人暮らしの部屋にはこれといった物は無く、ベッドに本棚と小さなテーブル、その上にCDプレーヤーがあるのみだった。
ここでようやく壬生が口を開く。
「ありがとう」
1「いいえ。それより着替えは?」
or
2「なぜ家に帰れないんですか?」
>>60
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 22:42:56.38 ID:y5gXZcaF0
2
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 22:44:04.19 ID:/PK50udW0
2
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/07(土) 22:54:18.94 ID:2UlNzNhm0
「なぜ家に帰れないんですか?」
その問いかけに対して覚悟を決めていたらしく、すぐに答えた。
「妹との約束。こんなところでは終われないから」
「何かの途中?」
「この旅で行った場所の写真を撮ってるの。美しいと思ったもの、妹に見せたいと思ったことの」
「それが約束ですか?」
「うん」
どうにも、その妹は自転車を走らせている最中に事故にあい半身不随になったそうだ。何かしてあげられることはないかと聞けば先ほどのことを頼まれ旅に挑んだらしい。なんとも美しい話だ。
1「人に迷惑をかけてまですることですか?」
or
2「それでこの結果か。もう家に帰った方がいいですよ」
>>63
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 22:57:49.28 ID:j7euHkXLO
2
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/07(土) 22:59:24.53 ID:96cI6ApDO
2
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/08(日) 19:21:40.47 ID:HKuf2qu70
「それでこの結果か。もう家に帰った方がいいですよ」
「そんなお節介いらない……!」
「僕は偽善者ですからね」
風呂の支度は出来ていたが、風邪の状態にある人を入れていいのかは分からなかったので、お湯で温めたタオルを二枚渡した。
「気持ちいい。礼は言っておく」
壬生がそのまま服を脱ぎ出したので、僕も風呂に入った。
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/08(日) 21:26:16.57 ID:HKuf2qu70
部屋に戻ると壬生は僕のベッドで寝ていた。外は日が暮れ始めている。隅の方にまとめて置いてあったタオルや脱いだ後のものを回収する。
「明日洗濯しよう」
先程は冷たい言葉を投げかけたが、彼女なりに努力してここまで来たのだろう。
よく考えなくても年頃の異性を部屋に連れ込み一夜を共にするというのは初体験だった。この場合はそこに『行き倒れの』を付け足す必要があるのだが。
玄関先まで出て煙草をふかした。空きっ腹に染み渡る。ゆっくりと立ち上る煙が夏の空の橙に溶けていく。
湿気を含んだ生ぬるい風とひんやりとした風が交互に吹いた。
壬生のためになるものをと思い、その足で近所の商店に来た。スポーツドリンクや食料を調達するため店内を物色していると顔見知りに出会った。
1「お前は……」
or
2「向井……?」
>>67
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 21:28:35.01 ID:g6A4YiwV0
1
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 21:30:34.65 ID:7Z43bkBDO
2
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 21:30:46.54 ID:ZVuRyxws0
1
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/08(日) 21:44:39.97 ID:HKuf2qu70
「向井……?」
「誘拐犯……じゃなくてえっと」
「僕は村瀬 清一。そしてお前は向井 千穂」
「村瀬、さん……? あの人はどうですか?」
あの人というのは壬生のことだろう。僕も同類なのだが、向井は会話慣れしていないのだろうか。
よく見ると彼女の買い物かごの中もスポーツドリンクやミネラルウォーターなんかがあった。
1「寝てるよ。今から夕飯」
or
2「お前に教える必要はないだろう?」
>>71
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 21:49:24.88 ID:lGiVyAJVO
1
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 21:50:57.39 ID:g6A4YiwV0
1
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/08(日) 22:27:54.48 ID:HKuf2qu70
「寝てるよ。今から夕飯」
「……そうですか」
納得する素振りを見せたと思えば、急に睨みつけられた。
かごを持っていない方の手は服の裾をぎゅっと握っている。
「そういえば名前。……なんでですか?」
1「この図書カードだよ」
or
2「千穂ってのはいい名前だと思う」
>>74
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 22:30:27.44 ID:7Z43bkBDO
1
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/08(日) 22:31:03.80 ID:WqnMfoS10
1
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/10(火) 22:05:30.76 ID:1cv2VywU0
「この図書カードだよ」
「……! 探してました」
それを受け取ると大切そうに財布にしまい込んだ。
「拾ったんだ。図書館でぶつかった後に」
「……そうですか」
「ああ。それじゃあ」
会計を済ませようと振り向くと、向井は僕の服の裾を摘んだ。
「あ、あの……!」
ぎこちない声が響く。
1「何だ?」
or
2「もう用は済んだ」
>>77
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/10(火) 22:05:48.97 ID:lLs59oLR0
1
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/10(火) 22:06:01.67 ID:EMK2HtgZ0
1
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/10(火) 22:48:12.49 ID:1cv2VywU0
「何だ?」
声だけでなくその手も小刻みに震えていた。顔は赤らみ目はこちら以外の方向を見ている。
「兄が言ってました。……男女が2人きりは良くないです」
「待て。あの人は病人だ」
「だったら尚更です」
僕にはこれが、向井兄のいたずら的なものだとしか思えず……実際にそうなのだろうけど、その意図が掴めずにいた。
1「じゃあどうしろと?」
or
2「お前には関係ないだろ」
>>80
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/10(火) 22:50:54.22 ID:x8I7I9520
1
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/10(火) 22:51:04.75 ID:EMK2HtgZ0
1
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/10(火) 22:51:29.96 ID:kuvGllnDO
1
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/11(水) 23:03:56.04 ID:sr/din/I0
「じゃあどうしろと?」
「ぅ……」
黙り込んでしまった。
もし向井が壬生の見舞いのために何らかのツテ……十中八九、兄から僕の住所を聞いたとして、わざわざ赤くなってまで言うほどに気恥ずかしいことなのだろうか。
年頃の少女らしく意識しての反応なら可愛らしくないこともないが、そのような目で見られることもあり得ないだろう。
しかし向井兄妹には恩があるわけで、助け舟を出すことにした。
1「様子見に来るか?」
or
2「うち来るか?」
>>84
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/11(水) 23:05:34.97 ID:DUqzQamo0
1
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/11(水) 23:07:36.34 ID:sf3NnG3DO
2
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/11(水) 23:34:51.06 ID:sr/din/I0
「うち来るか?」
「……はい!」
自身の声の大きさに気がつき、「うぅ……」と声を上げながら顔を伏せてしまった。
斯くして同年代の少女と買い物をして共に帰路につく。側から見ればこの光景がどう映るのか、なんてことを考えながら歩いていた。日は沈み、街灯に虫が寄っていた。
「……」
「……」
互いに無言。話題が思いつかなかった。そもそも向井は壬生の見舞いに行くのだから、僕と話す必要すらない。
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/12(木) 00:11:53.78 ID:Kwp3CHVK0
結局のところ帰宅するまで無言を貫いた。壬生は未だにぐっすりと眠り、向井はベッドのすぐ横に座っている。
「さすがに起きると思ったんだけど」
「……」
向井はコクコクと頷くのみだった。僕はキッチンにて壬生の夕食にたまご粥を作ることにした。味付けに塩と少しの生姜を入れて煮立たせる。最後に刻んだネギをふりかけた。
「……料理できるんですね」
「最低限はな」
鍋に蓋をして壬生が目を覚ますのを待つ。その間に少しだけ向井と話してみるのもいいだろう。
「
>>88
」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 00:21:11.80 ID:5BNy5kmP0
同年代の女性が自分の家にいるなんてなんか不思議な気分だ
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 00:21:22.91 ID:FDK9tLps0
パンツ見えてる
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 00:23:55.55 ID:/J9dltnHO
>>88
は別のスレでにたような安価する荒らしみたいなヤツだから気を付けて
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 00:24:41.92 ID:5TSxojLDO
>>87
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 00:28:17.12 ID:NmbRIqol0
今まで番号だったのにセリフ自由安価にすると急に変な奴現れるから番号安価のままで進めた方がいいと思う
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 00:36:48.82 ID:FDK9tLps0
パンツ見えてる
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/12(木) 22:04:17.58 ID:Kwp3CHVK0
「向井」
「はい……?」
「図書館でたまに見かけたけど、話したこと無かったよな」
「……今だって同じだと思いますよ」
「そうだな」
沈黙が続いた。変なところで冷静なのだ。
ペットボトルの蓋を開けてコップに注ぎ、口に含んだ。
1「不思議な気分だよ」
or
2「普段はどんな本を読むんだ?」
>>95
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 22:05:54.15 ID:HxpYulz00
2
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 22:08:58.03 ID:NmbRIqol0
2
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/12(木) 22:51:17.66 ID:Kwp3CHVK0
「普段はどんな本を読むんだ?」
「……秘密です」
「ぶつかった時は何を?」
「……」
地雷を踏むとはこのことを言うのだろうか。向井はばつの悪い顔をして口をつぐんだ。
今更になって気がついたが、先ほどの向井の言い分だと今夜は泊まっていくという意味になる。まさかとは思うが、ほぼ初対面の男の家で簡単に夜を過ごせるのか。
1「そろそろ起こそうか」
or
2「学校には行かなくてもいいのか?」
>>98
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 22:52:30.04 ID:eDG8Ko5NO
2
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 22:53:46.02 ID:5TSxojLDO
2
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/13(金) 22:30:47.90 ID:ZXpOt6El0
「学校には行かなくてもいいのか?」
「はい。どうせもうすぐ夏休みですから」
窓の外は闇。繁華街の方だけは少し明るかった。
「村瀬さん」
細身で、夏だというのに白い腕。見惚れる間も無くその意図を汲み取る。指が指す方向は寝床に横たわる壬生だった。
「あー。あー。鼻声だな。……あれ、増えてる」
「……どうも」
2人はぺこりと頭を下げる。
「向井 千穂。病院にいる時、あなたの側にいてもらいました」
「そっか。ありがとう」
「い、いえ。当然です……!」
僕はキッチンに戻り夕餉の支度をした。
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/14(土) 22:29:25.89 ID:0ri/rSIS0
温め直した粥を食卓に並べる。
「どうぞ」
「いただきます」
一口目を嚥下したのちに向井と壬生は顔を見合わせて微笑む。
「……美味しい」
ただ、健康な僕らにとっては少々物足りなかったか。向井はいつ帰宅するのだろう。壬生はこの後どうなる? などと考えながら2人を眺めていた。
「何か……?」
疑惑の目を向けて問いかけてきたのは向井だった。
「ぼーっとしてただけだ」
「そうですか」
壬生は最低でも数日は行動不能だが、この様子だとつきっきりの看病が必要というわけでもないらしい。明日は何をしようか。
午前
1海辺の道へ
or
2運動公園へ
>>102
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/14(土) 22:29:50.93 ID:IoTHXYMp0
1
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/14(土) 22:30:29.58 ID:I1HFKn5n0
1
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/14(土) 23:09:24.66 ID:0ri/rSIS0
寝不足の瞼を擦りながら家を出て、ひんやりとした海風を浴びながら歩いていた。
僕は壬生を夜通し看病した。というのは建前で、いくつかの要因のせいで緊張して眠りにつけなかったのだ。
向井は「どうせ他にやることないので」と壬生と部屋に残った。夕飯の礼に何か出来ないかと聞かれたので洗濯を頼んだ。了承を得て壬生の分だけにしたが。
平日の朝方というのも相まって人通りがほぼない。たまに自転車を漕ぐ人が過ぎて行く。学生やスーツを着たサラリーマン風と様々だった。
坊主頭で大きな鞄を肩からかけていた彼は野球部の生徒だろう。真っ黒に日焼けして、でも何故か輝いて見えるものがあった。
さらに少し歩くと見えるのは小さな人影。僕よりもかなり小さい男の子。涙を浮かべながら俯いて歩いている。
1「どうしたの?」
or
2無視する
>>105
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/14(土) 23:16:23.36 ID:I1HFKn5n0
1
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/14(土) 23:21:10.97 ID:I2sQEAFz0
1
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/14(土) 23:55:21.40 ID:0ri/rSIS0
「どうしたの?」
「うぅ……」
この近辺の小学校は登校時に制服の着用を義務付けているが、この少年はそれを身につけてはいなかった。
「お父さんやお母さんはどこ?」
「……」
歩みを止めず無言で首を横に振る。そのまま歩道の端にある塀に腰を下ろした。
「怒られた?」
「違う」
「じゃあなぜ泣きながら歩いてる?」
核心に迫るであろう質問には答えたくないのだろうか。
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/14(土) 23:59:08.53 ID:0ri/rSIS0
すぐ近くの自動販売機でジュースを買って少年に渡した。正直、僕とは無関係なことではあったが、この道でまた人が倒れるのは考えたくもなかった。
一目散に封を開けて飲む。よほど喉が渇いていたのだろう。
「ぷは。……ありがとう」
「いいんだよ。僕は村瀬 清一。君は?」
名前や容姿など
>>109
まで
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/15(日) 00:07:45.35 ID:w1iliKS2O
長谷倫太郎(はせ りんたろう)
茶色の丸髪の大人しい感じの少年
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/15(日) 00:08:54.07 ID:lZRi9aPa0
↑
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/16(月) 21:49:32.28 ID:fZJz7/dp0
「倫太郎。……長谷 倫太郎」
「そうか。なあ倫太郎。学校には行かないのか?」
「……」
彼の表情が再び曇りがかる。こんな僕がこの子に何を諭そうというのか。
「とにかく今日は家に帰りな。もうすぐ夏休みなんだろう?」
僕はここ最近ずっと夏休みだけど。
その後、来た道を戻っていくのを見送った。もしまた同じようなことがあれば偽善に走ろうと思った。
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/16(月) 22:00:00.93 ID:fZJz7/dp0
もうすぐ昼に差し掛かる。日は登り、本格的に地を這う人間どもを焦がすつもりだろうか。
「暑い。夏だからか?」
僕は夏という言葉に不思議な魅力を感じる。なぜだろう。
街路樹の下にできた影と影を縫うようにして歩く。挙動不審に見えてわりと涼しかった。
そこから目に入ったのは木漏れ日と水しぶき。どうやらここは公園で、そのシンボルたる噴水オブジェクトから定期的に放出されたものが見えたのだ。
「ずいぶんと歩いたな。そろそろ帰ろうかな」
1買い物をして帰る
or
2運動公園に入る
>>114
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/16(月) 22:09:22.94 ID:k4pYV7LYO
1
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/16(月) 22:10:08.74 ID:nkwBYyY/0
1
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/17(火) 22:50:06.97 ID:+pN2Ljdy0
時間が空いたので1で進めます
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/18(水) 22:29:39.46 ID:OJm9E4/60
必要なものを最低限買い揃えて帰宅した。
「お、お邪魔してます……」と向井。うん、知ってた。
よく見るとベランダに洗濯物が干されていた。この分だとすぐに乾くだろう。
「かなり良くなったよ。ありがとう」
「いえいえ。でも病み上がりで無理はできませんよ」
「でも、諦める気も無いから」
それでいい。僕は彼女の夏に嫉妬、もしくはそれに似た劣等感のようなものを感じていたのだから。今はもうそれはなく、未だ知らぬ『壬生 翔子が妹のために行動を起こす物語』の脇役という立ち回りに納得していた。
昼食を拵える最中、餌付けの済んだペットのように待機する2人を尻目に考えた。
午後の行き先
1図書館
2友人の家
3どこにも行かない
>>117
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/18(水) 22:30:53.32 ID:A22ao6Tu0
3
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/18(水) 22:31:21.15 ID:D+SCIty/0
2
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/18(水) 23:10:28.13 ID:OJm9E4/60
あまり離れていなくても滅多に足を運ばないその場所は僕の友人宅だった。
実は僕が勝手に友人だと思っているだけで、それほどの間柄ではないのかもしれない。だとしたら僕は真剣にカウンセリングの受診を考えなければならないだろうか。
友人の名前
>>120
まで
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/18(水) 23:12:05.77 ID:Kwk6Xzs40
松浦和馬(まつうら かずま)
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/18(水) 23:16:30.49 ID:A22ao6Tu0
結城 弘樹(ゆうき ひろき)
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