他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
モバP「担当アイドルの家庭環境が想像できない」
Check
Tweet
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:09:28.39 ID:jL0MBpz30
P「由々しき事態です」
ちひろ「そんな大げさな」
P「家庭は個人の土壌です。その人が育った理由が詰まってるんですよ。ファンからすれば気になるポイント、ひいては妄想しがいのあるポイントのひとつだと思うんです」
ちひろ「まぁ、人となりを見ればどんな家庭か想像できたりしますもんね」
P「そうなんですよ。例えば自らをカワイイと豪語するあのアイドル。さぞ愛されて育ったんだろうな、とか」
ちひろ「幸せな子になるよう名付けられました! って言ってましたもんね。両親の愛情が伺えます」
P「蒼いセンスなあのアイドルが育つなんて、どんな花屋なんだろうな、とか」
ちひろ「あれは本人由来だと思いますけど。たしかに想像は膨らみますね」
P「でしょう? その辺不詳のミステリアスな存在……というのも確かに魅力だとは思うんですが、うちのアイドルは……」ちらっ
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1529834968
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:15:45.92 ID:jL0MBpz30
クラリス「まあ……! 音葉さん見てください見てください! のあさんのカフェラテ、ほら!」
カップ「♪」
梅木音葉「八分音符……ふふっ。譜面の上以外で揺らめく姿を、初めて見ました……。ラテアート……器用なのですね……」
高峯のあ「結実した今という瞬間をそう評してくれるなら、積み重ねた時間にも意味は生まれる……。楽しませられたなら、なおのこと…………」
P「ミステリアスにもほどがあると思うんですよ」
ちひろ「現代日本で育った存在なのかさえ怪しいですよね。兵庫、北海道、奈良出身でしたっけ」
P「他国、異世界、近未来って言われた方がしっくりきますよね」
ちひろ「キャラはもうビンビンに立ってますけど……たしかに、ちょっぴりその辺ファンに知ってもらうのもいいかもしれないですね」
P「俺らもぶっちゃけよく知りませんしね。ファンが妄想するとっかかり程度に、ちょっとだけ明かしてみましょう。そうしましょう」
ちひろ「……ちなみにさっき、のあさんはどういう意味の発言をしてたんでしょうか? 結実がどうとか」
P「練習した甲斐があった、楽しんでくれてうれしい、と。かわいいとこありますよね」
ちひろ「振っておいてなんですけど、即答できるその理解力は若干キモいです」
P「どうすりゃいいんですか俺は」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:17:39.28 ID:jL0MBpz30
ちひろ「まぁPさんのことは置いときまして、活躍の可能性を探すのはとてもいいことだと思います」
P「でしょ? なので実際に本人たちから少しだけ話を聞いてみましょう。そして、ファンがそのちょっとの情報からどう想像を広げるのかを実践しようと思います」
ちひろ「要はファンの代わりにPさんが妄想してみようって話ですね。アホらしいですがアイドルのためですし、付き合いますよ」
P「ありがとうございます。というわけで……おーい、みんなちょっとおいでー」
ちひろ「最年少でも十九才の女性陣を呼ぶのにふさわしい呼びかけなんですかねそれ。もっと無邪気な年ごろ向けでは」
クラリス「はーい♪」とててててっ
ちひろ「いやまぁ無邪気というか、邪気の真逆にいるような人ではありますけど」
音葉「え、あ……は、はーぃ……」
ちひろ「恥ずかしいならノらなくてもいいんですよ?」
のあ「…………」すいーっ
ちひろ「無言で来るのはいいんですけど、音どころか一切の上下移動がない歩き方どうにかなりませんか? フロート移動してるみたいで若干怖いんですが」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/24(日) 19:18:13.69 ID:ZBIeSEcC0
あ、この前の学生時代の人か
wktk
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:20:45.45 ID:jL0MBpz30
のあ「はぐくまれた場所に……思案を巡らせたいと……?」
クラリス「のあさんの出身……鹿さんがたくさんいるところでしたよね?」
ちひろ「それだと奈良中に鹿がいるみたいなんですが」
音葉「ご両親は、エーデルな……洗練された雰囲気を持つお方なのでしょうね……」
P「きっとそうですよね。ちなみにのあさん、ご両親のどっちに似てるとか言われたことあります?」
のあ「……渦巻くらせんに綴られた系譜は、神が示した道しるべのようなもの……他者からの観測に差異は少々あったけど……どうやら私のそれには、ゆりかごの色が強く反映されているみたいね……」
ちひろ「えーと………………『お母さん似って言われます』?」
P「おお、正解ですちひろさん。理解できてるじゃないですか、のあさん語」
ちひろ「勉強しましたから。割と考え込まないといけないので、Pさんが通訳してくれると楽なんですけど」
P「そこは楽しちゃダメですよ。すぐに慣れますって」
ちひろ「むしろ同じ時期から勉強始めたあんたがどうしてそこまで深く理解できてるのかが不思議です」
P「僭越ながら、語学力には自信がありますから」
ちひろ「語学研究者に怒られますからドヤ顔止めてください」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:24:01.34 ID:jL0MBpz30
クラリス「お母様はのあさんと似てる……では、お父様はどのようなお方なのですか?」
のあ「……口数が多い方ではないわね。ただ、人並み以上の熱量は常に蓄えている人よ。熱を吐き出す時と場合が偏っている、と言った方がいいかしら」
P「あー、好きなこと関連ならよく話す人ですか?」
のあ「ん……といっても、星のこと以外で言の葉を解き放つことはあまりなかったけど」
クラリス「天体観測はお父様譲りのご趣味なのですね」
音葉「キアレッツァ……夜空の輝きを娘に語り聞かせる…………。きっと、お父様にとってはとても大切な時間だったのでしょう……」
ちひろ「寡黙な父親……ん? じゃあお母さんは割と喋る方とか?」
P「のあさん語のままめっちゃ饒舌だったりしたらどうしましょう」
ちひろ「……とっても想像しにくいんですけど」
P「そうですか? 鍛えられたのあさんファンが今の話を聞けば、たぶんこんなかんじの想像が…………」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:32:11.66 ID:jL0MBpz30
P(学生)『うわ……下校のタイミングで雨なんて、なんとも間の悪い……。しょうがない、近くのコンビニまで走って…………ん?』
のあ『…………』
P『(同じクラスののあさんが、下駄箱のとこでじっと立ってる……』
のあ『…………』
P『傘なくて困って……るわけじゃないや。傘持ってる。どしたんだろ。最近喋るようになったけど、正直よく分からない人だよな)』
のあ『…………あ』
P『(あ、こっち見た) のあさん、今帰るとこ? 雨ん中帰るのって嫌だよね』
のあ『嫌いではないわ……流れ落ちる雨が、空を清める中を歩くのは…………。澄んだ世界の夜にはきっと、強い光が満ちるから……』
P『あー、日中に雨とか雪が降った日は、星空がきれいに見えるんだよね。空気中のホコリがなくなるとかどうとか、聞いたことある』
ちひろ「妄想のあさん、学生なんですね」
P「アイドル以外の社会人やってるとこが想像できなくて。俺がプロデューサーである以上、こんな逸材見逃すなんてありえませんから。地球の裏にいたって絶対見つけ出します」
のあ「…………数えきれない縁の中から、私の手を取り導くと……?」
P「もちろん」
のあ「……」すすっ
ちひろ「若干距離詰めましたね」
クラリス「むっ」ずいっ
ちひろ「張り合わんでよろしい」
音葉「あ、ぅう…………うー……」ずずいっ
ちひろ「だから、恥ずかしいならノらなくても」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:36:13.37 ID:jL0MBpz30
P『雨上がり待ちってわけじゃないよね。どしたの?』
のあ『……そこに悪意はなくとも、疎まれてしまうことはあるわ。空を澄ませてくれる流れに、そんな悲しみを背負わせたくはないの。私にできるのは、あなたを……多数の中の一人を傾けることだけだけど…………それでも、いいと思えた』
P『?』
のあ『……』
P『???』
のあ『………………あなたが傘を持っていなかったら……一緒に、帰ろうと……』
P『あ、ああそういうこと? ほんと!? いいの?』
のあ『かりそめの天蓋でも、私一人には広すぎるもの……。それに……雨音のささやきを嫌ったことはないけれど、誰かの声も悪くはないわ…………』
P『(相合傘とか気にしないんだな……。まぁ、気にするような人にも見えないけど) よーし、そうまで言われたら爆笑間違いなしのとっておきトークを披露しないと。期待していいよ』
のあ『…………じゃあ、行きましょうか』
で、歩き始めて十分くらい
のあ『…………』
P『……(くすりともしない……鉄板の滑らない話が全滅とは…………)』
P「ちなみにトークの下りですが、スカウトしたての頃の実体験が基になっています。いつかリベンジしたいです」
ちひろ「惨敗の未来しか見えませんが応援しておきます」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:38:28.56 ID:jL0MBpz30
P『(不機嫌なわけじゃない……とは思いたいんだけど、いかんせん無言だと……何を話したらいいのか……)』
のあ『……続きは……?』
P『へ? は、話の?』
のあ『紡がれる物語には、語り手が透けてしかるもの……。あなたのもそう……言葉の裏から溢れてこぼれる、心の色こそ尊いの……私はそれを受け入れたい…………』
P『お。おぉう…………?』
のあ『…………』
P『…………?』
のあ『………………楽しませようとしてくれて、うれしい。もっと聞かせてほしい…………』
P『あ、う、うん (一応、喜んでくれてるってことでいいのかな)』
ちひろ「妄想Pさんはのあさん語の理解が甘いんですね」
P「はい。ですが、分からないのも悪いことばかりじゃないんですよ」
ちひろ「どゆことですか?」
P「実はのあさん、照れくさいことほど難しく言うんですよ」
ちひろ「はぁ」
P「そういうときに、あえて分からないふりをして本人に説明させるとめっちゃ可愛いことに気づいてしまいまして」
のあ「……」むにーっ
P「いたいいたい。頬引っ張らないで。あんまりやりませんから許してください」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:41:19.35 ID:jL0MBpz30
さらに歩くこと五分くらい
P『かくして安部先生のお母さんとアイドルウサミンは同一人物じゃないかって説が…………ん? のあさんどうしたの? 立ち止まって』
のあ『…………ここ、私の家』
P『へー、初めて知った。あ、じゃあここでばいばいだね。傘、ありがとう』
のあ『まだ降ってるわ』
P『雨足弱まってきたし平気だよ。俺の家、ここから近いし』
のあ『…………。うん』がしっ
P「? ど、どうしたの? 俺の手、どうかした?」
のあ『上がって』
P『へ? い、家に?』
のあ『きっともうすぐ止むわ。それまで』
P『そこまでしてくれなくても……あ、ちょ、ちょっと引っ張らな……わ、分かったよ、お邪魔するよっ』
ちひろ「そういえばこれ、家庭妄想トークでしたね。前振り長くて忘れかけてました」
P「妄想だからこそ目当てのシーン以外が必要なんですよ。本番前の展開が雑なエロ本だと抜けないみたいなものです」
ちひろ「分からんでもありませんが、もうちょい女性が共感できる例えなかったんですかね」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:44:18.53 ID:jL0MBpz30
のあ『……ただいま』
P『お、お邪魔しまーす……。(庭付きの、白くてきれいな洋風の家……。なんだろ、贅沢ってよりも裕福というか豊かというか)』
母『……あら……』
P『こ、こんにちは。のあさんと同じクラスのPといいます』
母『そう、あなたが……』
P『(黒髪だ……。のあさん銀髪だけど、そこはお父さん譲りなのかな……。髪色以外はそのままのあさんを大人にしたみたい……見れば見るほどそっくり……)』
母『』にっこり
P『え、おう?』
母『最近うちの子に一等星の輝きが見え隠れし始めたと思ったら……! 恒星でないことは分かっていたけど、だとしたらどんな太陽が現れたのかと……! へぇ……のあったら、へーえ……!』にっこにっこ
P『(のあさんと同じ顔なのにめっちゃにやにやしとる……違和感すげえ……)』
P「のあさんファンならさっきの情報からここまで考えますよ」
ちひろ「あんた含めて鍛えられすぎじゃないですかね」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:47:56.37 ID:jL0MBpz30
のあ『お母さん、黙って。……P、こっち』
母『のあと交流するなんて、雲を掴み霧と踊るような感覚に陥るかもしれないけど、のあにはちゃんと実体があるんだから……! 分かりにくいようで本当のことしか言わない、冬の空より澄んだ実体……! 見ていればPくんのことばっかり考えてるって分かり……あ、ちょっとのあ……! まだ話は……!』
すたすた
P『……いいの……? お母さん……』
のあ『留めておくべき言葉のない声なんて、ただの音よ……。同じ音なら、雨音のほうが優しくていいと思うわ……こっち、私の部屋。入って』がちゃっ
P『お、お邪魔しまーす…………(きれいってか、物がない……フローリングに、机とベッドだけ……)』
のあ『座って』ぼふっ
P『(クローゼットからぴにゃクッション……)ど、ども』
のあ『…………』
P『えーと……楽しいお母さんだね』
のあ『……受け入れがたい評ね。星間に漂う漆黒よりも無為な言葉の集合だと思うけど……観測者によってこうもズレが生じるのね』
こんこん
P『ん? ノック……お母さんかな?』
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:51:45.24 ID:jL0MBpz30
がちゃ
P『お、おぅ? (とても鋭いまなざしの男の人……それに髪型、銀髪のオールバックって…………迫力やばい……ん? 銀髪? もしやこの人……)』
のあ『……ただいま、お父さん』
父『お帰り、のあ…………』
P『ど、どうもPといいます。のあさんにはいつもお世話になっています』
父『…………』
P『(めっちゃ見られてる……。眼光の尖り方がのあさんのそれだ……すごく息が詰まる……)』
父『…………』
P『(き、気まずい……。見られてるだけなのに、胃をヤスリがけされてるような感覚が……)』
P「ちなみにお父さんとのやりとりは、初めてのあさんと会った時の実体験を基にしております」
ちひろ「よくそんな人をスカウトしてきましたねあんた」
P「そこはまあ、見た瞬間に心を掴まれたというか。この人の進む道を一番近くで見ていたい、側にいさせてほしいって思ったんですよ」
のあ「…………」すすっ ぴたっ
ちひろ「距離詰めた挙句ついには密着しましたね」
のあ「……暑いわ」
ちひろ「そりゃそうですよ。おしくらまんじゅう状態止めるか、我慢するか選んでください」
音葉「…………」ぴたっ
ちひろ「張り合いの末に我慢を選びましたね」
クラリス「冷房をお願いします」ぴたっ
ちひろ「選べってんですよこの強欲シスター」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:54:04.95 ID:jL0MBpz30
P『えーと……今日は傘を忘れたところをのあさんに助けてもらって』
父『…………』
P『いや、考えてみればいっつも助けてもらってばっかりな気もしますけどね。忘れた宿題見せてもらったり、当番の掃除手伝ってもらったり』
父『…………』
P『ほんと、のあさんって何でも涼しい顔でこなすから頼りがいがあって、クラスでもみんな一目置いてるというか…………あ、なんか三者面談の先生みたいですね。あはは、あは……』
父『…………』
P『……(む、無言……のあさんもこっち見てるし……のあさんの視線が倍に増えたみたいでめちゃめちゃ落ち着かない…………!)』
ちひろ「これ父親似じゃありません?」
P「そうでしょうか? 割と母親をのあさんに寄せてるつもりですが」
ちひろ「いや、どっちかっていうとのあさんママ、神崎の蘭子ちゃんに寄ってるっぽいんですが……あんたにはのあさんがどう見えてるんですか」
P「めっちゃ可愛い俺のアイドル」
ちひろ「そういうこと言うとまーた密着し始めるからやめてください。ほらのあさん、ほっぺたむにーってなるくらいくっつかんでください」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 19:58:02.53 ID:jL0MBpz30
P『(何を話すのが正解なんだこの状況……。こうなったらいっそ鉄板の滑らない話でも……のあさんには不発だったけど、今度こそ…………!)』
父『…………………』すっ
P『へ? お菓子? うわ、なんか立派な箱……』
父『……仲良くしてやってくれ』
P『え、ああ、もちろんですよ。のあさんみたいに楽しい人、中々いませんから。こっちからもぜひお願いします』
父『…………ゆっくりしていってくれ……』がちゃっ ばたん
P『(最後、かすかにだけど笑ってた、よね……? のあさんもあんな風に笑うのかな。笑うとこ見たことないから分からんけど)』
のあ『……騒がしくてごめんなさい……』
P『いや、お父さんの方は全然…………お母さんだって、普通にいい人だと思う』
のあ『…………』
P『露骨に納得いかないって顔せんでも』
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:00:52.92 ID:jL0MBpz30
母『ようやく、ようやくのあにも……! 照らして見つめて明かしてくれる、そんな存在が……。そうなの……のあほど見てて飽きない娘もいないの……! ほら、見て……!』
のあ『盗み聞き……』
P『アルバム? おお、七五三のあさんだ』
母『にこりともしないものだから写真屋さんが困ってしまって……それで、困らせたことに気づいて困ったのあが、頑張って笑ったのがこっち……!』
P『あー、いいですねえこれ。へったくそな笑い方がすごいかわいい。もっと困らせたくなりますねえ』
母『それでこっちが小学校の卒業式……!』
P『あ、これもしかして泣くの我慢してます?』
母『分かるのね……! そうなの……家に帰る途中の車の中までが限界だったみたいで、ほろほろ泣き出しちゃって……! あとこれが周りに流されて中学のミスコンにバニーで出たときの』
がちゃっ
父『母さん……その辺に…………』むんずっ
母『は、離して……幾星霜でもまだ足りないくらい、ずっとずっとのあがかわいいって理解してくれる人を待っていたの……! きれいとか凛々しいとかじゃないの、かわいいの……!』
父『のあの客だ…………。のあの時間を邪魔してはいけない……』ずるずる
母『待ってぇ……語らせてぇ…………!』
ばたんっ
のあ『…………私と母が同じ形容詞であらわされるのは、やはり納得いかないわ』
P『いや、やっぱどっちも楽しい人だと思う。方向性が違うだけで』
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:03:55.58 ID:jL0MBpz30
数十分後、雨上がり
P『生まれてこのかた一番楽しい雨宿りだった』
のあ『…………楽しかった…………?』
P『うん。上がってけって言われたときはびっくりしたけど』
のあ『……先人の道を辿るのは、賢人の選択であれど最適解であるかは分からない。それでも、標なく歩き出せるほど明瞭な道のりではなかったわ……特に私には……。だから、私はその声に従った……』
P『(これまでで一番よく分からん発言が来てしまった……なんだろ……?)』
のあ『…………あなた、だから』
P『うん?』
のあ『…………ともだち、は……。家で一緒に遊んだりするものだと、クラスの人が言っていた、から……………』
P『…………』
のあ『…………あなたの沈黙は不安をかき立てるわ……』
P『いや、友達って思ってもらえてたことに本気の感動がきちゃって……そっか。そっかそっか』
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:06:14.51 ID:jL0MBpz30
のあ『満ちた時間になれたなら、よかったわ……』
P『とっても楽しかったよ。ありがとう。じゃ、また明日…………。…………?』
のあ『…………』
P『(なんか、こう……何かを期待する目で見られてる気がする)』
のあ『…………あなたの言葉は、偽りではない…………。その先を垣間見てしまった私は、愚かかしら…………?』
P『(俺が言ったことって、楽しかったとしか…………その先…………?)』
P『(………………あ、もしかして……。うぬぼれだったら恥ずかしいなんてもんじゃないけど……よ、よーし)』
P『…………また来ていい? それと、今度はうちにも遊びに来てよ』
のあ『……! もちろん…………ふふっ』
P『(あってたっぽい……てか、笑った……! 初めて見た……!)』
のあ『楽しみにしているわ……とても、とても…………』
P「で、次遊びに行ったら枕元にティッシュとマムシドリンクがですね」
ちひろ「こら」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:09:18.57 ID:jL0MBpz30
P「なんですかいきなり。せっかくきれいに終われそうだったのに」
ちひろ「いきなりはこっちのセリフですよ。終盤もうちょっとなんとかならなかったんですか」
P「親公認みたいなかんじなら、いろいろと気をまわしてもらえたりしないかなーと。そしたらこっちもそりゃもういろいろと」
ちひろ「ストップ、ストーップ。はい終了、のあさん編終了でーす」
のあ「…………」ぴとーっ
ちひろ「汗だらっだらですけど、そろそろ離れたらどうです?」
クラリス「冷房を……」
ちひろ「欲張らないでください」
音葉「リゾルート……絶対に譲れない場所がここに……」
ちひろ「欲に素直な人しかいないんですかこの事務所は」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:11:15.46 ID:jL0MBpz30
P「まあ、のあさんはまだ想像しやすい方ですよね。一番難しいのは」じーっ
ちひろ「この人ですよね」じーっ
クラリス「…………? 私ですか?」
P「ものすごく失礼なこと言うと、生まれた時から教会にいてもおかしくないというか」
ちひろ「聖夜の夜、『この子をお願いします』という手紙が添えられたゆりかごが教会の前に……」
P「シスターの愛を受けて育った彼女は、自然と手を差し伸べる側に……そして現れる本当の両親…………」
ちひろ「育ての親か、生みの親か……」
Pちひ「少女の選択やいかに…………」
クラリス「え、えと…………ごめんなさい、割と普通ですよ……? お父様もお母様も、普通…………」
Pちひ「…………まぁ、普通が一番幸せですよね」
クラリス「なぜ肩を落とすのでしょう……」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:15:07.94 ID:jL0MBpz30
P「けど、普通といっても割と厳しそうですよね。クラリスさん見てると」
ちひろ「立ち振る舞いとか、放任主義じゃまず育たないレベルですもんね」
クラリス「言われてみれば……行儀よくありなさい、とはよく言われていた気がします。神様はいつも見ているから、と」
P「それで素直に行儀いい人が育つんですから、ご両親もきっと負けず劣らずに整った振る舞いの方なんでしょうね」
ちひろ「親が出来てないことを子供はやろうとしないですものですからねえ。しかし、そうですか……クラリスさんくらい優雅な人が二人……。なんでしょう、傍から見たらめちゃめちゃ敷居が高い一家ですね」
P「本人たちにさほど自覚がなさそうというか、行儀がいいのが当たり前になってそうなあたりなおのことですよね。声をかけるのもためらわれそうな……」
クラリス「そんなことはないのですが……」
ちひろ「……でも、Pさんは行くんですよね?」
P「そりゃもう。クラリスさんと知り合えるなら敷居なんざ踏み砕いていきますよ」
クラリス「まあ…………まあ…………♪」ぎゅうっ
ちひろ「ついには抱きつきましたねこの色欲聖女」
P「となると、クラリスさんのご両親はたぶんこんなかんじの……」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:17:56.58 ID:jL0MBpz30
P(社会人一年生)『仕事で失敗……しかもそれを上司に後始末させてしまうとは……はぁ…………』
P『へこんだ気持ちで歩いてたら、町はずれまで来ちゃったな…………へぇ、こんなところに教会なんてあったんだ』
クラリス『こんばんは』
P『(おわ、後ろから…………修道服の女性?……きれいな人だな……)ど、どうも。ここのシスターさんですか?』
クラリス『はい、クラリスといいます。ごきげんよう…………というような気分ではなさそうですね。何かあったのですか?』
P『分かるんですか?』
クラリス『お顔に出ています。素直で正直なお方なのですね』
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:19:55.30 ID:jL0MBpz30
P『まぁ……嘘がへたくそというか、見透かされるタチな自覚はしてますけど。ちょっと、仕事で……失敗してしまいまして』
クラリス『あら…………。よろしければあちら、いかがですか?』
【懺悔室】
P『懺悔ですか…………』
クラリス『悩み相談、くらいに捉えていただければ結構です。口に出すことは意識するということであり、向き合うきっかけになりうることなのですよ。お代などはいただきませんから、よければ』
P『(……珍しい体験ではあるよな。気分転換くらいにはなるかも…………)じゃあ、ぜひ』
ちひろ「アイドルにならなかった世界の話ですか?」
P「なる前の話ですね。こんな逸材ですもん、たとえ俺がアイドル業界に全然関係なかったとしても、第二第三の俺が現れるでしょう。むしろこの出会いから、俺が転職してプロデューサーとなり迎えにいくまであり得ます」
ちひろ「キモいレベルの執心ですけど、そのバイタルは正直嫌いじゃありません」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:21:25.12 ID:jL0MBpz30
P『教会って初めて入るな……お、あれ神父様ですか? それにシスターさんがもう一人……』
クラリス『はい。…………お父様、少しお部屋を使ってもいいですか?』
P『うぇ? お、おと……?(親子二代で聖職者? この手の知識なんて皆無だけど、よくあったりする話なのかな……?)』
父『ん……いいよ。お母さんもいいよね』
P『親子全員!?』
父『……何か問題があるかな……?』
P『す、すみません……いや、別に悪いとかでは……』
父『はは……責めているわけではないよ』
P『(学校の先生に近い威圧感が……。さらっさらの長髪ブロンドといい、聖職者の服装といい、静かに響く声といい、なんだこの強者間……!)』
P『(お母さんの方も、クラリスさんに負けないくらいの美人だ……。それでいて落ち着いてて、きっとさぞ厳粛な…………)』
母『お客様…………。ふふっ、へいらっしゃい』
P『は、はい?』
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:23:33.46 ID:jL0MBpz30
クラリス『お母様…………』
母『いいじゃない。二人がびしっとしてるんだもの。一人くらいゆるっとしている方がきっとリラックスできるわ。ねえお客様?』
P『まあ、たしかに…………』
母『ほら見なさい。ふふーん』
クラリス『…………すみません。お話はちゃんと聞かせていただきますから、どうぞこちらへ』
P『は、はいっ』
母『ごゆっくり〜♪』
ちひろ「思いがけず軽いのきましたね」
P「クラリスさんのお茶目成分というか、ノリがいいところの遺伝元があってもいいかなと。んで神様成分は、神そのものみたいな存在のお父様から」
ちひろ「神様なんですかお父様」
P「そりゃまぁ女神は神から生まれるでしょうから」
ちひろ「え? でも私の親は人間ですよ?」
P「知ってますよ。女神以上にかわいくて愛おしい人を育てた方々です」
ちひろ「…………」
P「照れるなら言わせないでくださいよ」
ちひろ「そっちこそ耳まで真っ赤なくせに」
Pちひ「…………」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:25:51.34 ID:jL0MBpz30
P『(気分転換くらいに考えていた懺悔室だったが、思いのほかよかった。言葉にすると向き合える、とは気休めの言葉ではなかったらしい)』
P『(ちょくちょく俺は相談に行くようになり、気づけば今日のような、何でもない休みの昼にも教会を訪れるようになった)』
クラリス『あら、いらっしゃい。懺悔室を……ご利用したいわけではなさそうですね。ふふっ。何よりです♪』
P『こんにちは。同僚からおいしいケーキ屋さんを紹介してもらったので、よければと思って。ご両親の分もあります』
母『わーい♪』
父『がっつくのをやめなさい、お母さん……。クラリス、キッチンからお皿とフォークを』
クラリス『はい。P様も食べていかれますよね?』
P『あ、いや……自分の分は買ってきてなくて…………』
クラリス『では私とはんぶんこしましょう♪ 分かち合う方がおいしくなるものですから…………少々お待ちくださいね』とてててっ
P『すみません、もう一つ用意するべきでした』
母『そうですよ。次は全部で五つお願いしますね』
P『え? お父さんとお母さんとクラリスさんと俺と』
母『私が二つです♪』
P『……覚えておきます』
ちひろ「お茶目成分過剰じゃありませんかね」
P「神性で中和される前の原液お茶目ですから」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:28:11.70 ID:jL0MBpz30
クラリス『美味しい……♪ 甘くてふわふわ…………』
P『大当たりですね。あ、クラリスさんほっぺにクリーム』ふきふき
クラリス『ん……ありがとうございます。お礼に一口どうぞ♪』
P『いや、はんぶんこなんだからおんなじの食べてますし』
クラリス『では、代わりにP様のを一口ください。それで平等です』
P『それなら…………いや、平等かな? まあいいや』ぱくん
クラリス『ささ、P様、P様。私にも』
P『はい、あーん』
クラリス『あー……むっ♪ んっふふ。幸せの味がしますね』
ちひろ「クラリスさんの妄想ネタ、食べ物関連多くありません?」
P「他にも二十通りくらいありますけど、ファンが真っ先にするとしたらまずこのネタかなあと。他の聞きます?」
ちひろ「胃もたれしそうなのでいいです」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:30:06.37 ID:jL0MBpz30
クラリス『御馳走様でした。食器、片づけてきますね』とてててっ
P『ありがとうございます。楽しいデザートでした』
父『お礼を言うのはこちらだよ。…………本当に、いろいろと』
P『いろいろ? 何かしましたっけ?』
父『育て方か、あるいは性分か……。クラリスは、人からの施しを受け取るのが下手でね』
P『施しですか』
父『何かを与えてもらったなら、何かを返すべきである。それが常識になっているのは喜ぶべきことなんだろうけど、少しその意識が強すぎるんだ。与えるものになろうとする意志が、親の我々以上に』
母『要は、甘えるのが下手なのよあの子。それがなんだか、P君くんは特別みたいで』
父『なんでかは察しが付くけどね』
P『へ? 俺、何か……』
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:32:02.88 ID:jL0MBpz30
ちょっと前の日、懺悔室使用後
P『あの、クラリスさん。これ……』
クラリス『あら、お金なんて受け取れませんよ』
P『もう何度お世話になったか分かりませんし。気持ちです』
クラリス『私たちがしていることなんて、話を聞いているだけです。ならば謝礼も、言葉で受け取るのが筋じゃありません?』
P『それでは俺の気が済まないんですよ』
クラリス『感謝は自分のためではなく他人のためにするものですよ。私を思ってくださるなら、ものより言葉をくださいな♪』
P『それを言われると……うーん……』
別の日
P『クラリスさん、これどうぞ』
クラリス『あら、きれい……。ネックレスですか?』
P『やっぱり、何か贈りたくて』
クラリス『……すみませんが、私には過ぎたものです。さまよい教会を訪れた方から、施しを受けるなんてあってはなりません。それは主のご意向に背く行為です』
P『うーむ………………』
また別の日
P『クラリスさんクラリスさん。これ、今人気のケーキなんですけど』
クラリス『で、ですから結構ですって』
ちひろ「妄想クラリスさんのほうがきれいに見えるんですが。主に心が」
P「現実のほうが可愛いので問題ありません」
クラリス「〜♪」すりすり
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 20:35:34.68 ID:jL0MBpz30
またまた別の日
P『クラリスさん、これどうぞ』
クラリス『オルゴール……? ですから、受け取れませんと言っているじゃないですか』
P『ふむ』
またまたまた別の日
P『クラリスさんクラリスさん』
クラリス『まぁ、ぬいぐるみですか……。受け取れませんが、なでてもよろしいでしょうか?』
P『好きなだけどうぞ。……ふむふむ、これもだめ』
何十回目かの別の日
P『へいクラリスさん』
クラリス『ファンキーな呼び方ですね。あら、シュークリーム……。……お、お気持ちだけいただきますから、それはP様が召し上がってください』
P『生唾飲む音が聞こえましたけど』かきかき
クラリス『き、気のせいですっ。あの、何をお書きに?』
P『いや、こうなったら意地でも感謝を受け取ってもらおうと。リアクションからクラリスさんに有効な贈り物を研究してるんです』
クラリス『お言葉とお気持ちで結構ですのに』
P『ちなみに今のところ一番効きそうなのは食べ物じゃないかと読んでいるんですが』
クラリス『人を食いしん坊みたいに言わないでください。食欲に負けていてはシスターなんて勤まりませんっ』
ちひろ「負けそう」
P「火の玉ストレート止めてください」
59.27 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)