男「課長のカツラがズレてるぞ!」同僚女「どうしましょ……!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:09:44.10 ID:7TefHPYi0

課長「上からうちの課は個々の能力はともかく、チームとしてまとまりがないと指摘があった!」

課長「みんな、頑張ろう!」



男「はぁ……」

同僚女「私、人と足並み揃えるのって苦手なんですよね」

メガネ「課としての成績は他に劣っていませんし、是正する必要はないと思いますが」

後輩「今時チームワークなんて流行らないですよ〜!」



課長「……」


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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:10:27.36 ID:7TefHPYi0

男「……」カタカタ

男「えーっと、この見積りデータは、と……」

男「ん!?」



課長「……」ズレッ



男(課長のカツラが……ズレてる!)
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:12:22.57 ID:7TefHPYi0

男「な、なぁ!」

同僚女「なによ?」

男「あれ見てくれよ……」

同僚女「?」



課長「……」ズレッ



同僚女「あっ!」

男「……な?」

同僚女「ど、どうしましょ……!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:14:19.24 ID:7TefHPYi0

同僚女「教えてあげた方がいいんじゃない?」

男「課長のカツラはバレバレだけど、一応“みんな気づいてない”ってことになってるし……」

男「それに、課長って普段は頼りないほどに温厚だけど」

男「ことカツラのことになると、ものすごく怒るらしいんだ」

同僚女「そうなの?」

男「ああ……部長や社長にもブチ切れたことがあるらしい。それはもう恐ろしいそうだ」

男「だから、教えちゃうのは避けたい……」

同僚女「あの人がねえ……」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:15:05.49 ID:7TefHPYi0

同僚女「こうなったら、メガネさんに知恵を借りるしかないんじゃない?」

男「! そうか、あいつならいい大学出てるし、きっといいアイディアを出してくれるはず!」

男「おーい!」

メガネ「なんですか?」

男「課長を見てくれ……」

メガネ「課長?」チラッ



課長「……」ズレッ



メガネ「なんという……悲劇!」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:18:07.92 ID:7TefHPYi0

同僚女「私は課長に教えてあげようっていったんだけど、男君は反対みたいで……」

メガネ「僕も反対ですね。課長はカツラのことになると、人が変わったように怒るという話です」

男「だろ?」

同僚女「でも、このまま放っておいたら……!」

後輩「皆さん、なにやってんです?」

男「おお、お前も来たか。ちょうどいいや、参加してくれ」

後輩「?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:20:08.40 ID:7TefHPYi0

男「課長を見ろ」

後輩「はい」チラッ



課長「……」ズレッ



後輩「あっちゃ〜……」

男「なんでみんなで集まったか分かるだろ?」

後輩「分かりすぎるほどに……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:23:37.66 ID:7TefHPYi0

男「正直いって、俺にはどうすればいいのか分からない」

男「これを解決するには、一人一人の力を合わせなきゃならない」

男「みんな、協力してくれ!」

同僚女「分かったわ!」

メガネ「微力ながら」

後輩「手伝わせて下さい!」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:25:40.28 ID:7TefHPYi0

メガネ「ではこういう作戦はどうでしょう?」

男「早いな、もう思いついたのか! さすがメガネ!」

メガネ「課長に知らせられない以上、打つ手は一つしかありません」

同僚女「どんな手?」

メガネ「課長にバレないよう、カツラのズレを戻すんです」

後輩「た、たしかに……それしかないですね!」

男「うん……だけどどうやって?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:27:59.25 ID:7TefHPYi0

メガネ「釣り竿でカツラを直すんです」

男「釣り竿なんてどこにあるんだよ? この辺に釣具屋なんてないぞ」

メガネ「買う必要はありません。定規と糸とクリップで作るんです」

男「なるほど、そこまではいい……だけど、相当な釣りの腕がないと……」

後輩「オレがやります! オレ、これでも釣りが趣味なんです! 週末はよく川や湖に行くんですよ」

同僚女「へぇ〜、意外!」

男「なら、釣りの役目はお前に任せよう」

メガネ「あとはどう課長の気をひくかですが……それはお二人に任せていいですか?」

男「ああ、任せてくれ!」

同僚女「必ず課長の気をひいてみせるわ!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:29:07.59 ID:7TefHPYi0

男「ではこれより、作戦を開始する」

男「諸君、健闘を祈る!」




三人「イエッサーッ!!!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:32:11.27 ID:7TefHPYi0

メガネ「定規と糸、それと針のように曲げたクリップをつなげて……」モソモソ…

メガネ「できました! 釣り竿です!」

後輩「結構よく出来てますね! 貸して下さい!」



同僚女「私達はどうする?」

男「まず俺が行く! もしもの時は頼む!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:34:50.73 ID:7TefHPYi0

男「すみません、課長」

課長「なんだね?」ズレッ

男「この書類について、ちょっと分からないところがあるんですけど……」

課長「どれどれ……」ズレッ



後輩(さすが先輩、うまく気をひいてくれてる……)

後輩(よーし、いけっ!)ヒュッ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:36:38.44 ID:7TefHPYi0

後輩(なかなかクリップ針がカツラに引っかからない……)ブラーン…

後輩(あとちょっと……)ブラーン…

ガシッ

後輩(かかった! フィッシュ!)



男(いいぞ! よし位置を直せ!)

課長「どうかしたかね?」ズレッ

男「いえいえ、話を続けて下さい!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:39:03.83 ID:7TefHPYi0

後輩(こ、これはなかなか難しい……!)クイッ

後輩(課長、動かないで〜……!)クイックイッ



課長「……」ズレレッ

男(ま、まずいぞ! 位置を直すどころか、ズレがひどくなってる!)

男(このままじゃ課長のカツラは……!)

課長「どこを見てるんだね?」ズレレレッ

男「あ、すみませんすみません!」

男(一瞬でいい! 課長の動きを完全に停止させないと!)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:42:50.33 ID:7TefHPYi0

同僚女「キャーッ!」ヌギッ

同僚女「あ、やだ……ゴキブリに驚いて、つい服を脱いじゃった……」



課長「うひょっ!」ズレレレッ

課長「……って、何をしてるんだね!」ズレレレッ

男(すげえ! 女の色気で課長をフリーズ! 今だっ、直せッ!)



後輩(はいっ!)グイッ
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:44:41.73 ID:7TefHPYi0

課長「……」シャキーン



男(おおっ、直った!)

メガネ(やってくれましたね!)

同僚女(上出来よ!)

後輩(どんな大魚を釣った時よりも嬉しい……!)



四人「作戦完了(ミッション・コンプリート)!!!」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:45:54.19 ID:7TefHPYi0

課長「……なにが、ミッションコンプリートなんだね?」




四人「……あ」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:48:08.44 ID:7TefHPYi0

男「あ、いや、その……」

課長「ふふっ、はじめてチームワークを発揮した気分はどうだい?」

男「えっ……」

同僚女「ってことは課長、もしかして……!?」

課長「ああ、全て気づいてたよ」

メガネ「そうか……そうだったんですか」

後輩「課長はオレたちを一つにするために、わざとカツラを!」

課長「そういうことさ」

課長「私はね、同じ課の仲間でありながら協力し合わない、君たちの“ズレ”を直したかったんだ……」

課長「個人プレイでは、いつか必ず限界が来るからね」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:50:54.61 ID:7TefHPYi0

課長「これで、チームで協力することがいかにすごいことか分かったろう?」

男「はいっ! とてもよく分かりました!」

同僚女「私達一人一人じゃ、どうにもできなかった……」

メガネ「みんなで力を合わせたから、課長のカツラを直せたんです!」

後輩「チームワークってこんなにすごいんですね……感動しました!」

課長「うむ、分かってくれて嬉しいよ」ニコッ

課長「今日から我々は生まれ変わるんだ!」

四人「はいっ!!!」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 20:53:14.89 ID:7TefHPYi0

……

…………

課長「てンめええええええええええええええええええ!!!!!」

カツラメーカー社員「ひいいっ……!」

課長「どこが“絶対ズレないカツラ”なんだよォォォォォ!!?」

課長「ズレまくったじゃねえか!!!」

課長「なんとかうまくごまかしたものの、部下の前で盛大にズレて大恥かいたわ!!!」

課長「この落とし前どうつけるつもりなんだ!!! ゴラァァァァァァァァァァ!!!!!」

カツラメーカー社員「も、申し訳ありませんっ!」

課長「謝って済むならカツラなんざいらんのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」






おわり
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 23:04:10.83 ID:uPeawfmA0
この課長、デキるな
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/05(木) 01:30:46.17 ID:CVNorUDgo
彡⌒ミ
  (´・ω・`)
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/05(木) 02:33:29.80 ID:qmzOh8Rqo
おつ
これぞSSといった作品
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 17:53:56.51 ID:K+e3fNCDo
本体「なんとか誤魔化せた」
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