他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【ミリマスss】杏奈「罪と」百合子「罰」
Check
Tweet
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:26:21.21 ID:M3EXzwGS0
・本編は次から
・完結済みなので、順に投稿していきます
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1524914780
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:27:02.24 ID:M3EXzwGS0
杏奈「(百合子さんは、杏奈に隠しごとがある)」
百合子「?」
杏奈「(百合子さんは隠しているつもりでも、杏奈には分かる)」
百合子「杏奈ちゃん?」
杏奈「(だから、杏奈は待ってるよ?)」
百合子「そ、そんなにじっと見られたら、恥ずかしいよ///」
杏奈「百合子さん」
百合子「な、何?///」
杏奈「杏奈、百合子さんのこと……ずっと待ってるから」
百合子「?」
百合子「……」
百合子「ありがと、杏奈ちゃん」
杏奈「(今はこれが精いっぱいの気持ち)」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:27:52.99 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
百合子「(私が『呪い』を受けてから、もう何年が経ったのか)」
百合子「(思い出そうとしても、千年からなる記憶の地層は、地平線の彼方に漂う霞みたいに、ぼんやりとして判然としない)」
百合子「(朝、目が覚めると、一番に確認するのは、ここはどこで、私は誰なのか、ということ)」
百合子「(昨日が一年前のように感じたり、百年前のことがつい一時間前に起こったように思うのは、長い時の中で、私の自己同一性が失われつつあるからだろう)」
百合子「(もしかしたら、フィリップ・K・ディックも私と同じ『呪い』を受けていたのかもしれない)」
百合子「(私は、七尾百合子)」
百合子「(アイドルで、読書が好きな女の子)」
百合子「(忘れていなかった、ただそのことで、ほっと胸を撫でおろす)」
百合子「(どれだけ思い悩んでも、私が分からない時、思い出すのは、異端審問を受け、逃げた森で啜った泥水の味や、戦場で嗅いだ血と肉の臭い、果ては私が生きるために、その首筋へ噛み付いた幼い女の子の叫び声)」
百合子「(どうして生きているのだろう、という疑問が頭を離れない)
百合子「(どうして、あなたは生き延びているの?)」
百合子「(そんな糾弾の声さえ、頭の中にこだまする)」
百合子「(私は、吸血鬼)」
百合子「(人の血を口にしなければ生きていけない怪物)」
百合子「(フランケンシュタインの怪物が願ったように、私もまた、同胞を求めて、さまよっている)」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:28:23.50 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
レッスン場
杏奈「百合子さん、隣いい……?」
百合子「うん、どうぞ」
百合子「……」
杏奈「何、読んでるの?」
百合子「……ドグラ・マグラ」
杏奈「?」
杏奈「(ホラーもの?)」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:29:02.54 ID:M3EXzwGS0
杏奈「……」
百合子「……」
杏奈「(百合子さん、最近、いつも一人でいる)」
杏奈「(何か、あったのかな?)」
杏奈「……」
百合子「杏奈ちゃん」
杏奈「!」
百合子「無理して、側にいなくてもいいよ?」
杏奈「……邪魔?」
百合子「ううん、そうじゃないけど……」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:29:44.77 ID:M3EXzwGS0
百合子「……」
百合子「ううん、やっぱり違う。邪魔じゃないよ」
杏奈「……」
杏奈「(でも……そうじゃないけどって?)」
杏奈「杏奈、あっち行ってるね?」
百合子「え?」
杏奈「……」
百合子「あっ、うん。いってらっしゃい」
杏奈「(引きとめないんだ……)」
百合子「(何で? どうしてそんな悲しそうな顔するの?)」
百合子「……」
百合子「(ダメ。全然、頭に入ってこない)」
百合子「(杏奈ちゃん、亜美ちゃんたちと楽しそうに話してる)」
百合子「(どうして、私の所になんか来たの?)」
百合子「……」
百合子「(杏奈ちゃんが何考えてるのか、分からないよ)」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:30:20.59 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
トレーナー「全員そろってるね」
トレーナー「十分後にレッスン始めるよ。準備運動は済んでる?」
「「「「「はーーい」」」」」
百合子「はぁ」
杏奈「百合子さん、憂鬱?」
百合子「ダンスレッスンだもん」
杏奈「うん、杏奈も……」
百合子「(今度は、嬉しそうに笑ってる)」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:30:55.39 ID:M3EXzwGS0
杏奈「頑張ろう、ね?」
百合子「う、うん」
杏奈「?」
百合子「(つい、目を逸らしちゃう)」
百合子「!」
百合子「杏奈ちゃん、靴紐ほどけてるよ」
杏奈「あっ、ありがと……」
百合子「ねえ、そのトレーニングシューズ……」
杏奈「!」
杏奈「えへへ、百合子さんとおそろい」
杏奈「この前、百合子さんがおすすめ……してくれたから」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:31:21.36 ID:M3EXzwGS0
百合子「っ!」
百合子「何で……?」
杏奈「?」
杏奈「百合子さん……?」
百合子「……」
百合子「(胸が苦しい)」
百合子「(杏奈ちゃんの笑顔が眩しい)」
百合子「(苦しいよ)」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:32:22.72 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
事務所
杏奈「……」
星梨花「……?」
杏奈「……」
星梨花「杏奈さん、何を読んでるんですか?」
杏奈「!」
杏奈「星梨花?」
星梨花「読書ですか? 珍しいですね」
杏奈「……うん、知りたいこと……あって」
星梨花「!」
星梨花「すごい表紙ですね///」
杏奈「うん……百合子さんが、読んでたの」
星梨花「ドグラ・マグラ?」
星梨花「どういう話なんですか?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:32:54.74 ID:M3EXzwGS0
杏奈「記憶喪失の人が、病院で目覚める話?」
星梨花「?」
杏奈「杏奈も、まだよく分かってなくて……」
星梨花「何だか、難しそうです」
杏奈「うん。全然……読み進められない」
星梨花「……?」
星梨花「そういえば、知りたいことって」
杏奈「……」
杏奈「百合子さん……最近、すごく悲しそうな顔、するの」
杏奈「だから、もっと百合子さんのこと、知りたい……」
杏奈「百合子さんの読んでるものとか……見ているものとか……好きなもの、集めたら、もっと百合子さんのこと……分かるかなって」
星梨花「……」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:33:27.11 ID:M3EXzwGS0
星梨花「すごいです! 杏奈さん!」
星梨花「杏奈さんは、本当に百合子さんのことが好きなんですね!」
杏奈「……///」
杏奈「でも……百合子さんは、嫌がるかも」
星梨花「そんなことないです!」
星梨花「きっと百合子さんも嬉しいと思います」
星梨花「杏奈さんがそんなに、たーくさん百合子さんのことを思ってくれているのを、嫌がるわけありません!」
杏奈「そう、かな?」
星梨花「そうですよ!」
杏奈「……」
杏奈「あの、少し、聞きたいことがあるの……」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:34:23.32 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
駅前広場
百合子「(杏奈ちゃん、急に呼び出して、どうしたんだろう?)」
杏奈「百合子さ〜ん!」
杏奈「ごめんね、待った?」
百合子「っ、ううん。今来たところ」
杏奈「えへへ、準備があって、遅れちゃった!」
百合子「そんな! 私が早く来すぎただけで……」
杏奈「ううん、杏奈が……」
あんゆり「「っ! ふふっ」」
百合子「まだ待ち合わせの十五分も前なのにね」
杏奈「百合子さんが、早く来すぎなのっ」
百合子「私のせい!?」
杏奈「あははっ!」
百合子「えへへ」
杏奈「……百合子さん、やっと笑った、ね?」
百合子「え……?」
杏奈「最近、百合子さん、落ち込んでるみたいだったから」
杏奈「杏奈、心配だったの」
百合子「……それじゃあ、今日、急に誘ったのも?」
杏奈「うん! 今日は杏奈がエスコートするね!」
杏奈「星梨花にも相談して、準備していたんだ」
杏奈「だから、今日は目一杯楽しんでね!」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:34:50.51 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
とある美術館
百合子「うわぁ〜!」
百合子「すごい! 杏奈ちゃん、見て!」
杏奈「うん、宇宙ヒーロー伝説の原画……!」
百合子「『名作が甦る! アニメ・マンガ・ノベル 原画・挿絵展』最近は、美術館でもこういうのやるんだね!」
杏奈「杏奈も、あんまり詳しくなかったけど……亜利沙が教えてくれて」
杏奈「百合子さんと一緒に来たいなって……///」
百合子「杏奈ちゃん! Million Fantasyの設定画だよ!」
杏奈「うん……!」
杏奈「(百合子さんが嬉しそうで、よかった)」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:35:33.69 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
レストラン
百合子「ふわぁ〜、疲れたね」
杏奈「Million Fantasyのドット絵もあって、杏奈、みんなの最期を思い出して、泣いちゃった……///」
百合子「私も、リーン・サーガの挿絵があって……」
杏奈「百合子さん、口に出てた、よ?」
百合子「ええっ!」
百合子「は、恥ずかしい///」
杏奈「えへへ」
百合子「うう〜、リーン、勇気を貸して……」
杏奈「で、でも、周りにいた人……みんな頷いてた」
百合子「頷く?」
杏奈「リーンのこと、思い出した……のかな?」
百合子「……そうだといいなぁ」
杏奈「……」
杏奈「ねえ、百合子さん、手を出して」
百合子「……?」
杏奈「杏奈に勇気を貸して?」
百合子「えっ!」
杏奈「新作、ぷっぷかプリン味のアイス」
杏奈「一緒に、食べよ?」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:36:04.68 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
電車内
杏奈「……」
百合子「(杏奈ちゃん、寝ちゃった)」
百合子「(はしゃいでた私に、頑張って付き合ってくれたんだよね)」
百合子「(杏奈ちゃんのおかげで、元気になれたよ)」
百合子「(ありがと、杏奈ちゃん)」
百合子「……」
百合子「(可愛い寝顔)」
百合子「(ほっぺ、柔らかそう)」
百合子「(ちょっと触るぐらいなら、いいよね?)」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:36:43.85 ID:M3EXzwGS0
杏奈「うぅん……」
百合子「!」
百合子「(び、びっくりした)」
杏奈「ゆりこ、さん……」
百合子「……」
杏奈「ありがと……」
百合子「……」
百合子「(私、杏奈ちゃんに感謝されるようなことしたかな?)」
百合子「(私の方が、杏奈ちゃんにありがとうって、言いたい)」
百合子「!」
ゾクゾクゾク
百合子「あっ……!」
百合子「(どうして、今なの?)」
百合子「(血、血が欲しい……!)」
杏奈「……」
百合子「(杏奈ちゃん、逃げて)」
百合子「……」
百合子「(美味しそう)」
百合子「……」
杏奈「……?」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:37:17.18 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
夜の路地
百合子「はぁはぁ」
「…………」
百合子「どうして?」
「…………」
百合子「杏奈ちゃん……」
「…………」
百合子「杏奈ちゃん……!」
百合子「死なないで」
「…………」
百合子「(どうしよう、血が止まらない)」
百合子「(杏奈ちゃんが死んじゃう)」
百合子「(止まって、止まって!)」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:37:46.45 ID:M3EXzwGS0
「…………」
百合子「(杏奈ちゃん、ごめんなさい)」
百合子「(私が、吸血鬼だったから)」
百合子「(杏奈ちゃん、ごめんなさい)」
「…………」
百合子「……」
「…………」
百合子「……」
ピチャピチャ
百合子「(杏奈ちゃんを生き返らせる方法が、一つだけある)」
百合子「(杏奈ちゃんの血を飲み干して、私の眷属にする)」
百合子「(杏奈ちゃんを、私みたいな化物に……)」
百合子「うぅ、ごめんなさい……」
百合子「(考えちゃダメだ)」
百合子「(躊躇ったら、杏奈ちゃんが死んじゃう)」
百合子「(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい)」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:38:18.79 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
百合子「……」
杏奈「ゆりこさん……?」
百合子「杏奈ちゃん、ごめんね」
杏奈「?」
杏奈「……!」
杏奈「百合子さんがしたの?」
百合子「……」
杏奈「百合子さんが、杏奈を……」
百合子「うん」
百合子「杏奈ちゃん、もう分かってると思うけど……」
百合子「杏奈ちゃんは私とおんなじ、怪物なんだ」
杏奈「……」
百合子「ごめんね」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:38:49.31 ID:M3EXzwGS0
杏奈「……」
百合子「ごめんね、私が杏奈ちゃんと一緒にいなかったら、杏奈ちゃんは化け物にならずにすんだのに」
杏奈「百合子さん、杏奈は大丈夫」
百合子「……それは、杏奈ちゃんが眷属だから言えるだけで……」
杏奈「違うよ?」
百合子「!」
杏奈「百合子さんが悩んでたの、この事だったんだね?」
杏奈「なら、杏奈は、百合子さんと一緒になれて……うれしい」
杏奈「百合子さんとおんなじになれて、杏奈、すごくうれしいよ? 百合子さんの秘密を知れて……うれしい」
百合子「……」
百合子「ありがとう……杏奈ちゃん」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:39:41.77 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
杏奈「じゃあ杏奈、不老不死なの!?」
百合子「う、うん。不死身っていう訳じゃないから、ひどい怪我をしたり、重い病気にかかると死んじゃうけどね」
杏奈「それじゃあ、吸血は?」
百合子「それはやっぱり一月に一回くらいはしないと、自我が保てなくて、私みたいになっちゃうけど」
杏奈「やっぱり、物語みたいに暗い夜道で――」
百合子「――なるべく事件にならないように気は使ってるけど」
杏奈「そっか」
百合子「(しょんぼりされた……)」
百合子「杏奈ちゃん、吸血鬼になるのなんて……そんなにいいことじゃないよ?」
杏奈「?」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:40:13.31 ID:M3EXzwGS0
百合子「杏奈ちゃんはこれから百年だって、千年だって生きていかなきゃいけないんだよ?」
百合子「大切な人もいなくなるし、同じ場所には住み続けられないし、たくさんのことにお別れしないといけないの」
杏奈「……」
杏奈「百合子さんは、そんな辛い思いをたくさん……したんだね」
杏奈「辛かった、ね?」
百合子「あ……」
百合子「(杏奈ちゃんの手、あたたかい)」
杏奈「でも、安心して!」
杏奈「これからは杏奈がずーっと一緒にいるから!」
杏奈「杏奈、百合子さんと一緒なら、どこまでだって行けるよ」
百合子「……」
百合子「(杏奈ちゃんは強いなぁ)」
百合子「(私は、そんな風になれないよ……)」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:40:43.86 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
事務所
P「おーい、百合子いるか?」
杏奈「百合子さん……」
百合子「はい! 何ですか、プロデューサーさん」
P「ああ、いたいた」
P「いやちょっと、次の公演のことで相談があって」
百合子「杏奈ちゃん、ちょっと行ってくるね?」
杏奈「うん」
P「何だか最近、べったりだな」
百合子「?」
P「杏奈と百合子だよ」
百合子「そうですか?」
P「いやぁ、以前からそうだったけど、最近は特に一緒にいるなと思って」
百合子「新しいゲームがリリースして、忙しいっていうのはありますけど……」
P「ふうん、ま、仲がいいのもよろしいが、学業をおろそかにするなよ?」
百合子「うっ」
P「なんて顔するんだか」
P「宿題が終わらないって泣いても知らないからな」
P「杏奈にも、注意しておくように」
百合子「は〜い……」
???「……」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:41:28.29 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
夜のシアター
百合子「杏奈ちゃんはまだ吸血鬼になりたてだから、よく分からないと思うけど、漫画とかゲームみたいに、私たちも特殊能力が使えるの」
杏奈「……!」
百合子「いつか、この場所から追われる時には、必要になると思うから、教えておくね?」
杏奈「うん、杏奈、頑張る」
百合子「それじゃあ、まずは魅了【チャーム】から」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:41:59.67 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
百合子「今日はだいたいこのぐらいにしようか?」
杏奈「う、うん」
百合子「私たちが出来るのは、今日教えたものだけだから、よく覚えておいてね」
杏奈「魅了、使役、変身……だね?」
百合子「そう、下級生物を操ること、別の生き物に姿を変えること、その二つとも、魅了の力が基礎になってるから、万能の力だと思っちゃダメだよ」
杏奈「杏奈、百合子さんを守れるようになるから……!」
百合子「……」
百合子「(そんなの、必要ないのにな)」
杏奈「百合子さん?」
百合子「本当はこんな力、使わない方がいいんだけどね」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:42:31.64 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
P「百合子のバカはどこに行った!?」
P「こんなに宿題をため込みやがって!」
P「事務所のロッカーが破裂したぞ!」
百合子「え? な、何があったんですか?」
P「百合子ぉ!」
P「よくも、のこのこと顔を出せたもんだな!」
百合子「え、えっ?」
P「お前のロッカーから、山ほど宿題が出てきたんだぞ。どうしてくれる!」
百合子「あ、あの、何の話か――」
P「――しらばっくれるな! ほっぺむにーの刑だ!」
――――!
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:43:07.47 ID:M3EXzwGS0
杏奈「プロデューサーさん、百合子さんから離れて」
P「!」
杏奈「離れて……!」
P「……」
P「(何だ? この雰囲気。身体が上手く動かない)」
杏奈「そう。プロデューサーさん、離れないんだ……なら――」
百合子「――杏奈ちゃん、待って!」
杏奈「?」
杏奈「百合子さん、どうして止めるの?」
杏奈「プロデューサーさんは百合子さんを傷付けようと――」
百合子「――そうじゃないよ!」
百合子「正気に戻って、杏奈ちゃん」
杏奈「!」
杏奈「……」
百合子「……」
P「……」
P「な、何なんだ?」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:43:52.29 ID:M3EXzwGS0
P「百合子?」
百合子「プロデューサーさん、私の目を見てください」
百合子「いいですか? 今起こったことは、765プロの中では、日常茶飯事の出来事です。プロデューサーさんが私のほっぺをむにーとして、杏奈ちゃんが止めに入った、それだけです」
百合子「いいですね……?」
P「……」
P「あ、ああ。何だ、百合子は変なこと言うなぁ」
P「俺が百合子のほっぺをむにーして、杏奈が止めに入っただけなのに、そんなことを確認するなんて」
百合子「(よかった)」
亜美・真美「じゃじゃ→ん、兄ちゃん! 亜美真美たちの策に掛かったな!」
亜美「実はゆーりのロッカーに入っていたのは、亜美たちの宿題だったのだ!」
真美「そうとも知らず、ゆーりのほっぺをむにーするとは、将棋会館!」
P「もしかして、笑止千万か?」
P「……」
P「というか、お前たちの仕業だったのか!」
亜美・真美「ばれてしまってはしょうがない」
亜美・真美「これは、あの技を使う時が来たようですな」
P「な、何!?」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:44:25.61 ID:M3EXzwGS0
亜美・真美「コマンド →にげる」
P「!」
P「ま、待て! 逃げるな〜!」
P「あ、百合子。この償いは今度、必ずするからな!」
百合子「……」
杏奈「……」
百合子「行っちゃったね」
杏奈「……百合子さん、ごめんなさい」
百合子「大丈夫だよ……」
杏奈「杏奈、がまんできなくて。プロデューサーさんと百合子さんがいつもやってることなのに、杏奈……百合子さんのこと、守らなくちゃって……」
百合子「杏奈ちゃん、助けようとしてくれてありがとう」
杏奈「……」
杏奈「ごめん、なさい」
百合子「(どうしよう、眷属としての適性がこんなに強いなんて)」
百合子「(また同じようなことが起きた時、杏奈ちゃんは誰かを殺してしまうかも……)」
???「……」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:45:05.11 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
杏奈「(百合子さんがいない)」
杏奈「(事務所に帰ってきていい時間のはずなのに……)」
杏奈「(もしかして、怪我……?)」
杏奈「(ヴァンパイアハンターに襲われたのかもしれない)」
百合子『いい? 杏奈ちゃん』
百合子『この世の中には、私たちを追いかける吸血鬼専門の殺し屋がいるの』
百合子『ゲームとかアニメの題材にもされてるけど、それはヴァンパイアハンターっていって、文字通り、私たちを社会に害を及ぼすものとして、消して回ってる』
百合子『だから、私たちは誰にも正体を知られてはいけないし、能力を見せびらかしてもダメなの』
杏奈「(もし、そうなら、百合子さんを守るのは……)」
杏奈「(杏奈の仕事だ)」
星梨花「あっ、杏奈さん。どこに行くんですか?」
杏奈「……百合子さんの、お迎え」
杏奈「百合子さん、見なかった?」
星梨花「それなら、志保さんと何か話してましたよ?」
星梨花「秘密の話だって」
杏奈「!」
杏奈「(志保が?)」
杏奈「(早く行かなきゃ)」
杏奈「ありがと、星梨花」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/28(土) 20:45:48.25 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――
百合子「……」
志保「……」
杏奈「百合子さん!」
百合子「あ、杏奈ちゃん!?」
志保「……」
志保「百合子さん、この話はまた今度」
百合子「う、うん」
杏奈「……」
志保「それじゃあ、杏奈。百合子さんをよろしく」
杏奈「!」
百合子「……」
杏奈「百合子さん、志保と何、話してたの?」
百合子「それは……」
40.65 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)