池袋晶葉「逆比の山」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:24:14.11 ID:3rYGb7tFO

モバマス・池袋晶葉メインのSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1527337454
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:27:11.23 ID:3rYGb7tFO


〜晶葉のラボ〜


晶葉「君の願いを叶えるに当たって、三つの問題がある」

「・・・はい」

 
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:41:35.56 ID:3rYGb7tFO


晶葉「まず一つ目だ」

晶葉「仮にこの宇宙が一兆個の原子で構成されているとしよう」

晶葉「これらの原子の運動を一つ一つ詳細に解析しようとすれば、最低でも一兆個の記憶素子が必要となる」

「それってつまり、運動と同じ大きさのコンピュータが必要になる、ということですか?」

晶葉「然り、実際は運動を解析する演算装置も必要となるので一兆ではまるで足りない」

「宇宙よりも大きなコンピュータか・・・」

晶葉「なので、いくつかの原子をグループ分けしておいて、ある程度簡略化したシミュレーションを行うのが現実的な手法だろう」

「でも、簡略化すると誤差がでますよね?」

晶葉「ああ、そうだ。天気予報が外れるのは、この簡略化による誤差が原因の一つだ」

晶葉「気象のメカニズムが解明されても、原子一つ一つを把握出来るわけではないからな」

晶葉「これがまた如何ともしがたい壁であり、一つ目の問題だ」

 
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:43:44.13 ID:3rYGb7tFO


晶葉「では二つ目だ」


晶葉「君は『一般相対性理論』がどんなものか、説明できるかな?」

「・・・いえ・・・まったく・・・」

晶葉「『ファン・デル・ワールス力』についてはどうかな?」

「高校の物理で習ったような・・・」

晶葉「病院の精密検査に使われるMRI・・・『核磁気共鳴画像法』の原理は?」

「・・・さっっっぱりです」

晶葉「だろうな・・・」

晶葉「人間は、様々な物理法則を発見し、解明し、証明し、それを利用して様々な技術を開発してきた」

晶葉「我々が当たり前に使っている家電や携帯電話・・・」

晶葉「そんな一般的なものでも、私でさえ到底理解が追いつかないほど高度な技術が満載だ」

晶葉「専門の研究機関が使用する機材ともなれば言わずもがな・・・だ」

晶葉「しかしながら・・・」


晶葉「それほど高度な理論・技術を総動員しても、なお・・・」



晶葉「宇宙の全てを解明するには至っていない」



「・・・ええ、そりゃあと百年かけても無理でしょ」

晶葉「うむ、たとえ先述の一つ目の問題をクリアしたところで」

晶葉「『なぜそうなるのか?』を理解していなければシミュレーションなど出来ない」

「因果関係・・・その立証が必要であると?」

晶葉「然り・・・」

 
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:48:14.16 ID:3rYGb7tFO


晶葉「では最後の三つ目」


晶葉「また、いくつか君に質問をしよう」

晶葉「今、西暦何年の何月何日、何時何分何秒で地球は何度回った?」

「・・・えっと・・・」

晶葉「今、私と君は何ミリ離れている?」

晶葉「今、千川ちひろはどこにいる?私の助手はどこにいる?棟方愛海はなにをしている?」

「愛海はレッスン中のはずですけど・・・他は把握できてないですね」

晶葉「そうだろうな・・・人間一人が把握できる情報量など所詮は少ないものだ」

晶葉「大所帯とは言え自分が所属する事務所のことでさえこれだ」

晶葉「ましてや宇宙などという規模ならあらゆる観測機械を駆使しても」

晶葉「現状把握さえままならない」

「ははあ・・・なるほど。シミュレーションを行うにしても」

「まず、『今、どんな状態なのか?』がわからなければどうにもならないと?」

晶葉「いかにも。加えて、仮に把握できたとしてもその膨大な情報量をコンピュータに入力するだけで洒落にならないほどの時間がかかる」

晶葉「これが三つ目の問題というわけだ」

 
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:50:58.14 ID:3rYGb7tFO


晶葉「君は私にこう言ったな」



晶葉「未来を、予知したい・・・と」

「・・・はい」

晶葉「残念ながら私からの回答は・・・」



晶葉「以上の三つの問題点から、それは不可能である・・・だ」



「池袋博士であっても・・・ですか?」

晶葉「ああ、たとえ私であっても・・・だ」

晶葉「しかし、この三つの問題はヒントにも成り得る」

「・・・・・・はっ!?」


「つまり・・・『演算装置の性能』、『因果関係の解明』、そして『精確な現在のデータ』」

「これらを理想に近づけるほど、限りなく『予知に近い予測』が可能であると!?」


晶葉「そう、そういうことだ」

晶葉「その三つのうち一つだけ、私が協力できることがある」

「本当ですか!?」

晶葉「ああ・・・ウサちゃんロボよ、来てくれ」

ウサちゃんロボ「ウサ!!」

晶葉「説明しよう、この子は3Dスキャン機能を搭載している」

晶葉「細かい原理の説明は省くが、要するにこの子が見たものを立体的に解析して」

晶葉「グラフィックとして表示する、というものだ」

「おおっ!それなら極めて精度の高いデータを得られますね!」

「その機能の使い方は?」

晶葉「それは簡単だ、口頭で伝えればいい。こんな風にな」

晶葉「ウサちゃんロボよ、3Dスキャン開始。対象は私だ」

ウサちゃんロボ「ウサ!」キュイーン!

晶葉「そして解析結果はこのようにウサちゃんロボの顔の部分に表示される」

「す、すごいですね!お借りしてもよろしいですか!?」

 
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:52:29.69 ID:3rYGb7tFO


晶葉「ああ、許可しよう。ただし・・・ひとつ、質問に答えてもらおう」



晶葉「これは本当に、より良いプロデュースに必要なことなのか?」



晶葉「棟方愛海のプロデューサー・・・棟方Pよ」



棟方P「もちろんですッ!!!」



晶葉「ふむ、いい返事だ。信用しよう」

晶葉「ではウサちゃんロボよ、彼に協力してやってくれ」

ウサちゃんロボ「ウサ!」

棟方P「ありがとうございます!」

棟方P「それじゃあ失礼しますね!」

ガチャ!バタン!

晶葉「行ったか・・・」

晶葉(さて、今日の予定は助手との打ち合わせだが、まだ時間が余っているな)

晶葉(談話室で本でも読むとするか)

 
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 21:57:31.75 ID:3rYGb7tFO


〜会議室〜


棟方P「というわけで、池袋博士に聞いてきたぞ」

愛海「ふ〜ん、なるほど」

愛海「『演算装置の性能』、『因果関係の解明』、『精確な現在のデータ』・・・か・・・」

棟方P「なあ、聞いてもいいか?なんでまた突然、未来を予知したいなんて言い出したんだ?」

愛海「うん、それはね・・・」

愛海「今まであたしはさ、たくさんのお山を愛してきたわけじゃん?」

愛海「その経験は、それはそれは素晴らしいものだったよ?」

愛海「でも、本当にそれだけでいいのかな?って思ってさ」

愛海「本当に、『今』までのままで・・・いいのかな?・・・って」


棟方P「『今』まで?・・・『今』?」

棟方P「・・・・・・ハッ!!?」


愛海「さすがあたしのプロデューサーだね、気付いてくれた?」

愛海「『過去』も、『今』も・・・そして『未来』まで含めたお山を愛してこそ・・・」

愛海「本物の登山家なんじゃないかってね!!」

棟方P「ああ・・・ああ!!それでこそ俺がスカウトしたアイドルだ!!」

棟方P「つまり今回の趣向は・・・」



愛海「お山がどのように成長するのかを予測し、愛でる!!!」



棟方P「素晴らしい!・・・いや、だが・・・」

棟方P「『精確な現在のデータ』の問題は解決できたとして、まだ二つも課題が・・・」

愛海「ちっちっちっ!あたしを舐めないでもらいたいな」

愛海「古今東西あらゆるお山を体験してきた私が、なんの用意もしていないとでも?」

愛海「お山のサイズだけじゃなく、年齢、身長、体重、生活習慣、親姉妹の特徴、遺伝的形質、成長率の推移」

愛海「その他諸々のデータを頭の中にインプットしてきたのさ」

愛海「そこから法則性を導き出せば・・・」

棟方P「『因果関係の解明』・・・!」

愛海「さらにあたしのお山への愛と執念を加えれば・・・?」

棟方P「『演算装置の性能』も解決だな!!」

愛海「それじゃ早速シミュレーション開始だよ!」

 
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 22:02:13.52 ID:3rYGb7tFO


愛海「記念すべき被験者一号は、アドバイスとウサちゃんロボに敬意を表して・・・・・・」

棟方P「ドゥルルルルルルル・・・ジャン!!!」



愛海「池袋晶葉博士だぁぁぁ!!!」

棟方P「YEAAAH!!!」



愛海「丁度ウサちゃんロボに3Dデータも残ってるし一石二鳥!」

棟方P「さあさあさあさあ!聞かせてくれよ!博士の未来のお山!その性能とやらを!」

愛海「あたしの脳内での厳正な審査の結果!晶葉ちゃんが到達するであろう頂は!」

愛海「スレンダー美乳!!!」

愛海「この可能性が一番高いと思うね!」

棟方P「ああ納得だ!・・・いや待て!こんなにもすぐに結論を出していいのか!?」

棟方P「もっと他の可能性も・・・」

愛海「待った待った!言いたいことはわかるよ?でもね、あたしはこう言ったよね?」

愛海「予測し、愛でる」

棟方P「愛でる?だが、想像上のお山に触れることは・・・」

愛海「そう、さすがのあたしでもそれは触れられない」

愛海「だから今回は!そこに至ることで何が起こるのか?それを想像してみるの!」

棟方P「どういうことだ!?」

愛海「つまりは、こう!」

 
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/26(土) 22:03:41.82 ID:3rYGb7tFO
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