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穂乃果「季節」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 21:39:50.39 ID:3UlWHAHP0
ーーーーー春。
出会いの季節でもあり、別れの季節でもある。
世界の人々は桜色に染まっていく中、1人の少女が黒に堕ちていく。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1525783190
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 21:46:38.62 ID:3UlWHAHP0
2018年4月
「………桜…」
ベッドで横たわる私の身体の上に一枚の花びらが舞う。
どうやら、春が来てるみたいだ。
「…穂乃果。ご飯ここに置いとくね。」
お母さんが私の部屋の前で喋っている。
「うん…ありがとう」
高校を卒業して3年目、私は部屋から出れずにいた。
所謂、引きこもりって奴だ。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 21:51:51.53 ID:3UlWHAHP0
「あははは!まてー!」
外から煩いほどに元気な子供の声が聞こえてくる。
今の私には、本当に少し煩さ過ぎるくらい。
「…最後に外に出たのいつだったっけな。」
不意に言葉を漏らしてしまう。
最後に外に出たのは確か、3ヶ月前にことりちゃんと会った時だった…ような気がする。
この冬の間はトイレ以外で一回も部屋から出なかった。
ただひたすらに窓から見える雪を眺めていた。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 21:59:07.41 ID:3UlWHAHP0
ピロン♪
…ケータイの通知がなる。誰からのメッセージだろう。
ことり
【穂乃果ちゃん。元気かな、今から会いに行ってもいいかな】
ことりちゃん?急にどうしたんだろう。
穂乃果
【ごめん、今は誰にも会いたくないんだ。】
…送信と。
それにしても、急に会いに行くなんて、どうしたんだろう本当に。
少し怖い。
ピロン♪
ことり
【そっか。また気が向いたら教えてね。いつでも行くから!】
…なんでこんな私を心配してくれるんだろう。
私は心配なんてされちゃいけない人間。
独りでこのまま生きて、死んでいくだけの人間なのに。
ーーー私はそれ以上の返信をしなかった。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:05:05.15 ID:3UlWHAHP0
「あんたが悪いのよ」
…やめて
「そうだよ、穂乃果さえ居なければ私達はずっと幸せに暮らしてたのに!」
やめてやめて
「どうやって責任取ってくれるん?」
やめてやめてやめて!
「なあ!穂乃果ちゃん?!」
やめて!!!!!!!!!!!!!!
ーーーーーーーーー
「…はぁ…はぁ…」
どうやらいつのまにか眠ってしまってたみたいだ。
明るかった外は静寂に満ちて暗くなっていた。
窓を開けていたせいか、少しお腹が痛い。
…それにしても、嫌な夢を見てしまった。
いや、夢というよりは、本当にあの人達が私に対して感じてる本音なのかもしれない。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:10:26.31 ID:3UlWHAHP0
考えがネガテイブになってしまい、余計に腹痛を促進させる。
「トイレ行こうかな…」
ガチャ
「…っ」
部屋の前には湯気が立ち込めているご飯と味噌汁と、鮭の塩焼きが置いてあった。
きっとお母さんが置いてくれたんだ。
そういえばお昼ご飯も食べてなかった。
「お母さん…ごめんね」
こんな私のために毎食作ってくれるお母さんを思うと自然と涙が溢れてくる。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:18:19.02 ID:3UlWHAHP0
トイレをしに一階へ降りると、玄関に見覚えのない靴が綺麗に揃えられて置いてあった。
「…誰が来てるのかな」
居間から話し声が聞こえてくる。
「ーーーー」
なんだろう、よく聴こえない。
少しだけ居間に近付くとお母さんの姿が見えた。
「本当にわざわざ来てくれてありがとうね」
…わざわざ来てくれてありがとう?
相手は誰だろう。
「いえ、でもやっぱり穂乃果が元気なら良かったです」
…この声ってまさか…!
「でも貴女が来てくれるなんて、きっと穂乃果も喜ぶわ」
…やばいやばいやばいやばいやばい!
どうして絵里ちゃんがここに?!
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:23:03.20 ID:3UlWHAHP0
バタンッ
「ーーーやばっ」
足元に置いてある新聞紙の山を焦って蹴ってしまった。
「…誰かいるのー?」
やばい、お母さんにバレた!
どうしようどうしようどうしよう!
ガチャ
「…穂乃果!!!」
無慈悲にもお母さんに見つかってしまった。
実はお母さんとまともに会うのもこれが久しぶりだった。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:29:55.74 ID:3UlWHAHP0
今まで家族みんなが寝た深夜にトイレやお風呂とか入ってたから、こうしてお母さんに会うのも3ヶ月ぶりだ。
「あ、あはは…ひ、久しぶり、おかあ、さん…」
どうしようドア越しには喋れてたのに顔を見てだとまともに喋れない。
「本当に…!元気そうで本当に良かった…っ」
同じ家に住んでいるというのに。
なんておかしな会話なんだろうと自分でツッコミたくなる。
「そうだ、今ね、絢瀬さんが来てるのよ。貴女に会いたいって」
「そ、そうなんだ…」
「折角だから、会ってあげたらどう?」
絶対に無理。私は絵里ちゃんに会う資格なんて無い。
「ごめん、会いたくない…かな、」
お母さんは「そう…」と哀しげに返事をしていた。
のだけど、お母さんの後ろから
「久しぶりね、穂乃果」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:37:31.49 ID:3UlWHAHP0
絵里ちゃんが居間から出て来てしまった。
「………」
私は返事ができない。
「また会えて嬉しいわ。【元気そう】でなによりね」
「…!」
返事をしない私に絵里ちゃんは話を続ける。
「みんな会えなくて心配してるわよ。少しづつでいいからみんなにも連絡してね」
…そんな訳がない。
皆んなが私なんかを心配してくれる訳がない。
こんな事を言っておきながら、きっと私を嵌めるつもりなんだろう。
「…じゃあ今日は私はこれで帰ります。お母さん。急にお邪魔して失礼しました」
「あ、いえいえ!またよかったらいらっしゃいね!」
…良かった。帰ってくれる。
「あ、そうだ穂乃果」
…なにかまだあるの。出来れば早く帰って欲しいのだけど…
「にこも、穂乃果の事待ってるわよ」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:41:29.05 ID:3UlWHAHP0
…やめて。
その名前を出さないで。
また思い出してしまう。
「それじゃ、これで失礼します。」
ガチャ
絵里ちゃんは何が目的で来たんだろう。
きっと、きっと私に復讐をしに来たんだ!
あんなことに、なったから
私があんなことをしてしまったから!
絵里ちゃんの恋人のにこちゃんに!
あんな風にしてしまったから!
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:50:24.79 ID:3UlWHAHP0
2017年 4月
私は大学2年生に進級し、それなりに楽しく生活していた。
「おーい!穂乃果ちゃーん!」
向こうからことりちゃんが走りながらやってくる。
「もー、遅いよ〜」
私は笑いながら彼女と話す。
「あはは、ごめんごめん!前の講義長引いちゃったー」
私はことりちゃんと同じ大学に通っている。
彼女は大学に入ると綺麗で長く透き通っていたロングヘアーを一新し、可愛らしいショートボブにしていた。
それでも可愛いことには変わらないのだけれど。
「それにしても、一年ぶりかぁ。海未ちゃん元気かな〜」
「うんっ!きっと元気だよ!今日の飲み会楽しみだね♪」
今日は飲み会だ。
私とことりちゃんと海未ちゃんの3人。
実は高校を出て以来3人が揃うのは初めてだ。
「海未ちゃん、きっともっと綺麗になってるだろうなぁ」
ことりちゃんが空を見上げながら言葉を漏らす。
「うん、なってるに決まってるよ!」
私も期待しつつ、集合場所の音乃木坂高校前に向かった。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/08(火) 22:57:29.55 ID:3UlWHAHP0
「あ、あれじゃないかな、海未ちゃん」
ことりちゃんが指差した先には確かに見覚えのあるストレートの長い髪の綺麗な女性が立っていた。
桜の花びらが舞っていて、ただ立っているというだけたのにすごく画になっていた。
「おーい!海未ちゃーん!」
私が遠くから大声で呼ぶと、漸くこちらに気付き手を振り返してくる。
私達は走って海未ちゃんのところへ向かう。
「久しぶりですね、穂乃果。ことり。」
ああ、久しぶりに聞く海未ちゃんの声。
凛としていて、ハリのあるカッコいい声。
「…やっぱり、カッコいいなぁ」
「…穂乃果ちゃん?」
ことりちゃんと海未ちゃんが私の顔を覗き込むように見てくる。
「あっ、やばっ、なんでもない!今の無し!」
思わず口に出してしまっていたのかもしれない。
「ふふ、相変わらず変な穂乃果ですね、それじゃあ行きましょうか!」
「もー、相変わらずってなんなのさー!」
「あはは!」
こんなやりとりも懐かしく感じながらお店へと向かう。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/08(火) 22:59:44.26 ID:3UlWHAHP0
ちょっと、明日も仕事なんで寝ます。
読みにくかったりしたら言ってください!
多分長くなるので、改善して行きます。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/09(水) 00:55:37.65 ID:uglAJq1K0
良いぞ続きが気になるぞ
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/09(水) 02:28:49.01 ID:IDwjdAfL0
おつ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/09(水) 08:52:11.87 ID:nvqY3npK0
「貴方達は何飲みますか?」
お店の席に着き、ひと段落した海未ちゃんが私達に聞く。
「私はぁ…カシスオレンジかなっ」
…さすがことりちゃん。居酒屋でまでお洒落だ。
「私は生ビールかな」
「あのですね、貴方達まだ、19歳ですよね?」
海未ちゃんの放った一言に私とことりちゃんは少し焦った。
まあでも、今時の大学生なんて未成年でも飲み会ばっかりやってるものでしょ。
「ま、まあ、もうすぐで20歳になるし、いいんじゃないかな」
ナイスフォローことりちゃん。
「まあ仕方ないですね。大目に見ておきます。」
…居酒屋きた時点でお酒飲む事は分かっていたと思うんだけどなぁ。
「それじゃあ、生ビールとカシスオレンジとジンジャーエール一つずつ下さい」
さあ、楽しい女子会の始まりだ。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/09(水) 08:58:32.69 ID:nvqY3npK0
「それじゃあ…3人がまた無事揃った事ですし…かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
私の掛け声で二人も手を伸ばす。
「…ぷはぁっ、やっぱりビールは美味しいねえ!」
「あはは、穂乃果ちゃんなんかお父さんみたいだね」
「本当です。もう少し女の子らしく飲んだらどうなんですか」
2人は私にそう言いながらちびちびと《女の子らしく》飲んでいた。
「あ、そういえば料理頼んでないね。何頼もっか」
「まあ無難に焼き鳥とかでいいんじゃないですか?」
無難って…絶対海未ちゃんも普段からお酒飲んでるでしょ…。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/09(水) 09:06:20.31 ID:nvqY3npK0
無事に料理も来て、他愛もない話をして一時間くらい経った頃、急にことりちゃんが話を変えて来た。
「そういえば海未ちゃん」
「なんですか?ことり」
「海未ちゃんって確かお家継いで忙しいんだよね?最近どう?」
海未ちゃんは少し黙り込むと口を開いた。
「…園田家は無くなりました」
え…どういう…こと?
「えっっ」
ことりちゃんもびっくりしているようだ。
「私のお母様がどうやらギャンブルにハマって居た様で、闇金にも手を出していたようです」
闇金…でも海未ちゃんの家ならお金いっぱいあるんじゃ…
「母も自分事で流石に家のお金は使えないと思っていたのでしょう。それで借金が膨らみに膨らんで…」
「…」
ことりちゃんは凄く気まずそうに話を聞いている。
「最終的には家も財産も全部売ってしまいました」
「……」
どうすんのさこの雰囲気…
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/09(水) 09:13:55.69 ID:nvqY3npK0
「…いきなりこんな暗いお話して申し訳ありません」
「あっ、ううん、いいの、私が聞いちゃったから…ごめんね」
ことりちゃんは申し訳なさそうに答えている。
「海未ちゃん、辛かったね、気付いてあげられなくてごめん」
「…ありがとうございます穂乃果、ことり。でも私は大丈夫。この通り元気に過ごしてます!」
…こんな話を聞いた後だと、どれだけ笑顔でもその笑顔の下には闇を抱えていると思ってしまう。
私が考えすぎなだけなのかな。
「なんかあったら私達に連絡してね?海未ちゃん全然メール返してくれないんだもん!」
「あはは、確かに海未ちゃん返してくれないよね〜」
私とことりちゃんでなんとかこのやばい雰囲気を明るい方向へと持って行く。
「ごめんなさい、中々ケータイ見ないものですから…」
「もー、そんな事言ってたら恋人に嫌われちゃうよー?」
おっとことりちゃん、強引に恋話に持っていったね。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/09(水) 09:20:32.21 ID:nvqY3npK0
「なっ、こ、恋人?!」
海未ちゃんは赤面した顔を両手で覆うように隠した。
可愛いなぁ。
「そうだよ、恋人。海未ちゃん可愛いんだから恋人くらいいるでしょ?」
「い、いませんそんな方は!」
「ええ〜?本当かな〜?」
ことりちゃん…こういう話になると滅法強い。
「そ、そういうことりはどうなのですか!」
「わ、私はぁ〜」
と、ことりちゃんは目を泳がせながら私の方をチラッと向く。
しょうがない、私が言うか。
「海未ちゃん、ことりちゃんはね、私と付き合ってるの」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/05/09(水) 10:02:48.66 ID:uglAJq1K0
海未ママェ……
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/09(水) 12:43:59.55 ID:fZ+7bE27O
よっしゃことほのやんけ
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/09(水) 15:32:05.83 ID:33KXU0CB0
「えっ?!そうなのですか?!」
海未ちゃんが机をバンッと叩き立ち上がる。
相当びっくりしているようだ。
「そ、そうなのー…実は…半年前から、かな?あはは」
そう、わたしとことりちゃんは半年前から付き合っていた。
「そ、それこそ私に一言くらい連絡くれてもいいじゃないですか!酷いですよ!」
うん、全くもってその通りだ。
「なんか…凄く言いにくくて…」
うんうん、ことりちゃんの気持ちもよくわかる。
「それにしても、2人が付き合ってるだなんて…なんだか置いてけぼり食らった気分です」
「そんな事ないよ!私達が付き合ってるからって、この3人の関係は今まで変わらない!」
あれ、お酒入ってるからかな、いつもより感情的になってるな、私。
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