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もこっち「モテないし、ヴレインズ」
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284 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:23:02.37 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(オイこれ………! あ、アバター、私が動かせるようになってる………!?)ギュッ
クロっち(あ、あのAI………! 私に押し付けやがった………!)
ネモっち「」ジーッ
クロっち(ま、まずい………このままだと下手したら通報されて、絶対面倒なことになる!)
クロっち(何より今のネモに迷惑をかけることになるしーーーど、どうすれば?)
285 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:24:16.84 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(お、落ち着けーー私!)
クロっち(いま必要なのは私が黒木智子であると証明すること。そのためには、私とネモだけが覚えているようなことを言えば良い!)
クロっち(だが、何があるーーーネモと私しか知り得ない何かーーーそれはいったいーーー)
ネモっち「………」スッ
クロっち「!?」
ネモっち「………」つ
クロっち(あ、あの手の構えは………多分、デュエルディスクで通報をーーー)タラリ
クロっち(な、何か無いか! なんでも良い! ネモと私しか知り得ない、何かをーーー)ダラダラ
クロっち(うおおおおおおおおおおおお!!!)
286 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:25:17.98 ID:z4K+Hx+YO
ネモっち(………いかにも通報する、って感じでディスク構えてみたけど………何もなさそうだね)つ
ネモっち(ならこのままログアウトしてクロ本人に確認をーーー)つ
クロっち「…え………、…っ…ね………」ボソッ
ネモっち(? いまなんてーーー)つ
クロっち「………うえーーい やったね」つ
コツンッ
ネモっち「!!?」つ
287 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:26:14.86 ID:z4K+Hx+YO
ネモっち「ーーーーーーーーーーーーーー」
クロっち(………………やっちまったあああああああああ!!)
クロっち(バカだ私………つーか、なんでこのネタをチョイスしたし………ネモに嫌いなアニメ言われたりとか他にも色々あったのに………)
クロっち(………いや、ホント、なんでこのネタだったんだ? さっきは何となくこのネタやらなきゃいけない気がしたんだが………あれはいったいーーー)
ネモっち「………ぷっ、ははは………」
288 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:27:27.61 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………えっ、?」キョトン
ネモっち「うん、クロ…っちだ。間違いないや」
クロっち「えっ、あっ、えっーーー」
ネモっち「うぇーい!」つ
クロっち「!?」つ
コツンッ
289 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:28:25.71 ID:z4K+Hx+YO
ネモっち「ふふふ………!」
クロっち(えっ、何でネモの奴、こんなに嬉しそうなの? 何かのツボに入ったのか?)
ネモっち「疑ってごめんーーていうかなに? そのこと、覚えていたの?」
クロっち「お、おう? そ、そりゃまあ、あの時のお前の眼凄かったし………」
ネモっち「………ひょっとして、伊藤さんと話してた時のこと言ってる?」
クロっち「あ、ああ、普通にそうだけど………」
ネモっち「………………………なーーんだ、そっかーー、ふーん………まあ別にいいけどーーーーーー」
290 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:30:07.90 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(何か急に不機嫌になったな………生理か?)
ネモっち「………ていうか、クロっち、さっきはどうしたの? いつものノリと違ったけど?」
クロっち「………あー、いや、そのーーー」
クロっち「………ほら、アニメや漫画なんかで元気無い時はデュエルで解決するだろ? あんなノリで元気出たら良いなーー、って思ってさ。中学生っぽいノリに戻ってみたんだ」
ネモっち「………………………そっか、ここでも心配してくれてたんだ」
クロっち「………あー、まあ、そうだな。学校でも調子悪いままだったみたいだし」
クロっち「そのあと、何となくリンクヴレインズに来てたら、たまたまお前を見つけて、今に至るってわけだ」
ネモっち「………そのアバターは?」
クロっち「………あー、いや、何もかもネモにデザインして貰っちゃ悪いと思って………自分なりにアレンジしてみたら、こんな感じにーーー」
ネモっち「ふーーーーーーーーーーーーーーん」
クロっち「えっ、あっーーー」
ネモっち「センスないねーーーーーーーーーーーーーー!!」
291 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:31:44.76 ID:z4K+Hx+YO
Ai(目玉)「…………………………………………」
クロっち「………あー、そう思うか?」(同感だけどさ………)
ネモっち「………………でも、」
クロっち「? どうした、ネモっーーー」
ネモっち「………ありがとね、クロっち」
クロっち「!」
ネモっち「その、心配してくれて………」
クロっち「………お、おう」(良かった、誤魔化せた)
ネモっち「………ふふっ、 」
292 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:33:05.36 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………なあ、ネモ…っち」
ネモっち「………なあに、クロっち?」
クロっち「話は変わるんだが………………お前が元気無いのって、ひょっとして、ブルーエンジェルと何か関係があるのか?」
ネモっち「!」
クロっち「………いや、だって、今お前がいるのって確か、ブルーエンジェルのコンサート会場だろ?」(ネットニュースにあったところで間違いないよな、うん)
クロっち「それも、1週間前、その………あんなことがあったってのに………その上で、リンクヴレインズのそこに来ているんだ」
クロっち「しかも、今は誰もがプレイメーカーとGO鬼塚のデュエルに夢中なのに、一人だけブルーエンジェルのコンサート会場にいる」
クロっち「それって、つまり………そういうこと、だよな?」
293 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:34:23.87 ID:z4K+Hx+YO
ネモっち(………これは、誤魔化せそうにない、かな………)
クロっち「なあ、ネモっち、お前はーーー」
ネモっち「………そうだよ、クロっちの推理通りかな」
クロっち「!」
クロっち「じゃあ、やっぱりーーー」
ネモっち「………うん、実は私………………1週間前のあの日、助けられたんだ、ブルーエンジェルに」
294 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:35:33.64 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………えっ、そうだったのか?」
ネモっち「………うん、言ってなかったけど、実はそうだったんだ………」
ネモっち「あの人は、ハノイから逃げ回ることしかできなかった私の前に現れて………ずっと近くで、デュエルで私を守ってくれた」
ネモっち「しかも、ハノイの違法プログラムで、デュエル中の衝撃が危険域にまで増幅していたはずなのに………それでも変わらず守ってくれた」
ネモっち「だけど私、あの時は本当に怖くて………無我夢中で縮こまって………お礼を言うこともできなかった」
295 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:36:40.28 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………」
ネモっち「それから、ブルーエンジェルが気になるようになって、そのデュエル動画やライブ映像を見るようになって………あっという間にファンになっちゃった」
ネモっち「でも、1週間前のあの日から、ブルーエンジェルはリンクヴレインズから姿を消したみたいで………」
ネモっち「今日この時間も本当ならライブする予定だったみたいだけど、この通り来てないんだ」
ネモっち「………最後にあの人を見た時は、普通に元気そうだったし、より多くハノイと戦って大ダメージだったGO鬼塚も退院しているから、無事だとは思う………」
ネモっち「でもそれでも諦めきれなくて………こうしてここにいるんだ………」
ネモっち「お礼も………まだ言えてないままだし」
296 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:37:54.74 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………………お礼、言えないままか………)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
着ぐるみ(今江)「………………」ギュウッ
もこっち「いや? え?」
スッ………クルッ
着ぐるみ(今江)「………………」ペタペタスタスタ
もこっち「………なんなんだ?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
297 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:39:11.83 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(今江、先輩………………………)
ネモっち「………それでも、何かできることないかなって、頭の中そのことばかりでーーー」
クロっち「………だったら、もっと楽しくすりゃ良いんじゃねーの?」
ネモっち「………えっ、?」キョトン
クロっち「その人は身を呈して、お前を助けてくれたんだろ? それって、お前には不幸になって欲しく無かったってことだろ」
クロっち「だったら………今という時間を思うままに楽しめば良いだろ」
クロっち「………少なくとも、いつまでもウジウジして、周りに心配かけてる方がよっぽど、その人に失礼だと思うけどな」
ネモっち「………………!!」
298 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:41:00.27 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………なあに、知った風なクチ聞いてんだ、私は。人のこと言えた立場かっつーの………)
クロっち(それに、ネモにはネモの事情ってもんがあるだろうに、それを、こんないかにも知った風なーーー)
ネモっち「………ありがとう、クロっち」
クロっち「!」
ネモっち「クロっちの言う通りだよ。お礼伝えることばっかり考えて、それ以外のことをおざなりにするなんて、どうかしてた………」
クロっち「………………」
ネモっち(こんな当たり前のこと、言われるまで気づかなかったなんて………バカだなーー、私………………)
299 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:42:30.09 ID:z4K+Hx+YO
〜〜 2年前 『 原幕高校 “試験会場” 』 〜〜
もこっち(中3)「うえーーい やったね」
根元「えっ!?」
もこっち「拳合わせて、拳」つ
根元「あっ、はぁ………」つ
コツンッ
もこっち「うえーーい」
根元「………」ポカーン
300 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:43:54.03 ID:z4K+Hx+YO
ーー 現在 リンクヴレインズ 『 コンサートエリア 』 ーー
ネモっち(あれから、結構変わったつもりでいたけど………いつの間にか戻ってた、ははっ、)
ネモっち(………また、変わらなきゃ)グッ
ネモっち(………変わり続けることは大切なこと。だから、そうしようと思えるし、楽しくなれる)
ネモっち(その当たり前に、気づかせてくれたのは、いつもーーー)
クロっち(何だ? また黙って………やっぱりさっきの発言はマズかったのか………?)
301 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:45:01.14 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………あー、その、さっきは知った風なクチ聞いちまって、本当にーーー」
ネモっち「………叱ってくれて、本当にありがとう、クロっち」
クロっち「えっ!? ………あ、いや、別に、私が言えたようなことでも無かったし………」カァッ
ネモっち「………ふふ、そうかもね」
クロっち「うっ、………」(なんだよ、言って良かったのか悪かったのかハッキリしろよ………これだからネモは)
ネモっち「………だから、やっぱり私、もっと楽しみたいなーー」
302 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:46:10.08 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………えっ、?」
ネモっち「さっき、思うがままに楽しんた方が良いって言ったでしょ?」
クロっち「あ、ああ………」
ネモっち「私もそう思う。だから、そうしたい」
クロっち「………そうか、なら良かっーーー」
ネモっち「でもそれは私だけじゃなくて、クロっちと、みんなと、一緒になって楽しみたい」
クロっち「!」
ネモっち「その方がきっと面白いと思うから………そうでしょ?」ニコッ
クロっち「っ、ああ、そうだな………」
クロっち(敵わなねーな、ネモには………)
303 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:47:21.34 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………まあ、それはそれとして、ブルーエンジェルのこと、何でもっと早く言わなかったんだ?」
ネモっち「!」
クロっち「ぶっちゃけ、お前のグループにまで、言わなかった理由がよくわからん。言ってりゃ、もっと早く………」
ネモっち(………言えるわけないよ)チラッ
クロっち「………?」
ネモっち(それってクロに、私が他に気になってる人がいるって、バレるかもしれないってことでしょ?)
ネモっち(それが嫌で、すぐに言えなかった………)
ネモっち(………そういう理由で、すぐに話せなかったなんて、言えっこないよ………)
304 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:48:21.33 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………まあ別に、言いたくなきゃ、言わなくても良いとは思うけどな」
ネモっち(………えっ、?)キョトン
クロっち「いや、別に親しい関係なら、何もかも話さなきゃいけないなんて決まりは無いだろ?」
クロっち「誰だって、知られたくないことくらい、割とあるもんだろうし………私にだってあるからな………」
305 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:49:32.42 ID:z4K+Hx+YO
ネモっち「クロ…っち………」
クロっち(まあ私の場合、知られたくないことは、星の数あるがな。バカAIやクィーンのこともそうだが、それ以外も知られたくないことのデパートだよチクショーめ)
ネモっち「………………」
クロっち「………まあ、いろいろ詮索した私が言えたことじゃないかもしれねーが………さっきも無理やり話させるようなことしたし」
ネモっち「………ううん、クロっちは悪くないよ。誰だって知りたいことは知りたいと思うし、私だってそうだもん」
クロっち「ネモ…っち………」(うん、私もゆうちゃんの性事情は知りたいしな)
306 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:50:45.39 ID:z4K+Hx+YO
ネモっち(そうだよ、誰にだって放っておけないことがある………)
ネモっち(それはクロだって同じーーーーーー)
ネモっち「ーーーでも言えないことは、やっぱり言えないかな………」
クロっち「………ああ、言いたくなきゃ別にーーー」
ネモっち「だから………この際、言えることは全部言っちゃうね」
クロっち「言えること? それってーーー」
ネモっち「ゴメンね」
クロっち「!」
ネモっち「今まで心配かけちゃったよね。だから、ゴメンなさい」ペコッ
クロっち「………………」
ネモっち「………今言えることはここまで。ゴメンね、少なくて」
307 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:51:45.14 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………いや、十分だ。ありがとな」
ネモっち「………それはこっちのセリフ。ちゃんと言えてスッキリしたし、言うことで、これから向き合わなきゃいけないこともわかったからーーー」
クロっち「………そうか? ならーーー」
ネモっち「うん、みんなにもキチンと全部言わないとね………」
クロっち「………それが良いな。お前の友達はもちろん、私の友達だって、お前のこと心配してんだかんな」
ネモっち「うん、そうだね。まずはスマホで伝えられる人から、伝えてみるよ。後は教室で、またね」
308 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:52:51.00 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………頼んだぞ、ホント」
ネモっち「もちろん、ちゃんと伝えて………って、あっ………!」ピーッピーッ
クロっち「ん、どうかしたか?」
ネモっち「………ごめん、親にリンクヴレインズやってることがバレちゃったみたい。今すぐログアウトしないと」
クロっち「!」
クロっち(………ああ、そうか。ハノイの襲撃に巻き込まれたんだもんな。だったら普通禁止にするよな、家族だったら)
クロっち(なら、仕方ないかーーー)
309 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:54:15.34 ID:z4K+Hx+YO
クロっち「………じゃあ、今度は現実世界で、だな」
ネモっち「うん、クロっちもしばらくリンクヴレインズはやめた方が良いよ? 危ないし」ピピッ
ピュウンッ………………
クロっち「………ああ、それじゃあな」
ネモっち「都合ついたら、またデュエルしよ? 今度は現実でさ」
クロっち「おう………!」
ネモっち「約束だよーーー!」ニコッ
………………ヒュンッ
〔アカウント名:【ネモっち】がログアウトしました〕
310 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:55:28.63 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………ふう、これで一安心………か?)
Ai(………………あー、あー、仲睦まじいこって。日常アニメの主人公とヒロインかっつーの!)
クロっち(………何だよお前、急にどうした?)
Ai(別にーー? 単に、クロっちみてーな奴でも、お仲間と上手くやってるんだなーー、って思っただけだしーー?)
クロっち(ああ? そりゃどういう意味だよ)
Ai(さあねーー? つーか、そんなことよりも、これからお前がちゃんとデュエルできるかどうかの方が心配だけどな)
クロっち(私がデュエル? 何言ってんだ、デュエルするのはお前だろ?)
Ai(いや、確かにその予定だったけどよーーー)
クロっち(けど? なんだ?)
311 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:57:07.64 ID:z4K+Hx+YO
Ai(………俺が表に出続けると、そのあまりのカッコよさに、ハノイやSOLが鼻を効かせる可能性があるって気づいてな)
Ai(だから今回、アバターの主導権はお前に譲ることにした)
クロっち「………………」
Ai(いや、俺としても、不本意だけどな? だけどハノイやSOLが寄ってくるよりはマシだし?)
Ai(それに、直接デュエルしなくとも、お前の脳波データが混じった今の俺なら、お前のそこそこのデュエルを見て、それを後から追体験する形で学習できて、俺も強くなれるはずでーーー)
クロっち(………なるほど、要するに、自分の演技力に自信がなくて、普通にしてるだけで目立ってハノイやSOLに嗅ぎつけられる可能性が高いから、代わりに私にデュエルさせるってことか)
312 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:58:26.69 ID:z4K+Hx+YO
Ai(うぐっ、!?)
クロっち(図星みてーだな。まあ、ネモに勘付かれたんだから、組織全体が相手じゃ、100パー、嗅ぎつけられるわな、うん)
Ai(う、うっさいわ! さっきからクロっちの癖に生意気だぞ!)
クロっち(さっきから、って………そういや、コイツさっき仲間と上手くやれてるのが、どうとかーーー)
クロっち(………ん? まさか、ひょっとして………)
クロっち(………………………………………)
313 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 22:59:28.30 ID:z4K+Hx+YO
Ai(………………何だ? 頭ん中で会話すんなら、もっと大声出す気で言葉思い浮かべてくれ。でないと聞き取りづらーーー)
クロっち(お前、ぼっちか?)
Ai(ーーーーーーーーーーーーーーーーー)
クロっち(………もう一度言うぞ、お前、ぼっちーーー)
Ai(ぼ、ぼ、ぼ、ぼっち!? 今お前、俺を『ぼっち』っつったか!?)
クロっち(ああ、やっぱり、ぼっちなのか………………)
314 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:00:28.63 ID:z4K+Hx+YO
Ai(ち、ちげーし! お、俺には、リンクリボーがいるし〜〜)アセアセ
クロっち(………リンクリボーだあ? 《クリボー》の亜種が何かか?)
Ai(お、おうよ! 確かにあいつはモンスターだが、俺の子分兼友達よ!)
クロっち(カードが友達って………そういうのが通じるのはアニメや漫画の世界だけだぞ? そんな痛いこと言ってるから、ぼっちに………)
Ai(いや、あいつには俺たちと一緒でれっきとした意思があるから! 痛くないから! 中二病とかじゃないから!)
クロっち(はあ? カードに意思って、そんなのーーー)
315 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:01:41.75 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………いや、このAIの存在が有りなら、カードの精霊も有りか?)
クロっち(………だが実際見てみねーと、なんとも言えねーな)
Ai(いやいやホントだから! あいつ今はサイバース世界にいて、そこに行けばわかるから!)
クロっち(………だったら、そのサイバース世界とやらに連れてってくれんのか?)
Ai(えっ、あっ、いや、今は無理ーーー)
クロっち(じゃあ証明しようがねえな)ハアッー
Ai(ぐ、ぐぐっ………!)
316 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:02:41.46 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………つーか、それが本当だったとしても、他の奴からは割と厄介者扱いされてたんじゃねーか?)
Ai(ぎ、ぎくうっ、!?)
クロっち(ああ、やっぱそうか。そりゃお前みたいな性格じゃな………)
Ai(ち、ちげーし! 俺は割と孤高なだけだから! 未来永劫働かないで生きていきたかっただから! それで、一目置かれていただけだから! 別に嫌われてなんかないんだからな!)
クロっち(ああ、こりゃ嫌われるわ………)
317 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:03:41.64 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(つーか、生涯の目標【ニート】って何だよ? そんなこと、思っても周りに吹聴するもんじゃないだろ………)
Ai(うるせーし! 将来の夢が武器商人だった奴に言われたくねーし!)
クロっち(な、な、ななな、なんでそれを!?)カァッ
Ai(お前、中学ん時の進路カード、カッコつけてPC使って記入したろ? そん時のログが残ってたんだよ、バーカ!)
クロっち(お、お前! 人のPCん中、勝手に………! って、ちょっと待て、まさか他にもーーー)
Ai(モッチのロンよ! お前が普段どんなサイト閲覧してんのか、どんなアニメや動画見てんのか、全部まるわかりだっつーの!)
318 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:04:52.96 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(なっ、な、な、な、………………!?)パクパク
Ai(………お前の趣味嗜好や性癖はどうなってんだ? ヤンデレ男子だの、妊娠だの、[ピーッ]だの何だの………ありゃあドン引きだわ)ハアッー
クロっち(………………っ、)
Ai(いや、人間にはそういう生理的欲求があることは知ってるけどよーー)
Ai(………それにしたって、あの量と内容、恥ずかしいったらありゃしねえ。そうは思わねえか? 喪女さんよ?)ニヤリ
クロっち(………………っ、………………っ、)
Ai(………ああーん? 何だよ、さっきも言ったが、言いたいことあんなら、もっとハッキリーーー)ニヤニヤ
319 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:06:48.73 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………………)ジワ
Ai(………………えっ、?)
クロっち(………あっ、………うっ、ううっ………………っ、………っ)ポロポロ
Ai(えっ、ちょ、おま、まさか泣いてーーー)
クロっち(………うっさい、話しかけんな………! クソバカAI………………!!)ヒッグヒッグ
Ai(あっ、またバカってーーー)
クロっち(ううっ………あうっ………………っ、)ヒッググスッ
Ai(あっ、あーーーーー)
Ai(………そうだった、こいつ、人間でいうところの『オンナノコ』だった)
クロっち(………………っ、)グスッグスッ
Ai(………………)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
クロっち「誰だって、知られたくないことくらい、割とあるもんだろうし………私にだってあるからな………」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
320 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:08:05.28 ID:z4K+Hx+YO
Ai(………………デリカシー、無さすぎたな、俺ーーー)シュン
クロっち(………………………っ、)グスッグスッ
Ai(………あー、その、アレだ。俺が悪かった。すまん)
クロっち(………うるせえ、話しかけんなって言っただろ………!)グスッグスッ
Ai(………あー、いやー、そのー………)
クロっち(うるさい、うるさい! お前なんか死んじまえ、この変態! 鬼畜! バカAI !!)
Ai(ううっーーどうすればーー、あ、そうだ!)ピコーン
321 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:08:59.47 ID:z4K+Hx+YO
Ai(な、なあ、クロっち、ここはデュエルでもして元気出そうぜ! デュエルの楽しさならそんな気持ちも吹っ飛ぶぜ! なっ、?)
クロっち(ーーーーーーーーーーーーーーー)
Ai(だ、だから、そう落ちこーーー)
クロっち(………………わかったよ)
Ai(へっ?)
クロっち(やりゃあ良いんだろ、やりゃあ………最初からお前はそれが目的だったもんな)
Ai(えっ、あっ、いや、そんなつもりじゃーーー)
クロっち(いいよもう、どうせお前は好き勝手、私を利用するだけなんだろ。だったらおとなしく言うこと聞いてやるよ)
Ai(あっ、えっ、あっ、うーーー)
クロっち(どうしたよ? さっさとやりたいことやっちまえよ)
Ai(う、ううっ………………どうしよ?)
322 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:10:17.95 ID:z4K+Hx+YO
タッタッタッ………
ハノイ(別アバター)「はあ、はあ………っ………くっ!」
ハノイ(くそっ、今日はいつも以上に相手がいない………!)
ハノイ(………ようやくデッキ調整が終わり、電脳ジャングルでのドロー修行も終わったというのに………!)
ハノイ(………どいつもこいつも、プレイメーカーのデュエルに夢中! これでは試し斬りができんではないか!?)
ハノイ(おのれ、プレイメーカー! デュエルする機会まで奪うとは………!)ググッ
ハノイ(………だが、どうする? 一度出直すか………?)
ハノイ(………否! ここで出直すなど、プレイメーカーに屈服したも同然! 何としてでもデュエルせねば………!)タッタッタッ
ハノイ(そうだ………また、逃げるなど、あってはならん………)タッタッタッ
ハノイ(何としても、相手を見つけねばーーー)タッタッタッ
ハノイ(………………ん? あれはーーー)
323 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:11:40.52 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(どうしたよ? さっさとやりたいことやっちまえよ)
Ai(う、ううっ………………どうしよ?)
ハノイ「ーーーーーーーー見つけたぞ」ニヤリ
クロっち(ーーーとりあえず、ここを去る。また別の場所の奴をーーー)
ガバァッ!!
ハノイ「俺とデュエルしろオオオオオオオオオオオオ!!」
「「!?」」
324 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:13:05.27 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………えっ、………えっ、?)
Ai(な、なんだこいつ?)
ハノイ「おい、そこの貴様! 俺とデュエルしろ!」ザッ
クロっち「………っ、!??」
Ai(で、デュエルだあ? クロっちに言っててんのか?)
ハノイ「………!」
Ai(い、いやそれよりも………何だよこいつのアバターは?)
クロっち「………っ、! ………っ、!」パクパク
Ai(まんまテ◯フォーマーズの火星ゴ◯ブリじゃねえか………)
Ai(しかも、顔面はガ◯ダムシリーズのライバルキャラみてーな仮面男………一瞬コラ祭りかと思ったぞ………)
Ai(どういうセンスしてんだこいつは………?)
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/03(日) 23:14:35.71 ID:z4K+Hx+YO
ハノイ「おい、無視するな! 聞こえているのだろう! さっさと俺とーーー」
クロっち「………………わかった。やろう」
Ai「!?」
ハノイ「よしっ、決まりだな! ならば、ディスク構えーーい!」
クロっち「………」スッ
Ai(お、おい、クロっち! あんなおかしな奴のデュエルを受けるつもりか?)
クロっち(………外見は関係ねえだろ。猥褻物ぶら下げてるわけでもねえし)
Ai(いやまあ、それはそうだがーーー)チラッ
ハノイ(ようやくだ………! ここからようやく俺の再起が始まる………!)
…………………………………………………………………………。
Ai(………外見抜きにしても、あいつからは何だか妙な空気が漂ってる気がしてならねー。ここはやめといた方がーーー)
326 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:15:47.46 ID:z4K+Hx+YO
クロっち(………何言ってんだ? あいつはこんな状況でもデュエルしてくれるってんだ。だったら、お前にとっちゃ、受けない理由は無いだろ)
Ai(いやまあ、それはそうだけどよーーでもーーー)
クロっち(何でも良い、私はさっさとお前に利用されてやる。それだけだ)
Ai(く、クロっち………………)
ハノイ「ふはははは! 生まれ変わった俺のデュエルを見せてくれるわ!」
クロっち「………………」
「「デュエル!」」
327 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/03(日) 23:16:31.62 ID:z4K+Hx+YO
今日はここまで
次回はデュエルパートから
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 23:29:42.10 ID:XQd7v0jdo
乙
ゆりちゃん普通だと思ってたから胸のある方のって言われるとこそばゆいなww
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/04(月) 05:49:49.03 ID:eZ7Dezn20
乙乙
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/04(月) 12:38:58.10 ID:/P/u7q6tO
乙
ゆりちゃんがあるというよりか葵がなさすぎるだけなんじゃ
331 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:03:04.21 ID:wnv4SaN1O
投下します
332 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:04:16.81 ID:wnv4SaN1O
ハノイ「俺のターン!」
クロっち「………………」
Ai(ううっ、始まっちまったか………どうにも不安なんだが………大丈夫か?)
ハノイ(………ふむ、まずは実戦での運試しと行くか)ニヤリ
ハノイ「メインフェイズに移行し、魔法カード、《カップ・オブ・エース》を発動!」バンッ
333 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:05:38.67 ID:wnv4SaN1O
Ai(………………ん?)
ハノイ「その効果で俺はコイントスを行う。表が出れば俺が2枚ドローし、裏が出れば貴様が2枚ドローする!」
クロっち(一か八かのギャンブルカード………こいつ、リアルじゃ遊び人か? いや、どうでもいいけど………)
ハノイ「くくくっ、生まれ変わった俺のドローを見るがいい!」
ハノイ「いくぞ、コイントス!」ピーン
チャリーンッ
334 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:06:47.34 ID:wnv4SaN1O
(表)
ハノイ「出たのは表! よって、俺が2枚ドローする!」ババッ
クロっち(当てやがった………運良いなこいつ)
Ai(………………………………)
ハノイ「はははっ、見たか! 1週間かけて鍛え上げた俺のドローは! 今の俺は、最初のターンのドローだけは絶対に外さん!」
クロっち(………いや、ドローを鍛えるって何だよ。普通に運の問題だろ。つーか、最初のターンだけって、なんかセコイな)
Ai(………まさか)
ハノイ「《インヴェルズの先鋭》を召喚!」バンッ
335 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:08:01.23 ID:wnv4SaN1O
先鋭『ケヒヒッ』ATK1850
シュウウ〜〜〜………………
Ai(!?)
クロっち(ん? なんだこのにおい………)クンクン
Ai(おいおい、こりゃあ………!?)
クロっち(………間違いない。においの元は、あのモンスターだ。だけど、なんでモンスターから、においなんか………?)
ハノイ「カードを5枚セットしてターンエンドだ!」
336 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:09:18.04 ID:wnv4SaN1O
クロっち「………私のターン、ドロー」
クロっち(………においは気になるが、そこまで気にすることもねーか。なら、さっさとデュエルをーーー)
Ai(ーーーなあ、クロっち、話がある)
クロっち(………………なんだよ? 今度はいったい何をーーーーーー)
Ai(あの仮面男、ハノイの騎士だ)
337 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:10:41.29 ID:wnv4SaN1O
クロっち「………はあっ!?」
ハノイ「………どうした、急に? 何かあったのか?」
クロっち「えっ!? あああ、はい、だ、大丈夫………です!」オドオド
ハノイ「………そうか? 若干、声が裏返っているように聞こえるが………」
クロっち「えっ、えーと、それは、そのーーー」
クロっち(お、お、落ち着け私!? ここはひとまずーーー)
クロっち「………実は、その、ちょっと凄いコンボ思いついて、自分にビックリしただけなんで」
ハノイ「………ほう、それは楽しみだな」ニヤリ
クロっち「あ、いや、まだ、できるかどうか考え中なんですけど………私、再開したばかりの素人なんで………ははっ」
クロっち「でも、しばらくすれば、考えもまとまると思うんで、できれば少し時間いいですか………?」
338 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:12:05.32 ID:wnv4SaN1O
ハノイ(………………正直なことを言えば、あまり時間をかけて欲しくはない)
ハノイ(だが、こいつは俺とのデュエルに、しかも今の状況で応じてくれた貴重な相手だ。多少は融通をきかせてやるべきか?)
クロっち「ううっ………………」ブルブル
ハノイ(………そうだ、それにこいつは、どうせ俺に負けて、その後ーーー)
ハノイ(それを考えれば………このくらいの我儘は見逃してやるのが筋か)ウンウン
ハノイ「………構わん。納得いくまで考えるといい」
クロっち「………あ、はい! ありがとうございます! それでは、お言葉に甘えてーーーーーー」
339 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:13:45.40 ID:wnv4SaN1O
クロっち(…………………は、はああ〜〜〜〜、なんとか、誤魔化せた………………!!)
Ai(落ち着いたか?)
クロっち(『落ち着いたか?』じゃねえよ!? いきなり変なこと言うなよ! ビックリしただろうが!)
Ai(わ、悪い………)
クロっち(つーか、何? あの仮面男が、ハノイの? 騎士だって?)
Ai(ああ、そうだ)
もこっち(いや、何で急にそんなことになるんだよ? 意味わかんねーんだけど)
Ai(それは、単純に同じだったからだな)
クロっち(同じだ?)
Ai(ああ、あの仮面男、ハノイの騎士との共通点があるんだよ)
340 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:15:17.35 ID:wnv4SaN1O
クロっち「………………」
Ai(共通点は主に3つ)
Ai(一つ、デュエル中の仕草だ。俺は1週間の情報収集の中、実況動画でプレイメーカーとハノイのデュエルをいくらか見た)
Ai(そして、その中の一人とあの仮面男の仕草が全く同じなんだ。カードを発動したところとか、ドローしたところとか)
Ai(二つ、あの動画のハノイは【インヴェルズ】使いだった。そして、あの仮面男も『インヴェルズ』のモンスターを使っている)
クロっち(………そんなの、ただの偶然じゃねーのか?)
Ai(そして三つ、あの仮面男のモンスターからはハノイの痕跡がある)
341 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:16:23.03 ID:wnv4SaN1O
クロっち(痕跡?)
Ai(ああ、ハノイはデュエルプログラムを持たされるって話したろ?)
クロっち(………ああ、確かデュエル強けりゃ無敵がどうのって話か?)
Ai(そう、それだ)
クロっち(それがどうしたってんだ?)
Ai(そのプログラムを利用してクラッキングを行う場合、持ち主のデッキのモンスターを媒介にする必要があるんだ)
Ai(そのため、プログラムの一部がデッキのモンスターに内蔵された状態になっているわけだがーーーここまで言えば、もうわかんだろ?)
クロっち(………まさかーーー)
Ai(そう、俺にはその痕跡がわかるのさ)
Ai(………あの《インヴェルズの先鋭》には間違いなく、そのプログラムの一部が内蔵されている)
342 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:17:22.35 ID:wnv4SaN1O
先鋭『ケヒヒッ!』
クロっち(なにぃ……!?)
Ai(ああ、間違いない、その痕跡は人間で言うところの『におい』に近いが、それがプンプンしてやがる。お前も既に嗅いでるんじゃないか?)
クロっち「!」(まさか、このにおいはーーー)
Ai(そう、ハノイのデュエルプログラムの『におい』だ)
343 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:18:36.53 ID:wnv4SaN1O
クロっち(なん……だと……!?)
Ai(………あの仮面男は、ハノイの『におい』が出るカードを堂々と使っている)
Ai(その時点で、あの仮面男は自分がハノイの騎士って自白したようなもんなんだよ)
Ai(以上が、あの仮面男がハノイだとする根拠だ。納得したか?)
クロっち(………私をからかってるんじゃないのか? このにおいがハノイの騎士のそれとは限らねーだろ)
クロっち(だいたい、ここは電脳世界なんだから、『におい』の出るカードがあったっておかしくはーーー)
Ai(あのモンスターがそういうカードなら、今頃デュエル中断だな)
クロっち(中…断………?)
Ai(どんな形であれ、デュエルモンスターズのカードにマーキングなんてすれば、それは不正カードとして扱われる)
Ai(そして、不正カードを使った場合、即座にリンクヴレインズのシステムに検知され、いまやってるデュエルは中断されることになる)
Ai(たぶん、リンクヴレインズの利用規約にも同じことが書いてあったと思うぞ?)
344 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:20:30.99 ID:wnv4SaN1O
クロっち(………!)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〔利用規約〕
〔これらのデッキデータを利用した不正行為は絶対にしないでください〕
〔事例:カードに対するマーキング〕
〔マーキングされたカードは、不正カードとして扱われます。使用した場合、自動的にデュエルが中断され、運営まで通報されることになります〕
〔不正カードの使用に対し、運営は然るべき対処をさせて頂きます〕
〔これらのデッキデータを利用した不正行為は絶対にしないでください〕
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
クロっち(ーーー!)
Ai(カードに対する着臭は、お前が読んでたデュエルモンスターズの原作漫画にもあったイカサマだ)
Ai(しかも、『におい』の種類や嗅ぐ人間によっては、嗅がせ続けることで、集中力を削ぐことも可能だ)
Ai(そして、そんな有名で効果的なイカサマを、運営が対策していないと思うか?)
クロっち(………………思わねえ)
Ai(だろ? だったら、カードの着臭が確認できた時点で、不正カード扱いされる。規約通り、デュエル中断、まったなし、だ)
345 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:22:03.03 ID:wnv4SaN1O
Ai(だが、この通り、デュエルは中断されていない。つまり、あのモンスターは、あれだけ『におい』をプンプンさせておきながら、システム的には不正カード扱いされていないってことになる)
Ai(なら、不正カードでないと判断された理由は何か? それは、リンクヴレインズのシステムじゃ、あのモンスターの『におい』を検知できないからだ)
クロっち「……………」
Ai(一定量以上の『におい』が発生していない限りは、リンクヴレインズのシステムに検知されることはない)
Ai(なぜなら、一定量以下の『におい』程度じゃ、人間にはもちろんのこと、機械にだって検知することができないからだ)
Ai(そんな、極々わずかの『におい』を検知できる存在は限られている)
Ai(それができるとすればーーーーーー)
346 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:23:39.20 ID:wnv4SaN1O
Ai(ーーーーーー機械の一部でありながら、人間のような意思を持つことで進化した、俺たちイグニス)
Ai(そして、そのイグニスである俺と感覚を共有しているクロっち)
Ai(そう、今のところ俺たち二人だけだ)
Ai(逆に言えば、それ以外には絶対に検知することはできねえ)
Ai(リンクヴレインズのシステムだろうと、ハノイ当人だろうと、だ)
クロっち「………………………」
Ai(だからこそ、俺たちは『におい』を感じることができる。だからこそ、リンクヴレインズのシステムには検知できず、デュエルが中断されることも無いってわけだ)
347 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:25:10.77 ID:wnv4SaN1O
クロっち「……………………………………………」
Ai(納得したか?)
クロっち(………ふん、もっともらしいこと言ってるが、お前のことだ。私をからかってるに決まってる)
クロっち(どうせリンクヴレインズのシステムにハッキングでもして、デュエルが中断しないようにーーー)
Ai(………なんでお前一人をからかうために、SOL相手にハッキングなんてハイリスクな真似する必要があるんだよ)
Ai(SOLに逆探知されたら終わりじゃねえか。割りに合わねえにも程がある)
クロっち「………………」
Ai(からかうだけなら、もっとリスクの低い方法取るっつーの。はい、論破)
348 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:28:48.34 ID:wnv4SaN1O
クロっち(………じゃあ、お前が私に何かして、この『におい』をでっち上げてるんだ)
クロっち(お前なら私に『におい』を錯覚させるくらいーーー)
Ai(あのな、いくら俺でも嘘の感覚を与えることまではできねえよ)
Ai(できるのは、精々こうして頭の中で会話したり、さっきみたいにアバターの主導権を変更するくらいだ)
Ai(そもそも、嘘の感覚を与えるなんて、ふざけた真似ができるなら、俺と話す度にお前が快楽を感じるようにでもしてる)
クロっち(か、快楽!?)
クロっち(そ、それってつまりーーー)カアアッー
Ai(そんで、今ごろお前は俺の子分だよ、バーカ!)
クロっち(ぐっ、お前ーーー!!)
Ai(それをやっていないことが、俺が嘘をついていない何よりの証拠だろ。こんな風に怒りあったって、デメリットしかねえ)
349 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:31:18.41 ID:wnv4SaN1O
クロっち(〜〜〜〜っ、っ、っ、っ、!!)
Ai(………なんだ、まだ反論があるのか?)
クロっち(〜〜〜〜落ち着け私! ここは冷静にーーー)
クロっち(ーーーやっぱりお前の言っていることはおかしい! あの仮面男がお前の言う通りハノイの騎士なら、何でさっさと私からお前を奪い取ろうとしないんだ!? 確か奴らはお前を血眼になって探してるんだろ!?)
Ai(それは単純に、俺がお前のところにいることが、バレてないからだろうな)
Ai(仮にバレているなら、こんな所でデュエルする前に、逃げられないよう捕獲プログラムで俺たちを拘束するだろうぜ。ハノイにはそれができることを俺は知っている)
クロっち(………マジかよ)
Ai(だが、いま俺たちは、そんなことされていない。つまり、このハノイは強引に俺たちを捕まえる気は無い、イコール俺がここにいることに奴らは気づいていないってわけだ)
クロっち(………じゃあ、何であのハノイは私に接触したんだ?)
Ai(………『デュエルしたい時に、その相手がたまたまお前しかいなかった』としか言いようがねーな)
クロっち(そんな偶然ーーーー)
Ai(俺だって、ありえねーって否定してーよ! だけど、それ以外に考えられないんだよ! それとも、お前は他に何か思いつくのか!? ああん!?)
クロっち(ぐっ、)
350 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:33:37.32 ID:wnv4SaN1O
ハノイ「………………」
Ai(とにかく! この状況でやるべきことはただ一つ、デュエルで勝って逃げる、それのみだ)
クロっち(あ? 何でだよ。さっさと逃げてログアウトすればーーー)
Ai(VR空間において、デュエル中、健康に異常の無い人間が自らログアウトや回線切断を行うことはシステム上できねーよ)
Ai(それに加えて、お互いを知覚可能な範囲から離れることもできない。お前はデュエルモンスターズ保護法がVRシステムに与えた影響を知らねーのか?)
クロっち(し、知らんかった………)
Ai(一応言っておくが、外部に連絡して、自分のVRダイバー外させて強制ログアウトってわけにもいかねーー)
Ai(イカサマ防止のため、デュエル中は、基本的に通信を行えないシステムになってるからな)
Ai(例外は、健康に異常がある時か、通報する時くらいだ)
クロっち「………………」
351 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:35:34.19 ID:wnv4SaN1O
Ai(そんで通報しようとすれば、目の前のハノイは確実にクロっちを警戒して、その真意を確かめようとするだろうな)
クロっち「!」
Ai(そうなりゃ、俺たちは通報する前に拘束されて、強制的に向こうの電脳空間に連れ去られるのがオチだ)
Ai(そんでココ来る前にも言ったが、俺が形を保っていられる電脳空間は、クロっちのPC、デュエルディスク、リンクヴレインズの3つだけだ)
Ai(向こうの電脳空間に連れ去られたら、その時点で俺は壊れるし、一体化したクロっちの意識データも同様に壊れる)
クロっち「………………っ、!?」
Ai(………絶対に通報するなよ。死にたくないんだったらな)
352 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:36:53.83 ID:wnv4SaN1O
クロっち(………さっきから随分と頭が回るもんだな。簡単なスペルミスやらかしていた奴のセリフとは思えねえが………)
Ai(そりゃ俺だって、伊達に何年も逃亡生活していたわけじゃないんでね。本気出せば、この程度の計算くらい普通にやれるっつーの)
Ai(………頼れる相手がいれば、もっと楽できただろうが、ご覧の有様だからな………本気出すしか道はねーのよ)
クロっち(………はっ、こんなことなら、悪戯メールなんか恐れないで、さっさとお前をウイルスとして通報しとくんだったな………)
353 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:38:52.64 ID:wnv4SaN1O
Ai(………それやった場合、お前の記憶、機密保持のために根こそぎ奪われるぞ?)イラッ
クロっち(………はっ? 何だよそれ、どういうことだよ!?)
Ai(どういうこともなにも、ハノイやSOLの情報網は相当なものだからな。専門機関にイグニスらしき情報が来た場合、即座に嗅ぎつけられるに決まってる)
クロっち(いや、そうじゃなくて、何で私の記憶をーーー)
Ai(あのな、あいつらはそのくらい平気でするぞ?)
Ai(実際、ハノイの被害者の中には、記憶を根こそぎ奪われて廃人化した奴がいる。お前もネットニュースとかで見たんじゃねーか?)
354 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:42:38.46 ID:wnv4SaN1O
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【ハノイ被害者、未だに目を覚まさず。記憶データの奪取が原因か】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
クロっち(あっ………)
Ai(SOLだって、通告無しに大規模スキャンやらかして、利用者全員を危険に晒すくらいには、人権を踏みにじれる)
Ai(機密を守るためなら、記憶を根こそぎ奪うくらい普通にやってのける連中だと思うけどな?)
クロっち「………………」
Ai(そんで産まれてから今に至るまでの記憶を根こそぎ奪われてみろ、お前も廃人コース確定だ。それでも通報したかったか?)
355 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:44:20.28 ID:wnv4SaN1O
クロっち(………………逃げられないことは、わかった………)
Ai(そりゃどーも、説明の甲斐あって何よりだ)
クロっち(………だが、それが何で、あのハノイに勝たなくちゃいけない理由になるんだ? 理由つけてデュエル中止を頼めばーーー)
Ai(そりゃ無理だ。デュエル中止を頼んだら、頼んだ側が敗者扱いになる)
クロっち(いや、別に敗者になったってーーー)
Ai(………俺たちが敗者になれば、俺がお前の端末にいることがハノイにバレる)
クロっち(………なんで、そうなるんだ)
356 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:45:16.80 ID:wnv4SaN1O
ハノイ(長いな………いったい、いつになったら考えがまとまるのだ?)
Ai(前にも説明したが、ハノイはデュエルで勝てば、どんなセキュリティでも突破できるプログラムを持っている)
Ai(そして、ハノイは大規模スキャンの時、デュエルで勝った相手に何をしたかーーーここまで言えばわかんだろ?)
クロっち(………デュエルで負けたら、記憶を、奪われ、るーーー)
Ai(そういうこった)
ハノイ(他の連中もこういう輩と戦っているのだろうか………無論、全力でやってはいるのだろうがーーー)
357 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:46:39.75 ID:wnv4SaN1O
Ai(もちろん、最初は騒ぎにならないように記憶を覗き見る程度で済ます可能性はあるが、その内容を知ったが最後、機密保持のために間違いなく全ての記憶を奪うだろうな)
クロっち(………でも、あの仮面男、ただデュエルしたいだけみたいだがーーー)
Ai(現在、ハノイの奴らは俺に関する情報が欲しくて欲しくてたまらないはずだ。だったら、どんなに可能性が小さくても、やることはやる)
Ai(なら、たとえ勤務時間外であっても、デュエルには全力で取り組み、勝ったら記憶データを覗き見て俺の情報が無いか探させるぐらいするさ。そう命令されているに決まってる)
Ai(デュエルで勝った時、セキュリティはプログラムで自動的に機能停止状態にできるんだ。ならその機会を逃す手はねーー)
ハノイ「………………………」
358 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:49:45.41 ID:wnv4SaN1O
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハノイ「ぬっ、これは………!」ピッ
ハノイA「おっ、上からの通達か」ピッ
ハノイB「どれどれ………なんだ、大した話じゃないな」ピッ
ハノイ「………………」
〔3つの通達〕
〔以下の内容は、勤務時間に関わらず実行するものとする〕
〔@ デュエルプログラムを有する構成員は、必ずプログラムをデッキに内蔵すること〕
〔A @の状態でデュエルを行い勝利した場合、相手の脳内にイグニスの情報が存在するか否か、プログラムを用いて確認すること〕
〔B 対象に情報が存在する場合、その者の記憶データを全て奪取し、必ず直属の上司に提出すること〕
〔以上の3つを成し得た者は、ハノイの名において、栄光の未来が約束されるだろう〕
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハノイ(………こんな、困った奴の記憶まで覗かねばならんとは………因果な商売だ)
359 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:51:12.20 ID:wnv4SaN1O
Ai(ーーー負けたらどうなるか、俺とお前の関係がハノイにバレたらどうなるか、さっきも言った通りだ)
クロっち「………………」
Ai(以上のことから、今の状況を切る抜けるには………)
クロっち(勝って、この場を去るしかない………)
Ai(そういうこった。しかも、相手は明らかにプライベートのデュエルで、プログラムをデッキに組み込んでいる)
Ai(そこから察するに、向こうは上から認められた相応の実力者。舐めてかかれば、間違いなく負ける)
クロっち(っ………!)
360 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:52:16.58 ID:wnv4SaN1O
Ai(わかったなら全力でやるぞ。でないと俺たちは終わりだ………くそったれ!)
クロっち(マジかよ………そんなの、そんなのって………)
ハノイ「あーー、そろそろ大丈夫か? いや、前言を撤回するつもりはないがーーー」
クロっち「………あっ、はいっ、ただいま!」
Ai(怯えてる暇はねーぞ、クロっち! 今はデュエルに集中だ!)
クロっち(う、ううっ………わかったよ! やってやるよ、やってやるよ、チクショウが!)
361 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 20:54:39.92 ID:wnv4SaN1O
今はここまで
362 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:02:43.80 ID:z1iRh4d0O
クロっち「わ、私はメインフェイズに移行しーーー」
Ai(クロっち、このカードを使え!)
クロっち(わかってるよ!)
クロっち「まずは、カードを1枚セット!」
クロっち「そして、速攻魔法、《ダブル・サイクロン》を発動! 私と相手の場の魔法・罠カードを1枚ずつ選択して破壊する!」
クロっち「お互いの伏せカード1枚を破壊!」
363 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:03:55.56 ID:z1iRh4d0O
ハノイ(ようやく動いたか………ならば、ここはーーー)
ハノイ「俺はそれにチェーンして、対象にされた伏せカードを発動! 《相乗り》!」
クロっち「!」
ハノイ「逆順処理だ。まずは《相乗り》の効果が処理される。このターン、相手がドロー以外でデッキまたは墓地からカードを手札に加えるたびに、俺はカードを1枚ドローする」
ハノイ「そして、最後に《ダブル・サイクロン》の効果で《相乗り》が破壊されるが、何ら痛手ではない」
バリーンッバリーンッ!!
364 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:05:00.54 ID:z1iRh4d0O
Ai(ちっ、《相乗り》たあ、厄介なカード使いやがるぜ)
クロっち「………だが、私の方で破壊されたカードは《おジャマジック》! その効果でデッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」
ハノイ「この瞬間、《相乗り》の効果が適用される! 1枚ドロー!」
クロっち「手札くらいくれてやる! 私はーーー」
Ai(おい、クロっち! 次はこのカードをーーー)
クロっち(わーってるよ! 言われなくとも取るプレイングくらいは判断できっから、いちいち言うな!)
Ai(むっ………ああそう? なら基本任せっけど、変なプレイングかまそうとしたら止めるからな?)
クロっち(………勝手にしろ!)「《おジャマ・ブラック》を召喚!」
365 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:06:46.54 ID:z1iRh4d0O
ブラック『ホワーッ!』ATK0
クロっち「さらに、通常モンスター、《おジャマ・ブラック》を墓地に送ることで魔法カード、《馬の骨の対価》を発動!」
ブラック『ホビャアー!?』ヒューン
クロっち「その効果で、デッキからカードを2枚ドローする!」
クロっち「そして、魔法カード、《融合》を発動!」
クロっち「手札の通常モンスター、《おジャマ・イエロー》と《おジャマ・グリーン》を融合!」
クロっち「融合召喚! 来い、《始祖竜ワイアーム》!」
366 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:08:24.00 ID:z1iRh4d0O
ワイアーム『ギャオオッ!』ATK2700
ハノイ「ふん、厄介なカードを………」
クロっち「さらに、魔法カード、《融合回s」Ai(ちょっと待て!!)
クロっち(うおおっ!? ………今度は何だ!?)
Ai(驚かせて悪いな、だが言わなきゃいけないことがあるぜ!)
クロっち(ああっ? なんだよそりゃ! プレミでもあったってのか!?)
Ai(おう、そうだな)
クロっち(………一応聞くが、どの辺がだ?)
Ai(だってお前さっき《融合回収》発動しようとしたじゃん)
クロっち(それがどうした?)
Ai(どうもこうもねえよ! そんなことしたら、《相乗り》でドローされちまうだろうが! それよりも、まず《打ち出の小槌》で手札の入れ替えをーーー)
クロっち(んなことは言われなくともわかってるわ!)
367 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:11:02.93 ID:z1iRh4d0O
Ai(ああ? だったら何でーーー)
クロっち(考えてもみろ! 今の段階で《打ち出の小槌》使っても、ドローできるのは3枚だけだぞ!)
クロっち(そんな手札じゃ、このターン中に奴を倒せねえだろうが!)
Ai(このターン中………? お前まさかハノイ相手にワンキルしかけるつもりか!? そんな無謀な真似ーーー)
クロっち(………逆だ逆。長期戦の方が無謀だろ)
Ai(えっ?)
クロっち(………いいか、今は攻められるチャンスなんだ)
クロっち(こっちは、デュエルの経験に乏しい素人! デッキも無料ダウンロードした無改造ファンデッキに過ぎない!)
クロっち(それに対して、向こうは、デュエルプログラムを『貰えている』ほどの実力者! 使ってるデッキも魔改造されたガチモンに決まってる!)
クロっち(その条件で、こっちが勝ちを狙うとしたら、地力の差の出づらい短期決戦が一番だろ!)
368 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:12:35.55 ID:z1iRh4d0O
Ai(い、言われてみれば確かに………)
クロっち(だったら、ドローされること覚悟で突っ走るっきゃねえだろ? 計算すんなら、こっちの実力も勘定に入れてからにしな!)
Ai(むっ、………むむう………!)ムカッ
クロっち(………ちっ、とにかくデュエルは続けさせて貰う。この話はこれで終わりな、いいな?)
Ai(〜〜〜〜っ、)
ハノイ「………………」
クロっち「改めて魔法カード、《融合回収》を発動!」
369 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:13:55.20 ID:z1iRh4d0O
クロっち「融合素材にされた《おジャマ・イエロー》と《融合》を墓地から手札に加える!」
ハノイ「………《相乗り》の効果で2枚ドロー!」
クロっち「魔法カード、《闇の量産工場》を発動!」
クロっち「墓地の通常モンスター、《おジャマ・グリーン》と《おジャマ・ブラック》を手札に加える!」
ハノイ「《相乗り》の効果で1枚ドロー!」
クロっち「手札から《サンダー・ドラゴン》を捨てて、その効果を発動! デッキから《サンダー・ドラゴン》2体を手札に加える!」
ハノイ「《相乗り》の効果で1枚ドロー!」
クロっち「魔法カード発動、《打ち出の小槌》!」
クロっち「その効果で、手札6枚をデッキに戻し、6枚ドロー!」
370 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:15:58.44 ID:z1iRh4d0O
ハノイ「………なるほどな。サーチや回収で増やした手札を、そうやって別のカードに変換し、プレイングの幅を広げるというわけか。長時間考えただけはある」ニヤリ
クロっち(余裕こいているのも今の内だ………)「速攻魔法、《手札断殺》を発動! お互いに手札2枚を墓地に送ることで2枚ドローする!」
クロっち「私は残り2枚の《おジャマジック》を墓地に送ることで、2枚ドロー!」
ハノイ「ならば、俺は《クリッター》と《リビングデッドの呼び声》を墓地に送ることで、2枚ドローだ」
クロっち「この瞬間、墓地に送られた2枚の《おジャマジック》の効果発動!」
クロっち「それぞれの効果で、デッキから、おジャマ三兄弟を二組手札に加える!」
ハノイ「《相乗り》の効果で2枚ドロー!」
クロっち「そして、魔法カード、《手札抹殺》発動!」
クロっち「その効果で、お互いに手札を全て捨てて、その枚数分ドローする!」
クロっち「私は手札を10枚捨てることで、10枚ドロー!」
371 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:17:34.73 ID:z1iRh4d0O
ハノイ「ほおう、まさか10枚もの手札交換とはな………俺は7枚捨てて7枚ドロー!」
ハノイ「そして、この瞬間、墓地に捨てられた《暗黒界の狩人 ブラウ》の効果発動!」
クロっち「!?」
ハノイ「このカードがカードの効果で捨てられた時、デッキからカードを1枚ドローする!」
ハノイ「また、相手のカード効果で捨てられたため、さらに1枚ドローする!」
372 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:19:14.73 ID:z1iRh4d0O
クロっち(………余計に手札を増やされちまったか………まあいい、このターンで倒すなら関係ない」
クロっち(………それよりも、向こうの墓地に送られたカードは、っと)ピッ
ハノイ「………」ピッ
ハノイ(………《光の護封霊剣》が落ちたか。厄介なカードを………)
クロっち(………ダメだ。『インヴェルズ』モンスターの効果が全くわからん………!)
クロっち(くそっ、これならもっといろんなデュエル動画観とくんだったな………っ、)
373 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:22:10.72 ID:z1iRh4d0O
Ai(………安心しろ、攻撃を防ぐ類のカードは落ちていない)
クロっち(………ああ? そうなのか?)
Ai(そもそも、『インヴェルズ』モンスターに墓地から攻撃を防ぐようなカードなんかねーよ。だから安心して攻撃するこった)
クロっち(そうかよ………)「魔法カード発動、《貪欲な壺》!」
クロっち「その効果で、墓地のおジャマ三兄弟と《サンダー・ドラゴン》《ハネワタ》の計5体をデッキに戻して2枚ドロー!」
クロっち「まだだ! ドローし直した《サンダー・ドラゴン》を捨てて、その効果を発動!」
クロっち「デッキから2体の《サンダー・ドラゴン》を手札に加える!」
ハノイ「《相乗り》の効果で1枚ドロー!」
クロっち「さらに、2枚目の《手札断殺》を発動!」
クロっち「その効果で、《サンダー・ドラゴン》2体を墓地に送り、2枚ドロー! 」
ハノイ「ならば、俺は《インヴェルズ・ギラファ》と2体目の《クリッター》を墓地に送ることで、2枚ドローだ!」
374 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:23:48.77 ID:z1iRh4d0O
クロっち(………さーて、ドローカードは………)チラッ
つ《Cークラッシュ・ワイバーン》《貪欲な瓶》
クロっち(〜〜〜〜っ、結局、このターン中に倒すのは無理か………?)
Ai(おい、何ボケーッとしてんだ! さっさと勝って逃げようぜ!)
クロっち(ああっ? 何言ってんだお前? この手札で、どうやって勝つんだ?)
Ai(そっちこそ何言ってんだ? 手札のーーーーーーーーーーとーーーーーーーーーを発動するだけでーーーを出せて、その攻撃力はそれぞれーーーーになって、向こうの攻撃力はーーになって、後はーーーとワイアームで総攻撃するだけでーーー)
Ai(ーーーほら、こっちの勝ちじゃねえか!)
クロっち(いや、だから何で、相手の攻撃力が大幅に下がる前提なんだよ。そうと決まったわけじゃないだろ?)
Ai(………あのなー、いいか? 『インヴェルズ』ってのはな………………先鋭ってのはなーーーーーー)
375 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:26:05.89 ID:z1iRh4d0O
クロっち(………!? 何だよ! それならそうと早く言えよ!)
Ai(そのくらい言われなくても知っとけっつーの! 比較的有名なカテゴリーの有名な特徴なんだからよ!)
クロっち(うるせえよ! 私があのテーマで知ってるのは、昔流行ったカードガチャのテーマってことだけ ………って、あ)
ハノイ(………また長考か)ジーッ
クロっち(………〜〜わかったよ、お前の言った通りやってやる!)
Ai(ん? そうか? なら、さっそくーーー)
クロっち(わかってるっつってんだろ!)「私はフィールド魔法、《おジャマ・カントリー》を発動!」
376 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:27:13.20 ID:z1iRh4d0O
アハハ………
ウヒヒ………
エヘヘ………
ハノイ「………………」
クロっち「さらに、魔法カード、《トライワイトゾーン》を発動! 墓地からレベル2以下の通常モンスター3体を特殊召喚する!」
クロっち「来い、おジャマ三兄弟!」
イエロー&グリーン&ブラック『『『ドモー!!』』』ATK0 ×3
クロっち「この瞬間、《おジャマ・カントリー》の効果適用!」
クロっち「場に『おジャマ』モンスターが存在する時、場のモンスター全ての元々の攻守は入れ替わる!」
377 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:29:02.37 ID:z1iRh4d0O
ワイアーム『………』ATK2700→2000
イエロー『アチョーッ』ATK0→1000
グリーン『トヤーッ』ATK0→1000
ブラック『ホイサーッ』ATK0→1000
先鋭『ケッ………ケヒッ?』ATK1850→0
ハノイ「………攻撃力ゼロだと!?」
Ai(そう、『インヴェルズ』モンスターは、一部を除けば、みんな守備力ゼロ! 攻守が逆転すれば、戦闘破壊も容易になる!)
クロっち(………そして、こいつが言うには、《インヴェルズの先鋭》には墓地に送られた時、場の融合・シンクロ・儀式モンスター1体を選択して破壊する効果があるらしいがーーー)
クロっち(ーーー《始祖竜ワイアーム》はモンスター効果を受けないため、破壊されない)
Ai(だから、相手の伏せカードの中に《インヴェルズの先鋭》を墓地に送るカードがあったとしても、《始祖竜ワイアーム》の攻撃を止めることはできねえ!)
378 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:30:22.63 ID:z1iRh4d0O
Ai(どーよ! 俺様が学習した知識から生み出された、この素敵アイデアは!)
クロっち(ちっ、)
ハノイ「なるほどな、こうきたか………!」
クロっち「………メインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行!」
クロっち「バトル! 私は《始祖竜ワイアーム》で《インヴェルズの先鋭》を攻撃し、おジャマ三兄弟でダイレクトアタック!」
Ai(よし、これでこっちの勝ちだ!)
クロっち(あっ、バカ!?)
ハノイ「甘いわ! 手札の《インヴェルズの歩哨》を捨てることで、罠カード、《レインボー・ライフ》を発動!」
379 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/04(月) 22:33:01.99 ID:z1iRh4d0O
今日はここまで
前半は、デュエルと直接関係ない台詞ばかりで申し訳ない
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 00:06:23.23 ID:IxsxXFIQo
乙
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 01:14:39.55 ID:K04jgMe1o
乙
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 11:22:32.10 ID:3ud1+W3f0
乙乙
383 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/06(水) 19:26:43.17 ID:11Qmim7bO
Ai(だが、この通り、デュエルは中断されていない。つまり、あのモンスターは、あれだけ『におい』をプンプンさせておきながら、システム的には不正カード扱いされていないってことになる)
Ai(なら、不正カードでないと判断された理由は何か? それは、リンクヴレインズのシステムじゃ、あのモンスターの『におい』を検知できないからだ)
クロっち「……………」
Ai(一定量以上の『におい』が発生していない限りは、リンクヴレインズのシステムに検知されることはない)
Ai(なぜなら、一定量未満の『におい』程度じゃ、人間にはもちろんのこと、機械にだって検知することができないからだ)
Ai(そんな、極々わずかの『におい』を検知できる存在は限られている)
Ai(それができるとすればーーーーーー)
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