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レッド「擬人化ポケモン……最高だな」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 14:06:27.85 ID:67dxF6Hj0
改めてケーシィを頭からつま先までじっくり眺める。
ダボダボに裾を余らせたオーバーサイズパーカー1枚をワンピースみたいに着て、生足を晒している下半身に網タイツを這わせ、黒いスニーカーで締めるタイトな着こなし。足の長くスタイルの良い、大人っぽいケーシィじゃなきゃ出来ないコーデ。このファッションセンスを見るだけでは物静かで引きこもりがちな内気少女だとはとても思えない。
でも、幼女だ。お洒落な幼女。
「……お父さん?」
「なんでもないよ。っていうかそれ定着しちゃったのか……」
「嫌じゃないくせに〜」
後ろからスっと腕を組んできたのはピジョン。ゆったりしたワイドパンツにロング丈のアウター。落ち着いた色に対して明るい配色のアウターを羽織り、ミディアムくらいまで伸びた髪を耳に掛ける中、一房だけ垂らした赤のポイントメッシュが差し色となって眩い。本当に大人っぽくなった。
春先の大学生コーデのピジョンはともかく、前から思っていたがその言い方はズルい。大抵の事は嫌じゃないからこうして寄り添って2人歩いて来たわけで、ピジョンが相手なら嫌、なんて感情が沸く筈がないのに。抱き着かれてフワッと香る、シトラスみたいな柑橘系の香りと、ほのかに混ざるリンスの香り。こんなふとした瞬間にドキッとさせるのだから、女性はズルい。口に出してしまえば彼女は垂れ目をより一層細くして笑うだろうから絶対に言わないけれど。
「……んふふ〜」
まあこうして、どちらにしても彼女の笑い声は聞こえるのだけど。腕に組むと彼女は必ず顔を寄せる。より耳に近い体勢では、当然より直接声が耳朶に響く。ふわふわした気質にぴったりの、高すぎず低すぎない、女性らしい落ち着く声。俺はきっとあの1番道路で、この声に脳髄を溶かされた。
「じゃあ、行くか。いざ豪華客船!」
「……ごうかきゃくせん?」
「だめで〜す。何か忘れてるでしょ〜?」
指先でかわいくバッテンを作り、俺の口元まで持っていくピジョン。こやつ、分かっているのかわざと耳元で喋りやがる。一瞬ボーッとしてしまうのでやめてくれ。
以外にもこういう事は、ポッポの時からあった。この娘ぽわぽわしてるようで割としっかりしているのでよく周りに目が行く。気を遣えるというか、そういう性質に助けられた事ももう1度や2度じゃない。いつもお世話になってます。
「チケット、出してみて?」
「? あ、おう」
ピジョンはより一層慈悲深い笑みを深く湛えて、ケーシィは大人しく動向を見守っている。蚊帳の外でごめんな、お前まだいなかったもんな。
俺は提げているバッグから、先程もらった隣町クチバシティの豪華客船乗車チケットを、2枚取り出す。そう、2枚だ。
「……あっ、そういう事か!俺達の分しかないんだ!もう一回あの人のとこ戻らなきゃな」
「うん、あと1枚もらえなかったら、勿体ないけど返しちゃお? せっかくだし3人で行きたいもんね」
そう言うと、またニッコリして俺に組んだ腕を強くするピジョン。声が近いから息遣いまで聞こえてドキドキするんですけど……さり気なく身体を押し付けるのもやめなさい。
「……や、やっぱりお母さんは大胆……!」
※ 結局チケットはもう1枚もらえた
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