【艦これ】暁が如く【極道】

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82 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/04/10(火) 21:24:37.83 ID:tq7CcYBD0

しまった。

白雪「次回『暁が如く』」

白雪「『キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組』」

白雪「任侠桜に仁義の嵐!」 ←New

白雪「組長……、どうかご決断を」


で、最後お願いします。
83 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:37:25.56 ID:cjwHVKvl0


 第六話
 「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」


―――暁組・事務所


暁「――お祭り?」


雷「えぇ、この前言わなかったかしら?」


電「今度、このあたりの商店街でお祭りがあるのですっ!」


響「ハラショー」


暁「……そういえば、ドローンがお祭りの景品だとかなんとか言ってた気がするわ」


雷「だから、私たちも何か手伝いをしないとね」


暁「えっ? て、手伝いって言っても、何をやるのよ?」


電「お手伝いはお手伝いなのです」


暁「えぇー……、ちょっと面倒くさいかも……」


響「……そうか。残念だね」


暁「えっ?」


響「……手伝えば、みかじめ料でお好み焼きやたこ焼き、焼きそばとか貰えるかもしれないのに――」



暁「――みんなっ! 暁組の勢力を上げて手伝うわよッ!」



「「「おーっ!」」」




トントンガチャッ‼


秋月「――み、みなさんっ!」ガバッ‼


暁「秋月? そんな慌ててどうしたのよ」


秋月「そ、それが……。私たちが見回りをしてたら……その、見つけてしまって……」


暁「見つけた……? 見つけたって……なにを?」


秋月「そ、それがですね……――」



――――――

――――

――



84 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:38:04.85 ID:cjwHVKvl0


場面は変わり、白露組の近くのシマ――。




―――モブ口組・本部


モブ口組長「――白露組だァ? はんっ、だから何だってんだよ」


モブ口A「し、しかし組長! あいつらの事を甘く見ない方が良いですよっ! あいつらのせいで、近くにシマを持ってた組のやつらは……――」


モブ口組長「ガタガタうるせぇっ! お前、いつからそんなビビりになっちまったんだ、えぇっ?」バンッ


モブ口A「――っ! く、組長……!!」


モブ口組長「おいおい、よく考えてもみろよ。近くにシマを持っていたやつらがやられただぁ? それがどうした」


モブ口A「えっ?」


モブ口組長「俺たちだって、あの程度のシマを奪おうと思えば出来たんだよ。ただ、少し面倒だっただけだ」


モブ口組長「むしろ好都合じゃねぇか。その白露組を潰せば、全部のシマが俺たちのものになるってことだしなァ……。くく、はっはっはっ!!」


モブ口A「………………っ!」


モブ口A(組長はわかってない……! 確かに、モブ口組はこの辺りでは一番の規模を持ってはいる……。そこらの組になら負けるはずはない)


モブ口A(――だがっ! 『あいつら』はそんなもんじゃない……! 俺は……この目で……――)



―――うふふふっ。いい感じ、いい感じ……。



モブ口A(――今でも、目を閉じれば聞こえてくる……。あの悪魔の声が……!)


山風「――はぁ……、……なんで私がこんなこと……」ボソッ


モブ口A「…………えっ?」


山風「…………なに?」


モブ口A「な、なにって……。お前は……!」


春雨「もう、山風。口を慎みなさい」


山風「………………」ムー


モブ口組長「……へぇ、テメェらが噂の白露組か?」


春雨「はい、どうやら知っていただけているようですね」


モブ口A(いつの間に本部の中にっ!? 組長を逃がさないと……!)


スッ


モブ口A「――ッ!!?」


85 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:39:17.79 ID:cjwHVKvl0

海風「――ゆっくり動いてください。変なマネはしないように」


モブ口A「……わ、わかった」


モブ口組長「……で? お前たちは俺たちと戦争でもしようってのか? こんなとこまで土足で入ってきやがって……。礼儀のなってねぇガキ共だぜ」


春雨「戦争……というと、少し違うかもしれません」


モブ口組長「へぇ? それじゃなんだってんだ?」


春雨「戦争というのは、ある程度実力が拮抗してないとできないでしょう? だから、これは違うかと」


モブ口組長「言いたいことがわかんねぇな。……同盟でも組みたいってか?」


春雨「寝言を言うには、随分と目が開いているようですが」


モブ口組長「…………ッ!」ブチッ


春雨「――ここは狩場です。今から約十分後、ここにハンターが来ます」


モブ口A「狩場? ハンター? なにふざけたことを……!」


春雨「どう思おうがあなた達の自由です。――私たちは、あなた達が逃げないように監視させていただきます」


モブ口組長「ハッ! 逃げ出すのはそっちの方だろッ!! ――出て来いッ!!」


バタバタッ
ワーワー‼


モブ口組長「お前ら……、生きて帰れると思うなよ」


春雨「――江風、涼風」


江風「はいよっ!」

涼風「がってんだ!」


モブ口B「なっ……!」


ドゴッ‼
ギャーッ‼


モブ口A「だ、ダメだッ! お前たち、手を出すんじゃないっ!」


春雨「そうです。ここに居る私たちには争いの意思はありません」


春雨「――あぁ、もう時間が無くなってしまいますね……。それでは、私たちはこれで」


モブ口組長「誰が逃がすか――」

カチャリ…

山風「――動かないで……」


モブ口組長「――ッ!」


春雨「山風。……村雨姉さんに怒られますよ」


86 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:40:00.55 ID:cjwHVKvl0

山風「………………」ムー


モブ口A(……村雨? それって……もしかして……)


春雨「――あなた達に逃げ道などありません。……生き残る道はただ一つ」




春雨「 立ち向かうこと 」




春雨「それでは、がんばってくださいね」ニコッ


――――――

――――

――



モブ口組長「お前ら……、武器は持ったか?」


ガチャガチャ…


モブ口A「く、組長。やはり、逃げたほうが……!」


モブ口組長「ここまで馬鹿にされて、逃げられるわけがねぇだろ……! ハンターだかなんだか知らねぇが、ぶちのめしてやる……!」




「お邪魔しま〜す」




モブ口A「…………っ」


モブ口A(この声……。やっぱり、村雨っていうのは……!!)


ガララッ


村雨「あらあら、いい感じね……。春雨はいい仕事をしてくれるわ」


村雨「――うふふふっ。それじゃ、始めましょうか……」ニコッ


モブ口組長「――やっちまえっ!!」


村雨「 村雨……狩り、だーい好き 」



ドォン‼ドォン‼
ギャアアアア‼
ウワァアアアア‼
ドゴォン‼


――――――

――――

――


―――CMへ

87 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:40:44.88 ID:cjwHVKvl0

―――CME

『ヒエーハウス・COnGO弐番屋』


デデデデン♪

榛名「――霧島、聞いて!」


霧島「榛名、急にどうしたの?」


榛名「なんとですね! あの、ヒエーハウスが鎮守府にオープンするんですっ!」


霧島「そ、そんな……! 艦隊の頭脳と言われる私が、そんな大事なことを見逃していたなんて!」


榛名「今すぐにでもチェックしないといけませんねっ!」



金剛「――その心配は無いネー! 榛名、霧島!」



榛名・霧島「「金剛お姉さまっ!?」」


金剛「今度openするヒエーハウスのために、ちゃーんとクーポンを確保したデース!」


榛名「さすがお姉さま!」


金剛「さらに! Openしてから一週間は、ドリンク一杯無料のサービスもやってるのネー!」


霧島「すごい情報ですねっ!」


金剛「サァ! 準備はOK?」


榛名・霧島「「はいっ!」」


金剛「――Hey! そこのキミも、一緒に行くデース!」





あのヒエーハウスCOnGO弐番屋がついにオープン!

 その新感覚の味を、あなたの自身でぜひ味わってみてはっ?

  場所は『甘味処・間宮』のすぐそば!



比叡「気合! 入れて! 待ちますっ!」


比叡「――皆さんっ! ぜひ来てくださいねー!」



88 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:41:42.43 ID:cjwHVKvl0

―――CM明け


―――白露組・本部


「――ねぇ、時雨?」


時雨「はい、組長」


白露「白露組はまだ一番じゃないの?」


時雨「はい、まだです。いま、みんな頑張っている最中ですから」


白露「ふーん……。いつ一番になれるの?」


時雨「大丈夫ですよ。そう遠くない未来に……必ず」


ガララッ


村雨「――はいはーい! 村雨、いま戻りましたー」


時雨「あぁ遅かったね。また遊んでたのかな?」


村雨「そうかも。いい感じに……ね」


時雨「――五月雨」


五月雨「は、はいぃっ!」


時雨「村雨にタオルを。そのままじゃ畳が汚れちゃうよ」


村雨「えっ?」ボタボタ…


五月雨「も、持ってきますっ! ――あっ」ガッ


ドンガラガッシャーン‼


村雨「もう、大丈夫? ……ちょうどいいから、村雨ちょっとお風呂に入ってこようかな」


時雨「そうするといいよ」


村雨「――あら、夕立は?」


時雨「夕立なら、もう行っちゃったよ」


村雨「えぇっ? まだ止めておく予定じゃなかったの?」


時雨「まぁ、いいんじゃないかな。春雨たちに様子を見に行ってもらってるし」


村雨「村雨も行きたかったなー……」


時雨「お風呂に入ってからでも、きっと間に合うさ。何しろ相手は――」



時雨「――あの吹雪組だからね」



89 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:42:41.35 ID:cjwHVKvl0

村雨「残ってればいいけど……」


時雨「それでも艦娘さ。人間とは違う……」


ガララッ‼


時雨「――あれ、夕立?」


夕立「………………」ムスーッ


村雨「もう終わった……ってわけじゃなさそうね。なにがあったの?」


夕立「…………居なかったっぽい」ムスー


村雨「居なかったって……」


時雨「ふふっ。へぇ……なるほどね――」








―――暁組・シマの空き家


暁「――それで、これを見つけたってわけね」


秋月「はい……」


「あ、あのごめんなさいっ! 撃たないでくださいっ!」ヒーッ‼


初月「どうしようか?」カチャ


暁「砲は下ろしていいわ」スッ


雷「あなた達、吹雪組よね? ……どうしてこんなところに?」


吹雪「あ、あのっ! 私たちのシマが、し、白露組に狙われてるって情報が入って……」


電「えっ! あ、あの白露組なのですっ?」


白雪「……えぇ。ですので、早々にシマを引き上げてきてしまったのです」


吹雪「苦肉の策だったんですが……。幸い、白露組は堅気の人たちには興味が無いみたいなので……。お別れを言う暇は、ありませんでしたけど……」


響「それで、何故ここに?」


叢雲「ここが暁組のシマだって知らなかったのよっ!」


磯波「ほ、本当です! 私たち、逃げるのに一生懸命で……」


浦波「ほとぼりが冷めたら、こっそり出て行こうと……してたんですけど」


初月「そこを、僕たちが見つけたってところか」


吹雪「はい……」

90 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:43:36.48 ID:cjwHVKvl0


吹雪「――お、おねがいですっ! 本当に悪気はなかったんです! 見逃してもらえれば、すぐ居なくなりますから!」


暁「……別にいいけど。あなた達、行くところはあるの?」


吹雪「あ、いや……。はぁ……」ガックシ…


雷「……どうするの、組長?」


電「ちょっと、可愛そうなのです……」


暁「…………そうね。私に一つ、良い案があるわ」


雷「案……?」


暁「――吹雪組のみんな、あなた達が良ければこのシマに居てもいいわよ」


吹雪「ほ、本当ですかっ!?」グワッ‼


暁「ただしっ! ……条件として、吹雪組にはある仕事をしてもらうわ」


吹雪「し、仕事……ですか? そ、その仕事っていったい……?」


暁「……それは――」


――――――

――――

――




ワーワー‼
ドンチャンドンチャン♪
アハハハッ‼



吹雪「――綿あめー! 綿あめはいかかですかー!」


白雪「甘くて、おいしいですよー!」


初雪「なんでこんなことに……」ズーン…


深雪「まぁまぁ、初雪の姉貴! 綿あめでも食べて……」


叢雲「はいっ、お釣りよ! ――って、なに見てるのよっ」


暁「うんうん。よく仕事してるわねっ!」


雷「いいじゃない!」


電「なのです!」


叢雲「ふん、組長命令よ。あんたの言うことを聞いてるわけじゃないわ」


磯波「だ、ダメですよ叢雲姉さん……。お客さんもいますし……」



91 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:44:21.91 ID:cjwHVKvl0


雷「――お祭り、手伝ってもらえてよかったわね」


暁「ふふんっ。やっぱりレディは頭を使わなきゃね」


電「お祭りって、賑やかで楽しいのですー!」



「射的ー! 射的はいかがですかー!」



暁「あっ、射的もやってるみたいね!」



秋月「秋月の射的屋ですよー! いかかですかー!」


照月「照月の射的もどうですかー!」


涼月「涼月も、射的やってます……!」


初月「少しぐらい譲り合おうよ姉さん……」ハァ…



暁「あははっ、相変わらずね」


響「――それじゃ、射的やろうかな」


秋月「はい、どうぞー!」


響「………………」スッ


パパパパッ‼


秋月「ちょっ! ひ、響さんストップストップっ!!」



電「わぁー! 響ちゃんすごいのです!」


雷「あはは、容赦ないわね」


暁「――さてっ! 私たちも、何か手伝えることがないか聞いてみましょうか」


雷「そうねっ」


電「なのです!」


響「ハラショー」ドッサリ


秋月「け、景品が……」


暁「――それじゃ、みかじめ料獲得のため、みんな張り切っていくわよっ!」


「「「おーっ!」」」



 第六話
 「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」

お わ り
92 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:45:35.63 ID:cjwHVKvl0

【次回予告】

デデンデデン♪


春風「神風組、若頭補佐……春風です」


春風「最近、他の組の動きが激しくなっているみたいですね」


春風「私たちはただ、静かに暮らせればそれでいいのですけれど……」


春風「はたして、『風』はどこへ吹くのか」


春風「次回『暁が如く』」


春風「『けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源』」


春風「任侠桜に仁義の嵐……ですね」


春風「風が嵐にならないことを祈りましょう……」



デデデン♪


93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 00:57:38.99 ID:tLbas8hE0
おつ、吹雪型はみんないい子だなぁ
そしてやった!次は神風型か!
94 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:07:36.19 ID:E5Jf5X4O0


 第六話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」



―――陽炎組・本部


陽炎「――はぁ……まったく、白露組は余計な事をしてくれたもんだわ……」


不知火「………………」


黒潮「そやなぁ……。まさか、睦月組・秋月組に続いて吹雪組まで……。暁組、たかが四人と見くびってたわぁ」


陽炎「まぁ、まだ同盟を組んでいると決まったわけじゃないけどね。大きい動きは見られないけど、油断はできないわ」


磯風「ふむ…………」


浦風「それで、組長……。ウチらはどうするんですか?」


陽炎「出来ることなら、白露組と同盟を結べればいいんだけど……。あの白露組が相手じゃ、望みは薄いわね。むしろ、何処でこちらを狙ってるのかわからないわ」


初風「朝潮組を抜いて、シマが近いのは初春組とかかしら。……でも、初春組もいい噂聞きませんね」


陽炎「……そうね。あとは親潮の結果次第ってところだわ……。――とりあえず、いつも以上に見回りは強化しときなさい」

ハイッ‼

陽炎「……さぁ、神風組はどう動くかしら――」


――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――それで……。この度はいったい何の用かしら? ……陽炎組の親潮さん?」


親潮「まずは、私たちの話を聞いていただける場を用意していただき――」


神風「前口上はどうでもいいわ。用件をいいなさい」


秋雲「ちょ、ちょっとその言い方は――!」グッ‼


スラッ


秋雲「――うっ……」


旗風「お座りください。ここは私たちの本部ということをお忘れなきよう」


親潮「……秋雲、ここは大人しくしていて。……ありがとう」


秋雲「うぅ……」シブシブ


春風「旗風も……、その物騒なものはしまっておきなさい」


旗風「はい……」スッ

95 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:08:13.74 ID:E5Jf5X4O0


親潮「――最近、睦月組や吹雪組に動きがあったことをご存知でしょうか」


朝風「あぁあれね。噂程度には聞いてるわ」


親潮「その中心にいるとされるのが暁組です。近頃動きが活発になりまして、今や私たち陽炎組にも匹敵するほどの勢力となっています」


親潮「朝潮組とはほぼ同盟関係にあるのですが、なにしろ近くにはあの白露組がシマを持っていることもありまして、陽炎組としてはとても動きづらい状況です」


松風「……なるほど。それで僕たちに協力を求めに来た……と。そういうことかな?」


親潮「話が早くて助かります。……神風さん、どうか陽炎組に力を貸してはいただけないでしょうか?」


神風「そう。まぁ、言いたいことはわかったわ。……どう思う、春風?」


春風「……そうは言いましても。その暁組と私たちのシマは離れていることもありますし、直接は関係ないように思えますけど……」


神風「そうなのよねぇ。それ、私たちになにか得なことってあるのかしら?」


親潮「……これはあくまで推測にもなりますし、私個人の考えでもありますが――」


親潮「あの白露組の事は、神風組の皆様もよくご存じかと思います。今回、いよいよ白露組はシマの拡大のため吹雪組に仕掛けました」


親潮「……しかし、吹雪組がそれをいち早く察知し回避しました。……それでは、その白露組の次の矛先はどこへ向くと思いますか?」


神風「へぇ、なるほどね。たしかに、無い話じゃないわ」


親潮「陽炎組に協力していただけるのであれば、もしもの時には共に戦うこともできますし、もしかしたら白露組も避けるかもしれません」


神風「……そうね。――みんなはどう思う?」


朝風「心外だわね。私たちが白露組に後れを取るって、そういいたいの?」


親潮「い、いえっ! そういうことでは……」


春風「私は、なるべくであれば争いは避けたいところではありますが……。組長の選択に従います」


松風「ボクも、組長が戦えというなら戦うし、協力しろというなら協力してもいいかな」


旗風「私も、春風姉さんと同意見です」


神風「そう……」


親潮「……神風さん、悪い話ではないと思うのですが」


神風「――……決めたわ」パンッ


親潮「……っ! それで、お答えは……?」


神風「えぇ、私たち神風組は――」


――――――

――――

――


96 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:09:00.34 ID:E5Jf5X4O0


―――陽炎組・本部


陽炎「――断られた? それは本当なの、親潮?」


親潮「大変申し訳ありません。私の力不足で……」


秋雲「く、組長っ! 親潮の姉貴は悪くなんてありませんでした! ただ、神風組にその意思なかったってだけで――っ」


陽炎「あー、大丈夫よ秋雲。別に怒ってるわけじゃないし、なんかそんな感じしたのよね」


秋雲「へっ?」


親潮「そ、そんな感じというと……?」


陽炎「神風組は……なんていうか保守的なの。この段階じゃ、まだ動かないのもしょうがないと思うわ」


親潮「なるほど……」


陽炎「とにかく、二人ともご苦労だったわね。ゆっくり休みなさい」


親潮「わかりました。失礼します……」


黒潮「――せやかて、これはちぃ〜とばかしマズいんやないか?」


陽炎「そうね……。ただ、暁組の近くには夕雲組と綾波組がシマを持っているわ。まだ接触してる話は聞かないし、この二つの組に注意しておきましょう」


初風「……じゃあ、神風組のほうはどうしますか?」


陽炎「まぁ、白露組の動き次第ね。神風組の方から仕掛けてくることは無いでしょうし」


陽炎「……もし、白露組が神風組を狙うような動きを見せたら、私たちも動きましょう。恩を売っておいて悪い事は無いわ」


初風「わかりました。そう手配します」


陽炎「……なにもないのが一番だけど、難しいものね」


不知火「そうですね」


黒潮「――まぁ、お二人さんはこの陽炎組の柱や。だから堂々としててもらわんと困るでぇ。……めんどうなことは、うちらにまかしとき」


陽炎「……えぇ、わかってるわ。優秀な組員ばかりだもの」フフッ…



陽炎「……だからせめて、追い風が吹いてくれるように祈りましょうか――」



――――――

――――

――



―――『けんもほろろ、神風組』おわり。CMへ


97 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:09:40.53 ID:E5Jf5X4O0

―――CMF


・ナレーション:香取


鹿島「――ふぅ……」


彼女の名前は「鹿島」。

とある鎮守府を支える練習巡洋艦であります。

今日も彼女は練習遠洋航海の準備に追われていました。


鹿島「はい、それではみなさん、準備は出来ましたか?」


多忙なはずの鹿島さんですが、毎日笑顔を欠かすことはありません。

そんな彼女の笑顔のお陰で、鎮守府の皆はつらいことにも耐えられるのかもしれませんね。


鹿島「――うっ……」


しかし、いくら艦娘とはいえ彼女にも疲労が溜まっていきます。

最初はだましだまし働いていた彼女も、ついには体を壊して寝込んでしまいました。


鹿島「はぁ……、模範となるべき私がこんなんじゃ……」


それほどまでに一生懸命であった彼女。

もしかしたらこれも仕方のない事だったのかも知れません。

鹿島さん自身もそう思い込もうとしますが……――。


鹿島「普段からもっとしっかりしておけば……」ウゥ…


こうして寝込んでいる最中も、鎮守府や提督にかけた迷惑の事を考えてしまうたびに、彼女は自責の念に押しつぶされそうになっていました。


鹿島「……よしっ!」


しばらくして、復活した鹿島さん。

寝込んでしまった分を取り戻そうと、必死になって働きます……が――。


鹿島「…………っ」


また倒れてしまったらどうしよう……。

彼女の頭の中にはそんな考えが常に付きまとうようになってしまったのです……。




鹿島「――ぷはぁ!」


――そんな時に出会ったのが、この青汁でした!


鹿島「はい、常に持ち歩くようにしてますね! 栄養も取れますし、なによりマズいってイメージがあったんですけど、これはおいしいんですよ!」


青汁を飲み、前よりも笑顔を見せるようになった鹿島さん。これからも、元気でいてほしいですね!

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98 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:01:48.70 ID:4/iWZq3F0
ごめんなさい。
>>94が「第六話」になってますが、「第七話」でした。
99 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:02:48.33 ID:4/iWZq3F0

『陽炎組の収入源』


―――モブ上組・某所


ジジー…


ドゥンドゥン♪
ガチャガチャ…‼

モブ上A「――ヒマだなぁ……」


モブ上B「いやいやー、ヒマなのはいいことじゃないっすか先輩!」


モブ上A「まぁそうなんだけどよ。毎日毎日、こうやってパチンコスロットに金を突っ込むやつらを、監視カメラで見てるだけってのは飽きるぜ」


モブ上B「まぁまぁ……。――そんなことより先輩。この後イイ所行きましょうよ〜」


モブ上A「あぁ? ったくお前は……」


ジジー‼


――あの、すいません! ちょっと、三番通路のほう見てもらえますかっ?


モブ上A「え? あいよ……――」カチャカチャ…


モブ上A「――なっ!!? あ、あいつはまさか……!!」





ジャラジャラ…‼
ザワザワ…
スゲー‼
アレ、コドモジャナイノカ…?



雪風「打ちますっ! 打ちますっ!」ジャラジャラ…


天津風「……別にそんな掛け声はいらないのよ。ひねってればいいの」


雪風「でも、それじゃつまんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「つまんないって言ったって……。雪風、理解してるの?」


雪風「わかんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「そう……。まぁいいわ」





モブ上A「――あ、あれはッ!! 最近このあたりのパチ屋を荒らしまわってるっていう……!!」


モブ上B「た、たしか陽炎組っていうところのやつなんでしたっけ?」


モブ上A「……なんていう勢いだ……! おい、あの台の確率さげろっ!」


モブ上B「りょ、了解っす!」カチャカチャ…



100 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:03:30.91 ID:4/iWZq3F0


雪風「これ、壊れてます! 7しか揃わないです!」ジャラジャラ…


天津風「そう。でも、それはいい壊れ方だから安心していいわ」




モブ上A「ど、どうなってるっ!?」


モブ上B「そ、そんな……!? なんで……」カチャカチャ


モブ上A「……クソッ!!」ダッ‼


モブ上B「先輩っ!」




モブ上A「――お、おいっ!」


雪風「へっ?」


天津風「――あぁ、大丈夫よ。雪風はそのままで」


天津風「この店の人かしら? 何のよう?」


モブ上A「お、お前たち、噂は聞いてるぞ……!」


天津風「へぇ……。だからどうしようって?」


モブ上A「こ、こんなのイカサマだ!」


天津風「やだ、言いがかりもいいところね。じゃあ、他の台に移ればいいのかしら?」


モブ上A「ふ、ふざけるなっ!! テメェら――」


ガチャリ…


天津風「ふざけてるのはどっち? ……その頭、風通し良くしてあげましょうか?」

ワァ…‼
ザワザワ…
ナンダナンダ?

モブ上A「うっ……」


天津風「黙ってみてなさい。あんたにできるのはそれだけよ」


モブ上A「く、クソォ……!」



――――――

――――

――



雪風「お菓子がおいしいです!」モグモグ…


天津風「なんかいっぱい貰えてよかったわね」


101 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:04:05.12 ID:4/iWZq3F0


天津風「……さて、それじゃ次はあの店に行こうかしら」


雪風「でも、雪風は遊んでていいのでしょうか……」


天津風「いいじゃない。これでいいって組長に――」


オウッ‼


天津風「――言われて……るんだし……」


雪風「あれ? この声って……」


天津風「……マズいわね」


「見ーーーつーーーけたっ!!!」


ズサァアアアア‼


天津風「……島風……!」チッ…


島風「やっと見つけたよ、天津風! 情報通りだったね」


天津風(情報……?)


天津風「――何度も言ってるけど、あんたと勝負する気はないわよ」


島風「なんて言って! 島風からは逃げられないよ!」


天津風「……雪風、行くわよ」ボソッ


雪風「……えっ――」グンッ


天津風「逃げるわ!」ダッシュ


雪風「わわっ!」


島風「…………ッ!!」ビュンッ‼


天津風「……なんとか、逃げきれたり――」


島風「――おっそーい!」


天津風「って、そりゃそうよねっ!」グッ


天津風「雪風! A作戦よ!」


雪風「A作戦っ? えーっと、A作戦は……」


天津風「――あぁもう、息止めてなさい!」ブンッ‼


ボワッ‼


島風「――っ!! ゲホッ……ゲホッ……!」



102 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:04:57.17 ID:4/iWZq3F0


島風「――ふ、二人はっ!?」


ガラーン…


島風「あーっ、逃げられたー!」



――――――

――――

――




―――陽炎組・本部


天津風「――っていうことがありまして」


時津風「わぁーっ、雪風だー!」


雪風「時津風、お菓子食べましょう!」

ワーイワーイ‼

陽炎「そう……それは災難だったわね」


天津風「島風は確かに『情報通りだった』と……」


陽炎「あの島風を人間が捕まえられるとは思えないわね」


黒潮「ってすると……」


陽炎「えぇ、どこかの組が天津風たちの情報を流したってことね。……でも、問題はどこの組が流したかじゃなくて、何処から漏れたのか……よ」


不知火「……まさか――」


陽炎「なるべくなら考えたくはないけど……。一つの可能性としては――」


天津風「陽炎組の中に……?」


黒潮「はぁ……」


陽炎「明日、陽炎組を全員集めましょう」


黒潮「……流したのは暁組やろか?」


陽炎「情報を聞く限りそんなことするようには思えなかったけど……。白露組もこんな小細工はしないでしょうし。困ったわね……――」


――――――


コソコソ…


秋雲「いやぁ、これはちょっとマズいかもなぁ……――」



 第七話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」

お わ り
103 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:06:18.80 ID:4/iWZq3F0

【次回予告】

デデンデデン♪


萩風「陽炎組若中、萩風です」


萩風「実は私、陽炎組のご飯を作ったりしているんですよ」


萩風「そんな意味では、みなさんの健康を任されているような気がして責任重大です」


萩風「…………ですが、最近陽炎組はピリピリしてます」


萩風「はぁ……、陽炎組はどうなってしまうのでしょうか……」


萩風「次回『暁が如く』」


萩風「『私計か、それとも……。秋雲の苦悩』」


萩風「任侠桜に仁義の嵐!」


萩風「……秋雲? あなたは陽炎組……なのよね?」



デデデン♪


104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 01:37:37.10 ID:4uCL5eJs0
おつ
島風はどーいう立位置なんやろ?
105 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:02:30.60 ID:ppBgPTw90
>>104
島風は、業界最速の配達員。裏の顔は気まぐれヒットマンやで。
ただ、なんやかんや色々あって天津風を目の敵にしてるって設定だけど、特に深い意味はないから気にしなくていいよ。
106 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:03:15.37 ID:ppBgPTw90


 第八話
 「私計か、それとも……。秋雲の苦悩」



―――陽炎組・本部


ザワザワ…


陽炎「――さて、みんな集まったかしら」


シーン…


陽炎「今日みんなを集めたのは、最近活発になってきている他の組についてよ」


磯風「……それは人間の、ということですか?」


陽炎「いいえ、違うわ。……まぁたしかに、徒党を組んで陰で何か企んでるんじゃないかって噂もあるけど」


陽炎「――ただ、今日は艦娘の組についてよ。暁組の事はみんな知っているかしら?」

ザワザワ…

陽炎「そう。最初は気にも留めてなかった組だったんだけどね。それが今や、睦月組・吹雪組・秋月組と手を組み、私たち陽炎組に匹敵するほどの勢力になってるわ」


陽炎「私たちも何とか対抗していきたいんだけど、残念ながら周りに敵が多すぎる」


陽炎「……そして、新たな問題も浮上してきたわ」


初風「……問題、ですか?」


陽炎「……黒潮、お願い」


黒潮「――はいはいー」


黒潮「みんな、おはようさん。……問題っていうのはな、資金源のことなんや」


黒潮「えーっと……うちら陽炎組は、基本的に他の人間の組から資金を調達しとる」


黒潮「まぁ、まっとうにやってるところはええんやけど、主にはあくどい商売やってるとこに対してやな」


黒潮「最近になると、みんなの働きもあってか数は減ってるように思う」


黒潮「――ただ、おかしな報告も増えてきてな。これがその問題っちゅうやつや」


黒潮「『逃げられた』……そういう報告が多くなってきたんや」


浜風「そういえば、たしかに……」


谷風「あぁー! そんなこともあったねぇ」


嵐「偶然だったり……」


野分「話の意図を考えなさい。これはつまり……」


舞風「あれあれ? ……まさか、暗い話かなー」



107 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:03:47.90 ID:ppBgPTw90


浦風「――待ってくれんじゃろか本部長ッ!! ウチには……本部長がイヤな事を言っているように聞こえてしまうんよ……」


黒潮「……そうやな。うちもできることなら言いたくはないんやけど、こればっかりはそういうわけにもいかん」


浦風「それじゃ、やっぱり……」


黒潮「そうや……――」




黒潮「 この中に、陽炎組の情報を流してるもんがおる 」




時津風「そっかぁ……」

浦風「……まさかなぁ」

磯風「ふむ……」

浜風「この中に……っ」

谷風「そいつぁ……」

野分「………………」

嵐「マジかぁ……」

舞風「うはー……」

萩風「そ、そんな……」

秋雲「………………」シラー…



陽炎「――みんな、静かに。……こうは言ったけどね、可能性としては違うことも考えられるわ」


陽炎「人間の組が私たちを混乱させるためにやってるのかもしれないし、私たちもまだ決めつけてはいない」


陽炎「……でも知っておいて」



陽炎「――……もし、それが原因で陽炎組の誰かが危険な目に遭うのだとしたら、私はそいつを許さない」ゴゴゴゴ…‼



陽炎「……以上よ。解散していいわ」



秋雲「………………」ダラダラダラダラダラ…


萩風「……秋雲? 大丈夫、すごい汗だけど……?」


秋雲「へ、へっ!? ちょ、ちょーっと暑くてさ……あはは……」


萩風「そう、かな……?」アツイ…?



――――――

――――

――


108 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:05:02.52 ID:ppBgPTw90


陽炎「――もし陽炎組の中に居るのだとしたら、浜風から下の組員かしらね……」


黒潮「たぶん、そういうことになるやろなぁ……」


陽炎「……不知火。情報を受けている組はわかった?」


不知火「断定はできませんが、綾波組か夕雲組。……おそらくは夕雲組かと」


陽炎「そう、ご苦労さま。……夕雲組から目を離さないでおきましょう。小さな動きも見逃さないで」


不知火「はい」


陽炎「ふぅ……。もう、迷ってる暇はないのかもしれないわね……」


黒潮「……どうするつもりなんや?」


陽炎「……神風組と初春組、そして……白露組。この三つに同盟を持ち掛けましょう」


黒潮「なっ……! 初春組はともかく、神風組は断られたばかりやないかっ? それに白露組にもなんて……!」


陽炎「もう事態は動き始めてるわ。この前とは違う。……神風組も動いてくれると思う」


黒潮「だとしても、なんで白露組にも……。それなら綾波組のほうがええと思うけど」


陽炎「綾波組は……なんて言えばいいのかしら。静かすぎるのよ」


黒潮「どういうことや?」


陽炎「ここまで夕雲組も綾波組も……、どちらも大きな動きを見せてないわ。大人し過ぎる気がしない? ……イヤな予感がするの」


黒潮「だからって……」


陽炎「それに、いつまでも白露組っていう爆弾を抱えてるわけにもいかないでしょう。もし、同盟がダメなら……やるしかない」


黒潮「…………そうかぁ」


黒潮「わかったわ。組長がそこまで言うんやったら、うちも何も言わん。……やったろうやないか」


陽炎「悪いわね……。ここが正念場よ――」


――――――

――――

――


秋雲「………………」ゴソゴソ…

萩風「――あら、秋雲? どこかに出かけるの?」

秋雲「あ、あぁ、萩風の姉貴! うん、ちょっと出かけてるくる……」アハハ…

萩風「そう……。気を付けてね」

秋雲「あはは、大丈夫大丈夫っ! それじゃ、いってきまーっす!」

萩風「………………」


―――CMへ

109 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:05:50.88 ID:ppBgPTw90

―――CMG

『☆アイオワのテレビショッピング☆』


サラトガ「――ハァ……」


イントレピッド「Hey,Sara? そんな落ち込んでどうしたの?」


ガンビア「そ、そうですよ! らしくないです……」


サラトガ「それが、最近出撃が少なくて……ちょっと運動不足かも……」


デデーン‼


アイオワ「――Hi! Sara、あなたのその悩み解決するわっ!」


サラトガ「えぇっ? でも、どうやって……?」


アイオワ「今回紹介するのは、こちら!」

ガラガラ…

イントレピッド「こ、これはランニングマシーン?」

ガンビア「で、でも、水が入ってます……」


アイオワ「そう! これはジェット水流によって、まるで出撃の時の海の上を走るように運動できるマシーンなのよっ!」


サラトガ「Wow! これなら出撃できないときも、部屋の中で同じだけの運動ができるわねっ!」


イントレピッド「うーん……。でも、ずっと部屋にあるとさすがに邪魔じゃないかしら……?」


アイオワ「Don’t worry! ――カモン、Samuel!」


サミュエル「Nice to meet you! よろしくね!」


アイオワ「それじゃ、さっそくお願いできるかしら」


サミュエル「OK! ――よいしょ……」カチャカチャ…


ガンビア「わぁ! あんなに折りたためるなんて!」


サラトガ「それに、あんなに小さい子でも動かすことができるのねっ!」


アイオワ「これなら使いたい時すぐに出すことができるし、しまう場所も選ばないわっ!」


イントレピッド「たしかに、これはすごいわねっ! ……でも、やっぱりお値段は高いの?」


アイオワ「フフーン! この私を甘く見てもらっては困るわ!」


アイオワ「今ならなんと、このPriceで!」ガシャーン


サラトガ「Fantastic! なんてお買い得なのかしら!」


アイオワ「――さぁ、そこのあなたも! いますぐチェック!」


110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 09:31:24.82 ID:sZA+gl2z0
おつ、秋雲の胃がマッハですなぁ
そして暁のハードルが周りに勝手に上げられていく…
111 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:43:24.28 ID:Z6WJcbW70

―――CM明け


―――某所


秋雲「………………」コソコソ


「――秋雲」


秋雲「――うわぁっ!」ビクッ


風雲「な、なによ……! そんなビックリしなくてもいいじゃない……」


秋雲「か、風雲の姉貴か……。はぁ、心臓に悪いよ」


風雲「…………? どうしたの、今日はやけにビクついてるわね」


秋雲「あ、あぁー……。それが……さ――」




――――――


風雲「――なるほど、ねぇ。そっか、私たちが邪魔してるのバレてるんだ」


秋雲「まだ、秋雲としては疑われてはないかもだけど……」


風雲「……じゃあ、こっちに来たらどう?」


秋雲「え?」


風雲「これが引き際なのかもしれないわ。秋雲だって、そんな神経すり減らすのは疲れるでしょ?」


秋雲「………………」


風雲「――というか、もともと夕雲組長だって反対してたのよ。秋雲にだけそんなことはさせられないって」


秋雲「……いいんだよ。これで、いいんだ……」


風雲「はぁ……、最初にあんたが夕雲組に接触してきたときは警戒したものだけど、いまならわかるわ。……誰かのために、動いてるんでしょ?」


秋雲「………………」


風雲「でもね、物事にはどうしようもないこともあるの。……もう十分、秋雲は頑張ったわよ。後は夕雲組がなんとかするわ」


秋雲「――ダメだよ」


風雲「なんで……って聞いてもいいの?」


秋雲「……まず、風雲の姉貴は勘違いをしてる。……これは私のためなんだ。誰のためでもない」


風雲「………………」


秋雲「私のため……。そのために、夕雲組を利用してるんだ。……ただ、それだけなんだよ」


風雲「……そう。まぁ、それでもいいわ――」


112 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:47:31.34 ID:Z6WJcbW70

――

――――

――――――


秋雲「――こんなもんかな。……それじゃ、引き続きよろしく頼むよ」


風雲「えぇ、わかったわ」


秋雲「あ……それと、これからはこう頻繁に会えないかもしれない。今までみたいに、曜日で会うのは止めにしよう」


風雲「いいけど……。どうするのよ?」


秋雲「何とか連絡するよ。……さて、それじゃ――」



カランッ…



風雲「――誰ッ!!」ガチャ‼


萩風「あっ……あの……!」


秋雲「は、萩風の姉貴……っ!!?」


萩風「――――っ」ダッ


風雲「逃がさないわ――」


秋雲「ま、待って!!」バッ‼


風雲「どきなさいっ! 見られてるのよっ!?」


秋雲「あ、秋雲が……! なんとか説得するから……、だから……!」


風雲「…………ハァ……。……秋雲、こうなってしまった以上しょうがないわ。夕雲組に行きましょう」


秋雲「……いいや、行かない」


風雲「………………。――そう、それじゃもう終わりね。秋雲があの娘を説得できようができまいが、次からのあんたの情報は信用できなくなる」


秋雲「うん、わかってる」


風雲「……それでも、戻るのね?」


秋雲「………………」コクッ


風雲「――じゃあ、もう何も言わないわ。……もしなにかあったら、ここに連絡しなさい」スッ


秋雲「これは……?」


風雲「私の連絡先よ。……夕雲組としては動けないかもしれないけど、風雲としてなら動けるかもしれないわ」


秋雲「……わかった。ありがとう、風雲の姉貴―――」



――――――
113 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:51:25.67 ID:Z6WJcbW70

―――陽炎組・本部

秋雲「………………」ゴクッ

ガララッ‼

秋雲「た、ただいま帰りましたー……」


浦風「――あぁ、秋雲。おかえり」


秋雲「――ッ! あ……えと……」

浦風「…………? どうしたんじゃ、そんな顔して……」

秋雲「…………えっ? ――あ、あぁいやっ、なんでもないです!」ヘヘヘ…

浦風「そ、そうなん……? なにかあったら、遠慮なく言うんよ?」

秋雲「はい、ありがとうございます……――」


―――陽炎組・本部・厨房


萩風「………………」トントントン…

ジュー…

秋雲「――萩風の姉貴」


萩風「………………」


秋雲「なんで、黙ってるんだ?」


萩風「……言えなかった。……なんででしょうね」トントントン…


秋雲「報告するならまだ間に合う。……これじゃ、萩風の姉貴も共犯になっちゃうよ」


萩風「止めないの?」


秋雲「しょうがないよ。全部、私の責任だから……」


萩風「………………」


萩風「――秋雲、今日は健康ハンバーグを作ってみたの。配膳、手伝ってくれる?」


秋雲「萩風の姉貴っ! どうして――」


萩風「だって! ……秋雲は、苦しんでるじゃない!」


秋雲「――――っ」


萩風「それに、可愛い妹分だから……。ふふっ、私たち……共犯だね」


秋雲「なんだよ、それ……。…………ありがとう」ボソッ…


――――――

――――

――

 第八話
 「私計かそれとも……。秋雲の苦悩」


お わ り
114 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:53:02.39 ID:Z6WJcbW70


【次回予告】

デデンデデン♪


高波「夕雲組若頭補佐、高波……です!」


高波「ついに私たち夕雲組が動き出す時が来た……かも!」


高波「でも、私たちの動向は陽炎組に見張られちゃってたりするかもですけど――」


高波「夕雲組は陽炎組なんかには負けない……です!」


高波「次回『暁が如く』」


高波「『のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟』」


高波「任侠桜に仁義の嵐……かも!」


高波「――へっ!? さ、最後に一言って……聞いてないかもっ!」



デデデン♪


115 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/05/01(火) 22:10:03.65 ID:Z6WJcbW70
読んでる人居るかな?

ちょっと聞きたいのですが。
自分はこのサイトでSSを書く時って、基本的には行数いっぱいに使って書くようにしてるんだけど、これって読みにくかったりしますか……?
「行数全部使ったら読みにくい」という意見があったので……。

出来ればこのままでやりたいのですが、読みにくいって人が居るなら直そうかなと思ってます。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 22:37:24.63 ID:IWbHg9BO0
問題ないかも!
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 23:01:20.16 ID:UVKpOboO0
読んでますよ
自分もこのままで問題ないと思います(むしろこの方が好き)
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 23:58:20.80 ID:foC1KrgxO
今のままでいいと思うぜ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 09:34:56.85 ID:FQhCNDum0
作者雑談スレに書かれました?
自分はレスを10行とかでぷつぷつ切られる方が読みにくい
というか露骨なレス稼ぎに見えてよっぽどの良作でないと読むのをやめる
場面とかの切り替えとかでレスを切る人もいるしやりたい様にされるのが一番かと
更新がまとまって有ると続きがどうなるのかの展開を考えやすいから自分は好きですね
いつも楽しませていただいています
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 10:47:09.35 ID:VuOdRlEA0
このままで大丈夫だぞ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:07:17.33 ID:r57VtxwZ0
このままで大丈夫
止まるんじゃねえぞ
122 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:42:25.16 ID:RgrSEOcd0
みんなレスありがとう。

>>119
そうなのです。そのスレでそういう話になっていて「そういう意見もあるのか」と少し不安になってたのですが、杞憂だったみたいで安心しました。

SSの書き方にも依るのかもしれませんね。
私は擬音とか色々入れやすくするために行間が結構空いてるので、むしろいっぱいに使った方が良いのかもしれません。

なにはともあれ、読み辛くはないようなのでよかったです。

このまま続けます。
123 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:43:11.34 ID:RgrSEOcd0


 第九話
 「のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟」


―――暁組・事務所


ザザッ…

暁「――あれ? ……テレビの調子がおかしいわ」


電「はわわっ! こ、これじゃ、じゃんけんができないのです……」


雷「うーん、困ったわね……。叩けば治るかしら」スッ


電「わーっ! だ、ダメなのです! きっとテレビじゃなくてアンテナの方なのです……」


暁「アンテナかぁ……。でも、いま響いないし、秋月組のみんなも出ちゃってるのよね」


雷「……あっ、そうだ」

ゴソゴソ…

暁「…………? なに探してるの?」


雷「じゃーん! DVDよ!」


電「たしかに、DVDなら見れるのです! けど、内容はいったい……?」


雷「――ホラーよ」


暁「」

電「」


雷「どうする、組長? 組長が怖いならやめましょうか」


暁「なっ……! ぜ、全然怖くなんかないわ! いいわよ、見てやろうじゃない!」カチーン‼


電「はわわ……。電は怖いの苦手なのです……」

ワーワーギャーギャー

――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――あらあら。これはこれは……」


朝風「まさか……アンタが来るとはね」





陽炎「実際に会うのは初めてかしら? ……先日は親潮が世話になったわね」






124 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:43:49.39 ID:RgrSEOcd0


春風「随分と、度胸のあることですね」


松風「いいじゃないか。そういうの、嫌いじゃないよ」


神風「……それで、今回はいったい何の用? ――と、言いたいんだけど……」



不知火「………………」ゴゴゴゴ…



神風「そっちのが、随分とやる気じゃない。……でも、戦争をしに来たわけじゃないでしょう?」


陽炎「えぇ、もちろん。……不知火、大人しくしなさい」


不知火「ずっと大人しくしてます」


陽炎「わかったから。ジッとしてて」


不知火「………………」ムスッ


陽炎「ごめんなさいね、気にしないでくれると助かるわ」


神風「ま、いいわ。――それで、陽炎組の組長さんが、こんな小さな組に何の用かしら?」


陽炎「どうやら、回りくどい言い方は好まないようね? 私もそうだから、単刀直入に言わせてもらうわ――」


陽炎「――私たち陽炎組と、同盟を組んでほしいの」


神風「はっ……。また答えないといけないの? 断ったつもりだったけど」


陽炎「前回とは状況が違うわ。……もう少しで、私たち艦娘の間にある均衡が崩れる。そんな予感がするの」


神風「『予感』ね。そんな曖昧なもので私たちは動かないわ。……で、話は終わり?」


陽炎「……もう一度、よく考えなおしてくれないかしら?」


神風「…………解せないわ。何故、陽炎組ともあろうものが、私たちなんかに頭を下げるの?」


神風「正直に言えば、神風組が陽炎組と戦えば、神風組が勝つ見込みは少ない。それぐらいは私でも分かる」


神風「――あなたは、私たちを力で屈服させることもできたはず……。それが何故?」


陽炎「そんなの、単純な話よ……」



陽炎「――私たち陽炎組と神風組は、同等の立場として一緒に戦ってほしいの」



神風「………………!」


陽炎「……でも、ダメなら諦めるわ。今後一切、陽炎組は神風組に関わらないことを――」


神風「――わかった」


陽炎「……え?」


125 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:44:47.33 ID:RgrSEOcd0

神風「『わかった』って言ったの。何度も言わせないで」


陽炎「それじゃ……!」


神風「えぇ、私たち神風組は、いついかなる時も陽炎組に味方するわ」


朝風「ちょ……! 組長、それは……――!」


神風「――黙りなさい、朝風。もう口に出してしまったの。今さら無しだなんて言えないわ」フフッ…


朝風「はぁ……。まったく……」

春風「……私は、組長がそれでいいのであれば」

松風「……ま、それもおもしろいかもね」

旗風「私も、異論はありません」


陽炎「……感謝するわ」


神風「どうするの? 盃でも交わすのかしら?」


陽炎「それはまたの機会に。……実は、もう一つ厄介なものを抱えてるのよ」


神風「ふぅん……?」


陽炎「……初風。イヤな役を押し付けちゃったわね……――」



――――――

――――

――



―――白露組・本部


クスクスクス…
アハハハ…
ドウシテヤロカシラ…


初風「………………」ダラダラ…


時雨「……ようこそ。初風さん……だったかな?」


初風「え、えぇ……――」


初風(なんなのよこれ……。まるで生きた心地がしないわ……)


ヤッチャッテイイッポイ?
ダメヨ…マダ…
クスクスクス…


初風(――あぁもう……。組長、恨みます……)


時雨「まぁ、そう緊張しないで。リラックスしてよ」


初風(くっ……出来るわけないでしょう……!)


――――――
126 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:45:35.72 ID:RgrSEOcd0


―――数刻前・陽炎組・本部


初風「――わ、私が、一人で白露組に……!?」


陽炎「ごめんね、初風。本当なら私が行こうと思ってたんだけど……」


陽炎「みんなが『私が行くなら着いていく』って聞かないのよ……」


黒潮「当たり前や。自分の立場ってもんを考えろっちゅうんや」


陽炎「不知火にはそういうのは無理だし、黒潮も向いてないし、親潮にもちょっと荷が重いかなって」


陽炎「――初風、あなたが適任なの。どうか、お願いされてくれないかしら」


初風「で、ですが、一人ですか……?」


陽炎「今回、白露組と交渉をするなら、出来るだけ戦闘の意思を見せないで欲しいの」


陽炎「……これは難しい任務よ。……今回ばかりは、無理にとは言わないわ。イヤならイヤと言っても、誰も責めない」


陽炎「でもね。同時に、この任務は初風にしか出来ないとも思っているわ」


初風「………………」


陽炎「……どう?」


初風「……ズルいですよ、そんなの……」


陽炎「ごめんね……」


初風「――あぁ、わかりましたっ! この初風、たとえ首を落とされてもこの任務、遂行して見せます!」


陽炎「……よく言ってくれたわ。……初風、よろしく頼むわね――」


――――――

――――

――


初風「……断ればよかったかしら……」ボソッ


時雨「……なにか言ったかな?」


初風「――い、いえ。……それで、今回は私たち陽炎組と白露組で同盟を結びたい……という話で来たのですが……」


時雨「同盟……ね。一つ聞きたいのだけど、それは僕たちにとってどんなメリットがあるのかな?」


初風「……最近、暁組という組が急激に力を付けてきてます。それに対抗する形で――」


時雨「答えになってないなぁ。それじゃあ僕たち白露組は、陽炎組と同盟を組まないと潰されてしまう……と、キミはそう言いたいの?」ゴゴゴゴ…


初風「――そ、そういう……わけでは」


初風(なんていうプレッシャー……。若頭の時雨……噂以上ね……)


127 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:46:52.34 ID:RgrSEOcd0

村雨「同盟なんてそんなものより、陽炎組に乗り込んじゃったほうが面白いんじゃないかなぁ?」


初風「なっ……!」


夕立「賛成っぽい! それじゃあ……、この人はヤっちゃっていいっぽい?」ガチャ


時雨「うるさいよ。……いま僕が話してるんだ」ギロッ


時雨「――でも、それも悪くない意見だ。まさか陽炎組が、そんなに弱腰だとは思わなかったよ」

クスクスクス…
アハハ…
ヨワイノネ…

初風「――ッ!!」グッ…


時雨「……話は終わりかな? それじゃ、いい機会だ。僕たち全員で、陽炎組まで送って差し上げようじゃないか」ニコッ


初風(……やられる? 逃げなきゃ……!?)


初風「――ふふっ……」


時雨「…………何かおかしいかな?」


初風(――『逃げる』? 陽炎組を馬鹿にされたまま、私は逃げるっていうの? ……あり得ないわ)


初風「……いい度胸だわあなた達。陽炎組を敵に回す事、後悔させてあげ――」




白露「――ねー、時雨? 同盟ってなに?」




時雨「あぁ、組長……。同盟というのは、弱い者同士が力を合わせることです。僕たちには……」


白露「じゃあ、組むのと組まないの。どっちが一番に近いの?」


時雨「……そういう意味では、組んだ方が早いかもしれませんけど――」


白露「――じゃあいいよ。同盟の話」


初風「へっ?」


時雨「……組長がそういうのであれば」


時雨「――っていうことになったよ。よろしくね、初風さん」ニコッ


初風「あ、あぁ……はい……」


夕立「えぇー! そんなの――」


時雨「――夕立、これは組長の意向だよ? まさか逆らうのかい?」ゴゴゴゴ…


夕立「じょ、冗談っぽい……」シュン…



初風「…………け、結果オーライって所かしら……」


128 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:48:07.40 ID:RgrSEOcd0


時雨「――でもまぁ、僕たちの同盟はその暁組とのいざこざが終わるまでだ」


時雨「それが終わったら、僕たちは即座に君たちの敵になる。……これでいいかな?」


初風「えぇ、かまわないわ」


時雨「初風さん、先ほどまでの無礼は詫びよう。……実際の所、ここに一人で来るだなんて……相当な実力と、信頼があるんだね」


初風「……まぁね」フンッ


時雨「ふふっ……。まぁ、こういうのも面白い。そう思うようにするよ――」


――――――

――――

――


―――CMへ


129 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:50:34.09 ID:RgrSEOcd0

―――CMH

『サーチ♥ライト』


―――猫鳴警察署

ダンッ

球磨「――くっそー『怪盗サーチ♥ライト』め……! また予告状なんて出してきやがったクマ!」

多摩「球磨主任……。今のうちからそんなに緊張しててもしょうがないニャ」

球磨「しかしだクマ! いつまでも舐められてるわけにはいかんクマ!」

北上「まぁーさー。こういう時はあの喫茶店でも行って落ち着こーよ」

球磨「……それもそうクマね――」


―――喫茶店『サーチライト』

カランカラン…

那珂「――いらっしゃーい!」キャピッ


球磨「来たクマー」


神通「――あれ、皆さん。なにか神妙な面持ちですね」


多摩「また予告状が届いたのニャ……」


川内「あー、あの『怪盗サーチ♥ライト』から? 早く捕まえちゃってよー。偶然にも同じ名前のこの店が悪く見られちゃうしさ」


球磨「うぐっ……。く、球磨達だって頑張ってるんだクマ……」


神通「そうですよ、姉さん。……はい、コーヒーです」コトッ


北上「でもさー、なんであの怪盗たちは予告状なんて出してくんのかねー。黙って盗ってきゃいいのにさ。そうすれば、私たちだってこんな動かなくてもすむんだけどなぁ」


那珂「あー! 刑事さんがそんなこと言ってもいいの?」


北上「あははー、いいのいいの」


カランカラン…‼


木曾「球磨主任! やっぱりここに……。今日は会議だってのを忘れたのか?」


球磨「あっ……」


神通「あはは……。それじゃ、お仕事頑張ってくださいね――」




――しかし、そんな彼女たちには裏の顔があった!


神通「――川内姉さん! 那珂ちゃん! 行きますよ!」

川内「おーっ!」
那珂「いえーいっ!」


闇夜を駆ける三つの影。そして照らされる探照灯!
 そう、彼女たちこそが『怪盗サーチ♥ライト』だったのだ!


『サーチ♥ライト』
 二水戦テレビ系列にて絶賛放送中!
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 16:10:44.49 ID:W2WY+gXe0
二水戦テレビはどこに行けば見れますか!!?
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 19:19:51.90 ID:ZTJE4ObQ0
キャッツアイかぁ
懐かしいなぁ、シティハンターにも喫茶店の名前だけ出てきてたりしてたの思い出した
本編も続き待ってます
132 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:21:44.88 ID:0vVFI0yr0
>>130
二水戦テレビは、水雷魂を持ってテレビつければきっと見れるよ。
133 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:22:27.17 ID:0vVFI0yr0

―――CM明け


―――暁組・事務所


アナタハダァレ?

暁「………………」ゴクッ

アハハ‼アハハハハハ‼

雷「んー! んーー……!」チラッ

ソレハナァ…―

電「はわわ……! はわわわわ…………!!」ガタガタ…


オマエダァアアアアアアアアアアアアアア‼


「「「いやぁああああああああああああっ!!」」」


ガチャ…

響「ただいま。いま、なにか悲鳴が聞こえたような――」


「「「きゃあああああああああああああ――!」」」


暁「――って! ひ、響じゃない!! び、びっくりさせないでよ、もうっ!!」


響「……すまない」


電「はわ………………」チーン…


雷「こ、こんなに怖いなんて、聞いてないじゃない……!」


響「……ふーん、ホラー映画を見てたのかい?」


暁「ま、まぁね! ぜ、全然怖くなかったけど!」

電「……電はすごい怖かったのです……」

雷「ウソよっ! 組長だって叫んでたじゃない!」

暁「そ、それは――!」


響「――まぁまぁ。それよりも……」


暁「…………? それよりも?」


響「いや、そこに居る赤い服の人は誰かな……って思ってね」


暁「」ピキッ

電「」パキッ


雷「――だ、騙されないわっ! そういって、響は私たちを驚かそうとしてるのね!」

響「そう言われても……」

暁「そ、そうだわっ! ふんっ、どうせ誰も居な――」クルッ


早霜「…………こんにちは」フフッ…


――イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……

134 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:22:56.38 ID:0vVFI0yr0

――

――――

――――――


暁「――ゴホンっ。……えーと、それじゃ改めて……」


暁「……私たちの事務所に勝手に入り込んで、あなた誰なのよっ?」


早霜「ごめんなさい……つい。映画を見終わるまで、待っていようかと思ったのですけど……」


雷「というか、いつから居たの?」


早霜「ずっといましたよ。ずーっと……」フフフ…


電「この人怖いのです」


響「……その服から察するに、キミは夕雲組だろう? ……いったいどんな用件で?」


早霜「それは、まず私の口よりもこれを……」スッ


暁「……DVD? ……こ、怖いのじゃないのよね?」


早霜「ご安心を……。夕雲組長からの伝言です……」カチッ



夕雲『――初めまして、暁組の皆さん。夕雲組組長、夕雲と申します』

夕雲『このような形での挨拶となってしまい、大変申し訳ない気持ちであります』

夕雲『ですが、いま夕雲組はとある事情から陽炎組に目を付けられていまして、外出はおろか通信機器すらも傍受されている可能性から、使うことができないのです。どうかご容赦くださいますようお願いいたします』

夕雲『私どもの方にも、暁組の活躍は聞き及んでおります。さぞ、組長様は器の大きい方なのでしょう』


暁「そ、それほどでも……あるわね」

雷「………………」

電「………………」


夕雲『――そこで一つ。無茶な事なのは承知の上で、暁組にお願いしたいことがあるのです』

夕雲『陽炎組に居る私たちの内通者。秋雲の救出をお願いしたいのです』


暁「救出……?」


夕雲『こうなってしまった経緯は話せば長くなってしまうので割愛しますが、彼女は多くの情報を私たちに与えてくれました』

夕雲『私たちはその情報をもとに、陽炎組の力を削っていたのですが。しかし、陽炎組も馬鹿ではありません。ついに情報提供の事が感付かれてしまったのです』

夕雲『まだ秋雲さんが内通者だということは気付かれていないようですが、それも時間の問題でしょう』

夕雲『……そこで、陽炎組の目がこちらに向いている隙に、秋雲さんを暁組に救出していただきたいのです』

夕雲『もちろん、本来であれば私たち夕雲組で解決しなければいけないことでしょう。しかし、先ほども申しました通り。夕雲組は陽炎組に目を付けられてしまっていて動くことができません』

夕雲『……無茶なお願いなのはわかっています。強要はできませんし、お断りしていただいても構いません』


夕雲『――……ですが、もしやっていただけるとの事であれば、私たち夕雲組は暁組に絶対の忠誠を誓いましょう』

夕雲『どうか、ご一考いただければ幸いでございます。……これ以上の詳しい話は、その場に居る早霜にお聞きください』



早霜「――以上が、夕雲組長からのお言葉です」

135 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:23:31.46 ID:0vVFI0yr0


暁「きゅ、救出って……あの陽炎組相手に……? な、なんで私たちなのよっ?」


早霜「……それはそうでしょう。いまや、あの陽炎組に対抗できるのは、睦月組・吹雪組・秋月組を傘下に置く、あなた方暁組だけなのですから」


電「さ、傘下って……?」


雷「……まぁ睦月組はともかく、他二つはそう見えてもおかしくないわね……」


響「――しかし、理解できないな。なぜ、その内通者一人のためにそこまでするのか……。もともと、そういうリスクは承知の上なのでは?」


早霜「……それについては、少し複雑なのです……。その秋雲ですが、もともと私たちが送り込んだものでもありません」


暁「どういうこと?」


早霜「秋雲は元から陽炎組の組員なのです。……それが、ある時私たちに接触してきて情報を提供してきたのです」


雷「へぇ……。どんな見返りを望んでたのかしら?」


早霜「……いいえ、秋雲は見返りを要求しなかったのです。ただ、陽炎組が大きくなるのを止めてくれればそれでいいと」


電「え、えぇっと……?」


早霜「それ以上のことはわかりません……。秋雲本人に聞いてみないことには」


響「……それで? 夕雲組が秋雲一人のためにそこまでする理由は?」


早霜「……夕雲組長は仁義を重んじるお方です。秋雲を見捨てておくのが我慢ならないのでしょう」


暁「……か、考える時間はどれくらいあるの?」


早霜「実は……あまり猶予がありません。なぜかと言いますと、このDVDを録った後に陽炎組の萩風という組員から電話があったのです」


早霜「『秋雲を、守ってほしい』と」


電「で、でも……、さっき通信機器は……」


早霜「そう。おそらくは下の組員まで詳しく話をしていなかったのでしょう……。萩風のその電話はたぶん……」


雷「もし、私たちが断ったら?」


早霜「……その時は、夕雲組と陽炎組の戦争になるでしょう。……勝ち目は薄いかもしれませんが」


暁「……みんなはどう思う?」


電「い、電は……よくわからないのです……」


雷「難しいわね……。夕雲組が味方になるのはすごいことだと思うけど……」


暁「……響は?」


響「――私は反対だ。『絶対の忠誠を誓う』とは言っても、夕雲組がそれを守る保証はどこにもない」


響「陽炎組を相手にすれば、私たちだってタダじゃ済まないかもしれないんだ……」

136 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:24:57.25 ID:0vVFI0yr0

暁「…………そうよね」


早霜「さっき夕雲組長が言った通り。断ってもそれはしょうがない事です。暁さんが気に病むことではありません」


暁「………………」


雷「組長…………」

電「はわわ……」

響「…………組長」


暁「――……決めた」


早霜「…………はい」






暁「 秋雲救出の件。私たち暁組が請け負ったわ 」






早霜「…………え……?」


雷「――ふふっ! 組長なら、そう言うわよね!」


電「なのですっ!」


響「………………っ!」


暁「…………響。あの、えっと……」


響「――ハラショー。……それでこそ、我が組長だ」


暁「え? いいの……?」


響「もちろんさ。……私は、それがたとえ地獄へ通ずる道だとしても、組長と共に歩くよ」ハラショー


暁「響……!」


早霜「あ、あの……! 本当に……」


暁「――早霜、帰って夕雲さんに伝えなさい。秋雲は、私たちが必ず救い出してみせる……ってね」ニコッ


早霜「――っ! ……必ず」グッ



暁「戦争だなんて、そんな物騒なこと止めた方が良いに決まってるわ。……みんなを集めましょう。今すぐに作戦会議よ!!」

雷「えぇっ! 秋月達に伝えてくるわね!」

電「い、電はお茶とお菓子を用意するのです!」

響「それじゃ、私は作戦を考えようかな……」


 第九話
 『のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟』

お わ り
137 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:25:52.81 ID:0vVFI0yr0

【次回予告】

デデンデデン♪


曙「綾波組の若中をやってるわ、曙よ。……お相撲さんではないわ」


曙「あーあー、まったく面倒くさいことになってきたわね」


曙「正直な話、陽炎組と夕雲組が戦争したところで、私の知ったことじゃないわ」


曙「……でもまぁ、組長が言うんだったら仕方がないか」


曙「見てなさい。目に物を見せてあげるから」


曙「次回『暁が如く』」


曙「『嫁菜の如く』」


曙「任侠桜に仁義の嵐……ってなによこれ?」


曙「ホント……冗談じゃないわ」


デデデン♪


138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 23:48:29.77 ID:ZTJE4ObQ0
乙でございます
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 17:50:56.17 ID:2NcOATpm0
提督って概念が存在しない世界観?
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 02:15:57.92 ID:LpzZrWUj0
暁さん素敵すぎます
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 05:13:00.88 ID:ouEd6JK/0
響が暁を大好きなことがよくわかる、尊い
142 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:42:07.97 ID:GyzhkNKc0

 第十話
 「嫁菜の如く」



―――陽炎組・本部・昼

ザワザワ…
プップー‼
ワーワー‼


嵐「――なんだぁ? 今日はヤケに人の往来がある気がするなー」

野分「そうね。なんでも、遊園地の料金が半額になったり、有名人とかもくるみたい」

谷風「かぁーっ! 粋だねぇ!」

浜風「……しかし、何故急に?」

舞風「まぁまぁいいじゃん。楽しいのはいいことだよ!」


秋雲「あはは……」

スッ

初風「……秋雲」ボソッ


秋雲「…………っ! ――は、初風の姉貴……」


初風「ちょっと話があるの。……来てもらえる?」ゴゴゴゴ…


秋雲「………………!」ゴクッ

秋雲(――もうバレたのか……。思ってたより早かったな……)

秋雲「……はい。行きます……」


――――――


黒潮「――おぉ、秋雲。急に呼び付けて悪いなぁ」


秋雲「い、いえ……。そ、それで、お話というのは……」


黒潮「それがなぁ、この前話した内通者の事なんよ」


秋雲「………………」


初風「……もう目星はついたの。でも、いま組長の心労を増やすのも嫌でね。……わかるでしょう?」


秋雲「……はい」


黒潮「それで、その目星っていうんがな――」


秋雲「…………っ」ギュッ…






黒潮「萩風……だったんよ」






秋雲「…………えっ、萩風の姉貴?? ど、どうしてっ!?」

143 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:42:55.77 ID:GyzhkNKc0

初風「気持ちはわかるわ。私だって、最初は信じたくなかったけど……」


黒潮「実はなぁ、うちらは情報の流出先が夕雲組と見て、いろんな角度から様子を見てたんやけど」


黒潮「……この前、一つの通信を傍受したんや」


秋雲「ぼ、傍受……?」


黒潮「それはなぁ、夕雲組の若頭補佐……風雲への通信だったんよ。……残念ながら内容までは把握できんかったけども、おそらくは萩風の声やったと思う」


秋雲「そんな…………」


初風「秋雲、あなたには何か決定的な証拠を掴んでほしいの。萩風もあなた相手だったら気を許すと思うから」


秋雲(萩風の姉貴が風雲の姉貴に……? いったい何がどうなって……。――とりあえず、ここは承諾して様子を見ないと……)


秋雲「わ、わかりました。なんとか、やってみます」


黒潮「すまんなぁ秋雲。よろしく頼むわ……――」



――――――



秋雲「――やっぱり無い……。風雲の姉貴にもらった、あの連絡先の紙が……」

トントン…

秋雲「――っ! ……は、はい!」


萩風「秋雲? ちょっと話があるの」


秋雲「……ちょうどよかった。私も、萩風の姉貴に話があるんだ」


萩風「そう。……じゃあ入るわね」ガチャ…


秋雲「萩風の姉貴……! 風雲の姉貴に連絡したのかっ!?」ガシッ


萩風「えっ!? そ、そうだけど……、なんで知ってるの? 秋雲も連絡を?」


秋雲「違うんだ……。その連絡の事が、もう本部長達にバレてる」


萩風「そんな……!」ハッ…


秋雲「なんでそんな勝手な事をしたんだよっ!」


萩風「……ごめんなさい。――でもっ、秋雲は陽炎組に居ないほうがいいと思ったから……! 結果的に私のせいでこうなってしまったけど、いずれはこうなる。隠しきれるはずがないもの」


秋雲「それならそれでよかったんだ! ……その連絡のせいで、本部長達は萩風の姉貴を内通者だと思ってる!」


萩風「…………っ! ――なら好都合ね。秋雲が逃げやすくなる」


秋雲「馬鹿なこと言うなよッ!」


萩風「実はね、私が今日ここに来たのは、さっき折り返しの連絡があったからなの」


秋雲「えっ……? 風雲の姉貴から……?」

144 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:43:34.23 ID:GyzhkNKc0

萩風「えぇ、連絡とは言っても『朝霜を見た時、雲が集まる場所で』っていう謎めいたものだったけれど」


萩風「でも、その話を聞いてわかったの。傍受されてることを知って、暗号を使っているんだ……って」


秋雲「………………」


萩風「きっと明日の朝に、その『場所』に行けば――」


秋雲「……違う。冬じゃないから……」


萩風「え?」


秋雲「明日の朝じゃないんだ――」




秋雲「――今日の……夕方だ」




――――――

――――

――



―――某所・夕方

コソコソ…

萩風「――ほ、本当に夕方でいいの? 『朝霜』って確かに言ってたと思うんだけど……」


秋雲「教えられたんだ。こういう時の言葉に矛盾があれば、別の意味を考えろって」


秋雲「『雲が集まる場所』っていうのは、秋雲と風雲の姉貴の落ち合い場所ってことだと思う」


秋雲「でも『朝霜』は冬の季語で季節外れ。――それと同時に、『夕雲』組の組員の一人だから……」


萩風「なるほど……? ――でも、私も来て大丈夫なのかしら」


秋雲「こうするしかないよ。秋雲は残ってもよかったのかもしれないけど、萩風の姉貴だけじゃ信じてもらえないだろうし……」


萩風「……ご飯、作れなかったから……。みんな、もう気付いてるのかな」


秋雲「どちらにしたって、私たちは戻れない……。――ほら、もうすぐ着くよ」

ガサガサ…

萩風「――えっ……!?」

秋雲「な、なんであんた達がここに……っ!!?」




暁「――よかった、ちゃんと来たわね。秋雲と萩風かしら?」




秋雲「あ、あぁ……。なんで、夕雲組は……?」


雷「夕雲組はいま動くことができないらしくてね、代わりに……って頼まれたのよ」

電「なのですっ!」
145 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:47:13.70 ID:GyzhkNKc0


萩風「信じて……いいんですか?」


響「それを決めるのはそっちさ。……さぁ行こう。まだ明るいうちになんとか――」


バンッ‼
バンッ‼
バンッ‼


暁「――ッ!? 探照灯……!?」





陽炎「――……そう。やっぱり、夕雲組と繋がってたのね。……初めまして、暁組の皆さん」





秋雲「く、組長……!!」


黒潮「……イジワルしてすまんなぁ、秋雲。本当はわかってたんよ……。でも、出来ればそうであって欲しくなかった」


初風「悲しいわね……」


秋雲「泳がされたってことか……」


萩風「み、みんなも……」



谷風「なんでこうなっちまったんだい……」

野分「覚悟は……出来てるんだよね」

嵐「まいったな……。こういうのはどーも……」

舞風「もう、ステップ踏めないね……」


雷「陽炎組が勢ぞろいじゃない……」

電「はわ、はわわわわ……」


陽炎「こちらとしては、大人しくしてくれると助かるんだけど……」


響「それは、無理な相談だね」


陽炎「……そうよね」


暁「……私たちも、争いたくはないのよ」


陽炎「ふふっ、おもしろいこと言うじゃない。冗談のつもり?」


暁「いいえ、だから争わないようにするために――」




暁「――こうなることも、予想してたってことよ」




陽炎「…………っ! ――みんな、周りを警戒してっ!!」



146 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:48:52.61 ID:GyzhkNKc0

バシュッ‼ バシュッ‼


嵐「――なっ! 照明弾か!?」


卯月「うーちゃんだぴょ〜んっ! どんどん撃つっぴょん!」

長月「思い知れっ!」バシュッ‼
菊月「行けっ!」バシュッ‼
三日月「えぇい!」バシュッ‼
望月「いよっ」バシュッ‼


初風「睦月組……っ!!」ギリッ…


暁「――よし、今のうちに逃げるわよ!!」

響「了解っ!」

雷「さぁ、二人も行くわよ!」

電「早くなのですっ!」グイッ

秋雲「あ、あぁ……!」

萩風「は、はいっ!」



陽炎「――浦風、磯風っ! 組員を連れて暁組を追いなさいっ!」

浦風「はいっ!」

磯風「了解!」


暁「うーちゃん! 私たちの目的は戦いじゃないってことを忘れないで!」


卯月「わかってるっぴょん!」

ザザッ

卯月「――頃合いをみて散開するぴょん。戦闘と、捕まることは禁止だぴょ〜ん」

「「「「了解」」」」



ピピピッ‼

陽炎「――親潮っ? どうしたの、こっちも忙しいんだけど!」


親潮『すいませんっ! 浜風、時津風と共に夕雲組を見張っていたのですが、一斉に動き出しました!!』


陽炎「くっ……、そりゃ大人しくしてるわけないわよね……っ!」


親潮『ど、どうしましょう!?』


陽炎「親潮たちはそのまま! 戦わないで、気付かれない程度の距離で様子を見て、報告して!」


親潮『了解しました!』

プツッ…


黒潮「組長……どうするん? 夕雲組も関わってるとなれば、うちらの兵力だけじゃ……ちと厳しいかもしれんよ」


陽炎「……いえ、これは私たち陽炎組の問題。他の組に頼るわけにはいかないわ」


陽炎「出来ることを全力でやりましょう――」グッ…


―――CMへ
147 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:50:07.40 ID:GyzhkNKc0

―――CMI

『メイド喫茶 アガにゃん』


キャルルーン♪

阿賀野「――おかえりなさいっ、提督さんっ♪」ニコッ


日常の生活に、疲れていませんか……?
 そんなあなたにお届けしたい! メイドのパワー!


酒匂「ぴゃんっ♪ 司令……だーい好き!」


ここ『メイド喫茶 アガにゃん』なら、素敵なメイドさんがお出迎え!
 中には少し個性的なメイドさんも……?


能代「オ、オカエリナサイマセッ! テ、テイトク……サマ……」ガチガチ


矢矧「な、なんで私がこんな……っ!」モジモジ…


ツンデレなメイドさんも、ちゃーんと居ますよ!
ぜひ、あなたの癒しになれば!



※『メイド喫茶 アガにゃん』をご利用いただく前に。

・ご利用料金は入場料800円(税抜)+メニュー代金になります。

・ご滞在は基本1時間までとさせていただいています。

・メイドさんと記念撮影(1000円)やゲーム対戦(500円)なんかもできます!(料金はお会計時に追加させていただきます)


・メニュー一覧(表記はすべて税抜です)
かいぼうかんコース  1500円
くちくかんコース   1800円
けいじゅんコース   2000円
じゅうじゅんコース  2300円
せんかんコース    2700円

アガにゃんスペシャルコース
・あがの      7500円
・のしろ      7000円
・やはぎ      6800円
・さかわ      6500円




たくさんのご来店、お待ちしてます!




気になる点や文句があれば、お気軽にお電話を!

TEL:○○○−△△△−□□□
(運営・天龍商会 店長・龍田まで)



148 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/05/13(日) 02:57:52.71 ID:GyzhkNKc0
>>139
実は答えづらいのですが、存在しないって感じで見てもらった方が見やすいと思います。

季節の事なんか一つも出してなかったのですが、急に出してしまって申し訳ないです。
六話で「祭り」というのは出してるので、「祭り」の季語は三夏ということで、そこら辺の季節感でお願いします。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 18:16:30.25 ID:rZT+EeVp0
開店から閉店まで粘れないのか
更新乙です、リーダーは頼りなくても周り(主に響)がしっかりしてて
それでも〆るところは〆る、毎回続き楽しみにしてますよー
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 20:37:34.43 ID:rk3/tgLLO
一時間で回転って結構ハードだな。ヘルプとかもあるだろうし、体が持たなそう
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 09:59:26.99 ID:3ymZ38zAO
>>150
提督さんにとって、私は何人目の私かしら?

もしかしたら各10人ぐらいずつ居て、シフトがあるのかもしれない
152 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:14:17.95 ID:icXtthss0
>>149
いつもありがとう。


よみずいランド行ってきましたー。
瑞雲も日向もカッコよかったです。
行けそうな提督さんが居たら、ぜひ行ってみてください。
ガンビアベイは、観覧車の奥の所に居ましたー。(場所変わってたらごめんなさい)
153 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:15:18.96 ID:icXtthss0

―――CM明け

―――時刻はさかのぼり 暁組・事務所


暁「――さて、だいたいの話はわかったかしら?」


秋月「か、陽炎組を相手に……ですか」

吹雪「本当に大丈夫でしょうか……」

睦月「きっと、みんなで力を合わせれば大丈夫にゃしぃ!」


暁「そうっ! 出来るか出来ないかじゃないの。やるしかないのよっ!」


暁「……それでこれから、私たち暁組が考えた『秋雲絶対救出大作戦』を説明するわ」


電「私たち……というか、全部響ちゃんが考えたのです」


暁「黙りなさい、細かいことはいいのよ。――それじゃ、響。説明よろしく!」グッ?


響「わかった。それじゃ、この作戦の概要と各組のやってもらいたい役割を話すよ――」


――――――


響「――と、そこまで出来ればもうこっちのものさ。……簡単に行けばそれが一番だけど、おそらくは陽炎組が出てくることになる」


響「でも、みんながベストを尽くせば、絶対に出来るはず。……説明は以上だよ」


暁「以上よ! 何か質問はある?」ドヤッ

雷「質問されても、組長は答えられないと思うけど……」ボソッ


睦月「なるほどなるほど……! まかせてよっ、なんとかやってみせるにゃしぃ!」

秋月「これなら確かに……! 私たちでもお役に立てると思います!」

吹雪「ふ、吹雪組の役割はこれですか……? だ、大丈夫かな……」


暁「……よし、大丈夫ねっ! 響、このこと夕雲組にはどう連絡しようかしら」


響「早霜がまた来るらしいから、その時に伝えるよ」


電「ところで、早霜さんは外に出ても大丈夫なのです?」


雷「……まぁでも、事務所の中にだっていつの間にか居たんだもの。気付かれずに動けるのかもしれないわね……」


電「やっぱあの人怖いのです……――」


――――――


―――夕雲組・本部


早霜「――くしゅんっ」


夕雲「早霜さん、大丈夫?」


早霜「フフフ……大丈夫です」


夕雲「……それで、その話は本当なのかしら? まさか、本当にやってくれるだなんて……」

154 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:16:02.66 ID:icXtthss0

巻雲「夕雲組長……。なにか心配事でもあるんですか?」


夕雲「……いえ。――ダメね、悪い方向にばかり考えてしまう」フルフル…


風雲「すいません……。私の軽率な行動のせいで――」


長波「おいおい、風雲の姉貴。それは言わないって約束だぜ。遅かれ早かれ秋雲のヤツは救うつもりだったんだし、ちょうどいいじゃん」


高波「な、長波姉さま……。それはちょっと楽観的すぎかも……」


夕雲「なんにしろ、この一本の蜘蛛の糸……。たとえお釈迦様にだって切られるわけにはいきません」


夕雲「私たちも、暁組を信頼して動きましょう。……それで、早霜さん。暁組はどう動くと?」


早霜「それはまだ……。どうやら作戦を立てるようなので、頃合いを見て戻ろうかと」


夕雲「そう……。ごめんなさいね、早霜さんに頼るしかないの」


早霜「フフフ……気にしないでください」


夕雲「――さぁ、皆さん覚悟して。暁組が動いたと同時に、私たちも援護に回るわ。……夕雲組の本気、見せてあげましょう」


「「「「はいっ!」」」」



――――――

――――

――



―――暁組・逃走中

ダダダダ…

暁「――響! 次はどっちっ!?」


響「あっちだ!」



嵐「逃げる道に迷いがない! よく調べてきてるな……!」


浦風「ウチらのシマの中でケリを着けるけんっ!」


谷風「浦風の姉貴っ! 砲は撃ってもいいんですかいっ?」


浦風「……ダメじゃ! 秋雲と萩風に当たる……!」


磯風「慌てなくていい、このシマの事なら私たちのほうが詳しい。野分、先回り出来るか?」


野分「はいっ! ――嵐、舞風っ!」

嵐「おうっ!」

舞風「りょーかい!」




秋雲「ぐっ……! 本当に大丈夫なのかっ!?」

萩風「いいから! 着いていくしかないでしょう!」
155 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:16:48.54 ID:icXtthss0


暁「……少し厳しいわねっ! 最初の地点までは後どれくらいかしらっ?」ハァハァ…


電「ま、まだまだなのですっ!」


雷「や、やっぱり、装備持ってきた方がよかったんじゃないっ!?」


暁「ダメよっ! 戦うぐらいなら、身軽になって走った方がいいわっ!」


ガッシャーン?


響「…………っ!! マズい、先回りされてるっ!」


暁「くっ……! イチかバチかで突っ切るわよ!」



野分「――止まれッ!! 秋雲、萩風っ、逃げ切れるわけがないのはわかってるでしょう!」ガチャ?



萩風「……わ、私が囮になりますっ! だからその隙に、秋雲を連れて――」


暁「馬鹿言ってんじゃないわよ! それじゃ意味ないの!」


萩風「で、でもっ! そうしないと皆さんが……!」


暁「ぐっ……!」


ドンガラガッシャーン?


野分「――――ッ!!?」


「いよっし、邪魔するぜぇ!!」

「またそんなに張り切って……。――……失礼しました、暁組の皆さんですね?」


暁「えっ……だ、誰なのよっ!?」


響「……血霧姉妹? 綾波組の……、何故……!?」


狭霧「詳しく説明する時間はありませんが、夕雲組との縁がありまして……」


天霧「あぁもう、まどろっこしいぜっ! いいから、ここはあたし達に任してさっさと行きなっ!」


電「で、でも……!」


暁「……行きましょう! 綾波組のお二人、ありがとう……。でも、出来れば戦わないで欲しいというか――」


狭霧「それも承知しています。今はとにかく、暁組の方々は逃げることに専念してください」ニコッ

天霧「そういうことだっ!」


雷「あ、ありがとうっ!」ダダダ…



浦風「どういうことじゃ……! 綾波組まで出てくるなんてっ!」


磯風「……やってくれるな」


156 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:17:42.37 ID:icXtthss0

磯風「――浦風の姉御。……あの二人は私と野分が相手します。谷風、嵐、舞風と暁組を追ってください」


浦風「……わかった。でも、あの二人は相当な実力者と聞くけん、無理はしちゃいかんよ?」


磯風「わかってます……」


浦風「――谷風、嵐、舞風っ! ウチ達は暁組を追いかけるけん!」

谷風「がってんっ!」

ダダダダ…



磯風「……野分、立てるか?」


野分「問題ありません……」


狭霧「……浦風さん達は、仕方がないですね。何とか逃げ切れればいいんですけど……」


天霧「大丈夫さっ! あたし達は出来ることをやるだけ……そうだろ?」


狭霧「……そうですね――」


――――――

――――

――


―――陽炎組・陽炎


陽炎「――綾波組ですって!?」


嵐『はいっ、間違いありません! 磯風の姉貴が残って相手をしています!』


陽炎「……わかったわ。そのまま、暁組を追って」


プツッ…


陽炎「くっ……。そうか……、夕雲組と綾波組はすでに繋がっていたのね……」


黒潮「あはは……。暁組・夕雲組・睦月組・吹雪組・綾波組・秋月組の全部を陽炎組だけで相手にせなあかんのか……」


陽炎「初風っ! 睦月組はもういいわ、磯風の所に行ってあげて!」


初風「わかりましたっ!」ダッ?


陽炎「黒潮、天津風と雪風はどこに居たかしら?」


黒潮「たしか……、本部の守りやったと思うけど」


陽炎「本部の守りはしょうがないわ。ひとまず動いてもらいましょう」ピッ…


陽炎「……天津風、聞こえる?」


天津風『はい、聞こえます』

――――――
――――
――
157 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:18:11.38 ID:icXtthss0


―――陽炎組・本部

陽炎『――状況は予断を許さないわ。お願いね』


天津風「はい、わかりました」

プツッ


天津風「……雪風、出かけるわ」


雪風「へっ? 本部に居なくていいんですか?」


天津風「状況が変わったの。すぐに準備して」


雪風「はいっ!」


「その必要はないですよ」


天津風「――誰ッ!?」ガチャ

雪風「ふぇっ!?」


綾波「勝手に上がってしまって申し訳ありません。初めまして、綾波組の組長を務めております、綾波と申します。どうぞよろしくお願いしますね」ニコッ


天津風「う……そでしょ……!? 綾波がここに……っ!?」


敷波「――その物騒なもん下ろしてくんないかなー? 私たちに戦闘の意思はないから」ガチャリ…


天津風「――――っ!!」


天津風(もう一人……!? 若頭の敷波……全然気付けなかった……! なんて私は馬鹿なのっ!!)


天津風「せ、戦闘の意思はない!? 意味が分からないわ、勝手に本部にまで上がり込んでおいて……!!」


綾波「本当です。私たちは夕雲組との縁はありますが、暁組とはありません。……いま、見極めている最中なのです」


天津風「へ、へぇ……。どうでもいいわ、さっさと出てってくれない?」


敷波「……うちの組長に向かって言ってくれるじゃん。……覚悟はできてんの?」


綾波「やめなさい、敷波。天津風さんの言う通りです、私たちは出て行きましょう」


綾波「――ですが、夕雲組のため……。天津風さんと雪風さんを外に出すわけにはいきません。……雪風さんの噂は聞いていますよ。だから私が来たのです」


天津風「……なるほど……ね」


綾波「……では、私たちは失礼します。……また、いつの日か」

ピシャン…


雪風「……こ、怖かったです」


天津風「……そうね、私もよ」


天津風「これで私たちは動けなくなった……。あぁもう、組長になんていえばいいのよ……――」



――――――
158 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:18:46.70 ID:icXtthss0


―――陽炎組・陽炎


陽炎「――そう……。いいわ、気にしないで。天津風のせいじゃない」


陽炎「えぇ……。何かあったらすぐに連絡して」

プツッ…


黒潮「……なるほどなぁ。暁組と完璧につながっとるわけじゃないっちゅうことか」


陽炎「えぇ。……でも、流石は綾波だわ。見事にやられた……」ギリッ…


黒潮「さっき、組長が天津風と話してる間に親潮たちから連絡があって、夕雲組に見つかったらしいけどなんとか逃げたらしいわ」


陽炎「……そう」


黒潮「万事休すってとこやろか」ハァ…


陽炎「いいえ、まだよ。……この勝負、暁組を止められれば私たちの勝ちってことになるんだから」


陽炎「……頼んだわよ、浦風達――」


――――――

――――

――



浦風「――おどりゃあっ、待つんじゃッ!」


暁「そう言われて待つ奴はいないわよっ!」


暁「響っ、最初の地点はっ!?」


響「もう少しだっ!」



谷風「……あれぇ? あっちって……」

嵐「大通りの方に向かってる? なにが狙いで……」



電「着いたのです!」

雷「吹雪組っ! お願いっ!」



舞風「……何かおかしくない――?」


パッパー?
ワーワー?
アハハハハハッ?
ドンチャンドンチャン…


浦風「――っ!? 人がこんなに……!? どうして……」




吹雪「――ご、ご協力ありがとうございまーす! ただいま通行止め解除しましたー!」


159 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:19:35.10 ID:icXtthss0


―――時刻はさかのぼり 暁組・事務所


吹雪「――ふ、吹雪組は交通整備って……、そんなの……」


響「侮らないでくれ。むしろ、この役割は一番重要だと言っても過言じゃない」


吹雪「……そ、そうなんですか?」


響「あぁ。この役割は人数が多く必要で、何よりも絆が強くないとうまくいかない。……君たち吹雪組が適任なんだ」


吹雪「……わかりました! 吹雪組にお任せください――!」


――――――

――――

――



谷風「――マズいっ! 暁組に距離を離されちまうよっ!」


嵐「クッソーっ! なんで今日に限ってこんな人が多いんだよ!」


舞風「……そっか、遊園地だ……っ!!」ハッ…?


浦風「なるほど……。睦月組はずっと動いてたんやね……!」



暁「あの路地ねっ!!」ダダダ…



浦風「――あそこじゃ! 追うよっ!」


嵐「……ここで捕まえないと本当にマズいっ! もう陽炎組のシマじゃなくなる!」



ザザッ…

初月『――ターゲット、見つけた』


秋月「経路は?」


初月『計画通り』


秋月「了解っ」


秋月「――照月、準備して」


照月「はいっ!」ガチャリ…


初月『ターゲット、目標地点まで5……4……3……2……――』


秋月「――撃って!」


照月「…………っ!」パァンッ?



――――――

160 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:20:31.41 ID:icXtthss0

パァン?


浦風「――ッ!! 下がるんじゃ!」バッ?


キュンッ?


谷風「す、スナイパーかいっ!?」


舞風「姉御っ! こっちの道から行きましょう!」


浦風「くっ……!」




秋月「――照月、少し遅いっ! 当てちゃダメ、ビックリさせるだけなんだから!」


照月「ご、ごめんなさい……」シュン…


ザザッ…
初月『ターゲットは予想通り、B地点に向かってる』


秋月「了解。……涼月、準備はできてる?」


涼月『いつでも、大丈夫です……!』




嵐「――随分離されちまった……!」ダダダッ…


パァン?


浦風「またっ!? ――止まって!」


キュインッ?


谷風「動きが読まれてるみてぇだねぇ……!」


浦風「いったいどこから……! ――あれって……!」

ブーン…

浦風「ぐっ……!」パパパンッ?

バァン?



初月『――ドローンを撃墜された』


秋月「そう……。まぁ、十分に時間は稼いだでしょう!」


秋月「……それじゃみんな、空包をこめて!」


秋月「――撃ってっ!」


パァン?パァン?
パァン?
パァン?


ワーワー? ハナビカシラ?
ワー、ハナビダー?
ドコドコ…?
161 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:21:16.29 ID:icXtthss0


舞風「――うわぁ! また銃弾がっ!?」


谷風「……でも弾がこないねぇ」


浦風「空砲……!? 祝砲のつもりなんか……!!」ギリッ…


嵐「姉御っ! 追いましょう――!」





磯風「――ちっ! まさかこっちも追いかけっこすることになるとは……!」


天霧「狭霧、少しぐらいやり合ったっていいだろっ!?」


狭霧「ダメです。組長に言われたじゃないですか」


野分「――磯風の姉貴! あの先に追い込めば行き止まりです!」


磯風「わかった……!」

ダダダダッ…

狭霧「――しまった……!!」


天霧「行き止まりかっ!?」


磯風「さて……、観念してもらおうか?」ガチャ…


狭霧「くっ…………!」


狭霧「――…………なんて、ね」


ガチャ?
ガチャリ?


野分「なっ……!?」


朧「残念、罠に嵌まったのはそっちよ」

曙「ざまぁないわね」フンッ

漣「キタコレ!」

潮「お、大人しくしてください……!」


磯風「――ははっ、してやられたな……」

野分「………………っ」グッ?



――――――


浦風「――暁組を見つけるんじゃ!」


谷風「しっかし、こりゃもう……」


嵐「くっそぉ……!!」


舞風「あ、あはは……」

162 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:21:42.98 ID:icXtthss0


ピピピ…?

浦風「組長? もう少し待ってくれんじゃろうか! すぐに見つけて……!」


陽炎『……いいえ、だいたいの様子はわかったわ。実はね、磯風達も綾波組に捕まっちゃったみたいなの。初風から連絡があってね』


浦風「そ、そんな…………!!」


陽炎『向こうは、私たちが負けを認めて秋雲達を諦めれば、そのまま解放してくれるらしいわ』


浦風「……組長……っ!! 組長……すいません。ウチが不甲斐ないばっかりに……!」ギリッ…?


陽炎『いいえ、それは違うわ。……これは私のミス。陽炎組という力に甘えて、相手の力を見誤ってしまった』


浦風「………………」


陽炎『……認めましょう。この勝負――』





























陽炎『 私たちの、完敗よ 』




























163 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:22:18.06 ID:icXtthss0



萩風「――ねぇ、秋雲?」


秋雲「ん? なにさ、萩風の姉貴」


萩風「……まだ教えてくれない? どうして、情報を流すなんてことをしてたのかって……」


秋雲「………………」


萩風「……まぁいいわ。でも、いつか教えて――」


秋雲「……信じてくれないかもしれないけど、秋雲はさ……。陽炎組が好きなんだ」


萩風「………………」


秋雲「でも、いつからだろうな。陽炎組は自分たちの強さを疑わなくなっちゃってさ。きっと……このままじゃ大変なことになるって思ったんだ」


秋雲「だから、夕雲組に陽炎組を抑えてもらって。そしてあわよくば、夕雲組と陽炎組が手を取り合ってくれたらいいなって……」


秋雲「……私はさ、嫁菜みたいな花でいいんだよ。道端に生えてるような、そんな花でさ」


秋雲「でも……秋雲は……。陽炎組と、夕雲組……。その両方に迷惑かけちゃったのかな……」


萩風「……そんなことないわ。秋雲は十分頑張った。少し、無茶なやり方だったかもしれないし、結果的にだったけども陽炎組は初めて負けを認めた」


萩風「秋雲のやったことは、無駄じゃなかったに違いないわ」


秋雲「……そうかな」


萩風「そうよ……」


秋雲「……そうだと、いいな――」


――――――

――――

――

?
164 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:23:58.20 ID:icXtthss0


――

――――

――――――


―――後日 暁組・事務所


トントントン…


暁「――ん? はーい」


ガチャ


夕雲「お邪魔いたします。……お初に、暁さん」


暁「わぁ、夕雲ね! 秋雲と萩風の調子はどう?」


夕雲「何も問題はありません。……今日は、改めてお礼をしに参りました」


暁「気にしなくていいわ。ほら、困ったときはお互いさまっていうじゃない」


夕雲「そういうわけにはいきません。……お約束通り、私たち夕雲組は暁組に絶対の忠誠を――」



暁「――いいわよそんなの。面倒くさいし」



夕雲「えっ……??」


電「そうなのです! 私たちはお友達なのです!」

雷「そうね。やっぱ、そういうのは私たちには向いてないわ」

響「ハラショー」


暁「ほらね。……だから、これからも仲良くしましょ。……それでいいじゃない」ニコッ


夕雲「ふふっ……! あはははっ……! ……この夕雲が、相手の器の大きさを見誤るなんて……」ボソッ


暁「え、なにか言ったかしら?」


夕雲「いいえ……。――暁さん、では友達として……。この恩は絶対に忘れはしません。何かあったら、夕雲組を頼ってくださいね。……約束です」


暁「……えぇっ!」ガシッ?


電「――ところで、夕雲さんが来るって聞いたから、お菓子をいっぱい用意したのです!」


雷「それじゃ、私はお茶を淹れるわね!」


響「ふふふっ、ハラショー」


アハハハハ…?
ワーイワーイ?




 第十話
 「嫁菜の如く」

お わ り
165 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/18(金) 01:24:35.97 ID:icXtthss0


【次回予告】

デデンデデン♪


海風「白露組若中、海風です」


海風「暁組と陽炎組がぶつかったみたいですね」


海風「村雨さんと夕立さんの若頭補佐達が張り切ってしまって、それを抑えるのが大変でした」


海風「でもその時、時雨の若頭が言ったんです」


海風「すぐにその時はくる……って」


海風「決戦前夜、そんな気がしてなりません」


海風「――次回『暁が如く』第十一話」


海風「『はりきってまいりましょー! 結成、暁水会と陽炎連合』」


海風「任侠桜に仁義の嵐っ!」


海風「……海風組……とか作れないかな……」ボソッ


デデデン♪

?
166 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/05/18(金) 01:26:37.74 ID:icXtthss0
あれ? なんで「?」が最後に……。
すいません、無視してください。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 05:53:27.63 ID:dA1yAxXr0
おつ
やっぱ暁組はかわいいなあ! …海風は改白露組で独立か?
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 07:59:46.75 ID:riwP8hroO

いいねぇ
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 08:55:00.26 ID:ec4+4ok6o
乙でしたー
どの組も魅力的でいいねぇ
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 13:01:58.54 ID:/5X6vj7/0
海風は若中というより若奥……(ゲフンゲフン)
1さん、キーボードに何か挟んじゃったのかな?
!がかなり?の変換になってる、もしくは携帯で下書き書いていてタップミスかしら
海外艦の駆逐艦がマフィアで出てくるのかどうか気になりますね
更新乙です
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 19:49:45.02 ID:erW97BZo0
着実に勢力を伸ばしつつあるけど二組は居候なんだよな
しかも収入源は近所からの差し入れとか微笑ましい限り
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 18:00:54.14 ID:bwX9ROqU0
なんだかんだで響有能
173 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:31:10.78 ID:C90wuXuc0
>>171
差し入れじゃないよ、みかじめ料だよ。


十話後半は「‼」と、ワードの改ページのやつが「?」になってしまってるみたいですね。
最近このサイトの表示がおかしくなってしまったので、専用ブラウザを使ってみようと思ったのですが失敗でした。
諦めて普通にやります。ですので十話後半は「‼」に置き換えて読んでいただければ……。
174 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:32:21.61 ID:C90wuXuc0

 第十一話
 「はりきってまいりましょー! 結成、暁水会と陽炎連合」



―――暁組・事務所


暁「――え、夕雲から手紙?」


雷「えぇ、私たち全員で夕雲組の本部まで来てほしいらしいわ。理由が書いてないけど……」


電「なぜお手紙なのです?」


雷「さぁ? そういう気分だったんじゃない?」


響「あぁ、形式を重んじたのかもね」


暁(え、形式……?)

暁「時間はいつ?」


雷「えぇっとね……。――今日の夕方だわ」


暁「どうしたのかしら? ……もしかして、パーティとかっ!?」ハッ‼


電「ぱ、パーティなのです!? はわわ……、どんな服着てけば……!」


雷「いやいや……、それならそう書くんじゃない? ……でも、みんなでご飯とかかもしれないわね」


響「…………まぁ、黙っていようか」ボソッ


暁「ん? 響、何か言った?」


響「いいや。楽しみだね」ハラショー


暁「ふーん……? ――でもそうなると、ここを空けることになるわね」


電「秋月組と吹雪組がいるから大丈夫なのですっ!」


暁「……それもそうね」


雷「それは出かけるときに言えばいいわよね」


暁「えぇ、大丈夫でしょ」


暁「――……うーん、お腹とか空かせといた方がいいのかしら」


電「……ご飯だったら、食べられなかったら困るのです」


雷「そうね。今日はみかじめ料はいらないって言っておきましょ」


響「………………」


――――――

――――

――


175 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:33:16.85 ID:C90wuXuc0


―――陽炎組・本部


不知火「……不知火がいない間にそんなことが。そんな肝心な時に……」グッ…


陽炎「しょうがないわよ。……それに、不知火が居ても結果は変わらなかったと思うわ。だから気負わないで」


陽炎「――それよりも、例の件はどうだったかしら?」


不知火「問題ありません。……今日の夕方に集まるかと」


陽炎「さすがね。……はぁ、それにしても。この前の事で白露組になんて言われるか不安だわ」フフッ…


不知火「その時は……」


陽炎「あーあー、何もしちゃダメよ。……さて、否が応でも私たちの関係は動き出すわ。……不知火も準備を怠らないでね」


不知火「はい……」



――――――



親潮「――磯風っ!」


磯風「……あぁ、親潮の姉貴。……すいませんでした、私が捕まってしまったせいで……」


親潮「……そのことで、親潮は言わなければいけないことがあって……」


磯風「え……?」



親潮「――実は、私たちは夕雲組に見逃されたの」



磯風「…………っ! ……それはいったい?」


親潮「あの時……――」


――

――――

――――――



陽炎『――戦わないで、気付かれない程度の距離で様子を見て、報告して!』


親潮「了解しました!」


プツッ…


親潮「浜風、時津風。……私たちは気付かれない程度の距離で様子を伺います。周囲の警戒も怠らないで」


浜風「はいっ!」

時津風「はーい!」


親潮「暁組と同時に動いた……。どうやって連絡を取っていたのかはわからないけど、もう決まりですね……」

176 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:35:05.23 ID:C90wuXuc0


時津風「――……若頭ほさー!」ピコンッ


親潮「何か動きが?」


時津風「いやぁ、この風……どうかなぁ」


浜風「…………たしかに、何かを感じるような……」


親潮「……時津風の勘は当たる……。しかし……――」




沖波「――あっ……」

バッタリ

浜風「……あっ」




親潮「――撤退しますっ!! 急いで!」ダッ‼


沖波「あ、あぁ……えっと……! か、陽炎組見つけましたぁー!」アワワ…


時津風「一人なら……」ガルル…


親潮「ダメですっ! 浜風も遅れないでっ!」


浜風「はいっ!」

ズザァアア‼

朝霜「――おぉっとっ! ここはあたい達のシマだよ! 逃げ切れると思うっ?」


親潮「くっ……――!」





親潮「――つい倉庫のようなところに隠れてしまったけど……」

ドコイッター?
サガセー‼

浜風「見つかるのも時間の問題かもしれませんね……」


時津風「やっぱりさー、少しぐらい戦っても……」


親潮「でも、組長が『戦わないで』と言っていたので……」



藤波「――おーい、浜ちん! ここら辺調べたー?」


浜波「ま、まだだけど……。し、調べたほうが……いいの?」


藤波「もち! たぶんどっかにいると思うんだよねーこれが」



親潮「――仕方ありません……。最悪の場合は……」グッ…

時津風「いつでもいいよー……」

浜風「……浜ちん……」

177 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:36:24.75 ID:C90wuXuc0


長波「――おーい、藤波ー!」


藤波「えっ? 長波姉さん……。どうしてここに?」


長波「陽炎組の捜索は中止! 帰るよー」


浜波「えっ……で、でも……」


長波「中止オブ中止だよ。組長命令だからさ」


藤波「この辺に居ると思うんだけどなー……」


長波「いいのいいの。……綾波組がうまくやれそうみたいだからさ。ほら、今回ばかりは……手柄は譲った方がいいじゃん?」


藤波「はぁー、なるほど。……じゃ、浜ちん帰ろっか」

浜波「う、うん……」



親潮「……綾波組もこの件に? それにしても、今の会話は……――」


――――――

――――

――



親潮「――ってことがあったの」


磯風「……なるほど。……しかし、何故それを私に?」


親潮「磯風が捕まっていなかったら、私たちが捕まっていたはず……」


親潮「……だから、あまり落ち込まないで。組長も言っていましたが、どちらにしろ結果は変わらなかったでしょうし……」


磯風「親潮の姉貴……、わざわざ励ますために……。――ふふっ、わかっています。……次は必ず、この磯風が結果を出して見せましょう」


親潮「えぇ、期待してますよ……――」フフッ…






―――暁組・事務所


暁「――えっ?? 秋雲と照月が居ないの??」


涼月「えぇ……。暁さんは知っているとばかり思ってましたけど……」


暁「え? なんで私が知ってるのよ?」


初月「えぇっと……」


暁「…………?? ――まぁいいわ。とにかく、留守は頼んだわね」




――――――

178 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:38:47.51 ID:C90wuXuc0

雷「――えぇっ?? 吹雪と白雪が出かけてるの?」


浦波「はい。夕雲組のところに行くって……」


電「吹雪ちゃんたちもお呼ばれしてたのですね」


雷「なるほどね……。――まぁわかったわ。それじゃ留守の間、お願いね」


深雪「りょーかい!」





―――夕雲組・本部


暁「――わぁー……夕雲組の本部って大きいのね」


雷「すごいわね……」


電「でも、これなら確かにパーティ出来そうなのです!」


響「ハラショー」ポチッ

ピーンポーン…

ガララッ

風雲「――あぁ、暁組のみなさん。待ってたわ……さぁ、こっちへ……」ススス…


暁「お、お邪魔しまーす……」


雷「風雲、みんな来てるのよね?」


風雲「えぇ。すでに夕雲組長と睦月組・吹雪組・綾波組・秋月組の組長たちが集まっているわ」


電「はわわ……。どんなパーティなのです?」


風雲「えっ?」


暁「えっ?」


風雲「……えぇっと? ……とりあえず、大広間に着いたわ――」ススッ…



――――――

179 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:40:07.18 ID:C90wuXuc0


―――陽炎組・本部


陽炎「――さて、全員集まったわね。みんな……今日はわざわざ集まってくれて、感謝するわ」


白露「へぇー、ここが陽炎組の本部かー。……白露組の本部より大きい? 一番じゃない?」

時雨「いえ、ほら……。白露組は庭が広いですから……」


朝潮「私たちも、入るのは初めてですね」

大潮「き、緊張するー……」


神風「ふぅん……。まぁまぁってことかしら」

朝風「あれが白露組……」


初春「ふっふっふ。わらわたちも呼んでもらえるとはのう……」

子日「………………」






―――夕雲組・本部


暁「……えっ??」
雷「……あれっ??」
電「はわわ……」
響「ハラショー」フフッ…



夕雲「あぁ、やっと主役オブ主役の登場ですね」

巻雲「いよー、待ってましたー」


睦月「わぁー! ぱちぱちぱちー!」

如月「く、組長……。すこし落ち着いて……」


吹雪「………………あ、あはは……」

白雪「……組長。いつまで緊張してるんですか……」


綾波「……あれが暁組……ですね」

敷波「ふぅーん? なんかあんまり……」


秋月「わ、私たちまでここに居ていいのかな……」

照月「ど、堂々としてないと……」





暁「…………あれ……全然パーティの雰囲気じゃない……かしら……」


雷「ど、どういうこと……」


電「はわわ……。はわわわわ……」


響「ふふっ……ハラショー」



―――CMへ
180 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/26(土) 10:42:07.64 ID:C90wuXuc0

―――CMJ

『ウォースパイトの3分クッキング』


テレレッテッテッテッテ♪
テレレッテッテッテッテ♪

テンテンテンテンッ♪


ウォースパイト「――Hello,everyone! 3分Cookingの時間よっ」


ウォースパイト「さて、今日は我が英国の伝統料理であるパイを作ろうと思うわ」


ウォースパイト「――……と、その前に。大事なGuest performerを紹介しなくちゃね!」


ウォースパイト「Come on! Arkよ、みなさん拍手を!」パチパチ…

ワーワー
パチパチパチ…

アークロイヤル「やぁWarspite、今日は呼んでくれて感謝する。Thank you very much indeed」


ウォースパイト「いいえ、こちらこそ」ガシッ


ウォースパイト「――それじゃさっそく、まずは材料の紹介からね」


ウォースパイト「…………えぇっと、これは日本の言葉だと……難しいわね。――大淀、頼んでもいいかしら?」

テレレン♪

<材料>(4人前)

・バター 25g
・玉ねぎ 1個
・小麦粉 大さじ1/2
・白ワイン 大さじ3
・生クリーム――

――――――
――――
――


ウォースパイト「――そして、これを黄金色になるまで焼き上げるわ」


アークロイヤル「……ん? これって、3分じゃ無理じゃないか?」


ウォースパイト「Don’t worry! ――これが焼き上がったパイよ!」


アークロイヤル「あぁなるほど……」


ウォースパイト「今日は、Japanにも馴染み深いサンマを使ったわ。その名も『Stargazy pie』よ!」ドーン‼


アークロイヤル「日本語にすると『星を見上げるパイ』になるのだろうか」


ウォースパイト「そう、素敵な名前よね。……これの起源は、飢えに苦しむ村を救ったある勇敢な漁師を称えて、fishがちゃんと中に入っているということを示すために頭が出てるの」


アークロイヤル「ふむ。……では、さっそく頂くとしよう。――おぉ……美味しいじゃないか、腕を上げたな」


ウォースパイト「Thank you very much。……ちなみに、このパイはJapanの有名なアニメ映画にも出ているらしいわ。興味があったら調べてみて」


ウォースパイト「――あら、もう時間? ……そうね、来週はウナギを使った料理を紹介しようかしら」


ウォースパイト「それじゃ、See you next week! Cheerio!」フリフリ…

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 11:55:08.85 ID:PgFpVkvY0
おつ
>>177の「秋雲と照月〜」は、「秋月と照月〜」が正ですかね
しっかし暁組は、一人を除いて抜けてるなー(かわいい)ww
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