【ミリマス】塩入チョコレート事件【名探偵ナンナン】

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6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/16(水) 07:30:06.29 ID:PDvcFK5E0
「無茶、なのかな?」

 可奈がわたしに聞く。

「無理、よ」

 人はわたしにもっと愛想を持てというが、今回ばかりは冷酷だろうが事実を突きつけるしかない。

 重苦しい空気が控え室を覆うが、損な役回りがたまたまわたしだっただけだ。みんな心中察していることなのだ。別にわたしは睨まれているわけではない。

「無理なのはわかっている」それでも恵美さんは口を開く。「でも、アタシには事件捜査を敢行する義務が、いや、大切な琴葉の友人として解決をする責任がある。例えそれが先の見えない闇の中でも、アタシには真相を解明しなければ……」

 誰も口を挟めない。こんな声の恵美さんは、エドガー以来だった。

 しかし、そんな空気を厭い明るく振る舞おうとする人物がいることも、みんな承知していることだった。春香さんである。

「ねえみんな、難しく考えすぎじゃないかな? もっとこう、簡単に、前向きに考えられない? 誰かが悪意を持ってやったとかじゃなくて、もしかしたらただ間違えただけなんじゃないかって。ほら、わたしもよく料理はするからわかるんだけど、失敗とかよくやっちゃうし……」

 それはありえない。わたしがそれを言う前に、遮ったのは紬さんだった。

「それは、どうでしょうか。それではお聞きしますが、みなさんはこのようなあからさまな間違いを犯したことがおありでしょうか? 野球でヒットを打ったら三塁側に走ったり、注射器の中身をオレンジジュースにしてしまったり」

「そ、それは……」

「今回の事件は、そういった類の劇場型の犯罪です。映画の中でしか起こりえない、意図的に狙ってでしか達成できないケースなんです。それほど出来すぎている」

 そのとおり。砂糖と塩を間違えるなんて、文明人がうっかりでできることじゃない。

「大根と人参を間違えることはあるでしょう。しかし、こんなベタなうっかりミス、とても教養ある人間の仕業とは思えません」

「言い過ぎじゃないかな……」可奈が震える声で、わたしにだけ聞こえるようにささやいた。わたしは返事をしなかった。
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