姉「ここにたわわに実った果実が二つあるじゃろ?」 男「……は?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 23:57:09.38 ID:J86KBfoY0

男「じゃあ、アイス買って」

姉「パピコですか? パピコですね! お姉ちゃんと半分こしていちゃいちゃしながら食べてくれるんですね?」

男「いやわらびもち味のやわもちアイス」

姉「どうしてですか!」

男「俺がそれ食べたいから」

姉「うー……」

姉「ならわたしもアイスを買います」

姉「棒アイスです。べつに深い意味はありません」

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 23:57:35.46 ID:J86KBfoY0

男「聞いてねーよ」

姉「これはひとりごとです」

姉「わたしとしては男くんと一緒にアイスを食べたかったですけど、男くんがイヤと言ったのでそれはもういいです」

男「……」

姉「……」

男(そんな拗ねなくても……)

男(奢ってもらう手前なんか悪いからフォロー入れておかなきゃな……)

男「まあ、あれだよ」

姉「なんですか」

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 23:58:04.24 ID:J86KBfoY0

男「パピコってさ、最初は二つくっついてるわけじゃん」

姉「はい」

男「でもいざ食べるってときは離れちゃうじゃん?」

姉「……」

姉「……たしかに」

男「そういうこと」

男(その場の思いつき)

姉「……」

姉「わかりました」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 23:58:43.02 ID:J86KBfoY0

姉「男くんわたしのこと好きすぎじゃありませんか?」

姉「てっきりほんとうにわたしと同じものを食べるのがイヤなのかと思っていたのですが」

姉「これは愛ですね、愛。愛を感じます」

男「お、おう……」

男(なぜか心が痛む)

姉「さてさて、男くんからの愛を受け取ったところで……」

姉「……」

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 23:59:21.44 ID:J86KBfoY0

男(あ、なんか雑誌コーナーを凝視してる)

男(普通にピンクな方を見てるんだけど……あ、店員のおばさんにめっちゃ不審な目で見られてる)

姉「つかぬことをお聞きしますが」

姉「漫画はよく読みますか?」

男「え、うん。まあ少しくらいは」

姉「な、なら何冊か貸してもらってもいいですか?」

男「いいけど。姉ちゃんって少女漫画しか読まないんじゃなかったっけ」

姉「……男くんの好きなものを知りたいと思いまして」

46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:00:03.71 ID:jTgFqPVc0

男「じゃあ帰ったら姉ちゃんの部屋に持ってくよ」

姉「部屋に来たら出られなくなりますよ?」

男「……」

姉「……」

姉「冗談は置いといて」

男(冗談だったんですか)

姉「明日のお昼にでも読みたいので、そのときにわたしが取りに行きますよ」

男「え、でも俺明日部活あるよ」

姉「大丈夫です。取りに行きますから」

男「そう?」

姉「そうです。男くんが帰ってくる頃にはちゃんと元の場所に戻しておきますよ」

男「そっか」

男(なんか怪しい……まあいいか)

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:01:12.05 ID:jTgFqPVc0

姉「ここにガムがあります」

姉「買いましょう。というか男くんにあげます」

男「いいの?」

姉「アイスだけだと貢いだ気になれないので」

男「いや貢ぐって……」

男(なぜか姉ちゃんにやにやしてるし……)

姉「ガムは最近売ってないですよね」

男「グミばっかだね」

姉「わたしはいつもカバンに常備してます。ミントが強いものはあまり好きじゃないです」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:01:40.07 ID:jTgFqPVc0

男「そうなんだ」

男「あ、会計のときは手は離そうね」

姉「え」

男「え、ってなんですか」

姉「帰りまで離さないと、さっき……」

男「いや言ったけどさ」

姉「この場合"帰る"の定義がどこからどこまでなのかというのも考えていたところだったので……」

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:02:17.12 ID:jTgFqPVc0

姉「もし"土に"還るまでというのなら、これが本望だと言わんばかりに歓喜しているところでしたけど、普通に考えてありえないなと口に出すことは避けました」

男「うわあ……」

姉「そ、そんな目で見ないでください。ちょっとしたお姉ちゃんジョークじゃないですか」

男「はいはい」

姉「手を繋ぐのは家に帰るまで。でもさすがにレジは邪魔だから今は手を離す」

姉「これでいいんですよね?」

男「うん」

姉「ふふふ、わたしだって馬鹿じゃないんですからそれぐらいはわかりますよ」

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:03:01.78 ID:jTgFqPVc0

姉「お会計してきますね。外で待っていてください」

男(わかってるならわざわざ引かれるようなこと言わなけりゃいいのにな)

男(でもこういうときの姉ちゃんって、ほかになにか隠したいことがあるような……)

男(一個前の会話では、たしかガムの話をしてて、なぜかめちゃくちゃ顔を緩ませていたはずだ)

男(…………いや、さすがに)

男「姉ちゃん」

姉「……? はい?」

男(自分でもこういうことを思いついてしまうのは気持ち悪いわ……)

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:03:40.60 ID:jTgFqPVc0

男「さっきのガムなんだけど」

姉「あ、はい」

男「えっと……」

男「その、食べかけとかあげないからね?」

姉「えっ」

男「……」

姉「……」

男(おいおいおいおいおいおい)

男(いや、ないだろ……ないだろ)

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:04:31.57 ID:jTgFqPVc0

姉「えっ……あの、なんのことでしょう」

姉「わたしは男くんのことが大好きですけど、さすがにそれはないですよ。ていうか男くんはそういうの断るって思いますし。やるならやるであからさまにはせずそんな気はさらさらないって様子で道を歩きながら包み紙を渡してゴミはあとで捨てておきますね? とさりげなく受け取ったりしますよ」

男「ちょっと待って。本気で引いてる……」

姉「えっえっ……あの、あくまで一例ですよ? わたしがそうとは限らないじゃないですか」

男「嘘ついてない?」

姉「はい」

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:05:14.76 ID:jTgFqPVc0

男「ほんとに?」

姉「……はい」

男「本当に?」

姉「は…………」

姉「……」

姉「……」

姉「……えっと、飴玉ならいいですか」

男「あっ先帰ってますね」

姉「え」

男「さようなら!」

姉「男くん! あの、冗談だから! ほんとに、あの、冗談ですから!」

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 00:05:49.00 ID:jTgFqPVc0
寝起きですけど起きたら続き書きます
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 01:13:53.11 ID:YpMLNU3A0
姉さんの口調はですますなのか、じゃろなのか
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 02:00:22.54 ID:SRfb8IOt0

飴玉はセーフです
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 03:15:07.44 ID:rR7Wy1SS0
実は弟くんの方が依存してるとかいうアレですかね
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 20:23:26.52 ID:qu7EC6WnO
もう夜だぞ起きろ
こんな姉ちゃんがほしい…兄貴とチェンジしたい
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 00:58:36.89 ID:Nx4irCrf0

§

姉「……お、男くん!」

姉「待ってください!」

男「……」

男(足めっちゃ速ぇ…………)

姉「ぜえ、ぜえ……あの、ごほっ」

姉「ちょっ、ちょっと男くん、待ってください」

男(でもそのぶん体力が絶望的にないのは昔から変わらないんだな)

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 00:59:13.93 ID:Nx4irCrf0

姉「いっ、言われてからまた速くするとか、ほんともう……ごほっ」

姉「あ、あの……ほんとに速い……」

男(全くスピード上げてないのにどんどん離れていく……)

男(……仕方ない、可哀想だから次の角で待ってよ)

男(なんかなあ……姉ちゃんが絡むと、やっぱりどうにも……)

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:00:14.77 ID:Nx4irCrf0

姉「……」

姉「……はあ」

男「……どうかしたの?」

姉「あ、お、男くん?」

男「大丈夫?」

姉「だ、大丈夫もなにも……」

男「ん?」

姉「……ほんとに帰ってしまったかと思ったじゃないですか」

男「いや帰るわけないじゃん」

姉「ですよね。わたしがわる…………って、えっ?」

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:01:28.16 ID:Nx4irCrf0

姉「いま、なんと?」

男「だから帰るわけないじゃんって」

男「……それと手繋ぐ? 一応帰りまでって約束だけど」

姉「わっ……、でも……」

男「ああもう面倒くさい」

男「俺が繋ぎたいから繋ぐね」

男(なに言ってんだろ俺)

姉「……」

姉「男くんが、まさかのデレ期……」

男「……繋ぐのやめようか?」

姉「やめないでください」

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:02:10.11 ID:Nx4irCrf0

男「やめましょう」

姉「なら離してみてください」

姉「きっといまの男くんはわたしにでれでれなので離したりはできないと思いますよ」

男(わざとやってるよな、マジで)

男「デレデレなのは姉ちゃんの方だよね」

姉「知らなかったんですか?」

男「はあ……」

姉「ふふふ」

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:02:50.52 ID:Nx4irCrf0

姉「男くんはほんとに優しいですよね。わたしがどうしてほしいのか分かっているみたいです」

姉「もし仮に手を離したとしたら、わたしが約束ですと頼めばぜったい聞いてくれますし」

姉「逆に離さなかったとしても、わたしの気持ちは昂ぶったままです。どのみち嬉しいです」

男(あっそうなるんすか)

姉「もちろん男くんは後の方を選ぶってことは分かってましたよ」

姉「わたしが嬉しいのは、最初に男くんから繋いでくれたこと、です」

男「いや……」

姉「えへへ、いいんです」

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:03:25.16 ID:Nx4irCrf0


姉「男くん」

姉「わたし、とっても嬉しいです!」


66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:04:34.51 ID:Nx4irCrf0

男「……っ」

男(はあ……もうさ、そういう顔こそやめてほしい)

男(少し距離を詰めて肩を寄せてくるのもそうだし、見計らったようにぎゅっと握るのを強くしてくるのもそうだし、普段とは違う甘えたような声のトーンも……)

男(いやいや、落ち着け俺落ち着け俺)

男(マジで、マジで……。いやほんと、乗せられちゃダメだ)

男「はあ……」

男「……もう息は整った?」

姉「はい、ばっちりです」

男「そっか」

姉「……ふふっ」

67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:05:10.03 ID:Nx4irCrf0

男「……」

姉「あの、これから家に帰って、もしよかったらでいいんですけど」

姉「あんまり夜遅くまではしないので、ちょっとだけお酒に付き合ってくれませんか?」

男「……えっと」

姉「いや、お酒を呑む必要はありませんし、途中でお風呂に入っても寝てもかまいません。男くんは明日部活動がありますし、わたしもそこまで起きていられません」

姉「ただ、……えっと、なんでしょう」

男「……」

姉「……」

姉「……もうちょっとだけ、お話しませんか?」

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:06:02.70 ID:Nx4irCrf0

§

男(あのときどうして頷いてしまったんだろう……)

男(そのまま家に帰って、テレビを観ながらなんでもないような会話を交わして、日付がまわって少ししたところで風呂に入って……)

男(俺が風呂に入ってる間に呑み始めるって言ってたから、もう呑んでるんだろうな)

男(つーか姉ちゃんってお酒入るとどんな感じなんだろ)

男(あんまり変わらなそうだけど、悪酔いして近付いてきたりしたら……いつもならともかく今日はやばい)

男(そういうのは我慢しようって思ってたのに……姉ちゃんなんか普段とちがうし)

男「はあ……どうしてこうなった」

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:06:36.99 ID:Nx4irCrf0

§§

男(案の定めっちゃ呑んでる……)

男(缶チューハイだけど、俺が風呂に入ってる間だけで四本も……)

姉「男くん」

男「上がったよ」

姉「ん、こっち……来て」

男(手招きされた。隣に座れってことか?)

男(あ、肩に手を置かれた)

姉「よいしょっ、と」

男(いや……言わんこっちゃない)

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:07:13.08 ID:Nx4irCrf0

姉「対面座位……」

男「……」

姉「わたし、酒くさくない?」

男「……いやべつに」

姉「……んふふ、そーですか」

男(普通にスルーしてしまった……)

男(ていうか姉ちゃん顔真っ赤だ……服も微妙にはだけてて、妙に艶っぽいっつーか)

姉「アイス、出しときましたから……いっしょに食べましょう」

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:07:59.93 ID:Nx4irCrf0

男「これじゃ食べられないと思う」

姉「たしかに、そーですねえ……んー……」

姉「んー……」

男(口元に指を置いている姿もかわい……ああっ! もうなんか俺おかしくなってきた)

男(さすがに寝惚けたテンションで接してると間違いが起こりかね……いや、この思考もまずおかしいよな)

男(目覚ましも兼ねてお風呂に行ったのに、まるで効果がない! むしろ頭がまわってない! 姉ちゃんの甘い匂いも悪い!)

男(ていうか、まずさっきの帰り道から姉ちゃんの一挙一動がかわいく見えて仕方がないんだが……)

男(いや落ち着け落ち着け……相手は姉ちゃんだぞ。俺の噛んだガムを回収しようとするような変態な姉ちゃんだぞ)

男(いやそれだって俺を好いてくれての行動だったら…………もうダメだ俺の頭)

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:09:29.08 ID:Nx4irCrf0

姉「あ、……ふふふ」

男(なんか笑い出したぞ)

男「どうかしたの?」

姉「……こほん」

姉「男くん」

男「なに?」

姉「……ここに、たわわに実った果実が、二つある、……じゃろ?」

男「……」

姉「……じゃろ?」

男「…………は?」

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 01:10:10.52 ID:Nx4irCrf0
寝ながら書きます。次かその次で終わり。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 01:40:26.67 ID:cTFNmWDe0

これは誘ってますね
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 01:53:22.50 ID:nJ4TZhoxo
これ義姉?実姉?
それによって結構変わるよね
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 02:27:15.98 ID:Uj1lBO/BO
実姉ならおいしい義姉なら二度おいしい
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 12:56:42.35 ID:HacLpBZbO
このまま向こうで実践してもええんやで、待ってる
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 18:11:59.42 ID:wKhn6Rqj0
素晴らしい……こんな姉が欲しいです
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:52:36.21 ID:L6/AvsUb0

姉「……ん? 聞こえなかったんじゃろか……」

男(手を取られて、って、いやいや……)

男「姉ちゃん」

姉「んっ……んふふ」

姉「……あるじゃろ? 実はさっき下着を脱いだのじゃ……」

男「……」

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:53:19.88 ID:L6/AvsUb0

姉「そんで、ここに溶けかけの棒アイスがあるじゃろ」

姉「これを封を切らずに、こうして……」

姉「……ど、どうじゃ?」

男「……」

姉「……」

男「……」

姉「……男くん、無言で手を動かすのは、ちょっと……」

男「……あ、ごめん」

男(おのれ無意識……)

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:53:59.43 ID:L6/AvsUb0

姉「ベッド、行きますか?」

男「はあっ?」

姉「……ふふ、冗談ですよ」

姉「するならシャワーを浴びてからにしたいです」

男「えっ」

姉「……これも冗談です」

男「……」

男「……あ、うん。知ってたけど」

姉「そうですかねえ……どうでしょうねえ」

男「うるさい」

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:55:36.69 ID:L6/AvsUb0

姉「…………まあ、あれじゃ」

姉「反応に困ったときは、とりあえず『うん』か『まあ』で答えればいいんじゃぞ」

姉「それか、気になった言葉を復唱しておけば形にはなるとは思うのじゃ」

男(……口調がまた変わった)

姉「ほら、練習じゃぞ」

男「……」

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:56:19.69 ID:L6/AvsUb0

男(……なんか、この状況だと喋ってもらっていた方がいいかもしれない)

男(できるだけ心を無にしよう。さすがの姉ちゃんでもそんな変な質問はしてこないと思うし……)

姉「わたしの持っている棒アイスは溶けかかっているのじゃ」

男「うん」

姉「……それは、わたしの体温で、じゃが」

男「……」

男(しょっぱなから?)

男(でも、そう、そうだ。心を無に心を無に心を無に心を無に心を無に……)

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:57:08.85 ID:L6/AvsUb0

姉「男くんと触れ合っているとな、普段よりもずっと胸があったかくなるのじゃ」

男「……」

男(無に無に無に無にむにむにむに……むにっ?)

姉「お、男くん、…………またっ」

男「……あ、はい」

男(俺の馬鹿! なに両手で小気味よく揉んでるんだよ!)

男(と、とにかく冷静になれ。冷静に)

男(冷静に今の状況を考えると手に伝わる感触はすごく柔らかくて、目と鼻の先にいる姉ちゃんが頬を染めて俯いていて……)

男(うん、考えた時点で負けだ。やめよう)

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:57:42.02 ID:L6/AvsUb0

姉「ちなみに、じゃが」

姉「……いー……なのじゃ」

男「……」

男「いー?」

姉「……」

姉「……お、大きさ、じゃ」

男「……あ、うん」

姉「いろは、……らいち」

男「ん?」

姉「な、なんでもない! ……のじゃ」

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:58:20.55 ID:L6/AvsUb0

男「そっか」

姉「そうじゃ」

男(あ、肩……また掴まれた)

姉「それで……」

姉「いまが、一番の食べごろじゃから……」

姉「食べて、くれるじゃろか」

男「……」

男(……は、はあっ?)

男(食べっ、食べるってなにを?)

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 00:58:55.36 ID:L6/AvsUb0

姉「このアイスを……」

男「…………ん?」

男「アイス?」

姉「……な、なんじゃ?」

男(やべえやっぱり今の俺すっげえ馬鹿だ)

男「いや……なんでもない」

姉「そ、そう……」

男「もともと姉ちゃんの分だったんだし、姉ちゃんが食べればいいんじゃないの?」

88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:00:04.22 ID:L6/AvsUb0

姉「それは、そーなのじゃが……」

姉「……わたしの体温で溶けたアイスを男くんに食べさせるというのが」

姉「な、なんか、すごく……いいなあって」

男「……」

男(いくらなんでも変態すぎないか?)

男(と思ってるうちにもう袋を破ってるし……)

姉「はい、男くん」

姉「あーん」

姉「ん、はやく」

男「……ん」

男(どろっどろに溶けてる、なんだこれ)

89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:01:06.63 ID:L6/AvsUb0

姉「んふふ、おいしーじゃろ?」

男「……まあ」

男(味とか全く分からないんですけどね……)

姉「そんなにおいしいかの」

姉「なら、わたしも食べていーかの?」

姉「男くんの、食べかけアイス」

男「っ……どうぞ」

男(姉ちゃんほんとそういうところだぞ……)

姉「んっ……ふふ、おいしい」

姉「おさけも、のんじゃうからの」

姉「男くんもいるかの?」

男「……いや、俺は」

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:01:41.95 ID:L6/AvsUb0

姉「のむと、気持ちよくなれるんじゃよ」

男(つーか、姉ちゃんめっちゃふらふらしてる気がする)

男(いつものキリッとした顔からは考えられないほどにこにこしてるし)

男(顔がりんごみたいに赤いのはそのままだけど、さっきよりも目がとろんと垂れていて、話し方も心なしか舌ったらずになっているような……)

姉「……あの」

姉「男くん、無視はダメです」

姉「……無視するなら、わら、しも」

男(姉ちゃんなんか言ってる…………って、え? 顔近っ!?)

姉「んっ」

91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:02:14.84 ID:L6/AvsUb0

男「……っ!」

男(いやいやいやいや、いやほんとにほんとに)

男(……はあ? いや、マジで?)

男(ふにゅって……いや、え?)

姉「……はじめて、ですよ」

姉「もっかい、ものたりない」

姉「……こんどは、おさけも、まぜちゃうんですからね」

姉「んっ、んー」

男(舌が……あと、酒も入ってきた)

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:04:01.21 ID:L6/AvsUb0

姉「……ふふふ」

姉「男くん、おいしいです」

姉「あの、このまま……」

男「ちょっ、姉ちゃん」

姉「なんですかー、男くん」

姉「もっと、きすしたって……」

93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:05:25.91 ID:L6/AvsUb0

姉「…………ん、あれ?」

姉「でも、なんか、男くんが……ぼやけて、」

男(あっ、姉ちゃんの身体がゆらゆら揺れて……)

男(うわなんかこっちに倒れてきた……)

姉「……すぅ、すぅ」

男「……」

姉「……んんっ、すぅ……」

男「……」

男「……寝てるし」

94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/06(日) 01:05:56.84 ID:L6/AvsUb0
睡眠は大事。次でラスト。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 01:28:50.60 ID:ZzF7yko00
1日くらい寝なくても平気だろ
な?
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 01:31:26.72 ID:C/2Q0OB/o
のじゃのじゃ言ってると姉がロリっぽいイメージになるな
のじゃぁ〜
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 02:05:09.99 ID:aNf0dWYJO
こんな姉ちゃんどこで手に入れるんだよ
睡眠なんか一ヶ月しなくても死にはしないし一日くらい余裕でしょ
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:20:49.10 ID:R4H+hTPF0

§

姉「……おとこ、くん」

姉「……す、き」

姉「……ずっと、ずうっと」

男「……」

姉「……すぅ」

男「……」

男「……はあ」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:21:39.66 ID:R4H+hTPF0

§

姉「……うぅっ」

男「……姉ちゃん?」

姉「……ぅ……ん、男く……はっ」

男「ん?」

姉「……」

男「水飲む?」

姉「……あ、はい。いや、えっと……」

姉「……」

姉「……わ、わたし、どうして男くんの膝の上にいるのでしょうか」

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:22:06.91 ID:R4H+hTPF0

男「……おぼえてない?」

姉「え、あの、おぼえて、って……」

男「寝る前のこと」

姉「……」

男「けっこう、いろいろあったんだけど」

姉「……」

姉「そう、なんですか。わたし、まったく……」

姉「……いや、おぼえては、いると思います」

姉「……おさけ、のんでて、……いろいろ考えてて」

男「……うん」

姉「お、男くんと話をしていて、なんだかものすごく……どきどきして」

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:22:40.79 ID:R4H+hTPF0

姉「それで……」

男「……それで?」

姉「……おさけ、またのんだら、くらっとして」

姉「……」

男「……」

姉「……」

姉「……」

姉「………………あっ」

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:23:19.82 ID:R4H+hTPF0

姉「わ、わっ、わたしっ!」

姉「え、いやっ! えっ…………」

男「思い出した?」

姉「……」

姉「……えっと、か、確認させてください」

男「いいよ」

姉「き、きすをしちゃいました、よね?」

男「うん」

男「口移しもされた」

姉「はうっ……」

103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:23:49.66 ID:R4H+hTPF0

男「俺、はじめてだったんだけどな」

姉「わ、わたしも、です」

男「それ聞いた」

姉「……」

姉「……ごめんなさい」

男「……べつにいいよ」

姉「怒ってないんですか?」

男「怒るって、なにを?」

姉「勝手に、その、したこと」

男「……」

104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:24:22.82 ID:R4H+hTPF0

男「いいよ」

姉「……?」

男「俺は姉ちゃんとキスしたの、イヤじゃなかったし」

姉「……」

男「……」

姉「……」

男「……」

姉「……わたし、顔赤いですか?」

男「とても」

姉「ううっ……」

男「……」

姉「……」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:24:53.36 ID:R4H+hTPF0

男「体調戻ってきた?」

姉「……はい」

男「じゃあ、シャワー浴びてきたら?」

姉「……」

男「ん?」

姉「……いや、はい」

姉「浴びてきます……」

男「そっか」

男「俺もう部屋行ってるから」

姉「……」

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:25:43.14 ID:R4H+hTPF0

男「……じゃ」

姉「……」

男「……」

姉「……」

男「……」

姉「…………あの」

男「なに?」

姉「……上がったら、行ってもいいですか?」

男「……」

姉「……男くんの、お部屋に」

男「……」

男「……いいよ」

107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:26:33.27 ID:R4H+hTPF0

§

姉「……お、男くん」

姉「……お邪魔、しますね」

男「……」

姉「……」

男「……入ったら?」

姉「え?」

男「ベッド」

姉「あ、はい……」

姉「……失礼します」

男「……」

姉「……」

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:27:12.48 ID:R4H+hTPF0

姉「……手、べとべとじゃないですか?」

男「そんなことないよ」

姉「そ、そうですか」

男「うん」

姉「……」

男「……」

姉「……」

男「それよりさ」

姉「……は、はい」

男「なにか言うことないの?」

姉「え?」

男「……」

男「その……キスをした理由、とか」

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:27:55.39 ID:R4H+hTPF0

姉「……あ、あー」

姉「……」

姉「えっと、話さなきゃダメですか?」

男「ダメ」

姉「あう……」

男「……」

姉「……は、話します。話しますから、あたま撫でるのやめないでください」

男「欲張り」

姉「……否定できませんね」

男「……」

姉「……」

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:28:21.97 ID:R4H+hTPF0

姉「えっと──」

姉「……わたしは、もう気付いてると思いますけど」

姉「男くんのことが好きなんです」

男「……」

姉「もちろん、その……姉弟としてではなく、異性として」

姉「ずっと、ずうっと前から、好きでした」

男「うん」

姉「……それで──えっと、わたしは、わたしが思っているよりも男くんが好きみたいで」

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:29:16.00 ID:R4H+hTPF0

姉「お母さんにも、お父さんにも、こっちの友達にも、そう言われて……」

姉「わたし、怖くなってしまったんです」

男「……」

男「……どうして?」

姉「……」

姉「……好きは、好きなんです」

姉「でも、たまにわからなくなるときがあったんです」

男「……」

姉「わたしが好きなのが、男くんなのか、それとも男くんを好きなわたしなのか」

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:29:52.62 ID:R4H+hTPF0

姉「一番近くにいる異性だから、とか」

姉「……ふつうなら好きになってはいけない相手を好きになる状況に酔っているだけなんじゃないか、だとか」

姉「そういうことばかり、その、考えて……」

男「……それは、今も?」

姉「いえ」

姉「……それを確かめるために、わたしは遠くの大学に行くことにしたんです」

男「……」

姉「約束、だったんです」

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:30:23.72 ID:R4H+hTPF0

男「約束?」

姉「はい」

姉「離れていても好きでいられたら、気持ちがなくならなかったら、……本当に好きなら、四年間くらい男くん離れできないといけないって」

姉「自分との、大切な約束です」

男「……」

姉「……」

男「それで、どうして?」

114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:30:49.55 ID:R4H+hTPF0

姉「はい?」

男「いまそうしたってことは、我慢できなかったってことだよね」

姉「それは、はい。…………でも、そうじゃないんです」

男「どういうこと?」

姉「……」

姉「……えっと」

姉「失敗だったと後悔したんです」

男「……?」

姉「……」

姉「……あ、会う機会が減ったら減ったで」

姉「むしろ大きくなってしまった、といいますか」

115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:31:29.62 ID:R4H+hTPF0

姉「ひとりでいるときに男くんとしたいことを妄想するようになって、ますます好きになってしまった、といいますか」

姉「『わたしはわたしが思っているよりも男くんのことが好き』というのが、紛れもない事実なのだと認識してしまった、といいますか……」

男「電話とかメールしてくれれば良かったのに」

姉「毎日何回もしてしまいそうで、さすがに重いかなあって」

男「気にしないのに」

姉「……じゃ、今度からします」

男「うん」

姉「……」

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:31:59.29 ID:R4H+hTPF0

姉「……続けますね」

姉「男くんと会えないことが寂しくて、でも連絡を取るのは億劫で、どうしたらいいのでしょうって、考えて……」

男「……」

姉「お母さんに、言ってみたんです」

男「……そしたら?」

姉「そんなに不安なら告白しちゃえば、って」

姉「もし失敗しても家族なんだから、って」

姉「自分たちは旅行に行くからその間にさっさと気持ちを伝えちゃいなさい、って言われました」

男「……」

男「それで、キスを?」

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:32:25.88 ID:R4H+hTPF0

姉「……わたしがした別れかけのカップルの話、覚えてますか?」

男「コンビニに行く前に言ってた話?」

姉「はい」

姉「それが、頭に浮かんだんです」

姉「わたしにとっての男くんが"特別なことを話したい人"だとしても、男くんはわたしのことを"そうとは思っていない"かもしれないって、思っちゃったんです」

男「……」

姉「そして、ここから先は、とても馬鹿らしい話で、恥ずかしいんですけど……」

男「……うん」

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:33:11.40 ID:R4H+hTPF0

姉「男くんに飽きられないためにはどうしたらいいのかなと」

男「……」

姉「まずは、話し方から変えてみようって」

男「……のじゃ?」

姉「……」

姉「……は、恥ずかしいのでやめてください」

男「ええ……」

姉「いや、あの、これにだってちゃんと背景のようなものはあるんですよ」

男「ああ、はい」

119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:33:40.03 ID:R4H+hTPF0

姉「わたしの口調だと、年下をあやしてるみたいだって、友達に言われまして……」

姉「そういうふうに育てられたので、今さら変えることは難しいですけど、好きな人にそうは思われたくないじゃないですか」

男「でもむしろ歳とってるよね……」

姉「だ、だって! その、常語で話すのは、あまりにも恥ずかしすぎるかなって」

男「面倒くさ」

姉「だったら男くんはどうなんですか! わたしがこんなに悩んでたのに、全然相手にしてくれなかったですし!」

男「……」

男「いや、俺もずっと姉ちゃんのこと好きだったよ」

姉「えっ」

120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:34:26.96 ID:R4H+hTPF0

男「ちなみに一目惚れ」

姉「……ちょ、っと待ってください」

男「つまり初恋」

姉「ちょっと待ってください、胸が爆発しそうです」

男「……」

姉「……」

姉「……えっと、本気ですか?」

男「嘘言ったって仕方ないだろ」

姉「男くん、ちょっと照れてます?」

男「……うるさい」

121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:34:52.37 ID:R4H+hTPF0

姉「じゃあ、どうして今まで……?」

男「なに言っても引かない?」

姉「わたしも十分恥ずかしいので……」

男「そりゃそうか」

姉「な、なんですかその言い方!」

男「……」

男「……いや、なんつーか」

男「俺も姉ちゃんと同じこと考えて、それで、俺にはまだ早いって思ってさ」

姉「……?」

122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:35:19.30 ID:R4H+hTPF0

姉「どういうことですか?」

男「大学。姉ちゃんと同じとこ受けようと思ってて、それに受かったら伝えようって、気持ちを封印してたんだよ」

姉「……」

男「姉ちゃんから比べたら俺はまだ子供だし……」

姉「な、なんですかそれ」

姉「……好きなら好きでいいじゃないですか!」

男「……」

男「……でも姉ちゃんがそれ言う?」

123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:35:45.47 ID:R4H+hTPF0

姉「……」

姉「……たしかに」

男「……」

姉「……」

男「なんか俺たち、すっごく馬鹿だよな」

姉「ですね」

男「……」

姉「……」

男「……」

姉「……でも、好きですよ、男くん」

男「……俺も、姉ちゃんのこと好きだよ」

124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:36:11.58 ID:R4H+hTPF0

§

姉「……」

男「……」

姉「どうします?」

男「なにが?」

姉「これから…………しますか?」

男「……」

姉「……」

男「……」

姉「……」

男「いや……寝よう」

125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:36:40.64 ID:R4H+hTPF0

姉「そう、ですか……」

男「だいぶ眠いし、明日早いし……あと、」

姉「……あと?」

男「そういうのは、もっと大切にしたいから」

姉「……」

姉「……ふふ」

男「……」

男「姉ちゃんがどうしてもって言うなら、俺は拒んだりはしないけど」

姉「……」

姉「……いえ、また今度にしましょう」

姉「今日のところは、受け取った気持ちでいっぱいっぱいです」

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:37:51.68 ID:R4H+hTPF0

男「そっか」

姉「愛されてますね、わたし」

男「……っ」

男「いいからもう寝よ」

姉「はい……でも、ひとつだけいいですか?」

男「……」

男「……んっ」

姉「んっ」

姉「……」

姉「ど、どうしてわかったんですか」

男「そんな気がした」

姉「……も、もう一回」

男「やだ。俺はもう寝る」

127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:38:17.18 ID:R4H+hTPF0

姉「……」

男「……」

姉「……わたしからすれば拒まないんですよね」

姉「……」

姉「んっ」

男「……」

姉「……」

男「……」

姉「……おやすみなさい、男くん」

男「……おやすみ」

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:38:53.34 ID:R4H+hTPF0

§

姉「──きてください」

姉「……起きてください、男くん」

男「……ん、ああ」

男「おはよ、姉ちゃん」

姉「おはようございます、男くん」

男「……」

姉「……」

男「……なにしてんの?」

姉「……えっちな本探し?」

129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:39:34.08 ID:R4H+hTPF0

男「はあ……」

姉「まあ、なかったですけど……姉モノの薄い本があるかもしれないって昨日コンビニに行ったときからうきうきわくわくしてたんですけど……」

男「……持ってないし」

姉「……」

姉「……かわりに、わたしのおねショタ本を置いておくからの」

男「……は?」

姉「……読んでおくんじゃぞ」

男「……」

姉「……」

男「……変態」

130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:40:00.12 ID:R4H+hTPF0

姉「……わたしの胸を揉んだ男くんはなにも言えないと思うんじゃぞ」

男「じゃあ今揉んでいい?」

姉「……ん、どうぞ」

男「……」

姉「……」

男「……支度するからどいて」

姉「生殺しですか!?」

男「……まあ」

姉「……」

131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:40:52.63 ID:R4H+hTPF0

男「明日、部活休みだからさ」

姉「はい」

男「どっか二人で遊びに行こ」

姉「……」

姉「……んふふ」

姉「ホテル、予約しときますね」

男「……」

姉「……じょ、冗談じゃよ」

男「その口調恥ずかしいんじゃなかったの?」

姉「……」

姉「……だけど、これは照れ隠し、……じゃよ」

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:41:37.34 ID:R4H+hTPF0
おわり。睡眠と敬語姉は正義。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:42:12.00 ID:R4H+hTPF0

おまけ

男(ついに姉ちゃんに好きって言ってしまった……)

男(姉ちゃんのこと考えてたから部活に全然集中できなかったし……)

男(……ていうか、好きとは言ったけど付き合うとかなんとかはなにも言ってないんじゃね)

男(いや、アレだな。帰ったらきっと姉ちゃんから言ってくるはずだな……)

男(あ、そういえば連絡とか来てたりして)

 通知  57

男(あっ超重いわ)

134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/07(月) 01:43:10.10 ID:R4H+hTPF0
ゴールデンウィークさよなら!おやすみなさい!
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 01:50:16.22 ID:3z1xrhpBO
乙乙。良かったよー。その後も読みたいが、Rかねえ。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 03:32:22.09 ID:jyeqg3Kw0

目をこすってる敬語の姉が好きなのか
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 04:02:08.81 ID:8H4KD5qo0

のじゃ口調もいいし普通の敬語姉も良い
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 06:58:47.51 ID:VMe2l2bTo
敬語姉いいな
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 14:59:10.86 ID:wc4dzD3nO
R板なんて機能してないし今更とやかく言うやからもいないだろ
だから二人の初めての夜(意味深)編はよ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 19:22:01.09 ID:8qgApXLRO
乙。今回もよかった。
58.81 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)