剣闘士「剣闘士は戦うだけが仕事じゃないってことさ」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:33:14.99 ID:5WDqyBzc0
第一話『剣闘士の仕事』



― 闘技場・試合場 ―

ワァァァ……! ワァァァ……!



剣闘士「うおおおおおおっ!」

敵選手「なんのっ!」

キィンッ! キンッ! ――ガキンッ!

敵選手「ぐっ……ま、参った!」

剣闘士「よし……勝った!」



ワアァァァァァ……!

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:34:06.02 ID:5WDqyBzc0
スタスタ…

剣闘士「フンフンフ〜ン」

同期「お疲れさん、いい勝利だったな」

剣闘士「ああ、これで連勝だ!」

剣闘士「勝つと、ファイトマネーの他に勝利報酬をもらえるからな……おかげで懐が潤うよ」

同期「いいなぁ、俺は今日は負けちまったよ」

剣闘士「へっへっへ、今晩はおごってやるよ!」

同期「ごちそうさんで〜す!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:36:01.70 ID:5WDqyBzc0
スタスタ…

剣闘士「……ん?」

剣闘士(若い奴が座り込んでやがる)

若手「……はぁ」

剣闘士「どうした?」

若手「実は今日、負けてしまって……これで三連敗中なんです」

剣闘士「三連敗か、そりゃちとキツイな」

若手「ボクは剣闘士、向いてないんじゃないかと……」

剣闘士「…………」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:38:13.30 ID:5WDqyBzc0
剣闘士「……なぁ」

剣闘士「剣闘士の仕事ってのはなんだ?」

若手「そりゃあ、闘技場で戦うことでしょう? 戦って……勝てれば最高です」

剣闘士「たしかにそうだ。だけど、それだけじゃない」

若手「え……他に何があるんです?」

剣闘士「お客を楽しませるってことさ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:40:13.54 ID:5WDqyBzc0
剣闘士「闘技場はだいぶ安全性が高められたとはいえ、真剣勝負の舞台だが」

剣闘士「観客の前で戦う以上、ある種の劇場ともいえる」

剣闘士「勝って喜ぶ奴がいれば、負けて悔しがる奴も絶対出てくる」

剣闘士「その筋書きのないドラマが、観客に感動や興奮を与えるのさ」

剣闘士「お前が剣闘士に向いてるか向いてないか、そうやって悔しがることができるなら」

剣闘士「間違いなく向いている!」

若手「!」

剣闘士「だけど、悔しがってばかりじゃ前に進めない」

剣闘士「勝ったらやったぁ、負けたら悔しい、それをずーっと繰り返していくのが剣闘士だ」

剣闘士「だから……今は落ち込んでないで、立ち上がれ!」

若手「……はいっ!」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:41:54.69 ID:5WDqyBzc0
若手「ありがとうございます……」

若手「ボクはこれからも勝って負けてを繰り返して、見ている人に楽しんでもらえるよう」

若手「頑張ります!」

剣闘士「その意気だ! そうしていくうちに、本当に強い闘士になれる!」

剣闘士(う〜ん、調子がいい時ってのは励ましも冴え渡るな……)

剣闘士(今の俺、かっこよすぎだろ……)

剣闘士「ああ、そうそう。ところで、今シーズンの戦績は?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:43:43.49 ID:5WDqyBzc0
若手「今のところ六勝三敗です。勝ち越して、Aランクへの昇格はほぼ確定なんですけど……」

若手「こうも連敗が重なると、気が滅入ってしまって……」

剣闘士「…………」

剣闘士「あ、あっそ……頑張ってね」

若手「はい!」

剣闘士(励まして損した……)

剣闘士(俺は今シーズン二勝七敗で、来シーズンもBランクだよ! うわぁぁぁぁぁん!!!)タタタタタッ

若手「先輩!?」





― 終 ―
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:46:09.08 ID:5WDqyBzc0
第二話『戦う女』



― 闘技場・オーナー室 ―

オーナー「……ダメだ」

女戦士「なぜですか!?」

女戦士「あたし地元じゃ、男相手にも負け無しなんですから!」

オーナー「だからといって、女性を剣闘士として雇うわけにはいかん」

女戦士「そんな……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:48:43.02 ID:5WDqyBzc0
剣闘士「さっきからオーナー室が騒がしいけど、どうしたんだ?」

同期「ああ、女がやってきて、雇ってくれって騒いでるらしい」

剣闘士「ふうん、雇ってやればいいのにな」

剣闘士「職員は無理としても、料理人、給仕係、清掃係、闘技場内の出店……」

剣闘士「人手が欲しいとこはいくらでもあるだろ」

同期「それが、剣闘士として……なんだってよ」

剣闘士「剣闘士!? 戦いたいってことか」

同期「ああ、腕っぷしには自信あるみたいなんだがな」

同期「だけどやっぱり男の中に女が混じって戦うのはキツイだろ」

同期「他の闘技場じゃ、女が剣闘士やってるとこもあるけど、大抵お色気要員だし……」

同期「うちのオーナー、そういうの嫌いだろうしな」

剣闘士「…………」

剣闘士「――いや!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:50:25.80 ID:5WDqyBzc0
剣闘士「失礼します」ガチャッ…

女戦士「!」

オーナー「……君か」

オーナー(万年Bランクで戦績微妙なのに、妙に存在感のある男だ……)

剣闘士「オーナー、お願いです」

剣闘士「この女性を剣闘士として雇って下さい!」

女戦士「え……」

オーナー「いきなり何を言い出すんだ!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:53:11.78 ID:5WDqyBzc0
オーナー「いいか? 闘技場というのは男社会だ。女性がやっていけるわけがない!」

剣闘士「そんなことはありませんよ、オーナー」

剣闘士「今や、典型的な男社会である職人の世界でも、女性の職人が生まれてる時代ですよ!」

剣闘士「新聞で女性の鍛冶師が活躍してる、なんて記事を読みましたし」

オーナー「それは……私も読んだことがある」

オーナー「しかし、男と女じゃ筋力や骨格が違いすぎるだろう。試合にならんよ」

剣闘士「それは男同士でも同じです!」

剣闘士「剣闘士の中には小柄な奴もいれば、大柄な奴もいる!」

剣闘士「体格に恵まれてなくとも技が優れていて、勝率が高い奴だっています!」

剣闘士「現にうちのAランク闘士には……」ペラペラペラ…

オーナー(うむむ……ああいえばこういう、だな……)

オーナー(闘技場事情にも詳しいし、やりづらい……)
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:55:55.66 ID:5WDqyBzc0
オーナー「しかし、やはり危ないし……」

剣闘士「今の闘技場興行は、武器である剣が安全なものに見直され」

剣闘士「真剣勝負でありつつも、安全性は飛躍的に向上しています!」

剣闘士「うちの闘技場でも近年、死人どころか、重傷者もめったに出ていません!」

剣闘士「誰もが剣闘士を目指せる時代が来つつあるんです!」

剣闘士「女性だから剣闘士にはしない、なんて考えはナンセンスですよ!」

剣闘士「今こそ、うちの闘技場も新しい時代に羽ばたく時なんです!」

剣闘士「そうすれば、もっと観客も増えて、国一番の闘技場になりますよ!」

オーナー「うーむ……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:58:11.51 ID:5WDqyBzc0
剣闘士「オーナーだって、よく愚痴ってるでしょう!」

剣闘士「もっと客が入れば昔みたいに闘技場の予算で飲みに行けるんだけどなー、なんて!」

オーナー「ちょっ! わ、分かった分かった! もういい!」

剣闘士「分かったということは?」

オーナー「いいだろう……君を雇ってみよう」

女戦士「…………!」

女戦士「ありがとうございますっ!」

オーナー「いっておくが、剣闘士として雇うからには、男同様に扱うぞ」

女戦士「望むところです!」

オーナー(ふむ、いい目をしている……。案外、いい剣闘士になるかもしれんな……)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 18:59:54.48 ID:5WDqyBzc0
女戦士「ありがとう……」

女戦士「あなたの口添えがなかったら、きっとダメだったわ」

剣闘士「いやいや、なんのなんの」

剣闘士「まだまだこの国に女性の剣闘士は少ないけど、その先駆けとして頑張ってくれよ」

女戦士「もっちろん!」



同期「…………」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 19:01:46.47 ID:5WDqyBzc0
同期「いやー、まさかオーナーにうんといわせちゃうとはな」

剣闘士「剣ではともかく、口で俺に勝てる奴はそうそういないぜ」

同期「しかし、なんであんなに彼女を推したんだ?」

剣闘士「そうだな、一言でいうなら――」

剣闘士「女になら勝てる!!!」

同期「やっぱりそういうことかよ……」

同期(だけど――)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 19:03:14.59 ID:5WDqyBzc0
― 闘技場・試合場 ―

ワァァァ……! ワァァァ……!



剣闘士「あががっ……参りました!」

女戦士「やったぁ! これで五連勝! Aランクに移れるかも!」



同期(あーあ、やっぱりな)





― 終 ―
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/28(木) 19:06:14.47 ID:5WDqyBzc0
第三話『苦悩する王者』



― 闘技場・試合場 ―

ワアァァァァァ……!



チャンプ「はぁっ!」シュバッ

――ガギィンッ!



ワアァァァッ!!!

「うおおおっ! チャンプが勝った!」 「これで何連勝目だ!?」 「もう数えてねえよ!」



ウオオオォォォォォ……!
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