とある魔術の聖杯戦争

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:31:04.40 ID:zpOmFzJ8O
fate zeroと禁書を混ぜたssです。
禁書の方は新訳10巻辺りの上条さんだと思ってください。

注意事項
急に地の文入ることがあります。
詳細な描写がない所は原作(fate zeroの)通りだと思ってください。
あと、上条さんが異様な身体能力を見せる所があるかもしれません。そこは自分の塩梅で決めていますので、気になる方はブラウザバック推奨です。
一応サーヴァントということなのである程度はね…みたいな風に考えてください。
もう何回か使われているタイトルかもしれませんが、他に思いつきませんでした。許してください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1529753464
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/23(土) 20:32:31.78 ID:zpOmFzJ8O
失礼します。
初めてやるssなので、至らない所があれば教えて下さい。

これでOKなのかな?
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:35:08.13 ID:zpOmFzJ8O
ーーーアインツベルン城

切嗣「来たれーーー天秤の守り手よ!」

ズドォォォォォン??????

切嗣「こいつは……!」





上条「…えーっと、ここ、どこだ…?」





切嗣「………こいつが…アーサー王?」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:36:09.02 ID:zpOmFzJ8O
上条「へ?アーサー王?アーサー王ってあのゲームとかの?っていうかあんた誰だ?んでここはどこなんだ?教会…みたいな所だけど…?」

切嗣「おい、どういうことだ!聖剣の鞘を触媒にした筈だ!お前はアーサー王じゃないのか!?」

上条「は?俺?俺の名前は上条 当麻だけど…そういうあんたらは誰なんだ?」

切嗣(上条…?日本人の名前だぞ…?一体どういう理屈だ、そんな英霊の名前は聞いたことがない)

切嗣「アイリ、鞘の様子はどうなっている?」

アイリ「それが……見て欲しいのだけど」

切嗣「!魔力が…通っている、だと?」

アイリ「ええ。この少年の言ってることが本当ならこの少年はアーサーではない。でも、それなのにこの鞘には明らかに魔力が通っているの」

切嗣「…訳が分からない。僕は召喚に失敗したということなのか?」

アイリ「分からないわ…でもおそらくこの鞘は宝具としての力を発揮出来るくらいの魔力を今内包している」

切嗣「なんて事だ…分からない事だらけだが、一番解せないのは…」



上条「えーっと、話に置いてかれてるし、名前言ったのにそっちは教えてくれなくて心が折れそうな上条さんは泣いてもいいんですかねー……?」

切嗣「…コイツの存在か」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:38:42.52 ID:zpOmFzJ8O
ーーー室内

上条「せ、聖杯…?」

アイリ「そう。7組の魔術師とサーヴァントとして召喚される英霊。これらが互いに戦い、最後に勝利した者が聖杯を手にし、願いを叶えることができるの」

上条「んでもって、ここに居る切嗣とアイリさんが魔術師として聖杯戦争に参加するつもりで、そんで…」

アイリ「そう、アーサー王の聖遺物を触媒にサーヴァントを召喚したはずが、あなたが現れたの」

上条「一体どういう理屈なんだ…?俺は普通に学園都市で買い物してて…その後は…」

切嗣「お前の元居た世界の事なんてどうでも良い」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:42:06.27 ID:zpOmFzJ8O
上条「………」

切嗣「問題はお前がサーヴァントとして戦力になるのか、ならないのか。それだけだ」

アイリ「切嗣…この子は本当に何も知らない様子よ。もしかしたらサーヴァントじゃないのかもしれないわ」

切嗣「そんな事は関係ないさ、アイリ。微かな感触だが、この令呪は確実にこの男と繋がっている。アーサー王ではないのはアハト翁に申し訳が無いが、コイツは正真正銘、僕のサーヴァントとして召喚された者のはずだ」

アイリ「確かにそうだけれど…」

切嗣「ならば使う。僕の願いを叶える為にも、それが必要だ」

上条「えーっと…ちょっといいか?」

切嗣「…なんだ」

上条「何だも何も…俺はサーヴァントなんかじゃねぇ!普通の高校生なんだよ!なんか俺もあんたらと一緒に聖杯戦争とやらに参加する流れになってるけど、全然流れが読めないんだよ!」

アイリ「上条君…気持ちは分かるわ」

アイリ「でも、切嗣が言う通り、あなたはサーヴァントとして現代に存在しているの。その時点で私と切嗣は…あなたに頼るしかないのよ」

アイリ「それに、あなたが元々居た世界に帰る。そんなことをするつもりならそれこそ、聖杯を使いでもしないと無理よ。もしあなたが帰りたいと願うのなら、あなたにも戦う理由はあるはずだわ」

上条「そうは言っても…」

切嗣「もういい。話はこれで終わりだ」

切嗣「聖杯戦争まではまだ時間がある。それまでに自分の状況でも整理していろ。僕には令呪を無駄に使う気なんて無いんだ」

上条「状況整理って…」

切嗣「行こうアイリ、元々サーヴァントなんぞに頼る気は無かったが、思った以上に使えない駒を引いてしまったようだ。戦略を考えなくては」

上条「おい!ちょっと待ってくれ」

切嗣「……なんだ。時間が惜しいんだが」

上条「あんたら、こんな戦いに参加するくらいなら何か願いがあるんだろ?なら、それだけでも教えてくれ。何考えているか分からない連中に手を貸すなんて出来ない」

切嗣「………ハァ」

切嗣「……………だ」

上条「…ん?なんだ?」

切嗣「………」



切嗣「世界の…救済だ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:43:07.22 ID:zpOmFzJ8O
今移動中なんで一旦切りますね。
すいません。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:23:10.46 ID:2tPkdhRv0
再開します。


上条「独りになった訳だけど」

上条「本当にここはどこなんだ…?またインデックスを独りにしちまってるし。あああ…帰ったらまた頭を食いしん坊シスターに噛みつかれる未来しか見えないんですけどーっ!」

上条「……はぁ。全く、いつ帰れるのやら」

上条(世界の救済、って言ってたな)

上条(そんな事を言い出すタイプには見えなかったけど、一応切嗣は悪人じゃない…って考えて良いのか…?)

上条(まぁ、いくら願いが殊勝なものでも、その為に敵の魔術師を殺すってのは正直認めらんねぇよな)

?「……」ササッ

上条(フィアンマも根本としては『世界を救う』のが目的だった訳だけど、とても許せるもんじゃなかった)

?「………」チラッ

上条(もしあんな風に多くの人達を犠牲にしてまで世界を救おうと考えて居るのなら、目的がなんであれ、放って置けない)

?「………」ジー

上条「何にせよ状況を見る時間が必要……ってなんだ?さっきから」

?「……!」ビクゥッ??
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:25:13.51 ID:2tPkdhRv0
上条(女の子…か?結構小さい、っていうか)

上条「誰だお前?」

イリヤ「わ、私はイリヤ、イリヤスフィール。キリツグ達が出てくるのが見えたから来たのだけど、あなたは誰?」

上条「俺か?俺は上条、上条当麻」

イリヤ「んー、カミジョー、トウマ?変な名前ね、なんかノロそう。あなたの周りの人みんなそう思ってるでしょ?」

上条「上条さんはそんな事を言われたのは初めてです」

上条「それより、イリヤスフィールって名前とその髪の色からして、アイリさんの関係者なのか?」

イリヤ「そうよ!この髪はよく褒められるの!『お母様とよく似ている』って!中々良い眼をしているわね、トウマ!」

上条「えーっと、髪を褒めた訳じゃないんだけど。まー、確かに綺麗な銀髪だな。…って、アイリさんがお母様!?じゃ、じゃあ父親って…」

イリヤ「お父さんはキリツグよ!」

上条「……あの二人、夫婦だったの……?」

イリヤ「そんなこと良いじゃない。ねぇ?暇なの?暇でしょ!だったら遊びましょうよ!」

上条「は?遊ぶ?確かに暇だけど、いきなり現れて遊んじゃうってのは…」

イリヤ「えー!いいでしょ!遊ぼう!遊ぼー????」

上条「えー、そこまで言われると断りづらい…」

イリヤ「よし!決まりね!何して遊ぼうかしらー!」

上条「勝手に決まってるし!あーもう分かったよ!この上条当麻、何でもやってやりますよーーーーっ!!!」

イリヤ「そうね!じゃあ、クルミの芽探しにしましょう!」

上条「クルミの芽探し?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:28:14.11 ID:2tPkdhRv0
イリヤ「はーい、見つけたー!これでイリヤ八つ目ー!」

上条「く、くそぅ!全然見つからない!何なら小さすぎてどれがクルミの芽なのか分からない!まさか上条さんがこんなちびっ子に手玉に取られるなんてーーっ!!!?」

イリヤ「ふっふー、修行が足りないわねトウマ!私は切嗣とよくクルミの芽探しで勝負しているから、この辺のクルミには詳しいのよ!」

上条「な、なにーっ!!勝敗は視力じゃなくて経験の差だとぅ!?」

イリヤ「そういうことよ!あ、九つ目!」

上条「いやぁぁぁぁっ!!差がどんどん開いて…ってあれ?日頃からこの遊びやってるってことはもしかして、どこにクルミの芽があるか分かってるってことなんじゃ…?」

イリヤ「そうとも言えるわね!」

上条「おいぃぃぃいいい!!卑怯だろそれ!?いつの間にかアウェーで勝負させられてんじゃん俺!!最早この森が敵じゃん!!」

イリヤ「勝敗はスタートラインに立つ前から始まっているのよ!」

上条「この歳でそんな言葉を…っ!?なんて恐ろしい子…っ!!!?」

イリヤ「あ、また見つけた!もー、トウマ弱すぎてつまんなーい。しょうがないから、ハンデあげようかー?」

上条「」プッチーン

上条「ふふ、ふふふ。舐められたもんだな。おいちびっ子、いくらクルミの芽の場所を覚えてても、そこに辿り着けなきゃ意味ねーよなー……?」

イリヤ「な、なに?トウマおかしくなったの?」

上条「つまりは視力や記憶力が重要に見えて実際はスピード勝負なんだよなぁぁぁぁぁぁっ!この脚力でクルミの芽をバンバン見つけて逆転してんやんよーーーっ!!!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/23(土) 21:29:42.43 ID:MCeHBbRS0
期待ィ!
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:30:34.40 ID:2tPkdhRv0
数分後

イリヤ「18-2で私の勝ちーっ!」

上条「ぜぇーっ!ぜぇーっ!」

イリヤ「まったく。訳の分からない事言って走り出したけど、肝心のクルミの芽を見逃して走ってるんだもん。トウマはバカだなー」

上条「う、うるせぇ。こちとら全力疾走続けてたんだ、少しは休ませてくれ…」

イリヤ「はいはい、分かりましたよー」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:31:13.60 ID:2tPkdhRv0
数分後

イリヤ「18-2で私の勝ちーっ!」

上条「ぜぇーっ!ぜぇーっ!」

イリヤ「まったく。訳の分からない事言って走り出したけど、肝心のクルミの芽を見逃して走ってるんだもん。トウマはバカだなー」

上条「う、うるせぇ。こちとら全力疾走続けてたんだ、少しは休ませてくれ…」

イリヤ「はいはい、分かりましたよー」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:36:39.61 ID:2tPkdhRv0
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15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:38:31.99 ID:2tPkdhRv0
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16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:39:00.36 ID:2tPkdhRv0
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17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:39:51.51 ID:2tPkdhRv0
あれ、なんか上手くいかないですね。
何が原因なんでしょう?
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:42:56.85 ID:2tPkdhRv0
上条「ハァ、ハァ…。そういや、イリヤはずっとここに住んでるのか?」

イリヤ「ええ、そうよ」

上条「だよな。普通お前くらいの子はクルミの芽探しなんてやらないと思うぞ」

イリヤ「えー?そうなのー?」

上条「多分な。学校は?友達とか居んのか?」

イリヤ「学校?何それ?友達って言葉も知らないなー」

上条「嘘だろ…?お前の年で学校にも行かせないって、一体何考えてんだよあの二人は……!」

イリヤ「うーん?どうしたの?トウマ、怒ってるの?」

上条「…!いや、まぁ学校に行くだけが全てじゃないしな、イリヤも全然元気そうだし」

イリヤ「うん!私は元気だよ!友達ってのは知らないけど、お母様と切嗣がいるもん!」

上条「…そう、か。二人のことは好きか?」

イリヤ「うん!大好きだよ!あー、でもでも、トウマも好きだよ!お母様と切嗣以外に初めて遊んでくれたし!」

上条「ははは、そりゃ嬉しいな。なんならまた遊んでやるよ。しばらくは暇そうだしな」

イリヤ「えーっ!本当!?やったーっ!トウマはいつまでここにいるのー?」

上条「喜びすぎだろ。うーん、いつまでいるんだろう?そもそもここに来た理由もよく分かってないし」

イリヤ「へー、でもお母様は『私達を手伝いに来てくれた』って言ってたよ?」

上条「ああ、まぁそういうことに……っ?」

イリヤ「どうしたの?」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:44:31.38 ID:2tPkdhRv0
直りました。コメントありがとうございます。嬉しいです。続きですね。




上条「……い、いや、なんでもない」

上条(そうだ、聖杯戦争に参加する以上、あの二人も同じく他の魔術師に狙われるってことだ。さっきは混乱して参加しねぇ、とか言っちまったけど、もし俺が行かなかったらあの二人だけで敵のサーヴァントとやらと戦うことになる……のか。)

上条(それより、イリヤは聖杯戦争を知っているのか?あの二人が危険な戦いに挑もうってことを、知っているのか?)

上条「…なぁ、イリヤ。お前アイリさんから俺が何の手伝いに来たのか、って聞いてるか?」

イリヤ「うん!知ってるよ!二人は今度日本へお仕事に行くの!そのお手伝いじゃないの?」

上条「ああ…まぁ、そうだ……そうだな」

上条(知ってる…訳ないか)

上条(もし…もしあの二人が聖杯戦争で負けて、最悪の結果になった時、イリヤは…ずっと、ずっと独りになっちまうかもしんねぇのか…)

上条(この広い城に、たった独りで…)

上条「………」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:52:39.30 ID:2tPkdhRv0
イリヤ「どうしたの?トウマ。元気ない?」

上条「…イリヤ、もしもの話なんだけど」

イリヤ「…?うん」

上条「もし…もし、あの二人が事故かなんかで仕事に失敗して、ここに帰ってこれなかったとしたら…どうする?」

イリヤ「大丈夫だよ」
即答だった。

イリヤ「切嗣は約束は絶対守るもん。お仕事は知らないけど、帰ってくるって約束したから、ちゃんとイリヤの所に帰ってくるよ」

イリヤ「だから、何も心配なんかしてないの」

その言葉は、まるで自分に言い聞かせているかのようだった。
そうでもしないと、今にも崩れてしまうのだろう、と上条は思った。


あの二人が帰ってこなかったら、イリヤはどうなるのだろうか。
泣くのだろうか。
悲しむのだろうか。
あるいは、もっとひどい結末になるかもしれない。
なら、自分は何をしたいのだろうか。
自分が関わるには、まだイリヤのことを知らなすぎるだろう。
でも。
それでも。

ここは自分の世界とは違うのかもしれないけれど。
まだ会って1日も経っていない少女だけど。


この顔が曇ってしまうのは嫌だな、と。


ただ、そう思った。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 22:01:29.11 ID:2tPkdhRv0
上条「…イリヤ」

イリヤ「んー?なに?」

上条「俺実はさ、ちょっと混乱してたんだ。いきなりアイリさんと切嗣に会って、自分がなにをするのかも分からないままだったからよ」

イリヤ「んーと、とうまは困ってるの?」

上条「ああ、さっきまではな」

上条「でも、今は違う」




上条「約束するよ。あの二人は必ず、イリヤの所に連れ帰ってみせるさ」

上条「そんでまた遊ぼう。クルミの芽探しだってなんだっていいさ、今度は切嗣とアイリも一緒に遊ぼうな」

その言葉にイリヤは。

イリヤ「うん!約束だよ!」

笑顔で、そう答えた。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 22:13:41.15 ID:2tPkdhRv0
ーーー切嗣の部屋
コンコン

切嗣「…誰だ」

上条「よう」ガチャ

切嗣「…何の用だ」

アイリ「上条君、気持ちは落ち着いたかしら?どうやらイリヤと一緒に居たようだけど」

上条「ああ。イリヤのおかげで、拳を握る理由が出来た」

アイリ「…どういうこと?」

上条「つまりこういうことだ」

上条「俺も、聖杯戦争とやらに参加してやるよ」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 22:28:48.32 ID:2tPkdhRv0
切嗣「…随分な心変わりだな。さっきのお前と同一人物とは思えない」

アイリ「上条君、急にどうしたの?聖杯にかける願いを思い出した、とか?」

上条「別に思い出した訳じゃないんだ、アイリさん。確かについさっきまで聖杯戦争に参加する気なんてなかった」

上条「正直、聖杯にかける願いなんか思いつかないし、あんたらを信用して良いのかも分からない。だからこんな戦いは辞退しようと思ってた。あんたらがどうなろうと、俺には関係ないからな」

切嗣「……」

上条「でも、今は違う」

上条「あんたらのことはまだ分からない。でも、あんたらの事を何よりも大切に思ってる奴を俺は知っちまった」

上条「あんたらが居ないと、悲しむ奴がいる。あんたらが帰らないと、泣く奴がいるってな」

上条「会って間もない奴の為に命を賭けるなんて馬鹿げたことなのかもしれない。でもな、目の前で辛さに耐えてる女の子を無視して逃げるような腰抜けになる気もねぇさ」

上条「だから、俺はそいつの為にあんたらを守る」

上条「敵の魔術師とやらを殺す気なんてないさ。けど、あんたら二人を見殺しにして、逃げるつもりもさらさらねぇ」

上条「もしかしたら裏があるんじゃないか、何か企んでるんじゃないか、って思うかもしれない。なら、聖杯をもし手に入れたとして、俺が叶える願いを教えてやるよ」



上条「『イリヤが悲しむ顔を見たくない』」




上条「そんな馬鹿が一人くらい居たっていいはずだろ?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/23(土) 22:32:46.73 ID:2tPkdhRv0
今日はここまでにしておきます。
ストックはありますが、ペース考えないと無くなっちゃいそうなので笑。
見てくれた方ありがとうございます。
すぐに続きも出すと思うのでよろしくお願いします。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 22:38:02.61 ID:7oZkaLIfo
乙。期待
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/23(土) 22:56:28.82 ID:MCeHBbRS0
元が元だし、超大作に期待だぜ
今のところいい感じィ!
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/24(日) 15:31:16.97 ID:ADERFejFO
こんにちは。再開します。



切嗣(なんだこいつは…?)

切嗣は困惑していた。
目の前の男は明らかに英霊とは違う存在であることは、一目見た時から思っていたことだ。

切嗣(しかし、こいつの行動原理はなんだ?)

切嗣(イリヤの為に戦う?会って数時間しか経っていない者の為に、命をかけるだと?)

切嗣は上条のことを道具と思っている、それは今も変わらない。令呪で無理やり戦場に連れ出そうとまで思っていたが、その必要が無くなっただけのこと。
上条がなぜ心変わりしたのか、などといった無駄な推察は普段の切嗣ならまずしない行為である。

しかし、上条の述べた『戦う理由』は切嗣が普段と違う行動を取ってしまうほどに、不可解で、意味不明で、短絡的で、馬鹿げていて。


なぜか、懐かしさを感じるものだった。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/24(日) 15:32:31.71 ID:ADERFejFO
切嗣「……っ」

アイリ「どうしたの?切嗣?上条君と今後の方針を話すんじゃないの?」

切嗣「…あ、ああ。そうだね、アイリ」

切嗣(何を考えている、僕は。私情が頭に入るなんて、いつ以来だ)

上条「ほら、さっさと方針とやらを教えてくれよ。まぁ、俺はあんたらを信用してる訳じゃないけど、あんたらが戦うことを邪魔するつもりはねぇ。俺が勝手について行って、勝手に守るって決めただけだけどな」


切嗣「ああ、お前と僕は別行動だ。正直、お前は使えないと踏んでたからな、元々戦力にはほとんど数えていない」

上条「そうかよ」

切嗣「お前の役目は単純だ」




切嗣「アイリと共に、この戦いに参加しろ」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/24(日) 15:34:18.10 ID:ADERFejFO
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30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/24(日) 15:35:00.06 ID:ADERFejFO
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31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/24(日) 15:35:49.57 ID:ADERFejFO
ーーー日本

上条「んで、なんで俺はこんなとこにいるんだ……?」

アイリ「ほら!上条君早く!次のお店にいきましょう!」

上条「まだいくの!?っていうかもう持てない!これ以上の紙袋は上条さんには持てませんって!!」

そう、アイリと上条はショッピングをしていた。
切嗣に「アイリと行動しろ」と言われ、切嗣とは別ルートで日本に到着した上条達だったが、日本に着いたアイリの第一声が「買い物がしてみたい」とのことだった。
上条的には一応命懸けの戦いに来ている訳だし、少し躊躇ったのだが、なんやかんやで二人でショッピングに勤しんでいた。
しかし、しばらくして上条は自分の判断を呪うことになる。

上条「ちくしょう!気づくべきだった!この人イリヤの母親だった!ロクな扱いを受けられると思ってた俺が馬鹿だったんだ????」

見ての通りの雑用っぷり。
サーヴァントの日本訳に「召使い」があるが、サーヴァントかどうか分からない曖昧な存在である上条らしからぬ「サーヴァント」もとい、「召使い」ぶりであった。
切嗣はもしやアイリさんに振り回されるの分かってて俺に押し付けたんじゃねぇだろうな…?などと上条が考えて始めた矢先。

アイリ「あー、ごめんなさい。上条君。ついはしゃいでしまったわね、少し休みましょうか」

と、アイリが上条に気を使い広場のベンチで休むことになった。中々の広さのある広場で、公園が隣接している。
二人は並んでベンチに座っていた。
傍らには先ほど買ったペットポトルがある。

上条「うぉぉおう…、あー、いいなこの感じ。足がくすぐったいというか、回復してるぞー、って感じが気持ちいい」

アイリ「ふふ、ごめんなさいね。上条君、長旅の後で疲れさせてしまって」

上条「まぁ、少し休ませてくれるなら全然付き合うけどさ」
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