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相棒×聲の形「灯台下暗し」
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251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:02:47.13 ID:5sCMbn110
青木「残念ながら回収出来ませんでした」
冠城「はあ?何で?」
青木「それらしい池を見付ける事は出来ました。しかし、そんなものなかったんですよ」
冠城「ど、どうしてだよ?」
青木「こっちが聞きたいですよ……」
「本当にその石田とかいう少年は、学校の池にノートを捨てたと言ったんですか?」
冠城「あぁ、間違いない」
青木「だとしたら、騙されたんじゃありませんかね?」
冠城「とか言って、ホントはちゃんと確認しなかったんじゃないのか?」
疑いを掛ける冠城に対し、青木は何も分かっていない奴を見るような目でこう返した。
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:03:59.14 ID:5sCMbn110
青木「あのですね……あの池は、それなりに深さはありましたが、かと言って底が見えない程でもありませんでした」
「ノートなんか沈んでたら分かりますよ」
「まあ……仮にあったところで、証拠隠滅の為に学校が処分したと思いますよ」
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:04:55.35 ID:5sCMbn110
「なんせあの学校、腐ってますからね」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:08:32.71 ID:5sCMbn110
冠城「腐っている?」
青木「えぇ……あのクラスの様子を見てすぐ分かりましたよ」
「クラスの担任は西宮硝子の授業を生徒に丸投げ、あのクラスのガキんちょはその事で西宮硝子に八つ当たり」
「それでもって周りの連中はガン無視決め込んで、ケラケラ笑って陰口叩く始末……」
「挙句の果てに、校長は僕をあっさり通す無能ときた」
「何とまあ、ド低能なこと!」
「これを腐っているといわずに何と言いますか?」
冠城「……………」
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:09:55.70 ID:5sCMbn110
青木「けど、何処の学校もこんなものなんでしょうね」
「自分達の失敗を怒られるのが怖いから、知らん振りを決め込んで……」
「いざ咎められそうになれば、いじめた奴に全部擦り付けて自分達だけはのうのうと仕事を続けていく……」
「子供連中も、そんな奴らの背中を見て、真似をして……そして汚い大人に育っていく」
「まるで犯罪者育成教室……う〇こだ!」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:10:23.32 ID:5sCMbn110
「そして、こんなう〇こどもを満足に掃除出来ず、日本中にゴロゴロさせている警察はもっとう〇こですよ」
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:13:24.78 ID:5sCMbn110
冠城「…………」
普段なら反論するところであったが、今回冠城は珍しく青木の言い分を真面目に聞いていた。
警察嫌いの青木の事だ、学校問題にかこつけて警察の事を叩きたかっただけなのかもしれない……
だが、言っている事自体は割と的を得ていた。
この日本には今回のような事件が起きた学校は、数が知れないだろう。
それらちゃんと解決出来ているのか聞かれると……
それは出来ているとは胸を張って言えない。
学校内のいじめは、限られた空間内で行われている。
それが故に、警察が気付くのに遅れ、そして気付いた時には既に内密に処理された後であることが大半だ。
今、こうしている間も、何処か別の学校でも同じ事が起こり、その真実が闇に葬られ続けているに違いない。
この問題で一番罪深いのは、ある意味日本警察なのかもしれない……
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:13:58.95 ID:5sCMbn110
そう思った時、ふと冠城は昨日の右京の表情を思い出した。
石田の話しを聞いて何を感じたのかと問い掛けた際に見せた、あの真剣な表情が……
恐らく……いや、間違いなく彼も分かっている。
今回の問題は、水門小学校に限った事ではないことを……
他の学校の過ちを裁けず、野放しにしてしまっている日本警察の現状を……
今この瞬間、冠城は自分達が今回の件に関わるのがいかに大事なことであるのかを再認識させられた。
そして「まさか……お前にその事を教えられるなんてな………」とボソリと呟く。
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:15:40.51 ID:5sCMbn110
青木「何か言いました?」
冠城「ん?あぁ……」
「『ノートがなくても、これくらいあれば充分だ』ってな」
と言って誤魔化す冠城。誤魔化しと知らないまま、
青木は「それは良かった。また行って探して来いと言われたら、どうしようかと思いましたよ」
と言ってみせた。
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:16:46.71 ID:5sCMbn110
青木「という訳で、僕はこれで……」
冠城「おいおい……せっかくここまで来たんだし、一杯くらい飲んでけよ」
「ここのコーヒー、美味しいぞ?」
青木「お断りします。休みと言えども暇ではないんで……」
冠城の誘いを突っぱねると、青木は席を立って足早に帰っていった。
そんな彼の後ろ姿を見送ると、冠城は静かにまだカップに残ったコーヒーに口を付ける。
その後、飲み終え、会計を済ませると、『ある場所』へと向かって行った。
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:18:20.17 ID:5sCMbn110
所変わって水門市のとある交番……
今この場所で、1人の男性が勤務に当たっていた。
一昨日、特命係から警察手帳を返された伍堂刑事だ。
???「失礼します……」
伍堂刑事「ん?」
その際中、外から声がしたもので振り返ってみると、そこには右京が立っていた。
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:19:34.91 ID:5sCMbn110
ミスりました……
×その際中〜 → 〇その時〜
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:20:20.12 ID:5sCMbn110
右京「本部に問い合わせたところ、謹慎処分が解かれ、復帰したと聞きましてねぇ………」
伍堂刑事「あなたは……杉下さん?」
冠城「伍堂さーん……あ!右京さんも来てましたか」
そこへ冠城もやって来る。
彼も同様の手段で、伍堂刑事がここにいる事を突き止めたのだろう。
一方、伍堂刑事は冠城までまだここにいる事に驚く。
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:22:21.60 ID:5sCMbn110
伍堂刑事「冠城さんまで……一体、どうしたんですか?僕はてっきり、本庁に帰られたものかと……」
冠城「そうしたかったんですが、色々と野暮用が出来ちゃったもので……」
右京「冠城君、そちらはどうでしたか?」
冠城「青木の奴、上手くやってくれました」
「ただ、ノートは池にはなかったって言うんですよ……」
「アイツは、学校が処分したんじゃないかって言ってましたけど……」
右京「そうですか…では、今回集めた物だけで何とかしましょう」
冠城「そう言えば、そちらは目的のもの、手に入ったんですか?」
右京「えぇ……修理可能か確かめる為、いとさんがまだ保管してくれていました」
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:25:21.72 ID:5sCMbn110
伍堂刑事「あ、あの……何の話をしてるので?」
右京「おっとこれは失礼……」
冠城「実は、あなたに見て欲しいものがあるんです」
伍堂刑事「見て欲しいものって?」
冠城「これなんですがね……」
そう言って冠城は、自分のスマホを取り出すと、先程青木に撮らせた映像を伍堂刑事に見せる。
伍堂刑事「ん…?」
見せられた映像に目を向ける伍堂刑事。その横で右京も映像をジッと確認する。
伍堂刑事「この娘は?」
冠城「西宮硝子ちゃん……耳が不自由で、言葉を上手く発する事が出来ない女の子です」
伍堂刑事「障害がある娘なんですか?」
「なのに、こんな事が……?」
驚きを隠せないでいる伍堂刑事。
その後彼は、2つの映像全てを見せられた。
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:27:48.50 ID:5sCMbn110
冠城「これで全部です。どうです?」
右京「問題ありません。これなら、充分証拠になるでしょう」
伍堂刑事「あ、あの……これは一体?」
冠城「伍堂さん…あなたは水門小学校って学校ご存知ですよね?」
伍堂刑事「もちろんですよ。この市内にある学校ですし…」
冠城「この映像は、その学校の中のものなんですが……」
「4日前、あの学校で生徒がいじめられていると思しき現場を、見ちゃったんです」
右京「そこで僕達は、校長先生を尋ねました。しかし……」
冠城「校長先生は、あくまで喧嘩であり、学校内でいじめなんかなかったと言いました」
右京「ところが、その後調べてみた結果、あの学校で西宮硝子ちゃんを巡るいじめ問題が起きている事が判明しました」
冠城「その件自体は、加害者の親が硝子ちゃんの親に賠償金を支払って解決した事にはなってるみたいなんですけど……」
「見ての通り、他にも犯人がいて、いじめが続いていたんです」
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:28:19.21 ID:5sCMbn110
右京「その上、今の映像から見ても担任教師の対応は不適切です」
「あの学校の校長先生は、これらを隠す為に我々に偽証を図った可能性が高い」
冠城「こんなの……警察官として許せますか?」
伍堂刑事「許せませんよ!何とかしてあげないと……」
右京「なので、他に証拠になりうるものを持ってきました」
そう言って右京は、スーツの中からある物を取り出した。
それは、壊れた補聴器であった。
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:30:04.83 ID:5sCMbn110
伍堂刑事「これは?」
右京「いじめの被害者である、西宮硝子ちゃんが付けていた補聴器です」
「これらは全て、いじめ問題の際に破損させられた物……つまり、犯人の指紋が付着している可能性が非常に高い」
冠城「少なくとも西宮家は4人、加害者とされているお子様は1人……」
「それ以上の指紋が出た場合、彼らの関与も疑うべきです」
右京「そこで、あなたには岐阜県警にこの事を調べてくれるよう、進言して欲しいんです」
伍堂刑事「僕がですか?」
冠城「俺達は、違う所轄の人間だ。その上、厄介者扱いまで受けている窓際部署……」
「そんな連中の話なんて、そう簡単に通るものじゃないでしょう?」
伍堂刑事「え?えぇ……」
右京「なのでお願いします」
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:32:45.57 ID:5sCMbn110
伍堂刑事「………」
「そんなの気にしなくていいですよ。兄に言えば一発なんですから」
右京「兄?」
冠城「あなた……お兄さんがいらっしゃるので?」
伍堂刑事「えぇ…『伍堂清太郎』と言いまして、岐阜県警本部の一課の警部をやってるんです」
「おまけに義理堅い人でしてね……僕の手帳を届けてくれたあなた達の頼みと聞けば、絶対に断りませんよ」
冠城「…………」
「右京さん、意外な所に味方がいましたね」
右京「では、早速お願いします」
伍堂刑事「了解です!」
こうして伍堂刑事は、兄に知らせるべく電話を掛ける。
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:33:53.48 ID:5sCMbn110
伍堂刑事「あぁ、兄さん……ごめんね、そっちも忙しいのに」
「それでさ、一昨日僕に警察手帳届けてくれた、本庁の刑事さん2人のこと覚えてるよね?」
「今、その人達が兄さんの助けを必要としてるんだよ」
「……………」
「うん、分かった。杉下さんに替わるね」
兄と会話を交わした末、伍堂刑事は「はい」と言って右京に受話器を差し出す。
右京は、受話器を受け取ると、そのまま伍堂刑事の兄に話しかける。
右京「替わりました。警視庁特命係の杉下右京です」
伍堂警部『伍堂清太郎です。何やら事件があったそうですが?』
右京「えぇ……」
こうして右京は、伍堂警部に水門小学校のいじめ問題の事を全て話す。
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:34:38.23 ID:5sCMbn110
伍堂警部『小学校のいじめか……それは穏やかではありませんね』
右京「ですので、こちらも証拠を揃えて来ました」
「ご協力、願えませんか?」
伍堂警部『もちろんです』
『ただ、私は今少し手が離せない状況でしてね……』
『部下の坂木を代わりに遣しますので、弟に全て預けておいて下さい』
右京「分かりました」
「では、また後程……」
伍堂警部『えぇ、後程……』
こうして、右京は伍堂警部との電話を終え、受話器を元に戻す。
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:35:20.16 ID:5sCMbn110
冠城「どうでしたか?」
伍堂刑事「兄はなんと?」
右京「これから証拠品を取りに部下の方を遣すそうです」
「その間、あなたに預けてくれと……」
伍堂刑事「僕にですか?」
右京「出来ますか?」
伍堂刑事「もちろんですよ!大事な物ですからね、絶対渡しておきます」
右京「では、これも預かってくれませんか」
そう言って右京は、伍堂刑事にあるものを差し出す。
それは今朝、硝子が拾って渡したハンカチだった。
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:36:32.66 ID:5sCMbn110
伍堂刑事「ハンカチ?」
右京「今朝、偶然硝子ちゃんとぶつかった際、彼女が拾ってくれましてねぇ……」
「彼女の指紋が付着しているはずなので、他の指紋と区別を付けるのに使って下さい」
もちろん、偶然など真っ赤な嘘……
硝子に触らせる為にわざと落としたは、言うまでもない。
伍堂刑事「分かりました!では、補聴器と映像入りの冠城さんのスマホと共にお預かりします」
冠城「それは構いませんが、警察手帳みたいになくさないで下さいよ?」
「特にこれ……俺の大事なスマホですから」
伍堂刑事「さすがにそんな事まではしませんよ!とにかく、お任せ下さい!」
右京「お願いします」
「それと、何か報告したい事があったら、僕のスマートフォンに電話を掛けるようにとも伝えておいて下さい」
「ちなみに、番号はこちらです」
そう言って右京は、自分のスマホの番号をメモに書き写して伍堂刑事に渡した。
伍堂刑事「分かりました。兄にそう伝えるよう、部下の人に言っておきます!」
と、びしっと敬礼してみせる伍堂刑事。
それを確認すると、特命係の2人は彼に後を任せて交番を後にした。
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:38:12.14 ID:5sCMbn110
冠城「さて……後は、岐阜県警が結果を出すまで待つだけですかね?」
右京「いえ……まだやらねばならない事があります」
冠城「え……?」
「ちょ、ちょっと待って下さい。今日、僕達がしないといけないのは、証拠集めだったんじゃ……」
右京「そのはずだったんですが、急遽やらなければならない事が増えたんです」
「これから、市内の住宅街を回りますよ」
冠城「は、はい……」
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:39:11.12 ID:5sCMbn110
どうも腑に落ちないながらも、冠城は右京の言う通りにする事にした。
こうして、特命係の2人は水門市内の住宅街である事を聞いて回る事になった。
しかもどういう訳か、水門小へ歩いて通学出来る距離にある住宅街を重点的に当たった。
だが、どんなに聞いて回っても右京の望むような情報は、入って来ない。
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:40:32.69 ID:5sCMbn110
右京「なるほど……それを聞いて安心しました。では、これで……」
お礼を言いながら、家から離れていく右京。ここでも情報は手に入らなかったらしい。
そこへ、途中で別れて聞き込みに行った冠城が、合流してくる。
冠城「右京さん!」
右京「冠城君、そちらは?」
右京の問いに、「全然です」と返す冠城。
そんな彼らの姿を、不思議そうに見ている女性が背後に1人……
それに気付かないまま、2人は話しを続ける。
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:42:32.85 ID:5sCMbn110
右京「そうですか……」
冠城「けど、右京さん……」
「いくら、あの学校へ歩いて通学できる範囲内に絞ってるとはいえ、俺達だけで探すなんて無謀じゃないですか?」
右京「自分達の足で地道に探すのは、警察の基本ですよ」
冠城「いや、それもそうですけど……」
「というか、何でいきなりこんなこと始めたんです?」
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:42:59.40 ID:5sCMbn110
女性「あ、あのぉ……」
と、冠城が疑問をもらし始めたその時、後ろから見ていた女性が声を掛けてきた。
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:46:46.89 ID:5sCMbn110
右京「おや……あなたは?」
女性「私……ですか?『佐原』と申します……」
「先程から、色んな家を聞いて回っていますが、あなた達は……?」
右京「警視庁特命係の杉下右京です」
冠城「冠城亘です」
佐原「刑事さん……何か、事件でも?」
右京「最近、不登校児童の非行が問題になっていましてねぇ……」
「なので、実態調査を行っているんですよ」
不登校児童の非行の実態調査……
無論、怪しまれないようにする為の嘘なのであるが、それを聞かされた佐原と名乗った女性は、
「不登校児童の?!それは、本当ですか?」と、まるで会いたかった人に会えたかのような様子で聞き返してくる。
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:47:44.06 ID:5sCMbn110
右京「えぇ…そうですが?」
佐原「丁度よかった……是非とも、刑事さん達に会って欲しい子がいるんです!」
冠城「会って欲しい子がいる?」
右京「もしかしてその子、水門小学校に通っていたりしますか?」
佐原「そうです!良く分かりましたね」
右京「………」
冠城「……………」
彼女の答えに、特命係の2人はお互い顔を見合わせる。
ようやく、目的の人物に会えるかもしれないという期待を滲ませて……
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:49:09.48 ID:5sCMbn110
―通学路―
学校が終わって、家路に就く石田と硝子。
植野の平手打ちを喰らった硝子の頬は、若干の赤みを帯びていたが、それも少し引いている。
一方、島田に殴られた石田の頬は、先程より腫れは引いたものの、不完全であった為かガーゼが貼ってある。
硝子「…………」
硝子はそれを心配そうに見つめている。
だが、石田は……
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:49:47.77 ID:5sCMbn110
石田「何だよ?これが面白いのか?」
硝子「…………」
石田「ホント、感じ悪いよな……お前」
硝子「……………」
石田の言で、何とも気まずい空気が漂う。
その空気が漂ったまま、2人はお互いが別れる道に差し掛かる。
石田「…………」
しかし石田は、特に何も言わずに硝子と別れ、帰っていく。
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:50:28.81 ID:5sCMbn110
硝子「……………」
その姿を、硝子は黙って見ていたのだった。
それを知らないまま、石田は帰宅する。
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:50:56.34 ID:5sCMbn110
美也子「お帰りショーちゃん」
石田「ただいま母ちゃん……」
美也子「あら……そのほっぺた、どうしたの?」
石田「また学校で暴れ過ぎた」
美也子「またなの?来年は中学生なんだから、いい加減馬鹿騒ぎは止めなさいよ」
石田「分かってるよ……」
と言ってランドセルを降ろし、手を洗いに向かう石田。
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:51:46.75 ID:5sCMbn110
美也子「…………」
しかし美也子は、石田の頬のガーゼの正体が、また学校でいじめられた傷跡なのではないかと思った。
本来なら、転校させればいい話しだが、そんなにすぐに出来るものではない。
そもそも、本人はそれを望むのだろうか?
果たしてそれが、彼の為になるのだろうか?
美也子は、分からなかった……
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:52:57.89 ID:5sCMbn110
―夜―
硝子と結絃が寝静まった西宮家の西宮いとの部屋に、八重子は呼び出された。
八重子「何なの母さん?私、明日も早いんだけど」
突拍子もなく呼び出してきた母に対し、八重子は軽く愚痴を漏らした。
いと「本当にすまないね……けど、本当に大事な話しなんだ。聞いてくれるかい?」
八重子「構わないけど」
素っ気無く返す八重子。
だが、母親であるいとは、それが彼女なりの了解の意思表示である事がすぐに分かった。
なので、心置きなく話しを切り出す……
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:54:22.18 ID:5sCMbn110
いと「八重子、ちょっと早いかもしれないけどね……」
「私が話したいのは、硝子の進学先についてなんだよ」
八重子「硝子の進学先?」
いと「あぁ……」
「硝子も来年で中学生になるけど……」
「中学になっても、あの娘を普通の学校に入れるつもりなの?」
八重子「今更聞くまでもないでしょう」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:55:08.90 ID:5sCMbn110
いと「………」
八重子「……なに?」
いと「八重子…悪い事は言わないよ。それは止めておやり」
八重子「はあ…?」
いと「普通の学校に入れたところで、あの娘が苦しむだけだって事よ」
八重子「それは……来年から養護学校かろう学校に入れろって事なの?」
八重子の問いに、いとは無言で頷いた。
それを見て、一気に表情が険しくなる。
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:56:12.92 ID:5sCMbn110
八重子「ふざけた事言わないでくれる?それじゃあ、硝子が強くなれないじゃない」
いと「本当にそうなのかねぇ……」
「この6年間、あなたはそう言ってあの娘を普通学校に入れてきたけれど……」
「そうやって上手く行った試しがあったかい?」
「何処へ行っても、不当な扱いを受けては転校しての繰り返しだったじゃないか」
八重子「それは、硝子が強くなろうとしないからよ。あの娘が強くなれば、そんなこと……」
いと「それは無理な相談だよ。子供なんて、いじめには無力なものよ」
「ゆずだって障害がないのに、いじめに耐えかねて不登校になってしまった……」
「それだけじゃない。あなただって、小さい頃いじめられた時は、よく私に泣き付いてたんだよ?」
八重子の幼少期の事を例題に挙げてみるいとであったが、当の本人は「そんな昔の事、忘れたわ」と冷たくあしらった。
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:57:09.10 ID:5sCMbn110
いと「覚えてないなら構わない」
「けど、どうして石田君や今まで通って来た学校の子達は、硝子をいじめたのか……」
「お前は、一度でもその理由を考えた事があるかい?」
八重子「それは硝子の事を馬鹿にしたからでしょう?あのクソガキどもは、あの娘の事何も分かっちゃいないのよ!」
いと「分かっているじゃないの……」
「そうさ、学校にいる人達からしてみれば、硝子は赤の他人……あの娘の事情なんて知った事ではないんだよ」
「結局、あの娘に理解のある人がいなければ、どんなに強い娘にする事を望んでも意味がないんだよ」
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:57:58.86 ID:5sCMbn110
八重子「そんな事で、あの娘を障がい者用の学校に入れろというの?」
いと「そんな事なんかじゃない。あの娘にとって大事なことよ……」
「お前が、あの時の事を今も引きずっているのは分かるよ。だから私もずっと、お前の事を見守ってきた……」
「今更、お前のやり方を否定する気はない。捨てろという気もない」
「けどね……せめてあの娘を入れる学校の事だけは、見直して欲しいのよ」
「あえて不利な環境に入れて、成長を促そうというつもりなのでしょうけど……」
「必ずしもそれが、障害に負けない強い娘を育てる方法とは限らないよ」
「それに硝子だって、自分の障害が周りに影響を与えている事を気にしているはずさ」
八重子「…………」
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:59:08.54 ID:5sCMbn110
いと「あの娘は、私なんかと比べるとまだまだ先が長い……」
「障害に甘えない強い娘にするのは、もっと大きくなってからでも遅くはないはずだよ」
「専門の学校でもいじめられないとは限らないけれど……」
「お前が、真に硝子がいじめられない事を願うなら、安全性が高い学校に入れてあげるのが筋ってものだよ」
「そうすれば、結絃だってあなたへの認識を改めるだろうさ」
八重子「………………」
いつになく真剣な表情で訴えるいと。
その姿に、八重子は一瞬だけ何か思う表情を見せたものの……
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 07:59:45.74 ID:5sCMbn110
八重子「言いたい事はそれだけ?」
いと「え…?」
八重子「突然説教臭い事言い出して、一体どういう風の吹き回し?」
「今になって母親面でもしたくなったのかしら?」
いと「八重子……」
八重子「同じ家族と言えども、硝子を育てるのは母親の私の務めなの」
「あの娘の事をどう育てるのか、どの学校に入れるのかを決めるのは、私の役目……」
「もちろん、結絃の事も……」
いと「………」
八重子「年寄りの気紛れに付き合っていられるほど、私は暇じゃないの」
「だからもう……休ませてもらうわ」
そう言って八重子は、その場を立つと部屋から出て行ってしまった。
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:00:33.90 ID:5sCMbn110
いと「……………」
1人自室に残されたいとは、その姿を黙って見送るしかなかった……
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:01:00.29 ID:5sCMbn110
同じ頃、特命係が泊っている旅館の一室……
右京「そうですか……どうもありがとう」
誰かから電話が掛かったのだろう、スマホ越しで相手に礼を言って右京は電話を切る。
そこへ、冠城がトイレから戻って来る。
冠城「内村刑事部長に、ここで好き勝手に動いている事がとうとうバレたんですか?」
戻って早々、冗談を言ってみる冠城であったが、
右京には「それなら、わざわざお礼を言いますかね?」と真面目に返されてしまう。
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:02:04.19 ID:5sCMbn110
冠城「ちょっと冗談言ってみただけじゃないですか……ホント、ノリが悪いですね」
右京「こっちはふざけている訳ではありませんよ」
冠城「それは失礼しました……」
と言って謝ると、冠城は改めて「じゃあ、真面目にお聞きします。今の電話、誰からです?」と聞いた。
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:02:46.69 ID:5sCMbn110
右京「伍堂警部からです。たった今、例の補聴器の鑑定が始まったと……」
冠城「ようやく番が回ってきましたか……」
右京「話しによると、明日にでも結果は出るそうですよ」
冠城「じゃあ、今日俺達が出来る事は、今度こそ終わったんですね?」
右京「そう言う事になります。しかし……」
「冠城君、ひとつ聞きたいことがあります」
冠城「何ですか?」
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:04:01.53 ID:5sCMbn110
右京「昨日君は、石田君がいじめられそうになったところを助けたと仰っていましたが……」
「その現場に、硝子ちゃんはいましたか?」
冠城「あ……そう言えば確かにいましたね、硝子ちゃん」
「あの時は、石田君の安全が優先だったんで、声は掛けませんでしたが……」
「そう言えばあの娘、一昨日も石田君がいるところにいたんでしたっけ?」
右京「えぇ……」
「やはり彼女、石田君がいじめられている現場をいつも覗いていたようですね」
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:04:36.33 ID:5sCMbn110
冠城「けど、どうしてでしょうか?」
「硝子ちゃんからしてみれば、石田君は自分をいじめた相手……」
「そのような子が虐げられている現場にわざわざ足を運んで、何を考えてるんでしょうか?」
「まさか……ああ見えて、自分をいじめた相手の惨めな姿を見て楽しんでいる何てこと、ないですよね?」
右京「どうでしょうかねぇ……真実は、意外なものかもしれませんよ?」
何処か意味深な言い回しを見せる上司に、冠城は「もしかして右京さん、何か知っているので?」と尋ねた。
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:08:16.44 ID:5sCMbn110
右京「ある程度想像は出来ていますが、現段階では僕の妄想でしかない状態です」
「とにかく今は、目の前の問題の解決を優先すべきだと思います」
冠城「そうですね。事件を解決した後、ゆっくりと調べましょう」
こうして、特命係も眠りに就く事となった。
明日に迫る、『終止符を打つ時』に備えて……
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/01(金) 08:09:01.28 ID:5sCMbn110
3日目(第3話)はここまでです。
これにて、問題解決の仕込みは完了ですが、
色々と都合良過ぎな展開になってしまったかな……
何はともあれ、第4話である4日目は、いよいよ特命係がいじめ問題に直接切り込みます。
果たして、彼らの賭けは吉と出るか凶と出るか!?
次回は結構独自設定入るので、一応注意です……
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/01(金) 20:41:01.00 ID:+d8Ou/hl0
乙です
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:15:09.59 ID:od/pvmOg0
続きです。
前回の最後にあった通り、独自設定が入ってくるので一応注意です……
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:15:46.75 ID:od/pvmOg0
相棒×聲の形 〜4日目〜
次の日の朝……
西宮家の人間も石田家の人間も、普段通りに学校や仕事に足を運んでいった。
硝子と石田は、またしてもいじめに苛まれる時が来たと不安を……
美也子は客足が少なく、息子の罪の重さを実感する時がまたきたと……
それぞれの思いを抱いて。
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:17:15.81 ID:od/pvmOg0
そして、職場へ向かう八重子は……
八重子「…………」
彼女は、昨晩のいとの言葉が心の中で響いていた。
あの時こそ一蹴してみせたものの、内心は少しずつだが揺らぎを見せていたのだ。
八重子(そんな事はない…私は、間違っていない……!)
首を横に振ると、八重子は振り払うように職場へと向かっていった。
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:17:48.04 ID:od/pvmOg0
―西宮家―
結絃は、急にいとに呼び出された。
結絃「婆ちゃん、どうしたんだよ?話があるって……」
いと「…………」
「ゆずや……母さんの事なんだけどね………」
結絃「アイツがどうかしたの?」
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:18:14.95 ID:od/pvmOg0
いと「……」
「婆ちゃんはね、ずっと母さんの事を見守って来たんだよ……」
「あんまり、口出しし過ぎるのは、母さんとお前達の為にはならないと思ってね」
結絃「…………」
いと「けど……それも、そろそろ終わりにしなくちゃならない……」
「昨日、刑事さんに言われて、ようやく気付いたんだよ」
「だから、これからお前には、母さんが今まで何を考えて生きて来たのか、教えようと思うの」
「後で、硝子にも教えておやり……」
結絃「………」
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:18:50.49 ID:od/pvmOg0
あまりにも突然の事なのか、結絃は押し黙ったままだ。
かと言って、何も話さないわけにはいかない……
これも、彼女達の今後の為だ。
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:19:24.30 ID:od/pvmOg0
いと「実はね……」
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:21:20.15 ID:od/pvmOg0
一方特命係は、今日の朝食を終え、自分達の部屋に足を運んでいるところであった。
その最中、冠城は何やら不満をもらしている。
冠城「右京さん……今日までこの旅館で、美味しいごはんを頂いてもらっていますが……」
「この4日間注文した料理は全て、ご飯と味噌汁の定食……あまりにも庶民的過ぎやしませんかね?」
右京「仕方がないじゃありませんか。本来、この旅館に泊まる事は想定していなかったこと……」
「だからこそ、無駄な出費を避けつつ、栄養バランスの良い料理を注文しているのです」
「それに、そこまで不満があるのでしたら、個別に注文すればいい話しですよ」
冠城「有無言わさずに俺の分まで勝手に注文しておいて、よく言いますよ……」
右京「君が注文するのがあまりにも遅いからですよ」
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:22:04.71 ID:od/pvmOg0
冠城「…………」
「もしかして右京さん、4日前俺が自分好みの料理の店に連れて行ったの、根に持ってません?」
右京「それは誤解ですよ……」
冠城「本当ですか?」
右京「本当です」
冠城「…………」
頑なに否定する上司。その姿に冠城は、「やっぱり根に持ってるんだな……」と感じた。
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:23:22.10 ID:od/pvmOg0
ブイー!ブイー!
その時であった。自分のスマホが震え出したので、右京はポケットからスマホを取り出す。
すかさず冠城は横から画面をのぞき込む。
そこには『伍堂清太郎』の名前が表示されていた。
冠城「右京さん……」
右京「……………」
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:24:01.98 ID:od/pvmOg0
「ついにきましたか…」
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:25:06.32 ID:od/pvmOg0
2、3時間後……
水門小学校の校長室に、制服姿の2人の男性が押し掛ける。
1人は、若い男性……
もう1人は伍堂刑事を威厳ある顔立ちにしたような、髭面の年配の男性であった。
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:25:58.34 ID:od/pvmOg0
水田校長「だ、誰だね君達は?」
年配の男性「岐阜県警捜査一課の者です。校長の水田門木さんですね?」
若い男性「ちょっと署までご同行願えませんか?」
警察手帳を見せながら署への同行を頼む警察の男性。
これに、校長は動揺の色を見せる。
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:26:26.44 ID:od/pvmOg0
水田校長「わ、私は何もやってませんよ……!」
若い刑事「ですから、その確認の為来てもらいたいんです」
年配の刑事「お時間は取らせませんので……」
水田校長「……………」
確認の為に来て欲しいとせがむ警察官。
これ以上拒否するとかえって怪しまれると思ったのだろう、
水田校長は渋々了承するしかなかった。
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:27:03.54 ID:od/pvmOg0
そして、彼が警察署へ行ったという一報は、瞬く間に教員達に伝わった。
―6年2組―
竹内「みんな、本当なら今は算数の時間だが、緊急の職員会議が入った事により、この時間は自習とする」
「先生が戻って来るまで、教室を出ないように」
そう伝えると、竹内は教室を後にした。
広瀬「緊急の職員会議?何があったんだ?」
島田「知らねぇよ」
突然の事態に、ざわつく6年2組の教室。
石田も硝子もその輪に加わる事はなかったが、同様の反応であった。
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:29:34.29 ID:od/pvmOg0
―岐阜県警本部 取調室―
任意同行に応じた水田校長は、デスクを挟む形で年配の刑事と向かい合う格好になっていた。
水田校長「あ、あの……お話を聞くんじゃなかったんですか?」
「それにここ……取調室ですよね?」
年配の刑事「実はあなたにお話を聞きたいのは、私達ではないんです」
水田校長「そ、それはどういう事で…?」
年配の刑事「もう少々お待ち下さい。部下の者がその方達を連れて来ます」
若い刑事「警部、お連れしました!」
と、丁度良いタイミングで、若い刑事が『ある2人組』を連れて取調室に入ってきた。
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:30:48.03 ID:od/pvmOg0
水田校長「な…!」
連れられた2人を見て校長は驚いた。
それもそのはず、彼が連れて来たのは4日前に自分のところへ来た特命係だったからだ。
そんな彼を尻目に、警部と呼ばれた年配の刑事は席を立ち、彼らと向き合う。
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:31:53.77 ID:od/pvmOg0
伍堂警部「面と向かっては始めてですね。私が、岐阜県警捜査一課の伍堂清太郎……」
「今あなた方をここへ案内したのは、部下の坂木です」
坂木「坂木利久男です。よろしくお願いします」
伍堂警部「そして、あなたが警視庁特命係の杉下右京に……」
冠城「冠城亘です」
右京「あなたが、伍堂圭三刑事のお兄様ですか」
伍堂警部「はい。弟の警察手帳の件は、本当に感謝しています」
冠城「お礼を言われる程のことではありませんよ。特別に与えられた命令に従ったまでです」
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:34:32.21 ID:od/pvmOg0
そのようなやり取りの末、右京は「構いませんか?」と言って
校長の向かいに座っていい尋ねると、伍堂警部は「どうぞ……」と返した。
向かい合う校長と右京……
その時水田校長は、どうして自分がここに連れて来られたのかを理解した。
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:35:10.89 ID:od/pvmOg0
水田校長「なるほど、あなた達の差し金だったんですね……」
右京「申し訳ありませんねぇ……安全に事を運ぶには、あなたをここに連れて来るしかなかったもので……」
水田校長「安全?それは、どういう事ですか?」
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:35:47.78 ID:od/pvmOg0
右京「……………」
「解決せねばならない大きな問題が、あなたの学校で起きているという事ですよ……」
水田校長「な、何を言ってるんですか?我が校ではそんなこと……」
冠城「起こっていない……あなたはそうやってまた、嘘を吐くつもりですか?」
「本当はあの学校では、大きな事件が起きていたんじゃありませんか?」
「そう……6年2組の西宮硝子ちゃんいじめという事件が………」
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:36:14.78 ID:od/pvmOg0
水田校長「…………」
「調べたんですか?」
冠城「ああ言われると余計に調べたくなってしまうのが、我々なもので……」
水田校長「…………」
冠城の言葉に、水田校長は少しばかり絶句したが、すぐにこう返す。
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:37:55.40 ID:od/pvmOg0
水田校長「そ、そこまで調べたのなら知っているはずですよ」
「あの件は、石田君のお母さんが西宮さんの補聴器の弁償して……それで片が付いたんです」
「これって示談の成立でしょう?示談が成立した案件に、警察は口を挟んではいけないはずですよ」
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:38:21.56 ID:od/pvmOg0
右京「確かにその通りです……示談交渉の成立が認められた場合、被害者と加害者が和解したとみなされ不起訴処分となる」
「少なくとも、石田家と西宮家は形式上は、補聴器の弁償を行うことで和解が認められます」
「そこに我々が口を挟む事は出来ません。しかし……」
「もしも、石田君に共犯者がいたとしたらどうでしょうか?」
「その共犯者達が主犯の彼に罪を擦り付けた結果が、石田家が西宮家に170万円を支払うことだったのだとしたら?」
「そうなってくると、西宮家と和解していない加害者は大勢いる事になります」
「それを放っておいて、いいのでしょうかねぇ……」
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:39:09.61 ID:od/pvmOg0
水田校長「まさか…そんな……あり得ませんよ……!」
「確かに、6年2組のみんなは犯人は石田君だと言ってたし……」
「竹内君だってそうです!それに彼からは、あれ以来あの教室は平和だと聞いています!」
必死で訴え出す水田校長。
その様子から、少なくともこの言葉に嘘はないと彼らは察した。
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:40:13.39 ID:od/pvmOg0
右京「なるほど……その様子だと、あなたも『硝子ちゃんいじめの犯人は石田将也である』としか聞かされなかったのですね?」
水田校長「それは……どういう事ですか?」
右京に問い掛ける水田校長。
ここで、今まで黙っていた伍堂警部が口を開く。
伍堂警部「あなたの学校では、西宮硝子さんへの授業体制に問題があり……」
「それが原因で彼女にいじめが発生した事をあなたが隠したのではないかと、こちらのお二人が疑いを掛けていらしたものでしてね……」
「事実の確認の為、こちらに来てもらう運びになったというわけです」
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:41:51.97 ID:od/pvmOg0
右京「しかし今の反応を見る限り、どうやら違ったようですねえ」
冠城「けれど、全くの無問題ではない……」
「4日前の我々の質問に対し、あなたはいじめなんか起きていないと嘘を吐き、先程も同様の事をしようとした……」
「これは立派な偽証ですよ」
右京「それだけではありません」
「あなたは竹内先生から、事実の一端しか聞かされていなかったのは、ほぼ間違いない……」
「となると、竹内先生はあなたに虚偽の報告を行った疑いがあります」
水田校長「そ、そんな馬鹿な!何で竹内君が嘘なんか……」
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:42:42.38 ID:od/pvmOg0
伍堂警部「今言ったじゃありませんか。硝子さんへの授業体制に問題があった疑いがあると……」
「竹内先生の不備で、西宮硝子ちゃんに対するいじめが発生した……その事を咎められるのを恐れ、あなたに嘘の報告をした」
「理由は、それで充分でしょう?」
水田校長「し、しかし……」
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:43:41.74 ID:od/pvmOg0
右京「…………」
まだ信じられないといった様子の校長。
そんな彼に対し、右京は真剣な面持ちで問い掛ける。
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:44:16.11 ID:od/pvmOg0
右京「しかし、水田校長……あなたは、ちゃんと事の真偽を確かめたのですか?」
「立場上あなたは、常日頃から6年2組を観察しているわけではない……」
「彼らがそれを利用して、全ての事実を語らずにいたという可能性も充分考えられたはずです」
「一度でも、そのような事を考えたことがありましたか?」
水田校長「そ、それは…………」
右京の問いに、水田校長は何も答えられなかった。
案の定、彼は竹内らの言葉を鵜呑みにし、それ以上の詮索は一切していなかったようだ。
それを見た右京は、次の一手に出る。
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:45:27.50 ID:od/pvmOg0
右京「ちなみに、証拠も既に挙がっています」
「冠城君………」
冠城「はい」
右京に言われ、冠城は自分のスマホを取り出すと、昨日青木に撮らせた映像を水田校長に見せた。
映像を見た水田校長は、驚きの表情を見せる。
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:46:23.59 ID:od/pvmOg0
水田校長「こ、これは…!」
冠城「昨日、同期の奴に無理矢理撮らせた映像ですが……」
「これの何処が平和なんですか?」
水田校長「…………」
伍堂警部「ちなみに、例の件で破損させられた硝子ちゃんの補聴器も調べましたが……」
「それからも疑わしい点が出て来ました」
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:47:16.63 ID:od/pvmOg0
右京「それだけではありません」
「石田君に全てが押し付けられた結果が、石田家と西宮家の示談交渉なのだとすれば……」
「石田君もまた、何かしらの危険に曝されている可能性があります」
「それでいて、西宮硝子ちゃんは未だいじめに遭っている……」
「6年2組で起こった問題は、何も解決していないんですよ」
「それを放っておいて、いいんでしょうか?」
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:48:48.72 ID:od/pvmOg0
水田校長「…………」
「一体、何が望みなんですか?私にどうしろと……?」
疑問を投げ掛ける水田校長。
これに対し右京は、少し間をおいてこう答えた。
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:49:47.23 ID:od/pvmOg0
右京「我々警察が、6年2組に立ち入ることを許可して頂きたい」
水田校長「立ち入りの許可……」
冠城「証拠が挙がっている以上、あなただって無視は出来ないでしょう?」
水田校長「そ、そうですが………」
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:50:15.64 ID:od/pvmOg0
右京「水田校長……これは、子供達の今後に関わる事なのです」
「このまま、全てが明らかにならないままだと、彼らは間違った道を進み続け、いずれ後戻り出来なくなる……」
「そうなれば、人としての道を踏み外す事になってしまうでしょう」
「本来学校とは、子供達を正しき道へ導く為にあるべき所です……」
「違いますか?」
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:51:11.96 ID:od/pvmOg0
水田校長「…………」
右京「あなたが一言でもYESと言って頂ければ、それでいい……」
「たったそれだけで、彼らの未来に一条の光を指す事が出来るのです」
「なので……どうか立ち入りの許可を頂けないでしょうか?」
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:52:16.87 ID:od/pvmOg0
真剣な面持ちで頼み込む右京。
そんな彼に、水田校長が出した答えは……?
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:52:56.40 ID:od/pvmOg0
数時間後……
水門小学校の6年2組の教室に、会議を終えた竹内が戻って来た。
竹内「みんな…落ち着いて聞いて欲しい。今から1時間前、校長先生が警察に連れていかれた」
水田校長が警察に連れていかれた……
竹内の一言で、生徒達は騒然とする。
その彼らを宥めるように、竹内はこう続ける。
竹内「職員会議で話し合った結果、今日の授業は続けられないという答えが出た」
「よって、お前達は早急に家に帰るように……」
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:53:22.18 ID:od/pvmOg0
???「お帰りになるのはまだ早いですよ」
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:54:19.96 ID:od/pvmOg0
その時であった。
聞き慣れない男性の声が聞こえ、竹内達は声のした方を見てみると、
そこには両手を後ろに組んだ格好の杉下右京が立っていた。
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:54:52.38 ID:od/pvmOg0
広瀬「お、おい!島田、あの眼鏡のおっさん、アイツ(冠城)と一緒にいた奴だよな?」
島田「な、何でアイツが…?」
石田をいじめていた2人は突然の右京の登場に動揺するが、動揺しているのは彼らだけではない。
今日まで何度か顔を合わせた硝子と、4日前に彼を見た石田もだ。
そんな彼らの反応をよそに、右京は竹内の側に歩み寄った。
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/05(火) 13:55:28.03 ID:od/pvmOg0
竹内「な、何ですかあなたは?」
右京「警察の者です。子供達を帰すのは、もう少し待って頂きたい」
警察手帳を見せる右京に対し、竹内は「警察が、誰の許しでこんな所に?」と返す。
346 :
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[saga]:2018/06/05(火) 13:56:17.85 ID:od/pvmOg0
右京「水田校長ですよ」
竹内「校長先生!?」
右京「ですので、今この場の指揮は、我々がとらせて頂く事になります。よろしいですね?」
竹内「それは構いませんが、一体どういう事なんですか?」
右京「すぐにでもお話ししたいところですが、まだ人数が足りません。話しはその時に……」
こうして右京は、彼らにこの場で少しの間待つよう促した。
それから少しして、冠城が1人の女性を連れてやって来た。
347 :
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[saga]:2018/06/05(火) 13:56:44.70 ID:od/pvmOg0
冠城「右京さん。喜多先生を連れて来ました」
右京「ご苦労様です」
連れて来られた女性は、この学校の音楽教師の喜多であった。
喜多は、いきなりこの教室に……しかも警察に連れて来られたからか、とても不安そうだ。
348 :
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[saga]:2018/06/05(火) 13:57:21.25 ID:od/pvmOg0
喜多「あ…あの……なんで、私が?」
右京「あなたも、硝子ちゃん達と繋がりがあるそうでしてねぇ……」
「その事で、是非とも知ってもらいたい事があるものです」
冠城「別にあなたを疑っているとかではないので、どうぞご安心を……」
喜多「は、はぁ……」
それでもまだ少し不安そうにしている喜多。
349 :
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[saga]:2018/06/05(火) 13:57:59.97 ID:od/pvmOg0
伍堂警部「こちらです……」
続いて、伍堂警部と坂木がそれぞれある女性を連れてきた。
西宮八重子と石田美也子である。
350 :
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[saga]:2018/06/05(火) 13:58:31.61 ID:od/pvmOg0
母親がこの場に連れて来られた事に驚く2人。
一方2人の母親も、目の前に右京達がいて驚きを隠せないでいた。
美也子「あなたは……一昨日の刑事さん?」
八重子「どうしてあなた達がここにいるのよ!?」
伍堂警部「彼らだけではありませんよ。我々も警察……岐阜県警捜査一課の者です」
そう言って伍堂警部と坂木は警察手帳を八重子達に見せた。
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