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とある魔術の聖杯戦争
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 20:31:04.40 ID:zpOmFzJ8O
fate zeroと禁書を混ぜたssです。
禁書の方は新訳10巻辺りの上条さんだと思ってください。
注意事項
急に地の文入ることがあります。
詳細な描写がない所は原作(fate zeroの)通りだと思ってください。
あと、上条さんが異様な身体能力を見せる所があるかもしれません。そこは自分の塩梅で決めていますので、気になる方はブラウザバック推奨です。
一応サーヴァントということなのである程度はね…みたいな風に考えてください。
もう何回か使われているタイトルかもしれませんが、他に思いつきませんでした。許してください。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1529753464
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/06/23(土) 20:32:31.78 ID:zpOmFzJ8O
失礼します。
初めてやるssなので、至らない所があれば教えて下さい。
これでOKなのかな?
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 20:35:08.13 ID:zpOmFzJ8O
ーーーアインツベルン城
切嗣「来たれーーー天秤の守り手よ!」
ズドォォォォォン??????
切嗣「こいつは……!」
上条「…えーっと、ここ、どこだ…?」
切嗣「………こいつが…アーサー王?」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 20:36:09.02 ID:zpOmFzJ8O
上条「へ?アーサー王?アーサー王ってあのゲームとかの?っていうかあんた誰だ?んでここはどこなんだ?教会…みたいな所だけど…?」
切嗣「おい、どういうことだ!聖剣の鞘を触媒にした筈だ!お前はアーサー王じゃないのか!?」
上条「は?俺?俺の名前は上条 当麻だけど…そういうあんたらは誰なんだ?」
切嗣(上条…?日本人の名前だぞ…?一体どういう理屈だ、そんな英霊の名前は聞いたことがない)
切嗣「アイリ、鞘の様子はどうなっている?」
アイリ「それが……見て欲しいのだけど」
切嗣「!魔力が…通っている、だと?」
アイリ「ええ。この少年の言ってることが本当ならこの少年はアーサーではない。でも、それなのにこの鞘には明らかに魔力が通っているの」
切嗣「…訳が分からない。僕は召喚に失敗したということなのか?」
アイリ「分からないわ…でもおそらくこの鞘は宝具としての力を発揮出来るくらいの魔力を今内包している」
切嗣「なんて事だ…分からない事だらけだが、一番解せないのは…」
上条「えーっと、話に置いてかれてるし、名前言ったのにそっちは教えてくれなくて心が折れそうな上条さんは泣いてもいいんですかねー……?」
切嗣「…コイツの存在か」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 20:38:42.52 ID:zpOmFzJ8O
ーーー室内
上条「せ、聖杯…?」
アイリ「そう。7組の魔術師とサーヴァントとして召喚される英霊。これらが互いに戦い、最後に勝利した者が聖杯を手にし、願いを叶えることができるの」
上条「んでもって、ここに居る切嗣とアイリさんが魔術師として聖杯戦争に参加するつもりで、そんで…」
アイリ「そう、アーサー王の聖遺物を触媒にサーヴァントを召喚したはずが、あなたが現れたの」
上条「一体どういう理屈なんだ…?俺は普通に学園都市で買い物してて…その後は…」
切嗣「お前の元居た世界の事なんてどうでも良い」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 20:42:06.27 ID:zpOmFzJ8O
上条「………」
切嗣「問題はお前がサーヴァントとして戦力になるのか、ならないのか。それだけだ」
アイリ「切嗣…この子は本当に何も知らない様子よ。もしかしたらサーヴァントじゃないのかもしれないわ」
切嗣「そんな事は関係ないさ、アイリ。微かな感触だが、この令呪は確実にこの男と繋がっている。アーサー王ではないのはアハト翁に申し訳が無いが、コイツは正真正銘、僕のサーヴァントとして召喚された者のはずだ」
アイリ「確かにそうだけれど…」
切嗣「ならば使う。僕の願いを叶える為にも、それが必要だ」
上条「えーっと…ちょっといいか?」
切嗣「…なんだ」
上条「何だも何も…俺はサーヴァントなんかじゃねぇ!普通の高校生なんだよ!なんか俺もあんたらと一緒に聖杯戦争とやらに参加する流れになってるけど、全然流れが読めないんだよ!」
アイリ「上条君…気持ちは分かるわ」
アイリ「でも、切嗣が言う通り、あなたはサーヴァントとして現代に存在しているの。その時点で私と切嗣は…あなたに頼るしかないのよ」
アイリ「それに、あなたが元々居た世界に帰る。そんなことをするつもりならそれこそ、聖杯を使いでもしないと無理よ。もしあなたが帰りたいと願うのなら、あなたにも戦う理由はあるはずだわ」
上条「そうは言っても…」
切嗣「もういい。話はこれで終わりだ」
切嗣「聖杯戦争まではまだ時間がある。それまでに自分の状況でも整理していろ。僕には令呪を無駄に使う気なんて無いんだ」
上条「状況整理って…」
切嗣「行こうアイリ、元々サーヴァントなんぞに頼る気は無かったが、思った以上に使えない駒を引いてしまったようだ。戦略を考えなくては」
上条「おい!ちょっと待ってくれ」
切嗣「……なんだ。時間が惜しいんだが」
上条「あんたら、こんな戦いに参加するくらいなら何か願いがあるんだろ?なら、それだけでも教えてくれ。何考えているか分からない連中に手を貸すなんて出来ない」
切嗣「………ハァ」
切嗣「……………だ」
上条「…ん?なんだ?」
切嗣「………」
切嗣「世界の…救済だ」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 20:43:07.22 ID:zpOmFzJ8O
今移動中なんで一旦切りますね。
すいません。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:23:10.46 ID:2tPkdhRv0
再開します。
上条「独りになった訳だけど」
上条「本当にここはどこなんだ…?またインデックスを独りにしちまってるし。あああ…帰ったらまた頭を食いしん坊シスターに噛みつかれる未来しか見えないんですけどーっ!」
上条「……はぁ。全く、いつ帰れるのやら」
上条(世界の救済、って言ってたな)
上条(そんな事を言い出すタイプには見えなかったけど、一応切嗣は悪人じゃない…って考えて良いのか…?)
上条(まぁ、いくら願いが殊勝なものでも、その為に敵の魔術師を殺すってのは正直認めらんねぇよな)
?「……」ササッ
上条(フィアンマも根本としては『世界を救う』のが目的だった訳だけど、とても許せるもんじゃなかった)
?「………」チラッ
上条(もしあんな風に多くの人達を犠牲にしてまで世界を救おうと考えて居るのなら、目的がなんであれ、放って置けない)
?「………」ジー
上条「何にせよ状況を見る時間が必要……ってなんだ?さっきから」
?「……!」ビクゥッ??
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:25:13.51 ID:2tPkdhRv0
上条(女の子…か?結構小さい、っていうか)
上条「誰だお前?」
イリヤ「わ、私はイリヤ、イリヤスフィール。キリツグ達が出てくるのが見えたから来たのだけど、あなたは誰?」
上条「俺か?俺は上条、上条当麻」
イリヤ「んー、カミジョー、トウマ?変な名前ね、なんかノロそう。あなたの周りの人みんなそう思ってるでしょ?」
上条「上条さんはそんな事を言われたのは初めてです」
上条「それより、イリヤスフィールって名前とその髪の色からして、アイリさんの関係者なのか?」
イリヤ「そうよ!この髪はよく褒められるの!『お母様とよく似ている』って!中々良い眼をしているわね、トウマ!」
上条「えーっと、髪を褒めた訳じゃないんだけど。まー、確かに綺麗な銀髪だな。…って、アイリさんがお母様!?じゃ、じゃあ父親って…」
イリヤ「お父さんはキリツグよ!」
上条「……あの二人、夫婦だったの……?」
イリヤ「そんなこと良いじゃない。ねぇ?暇なの?暇でしょ!だったら遊びましょうよ!」
上条「は?遊ぶ?確かに暇だけど、いきなり現れて遊んじゃうってのは…」
イリヤ「えー!いいでしょ!遊ぼう!遊ぼー????」
上条「えー、そこまで言われると断りづらい…」
イリヤ「よし!決まりね!何して遊ぼうかしらー!」
上条「勝手に決まってるし!あーもう分かったよ!この上条当麻、何でもやってやりますよーーーーっ!!!」
イリヤ「そうね!じゃあ、クルミの芽探しにしましょう!」
上条「クルミの芽探し?」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:28:14.11 ID:2tPkdhRv0
イリヤ「はーい、見つけたー!これでイリヤ八つ目ー!」
上条「く、くそぅ!全然見つからない!何なら小さすぎてどれがクルミの芽なのか分からない!まさか上条さんがこんなちびっ子に手玉に取られるなんてーーっ!!!?」
イリヤ「ふっふー、修行が足りないわねトウマ!私は切嗣とよくクルミの芽探しで勝負しているから、この辺のクルミには詳しいのよ!」
上条「な、なにーっ!!勝敗は視力じゃなくて経験の差だとぅ!?」
イリヤ「そういうことよ!あ、九つ目!」
上条「いやぁぁぁぁっ!!差がどんどん開いて…ってあれ?日頃からこの遊びやってるってことはもしかして、どこにクルミの芽があるか分かってるってことなんじゃ…?」
イリヤ「そうとも言えるわね!」
上条「おいぃぃぃいいい!!卑怯だろそれ!?いつの間にかアウェーで勝負させられてんじゃん俺!!最早この森が敵じゃん!!」
イリヤ「勝敗はスタートラインに立つ前から始まっているのよ!」
上条「この歳でそんな言葉を…っ!?なんて恐ろしい子…っ!!!?」
イリヤ「あ、また見つけた!もー、トウマ弱すぎてつまんなーい。しょうがないから、ハンデあげようかー?」
上条「」プッチーン
上条「ふふ、ふふふ。舐められたもんだな。おいちびっ子、いくらクルミの芽の場所を覚えてても、そこに辿り着けなきゃ意味ねーよなー……?」
イリヤ「な、なに?トウマおかしくなったの?」
上条「つまりは視力や記憶力が重要に見えて実際はスピード勝負なんだよなぁぁぁぁぁぁっ!この脚力でクルミの芽をバンバン見つけて逆転してんやんよーーーっ!!!」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/23(土) 21:29:42.43 ID:MCeHBbRS0
期待ィ!
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:30:34.40 ID:2tPkdhRv0
数分後
イリヤ「18-2で私の勝ちーっ!」
上条「ぜぇーっ!ぜぇーっ!」
イリヤ「まったく。訳の分からない事言って走り出したけど、肝心のクルミの芽を見逃して走ってるんだもん。トウマはバカだなー」
上条「う、うるせぇ。こちとら全力疾走続けてたんだ、少しは休ませてくれ…」
イリヤ「はいはい、分かりましたよー」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:31:13.60 ID:2tPkdhRv0
数分後
イリヤ「18-2で私の勝ちーっ!」
上条「ぜぇーっ!ぜぇーっ!」
イリヤ「まったく。訳の分からない事言って走り出したけど、肝心のクルミの芽を見逃して走ってるんだもん。トウマはバカだなー」
上条「う、うるせぇ。こちとら全力疾走続けてたんだ、少しは休ませてくれ…」
イリヤ「はいはい、分かりましたよー」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:36:39.61 ID:2tPkdhRv0
undefined
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:38:31.99 ID:2tPkdhRv0
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16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:39:00.36 ID:2tPkdhRv0
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17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:39:51.51 ID:2tPkdhRv0
あれ、なんか上手くいかないですね。
何が原因なんでしょう?
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:42:56.85 ID:2tPkdhRv0
上条「ハァ、ハァ…。そういや、イリヤはずっとここに住んでるのか?」
イリヤ「ええ、そうよ」
上条「だよな。普通お前くらいの子はクルミの芽探しなんてやらないと思うぞ」
イリヤ「えー?そうなのー?」
上条「多分な。学校は?友達とか居んのか?」
イリヤ「学校?何それ?友達って言葉も知らないなー」
上条「嘘だろ…?お前の年で学校にも行かせないって、一体何考えてんだよあの二人は……!」
イリヤ「うーん?どうしたの?トウマ、怒ってるの?」
上条「…!いや、まぁ学校に行くだけが全てじゃないしな、イリヤも全然元気そうだし」
イリヤ「うん!私は元気だよ!友達ってのは知らないけど、お母様と切嗣がいるもん!」
上条「…そう、か。二人のことは好きか?」
イリヤ「うん!大好きだよ!あー、でもでも、トウマも好きだよ!お母様と切嗣以外に初めて遊んでくれたし!」
上条「ははは、そりゃ嬉しいな。なんならまた遊んでやるよ。しばらくは暇そうだしな」
イリヤ「えーっ!本当!?やったーっ!トウマはいつまでここにいるのー?」
上条「喜びすぎだろ。うーん、いつまでいるんだろう?そもそもここに来た理由もよく分かってないし」
イリヤ「へー、でもお母様は『私達を手伝いに来てくれた』って言ってたよ?」
上条「ああ、まぁそういうことに……っ?」
イリヤ「どうしたの?」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:44:31.38 ID:2tPkdhRv0
直りました。コメントありがとうございます。嬉しいです。続きですね。
上条「……い、いや、なんでもない」
上条(そうだ、聖杯戦争に参加する以上、あの二人も同じく他の魔術師に狙われるってことだ。さっきは混乱して参加しねぇ、とか言っちまったけど、もし俺が行かなかったらあの二人だけで敵のサーヴァントとやらと戦うことになる……のか。)
上条(それより、イリヤは聖杯戦争を知っているのか?あの二人が危険な戦いに挑もうってことを、知っているのか?)
上条「…なぁ、イリヤ。お前アイリさんから俺が何の手伝いに来たのか、って聞いてるか?」
イリヤ「うん!知ってるよ!二人は今度日本へお仕事に行くの!そのお手伝いじゃないの?」
上条「ああ…まぁ、そうだ……そうだな」
上条(知ってる…訳ないか)
上条(もし…もしあの二人が聖杯戦争で負けて、最悪の結果になった時、イリヤは…ずっと、ずっと独りになっちまうかもしんねぇのか…)
上条(この広い城に、たった独りで…)
上条「………」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 21:52:39.30 ID:2tPkdhRv0
イリヤ「どうしたの?トウマ。元気ない?」
上条「…イリヤ、もしもの話なんだけど」
イリヤ「…?うん」
上条「もし…もし、あの二人が事故かなんかで仕事に失敗して、ここに帰ってこれなかったとしたら…どうする?」
イリヤ「大丈夫だよ」
即答だった。
イリヤ「切嗣は約束は絶対守るもん。お仕事は知らないけど、帰ってくるって約束したから、ちゃんとイリヤの所に帰ってくるよ」
イリヤ「だから、何も心配なんかしてないの」
その言葉は、まるで自分に言い聞かせているかのようだった。
そうでもしないと、今にも崩れてしまうのだろう、と上条は思った。
あの二人が帰ってこなかったら、イリヤはどうなるのだろうか。
泣くのだろうか。
悲しむのだろうか。
あるいは、もっとひどい結末になるかもしれない。
なら、自分は何をしたいのだろうか。
自分が関わるには、まだイリヤのことを知らなすぎるだろう。
でも。
それでも。
ここは自分の世界とは違うのかもしれないけれど。
まだ会って1日も経っていない少女だけど。
この顔が曇ってしまうのは嫌だな、と。
ただ、そう思った。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 22:01:29.11 ID:2tPkdhRv0
上条「…イリヤ」
イリヤ「んー?なに?」
上条「俺実はさ、ちょっと混乱してたんだ。いきなりアイリさんと切嗣に会って、自分がなにをするのかも分からないままだったからよ」
イリヤ「んーと、とうまは困ってるの?」
上条「ああ、さっきまではな」
上条「でも、今は違う」
上条「約束するよ。あの二人は必ず、イリヤの所に連れ帰ってみせるさ」
上条「そんでまた遊ぼう。クルミの芽探しだってなんだっていいさ、今度は切嗣とアイリも一緒に遊ぼうな」
その言葉にイリヤは。
イリヤ「うん!約束だよ!」
笑顔で、そう答えた。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 22:13:41.15 ID:2tPkdhRv0
ーーー切嗣の部屋
コンコン
切嗣「…誰だ」
上条「よう」ガチャ
切嗣「…何の用だ」
アイリ「上条君、気持ちは落ち着いたかしら?どうやらイリヤと一緒に居たようだけど」
上条「ああ。イリヤのおかげで、拳を握る理由が出来た」
アイリ「…どういうこと?」
上条「つまりこういうことだ」
上条「俺も、聖杯戦争とやらに参加してやるよ」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 22:28:48.32 ID:2tPkdhRv0
切嗣「…随分な心変わりだな。さっきのお前と同一人物とは思えない」
アイリ「上条君、急にどうしたの?聖杯にかける願いを思い出した、とか?」
上条「別に思い出した訳じゃないんだ、アイリさん。確かについさっきまで聖杯戦争に参加する気なんてなかった」
上条「正直、聖杯にかける願いなんか思いつかないし、あんたらを信用して良いのかも分からない。だからこんな戦いは辞退しようと思ってた。あんたらがどうなろうと、俺には関係ないからな」
切嗣「……」
上条「でも、今は違う」
上条「あんたらのことはまだ分からない。でも、あんたらの事を何よりも大切に思ってる奴を俺は知っちまった」
上条「あんたらが居ないと、悲しむ奴がいる。あんたらが帰らないと、泣く奴がいるってな」
上条「会って間もない奴の為に命を賭けるなんて馬鹿げたことなのかもしれない。でもな、目の前で辛さに耐えてる女の子を無視して逃げるような腰抜けになる気もねぇさ」
上条「だから、俺はそいつの為にあんたらを守る」
上条「敵の魔術師とやらを殺す気なんてないさ。けど、あんたら二人を見殺しにして、逃げるつもりもさらさらねぇ」
上条「もしかしたら裏があるんじゃないか、何か企んでるんじゃないか、って思うかもしれない。なら、聖杯をもし手に入れたとして、俺が叶える願いを教えてやるよ」
上条「『イリヤが悲しむ顔を見たくない』」
上条「そんな馬鹿が一人くらい居たっていいはずだろ?」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/23(土) 22:32:46.73 ID:2tPkdhRv0
今日はここまでにしておきます。
ストックはありますが、ペース考えないと無くなっちゃいそうなので笑。
見てくれた方ありがとうございます。
すぐに続きも出すと思うのでよろしくお願いします。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/23(土) 22:38:02.61 ID:7oZkaLIfo
乙。期待
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/23(土) 22:56:28.82 ID:MCeHBbRS0
元が元だし、超大作に期待だぜ
今のところいい感じィ!
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:31:16.97 ID:ADERFejFO
こんにちは。再開します。
切嗣(なんだこいつは…?)
切嗣は困惑していた。
目の前の男は明らかに英霊とは違う存在であることは、一目見た時から思っていたことだ。
切嗣(しかし、こいつの行動原理はなんだ?)
切嗣(イリヤの為に戦う?会って数時間しか経っていない者の為に、命をかけるだと?)
切嗣は上条のことを道具と思っている、それは今も変わらない。令呪で無理やり戦場に連れ出そうとまで思っていたが、その必要が無くなっただけのこと。
上条がなぜ心変わりしたのか、などといった無駄な推察は普段の切嗣ならまずしない行為である。
しかし、上条の述べた『戦う理由』は切嗣が普段と違う行動を取ってしまうほどに、不可解で、意味不明で、短絡的で、馬鹿げていて。
なぜか、懐かしさを感じるものだった。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:32:31.71 ID:ADERFejFO
切嗣「……っ」
アイリ「どうしたの?切嗣?上条君と今後の方針を話すんじゃないの?」
切嗣「…あ、ああ。そうだね、アイリ」
切嗣(何を考えている、僕は。私情が頭に入るなんて、いつ以来だ)
上条「ほら、さっさと方針とやらを教えてくれよ。まぁ、俺はあんたらを信用してる訳じゃないけど、あんたらが戦うことを邪魔するつもりはねぇ。俺が勝手について行って、勝手に守るって決めただけだけどな」
切嗣「ああ、お前と僕は別行動だ。正直、お前は使えないと踏んでたからな、元々戦力にはほとんど数えていない」
上条「そうかよ」
切嗣「お前の役目は単純だ」
切嗣「アイリと共に、この戦いに参加しろ」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:34:18.10 ID:ADERFejFO
undefined
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:35:00.06 ID:ADERFejFO
undefined
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:35:49.57 ID:ADERFejFO
ーーー日本
上条「んで、なんで俺はこんなとこにいるんだ……?」
アイリ「ほら!上条君早く!次のお店にいきましょう!」
上条「まだいくの!?っていうかもう持てない!これ以上の紙袋は上条さんには持てませんって!!」
そう、アイリと上条はショッピングをしていた。
切嗣に「アイリと行動しろ」と言われ、切嗣とは別ルートで日本に到着した上条達だったが、日本に着いたアイリの第一声が「買い物がしてみたい」とのことだった。
上条的には一応命懸けの戦いに来ている訳だし、少し躊躇ったのだが、なんやかんやで二人でショッピングに勤しんでいた。
しかし、しばらくして上条は自分の判断を呪うことになる。
上条「ちくしょう!気づくべきだった!この人イリヤの母親だった!ロクな扱いを受けられると思ってた俺が馬鹿だったんだ????」
見ての通りの雑用っぷり。
サーヴァントの日本訳に「召使い」があるが、サーヴァントかどうか分からない曖昧な存在である上条らしからぬ「サーヴァント」もとい、「召使い」ぶりであった。
切嗣はもしやアイリさんに振り回されるの分かってて俺に押し付けたんじゃねぇだろうな…?などと上条が考えて始めた矢先。
アイリ「あー、ごめんなさい。上条君。ついはしゃいでしまったわね、少し休みましょうか」
と、アイリが上条に気を使い広場のベンチで休むことになった。中々の広さのある広場で、公園が隣接している。
二人は並んでベンチに座っていた。
傍らには先ほど買ったペットポトルがある。
上条「うぉぉおう…、あー、いいなこの感じ。足がくすぐったいというか、回復してるぞー、って感じが気持ちいい」
アイリ「ふふ、ごめんなさいね。上条君、長旅の後で疲れさせてしまって」
上条「まぁ、少し休ませてくれるなら全然付き合うけどさ」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:36:46.60 ID:ADERFejFO
そう言いながら上条は周りを見渡す。
上条(…それにしても)
上条「日本……なんだよな」
ここは日本だ。それは間違いない。
ここは冬木という土地らしいが、歩いている人々も日本人だし、文字も言葉も分かる。
しかし、上条が知っている日本と違う点が一つあった。
そう、学園都市がないのだ。
実際に足を運んだ訳じゃない、しかし、インターネットなどで調べたところ、学園都市はこの世界には存在しない、というのが結論だった。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:39:03.30 ID:ADERFejFO
上条(やっぱ、違う世界…みたいだな)
イリヤの為に二人を守る。その為にこの戦いに飛び込むことを決めた上条だが、やはり違う世界に来た、という不安はあった。
思った以上に長く滞在することになったが、帰る方法などはあるのだろうか?などと考え始めるとキリがない程に上条にとって問題は山積みなのである。
上条「まぁ、終わったら考えればいいだろ…って、ん?」
そんな上条の足元にコロコロとボールが転がって来た。
少年「すいませーん、投げて下さーい!」
どうやら、公園で野球をしていたらしい。
それに気づいて上条はボールを拾い、ひょい、と少年達に投げ返す。
少年「ありがとうございまーす!」
元気だなー、などと上条が呑気に考えていると、隣で真面目な顔をしたアイリが居た。どうやら何かを見ているらしい。
なにを見ているのかは分からない、しかし、あまりにも真剣な様子なので、もしかしたら敵のマスターが隠れているのかと思い、声を潜めながらアイリに話しかける。
上条「アイリさん、どうかしたのか?」
アイリ「いえ、なんでも……いや」
上条「なんだ?まさか、他のマスターなのか…?クソっ、まさかこんな人混みでもおかまいなしに戦おうってつもりじゃ…」
アイリ「…あれは、何をしているのかしら……?」
アイリの視線の先には、先ほどの少年たちがいた。
マスターもサーヴァントなんてものも見当たらない。
彼らは野球に勤しんでいた。
つまり、そういうことだった。
上条「………は?」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:41:29.41 ID:ADERFejFO
アイリの視線の先を見ると、先程の少年達が居た。
上条が投げたボールを使い、試合を行なっている。
上条「なにって……野球、だろ」
アイリ「…………野球…?」
首を傾げながら上条の言った単語をアイリは呟いた。
上条「えーっと、そのリアクションからすると、初めて見たのか?」
アイリ「………な、何よ。別にあんなもの知ってようがあなたには関係な」
上条「正直に言うと?」
アイリ「初めて見ました…」
そう答えるアイリに上条は驚きを隠せなかった。
上条「え…?もしかしてアイリさんって箱入り娘だったの…?確かに城に住んでる辺りセレブな感じはするけど…?」
アイリ「べ、別に良いじゃない。それに、箱入りではないわ。車だって運転出来るもの」
箱入りと言われたのが恥ずかしかったのか、そんなことを言ってアイリは上条に反論した。
上条「いや、別に馬鹿にしてるとかじゃねぇよ。城の中でしか過ごしてない割には元気だなー、って思っただけだし」
アイリ「そう、ね。でも、私は最初から感情を露わにするタイプでは無かったわ。切嗣が居てくれたから、今の私がいるのよ」
そう言ってアイリは続ける。
アイリ「実は、こんな風に外に出るのは初めてなの」
上条「え!?本当かよ?」
アイリ「ええ」
驚く上条を気にせずにアイリは話し始めた。
アイリ「だから、上条君に無理言って買い物をしたのも、こんな風に街を歩いているのも、実は私の我儘なのよ。聖杯戦争とは何の関係もないけれど、私にとって初めての街、初めての景色を自分の足と目で見てみたかった。上条君にとっては何でもないことなのかもしれないけれど、私にとっては新鮮で、体験してみたかったものなの」
そんな風に語るアイリは嬉しそうでもあり、上条にはどこか悲しそうにも見えた。
アイリ「この戦いは壮絶なものよ、上条君。自分の身がどうなるかなんて誰にも分からない。だから戦いが始まる前に、最期になるかもしれないこの風景を、目に刻んでおきたかったのよ。切嗣には怒られてしまうかもしれないけどね」
アイリ「それに私は……いえ、これは言わなくても良いわね」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:43:44.88 ID:ADERFejFO
そう言ってアイリは言葉を切った。
二人の間に少しの静寂が訪れる。
が、すぐに。
上条「ああ、くそ!ふざけんな!!」
と、上条が大きな声で言った。
そんな様子の上条を見てアイリは言う。
アイリ「ええ…ごめんなさい。こんな無関係なことに費やす時間も労力も無いってことは、私も分かってた。今日はここまで、もう帰りましょう」
そう言って立ち上がるアイリの前に上条は立ちはだかる。
上条「違う!そんな事情があるなら、先に言えって言ってんだよ!」
アイリ「え…?」
上条「ったく、行くぞ!ほら!」
そう言って上条はアイリの手を握り、歩き出した。
アイリ「ど、どうしたの上条君!?」
上条「どうしたも何もあるかよ!」
そう言いながら上条はアイリに向き直り、叫ぶ。
上条「何も恥ずかしがることなんかねぇ、何も躊躇う必要なんかねぇだろ!」
アイリ「え…」
上条「無関係なことだ?無駄な時間だ?そんな訳ねぇだろ!あんたがやりたいって思ったんだろ?あんたがずっと願ってたことなんだろ?だったら聖杯戦争なんて小せぇ事情なんか無視して一番にやるべきに決まってんだろうが!」
アイリ「いえ…でも…」
上条「でも、じゃねぇ!」
上条「確かにアイリさんはこの戦いに勝たなきゃならないのかもしれない、聖杯を手に入れて望みを叶えたいのかもしれない」
上条「でもそれはアインツベルンの魔術師としての願いだろう!?あんたは人間だ!魔術師である前に人間なんだろうが!だったら、自分がやりたいと思ったことは我慢なんかしないでやるべきなんだよ!」
アイリ「………人間、だから…」
その言葉は、アイリが初めて聞く類のものであった。
別に切嗣がいつもアイリに向かって冷たい事を言っている訳ではない。むしろ切嗣はアイリを気遣い、大切に思っていることが分かるであろう言葉を贈ってくる。
けれど、その言葉は切嗣のものとは違って、
何故か暖かく、自然と信じたくなるような強さがあるように感じた。
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:46:23.55 ID:ADERFejFO
上条「ほら、行くぜ!世界は違うけど、一応俺の生まれた国だからな、案内は任せろよ!」
そう言いながらアイリの手を取る上条は、先程までとは違い、自身も楽しんでいるように見えた。
アイリ「…でも」
アイリは断ろうとした、けれど。
上条「うーん、どこにしようかな。アイリさん野球知らないんだろ?なら、バッティングセンターとかも悪くないな!あー、でもスポーツ全然知らないなら、それこそ色んなスポーツが出来るアミューズメントパークとか良いんじゃないか?あそこならゲームも出来るしな!どうだ?アイリさん?」
目の前の少年がまるで子供の様な顔で計画を練っているのを見て、そんな自分が馬鹿らしく思えてきて、
アイリ「ええ!とても楽しそう!」
そう言って二人は再び街に繰り出した。
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:47:15.57 ID:ADERFejFO
それからは色んなところに行った。
野球を知らないと言ったアイリの為にバッティングセンターに行ったり、アイリが見たことのない動物が沢山いる動物園にも行った。
アイリはどこに行っても楽しそうで、一緒にいた上条も嬉しかった。
しばらくして日が暮れ、最後にアイリが行きたいと言った場所は。
海、だった。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:48:24.52 ID:ADERFejFO
ーーー海岸
上条「うお、流石にすごい景色だな」
アイリ「ええ、素敵ね」
上条「本当だな。…俺も記憶なくなってからはそこまで海に来たことないから、少し感動モンかもなー。……前来た時は『天使堕とし』やらなんやらでそれどころじゃなかったしな……」
アイリ「ん?上条君どうかした?」
上条「いやー、なんでもねーよ」
基本属性が不幸である自分が今更過去を振り返っても仕方ない、と考え直し素直に海の景色を楽しむことにした上条。
だが代わりに、数ヶ月前の切嗣との会話が蘇ってきた。
−−−
切嗣「まず、お前の宝具を教えろ」
上条「は?宝具?」
唐突な切嗣の質問に面食らう上条。だが、そんなことを気にせずに切嗣は続ける。
切嗣「ああ、宝具だ。英霊には最低一つ、自らの神話や伝承に即した武器や道具がある。聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは皆それを持って現れるのが普通だ」
上条「って言われても、俺は英霊なんかじゃねーんだけどな…」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:49:32.13 ID:ADERFejFO
切嗣「なんだ?本当に宝具もなにも持って無いって言うのか?戦力外にも程があるぞ」
失望を隠そうともしない切嗣。そんな様子に上条は少しムッとしながら自らの右手を差し出しながら言う。
上条「まぁ、宝具なんて大層なもんはねーけど……一応、俺の右手に能力はあるぞ」
切嗣「なんだ……右手だと?」
訝しむ切嗣に上条は続ける。
上条「ああ。『幻想殺し(イマジンブレイカー)』。それが俺の右手に宿ってる能力だ」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:50:43.34 ID:ADERFejFO
切嗣「幻想…殺し?随分と大層な名前だな。見掛け倒しか?ただの右手にしか見えない、何か魔力を感じるわけでもないぞ」
上条「ああ、普段はただの右手と変わんねぇよ。なんせ俺の右手は『異能の力を打ち消す』って能力を持ってるからな」
切嗣「なんだ…?異能の力を打ち消す…だと?」
上条「なんなら、試してみるか?なんでもいいぜ、魔術的な力が加わっている物品とかでも俺の右手の能力は発動するんだからな」
そう言いながら、右手を差し出す上条。
切嗣(魔術的な力が加わっていれば…か)
そうして切嗣は懐からある銃弾を取り出した。
上条「あん?なんだこれ?銃弾…か?これに魔術的な力が加わってんのか?」
切嗣「ああ、一見するとわかりにくいが、確かに魔力を通してある」
切嗣(こいつの右手とやらはどこまで信用できるか分からない。なら、僕の最大霊装で試す。奴の能力がもしこの『起源弾』を打ち消すほどならば、戦力としての見込みが生まれるかもしれない)
切嗣(数が多い弾ではないが、元々この聖杯戦争で使う機会は最後になるはず…いや、最後にするんだ。なら、弾の一つくらいは消費してもかまわない)
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:51:58.36 ID:ADERFejFO
上条「んじゃ、渡してくれ」
そう言いながら上条は起源弾を受け取る。
その瞬間、
バギン??????、と。
ガラスを思い切り割ったかのような強烈な音が部屋に響いた。
切嗣「………っ????」
思わず飛びのく切嗣。
しかし、体に害はない。
念のため五体の調子を確かめた後、上条の右手に目を向ける。
そこには。
砂のように細かい、起源弾の残骸が残っていた。
ーーー
上条(あれからろくに話もしてないけど、切嗣も日本に着いてんのかな)
上条は切嗣の行動を聞いていない。
いつでも助けに入れるように隠れているのか、そうでないのか。
上条(アイリさんには特殊な霊装があって、それがある以上危険は無いって聞いてるけど…)
正直言って気は進まない。例えそんな霊装があったとしてもアイリを危険に晒していることに変わりはないし、上条の様なイレギュラーが現に存在する以上、油断も出来ない。
上条(なんにせよ、俺のやることは変わんねぇ、か)
アイリ「上条君?どうしたの?随分真剣な顔ね」
上条がしばらく黙っていたせいか、アイリが顔を覗き込みながら声をかけてきた。
上条「いや、ちょっと考え事してただけだ」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 15:58:26.41 ID:ADERFejFO
なんか、!が?に変換されてるところありますね、すいません。
一旦切りますね、あとは夜に投稿したいと思います。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/24(日) 16:19:41.08 ID:CqDnMbxTo
乙
初ssで長編は大変だと思うがとにかく完結目指して頑張ってほしい
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/24(日) 21:01:48.54 ID:/UWH9+Ez0
なんかバグ多くないか?環境大丈夫?
地の文にもスペースいれたらどうや
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:23:25.72 ID:lbsYZqdn0
>>43
ありがとうございます。自分のペースで頑張ってみます。
>>44
どうやら行数が多すぎると出るバグみたいです。原因分かったので調整していきたいと思います。
再開します。
読んでくれてる人ありがとうございます。
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:24:39.58 ID:lbsYZqdn0
そう言いながら携帯を開くと海に来てからかなり時間が経っていた。
上条「うお、もうこんな時間か。そろそろ帰るか、アイリさん。アイリさんも疲れただろ。うおー、なんていうか、濃い一日だったなぁ」
軽く伸びをしながら歩き始める上条。しかし、しばらくしてもアイリの足音が聞こえないので、上条は後ろに振り返った。
上条「どうした、アイリさん。帰らないのか?」
上条がそう声かけると、アイリは頷きながら、
アイリ「上条君、今日は本当にありがとう」
笑顔でそんなことを言った。
上条「何言ってんだ。今日はとことん付き合うって最初に言っただろ?別に気にすることなんかないって。俺も楽しかったしな」
アイリ「いえ、そういうことじゃないのよ」
アイリはそう言うと、笑顔のまま続ける。
とても、嬉しそうに。
アイリ「上条君には言ってないけれど、実は私…」
アイリ「ホムンクルスなの」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:27:26.87 ID:lbsYZqdn0
あと、!が?に変わるバグは、携帯からやってるんで、その辺の変換齟齬みたいです。
本編の方は、見てくれてる人が多そうだったら結構話進めるつもりです。
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:28:54.31 ID:lbsYZqdn0
色々とごめんなさい、続きです。
上条「ホムン…クルス…?」
アイリ「ええ、私は真っ当な人間ではない、アインツベルンによって作られた存在なの」
驚く上条をよそにアイリは続ける。
上条「なんで…そんなこと初めて聞いたぞ!?」
アイリ「ずっと黙っていてごめんなさい。今言った通り、私はアインツベルが作り上げた、とある目的を遂行するための存在なの」
言いながらアイリは強く上条を見据える。その目に宿る意志の強さは、昼間とは別人のようだった。
上条「目的…?なんの目的だよ?」
上条は思わずそんなことを聞いていた。
どうやって作られたのか、切嗣はそのことを知っているのか、数多くの疑問を差し置いてそれが出た。
何故最初にそのような質問をしたのかは上条自身にも分からない。
だが、頭の中でそれを聞き逃してはいけない、そんな風に警鐘が鳴っているような気がした。
何故だろうか。
訳もなく一瞬、『妹達(シスターズ)』と呼ばれる少女達の顔が頭に浮かんだ。
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:31:42.25 ID:lbsYZqdn0
アイリ「ごめんなさい。そこまでは話せないの」
そう言った後、アイリは黙って俯いた。
その顔は厳しく、上条にはそれ以上追求できなかった。
そしてしばらくの静寂が流れる。上条は何と声を掛けていいか分からず黙っていた。
しばらくそうしていると、意を決して上条は一番最初に湧き上がってきた疑問を口に出した。
上条「そんな中途半端に言われたって俺にはなんも分かんねぇよ。……でも、なんで急にそんなことを俺に言おうと思ったんだ?アイリさん」
その言葉を聞いて、ようやくアイリは顔を上げる。
その顔には、笑顔が浮かんでいた。
アイリ「嬉しかったから」
上条「………え」
予想外の答えに上条は何も言えない。
しかし、アイリは笑顔のまま続けた。
アイリ「今言った通り、私は真っ当な存在ではないの。でも」
アイリ「あなたはこんな私を『人間』だと言ってくれた。好きなことを好きなだけやっていい、って言ってくれたから」
アイリはやさしい瞳で上条を見据えていた。その瞳は、アインツベルンの目的など忘れているようだった。
アイリ「嬉しかったの、とても。そんな風に私と接してくれる人なんて、切嗣とイリヤの他にはいない、そう考えていたから」
だから、とアイリは続ける。
アイリ「本当にありがとう。上条君。今日のことは忘れないわ。この戦いが終わった後も……きっと忘れない」
アイリは、笑顔でそう告げた。
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:37:38.48 ID:lbsYZqdn0
少しばかりの沈黙、それを破ったのは上条だった。
上条「……別に特別なことなんかじゃないだろ」
アイリ「え?」
目を丸くするアイリに、上条は淀むことなく言葉を続けた。
上条「戦いが終わったら、またみんなで日本に来ればいいじゃないか。今度は俺達だけじゃない、イリヤと切嗣も一緒にまた遊びに来よう。アイリさんは今日のことを特別だって思ってるのかもしれないけど、そんなことないんだ。家族で遊んで、笑って。それが当たり前のことなんだ…だから、特別なことなんかじゃないさ」
上条「また俺が案内してやるよ。どこまでも付き合ってやる。だから、アイリさん。これで最後みたいに言わないでくれよ」
そう言って上条は、手を差し出す。
正確には、その小指を。
上条「ほら、指切りだ。今は信じられないかも知んないけど、絶対、今度はみんなで日本に来て、今日のことなんか些細に思えるくらいの思い出作りを手伝うからよ」
そして上条はアイリと指切りをした。
小さいけれど大切な、約束の証として。
アイリは自分の役目を自覚している。
その役目を終えた後に、自分がどうなるかも。
この約束が実現するのは、限りなく可能性の低いものだということも。
けれど。
それでも、アイリは。
アイリ「うん……約束ね」
この少年を、信じてみることにした。
『人間なら、やりたい事をやれば良い』。
そんな風に、彼女は教わったから。
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 21:47:26.77 ID:lbsYZqdn0
アイリ「じゃあ、そろそろ城に行きましょう。大分時間を使ってしまったから」
そう言ってアイリと上条は海岸を離れることにした。
車を用意してあるとのことで、海岸に来た時とは違う道のりを進んでいる。
船の積荷を集めている場所なのだろうか、そこには多くのコンテナが存在していた。
だがコンテナ同士の間隔がかなり広いので、狭いという感覚はない。
しかし夜の暗さと相まって、コンテナの影などが少し不気味な雰囲気を醸し出していた。
上条「何つーか…何か出そうなとこだな」
思わず呟く上条。
しかし、アイリには意味が伝わらなかったらしく、
アイリ「何か?何かってなにかしら?」
と、呑気なことを聞き返してくる。
自分だけが怖がっているようで気恥ずかしくなった上条は、
上条「な、なんか良くないものってこだよ!いいから早く抜けちまおうぜ」
と、アイリに言いながら足を速める。
その瞬間、
?「なるほど、良くないものとは言ってくれる」
そんな声が、正面から響いた。
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 22:09:53.28 ID:lbsYZqdn0
もういいや、話結構進めちゃいます!笑
その声と共に、空気が変わる。
上条(な、んだ…いつの、間に…)
警鐘が鳴る。
肌にピリピリと何かが伝わる。
呼吸が乱れる。
迂闊に身じろぎさえ出来ない。
それすらも隙になると、身体が訴えてくる。
眼球をゆっくりと動かし、ようやく前を見据える。
もはや何者か、と聞くまでもない。
そこに居たのは、
上条「サーヴァント…か?」
?「ご名答」
暗がりから月明かりの下へと、現れたのは一人の男だった。
長身に黒髪と、外見に異様な点は見当たらず、特に一般人と大きく異なるようには見えない。
しかし、二つ。
その男を異様たらしめるものがあった。
一つは、その存在感。
サーヴァントと直に会ったことがない上条さえ、相対しただけでそれを認識する程の圧がある。
もし街中でこの男が歩けば、無意識にでも多くの人間がその背中を振り返っていたのかもしれない。
そしてもう一つ。
それは、その男の両手にある、
上条「槍……か?」
ランサー「その通り、双槍使いは珍しいか?この程度なら真名が割れる心配もないだろう。俺はクラスまでもコソコソと隠す気はないのでな」
アイリ「ランサーのサーヴァント…!」
アイリの口調と雰囲気が厳しいものへと変わる。
それは先程までのアイリとは違う、アインツベルンの魔術師が発しているものだった。
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/24(日) 22:13:17.96 ID:lbsYZqdn0
上条(これが…サーヴァント…)
切嗣やアイリから話は聞いていた。
自分が何らかの間違いで召喚され、真っ当なサーヴァントではないことを上条は重々承知している。
しかし、ここまで違うものか。
上条(明らかに普通の人間じゃねぇ。下手したら聖人クラスに太刀打ち出来るんじゃねぇか…?)
甘く見ていた訳ではない。
しかし、動揺は隠せない。
武器を持った相手とまともに戦えるのか。
そもそもこの右手が役に立つのかどうか。
多くの疑問が湧き上がる。
しかし。
上条(最悪でもアイリさんだけでも逃さなきゃならねぇ)
この男相手に逃げる隙を作れるかどうかは分からない。
上手く逃げても、再戦の可能性すらある。
いつかは戦う相手。
つまり、一つしか道はないのだ。
上条(やるしかねぇ…っ!)
そう考え、硬く拳を握り直す上条。
その直後。
屈め、と。
上条に向かって、全身が吠えた。
上条「………ッッッ!!?」
どこからか鳴る警鐘に、上条は抗わなかった。
頭が何かを考えるよりも速く、とっさに本能で身体を屈める。
そこを。
轟!!!、と。
上条の頭上を神速の槍が突き抜ける。
数瞬前に上条の頭があった位置を、だ。
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