剣と魔法と運送業

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 23:41:44.19 ID:8/zgltwAO
輸送屋だから攻撃も輸送してます乙
784 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:31:22.60 ID:t4oQpaDo0
投下します
785 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:32:11.27 ID:t4oQpaDo0
-王都郊外 煉瓦橋-


カンカンッ!カンカンッ!

親父「逃げられる奴は今すぐ王宮へ逃げろ!」

親父「残ってる陸軍兵士は俺に続け!」

親父「腹が決まった奴だけな」ギロリッ

兵士1「お、俺は行くぞ!」チャキッ

兵士2「王国陸軍の誇りにかけて!剣士殿に遅れは取らん!」チャキッ


ヒュルルル…ズシィィン!!!


親父「っ!おいでなすったか!」チャキッ

ベリアル「…剣士か」フンッ

兵士1「で、でけぇ…」ガタガタ

兵士2「なんだよコイツ…」ブルブル

親父「おいビビってんじゃねぇ!!」クワッ

ベリアル「相手に不足はねぇな」ニヤッ

親父「お互いにな。それじゃ…」

親父「煉瓦橋の死闘と参りますか!」

786 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:32:51.43 ID:t4oQpaDo0
-西の街 陸軍本部跡-


大佐「ゆ、勇者殿!」ダダッ

勇者「ここにも魔族の報復があるかも知れません」

勇者「手を貸してもらえますか?」

大佐「勿論!人々を守るという使命は我々陸軍も勇者殿と同じ!」

大佐「総員!戦闘配置!勇者殿を援護するんだ!!」


バサッ…バサッ …ズシンッ


デーモン「…現れたな、勇者」ギロリッ

勇者「人々の為!世界の平和の為!」チャキッ

勇者「俺は戦う!!」クワッ

787 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:33:48.88 ID:t4oQpaDo0
-荒野の国 街道-


兵士1「あいつら全員消えちまった」ポカーン

兵士2「と、とにかく俺達は荒野の国の中心部へ向かうぞ!」ガチャ バタンッ

兵士1「えぇと、エンジンをかけて」キュルル…ブォン!

兵士1「クラッチを踏んで、ん?ギアどうやって入れるんだ?」スコスコ プシュン

兵士2「おいエンストしちまったぞ!何やってんだよ!」

国王「…貸してみろ」キュルル…ブォン!

国王「このタイプのカーゴはマニュアルモードに切り替えねばクラッチ操作は受け付けん」ピッ

国王「男くんはナビシステムを使ったオートモードで運転しているからな」ガチャン!

兵士1「お、おぉ」ナルホド

国王「先輩くんはマニュアルオンリーだから、今の操作は必要ない」

国王「こっちのカーゴは私が運転する、操作について質問はあるか?」

兵士1「だ、大丈夫であります!」ビシッ

兵士2「凄い…陛下もカーゴを運転出来るなんて」

国王「私は一国の王だ」キリッ

国王「では向こうのカーゴは頼むぞ、私が先行するから続くのだ」

兵士1・2「り、了解!」ダダッ

ブォン!ブロロロ…

788 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:34:58.90 ID:t4oQpaDo0
-亜空間 小さな土地-


バシュゥゥ…!!

男「な、なんだここは」キョロキョロ

女「どうやら再び来てしまったようね」

同僚「ただいましたくなかったなーww」

先輩「なんだこりゃ!?地面が宙に浮いてるぞ!!」

修道女「魔族の本拠地って極寒の大地じゃないんですか!?」


『人の子よ』


男「っ!!」ビクッ

魔法剣(ナビ)『なんやこの声…頭の中に直接…?』

同僚ナビ『それに何ですの?このヒリつくような気配…』ゾクッ


『愚かなる人の子よ』


同僚「初対面で失礼しちゃうわねwwアホだって自覚はあるけどもwww」

先輩「この声が魔王なのか!?どこにいやがる!!」


『お前達は何故戦う?』


先輩「決まってるだろ!お前達魔族を倒して平和を勝ち取る為だ!」

男「…違う」フルフル

修道女「お、男さん?」


『奪う事 殺す事』

『それがお前達の言う平和か?』


女「今回、戦いの口火を切ったのは賢者さん…」

修道女「まさか、魔族はただ単に自衛を…?」


『戦いを望むのならば相手になろう』

『我の元へ来るがよい』


パァァァ…

789 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:35:50.05 ID:t4oQpaDo0
-亜空間 魔王城-


オォォォォォオォォォ…

男「…ここが」ストッ

同僚「城というよりでっけぇ箱だなwww横○アリーナ位ありそうwww」

女「しかし不思議な場所ね、あれだけ詠唱して消耗した筈の魔力が」

修道女「そうなんです、完全に回復しています」

先輩「さて、どこから入るか」ペタペタ

女「入り口らしいものはないわね」ペタペタ

修道女「お、お二人とも気を付けて下さい!」

同僚「ホント似てきたよなこのカップルwww」

男「…。」ギリッ

魔法剣(ナビ)『男ちゃん?』

男「さっきの声…そして同僚が会ったという魔族の話」

男「やっぱりおかしい…この戦いは!」


『考える事の出来る者は幸いである』

『それが人の子の持つ、最も尊い力だ』


パァァァ ゴゴゴゴ…

先輩「壁が…開いていく」

女「中に入れって事ね」

790 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:36:47.42 ID:t4oQpaDo0
-魔王城内部-


オォォォォォオォォォ…

先輩「な、何だこりゃ…」ゴクリ

男「巨石なんか比較にならない…」

修道女「なんて巨大な魔法石…!!」

同僚ナビ『ひ、ひぃっ…!』ガクガク

同僚「お、おいこれが魔王の正体だってのか!?」


『人の子よ』

『疑問を抱いた事はなかったか?』


女「疑問…?」


『魔族、魔力、そして魔法』

『全ての魔なる力は同じ始祖を持つ』

『汝らは、魔なる力を以って同じく魔なる存在たる我々と対峙してきたのだ』


先輩「そ、そんな…!」


『我が名は魔王』

『全ての魔なる者の母にして頂』

791 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:37:42.08 ID:t4oQpaDo0
修道女「じ、じゃあ私達の魔法は元を正せば全て魔王の力…!?」

同僚「魔王というから魔族の親玉だと思ってたが…これじゃ殆ど神様じゃねぇか」

女「そんな…勝てない…勝てる筈がない…」フルフル

先輩「し、しかしここまで来て引き返すわけには!」チャキッ

男「…先輩」グイッ

先輩「…。」

男「俺が行きます」ズイッ

スポンッ カランカランッ…

魔法石(ナビ)『お、男ちゃん?』チリンッ

女「ちょっと男くん!?何言ってるの??」

先輩「剣を捨ててどうやって戦うってんだ!?」

男「…戦いません」フルフル

先輩「戦わない!?」

男「ナビ、付いて来てくれるか?」

魔法石(ナビ)『…当たり前やろ』フフッ

修道女「お、男さん!!」

同僚「…おい」

男「…。」

同僚「絶対戻ってこいよ」

男「あぁ、約束する」ニコッ


パァァァ…

792 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:38:28.37 ID:t4oQpaDo0
パァァァ…

先輩「男とナビちゃんが…」

女「魔王の中へ吸い込まれていく…」

同僚「男ぉー!!ナビちゃーん!!」

修道女「あぁ…私は」フルフル

修道女「誰に祈ればいいの…?」

793 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:39:09.08 ID:t4oQpaDo0
-魔王内部-


男「…ん」パチ

ナビ「…ここは?」パチ

『ここは我が胎内』

『全ての魔なる者の生まれ出ずる場所』

男「魔王…あなたは」

男「全部知っていたんですね?」

『我は悠久なる時を越え、全てを見てきた』

『汝ら人の子が、自らを傷つけ合いながらその血で綴った歴史の全てを』

男「人の歴史…魔族とだけじゃない、同じ人間同士での争い」ギリッ

『奪い、奪われ』

『殺し、殺され』

『その血塗られた歴史を連綿と紡いできた汝らに』

『平和を説かれるなど片腹痛いのだ』

男「…何も言い返せませんね」フゥ

男「それなら人間を滅ぼしますか?俺達はいなくなった方がいいと思いますか?」

ナビ「お、男ちゃん!何言うてんの!?」アセッ

『汝らがどう生きるのか、それは汝ら自身で考える事だ』

『考える事、それが汝ら人の子の希望にして』

『責任なのだ』

男「俺は…」

794 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:40:04.63 ID:t4oQpaDo0
男「俺はただの運送屋です」

男「ただ荷物を積んで、運んで、下ろして」

男「その先にあるものを考えようとしなかった」

男「…里が燃え上がった、あの日までは」

ナビ「せや!里の襲撃は何やったん?魔王はんがやったんとちゃうん!?」

『汝らが手にした魔法石と、その中に取り込まれし善なる魂』

『その暴発の理由は明白、汝らには過ぎた力だったのだ』

男「…あの日から、ずっと考えてきた」

男「俺達は一体何と戦うべきなのかって」

ナビ「男ちゃん…」

795 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:40:59.11 ID:t4oQpaDo0
男「俺には家族がいて、仲間もいる」

男「守りたい人がいて、守りたい場所がある」

男「その為に剣を抜かなきゃならないなら仕方ない」

男「でも魔王、あなたは…」

男「あなたは俺達が戦うべき敵じゃない」

『されば何とする?人の子よ』

『自らの事しか顧みぬ人の子の間にあって、その思いを貫けるのか?』

男「そ、それは…」

『汝のその欠けた心が砕けて折れてしまわぬと誓えるのか?』

『その弱き心で、本当に誓えるのか?』

ナビ「欠けた心…弱き心…」

男「時間はかかるかも知れません!でもいつか必ず!」

『ぬるいな』

パァァァ…

男「…っく!な、なんだこれは…!!」

ナビ「お、男ちゃん!?」

『汝に我が見てきた歴史を見せよう』

『人の子の、その血塗られた愚かな歴史を』

『これらを見ても尚、同じ事が言えるのか?』

パァァァ…

796 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:42:06.11 ID:t4oQpaDo0
パァァァ…


<子供は!子供だけはっ!!

<いやぁぁ!!お母さん!!


男「っ!!や、やめろぉぉ!!」


<死にたくない…いやだぁぁ!!

<殺せ、死にたくないならな…


男「やめろ…やめてくれっっ!!」


<ガス室へ送れ、全員だ

<母は祖国、父は同士将軍です!


男「こ、こんな子供まで…」ポロポロ

797 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:43:02.03 ID:t4oQpaDo0
『醜悪にして愚か』

『凄惨にして非情』

『目を背けるな』

『これが汝ら、人の子の歴史だ』

798 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:44:09.86 ID:t4oQpaDo0
パァァァ…フッ

男「うぅ…こんなのって…」ポロポロ

ナビ「男ちゃん!!!」ユサユサ

男「うぅ…あぁ…」ポロポロ

『心が折れたか』

『汝の誓いなどそんなものか』

ナビ「か、考えるんや…!男ちゃんにしてあげられる事を!!」

ナビ「欠けた心…弱き心…」

ナビ「…そうか」ハッ

ナビ「男ちゃん…一人にはしぃひんで!!」 スッ

ナビ「」パァァァ

799 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:45:37.45 ID:t4oQpaDo0
-男の精神世界-


ヒュゥゥ…

ナビ「…ん」パチ

ナビ「久しぶりやな、男ちゃんの心の中」

ナビ「男ちゃんの匂い…好きな匂い」フフッ

ナビ「でも、今は冷たい風が吹いとぉ」ブルッ

ナビ「…悲しみに潰されそうになってるんやな」

ナビ「今行くで!男ちゃん!!」ダダッ

800 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:46:29.64 ID:t4oQpaDo0
ナビ「男ちゃん!!」

男「…。」ポロポロ

ナビ「…もう大丈夫やで」ニコッ

ギュッ

ナビ「悲しかったなぁ?苦しかったんやなぁ?」ナデナデ

男「俺…俺…」ポロポロ

ナビ「一人で苦しまんでえぇよ、ウチと半分こしよ?」ナデナデ

クイッ

男「ナビ…ん…」チュッ

ナビ「男ちゃ…っ」チュッ チュ…

パァァァ…

801 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:47:25.87 ID:t4oQpaDo0
-男ちゃん?巨石の中で言った事覚えとぉ?-

-巨石の中で?

-ウチと一つになろ?って-

-あぁ、覚えてるよ-

-あれが答えやったんよ-

-答え?-

-男ちゃんの欠けてしまった心-

-何故かウチの中に置き去りにされてもた記憶-

-男ちゃんの物忘れも-

-運転中に意識を失ったんも-

-全部理由があったんよ-

-理由?-

-それはね…ウチ-

802 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:48:30.00 ID:t4oQpaDo0
-ナビが理由?-

-そう、魔法石に男ちゃんの心を写し取る時-

-ウチという人格が生まれた…生まれてもた-

-だってナビシステムってそういうものじゃないか-

-ウチらの場合ちゃうねん、ウチはな?-

-男ちゃんの心の欠片、解離した人格-

-あの本に出てきた…-

-せやからな?一つにならなアカンねん-

-そしたら男ちゃん、乗り越えられるよ-

-この悲しみを、失意を-

803 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:50:03.24 ID:t4oQpaDo0
-ウチな?男ちゃんから色んなモンいーっぱいもらってんかぁ-

-俺から?-

-せやでー。沢山の思い出や、色んな人との出会い-

-何より、胸いっぱいの慈しみ-

-ぜーんぶ男ちゃんがくれたモンや-

-ナビお前、何言って…-

-あったかい…男ちゃんの気持ち-

-ちゃんと返すからな?-

-心が一つになったら、男ちゃんはもう大丈夫-

-慈しみに満ちたその心が強さを兼ね備えられたら、もう最強や!-

-そんな…ナビ…お前-

-なんてったってウチらは最強のコンビやかんな♪-

-でも多分、一つになったらこうやってお話する事はで、出来ひんくなるから-

-おい!ナビ!何言って…!-

-さ、最後に…うぅ…!い、言わせて…な?-

-お、男ちゃん?いっぱいいっぱいありがとうな-



『愛してんで』



パァァァ…

804 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:51:38.06 ID:t4oQpaDo0
-魔王内部-


男「っ!!!」ビクッ

男「な、ナビ!!」バッ

魔法石「」チリンッ

男「そんな…お前…!!」ポロポロ

男「…っく!…うっ…!!」ポロポロ

『欠けた心が一つになったか』

『されば再び聞こう、汝の答えを』

男「…っく!!!」ギリリッ

男「…。」グシグシ

男「…魔王、あなたは考える事こそが人間の最も尊い力だと言った」

男「だがな、人間にはもう一つ、大きな力があるんだ」

『大きな力?』

男「それは慈しみ…人を愛する心だ」

『愛…だと』

805 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:52:14.71 ID:t4oQpaDo0
男「俺達は確かに愚かかも知れない」

男「過ちを繰り返して来たかも知れない」

男「…過去を変える事は出来ない」

男「だけど、未来を変える事は出来る」

男「誰かを愛する気持ちさえあれば、みんながほんの少しずつ優しくなれれば」

男「俺達は戦いを捨てて生きられるんだ!!」

『誓えるのか?我が前で』

男「あぁ、誓うよ」

男「時間は掛かっても、必ず成し遂げてみせる」

男「俺の相方と約束したんだ」ニコッ

『心に強さと慈しみが満ちたか』

『…汝の誓い、しかと聞いた』

『違えるでないぞ』


パァァァ…

806 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:53:17.70 ID:t4oQpaDo0
-魔王城内部-


パァァァ…

男「」フワッ

ヒュルルル…ストンッ

同僚「お、男!!」ダダッ

先輩「お前…無茶しやがって!!」ヒシッ

男「…。」

修道女「で、でもご無事なようで何よりです」ウルウル

女「そうね…それで、どうなったの?」

男「…終わったよ」コクッ

先輩「終わった?戦いがって事か?」

同僚ナビ『あの…お、男さん…??』

修道女「どーちゃん、どうしましたか?」

同僚ナビ『ナビさんの気配が…ナビさんはどうなさったんですか!?』

魔法石「」チリンッ

女「え…ナビちゃん??」

807 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:54:37.38 ID:t4oQpaDo0
『人の子らよ』

『その者の、愛で…慈しみで世界を変えるという誓い』

『しかと聞いたぞ』

『誓いを違える事の無きよう』

『忘れるな』

『我は見ている』


同僚ナビ『男さん!答えて下さいまし!!』

修道女「い、一体何があったんですか!?」

男「…っく…あぁ…」ポロポロ

男「あぁぁ…ナビぃぃ…!!」ポロポロ

男「うわぁぁぁ…!!」ポロポロ

808 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:55:22.75 ID:t4oQpaDo0
-王都郊外 煉瓦橋-


キィン!ガキィィン!

親父「やるじゃねぇかよ…!」ギリギリッ

ベリアル「お前もな!…む」スッ

親父「のわっ!急に退くなよ!」ヨロッ

ベリアル「…剣士、貴様の息子が事を成したようだ」シマイ

親父「男が…?」

ベリアル「ここは退く。だが戦いたくなったらいつでも儂を呼べ」

ベリアル「老いて枯れる前にな」ニヤッ

親父「てめぇ!どういう意味だ!!」

ビュン!バサッ バサッ…

兵士1「い、行っちまった」

兵士2「勝ったのか!?」

親父「分からん…なんとも歯切れの悪い感じだが」シマイ

親父「王都は守れたみたいだな」フゥ

809 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:56:23.50 ID:t4oQpaDo0
-西の街 陸軍本部-


デーモン「む?」ピタッ

勇者「な、なんだ急に!」

デーモン「…成る程、新たなる勇者が事を収めたそうだ」

勇者「新たなる勇者…男くん達か!」

デーモン「誓いを違えるなと、魔王様からの伝言だ」

勇者「ま、魔王と誓い!?」

デーモン「さらばだ」ヒュンッ

大佐「な、何がどうなってるんだ…?」ポカーン

勇者「分かりません…しかし最悪の事態は免れたみたいです」シマイ

勇者「剣士の息子達によって、ね」ニコッ

810 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 10:59:25.23 ID:t4oQpaDo0
-3ヶ月後 物流倉庫 事務所-


先輩「ホントに行っちまうんだな」

男「魔王と約束しちゃいましたから」

女「賢者さんの抜けた穴…陛下の側近のポストを、まさか男くんが務めるとはね」

男「あ、でも所属はあくまで物流協会だからな?国の仕事はあくまで補佐で…」

配車係「本業の運送屋の傍ら、アルバイトで国の仕事って事ですか??」

女「普通逆でしょ」クスッ

男「そこは譲れないよ、俺はあくまで一般市民なんだ」

先輩「事の顛末を聞いた陛下からの直々のご指名だからな」

男「一般市民だからこそ分かること、感じる事…」

男「そういう事を国政にフィードバックして欲しいって仰ってました」

男「あ、それと荒野の国へ遺骨を届けた二人の事も気にしてたけど?」

男「王国議会はいつでも歓迎するってさ」クスッ

女「私はそんなガラじゃないわ、同僚くんなんか尚更でしょ」クスクス

男「…正直、どんな事が出来るのか分からないけど」チリンッ

男「こいつと一緒に頑張ります」ニコッ

811 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:02:33.02 ID:t4oQpaDo0
-王都郊外 煉瓦橋-


リンゴーン リーンゴーン…

修道女「行っちゃいましたね男さん」テクテク

同僚「まぁ所属はあくまで物流協会なんだしよwwwなんも変わらんべwww」

修道女「女さんと同僚さんにもそういうお話があったと聞きましたけど…」

同僚「例の遺骨の件でな」

同僚「有難い話だが、国の仕事ってガラじゃねぇよ俺はwww」ケラケラ

修道女「意外と向いてるかも知れませんよ?」

同僚「マジでwww」

修道女「同僚さんの咄嗟の判断や機転は、まさに策士って感じじゃないですか」フフッ

同僚「それ褒められてんのかwww?」ケラケラ

812 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:04:02.99 ID:t4oQpaDo0
テクテク

同僚「さて、ちゃんと答えてなかったけども」

修道女「?」

同僚「ってか気付いてすらいなかったけども」

修道女「??」

同僚「…月が綺麗だな」ニコッ

修道女「!」

修道女「…まだ昼間ですよ?」クスッ

同僚「うるっせーな」ニカッ

813 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:04:58.92 ID:t4oQpaDo0
-物流協会事務局 局長室-


局長「巨石の魔力が消えた?」

研究員「はい、前回のように沈黙しているのではなく」

研究員「魔力反応が完全に消滅しました」

研究員「今やただの巨大な石ころです」

局長「一体何が…む!それじゃ賢者殿は!?」

814 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:06:32.71 ID:t4oQpaDo0
-王立診療所 賢者の病室-


賢者「」zzzz

勇者「…。」ウツラウツラ

親父「花の替えを持ってきたぞ」ガチャ

勇者「…ん、おぉガーベラか」ノビーッ

親父「花言葉も加味して、な」

勇者「気が利いてるな」ニコッ

賢者「」zzzz

親父「…しかしいつまで寝てやがるんだか」ハァ

勇者「まぁのんびり待とうよ…ん?」

賢者「…っ、ここは」パチ

勇者・親父「!!!」

815 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:10:17.87 ID:t4oQpaDo0
-西の街 陸軍本部跡-


カンッカンッ ガガガガッ…

兵士1「しかし見事に木っ端微塵だ」

兵士2「兵舎から何からな」

兵士1「でもま!何とかなるだろ!」

兵士2「あぁ!だって俺達生きてるんだからな」

816 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:13:18.88 ID:t4oQpaDo0
『人の子よ』

『汝らが巨石と呼びし魔法石』

『やはり汝らには過ぎた力故』

『その魔力、貰い受けよう』

817 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:13:55.89 ID:t4oQpaDo0
男「そろそろ昼時か…あ、ここのパブランチ美味しいんだっけ」テクテク



タッタッタッ

818 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:14:44.07 ID:t4oQpaDo0
『その代わり』

『この先の道で汝の心が折れぬよう』

『巨石の魔力を以って』

『器を授けよう』

819 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:15:22.70 ID:t4oQpaDo0
男「あーでもあっちのカフェもいいな、それとも…」



タッタッタッ…



「男ちゃん!!」

820 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:16:01.84 ID:t4oQpaDo0
男「ん?」クルッ

少女「お、男ちゃん!!」ハァハァ

男「え…お、お前…」パクパク

少女「男ちゃーん!!」ガバッ

男「お前…まさか、本当にナビなのか…!!?」ギュッ

少女「当たり前やろ!この顔を見忘れたんか!?」プンスカ

男「だ、だってお前あの時!」

少女「男ちゃ…会いたかった…」グスッ

少女「会いたかったよぉぉ…!」ウルウル

男「あ!ちょ!タイム!!」

少女「な、なんやねん!」アセッ

821 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:16:41.63 ID:t4oQpaDo0
男「…一人で全部決めちまいやがって」グスッ

男「勝手にいなくなっちまいやがって!」ウルウル

男「大事なこと!俺はまだ何も言えてないのに!!」クワッ

少女「ぅ…ごめん…」シュン

男「…いいよ」クスッ

少女「男ちゃん…ウチな?ウチな??」

男「最後は俺に言わせてくれよ」

男「…おかえりなさい」ニコッ

822 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:17:57.58 ID:t4oQpaDo0




男「愛してるよ」



823 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/13(日) 11:23:39.30 ID:t4oQpaDo0
「剣と魔法と運送業」これにて完結となります
読んで頂いた方、ありがとうございました
レス下さった方、励みになりました
スレ少し残りましたので質問等ありましたらお答えします
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 12:50:09.29 ID:92r81GYZO
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 16:47:52.01 ID:fHXEjiwCo
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 21:26:57.46 ID:ZTaSZ08tO
先輩と女は付き合ってるの?
親父さんに正式に話をしに行った?
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 21:28:22.94 ID:coXh8yP/O

面白かった
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 04:38:05.90 ID:L1xbYYPK0

最初は運送業ってなんぞって引かれて読み始めけど面白かった
829 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:51:54.93 ID:U/quWuoZ0
完結しましたのでレス返していきたいと思います
830 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:53:16.33 ID:U/quWuoZ0
>>26
26
初レスありがとうございます
昇華…出来ていたらいいのですが
最後まで読んで頂けていたら幸いです
831 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:53:52.79 ID:U/quWuoZ0
>>164
レス遅くなりすみません
長ーいお話になってしまいましたが、読んで頂けていたら幸いです
832 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:54:39.02 ID:U/quWuoZ0
>>164
修道女「所謂一目惚れ…という奴なんだと思います///」

同僚ナビ『通常のナビはご指摘の通り人工精霊をモチーフにしていますわ』

少女「ウチの場合はそれプラス解離性障害とか境界性パーソナリティ障害の要素とかも加わってるでー」
833 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:55:25.38 ID:U/quWuoZ0
>>167
知りませんでしたが確かにタイトル似てますね
書籍化されている作品と並べて頂けるだけでも光栄です、ありがとうございます
834 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:56:38.51 ID:U/quWuoZ0
>>171
同僚「確かに鬱陶しいっすよねwwサーセンww」

同僚「真面目な話をする時との落差をつける為なので、ご辛抱下さい!」ペコッ
835 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:57:18.52 ID:U/quWuoZ0
>>172
フォローして下さり恐縮です
読む方によって様々な意見があると思うので、どちらの意見も真剣に受け取らせて頂きました
836 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:57:57.41 ID:U/quWuoZ0
>>229
同僚「実は密かに狙ってたっすwww」

男「そうはさせない」ムムム
837 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:58:33.75 ID:U/quWuoZ0
>>240
しっかり読み込んで下さり有難うございます
展開の性急さは自覚がありました…今後に活かしていきたいと思います
ご意見ありがとうございます
838 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 18:59:11.74 ID:U/quWuoZ0
>>548
レスありがとうございます
無事に完結となりましたので、最後まで
読んで頂ければ幸いです
839 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:00:14.58 ID:U/quWuoZ0
>>549
時間をかけて読み込んで下さりありがとうございます
すんごい長くなってしまいましたが、最後まで読んで頂ければ幸いです
同僚「でしょーwwwあざーすwww」
840 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:00:58.05 ID:U/quWuoZ0
>>581
レスありがとうございます
ご指摘の伏線は一応回収しましたが、気になる点等あればご指摘下さい
841 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:02:01.55 ID:U/quWuoZ0
>>621
レスありがとうございます
ご指摘の点は巨石についてですかね?
レス頂いた時点では理論上暴発の可能性はない、という判断から放置されていました
それが後々…という事でご理解頂ければ
842 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:02:38.12 ID:U/quWuoZ0
>>661
レスありがとうございます
その一言がモチベーションになりました
843 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:03:49.82 ID:U/quWuoZ0
>>687
レスありがとうございます
オリジナルは少数派なので読んで下さる方がいてくれて嬉しかったです

男「最後に触れましたけど、ナビは殆ど別人格のような存在なので…」

少女「まぁ男ちゃん見た目可愛いから、ナルでもえぇんちゃう?」ニヤニヤ
844 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:04:33.93 ID:U/quWuoZ0
>>716
お話の世界に深く入り込んで下さりありがとうございます
ご指摘の点が、お話の中で伝えたい事の一つでした
845 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:07:13.27 ID:U/quWuoZ0
>>739
真剣に考察して下さり感激です
もしかして>>716さんですかね?
魔王についてはああいう形での登場を当初から予定していたのですが、予想を上回れていたら嬉しいです
846 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:08:05.72 ID:U/quWuoZ0
>>783
レスありがとうございます
気を抜くとすぐ運送業要素がどっか行っちゃうので入れてみました
847 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:09:03.37 ID:U/quWuoZ0
>>826
女「結局おじ様の所へは行けずじまいだったわね」

先輩「というか俺は君からの返事を待ってたんだけどな」

女「あらそうだったわね、じゃこれで返事という事でいいかしら…んっ」チュ

先輩「んむっ…確かに頂戴しました」クスッ
848 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:09:47.64 ID:U/quWuoZ0
>>827
レスありがとうございます
率直にそう言って頂けて嬉しいです
849 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:10:27.62 ID:U/quWuoZ0
>>828
レスありがとうございます
運送業要素すぐどっか行っちゃうんですけどね…楽しんで頂けたなら幸いです
850 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/14(月) 19:15:31.42 ID:U/quWuoZ0
気が付いたものは拾ったつもりですが、もし抜けてたらすみません
「俺のレス無視すんなコラ!」って言って下さればお返事させて頂きます
これ以外にも乙レスいっぱい頂きました
重ねてお礼申し上げます
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 23:30:59.63 ID:Jc/DlI8uO
>>828
おまおれ
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 23:38:47.54 ID:Jc/DlI8uO
>>845
ですです。こういうオリジナルので考察するの好きなんで素直に楽しめました。
魔王についても予想を上回ってて「えっ!?そうなるの!?」とドキドキしながら読んでました。
次回作あるなら期待してます。
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 23:37:45.78 ID:SnK0Nsrk0
くぅ〜疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 23:38:13.19 ID:SnK0Nsrk0
全レスは止めとけ
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 07:06:21.52 ID:3RMiurFaO
>>853
なついコピペやな
856 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/16(水) 18:21:28.52 ID:VT6HPoX10
>>853 >>854
迷ったんですけどね
857 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/16(水) 18:23:09.14 ID:VT6HPoX10
>855
これ書いた人、正直嫌いじゃないです笑
SS書くの心から楽しんでる感じがします
858 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/05/16(水) 18:24:30.80 ID:VT6HPoX10
そろそろ名無しに戻ります
次回作書き始めているので、見かけた際には覗いてみて下さい
それではありがとうございました
472.30 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)