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魔法使い「私の事、スカウターで覗くのやめてくださいっ!」 勇者「やだ」
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1 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:17:29.21 ID:xU9RM5RZ0
時は魔法の時代。
この世界は大きく二分化されていた。
ひとつは魔王率いる魔と闇の勢力。
そしてもうひとつが、聖王率いる聖と光の勢力。
長く続く魔と聖の戦いは、両者を衰弱させきった。
両国で世代交代があった後、彼らは暗黙のうちに表立った抗争を避けるようになり、
国力の回復を第一とした。――そして戦争は膠着状態のまま沈静化したのだ。
攻める事も攻められる事もない
愛する恋人や息子が、もう戦争に出たまま帰ってこない心労に見舞われることもない。
育むことにも作ることにも、もう二の足を踏むことはない。
そんな“平和”を皆が体感し、この安息の時を長く続けたいと願うようになっていた。
その一方で、確かに存在している“魔王”の重圧を感じないはずもないままに――
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1524939448
2 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:18:47.44 ID:xU9RM5RZ0
聖王都のはずれ
ちいさな民家
魔法使い「……」ドキドキ
魔法使い「……」ドキドキ
祖母「魔法使い…勇者の事を待つのはわかるが…そう緊張していては」
魔法使い「だ、だって」
魔法使い(…勇者さま。
先月の聖王都での祝祭典で、聖王様から宝剣を授与されていたお姿はとても凛々しかった。
過去に「勇者」の冠号を授かった方は何名もいらっしゃったけど、今回の勇者様は特別。
だって、これまでは王騎士団の長の方…つまりその、筋骨隆々としたオッサンとかがその名誉を授かっていたのだけど…)
3 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:19:25.31 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「生い立ちの明かされていない、ポっと出の謎の青年…かぁ」
勇者「ポっと出で悪かったな、オイ」ボソ
魔法使い「きゃ!?」
祖母「なんじゃ、まだぼうっとしておったのか…。待ってた割に、出迎えにもでんでまったく…」
勇者「ああ、いえ。自分が少し時間に遅れたんで気にしないでください」
祖母「すまんね。孫の目が覚めるよう、少し茶でも入れてくるとするよ。勇者殿もそう急がないのだろう?」
勇者「はい。まぁ、日が真上に上がる前には出たいですけれど」
祖母「ほほ、それならば十分じゃ」
老婆は去っていた。
魔法使いは沈黙している。
4 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:19:56.69 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い(さ、昨夜あんなにシミュレートした挨拶の言葉が、なにひとつ活かせない…っ)オロオロ
勇者「あんたが俺と組むっていう魔法使いだな?」
魔法使い「は、はい…!」
勇者「聖王からもらった資料を読ませてもらった。あんた、勇者がでるたびに毎回のように同行願いだしてるんだってな」
魔法使い「は、はい…」
勇者「ちなみに過去8回の勇者同伴審査は全落ち、最終候補どころか予選選考にも選ばれていない――−」
魔法使い「……は、はい…」
勇者「魔法、ちゃんと使えるんだろうな?」ジト
魔法使い「つ、使えますよ!魔法学校での成績なら上位30%にははいってます!」
勇者「30%ってまた微妙だな…優等生ではないけど普通よりちょっといいかな、くらい?」
魔法使い「は、はい」
5 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:20:38.27 ID:xU9RM5RZ0
勇者「まあいいや、聞くより見るほうが早い」
魔法使い「え? あ… 」
勇者「『スカウター:起動』」ブンッ…
魔法使い「やっ!!」ビクッ
勇者「『“ターゲット:前方” “対象視認:魔法使い” 確定』…ん?」
魔法使い「やぁー! 見ないでくださいーーっ」
勇者「スカウター使ったくらいでそんなに変態扱いしないでほしい…」
祖母「ほほ、気にせんでください、いつものことですじゃ。はい、お茶」コト
老婆が現れた!
勇者「あ、これは…すいません、いただきます」
祖母「その子はステータスを見られるのに臆病なだけ、旅の同行となれば知っておくことも必要じゃろうに何を恥ずかしがっているのやら…」
勇者「恥ずかしい?」
祖母「その子に聴けばわかりますよ。どれ、私は離れているとしよう。どうぞゆっくりなさるがよい」
勇者「あ、はぁ…。これはどうも…」
老婆は再び去って行った
6 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:21:14.02 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「う、うう…おばあちゃんに見捨てられた…」
勇者「人ぎぎの悪いこというなよ。…って、なんだ?お前のこのMP。 『1206/UNKNOWN』…?」
魔法使い「う、うう…。わ、私は魔法使いですが、異常能力者といわれる類の魔法使いなんです…」
勇者「異常能力…なるほど? それが選考漏れの理由だな?」
魔法使い「はい…」
勇者「おまえの異常能力ってどういうものか教えてよ」
魔法使い「…『不安定』、です」
勇者「は?」
魔法使い「司祭様に聞いたところ、私には『最大値』というものが存在しないらしくて…」
勇者「ほう」
7 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:21:44.66 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「魔法はふつう、大気中にある魔や聖のエネルギーを操作したり取り込むことで使うものなのです」
勇者「ふむ?」
魔法使い「ですが私の場合、魔法は魔力ではなく…その…」
勇者「尻から出る?」
魔法使い「何の話をしてるんですか?」キョトン
勇者「いや、いいわ、続けて」
魔法使い「…私の魔法は魔力をほとんど用いていないんです…。あくまで起動だったり意図を乗せるための指示器程度にしか」
勇者「じゃぁなんの力を使ってるんだ? まさか、魔族と同じように血の持つエネルギーだとか言わないだろうな?」
魔法使い「私は魔族ではありませんっっ」キッ
勇者「お、おう」
魔法使い「…あ…ごめんなさい…えと、そういうのじゃなくて…」
勇者「………?」
8 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:22:20.58 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「…その…私の使うエネルギーは…」モジモジ
勇者「…?」
魔法使い「……その、司祭様にきいたことなので、本当かどうか知る由はないのですが…」カァ
勇者「………早く言えよ」
魔法使い「………その、『快楽によって得られる精神エネルギー』…だそうです…」カァ・・・
勇者「FGO的な魔力供給キタコレ」
魔法使い「何の話をしてるんですか?」キョトン
勇者「いやほんとなんでもない」
魔法使い「…司祭様はこうもおっしゃられました…
『幸福に限りがないのと同じように、君の魔力値にも上限はない。
喜び、充足し、幸福を感じるほどに君は強く生きていける。
異常能力者とさげずまれることも今後はあるだろう、だが君はその能力を誇りに思いなさい。
なぜならそれは間違いなく、神様より与えられた祝福としかいいようがないものだから』 …と」
9 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:23:30.60 ID:xU9RM5RZ0
勇者「……祝福、ね。 で。それがなんで『不安定』なんて名の能力になるの?」
魔法使い「私の心の揺れ動きが…そのままステータスに反映されてしまうからです…」
勇者「ああ。そういうことなのか…どうりで」
魔法使い「え?」
勇者「さっきからあんたのステータス、ずっと落ち着かないんだよ。ばあちゃんに出された飲み物に毒でも入ってるのかと思ったわ、減り続けてたから」
魔法使い「や!? 見続けてたんですか!?」
勇者「いつから解除したとおもっていたのか」
魔法使い「うううう」
勇者「おお、減ってる減ってる…減って…」
魔法使い「………」ポロポロ
勇者「ちょ、おいまて、減りすぎだろ!? MP:441/UNKNOWNってさっきの1/3近く減少してんじゃねぇか! ってステータス見てる間になんか泣いてるし!?」
魔法使い「ヒック…ご、ごめんなさい…」
勇者「は…?」
10 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:23:57.78 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「私…この能力のせいで、嫌がられることとかも多くて…」
勇者「…? 戦闘なら困るかもだけど、私生活にステータス変化なんてそう影響ないだろ?」
魔法使い「スカウターって、勇者様みたいに魔法のタイプのだと、コアな能力な分、なかなか習得難易度も高いんで持ってる人いないんですけど…」
勇者「アニアックな魔法みたいだからコアっていうな…道具タイプのが主流だから習得するやつが少ないだけだろ」
魔法使い「それ…それです。道具のタイプのスカウター…。簡易のものだったら、子どものお小遣いでかえるような値段で売ってるじゃないですか」
勇者「あ? …買ったことないからわかんないけど、まぁよく売ってるな」
魔法使い「…魔法学校では、常用してる方も結構いて。それで…」
魔法使い「…たとえば誕生日のときとかにモノを贈ったとして…私がどれだけ喜ぶか、ステータスで見れてしまうとしたら…勇者さんならどうしますか?」
勇者「…なるほど?」
11 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:25:00.79 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「…『思ったより喜んでくれない』、とか。『喋ってる時にMPがあがらないのは、本当は楽しくないんでしょ』、とか…」
勇者「……」
魔法使い「そういうことが何度もあって…それから、スカウターってものがどうも怖く思えてしまって…」
勇者「……まぁ…」
魔法使い「ごめんなさい…」ポロポロ
12 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:25:53.46 ID:xU9RM5RZ0
勇者「――気にしちゃうのもヒトのサガだけど、それで期待通りの反応しないからって難癖つけられてもお前も困るよな。つらかったろ」ポン…ナデナデ
魔法使い「ゆう、しゃさま…」
勇者「……気にすんな、そんなこと。悪いけどお前を喜ばせたくて旅に出る気なんてないから、俺はお前にそんな妙な期待はしない。…だから心配する必要はない。そこは不運中の幸運だろ?」ニコ
魔法使い「勇者様…っ ありがとうございます…っ!」
勇者「あとむしろ、今こうしてるとステータス上がるの目に見えすぎて、めっちゃチョロインじゃんコイツってすでに思ってるから本気で気つかってやる必要もなさそうでよかった」
魔法使い「いやああああああああああああああああああああああばかあああああああああああああ」ドゴーーン!!
勇者「ぐは…っ お、怒ると…ステータス、あがるんだなぁ…」ゲフッ
魔法使いが仲間になった!
勇者と魔法使いの旅がはじまった!
13 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:33:16.60 ID:xU9RM5RZ0
少量投下・まったり進行予定です
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 07:58:22.17 ID:OJNfpflDO
期待
横文字はともかく、尻から〜やFGO的な〜などの世界観ぶち壊しのネタ発言はご勘弁
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 10:09:59.88 ID:fN5Q83+Eo
メタ発言気にしないし好きなように
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 12:08:37.07 ID:PWbaKfIBo
ネタ番じゃなければ何でも良い
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 14:15:23.01 ID:NYbvLMDA0
エタらんかったらなんでもいいです…
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 14:35:22.34 ID:gGKPNrt2o
転移勇者じゃねーのネタ発言出るのは
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 16:09:45.88 ID:dI4Bx1/go
メタなのは面白ければいいけど、正直つまらんからやめておいた方がいい
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 16:58:50.33 ID:QrrSjZHZ0
読書様のお通りですね
21 :
◆rRu4LM9vFs
[saga]:2018/04/29(日) 19:51:00.42 ID:xU9RM5RZ0
勇者「…言うても魔王討伐の旅、なんて仰々しいようなものじゃないからねぇ」ヘイワー
魔法使い「あくまで政治的交渉のための道中ですものねぇ…」ノンビリー
勇者「領地侵犯の魔族が居れば、追い払うなり討滅するなりして、都度報告…そして資料整理」
魔法使い「ヤンキーまがいの魔族さんに、勇者様が威圧しながら説教かまして、あとは私が結界張って近づきにくくしたりする程度…の、魔物討伐です」
勇者「お前が存外、いろんな魔法使えて助かったよ」
魔法使い「ふふ。学校でいっぱい勉強だけはがんばりました!」
勇者「えらいえらい」
魔法使い「えへへ…って、そういえば、この旅費ってどうなってるんですか?」
勇者「自前」
魔法使い「え」
22 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:51:48.74 ID:xU9RM5RZ0
勇者「ってのは半分ほんとで半分ウソ。成功報酬だから後払いになるわけさ」
魔法使い「じゃ、じゃぁ今現在は、勇者様の手持ちのお金で旅することになるんですか…?」
勇者「契約金として多少は貰ってるけどね。あと領地内の魔族なら討伐褒賞はその場で大抵もらえるし……」
魔法使い「さっきみたいなやつですね。村長さんがお礼にくれるやつ…」
勇者「野良魔物とかでも、装備はいだり皮売ったりして、金に換えられるのもあるけどな。って、ああ、そうか」
魔法使い「…?」
勇者「お前の装備も、本格的に魔族の領地に入る前に揃えないとな」
魔法使い「え…」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 19:52:04.01 ID:tWVPDxF7O
ブラウザバックが出来なくなるウイルスが流行っているそうだ
彼らを許してやってくれ
24 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:52:35.65 ID:xU9RM5RZ0
勇者「俺らは今後は、魔族領地へ交渉のためとはいえ不法侵入することになるんだ。戦闘頻度も増えるだろうし襲撃の可能性も高くなる」
魔法使い「いままでこうして平和なのは、聖王の領地を出ていないから、ですか…」
勇者「こっちの領地にいるうちに揃えないと、属性的に装備を揃えられなくなりそうだな…あまり田舎にいきすぎても、実践向けなのはあるだろうけど、物価あがるばっかだし。次の町で買い物していこうか」
魔法使い「あの…私、そんなにお金は持ってなくて…」
勇者「装備は俺が買ってやるからいいよ。俺の同行なんだし」
魔法使い「……はい、ありがとうございます」
勇者「……?」
25 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:53:18.53 ID:xU9RM5RZ0
――西の町
魔法使い「う、うわぁ…! 大きな町…!」
勇者「西の町は別名で商港の町ともいわれてる。港があるわけではないけど、ちょうど東西南北の商隊がここでかち合い、停泊する…寄せ返す波のように常に次々とモノが運ばれてくる町だな」
魔法使い「お詳しいのですねぇ…」
勇者「この町の出身なんだ」
魔法使い「まさかの故郷ですか!!」
勇者「いや、誰にだって故郷はあるだろうからマサカってことはないけども。王都にも近いし」
魔法使い「ふふ。私は聖王都の出身でも、なにしろあんなはずれの家に住んでいたので…。大きな町でうらやましいなぁ…」
勇者「案内でもしようか?」
魔法使い「え…いいんですか?!」
勇者「急がないし、どうせ装備もそろえるのに買い物する予定だったろ。泊りになるの確定だし」
魔法使い「わ、わぁ…!」
26 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:53:57.34 ID:xU9RM5RZ0
勇者「なんか見たいものあるの?」
魔法使い「ええと、じゃぁ…! あ、えと、うーんでも…あ、ええと…」
勇者「…………」
魔法使い「えと…じゃぁ、図書館…とか、あったりしますか?」
勇者「…あるよ。でも図書館行くなら夕方のがいいな」
魔法使い「夕方…ですか? 閉館時間とか…」
勇者「この町は商人以外にも賢者みたいな知識人もおおいんだ。だから閉館時間はだいぶおそいから安心しろ。お前が寝る時間になってもまだ図書館は開いてるさ」
魔法使い「す、すごいですねぇ…」
勇者「つーわけで、まずはこっち。お前の装備みにいくぞ」ヒョイ
魔法使い「あ、待ってくださ…きゃ」ドン
町人「……おっと失礼」ペコ
魔法使い「あ、いえこちらこそすみません!」ペコペコ
27 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:54:25.62 ID:xU9RM5RZ0
勇者「田舎モンかお前は…なんで前見ててぶつかるんだよ」
魔法使い「お恥ずかしいかぎりですー。こんなおしゃれな街ははじめてですもの」エヘヘ
勇者「……まぁ物流でいえば最先端には違いないけど、おしゃれっていうような町では…」
魔法使い「え、おしゃれですよー。みんなの着てる服とか、売ってるものとか、なんていうか売り方の展示の仕方?とか 全部おしゃれにみえますっ」
勇者「あー…建築技術とかもここは早いからな。金持ってるやつがよく集まるから高級感だそうとしてる…のかな? 言われてみれば」
魔法使い「洗練されてる感じがところどころにありますね!」
勇者「洗練、ねえ。じゃぁエスコートでもしようか?」
魔法使い「えっっ」
勇者「…冗談だ。置いてかれたくなければついてこい」
魔法使い「もう! からかわないでくださいっ」
勇者「歩幅くらいなら、合わせてやるよ」
魔法使い「……はいっ!」
勇者(……ふむ?)
28 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:55:05.05 ID:xU9RM5RZ0
その後――
店員「ありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ」ペコ…
魔法使い「…あのう、これほんとに私の装備にもらっていいんですか…?」
勇者「今更?」
魔法使い「私なんて、ローブで十分なのでは…魔法礼装のドレスだなんて…」
勇者「魔王城にこれからいこうってのに、その程度の装備ランクにビビられましても」
魔法使い「ですが…」
勇者「……気に入らなかった?」
魔法使い「え!? いえ、そんなことはないです!」
勇者「ですよねー。試着して鏡の前で『どうですか勇者様!?似合いますか!?』ってあんだけ満面の笑顔でくるくる回ってて気に入らないわけないよねー」
魔法使い「や、やめてくださいいいいいい」
勇者「んじゃ次行くか…」
魔法使い「あ、はい… あ、わぁ…」
勇者「ん?」
29 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:55:31.62 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「勇者様、見てくださいあれ!」
勇者「花屋?」
魔法使い「すごい種類…あのお店だけ、お花畑みたいですねぇ」
勇者「おまえの頭もお花畑みたいですねぇ」
魔法使い「もうっ! …少しだけ見ていってもいいですか?」
勇者「ん? いいよ」
魔法使い「やった♪」
勇者「花屋かぁ。なんつーかオンナの発想よなぁ」
魔法使い「ふふ。勇者様は女性に花束を贈ったりなさらないんです?」
勇者「したことないね」
魔法使い「あ、ほらこんなの! すごーい、お花屋さんなのにアクセサリーも取り扱ってる」
勇者「花をモチーフにしてりゃなんでもいいのか…?」
30 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:57:05.61 ID:xU9RM5RZ0
店員「いらっしゃいませ。そちらは花束を飾るためのオーナメントとして取り扱ってる商品でございますよー」
魔法使い「花束を?」
店員「ええ。ラッピングのリボンにそえたり、花束に絡ませたり…もちろんそれぞれアクセサリーとしてその後の活用が出来る商品でございます」
魔法使い「おしゃれだなぁ…そんな花束、きっとすごく素敵だろうなぁ…」
店員「はいー。婚約や記念日をお祝いの方に非常に人気の商品ですねー」
魔法使い「あ、やっぱりそういうかんじなんですねー♪」
勇者「気に入ったの? 欲しいなら買えば?」
魔法使い「……」
店員「……」
勇者「え、なに」
魔法使い「…」ハァ
店員「ま、またいらしてくださいね」ニコ
魔法使い「はい…」
勇者「え、なに? なんで買わないことが決定してるの?」
魔法使い「なんでもないです、さあ気を取り直して行きましょう」
勇者「欲しいなら買ってやってもいいぞ…?」
魔法使い「いやー…そういうのじゃないかなぁ…」
勇者「????」
31 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:57:39.57 ID:xU9RM5RZ0
キャーー!!
魔法使い「きゃ?!」ビクッ
勇者「…!」バッ
魔法使い「ゆ、勇者様。…なんか今、悲鳴が…?」
勇者「ああ、俺にも聞こえた。…ひったくりかな」
魔法使い「様子、見に行きますか?」
勇者「魔物だったらアレだしな。行くか」
魔法使い「はい!」
32 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 19:59:02.13 ID:xU9RM5RZ0
町の出口付近――
勇者「なにかあったんですか?」
町人「ああ…冒険者かい? ちなみにだが戦闘の心得は?」
勇者「はい、あります。魔物ですか?」
町人「いや、それがちょっとわからなくてな。子供が泣きながら町に入ってきたんだが、飼い犬かなんかが血まみれで。襲われたんじゃないかって話さ」
勇者「子供にけがは?」
町人「大泣きしてるってんで町医者もきたが、本人は擦り傷程度みたいだなぁ。今は犬を獣医師に見せにいってるんだが…」
勇者「子供の言うことで、経緯がわからないのですね」
町人「その通りさ。魔物だといけないから、念のために出入りを俺が見張ってるくらいだ…冒険者さん、戦闘もイケるんなら付近だけでもいいから見回ってきちゃくれねぇか?」
勇者「もちろんですよ。それと… 魔法使い、結界かけといて」
魔法使い「はい。 えと、『結界魔法・聖:起動』…それと『召喚護符:妖精』!」
町人「おお…お嬢ちゃんは魔法使いか」
魔法使い「簡易結界ですー。妖精さんを置いておくので、なにかあればこの子に伝えてくださいー」
町人「この妖精に言えばいいんだな?」
魔法使い「1時間くらいすると飽きて勝手にいなくなっちゃうんで、その間だけですけど。あ、イタズラしたりするとすぐ怒っていなくなっちゃうから気を付けてください」
町人「便利そうで微妙に不便…まぁいい、ありがとうな。気を付けていってきてくれ」
魔法使い「はいっ」
33 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 20:00:53.94 ID:xU9RM5RZ0
タタタタタ……
勇者「…お前さ、召喚護符なんてものも使えるんだな」タタタ…
魔法使い「はいっ…友好的で好意的な子が呼び出しに応じてくれる程度には、ですけどね」トトト…
勇者「ちなみにだけど攻撃系が無理とかいわんよな?」
魔法使い「一応、全科目まんべんなく平均点以上には習得してますー」
勇者「ちなみに最高科目と点は?」
魔法使い「えっ…なんだろ…どれも同じくらい…? 苦手だったのは闇魔法、かな…」
勇者「……よし、じゃぁこのあとの魔物討伐、おまえひとりでやってみて」
魔法使い「えええ!? ていうかやっぱり魔物なんですかね!?」
勇者「野良魔物だとおもう。子供の連れてる犬を襲ったって話だから、体の小さいタイプの野良魔物と、動物同士のケンカにでもなったんだろうさ」
魔法使い「なるほど…?」
勇者「大きい魔物や魔族だったら子供のほうが襲われてるはず」
魔法使い「それなら私でも追い払える・・・かな?」
34 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 20:01:43.67 ID:xU9RM5RZ0
勇者「念のため、なるべく遠距離でやれ。全科目いけるってことは遠距離攻撃もやれるんだろ?」
魔法使い「は、はい! ですが、子供も襲えない程度の魔物をどう探し出しましょう…出てくるかな」
勇者「ああ、なら おもしろいもの見せてやるよ」ピタ
魔法使い「?」ピタッ
勇者「『スカウター:起動! “ターゲット:全方位”“対象不視認:領地侵犯魔物”“測定者:魔法使い”』ブゥン…
魔法使い「スカウター…? え、今の条件…そんなの聞いたことが…」
勇者「スカウター酔いすんなよ? …『確定』!」バシュ!
魔法使い「っっ!! きゃ!?!」
魔法使いは魔法にかかった
魔法使いは魔物Aを補足した!
魔法使いは魔物Bを補足した!
魔法使いは魔物Cを補足した!
魔法使いは魔物Dを補足した!
魔法使いは魔物E…………………
魔法使いは計29894匹の魔物を補足した!
魔法使いは混乱している!
魔法使いに状態異常:スカウター酔い!
魔法使い「な…なにこれ… いつも通り見えるはずの世界に、無数のスカウターゲージが重なって…」クラッ
35 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 20:03:11.70 ID:xU9RM5RZ0
勇者「すまん、距離指定すんの忘れた」
魔法使い「…こ、こんなにたくさんの魔物が、聖王都の領地に…?」
勇者「いるよ。驚くのも無理はないけど、でもいまはこの近辺のゲージだけ見ろ」
魔法使い「で、ですが…こんなにたくさんの魔物に囲まれていたなんて思うと、私…!」ガクガク…
勇者「…いいから。この近辺の『攻撃的なやつ』の対処をしに来たんだってことを忘れんな。…ゲージが見えててもそばにいるわけじゃない。近いやつを放っておけば、次は子供が襲われてもおかしくないんだぞ」
魔法使い「っ…!」グッ
勇者「探せないならお前のスカウターを切って、やっぱり俺が…」
魔法使い「…南東方向に7、とても微弱な個体反応…群れと思われる表示があります!」
勇者「……」
36 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 20:06:23.31 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「距離は…えと、スカウターの見方がよくわかんない、どう見たらわかるのかしら…。ゲージが手前だからこれが近いはずなんだけど…」
勇者「いや、それくらいで充分だ。…おまえ、結構ガッツあるな」
魔法使い「え? う…情報が多すぎて脳がパンクしそう…」クラクラ
勇者「『スカウター:“測定者:魔法使い”解除』」ブンッ
魔法使い「…ぁっ」ヒュオン!
魔法使い「あ、は、ぁ…。わ、私はじめてスカウター画面というものを見ました…私の知ってる世界じゃないみたいだったです…」
勇者「道具タイプじゃないから画面とは言わないんだけどな。まぁいい、南東にむかっていくぞ。あやしい箇所をみつけたらまず攻撃魔法ぶっ放せ、逃げ出してくるだろう」
魔法使い「はい…! こっちです、たぶん、そんなに遠くない!」タッ…
勇者「がんばぇー がんばぇー^^」フリフリ
魔法使い「はっ!! そういえば私が倒すって話でした!!うわぁん!!」タタタタ…
37 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 20:18:09.73 ID:xU9RM5RZ0
ここまで
>>19
ぐう正
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 20:31:53.50 ID:QrrSjZHZ0
乙
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 21:20:30.59 ID:P0ORwC3Oo
乙です
40 :
◆rRu4LM9vFs
[saga]:2018/05/02(水) 19:56:42.12 ID:RGYHyMDl0
街道端にある、藪近く――
ザッ…
魔法使い「……あ、あのあたりかな… えと…! 『風魔法弱:起動』!」
ビュゥ………!
兎型魔物「ピキャー!! ピキャー!!」
魔法使い「茂みの中から鳴き声… 居た!見つけました、 ほんとに小さい野良魔物です…っ」
勇者「…待て」
魔法使い「ど、どうしました?」
勇者「こいつらじゃない」
魔法使い「え? でもこの周辺にはこの子たちくらいしかゲージは…」
勇者「いくらなんでもコイツらじゃ犬も襲えない…魔物といっても赤子だぞ。そもそもこいつらは草食魔物だ」
兎型魔物「ピキャー!! ピキャー!」
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