【艦これ】暁が如く【極道】

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50 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/06(金) 22:08:25.23 ID:OnSBADHH0

――

――――

――――――


暁「――それじゃあ、暁たちは帰るわね」


如月「うん……。改めてお礼を言わせて、本当にありがとう」


雷「いいのよ。困ったときはお互いさまでしょ」


睦月「お互いさま……かぁ」


睦月「――今度はちゃんと遊びに来てねっ! チケットなんかいらないよっ。暁組ならいつでも歓迎にゃあ!」


電「わぁー! 本当なのですっ!?」


響「ハラショー」


如月「もちろんよ」フフッ


雷「よかったわね、組長っ!」


暁「ま、まぁ……そうねっ!」


睦月「暁ちゃんっ! なにか、困ったことがあったらいつでも言ってほしいにゃしぃ。睦月組は、どんなときも暁組の味方だからねっ!」


暁「……えぇ! それじゃあね!」




――――――


暁「……なんか、大変な一日だったわね」


電「まったくなのです」


雷「でも、なんだかんだ楽しかったんじゃない?」


暁「……そうかもね」


電「――それにしても、組長が睦月さんを説得したのはかっこよかったのですっ!」


響「……へぇ、どんな感じだったんだい?」


雷「そっか。響はいなかったもんね。えぇっとねぇ――」


暁「も、もうっ! 恥ずかしいから止めなさいよぉーー!」






 第三話
 「かん違いの遊園地! 暁組を追い詰めろ!」


お わ り


51 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/06(金) 22:09:13.42 ID:OnSBADHH0

【次回予告】

デデンデデン♪


霰「朝潮組……若中、霰です」


霰「朝潮組は……とても、良い所……です」


霰「本当です……。みんな……良い人です……」


霰「陽炎組は……ちょっと怖いです……」


霰「……次回『暁が如く』……」


霰「『よもや激突……? 陽炎組 対 朝潮組』」


霰「……任侠桜に、仁義の嵐……」


霰「――え……? 私に改二です……か……? ……ほんとに?」




デデデン♪
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/06(金) 22:34:45.71 ID:92xZVhXo0
おつ
そして霰ちゃんおめ
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 01:10:43.38 ID:NrgvIc2CO
おつ
かわいい
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 08:49:57.21 ID:JWAnLRvE0
いくらでもみかじめ払いたくなる
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 15:11:07.41 ID:XCBhBb/go
島風組とかいう最精鋭だけで構成された組
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 17:20:36.51 ID:tb/BHugD0
暁ちゃんの器のでかさと響のチートっぷりよ
57 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/07(土) 19:17:40.11 ID:R/AEFjLD0


 第四話
 「よもや激突……? 陽炎組 対 朝潮組」



―――陽炎組・本部


陽炎「――黒潮。最近どうかしら」


黒潮「へっ? 急にどうしたんや、組長」


陽炎「別に、ただの世間話よ」


黒潮「ほーん? まぁ、うちが任されてる財務管理の事なら、全然問題はないで。うちらには、なにより雪風がおるからなぁ」


陽炎「そう、それはよかったわ」


黒潮「ただ……あえて言うなら、不知火姉さんにもう少し大人しくするよう言ってもらえへんやろか」


黒潮「あの人は周りの被害を考えへんから……。堅気の方々に渡す金も馬鹿にならんで」ハァ…


陽炎「…………言っておくわ」アハハ…


陽炎「――あぁ、そうそう。睦月組の話って知ってる?」


黒潮「あー、あのもともとあの辺りを仕切ってた組が、遊園地で手に入る金惜しさに爆弾しかけて、返り討ちにされたっちゅう話やったっけ?」


陽炎「そう。……ただ、あの事件。暁組が関わっているらしいわ」


黒潮「へっ? 暁組が爆弾しかけたってことかいな?」


陽炎「あぁ違う違う。暁組と睦月組が協力体制にあったってことよ」


黒潮「なるほど……。それはまぁ……」


陽炎「何か動きがあるみたいね……。暁組はたった四人の組って聞いてるけど、その力は正直未知数だわ。気を付けないとね」


黒潮「まぁ大丈夫やろ。暁組のシマとうちらのシマは離れてるし……」


陽炎「そういう油断が――」


ドタバタドタバタッ‼

バンッ‼


時津風「くみちょーっ!!」ウワーン‼


陽炎「と、時津風……? どうしたのよ?」


時津風「さっき起きたらさーっ! 私のオモチャが居なくなってたんだよぉー!」ウワーン‼


陽炎「なんだ、そんなこと……」


黒潮「それなら、また何人か連れてきてもらえばええやん」


時津風「でもさー。……こんな手紙が置いてあったんだー」


58 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/07(土) 19:18:39.12 ID:R/AEFjLD0


黒潮「ほほう? なになに……『拝啓 陽炎組さま。お前たちのオモチャは預かった。返してほしくば明日の正午、○○の倉庫まで来い』だと。また微妙な場所を指定するもんやなぁ。うちと朝潮組の境やないか」


陽炎「それもあるけど……。ってことは、私たちに気付かれずにこの本部の中に入ったってこと?」


黒潮「……だったら、下のもんが手を抜いてたってことやろか」


陽炎「それでも考えづらいわね。……ふふっ、おもしろい事してくれるじゃない」


黒潮「ちょっ、組長が行くんかっ? 別に浦風とかに行かせれば……」


陽炎「別にいいわ、体動かしたいと思ってたとこだし。……時津風も一緒に行きましょうか」


時津風「うんっ! いくー!」


黒潮「はぁ……。まぁ、せいぜい気を付けてな」


陽炎「わかってるわ。……明日の、正午ね……――」






―――その翌日 朝潮組・事務所


朝潮「ねぇ……。私たちは、このシマの方々を助けることができたと思う?」


大潮「またセンチメンタルですねー、朝潮組長! 最近は落ち着いてるじゃないですかー」


満潮「そうですよっ! 最近は組の残党も出なくなったし!」


荒潮「うふふふ……、心配性ですねぇ」


朝潮「モブ田組と、モブ本組の度を越えたショバ代とみかじめ料。それに苦しめられてる人々は、見るに堪えなかった……」



――――――


朝潮「…………こ、これは……」


「もうダメだ……。金なんかねぇし、逃げようとしたらそれこそ殺されちまう……」

「こんなとこ、客も来るわけがねぇ。あいつらはゆっくりと俺たちが苦しむのを楽しんでやがるんだ」

「うわーん! うわーん!」


朝潮「…………ッ!!」



―――モブ本組・事務所

トントンガチャ‼

朝潮「失礼っ!」


モブ本A「……あぁ? 何の用だ」


朝潮「これはあんまりではないですかっ!? あなた達には、苦しんでる人々が見えないのですか!」


モブ本A「はっ! おいおい、お前になんの関係があるってんだ」

59 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/07(土) 19:19:51.33 ID:R/AEFjLD0


モブ本A「お嬢ちゃん、教えといてやる。……この世は弱肉強食さ。あいつらが弱いのがいけないのさ。あっはっはっは!!」


朝潮「…………っ!」グッ‼


モブ本A「――おい、誰か早く追い出せ」


モブ本B「へいっ!」


朝潮「――だったら、私が代わります」


モブ本A「あぁ……?」


ドゴォン‼


朝雲「さぁーって、出番よね。山雲、準備できてる?」


山雲「朝雲姉はせっかちさんね〜。爆雷、投げま〜す」ポイッ


カンッ…

モブ本A「なっ……――っ!!」

ドカーン‼


――――――

――――

――



朝潮「――あれから少しは……」


ドタバタドタバタッ


霞「組長ッ! 大変ですっ!」


朝潮「か、霞? いったいなにが?」


霞「住民からの電話で、〇〇の倉庫で何やら怪しい動きがある……と!」


朝潮「――っ! また組の残党がなにかを……っ? すぐに向かうわ!」





―――〇〇の倉庫


陽炎「……そろそろ時間ね。さて、どうなるかしら」

時津風「がるるー!」


バタバタ‼


朝潮「――ここねっ、この倉庫――……って、あ、あなたは陽炎組の……!?」


陽炎「そんな…………嘘でしょ。まさか、朝潮組――?」


―――CMへ

60 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/07(土) 20:37:46.98 ID:R/AEFjLD0

―――CMC

『パスタの国から』


アーアーーアアアアアー♪
アーアーーアアアアアー♪



イタリア「る、るーるるる……。るーるるるる……」



アーアーーアアアアアー♪



リベッチオ「パスタが無ければ暮らせないよっ!!」



アーアーーアアアアアー♪



ザラ「ここでの生活に……金はいりません」


ザラ「小麦粉と水…………、なんなら後は卵を使って……パスタを作ればいいんです」


ザラ「どうしても食べたいなら、マカロニも作ればいい」



アーアーーアアアアアー♪



ポーラ「それでもやっぱり……私はお酒が飲みたいわけでありぃ〜……」


ポーラ「こっそり家を抜け出してはぁ〜……地中海をみながら、お酒におぼれるのでしたぁ〜……」



アーアーーアアアアアー♪




ルイージ「……あむっ……」クルクル


ローマ「………………」


アクィラ「すいません、あの――」


ローマ「子供が、まだパスタ食べてるでしょうがっ!」パリィン‼



――――――

――――

――



『パスタの国から』
 地中海テレビ系列にて放送中。



61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 02:20:06.19 ID:VfeBa0q/O
おつです

ええいCMはいい
朝潮ちゃんを映せ朝潮ちゃんの天使ぶりを!
62 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/08(日) 23:53:54.55 ID:3eDzoXUE0

――――CM明け


朝潮「――あなたは、陽炎組の……っ!?」


陽炎「嘘でしょ……。まさか、朝潮組……?」




コソコソッ


モブ本A「へっへっへ……。どうやらうまくいったみたいだなぁ、モブ田組よぉ」


モブ田A「あぁ、作戦成功だ。うまくぶつけることができたみてぇだ」


モブ田A「くくっ……! 陽炎め……。どうせ何もできねぇとでも思って逃がしたのかもしれねぇが、俺はタダじゃ転ばねぇ男だぜ」


モブ田A「お前たちが使ってる本部は、もともと俺たちの本部なんだってことを忘れるんじゃねぇぞ。いざという時の隠し扉ってもんがあんのさ」ククッ…


モブ本A「しかし、陽炎組を連れてくるとは……。なかなかやるじゃねぇか」


モブ田A「そっちこそ。朝潮組をうまく誘導したな」


モブ本A「あいつらは馬鹿正直なもんでな。適当に電話入れてやりゃこの通りよ」


モブ田A「ふふっ……! こうなっちまえば、あいつらも争わずにはいられないはずだ……」


モブ本A「弱り切ったところを、俺たちが潰すって算段だな。ふざけたやつらだが、そうなれば俺たちも負けやしねぇ――」




陽炎「……参ったわね。……正直、まだ朝潮組とはぶつかりたくなかったんだけど……」


朝潮「……同感です」


陽炎「でも、そうも言ってられないわよねぇ? こうして出会ってしまったんだもの」


朝潮「……えぇ。幸い、ここなら大きな被害は出ないでしょうし」



陽炎「……時津風。……やるわよ」

時津風「がるるー……!」



朝潮「みんな、覚悟はできた?」

大潮「テンションアゲアゲですっ!」ガチャッ

満潮「えぇっ、いつでも」

荒潮「仕方ないわねぇ〜……」




モブ田A「ははっ! いよいよやり合うみたいだぜっ!」

モブ本A「へっへっ! 本当、馬鹿な奴らだっ!」



初風「――見ーつけた」



63 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/08(日) 23:54:53.11 ID:3eDzoXUE0

モブ田A「――なっ!? て、テメェは……!?」


ザザッ

初風「……組長。組長の読み通り、居ましたよ。今から連れて戻ります」



ザザッ

陽炎「――あら、それはよかった。お願いね」スッ


朝潮「……見つかりましたか?」


陽炎「みたいだわ。悪いわね、猿芝居につき合わさせちゃって」


朝潮「いえ、かまいません。それよりも、陽炎さんが居てよかったです」


大潮「はぁ〜っ! なかなかスリリングでしたねっ」


満潮「別に、そうでもないわ」


ズリズリ…

初風「――お待たせしました」


モブ田A「こ、この野郎っ! この縄を解きやがれっ!」ジタバタ


モブ本A「お、おいッ! これはどういうことだッ!!」


荒潮「うふふふふ。あなた達が、なにも知らなかったってだけよぉ」


モブ本A「なんだとっ!?」


陽炎「もともと、私たちと朝潮組は同盟関係にあるってことよ。……まぁ、知らなくても不思議じゃないわ。誰にも言ってないもの」


モブ田A「くそったれめ……!」


陽炎「あら、久しぶりね。とっくに逃げたものだと思ってたけど、その根性は見直したわ」


モブ田A「いつから気付いてやがった」


陽炎「最初っからよ。だいたい、色々と不自然だし」


時津風「――ねぇねぇくみちょー。こいつ、私のオモチャにしていいの?」


モブ田A「ひっ……」


陽炎「まだダメよ。……とりあえず、私たちの本部にどうやって忍び込んだのか、詳しく聞かないとね」


モブ田A「お、俺が喋ると――」

陽炎「アンタは喋るわ。……いずれ、喋りたくなる。そういうものよ」


モブ田A「…………っ」ゾクッ‼


陽炎「――朝潮。もしそっちが良ければ、この二人は陽炎組が預かるけど……。それでいいかしら?」


朝潮「はい、お願いします」

64 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/09(月) 00:17:11.42 ID:Hrdufd1q0


朝潮「……しかし、危ない所だったのかもしれません」


陽炎「あぁ、同盟関係に無かったらってこと? 正直、それでも私は朝潮組に手をだそうだなんて思ってないけどね」


朝潮「それはありがたいのですが……。もし、この場に居たのが陽炎組じゃなくて、白露組だったらと思うと……。少し、自分は軽率だったのかもしれません」


陽炎「……たしかに、ね。……まぁ、白露組はあの若頭が居る限り、こんな安い罠に引っかかるなんてことないでしょうけど」


朝潮「わ、私はその安い罠にかかってしまったのですが……」ウツムキ


陽炎「あははっ、そうだったわね」


陽炎「――でも、それが朝潮の良い所だと思うわ。恥じることはないわよ。……それに」


朝潮「……それに?」


陽炎「そんなあなたを支える組員が居るでしょう? ……それでいいのよ、自分の道を貫きなさい」



大潮「アゲアゲですねっ!」

満潮「ふんっ……」

荒潮「うふふふふっ」



朝潮「――……はいっ!」



陽炎「ふふっ……。それじゃ、私たちは引き上げるわね」


朝潮「わかりました。……陽炎さん、お達者で」




朝潮「――それじゃ、私たちも帰りましょうか」


朝潮「私たちのシマへっ!」


大潮「おーっ!」

満潮「はいはい……!」フフッ

荒潮「はぁ〜い!」


アハハ‼

アゲアゲデス‼



――――――

――――

――





 第四話
 「よもや激突……? 陽炎組 対 朝潮組」


お わ り
65 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/09(月) 00:18:19.18 ID:Hrdufd1q0

【次回予告】

デデンデデン♪


若葉「若葉だ」


若葉「………………」


若葉「………………」


若葉「………………」


若葉「次回『暁が如く』」


若葉「『くう腹の秋月組/謎多き初春組』」


若葉「任侠桜に仁義の嵐」


若葉「……だが、悪くない」



デデデン♪
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 00:21:24.54 ID:lq2/jYE/0
おつ
次回予告の体を為してないwwww
…だが、悪くない
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 00:33:50.36 ID:8hueBom50
しかしスレタイの元ネタと思われる龍が如く要素皆無やな。
まぁ陽炎が「トイレェェーッツ!!」とか叫んでたり
夕立が配電盤引っこぬくのは絵的に可哀想ではあるが
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 10:20:35.79 ID:oQ7Hf1fgo
夕立ならやりそうな気がする
69 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 00:37:25.52 ID:tq7CcYBD0


 第五話
 「くう腹の秋月組/謎多き初春組」


―――暁組・事務所


ブーン…‼
アハハ‼


暁「……んぅ。……なによ、朝から騒がしいわね……」ムニャムニャ


ガチャ


電「はわわっ! 飛んでるのですー!」


雷「で、でも、操作が難しいわね……。――って、組長っ!?」


電「あ、危ないのですっ!」


暁「えっ……?」


ブーン‼
ガンッ‼


暁「――んがっ! ……な、なにかぶつかった?」


雷「ご、ごめんね組長」

電「あー、組長が急に扉開けるからなのです」


暁「私は悪くないでしょっ!? ……これ、なによ?」


雷「ドローンっていうんだって。なんでも、今度にやるお祭りの景品なんだとか。一個くれたの」


暁「どろーん……? ふーん……」


雷「組長もやってみる?」


暁「ま、まぁ……。それじゃ、ちょっとだけ……――」




――――――

ブーン…‼

暁「――む、難しいわね……」カチャカチャ


電「天井にぶつかっちゃうのです!」


電「あぁっ、ほら! 壁に行っちゃうわ!」


暁「わ、わかってるわよっ! え、えぇっと、こっちのレバーが高さで……」エート…


ガチャ


響「――ただいま」


暁「ひ、響っ! 危ないっ――」

70 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 00:38:01.56 ID:tq7CcYBD0


響「…………」パシッ


暁「あっ……」


電「組長とは大違いなのです」ボソッ


暁「わ、私だって寝起きじゃなきゃ――!」


響「邪魔をしてすまないね。……ただ組長。ちょっと問題があったんだ……」


暁「えっ、問題……?」


響「うん。口で言うより、見てもらった方が早いかもしれない――」




―――暁組のシマ・公園


秋月「――うぅ……」

照月「はぅ……」

涼月「………………」

初月「くっ……」



暁「こ、この人たちは……?」


響「シマの人たちの通報があってね。どうやら秋月組らしいんだけど、みんなここで倒れていたんだ」


電「あ、あの、大丈夫なのです?」


雷「ど、どうしましょう。救急車でも呼ばなきゃっ?」


秋月「ご…………を……」


暁「えっ? なんて言ったの?」



秋月「――ご、ご飯を……下さい……」ギュルルル…

照月「うぅ…………」グルルル…

涼月「………………」グゥー…

初月「くぅ…………」グゥ…



暁「……ご、ご飯……――?」




―――暁組・事務所


秋月「――助けていただいてっ! 本当にありがとうございますっ!!」ドゲザァ

照月「とっても、おいしかったですっ!」

涼月「この御恩は忘れません……!」

初月「すまない、助かった……」


71 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 00:38:30.83 ID:tq7CcYBD0


暁「すごい食べっぷりだったわね……」


電「みかじめ料が無くなっちゃったのです……」


秋月「す、すいません……。もう何日も水しか飲んでなかったもので……!」


雷「しかし、あんた達どうしてあんなところに?」


秋月「え、えぇっと、その……。――あ、これドローンですね」


暁「ドローンがどうしたのよ」


秋月「い、いえ、実は……。私たち秋月組は日々射撃訓練を一生懸命やっていたんです」


秋月「そして、ある時このドローンを見つけて。射撃訓練に良いんじゃないか……って話になったんですけど……」


電「けど……?」


秋月「き、気付いたらお金なくなっちゃって……。そしたらもう、あれよあれよという間に土地も取られちゃって……」


秋月「今日までなんとか水だけで生きてたんですけど、ついにあの公園で倒れちゃったんです」エヘヘ…


暁「バカなの?」

電「バカなのです」

雷「バカね」

響「ハラショー」



秋月「――と、とにかくっ! この御恩はわすれませんっ! ……忘れないのですが……その……」


暁「なに、どうしたのよ?」


初月「僕たち、行くところが無いんだ……」

涼月「な、なので、その……ご迷惑だとは思うのですけど……」

照月「――どうかっ、私たちを置いてはくれませんかっ?」


暁「えぇっ!? そ、そう言われても……」


雷「まぁ、下の部屋なら開いてるわ」


電「でも……みかじめ料が……なのです」


秋月「わ、私たち、一生懸命働きますからっ!」


ブーン…


響「…………っ! 組長っ、窓の外を見て!」


暁「……あ、あれって……!?」


電「ど、ドローンの大群なのです……!」


雷「どういうことよっ!?」

72 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 00:39:00.43 ID:tq7CcYBD0


モブ山A「――はっはっは!! 観念しやがれ暁組め……!」


モブ山B「さすがアニキっ! すごい執念っす!」


モブ山A「長かったぜぇ……。お前らに事務所を追い出されてから、復讐することだけを考えてやってきたんだっ!」


モブ山A「この、ドローン爆弾で……事務所ごと吹っ飛ばしてやる!!」


モブ山B「しかし、あの秋月組とかいうとこが馬鹿で助かりましたねっ!」


モブ山A「あぁ、自分たちの金とドローンが盗られてることに気付かねぇで、さらには土地までくれたんだからなぁ」


モブ山B「ははっ、いい気味ですぜ!」



響「――……どうやらあのドローン、爆弾が付いてるみたいだ。組長、ここは引こう」


暁「ば、爆弾ッ? みんなっ、逃げるわよッ!」


電「はわわっ! だ、大事な物は……!」


雷「そんなの今はいいわっ! いいから行くわよ!」


暁「――ほらっ! 秋月達も早くっ!」


秋月「…………みんな、屋上へ!」


照月「うんっ!」

涼月「はいっ!」

初月「あぁ!」


電「え、皆さん、逃げないのですっ?」


秋月「ここは秋月組にお任せを! 練習の成果、示す時ですっ!」



―――暁組・事務所・屋上



秋月「――いい、みんなっ。……一機も地上に落としちゃダメよ」


照月「任せてっ!」

涼月「近づかせるわけにはいきません」

初月「了解っ!」


秋月「さぁ、始めましょう。――撃ち方、始めっ!!」


バババババッ‼


チュドーンッ‼

モブ山A「――あっはっはっはっ!! 全部ぶっ壊れちまえっ!」


モブ山B「……あ、あれ、アニキ……。なんかおかしくないですか?」


73 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 00:40:11.47 ID:tq7CcYBD0

チュドーンッ‼

モブ山A「な……っ! ドローンが空中で……っ!?」


モブ山B「そ、そんな……!」





秋月「――止めっ!」


秋月「……全部、撃ち落とせたでしょうか……」


暁「す、すごいじゃないっ! よくやってくれたわ!」


電「すごいのですー!」


雷「……あれ、響。ドローンに爆雷なんか付けて、何してるの?」


響「あぁいや、向こうのドローンがこっちに届くなら、こちらのも……って思ってね」ブーン…


雷「わぁ、操作上手じゃない、響」




モブ山A「そ、そんな……嘘だろ……」


モブ山B「全部、撃ち落とされちまった……」

ブーン…

モブ山A「――ってあれ、一機帰って来る……?」


モブ山B「いや、アレはウチのじゃないですよ」


モブ山A「じゃあアレはなんだよ」

ポトッ

モブ山B「ん、なんか落とし――」

ドッカーン‼


――――――

――――

――




暁「――しょうがないわね、わかったわ。下の部屋に置いてあげる」

秋月「わ、わぁっ! ほ、本当ですかっ!」

暁「ただしっ! ちゃんとシマの人たちの手伝いをして、自分でみかじめ料をもらうのよっ。わかった?」


秋月「はいっ! ありがとうございますっ!」

照月「やったぁー!」

涼月「精一杯、がんばりますね」

初月「あぁ、本当によかった――」


――――『くう腹の秋月組』終わり。CMへ

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 00:50:14.35 ID:HfGkFvEF0
夕立は壊し屋。時雨は谷村スタイル。白露はダンサースタイル。
村雨はスラッガースタイルってイメージはちょっとある
75 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 01:03:07.10 ID:tq7CcYBD0

――――CMD

『グリーンリーフ探偵事務所』



「はぁ……。提督はいま、どこで何をしているのかしら……」


「べ、べつに、司令官のことなんて気になってないし……!」


「提督さん提督さん提督さん提督さん提督さん提督さん――」


「北上さん、ケガとかしてないかしら……」


「ポーラが酒瓶を持ってどこかへ……っ!?」




青葉「――青葉ですっ! そんなあなたのお悩み、解決しますっ!」


青葉「安心丁寧、明朗会計っ! 今ならお得なアフターサービスまでっ!」




―――お客様の声


「提督の居場所が常にわかるようになりましたっ。とても満足してます」

「ま、まぁ、便利だと思うわ」

「提督さん提督さん提督さん提督さん提督さん――」

「はぁあああああああ、北上さんの写真がぁああああ」

「妹をすぐ見つけることができるので、とても助かっています!」



青葉「お客様満足度No.1! この機会にみなさんもどうしょうかっ?」


青葉「まずは無料相談窓口までお気軽にお電話をっ!」


青葉「グリーンリーフ探偵事務所でした!」



76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 08:55:02.97 ID:ZF2jWmfSO
地獄絵図
77 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 21:14:57.98 ID:tq7CcYBD0
 『謎多き初春組』


―――どこかの倉庫


モブ村A「――……ぐっ!」ガバッ‼


モブ村A「……あ、あれ、どこだここ? 縛られてるし……、俺なんでこんなところに……」キョロキョロ


モブ村A「た、たしか、俺は……」


モブ村A「――そ、そうだ……。事務所に居たところを急に襲われて……!」


モブ村A「クソッ! つかまっちまったのか……、逃げないと」ジタバタ


モブ木A「――諦めな。そんなんで解けるんだったら、誰も苦労してねぇよ」


モブ村A「えっ? だ、誰だあんたは……?」


モブ木B「おうおう、ここに居るのは天下のモブ木組のアニキだぜぇ。気安い口きいてんじゃねぇぞっ!」


モブ木C「そうだそうだっ!」


モブ村A(俺と同じく縛られてるやつに威張られても……)


モブ木A「はっはっは……。まぁまぁ、そんな畏まんなくたっていいぜ。……で、お前は?」


モブ村A「お、俺はモブ村組のもんだ……。ここがどこだかわかるのか?」


モブ木A「はっ、わかるわけねぇだろ。俺だってお前と同じで、気付いたらここに居たんだからよぉ」


モブ木B「あぁん? てめぇアニキに変なこと聞いてんじゃねぇぞコラァ!」


モブ木C「そうだそうだっ!」


モブ村A(なんだこいつら……)


モブ木A「――ま、こんなことしてくれたのが、何処のどいつだか知らねぇが……。へへっ、後悔させてやるぜ……」


モブ木B「ひゅー! さっすが、こんな状況でも怯まない男だぜっ!」


モブ木C「さすがさすがっ!」


モブ村A「と、とはいっても……どうするっていうんだ?」


モブ木A「ふんっ、これだからひよっこは……。――まぁ見てな。俺がちょっと言葉を荒げたら、誰だって許しを請うってもんだ」


モブ木B「フーフーっ! そこに痺れる憧れるゥ!」


モブ木C「ふーふーっ!」


ガララッ‼


カツーン…
カツーン…


モブ木A「――へっ、さっそく来たみたいだぜ……。……見てなッ!」

78 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 21:15:26.17 ID:tq7CcYBD0

カツーン…
カツーン…


モブ木A「おうおうおうおうッ!! いい度胸じゃねぇかあぁんっ!? 俺をどこの誰だか知ってんのかあぁんっ!?」


カツーン…
カツーン…


モブ木A「天下のモブ木組だぜぇ……! お前たちなんかなァ、バラッバラにして犬の餌にしてやるぜあぁんっ!?」


「………………」カチャリ


モブ村A(なんだ……? 暗くてよく見えないが、子供にも見える……――?)


モブ木A「ハッ! おう、いい度胸じゃねぇか! はっはっはっ、撃てるもんなら撃ってみやがれあぁんっ!?」


「…………今日は何の日?」


モブ木A「あぁんっ!? 知るかバカ野郎ッ!! いいから大人しく――」バァンッ‼

ドサッ…


モブ木B「えっ」

モブ木C「えっ」

モブ村A「えっ」


カツーン…
カツーン…


カチャリ…

モブ木B「ひっ……!」


「…………今日は何の日?」


モブ木B「え、えぇっと、今日はですねーっ!! 確か○月の○日だったかと――」バァンッ‼

ドサッ…


モブ木C「えっ」

モブ村A「えっ」


カツーン…
カツーン…


カチャリ…

モブ木C「あ、あぁあああ……」


「…………今日は何の日?」


モブ木C「あ、あのぉ……えっとぉ――」バァンッ‼

ドサッ…


モブ村A「えっ」


モブ村A(えぇえええええええ…………ッ!!?)


79 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 21:17:06.54 ID:tq7CcYBD0


カツーン…
カツーン…


モブ村A(ま、マズいマズいマズいマズいッ!! な、なんなんだこのクレイジー野郎は……!!)


モブ村A(『今日は何の日?』だとっ!!? 答えはなんだっ? 二番目のやつが言った、ただの日にちじゃダメなのか……? で、でもそれじゃ何の日なんだッ!!?)


カチャリ…


「…………今日は何の日?」


モブ村A(は、早く言わないと殺される……! な、なにかいい答えは……、なにか……――)




モブ村A「――ぼ、ボクの命日〜。……な、なんちゃって……」アハハ…


「………………」ニヤッ



モブ村A(わ、笑った……! 助かっ――)




「 当・た・り 」カチャ



モブ村A(あっ、俺死んだ……)





キィイイイイ…


初春「――待つのじゃ、子日っ!!」ピカー‼


モブ村A(な、なんだ……? 俺は死んだのか……? あれは……神か……)


子日「………………」スッ


初春「……そこのお前」


モブ村A「は……はい……」


初春「生きたいか?」


モブ村A「い、生きたいです……!」


初春「……ならば、わらわのためにその命、使うと誓えるか?」


モブ村A「はい……っ! 誓います……っ!!」


初春「そうか……。――初霜っ!」


初霜「初霜、ここに……」


初春「この者を『昇華の間』へと連れていくのじゃ……。生きることの喜び。同志と共に分かち合おうぞ」


80 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 21:18:02.09 ID:tq7CcYBD0


初霜「ふふっ、ではこちらに……」


モブ村A「い、いいんですか……。私なんかが……」


初霜「私たちはね、一人でも多く救えるなら、それで満足なのよ」ウフフ…


モブ村A「うっ……ぐすっ……! ありがとうございます、ありがとうございますっ!」


初春「はっはっは……。精進するのじゃぞ」



キィイイイイ…

バタンッ



初春「………………さて、もういいぞ」

ガバッ

モブ木A「――ふぃー! いやぁー、子日の姉御っ! 今日の演技も極まってましたねぇー!」


モブ木B「何回やっても鳥肌が立っちまいやすぜっ!」


モブ木C「子日の姉御っ! 最高っす!」


子日「…………あ、あの、組長。子日、もう辞めたい……」ズーン…


初春「何を言っておるのじゃ! まだ今日のノルマが残っておるのじゃぞっ!」


モブ木A「そうっすよっ! 最高だったじゃないっすか!」


子日「で、でも……」


初春「子日……。これも我が初春組を大きくしていくためじゃ。わらわのために、もう少し頑張ってくれんか?」ガシッ


子日「…………はい」


初春「ふっ、それでこそ子日じゃ」

シュタッ

若葉「組長。準備できました」


初春「うむっ! よし、それじゃ引き続き頼むぞっ!」


モブ木A・B・C「はい、組長!」キラキラ


子日「…………はぁ……」


――――――

――――

――


 第五話
「くう腹の秋月組/謎多き初春組」


お わ り

81 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/10(火) 21:19:03.12 ID:tq7CcYBD0

【次回予告】

デデンデデン♪


白雪「――吹雪組、若頭を務めております、白雪です」


白雪「雨には雨の戦い方がある……。とは言いますが、今回ばかりはそれも難しい……」


白雪「雨は雨でも白露組。あの若頭・時雨を筆頭に『血濡れの村雨』『狂犬夕立』……どれも強敵ぞろい」


白雪「隣にシマを持ってしまったが不運。私たち吹雪組の運命は……?」


白雪「次回『暁が如く』」


白雪「『キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組』」


白雪「組長……、どうかご決断を」



デデデン♪


82 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/04/10(火) 21:24:37.83 ID:tq7CcYBD0

しまった。

白雪「次回『暁が如く』」

白雪「『キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組』」

白雪「任侠桜に仁義の嵐!」 ←New

白雪「組長……、どうかご決断を」


で、最後お願いします。
83 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:37:25.56 ID:cjwHVKvl0


 第六話
 「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」


―――暁組・事務所


暁「――お祭り?」


雷「えぇ、この前言わなかったかしら?」


電「今度、このあたりの商店街でお祭りがあるのですっ!」


響「ハラショー」


暁「……そういえば、ドローンがお祭りの景品だとかなんとか言ってた気がするわ」


雷「だから、私たちも何か手伝いをしないとね」


暁「えっ? て、手伝いって言っても、何をやるのよ?」


電「お手伝いはお手伝いなのです」


暁「えぇー……、ちょっと面倒くさいかも……」


響「……そうか。残念だね」


暁「えっ?」


響「……手伝えば、みかじめ料でお好み焼きやたこ焼き、焼きそばとか貰えるかもしれないのに――」



暁「――みんなっ! 暁組の勢力を上げて手伝うわよッ!」



「「「おーっ!」」」




トントンガチャッ‼


秋月「――み、みなさんっ!」ガバッ‼


暁「秋月? そんな慌ててどうしたのよ」


秋月「そ、それが……。私たちが見回りをしてたら……その、見つけてしまって……」


暁「見つけた……? 見つけたって……なにを?」


秋月「そ、それがですね……――」



――――――

――――

――



84 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:38:04.85 ID:cjwHVKvl0


場面は変わり、白露組の近くのシマ――。




―――モブ口組・本部


モブ口組長「――白露組だァ? はんっ、だから何だってんだよ」


モブ口A「し、しかし組長! あいつらの事を甘く見ない方が良いですよっ! あいつらのせいで、近くにシマを持ってた組のやつらは……――」


モブ口組長「ガタガタうるせぇっ! お前、いつからそんなビビりになっちまったんだ、えぇっ?」バンッ


モブ口A「――っ! く、組長……!!」


モブ口組長「おいおい、よく考えてもみろよ。近くにシマを持っていたやつらがやられただぁ? それがどうした」


モブ口A「えっ?」


モブ口組長「俺たちだって、あの程度のシマを奪おうと思えば出来たんだよ。ただ、少し面倒だっただけだ」


モブ口組長「むしろ好都合じゃねぇか。その白露組を潰せば、全部のシマが俺たちのものになるってことだしなァ……。くく、はっはっはっ!!」


モブ口A「………………っ!」


モブ口A(組長はわかってない……! 確かに、モブ口組はこの辺りでは一番の規模を持ってはいる……。そこらの組になら負けるはずはない)


モブ口A(――だがっ! 『あいつら』はそんなもんじゃない……! 俺は……この目で……――)



―――うふふふっ。いい感じ、いい感じ……。



モブ口A(――今でも、目を閉じれば聞こえてくる……。あの悪魔の声が……!)


山風「――はぁ……、……なんで私がこんなこと……」ボソッ


モブ口A「…………えっ?」


山風「…………なに?」


モブ口A「な、なにって……。お前は……!」


春雨「もう、山風。口を慎みなさい」


山風「………………」ムー


モブ口組長「……へぇ、テメェらが噂の白露組か?」


春雨「はい、どうやら知っていただけているようですね」


モブ口A(いつの間に本部の中にっ!? 組長を逃がさないと……!)


スッ


モブ口A「――ッ!!?」


85 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:39:17.79 ID:cjwHVKvl0

海風「――ゆっくり動いてください。変なマネはしないように」


モブ口A「……わ、わかった」


モブ口組長「……で? お前たちは俺たちと戦争でもしようってのか? こんなとこまで土足で入ってきやがって……。礼儀のなってねぇガキ共だぜ」


春雨「戦争……というと、少し違うかもしれません」


モブ口組長「へぇ? それじゃなんだってんだ?」


春雨「戦争というのは、ある程度実力が拮抗してないとできないでしょう? だから、これは違うかと」


モブ口組長「言いたいことがわかんねぇな。……同盟でも組みたいってか?」


春雨「寝言を言うには、随分と目が開いているようですが」


モブ口組長「…………ッ!」ブチッ


春雨「――ここは狩場です。今から約十分後、ここにハンターが来ます」


モブ口A「狩場? ハンター? なにふざけたことを……!」


春雨「どう思おうがあなた達の自由です。――私たちは、あなた達が逃げないように監視させていただきます」


モブ口組長「ハッ! 逃げ出すのはそっちの方だろッ!! ――出て来いッ!!」


バタバタッ
ワーワー‼


モブ口組長「お前ら……、生きて帰れると思うなよ」


春雨「――江風、涼風」


江風「はいよっ!」

涼風「がってんだ!」


モブ口B「なっ……!」


ドゴッ‼
ギャーッ‼


モブ口A「だ、ダメだッ! お前たち、手を出すんじゃないっ!」


春雨「そうです。ここに居る私たちには争いの意思はありません」


春雨「――あぁ、もう時間が無くなってしまいますね……。それでは、私たちはこれで」


モブ口組長「誰が逃がすか――」

カチャリ…

山風「――動かないで……」


モブ口組長「――ッ!」


春雨「山風。……村雨姉さんに怒られますよ」


86 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:40:00.55 ID:cjwHVKvl0

山風「………………」ムー


モブ口A(……村雨? それって……もしかして……)


春雨「――あなた達に逃げ道などありません。……生き残る道はただ一つ」




春雨「 立ち向かうこと 」




春雨「それでは、がんばってくださいね」ニコッ


――――――

――――

――



モブ口組長「お前ら……、武器は持ったか?」


ガチャガチャ…


モブ口A「く、組長。やはり、逃げたほうが……!」


モブ口組長「ここまで馬鹿にされて、逃げられるわけがねぇだろ……! ハンターだかなんだか知らねぇが、ぶちのめしてやる……!」




「お邪魔しま〜す」




モブ口A「…………っ」


モブ口A(この声……。やっぱり、村雨っていうのは……!!)


ガララッ


村雨「あらあら、いい感じね……。春雨はいい仕事をしてくれるわ」


村雨「――うふふふっ。それじゃ、始めましょうか……」ニコッ


モブ口組長「――やっちまえっ!!」


村雨「 村雨……狩り、だーい好き 」



ドォン‼ドォン‼
ギャアアアア‼
ウワァアアアア‼
ドゴォン‼


――――――

――――

――


―――CMへ

87 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:40:44.88 ID:cjwHVKvl0

―――CME

『ヒエーハウス・COnGO弐番屋』


デデデデン♪

榛名「――霧島、聞いて!」


霧島「榛名、急にどうしたの?」


榛名「なんとですね! あの、ヒエーハウスが鎮守府にオープンするんですっ!」


霧島「そ、そんな……! 艦隊の頭脳と言われる私が、そんな大事なことを見逃していたなんて!」


榛名「今すぐにでもチェックしないといけませんねっ!」



金剛「――その心配は無いネー! 榛名、霧島!」



榛名・霧島「「金剛お姉さまっ!?」」


金剛「今度openするヒエーハウスのために、ちゃーんとクーポンを確保したデース!」


榛名「さすがお姉さま!」


金剛「さらに! Openしてから一週間は、ドリンク一杯無料のサービスもやってるのネー!」


霧島「すごい情報ですねっ!」


金剛「サァ! 準備はOK?」


榛名・霧島「「はいっ!」」


金剛「――Hey! そこのキミも、一緒に行くデース!」





あのヒエーハウスCOnGO弐番屋がついにオープン!

 その新感覚の味を、あなたの自身でぜひ味わってみてはっ?

  場所は『甘味処・間宮』のすぐそば!



比叡「気合! 入れて! 待ちますっ!」


比叡「――皆さんっ! ぜひ来てくださいねー!」



88 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:41:42.43 ID:cjwHVKvl0

―――CM明け


―――白露組・本部


「――ねぇ、時雨?」


時雨「はい、組長」


白露「白露組はまだ一番じゃないの?」


時雨「はい、まだです。いま、みんな頑張っている最中ですから」


白露「ふーん……。いつ一番になれるの?」


時雨「大丈夫ですよ。そう遠くない未来に……必ず」


ガララッ


村雨「――はいはーい! 村雨、いま戻りましたー」


時雨「あぁ遅かったね。また遊んでたのかな?」


村雨「そうかも。いい感じに……ね」


時雨「――五月雨」


五月雨「は、はいぃっ!」


時雨「村雨にタオルを。そのままじゃ畳が汚れちゃうよ」


村雨「えっ?」ボタボタ…


五月雨「も、持ってきますっ! ――あっ」ガッ


ドンガラガッシャーン‼


村雨「もう、大丈夫? ……ちょうどいいから、村雨ちょっとお風呂に入ってこようかな」


時雨「そうするといいよ」


村雨「――あら、夕立は?」


時雨「夕立なら、もう行っちゃったよ」


村雨「えぇっ? まだ止めておく予定じゃなかったの?」


時雨「まぁ、いいんじゃないかな。春雨たちに様子を見に行ってもらってるし」


村雨「村雨も行きたかったなー……」


時雨「お風呂に入ってからでも、きっと間に合うさ。何しろ相手は――」



時雨「――あの吹雪組だからね」



89 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:42:41.35 ID:cjwHVKvl0

村雨「残ってればいいけど……」


時雨「それでも艦娘さ。人間とは違う……」


ガララッ‼


時雨「――あれ、夕立?」


夕立「………………」ムスーッ


村雨「もう終わった……ってわけじゃなさそうね。なにがあったの?」


夕立「…………居なかったっぽい」ムスー


村雨「居なかったって……」


時雨「ふふっ。へぇ……なるほどね――」








―――暁組・シマの空き家


暁「――それで、これを見つけたってわけね」


秋月「はい……」


「あ、あのごめんなさいっ! 撃たないでくださいっ!」ヒーッ‼


初月「どうしようか?」カチャ


暁「砲は下ろしていいわ」スッ


雷「あなた達、吹雪組よね? ……どうしてこんなところに?」


吹雪「あ、あのっ! 私たちのシマが、し、白露組に狙われてるって情報が入って……」


電「えっ! あ、あの白露組なのですっ?」


白雪「……えぇ。ですので、早々にシマを引き上げてきてしまったのです」


吹雪「苦肉の策だったんですが……。幸い、白露組は堅気の人たちには興味が無いみたいなので……。お別れを言う暇は、ありませんでしたけど……」


響「それで、何故ここに?」


叢雲「ここが暁組のシマだって知らなかったのよっ!」


磯波「ほ、本当です! 私たち、逃げるのに一生懸命で……」


浦波「ほとぼりが冷めたら、こっそり出て行こうと……してたんですけど」


初月「そこを、僕たちが見つけたってところか」


吹雪「はい……」

90 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:43:36.48 ID:cjwHVKvl0


吹雪「――お、おねがいですっ! 本当に悪気はなかったんです! 見逃してもらえれば、すぐ居なくなりますから!」


暁「……別にいいけど。あなた達、行くところはあるの?」


吹雪「あ、いや……。はぁ……」ガックシ…


雷「……どうするの、組長?」


電「ちょっと、可愛そうなのです……」


暁「…………そうね。私に一つ、良い案があるわ」


雷「案……?」


暁「――吹雪組のみんな、あなた達が良ければこのシマに居てもいいわよ」


吹雪「ほ、本当ですかっ!?」グワッ‼


暁「ただしっ! ……条件として、吹雪組にはある仕事をしてもらうわ」


吹雪「し、仕事……ですか? そ、その仕事っていったい……?」


暁「……それは――」


――――――

――――

――




ワーワー‼
ドンチャンドンチャン♪
アハハハッ‼



吹雪「――綿あめー! 綿あめはいかかですかー!」


白雪「甘くて、おいしいですよー!」


初雪「なんでこんなことに……」ズーン…


深雪「まぁまぁ、初雪の姉貴! 綿あめでも食べて……」


叢雲「はいっ、お釣りよ! ――って、なに見てるのよっ」


暁「うんうん。よく仕事してるわねっ!」


雷「いいじゃない!」


電「なのです!」


叢雲「ふん、組長命令よ。あんたの言うことを聞いてるわけじゃないわ」


磯波「だ、ダメですよ叢雲姉さん……。お客さんもいますし……」



91 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:44:21.91 ID:cjwHVKvl0


雷「――お祭り、手伝ってもらえてよかったわね」


暁「ふふんっ。やっぱりレディは頭を使わなきゃね」


電「お祭りって、賑やかで楽しいのですー!」



「射的ー! 射的はいかがですかー!」



暁「あっ、射的もやってるみたいね!」



秋月「秋月の射的屋ですよー! いかかですかー!」


照月「照月の射的もどうですかー!」


涼月「涼月も、射的やってます……!」


初月「少しぐらい譲り合おうよ姉さん……」ハァ…



暁「あははっ、相変わらずね」


響「――それじゃ、射的やろうかな」


秋月「はい、どうぞー!」


響「………………」スッ


パパパパッ‼


秋月「ちょっ! ひ、響さんストップストップっ!!」



電「わぁー! 響ちゃんすごいのです!」


雷「あはは、容赦ないわね」


暁「――さてっ! 私たちも、何か手伝えることがないか聞いてみましょうか」


雷「そうねっ」


電「なのです!」


響「ハラショー」ドッサリ


秋月「け、景品が……」


暁「――それじゃ、みかじめ料獲得のため、みんな張り切っていくわよっ!」


「「「おーっ!」」」



 第六話
 「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」

お わ り
92 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/18(水) 22:45:35.63 ID:cjwHVKvl0

【次回予告】

デデンデデン♪


春風「神風組、若頭補佐……春風です」


春風「最近、他の組の動きが激しくなっているみたいですね」


春風「私たちはただ、静かに暮らせればそれでいいのですけれど……」


春風「はたして、『風』はどこへ吹くのか」


春風「次回『暁が如く』」


春風「『けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源』」


春風「任侠桜に仁義の嵐……ですね」


春風「風が嵐にならないことを祈りましょう……」



デデデン♪


93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 00:57:38.99 ID:tLbas8hE0
おつ、吹雪型はみんないい子だなぁ
そしてやった!次は神風型か!
94 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:07:36.19 ID:E5Jf5X4O0


 第六話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」



―――陽炎組・本部


陽炎「――はぁ……まったく、白露組は余計な事をしてくれたもんだわ……」


不知火「………………」


黒潮「そやなぁ……。まさか、睦月組・秋月組に続いて吹雪組まで……。暁組、たかが四人と見くびってたわぁ」


陽炎「まぁ、まだ同盟を組んでいると決まったわけじゃないけどね。大きい動きは見られないけど、油断はできないわ」


磯風「ふむ…………」


浦風「それで、組長……。ウチらはどうするんですか?」


陽炎「出来ることなら、白露組と同盟を結べればいいんだけど……。あの白露組が相手じゃ、望みは薄いわね。むしろ、何処でこちらを狙ってるのかわからないわ」


初風「朝潮組を抜いて、シマが近いのは初春組とかかしら。……でも、初春組もいい噂聞きませんね」


陽炎「……そうね。あとは親潮の結果次第ってところだわ……。――とりあえず、いつも以上に見回りは強化しときなさい」

ハイッ‼

陽炎「……さぁ、神風組はどう動くかしら――」


――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――それで……。この度はいったい何の用かしら? ……陽炎組の親潮さん?」


親潮「まずは、私たちの話を聞いていただける場を用意していただき――」


神風「前口上はどうでもいいわ。用件をいいなさい」


秋雲「ちょ、ちょっとその言い方は――!」グッ‼


スラッ


秋雲「――うっ……」


旗風「お座りください。ここは私たちの本部ということをお忘れなきよう」


親潮「……秋雲、ここは大人しくしていて。……ありがとう」


秋雲「うぅ……」シブシブ


春風「旗風も……、その物騒なものはしまっておきなさい」


旗風「はい……」スッ

95 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:08:13.74 ID:E5Jf5X4O0


親潮「――最近、睦月組や吹雪組に動きがあったことをご存知でしょうか」


朝風「あぁあれね。噂程度には聞いてるわ」


親潮「その中心にいるとされるのが暁組です。近頃動きが活発になりまして、今や私たち陽炎組にも匹敵するほどの勢力となっています」


親潮「朝潮組とはほぼ同盟関係にあるのですが、なにしろ近くにはあの白露組がシマを持っていることもありまして、陽炎組としてはとても動きづらい状況です」


松風「……なるほど。それで僕たちに協力を求めに来た……と。そういうことかな?」


親潮「話が早くて助かります。……神風さん、どうか陽炎組に力を貸してはいただけないでしょうか?」


神風「そう。まぁ、言いたいことはわかったわ。……どう思う、春風?」


春風「……そうは言いましても。その暁組と私たちのシマは離れていることもありますし、直接は関係ないように思えますけど……」


神風「そうなのよねぇ。それ、私たちになにか得なことってあるのかしら?」


親潮「……これはあくまで推測にもなりますし、私個人の考えでもありますが――」


親潮「あの白露組の事は、神風組の皆様もよくご存じかと思います。今回、いよいよ白露組はシマの拡大のため吹雪組に仕掛けました」


親潮「……しかし、吹雪組がそれをいち早く察知し回避しました。……それでは、その白露組の次の矛先はどこへ向くと思いますか?」


神風「へぇ、なるほどね。たしかに、無い話じゃないわ」


親潮「陽炎組に協力していただけるのであれば、もしもの時には共に戦うこともできますし、もしかしたら白露組も避けるかもしれません」


神風「……そうね。――みんなはどう思う?」


朝風「心外だわね。私たちが白露組に後れを取るって、そういいたいの?」


親潮「い、いえっ! そういうことでは……」


春風「私は、なるべくであれば争いは避けたいところではありますが……。組長の選択に従います」


松風「ボクも、組長が戦えというなら戦うし、協力しろというなら協力してもいいかな」


旗風「私も、春風姉さんと同意見です」


神風「そう……」


親潮「……神風さん、悪い話ではないと思うのですが」


神風「――……決めたわ」パンッ


親潮「……っ! それで、お答えは……?」


神風「えぇ、私たち神風組は――」


――――――

――――

――


96 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:09:00.34 ID:E5Jf5X4O0


―――陽炎組・本部


陽炎「――断られた? それは本当なの、親潮?」


親潮「大変申し訳ありません。私の力不足で……」


秋雲「く、組長っ! 親潮の姉貴は悪くなんてありませんでした! ただ、神風組にその意思なかったってだけで――っ」


陽炎「あー、大丈夫よ秋雲。別に怒ってるわけじゃないし、なんかそんな感じしたのよね」


秋雲「へっ?」


親潮「そ、そんな感じというと……?」


陽炎「神風組は……なんていうか保守的なの。この段階じゃ、まだ動かないのもしょうがないと思うわ」


親潮「なるほど……」


陽炎「とにかく、二人ともご苦労だったわね。ゆっくり休みなさい」


親潮「わかりました。失礼します……」


黒潮「――せやかて、これはちぃ〜とばかしマズいんやないか?」


陽炎「そうね……。ただ、暁組の近くには夕雲組と綾波組がシマを持っているわ。まだ接触してる話は聞かないし、この二つの組に注意しておきましょう」


初風「……じゃあ、神風組のほうはどうしますか?」


陽炎「まぁ、白露組の動き次第ね。神風組の方から仕掛けてくることは無いでしょうし」


陽炎「……もし、白露組が神風組を狙うような動きを見せたら、私たちも動きましょう。恩を売っておいて悪い事は無いわ」


初風「わかりました。そう手配します」


陽炎「……なにもないのが一番だけど、難しいものね」


不知火「そうですね」


黒潮「――まぁ、お二人さんはこの陽炎組の柱や。だから堂々としててもらわんと困るでぇ。……めんどうなことは、うちらにまかしとき」


陽炎「……えぇ、わかってるわ。優秀な組員ばかりだもの」フフッ…



陽炎「……だからせめて、追い風が吹いてくれるように祈りましょうか――」



――――――

――――

――



―――『けんもほろろ、神風組』おわり。CMへ


97 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/21(土) 23:09:40.53 ID:E5Jf5X4O0

―――CMF


・ナレーション:香取


鹿島「――ふぅ……」


彼女の名前は「鹿島」。

とある鎮守府を支える練習巡洋艦であります。

今日も彼女は練習遠洋航海の準備に追われていました。


鹿島「はい、それではみなさん、準備は出来ましたか?」


多忙なはずの鹿島さんですが、毎日笑顔を欠かすことはありません。

そんな彼女の笑顔のお陰で、鎮守府の皆はつらいことにも耐えられるのかもしれませんね。


鹿島「――うっ……」


しかし、いくら艦娘とはいえ彼女にも疲労が溜まっていきます。

最初はだましだまし働いていた彼女も、ついには体を壊して寝込んでしまいました。


鹿島「はぁ……、模範となるべき私がこんなんじゃ……」


それほどまでに一生懸命であった彼女。

もしかしたらこれも仕方のない事だったのかも知れません。

鹿島さん自身もそう思い込もうとしますが……――。


鹿島「普段からもっとしっかりしておけば……」ウゥ…


こうして寝込んでいる最中も、鎮守府や提督にかけた迷惑の事を考えてしまうたびに、彼女は自責の念に押しつぶされそうになっていました。


鹿島「……よしっ!」


しばらくして、復活した鹿島さん。

寝込んでしまった分を取り戻そうと、必死になって働きます……が――。


鹿島「…………っ」


また倒れてしまったらどうしよう……。

彼女の頭の中にはそんな考えが常に付きまとうようになってしまったのです……。




鹿島「――ぷはぁ!」


――そんな時に出会ったのが、この青汁でした!


鹿島「はい、常に持ち歩くようにしてますね! 栄養も取れますし、なによりマズいってイメージがあったんですけど、これはおいしいんですよ!」


青汁を飲み、前よりも笑顔を見せるようになった鹿島さん。これからも、元気でいてほしいですね!

さぁ、テレビの前のあなたも! いまなら一週間無料お試しパックもご用意してます!

お気軽にお電話をっ!


『健康青汁 〜鹿島さんver〜』
98 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:01:48.70 ID:4/iWZq3F0
ごめんなさい。
>>94が「第六話」になってますが、「第七話」でした。
99 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:02:48.33 ID:4/iWZq3F0

『陽炎組の収入源』


―――モブ上組・某所


ジジー…


ドゥンドゥン♪
ガチャガチャ…‼

モブ上A「――ヒマだなぁ……」


モブ上B「いやいやー、ヒマなのはいいことじゃないっすか先輩!」


モブ上A「まぁそうなんだけどよ。毎日毎日、こうやってパチンコスロットに金を突っ込むやつらを、監視カメラで見てるだけってのは飽きるぜ」


モブ上B「まぁまぁ……。――そんなことより先輩。この後イイ所行きましょうよ〜」


モブ上A「あぁ? ったくお前は……」


ジジー‼


――あの、すいません! ちょっと、三番通路のほう見てもらえますかっ?


モブ上A「え? あいよ……――」カチャカチャ…


モブ上A「――なっ!!? あ、あいつはまさか……!!」





ジャラジャラ…‼
ザワザワ…
スゲー‼
アレ、コドモジャナイノカ…?



雪風「打ちますっ! 打ちますっ!」ジャラジャラ…


天津風「……別にそんな掛け声はいらないのよ。ひねってればいいの」


雪風「でも、それじゃつまんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「つまんないって言ったって……。雪風、理解してるの?」


雪風「わかんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「そう……。まぁいいわ」





モブ上A「――あ、あれはッ!! 最近このあたりのパチ屋を荒らしまわってるっていう……!!」


モブ上B「た、たしか陽炎組っていうところのやつなんでしたっけ?」


モブ上A「……なんていう勢いだ……! おい、あの台の確率さげろっ!」


モブ上B「りょ、了解っす!」カチャカチャ…



100 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:03:30.91 ID:4/iWZq3F0


雪風「これ、壊れてます! 7しか揃わないです!」ジャラジャラ…


天津風「そう。でも、それはいい壊れ方だから安心していいわ」




モブ上A「ど、どうなってるっ!?」


モブ上B「そ、そんな……!? なんで……」カチャカチャ


モブ上A「……クソッ!!」ダッ‼


モブ上B「先輩っ!」




モブ上A「――お、おいっ!」


雪風「へっ?」


天津風「――あぁ、大丈夫よ。雪風はそのままで」


天津風「この店の人かしら? 何のよう?」


モブ上A「お、お前たち、噂は聞いてるぞ……!」


天津風「へぇ……。だからどうしようって?」


モブ上A「こ、こんなのイカサマだ!」


天津風「やだ、言いがかりもいいところね。じゃあ、他の台に移ればいいのかしら?」


モブ上A「ふ、ふざけるなっ!! テメェら――」


ガチャリ…


天津風「ふざけてるのはどっち? ……その頭、風通し良くしてあげましょうか?」

ワァ…‼
ザワザワ…
ナンダナンダ?

モブ上A「うっ……」


天津風「黙ってみてなさい。あんたにできるのはそれだけよ」


モブ上A「く、クソォ……!」



――――――

――――

――



雪風「お菓子がおいしいです!」モグモグ…


天津風「なんかいっぱい貰えてよかったわね」


101 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:04:05.12 ID:4/iWZq3F0


天津風「……さて、それじゃ次はあの店に行こうかしら」


雪風「でも、雪風は遊んでていいのでしょうか……」


天津風「いいじゃない。これでいいって組長に――」


オウッ‼


天津風「――言われて……るんだし……」


雪風「あれ? この声って……」


天津風「……マズいわね」


「見ーーーつーーーけたっ!!!」


ズサァアアアア‼


天津風「……島風……!」チッ…


島風「やっと見つけたよ、天津風! 情報通りだったね」


天津風(情報……?)


天津風「――何度も言ってるけど、あんたと勝負する気はないわよ」


島風「なんて言って! 島風からは逃げられないよ!」


天津風「……雪風、行くわよ」ボソッ


雪風「……えっ――」グンッ


天津風「逃げるわ!」ダッシュ


雪風「わわっ!」


島風「…………ッ!!」ビュンッ‼


天津風「……なんとか、逃げきれたり――」


島風「――おっそーい!」


天津風「って、そりゃそうよねっ!」グッ


天津風「雪風! A作戦よ!」


雪風「A作戦っ? えーっと、A作戦は……」


天津風「――あぁもう、息止めてなさい!」ブンッ‼


ボワッ‼


島風「――っ!! ゲホッ……ゲホッ……!」



102 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:04:57.17 ID:4/iWZq3F0


島風「――ふ、二人はっ!?」


ガラーン…


島風「あーっ、逃げられたー!」



――――――

――――

――




―――陽炎組・本部


天津風「――っていうことがありまして」


時津風「わぁーっ、雪風だー!」


雪風「時津風、お菓子食べましょう!」

ワーイワーイ‼

陽炎「そう……それは災難だったわね」


天津風「島風は確かに『情報通りだった』と……」


陽炎「あの島風を人間が捕まえられるとは思えないわね」


黒潮「ってすると……」


陽炎「えぇ、どこかの組が天津風たちの情報を流したってことね。……でも、問題はどこの組が流したかじゃなくて、何処から漏れたのか……よ」


不知火「……まさか――」


陽炎「なるべくなら考えたくはないけど……。一つの可能性としては――」


天津風「陽炎組の中に……?」


黒潮「はぁ……」


陽炎「明日、陽炎組を全員集めましょう」


黒潮「……流したのは暁組やろか?」


陽炎「情報を聞く限りそんなことするようには思えなかったけど……。白露組もこんな小細工はしないでしょうし。困ったわね……――」


――――――


コソコソ…


秋雲「いやぁ、これはちょっとマズいかもなぁ……――」



 第七話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」

お わ り
103 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/22(日) 01:06:18.80 ID:4/iWZq3F0

【次回予告】

デデンデデン♪


萩風「陽炎組若中、萩風です」


萩風「実は私、陽炎組のご飯を作ったりしているんですよ」


萩風「そんな意味では、みなさんの健康を任されているような気がして責任重大です」


萩風「…………ですが、最近陽炎組はピリピリしてます」


萩風「はぁ……、陽炎組はどうなってしまうのでしょうか……」


萩風「次回『暁が如く』」


萩風「『私計か、それとも……。秋雲の苦悩』」


萩風「任侠桜に仁義の嵐!」


萩風「……秋雲? あなたは陽炎組……なのよね?」



デデデン♪


104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 01:37:37.10 ID:4uCL5eJs0
おつ
島風はどーいう立位置なんやろ?
105 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:02:30.60 ID:ppBgPTw90
>>104
島風は、業界最速の配達員。裏の顔は気まぐれヒットマンやで。
ただ、なんやかんや色々あって天津風を目の敵にしてるって設定だけど、特に深い意味はないから気にしなくていいよ。
106 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:03:15.37 ID:ppBgPTw90


 第八話
 「私計か、それとも……。秋雲の苦悩」



―――陽炎組・本部


ザワザワ…


陽炎「――さて、みんな集まったかしら」


シーン…


陽炎「今日みんなを集めたのは、最近活発になってきている他の組についてよ」


磯風「……それは人間の、ということですか?」


陽炎「いいえ、違うわ。……まぁたしかに、徒党を組んで陰で何か企んでるんじゃないかって噂もあるけど」


陽炎「――ただ、今日は艦娘の組についてよ。暁組の事はみんな知っているかしら?」

ザワザワ…

陽炎「そう。最初は気にも留めてなかった組だったんだけどね。それが今や、睦月組・吹雪組・秋月組と手を組み、私たち陽炎組に匹敵するほどの勢力になってるわ」


陽炎「私たちも何とか対抗していきたいんだけど、残念ながら周りに敵が多すぎる」


陽炎「……そして、新たな問題も浮上してきたわ」


初風「……問題、ですか?」


陽炎「……黒潮、お願い」


黒潮「――はいはいー」


黒潮「みんな、おはようさん。……問題っていうのはな、資金源のことなんや」


黒潮「えーっと……うちら陽炎組は、基本的に他の人間の組から資金を調達しとる」


黒潮「まぁ、まっとうにやってるところはええんやけど、主にはあくどい商売やってるとこに対してやな」


黒潮「最近になると、みんなの働きもあってか数は減ってるように思う」


黒潮「――ただ、おかしな報告も増えてきてな。これがその問題っちゅうやつや」


黒潮「『逃げられた』……そういう報告が多くなってきたんや」


浜風「そういえば、たしかに……」


谷風「あぁー! そんなこともあったねぇ」


嵐「偶然だったり……」


野分「話の意図を考えなさい。これはつまり……」


舞風「あれあれ? ……まさか、暗い話かなー」



107 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:03:47.90 ID:ppBgPTw90


浦風「――待ってくれんじゃろか本部長ッ!! ウチには……本部長がイヤな事を言っているように聞こえてしまうんよ……」


黒潮「……そうやな。うちもできることなら言いたくはないんやけど、こればっかりはそういうわけにもいかん」


浦風「それじゃ、やっぱり……」


黒潮「そうや……――」




黒潮「 この中に、陽炎組の情報を流してるもんがおる 」




時津風「そっかぁ……」

浦風「……まさかなぁ」

磯風「ふむ……」

浜風「この中に……っ」

谷風「そいつぁ……」

野分「………………」

嵐「マジかぁ……」

舞風「うはー……」

萩風「そ、そんな……」

秋雲「………………」シラー…



陽炎「――みんな、静かに。……こうは言ったけどね、可能性としては違うことも考えられるわ」


陽炎「人間の組が私たちを混乱させるためにやってるのかもしれないし、私たちもまだ決めつけてはいない」


陽炎「……でも知っておいて」



陽炎「――……もし、それが原因で陽炎組の誰かが危険な目に遭うのだとしたら、私はそいつを許さない」ゴゴゴゴ…‼



陽炎「……以上よ。解散していいわ」



秋雲「………………」ダラダラダラダラダラ…


萩風「……秋雲? 大丈夫、すごい汗だけど……?」


秋雲「へ、へっ!? ちょ、ちょーっと暑くてさ……あはは……」


萩風「そう、かな……?」アツイ…?



――――――

――――

――


108 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:05:02.52 ID:ppBgPTw90


陽炎「――もし陽炎組の中に居るのだとしたら、浜風から下の組員かしらね……」


黒潮「たぶん、そういうことになるやろなぁ……」


陽炎「……不知火。情報を受けている組はわかった?」


不知火「断定はできませんが、綾波組か夕雲組。……おそらくは夕雲組かと」


陽炎「そう、ご苦労さま。……夕雲組から目を離さないでおきましょう。小さな動きも見逃さないで」


不知火「はい」


陽炎「ふぅ……。もう、迷ってる暇はないのかもしれないわね……」


黒潮「……どうするつもりなんや?」


陽炎「……神風組と初春組、そして……白露組。この三つに同盟を持ち掛けましょう」


黒潮「なっ……! 初春組はともかく、神風組は断られたばかりやないかっ? それに白露組にもなんて……!」


陽炎「もう事態は動き始めてるわ。この前とは違う。……神風組も動いてくれると思う」


黒潮「だとしても、なんで白露組にも……。それなら綾波組のほうがええと思うけど」


陽炎「綾波組は……なんて言えばいいのかしら。静かすぎるのよ」


黒潮「どういうことや?」


陽炎「ここまで夕雲組も綾波組も……、どちらも大きな動きを見せてないわ。大人し過ぎる気がしない? ……イヤな予感がするの」


黒潮「だからって……」


陽炎「それに、いつまでも白露組っていう爆弾を抱えてるわけにもいかないでしょう。もし、同盟がダメなら……やるしかない」


黒潮「…………そうかぁ」


黒潮「わかったわ。組長がそこまで言うんやったら、うちも何も言わん。……やったろうやないか」


陽炎「悪いわね……。ここが正念場よ――」


――――――

――――

――


秋雲「………………」ゴソゴソ…

萩風「――あら、秋雲? どこかに出かけるの?」

秋雲「あ、あぁ、萩風の姉貴! うん、ちょっと出かけてるくる……」アハハ…

萩風「そう……。気を付けてね」

秋雲「あはは、大丈夫大丈夫っ! それじゃ、いってきまーっす!」

萩風「………………」


―――CMへ

109 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/04/29(日) 02:05:50.88 ID:ppBgPTw90

―――CMG

『☆アイオワのテレビショッピング☆』


サラトガ「――ハァ……」


イントレピッド「Hey,Sara? そんな落ち込んでどうしたの?」


ガンビア「そ、そうですよ! らしくないです……」


サラトガ「それが、最近出撃が少なくて……ちょっと運動不足かも……」


デデーン‼


アイオワ「――Hi! Sara、あなたのその悩み解決するわっ!」


サラトガ「えぇっ? でも、どうやって……?」


アイオワ「今回紹介するのは、こちら!」

ガラガラ…

イントレピッド「こ、これはランニングマシーン?」

ガンビア「で、でも、水が入ってます……」


アイオワ「そう! これはジェット水流によって、まるで出撃の時の海の上を走るように運動できるマシーンなのよっ!」


サラトガ「Wow! これなら出撃できないときも、部屋の中で同じだけの運動ができるわねっ!」


イントレピッド「うーん……。でも、ずっと部屋にあるとさすがに邪魔じゃないかしら……?」


アイオワ「Don’t worry! ――カモン、Samuel!」


サミュエル「Nice to meet you! よろしくね!」


アイオワ「それじゃ、さっそくお願いできるかしら」


サミュエル「OK! ――よいしょ……」カチャカチャ…


ガンビア「わぁ! あんなに折りたためるなんて!」


サラトガ「それに、あんなに小さい子でも動かすことができるのねっ!」


アイオワ「これなら使いたい時すぐに出すことができるし、しまう場所も選ばないわっ!」


イントレピッド「たしかに、これはすごいわねっ! ……でも、やっぱりお値段は高いの?」


アイオワ「フフーン! この私を甘く見てもらっては困るわ!」


アイオワ「今ならなんと、このPriceで!」ガシャーン


サラトガ「Fantastic! なんてお買い得なのかしら!」


アイオワ「――さぁ、そこのあなたも! いますぐチェック!」


110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 09:31:24.82 ID:sZA+gl2z0
おつ、秋雲の胃がマッハですなぁ
そして暁のハードルが周りに勝手に上げられていく…
111 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:43:24.28 ID:Z6WJcbW70

―――CM明け


―――某所


秋雲「………………」コソコソ


「――秋雲」


秋雲「――うわぁっ!」ビクッ


風雲「な、なによ……! そんなビックリしなくてもいいじゃない……」


秋雲「か、風雲の姉貴か……。はぁ、心臓に悪いよ」


風雲「…………? どうしたの、今日はやけにビクついてるわね」


秋雲「あ、あぁー……。それが……さ――」




――――――


風雲「――なるほど、ねぇ。そっか、私たちが邪魔してるのバレてるんだ」


秋雲「まだ、秋雲としては疑われてはないかもだけど……」


風雲「……じゃあ、こっちに来たらどう?」


秋雲「え?」


風雲「これが引き際なのかもしれないわ。秋雲だって、そんな神経すり減らすのは疲れるでしょ?」


秋雲「………………」


風雲「――というか、もともと夕雲組長だって反対してたのよ。秋雲にだけそんなことはさせられないって」


秋雲「……いいんだよ。これで、いいんだ……」


風雲「はぁ……、最初にあんたが夕雲組に接触してきたときは警戒したものだけど、いまならわかるわ。……誰かのために、動いてるんでしょ?」


秋雲「………………」


風雲「でもね、物事にはどうしようもないこともあるの。……もう十分、秋雲は頑張ったわよ。後は夕雲組がなんとかするわ」


秋雲「――ダメだよ」


風雲「なんで……って聞いてもいいの?」


秋雲「……まず、風雲の姉貴は勘違いをしてる。……これは私のためなんだ。誰のためでもない」


風雲「………………」


秋雲「私のため……。そのために、夕雲組を利用してるんだ。……ただ、それだけなんだよ」


風雲「……そう。まぁ、それでもいいわ――」


112 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:47:31.34 ID:Z6WJcbW70

――

――――

――――――


秋雲「――こんなもんかな。……それじゃ、引き続きよろしく頼むよ」


風雲「えぇ、わかったわ」


秋雲「あ……それと、これからはこう頻繁に会えないかもしれない。今までみたいに、曜日で会うのは止めにしよう」


風雲「いいけど……。どうするのよ?」


秋雲「何とか連絡するよ。……さて、それじゃ――」



カランッ…



風雲「――誰ッ!!」ガチャ‼


萩風「あっ……あの……!」


秋雲「は、萩風の姉貴……っ!!?」


萩風「――――っ」ダッ


風雲「逃がさないわ――」


秋雲「ま、待って!!」バッ‼


風雲「どきなさいっ! 見られてるのよっ!?」


秋雲「あ、秋雲が……! なんとか説得するから……、だから……!」


風雲「…………ハァ……。……秋雲、こうなってしまった以上しょうがないわ。夕雲組に行きましょう」


秋雲「……いいや、行かない」


風雲「………………。――そう、それじゃもう終わりね。秋雲があの娘を説得できようができまいが、次からのあんたの情報は信用できなくなる」


秋雲「うん、わかってる」


風雲「……それでも、戻るのね?」


秋雲「………………」コクッ


風雲「――じゃあ、もう何も言わないわ。……もしなにかあったら、ここに連絡しなさい」スッ


秋雲「これは……?」


風雲「私の連絡先よ。……夕雲組としては動けないかもしれないけど、風雲としてなら動けるかもしれないわ」


秋雲「……わかった。ありがとう、風雲の姉貴―――」



――――――
113 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:51:25.67 ID:Z6WJcbW70

―――陽炎組・本部

秋雲「………………」ゴクッ

ガララッ‼

秋雲「た、ただいま帰りましたー……」


浦風「――あぁ、秋雲。おかえり」


秋雲「――ッ! あ……えと……」

浦風「…………? どうしたんじゃ、そんな顔して……」

秋雲「…………えっ? ――あ、あぁいやっ、なんでもないです!」ヘヘヘ…

浦風「そ、そうなん……? なにかあったら、遠慮なく言うんよ?」

秋雲「はい、ありがとうございます……――」


―――陽炎組・本部・厨房


萩風「………………」トントントン…

ジュー…

秋雲「――萩風の姉貴」


萩風「………………」


秋雲「なんで、黙ってるんだ?」


萩風「……言えなかった。……なんででしょうね」トントントン…


秋雲「報告するならまだ間に合う。……これじゃ、萩風の姉貴も共犯になっちゃうよ」


萩風「止めないの?」


秋雲「しょうがないよ。全部、私の責任だから……」


萩風「………………」


萩風「――秋雲、今日は健康ハンバーグを作ってみたの。配膳、手伝ってくれる?」


秋雲「萩風の姉貴っ! どうして――」


萩風「だって! ……秋雲は、苦しんでるじゃない!」


秋雲「――――っ」


萩風「それに、可愛い妹分だから……。ふふっ、私たち……共犯だね」


秋雲「なんだよ、それ……。…………ありがとう」ボソッ…


――――――

――――

――

 第八話
 「私計かそれとも……。秋雲の苦悩」


お わ り
114 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/01(火) 21:53:02.39 ID:Z6WJcbW70


【次回予告】

デデンデデン♪


高波「夕雲組若頭補佐、高波……です!」


高波「ついに私たち夕雲組が動き出す時が来た……かも!」


高波「でも、私たちの動向は陽炎組に見張られちゃってたりするかもですけど――」


高波「夕雲組は陽炎組なんかには負けない……です!」


高波「次回『暁が如く』」


高波「『のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟』」


高波「任侠桜に仁義の嵐……かも!」


高波「――へっ!? さ、最後に一言って……聞いてないかもっ!」



デデデン♪


115 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/05/01(火) 22:10:03.65 ID:Z6WJcbW70
読んでる人居るかな?

ちょっと聞きたいのですが。
自分はこのサイトでSSを書く時って、基本的には行数いっぱいに使って書くようにしてるんだけど、これって読みにくかったりしますか……?
「行数全部使ったら読みにくい」という意見があったので……。

出来ればこのままでやりたいのですが、読みにくいって人が居るなら直そうかなと思ってます。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 22:37:24.63 ID:IWbHg9BO0
問題ないかも!
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 23:01:20.16 ID:UVKpOboO0
読んでますよ
自分もこのままで問題ないと思います(むしろこの方が好き)
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 23:58:20.80 ID:foC1KrgxO
今のままでいいと思うぜ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 09:34:56.85 ID:FQhCNDum0
作者雑談スレに書かれました?
自分はレスを10行とかでぷつぷつ切られる方が読みにくい
というか露骨なレス稼ぎに見えてよっぽどの良作でないと読むのをやめる
場面とかの切り替えとかでレスを切る人もいるしやりたい様にされるのが一番かと
更新がまとまって有ると続きがどうなるのかの展開を考えやすいから自分は好きですね
いつも楽しませていただいています
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 10:47:09.35 ID:VuOdRlEA0
このままで大丈夫だぞ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:07:17.33 ID:r57VtxwZ0
このままで大丈夫
止まるんじゃねえぞ
122 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:42:25.16 ID:RgrSEOcd0
みんなレスありがとう。

>>119
そうなのです。そのスレでそういう話になっていて「そういう意見もあるのか」と少し不安になってたのですが、杞憂だったみたいで安心しました。

SSの書き方にも依るのかもしれませんね。
私は擬音とか色々入れやすくするために行間が結構空いてるので、むしろいっぱいに使った方が良いのかもしれません。

なにはともあれ、読み辛くはないようなのでよかったです。

このまま続けます。
123 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:43:11.34 ID:RgrSEOcd0


 第九話
 「のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟」


―――暁組・事務所


ザザッ…

暁「――あれ? ……テレビの調子がおかしいわ」


電「はわわっ! こ、これじゃ、じゃんけんができないのです……」


雷「うーん、困ったわね……。叩けば治るかしら」スッ


電「わーっ! だ、ダメなのです! きっとテレビじゃなくてアンテナの方なのです……」


暁「アンテナかぁ……。でも、いま響いないし、秋月組のみんなも出ちゃってるのよね」


雷「……あっ、そうだ」

ゴソゴソ…

暁「…………? なに探してるの?」


雷「じゃーん! DVDよ!」


電「たしかに、DVDなら見れるのです! けど、内容はいったい……?」


雷「――ホラーよ」


暁「」

電「」


雷「どうする、組長? 組長が怖いならやめましょうか」


暁「なっ……! ぜ、全然怖くなんかないわ! いいわよ、見てやろうじゃない!」カチーン‼


電「はわわ……。電は怖いの苦手なのです……」

ワーワーギャーギャー

――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――あらあら。これはこれは……」


朝風「まさか……アンタが来るとはね」





陽炎「実際に会うのは初めてかしら? ……先日は親潮が世話になったわね」






124 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:43:49.39 ID:RgrSEOcd0


春風「随分と、度胸のあることですね」


松風「いいじゃないか。そういうの、嫌いじゃないよ」


神風「……それで、今回はいったい何の用? ――と、言いたいんだけど……」



不知火「………………」ゴゴゴゴ…



神風「そっちのが、随分とやる気じゃない。……でも、戦争をしに来たわけじゃないでしょう?」


陽炎「えぇ、もちろん。……不知火、大人しくしなさい」


不知火「ずっと大人しくしてます」


陽炎「わかったから。ジッとしてて」


不知火「………………」ムスッ


陽炎「ごめんなさいね、気にしないでくれると助かるわ」


神風「ま、いいわ。――それで、陽炎組の組長さんが、こんな小さな組に何の用かしら?」


陽炎「どうやら、回りくどい言い方は好まないようね? 私もそうだから、単刀直入に言わせてもらうわ――」


陽炎「――私たち陽炎組と、同盟を組んでほしいの」


神風「はっ……。また答えないといけないの? 断ったつもりだったけど」


陽炎「前回とは状況が違うわ。……もう少しで、私たち艦娘の間にある均衡が崩れる。そんな予感がするの」


神風「『予感』ね。そんな曖昧なもので私たちは動かないわ。……で、話は終わり?」


陽炎「……もう一度、よく考えなおしてくれないかしら?」


神風「…………解せないわ。何故、陽炎組ともあろうものが、私たちなんかに頭を下げるの?」


神風「正直に言えば、神風組が陽炎組と戦えば、神風組が勝つ見込みは少ない。それぐらいは私でも分かる」


神風「――あなたは、私たちを力で屈服させることもできたはず……。それが何故?」


陽炎「そんなの、単純な話よ……」



陽炎「――私たち陽炎組と神風組は、同等の立場として一緒に戦ってほしいの」



神風「………………!」


陽炎「……でも、ダメなら諦めるわ。今後一切、陽炎組は神風組に関わらないことを――」


神風「――わかった」


陽炎「……え?」


125 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:44:47.33 ID:RgrSEOcd0

神風「『わかった』って言ったの。何度も言わせないで」


陽炎「それじゃ……!」


神風「えぇ、私たち神風組は、いついかなる時も陽炎組に味方するわ」


朝風「ちょ……! 組長、それは……――!」


神風「――黙りなさい、朝風。もう口に出してしまったの。今さら無しだなんて言えないわ」フフッ…


朝風「はぁ……。まったく……」

春風「……私は、組長がそれでいいのであれば」

松風「……ま、それもおもしろいかもね」

旗風「私も、異論はありません」


陽炎「……感謝するわ」


神風「どうするの? 盃でも交わすのかしら?」


陽炎「それはまたの機会に。……実は、もう一つ厄介なものを抱えてるのよ」


神風「ふぅん……?」


陽炎「……初風。イヤな役を押し付けちゃったわね……――」



――――――

――――

――



―――白露組・本部


クスクスクス…
アハハハ…
ドウシテヤロカシラ…


初風「………………」ダラダラ…


時雨「……ようこそ。初風さん……だったかな?」


初風「え、えぇ……――」


初風(なんなのよこれ……。まるで生きた心地がしないわ……)


ヤッチャッテイイッポイ?
ダメヨ…マダ…
クスクスクス…


初風(――あぁもう……。組長、恨みます……)


時雨「まぁ、そう緊張しないで。リラックスしてよ」


初風(くっ……出来るわけないでしょう……!)


――――――
126 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:45:35.72 ID:RgrSEOcd0


―――数刻前・陽炎組・本部


初風「――わ、私が、一人で白露組に……!?」


陽炎「ごめんね、初風。本当なら私が行こうと思ってたんだけど……」


陽炎「みんなが『私が行くなら着いていく』って聞かないのよ……」


黒潮「当たり前や。自分の立場ってもんを考えろっちゅうんや」


陽炎「不知火にはそういうのは無理だし、黒潮も向いてないし、親潮にもちょっと荷が重いかなって」


陽炎「――初風、あなたが適任なの。どうか、お願いされてくれないかしら」


初風「で、ですが、一人ですか……?」


陽炎「今回、白露組と交渉をするなら、出来るだけ戦闘の意思を見せないで欲しいの」


陽炎「……これは難しい任務よ。……今回ばかりは、無理にとは言わないわ。イヤならイヤと言っても、誰も責めない」


陽炎「でもね。同時に、この任務は初風にしか出来ないとも思っているわ」


初風「………………」


陽炎「……どう?」


初風「……ズルいですよ、そんなの……」


陽炎「ごめんね……」


初風「――あぁ、わかりましたっ! この初風、たとえ首を落とされてもこの任務、遂行して見せます!」


陽炎「……よく言ってくれたわ。……初風、よろしく頼むわね――」


――――――

――――

――


初風「……断ればよかったかしら……」ボソッ


時雨「……なにか言ったかな?」


初風「――い、いえ。……それで、今回は私たち陽炎組と白露組で同盟を結びたい……という話で来たのですが……」


時雨「同盟……ね。一つ聞きたいのだけど、それは僕たちにとってどんなメリットがあるのかな?」


初風「……最近、暁組という組が急激に力を付けてきてます。それに対抗する形で――」


時雨「答えになってないなぁ。それじゃあ僕たち白露組は、陽炎組と同盟を組まないと潰されてしまう……と、キミはそう言いたいの?」ゴゴゴゴ…


初風「――そ、そういう……わけでは」


初風(なんていうプレッシャー……。若頭の時雨……噂以上ね……)


127 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:46:52.34 ID:RgrSEOcd0

村雨「同盟なんてそんなものより、陽炎組に乗り込んじゃったほうが面白いんじゃないかなぁ?」


初風「なっ……!」


夕立「賛成っぽい! それじゃあ……、この人はヤっちゃっていいっぽい?」ガチャ


時雨「うるさいよ。……いま僕が話してるんだ」ギロッ


時雨「――でも、それも悪くない意見だ。まさか陽炎組が、そんなに弱腰だとは思わなかったよ」

クスクスクス…
アハハ…
ヨワイノネ…

初風「――ッ!!」グッ…


時雨「……話は終わりかな? それじゃ、いい機会だ。僕たち全員で、陽炎組まで送って差し上げようじゃないか」ニコッ


初風(……やられる? 逃げなきゃ……!?)


初風「――ふふっ……」


時雨「…………何かおかしいかな?」


初風(――『逃げる』? 陽炎組を馬鹿にされたまま、私は逃げるっていうの? ……あり得ないわ)


初風「……いい度胸だわあなた達。陽炎組を敵に回す事、後悔させてあげ――」




白露「――ねー、時雨? 同盟ってなに?」




時雨「あぁ、組長……。同盟というのは、弱い者同士が力を合わせることです。僕たちには……」


白露「じゃあ、組むのと組まないの。どっちが一番に近いの?」


時雨「……そういう意味では、組んだ方が早いかもしれませんけど――」


白露「――じゃあいいよ。同盟の話」


初風「へっ?」


時雨「……組長がそういうのであれば」


時雨「――っていうことになったよ。よろしくね、初風さん」ニコッ


初風「あ、あぁ……はい……」


夕立「えぇー! そんなの――」


時雨「――夕立、これは組長の意向だよ? まさか逆らうのかい?」ゴゴゴゴ…


夕立「じょ、冗談っぽい……」シュン…



初風「…………け、結果オーライって所かしら……」


128 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:48:07.40 ID:RgrSEOcd0


時雨「――でもまぁ、僕たちの同盟はその暁組とのいざこざが終わるまでだ」


時雨「それが終わったら、僕たちは即座に君たちの敵になる。……これでいいかな?」


初風「えぇ、かまわないわ」


時雨「初風さん、先ほどまでの無礼は詫びよう。……実際の所、ここに一人で来るだなんて……相当な実力と、信頼があるんだね」


初風「……まぁね」フンッ


時雨「ふふっ……。まぁ、こういうのも面白い。そう思うようにするよ――」


――――――

――――

――


―――CMへ


129 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/03(木) 01:50:34.09 ID:RgrSEOcd0

―――CMH

『サーチ♥ライト』


―――猫鳴警察署

ダンッ

球磨「――くっそー『怪盗サーチ♥ライト』め……! また予告状なんて出してきやがったクマ!」

多摩「球磨主任……。今のうちからそんなに緊張しててもしょうがないニャ」

球磨「しかしだクマ! いつまでも舐められてるわけにはいかんクマ!」

北上「まぁーさー。こういう時はあの喫茶店でも行って落ち着こーよ」

球磨「……それもそうクマね――」


―――喫茶店『サーチライト』

カランカラン…

那珂「――いらっしゃーい!」キャピッ


球磨「来たクマー」


神通「――あれ、皆さん。なにか神妙な面持ちですね」


多摩「また予告状が届いたのニャ……」


川内「あー、あの『怪盗サーチ♥ライト』から? 早く捕まえちゃってよー。偶然にも同じ名前のこの店が悪く見られちゃうしさ」


球磨「うぐっ……。く、球磨達だって頑張ってるんだクマ……」


神通「そうですよ、姉さん。……はい、コーヒーです」コトッ


北上「でもさー、なんであの怪盗たちは予告状なんて出してくんのかねー。黙って盗ってきゃいいのにさ。そうすれば、私たちだってこんな動かなくてもすむんだけどなぁ」


那珂「あー! 刑事さんがそんなこと言ってもいいの?」


北上「あははー、いいのいいの」


カランカラン…‼


木曾「球磨主任! やっぱりここに……。今日は会議だってのを忘れたのか?」


球磨「あっ……」


神通「あはは……。それじゃ、お仕事頑張ってくださいね――」




――しかし、そんな彼女たちには裏の顔があった!


神通「――川内姉さん! 那珂ちゃん! 行きますよ!」

川内「おーっ!」
那珂「いえーいっ!」


闇夜を駆ける三つの影。そして照らされる探照灯!
 そう、彼女たちこそが『怪盗サーチ♥ライト』だったのだ!


『サーチ♥ライト』
 二水戦テレビ系列にて絶賛放送中!
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 16:10:44.49 ID:W2WY+gXe0
二水戦テレビはどこに行けば見れますか!!?
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 19:19:51.90 ID:ZTJE4ObQ0
キャッツアイかぁ
懐かしいなぁ、シティハンターにも喫茶店の名前だけ出てきてたりしてたの思い出した
本編も続き待ってます
132 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:21:44.88 ID:0vVFI0yr0
>>130
二水戦テレビは、水雷魂を持ってテレビつければきっと見れるよ。
133 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:22:27.17 ID:0vVFI0yr0

―――CM明け


―――暁組・事務所


アナタハダァレ?

暁「………………」ゴクッ

アハハ‼アハハハハハ‼

雷「んー! んーー……!」チラッ

ソレハナァ…―

電「はわわ……! はわわわわ…………!!」ガタガタ…


オマエダァアアアアアアアアアアアアアア‼


「「「いやぁああああああああああああっ!!」」」


ガチャ…

響「ただいま。いま、なにか悲鳴が聞こえたような――」


「「「きゃあああああああああああああ――!」」」


暁「――って! ひ、響じゃない!! び、びっくりさせないでよ、もうっ!!」


響「……すまない」


電「はわ………………」チーン…


雷「こ、こんなに怖いなんて、聞いてないじゃない……!」


響「……ふーん、ホラー映画を見てたのかい?」


暁「ま、まぁね! ぜ、全然怖くなかったけど!」

電「……電はすごい怖かったのです……」

雷「ウソよっ! 組長だって叫んでたじゃない!」

暁「そ、それは――!」


響「――まぁまぁ。それよりも……」


暁「…………? それよりも?」


響「いや、そこに居る赤い服の人は誰かな……って思ってね」


暁「」ピキッ

電「」パキッ


雷「――だ、騙されないわっ! そういって、響は私たちを驚かそうとしてるのね!」

響「そう言われても……」

暁「そ、そうだわっ! ふんっ、どうせ誰も居な――」クルッ


早霜「…………こんにちは」フフッ…


――イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……

134 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:22:56.38 ID:0vVFI0yr0

――

――――

――――――


暁「――ゴホンっ。……えーと、それじゃ改めて……」


暁「……私たちの事務所に勝手に入り込んで、あなた誰なのよっ?」


早霜「ごめんなさい……つい。映画を見終わるまで、待っていようかと思ったのですけど……」


雷「というか、いつから居たの?」


早霜「ずっといましたよ。ずーっと……」フフフ…


電「この人怖いのです」


響「……その服から察するに、キミは夕雲組だろう? ……いったいどんな用件で?」


早霜「それは、まず私の口よりもこれを……」スッ


暁「……DVD? ……こ、怖いのじゃないのよね?」


早霜「ご安心を……。夕雲組長からの伝言です……」カチッ



夕雲『――初めまして、暁組の皆さん。夕雲組組長、夕雲と申します』

夕雲『このような形での挨拶となってしまい、大変申し訳ない気持ちであります』

夕雲『ですが、いま夕雲組はとある事情から陽炎組に目を付けられていまして、外出はおろか通信機器すらも傍受されている可能性から、使うことができないのです。どうかご容赦くださいますようお願いいたします』

夕雲『私どもの方にも、暁組の活躍は聞き及んでおります。さぞ、組長様は器の大きい方なのでしょう』


暁「そ、それほどでも……あるわね」

雷「………………」

電「………………」


夕雲『――そこで一つ。無茶な事なのは承知の上で、暁組にお願いしたいことがあるのです』

夕雲『陽炎組に居る私たちの内通者。秋雲の救出をお願いしたいのです』


暁「救出……?」


夕雲『こうなってしまった経緯は話せば長くなってしまうので割愛しますが、彼女は多くの情報を私たちに与えてくれました』

夕雲『私たちはその情報をもとに、陽炎組の力を削っていたのですが。しかし、陽炎組も馬鹿ではありません。ついに情報提供の事が感付かれてしまったのです』

夕雲『まだ秋雲さんが内通者だということは気付かれていないようですが、それも時間の問題でしょう』

夕雲『……そこで、陽炎組の目がこちらに向いている隙に、秋雲さんを暁組に救出していただきたいのです』

夕雲『もちろん、本来であれば私たち夕雲組で解決しなければいけないことでしょう。しかし、先ほども申しました通り。夕雲組は陽炎組に目を付けられてしまっていて動くことができません』

夕雲『……無茶なお願いなのはわかっています。強要はできませんし、お断りしていただいても構いません』


夕雲『――……ですが、もしやっていただけるとの事であれば、私たち夕雲組は暁組に絶対の忠誠を誓いましょう』

夕雲『どうか、ご一考いただければ幸いでございます。……これ以上の詳しい話は、その場に居る早霜にお聞きください』



早霜「――以上が、夕雲組長からのお言葉です」

135 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:23:31.46 ID:0vVFI0yr0


暁「きゅ、救出って……あの陽炎組相手に……? な、なんで私たちなのよっ?」


早霜「……それはそうでしょう。いまや、あの陽炎組に対抗できるのは、睦月組・吹雪組・秋月組を傘下に置く、あなた方暁組だけなのですから」


電「さ、傘下って……?」


雷「……まぁ睦月組はともかく、他二つはそう見えてもおかしくないわね……」


響「――しかし、理解できないな。なぜ、その内通者一人のためにそこまでするのか……。もともと、そういうリスクは承知の上なのでは?」


早霜「……それについては、少し複雑なのです……。その秋雲ですが、もともと私たちが送り込んだものでもありません」


暁「どういうこと?」


早霜「秋雲は元から陽炎組の組員なのです。……それが、ある時私たちに接触してきて情報を提供してきたのです」


雷「へぇ……。どんな見返りを望んでたのかしら?」


早霜「……いいえ、秋雲は見返りを要求しなかったのです。ただ、陽炎組が大きくなるのを止めてくれればそれでいいと」


電「え、えぇっと……?」


早霜「それ以上のことはわかりません……。秋雲本人に聞いてみないことには」


響「……それで? 夕雲組が秋雲一人のためにそこまでする理由は?」


早霜「……夕雲組長は仁義を重んじるお方です。秋雲を見捨てておくのが我慢ならないのでしょう」


暁「……か、考える時間はどれくらいあるの?」


早霜「実は……あまり猶予がありません。なぜかと言いますと、このDVDを録った後に陽炎組の萩風という組員から電話があったのです」


早霜「『秋雲を、守ってほしい』と」


電「で、でも……、さっき通信機器は……」


早霜「そう。おそらくは下の組員まで詳しく話をしていなかったのでしょう……。萩風のその電話はたぶん……」


雷「もし、私たちが断ったら?」


早霜「……その時は、夕雲組と陽炎組の戦争になるでしょう。……勝ち目は薄いかもしれませんが」


暁「……みんなはどう思う?」


電「い、電は……よくわからないのです……」


雷「難しいわね……。夕雲組が味方になるのはすごいことだと思うけど……」


暁「……響は?」


響「――私は反対だ。『絶対の忠誠を誓う』とは言っても、夕雲組がそれを守る保証はどこにもない」


響「陽炎組を相手にすれば、私たちだってタダじゃ済まないかもしれないんだ……」

136 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:24:57.25 ID:0vVFI0yr0

暁「…………そうよね」


早霜「さっき夕雲組長が言った通り。断ってもそれはしょうがない事です。暁さんが気に病むことではありません」


暁「………………」


雷「組長…………」

電「はわわ……」

響「…………組長」


暁「――……決めた」


早霜「…………はい」






暁「 秋雲救出の件。私たち暁組が請け負ったわ 」






早霜「…………え……?」


雷「――ふふっ! 組長なら、そう言うわよね!」


電「なのですっ!」


響「………………っ!」


暁「…………響。あの、えっと……」


響「――ハラショー。……それでこそ、我が組長だ」


暁「え? いいの……?」


響「もちろんさ。……私は、それがたとえ地獄へ通ずる道だとしても、組長と共に歩くよ」ハラショー


暁「響……!」


早霜「あ、あの……! 本当に……」


暁「――早霜、帰って夕雲さんに伝えなさい。秋雲は、私たちが必ず救い出してみせる……ってね」ニコッ


早霜「――っ! ……必ず」グッ



暁「戦争だなんて、そんな物騒なこと止めた方が良いに決まってるわ。……みんなを集めましょう。今すぐに作戦会議よ!!」

雷「えぇっ! 秋月達に伝えてくるわね!」

電「い、電はお茶とお菓子を用意するのです!」

響「それじゃ、私は作戦を考えようかな……」


 第九話
 『のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟』

お わ り
137 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/04(金) 23:25:52.81 ID:0vVFI0yr0

【次回予告】

デデンデデン♪


曙「綾波組の若中をやってるわ、曙よ。……お相撲さんではないわ」


曙「あーあー、まったく面倒くさいことになってきたわね」


曙「正直な話、陽炎組と夕雲組が戦争したところで、私の知ったことじゃないわ」


曙「……でもまぁ、組長が言うんだったら仕方がないか」


曙「見てなさい。目に物を見せてあげるから」


曙「次回『暁が如く』」


曙「『嫁菜の如く』」


曙「任侠桜に仁義の嵐……ってなによこれ?」


曙「ホント……冗談じゃないわ」


デデデン♪


138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 23:48:29.77 ID:ZTJE4ObQ0
乙でございます
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 17:50:56.17 ID:2NcOATpm0
提督って概念が存在しない世界観?
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 02:15:57.92 ID:LpzZrWUj0
暁さん素敵すぎます
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 05:13:00.88 ID:ouEd6JK/0
響が暁を大好きなことがよくわかる、尊い
142 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:42:07.97 ID:GyzhkNKc0

 第十話
 「嫁菜の如く」



―――陽炎組・本部・昼

ザワザワ…
プップー‼
ワーワー‼


嵐「――なんだぁ? 今日はヤケに人の往来がある気がするなー」

野分「そうね。なんでも、遊園地の料金が半額になったり、有名人とかもくるみたい」

谷風「かぁーっ! 粋だねぇ!」

浜風「……しかし、何故急に?」

舞風「まぁまぁいいじゃん。楽しいのはいいことだよ!」


秋雲「あはは……」

スッ

初風「……秋雲」ボソッ


秋雲「…………っ! ――は、初風の姉貴……」


初風「ちょっと話があるの。……来てもらえる?」ゴゴゴゴ…


秋雲「………………!」ゴクッ

秋雲(――もうバレたのか……。思ってたより早かったな……)

秋雲「……はい。行きます……」


――――――


黒潮「――おぉ、秋雲。急に呼び付けて悪いなぁ」


秋雲「い、いえ……。そ、それで、お話というのは……」


黒潮「それがなぁ、この前話した内通者の事なんよ」


秋雲「………………」


初風「……もう目星はついたの。でも、いま組長の心労を増やすのも嫌でね。……わかるでしょう?」


秋雲「……はい」


黒潮「それで、その目星っていうんがな――」


秋雲「…………っ」ギュッ…






黒潮「萩風……だったんよ」






秋雲「…………えっ、萩風の姉貴?? ど、どうしてっ!?」

143 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:42:55.77 ID:GyzhkNKc0

初風「気持ちはわかるわ。私だって、最初は信じたくなかったけど……」


黒潮「実はなぁ、うちらは情報の流出先が夕雲組と見て、いろんな角度から様子を見てたんやけど」


黒潮「……この前、一つの通信を傍受したんや」


秋雲「ぼ、傍受……?」


黒潮「それはなぁ、夕雲組の若頭補佐……風雲への通信だったんよ。……残念ながら内容までは把握できんかったけども、おそらくは萩風の声やったと思う」


秋雲「そんな…………」


初風「秋雲、あなたには何か決定的な証拠を掴んでほしいの。萩風もあなた相手だったら気を許すと思うから」


秋雲(萩風の姉貴が風雲の姉貴に……? いったい何がどうなって……。――とりあえず、ここは承諾して様子を見ないと……)


秋雲「わ、わかりました。なんとか、やってみます」


黒潮「すまんなぁ秋雲。よろしく頼むわ……――」



――――――



秋雲「――やっぱり無い……。風雲の姉貴にもらった、あの連絡先の紙が……」

トントン…

秋雲「――っ! ……は、はい!」


萩風「秋雲? ちょっと話があるの」


秋雲「……ちょうどよかった。私も、萩風の姉貴に話があるんだ」


萩風「そう。……じゃあ入るわね」ガチャ…


秋雲「萩風の姉貴……! 風雲の姉貴に連絡したのかっ!?」ガシッ


萩風「えっ!? そ、そうだけど……、なんで知ってるの? 秋雲も連絡を?」


秋雲「違うんだ……。その連絡の事が、もう本部長達にバレてる」


萩風「そんな……!」ハッ…


秋雲「なんでそんな勝手な事をしたんだよっ!」


萩風「……ごめんなさい。――でもっ、秋雲は陽炎組に居ないほうがいいと思ったから……! 結果的に私のせいでこうなってしまったけど、いずれはこうなる。隠しきれるはずがないもの」


秋雲「それならそれでよかったんだ! ……その連絡のせいで、本部長達は萩風の姉貴を内通者だと思ってる!」


萩風「…………っ! ――なら好都合ね。秋雲が逃げやすくなる」


秋雲「馬鹿なこと言うなよッ!」


萩風「実はね、私が今日ここに来たのは、さっき折り返しの連絡があったからなの」


秋雲「えっ……? 風雲の姉貴から……?」

144 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:43:34.23 ID:GyzhkNKc0

萩風「えぇ、連絡とは言っても『朝霜を見た時、雲が集まる場所で』っていう謎めいたものだったけれど」


萩風「でも、その話を聞いてわかったの。傍受されてることを知って、暗号を使っているんだ……って」


秋雲「………………」


萩風「きっと明日の朝に、その『場所』に行けば――」


秋雲「……違う。冬じゃないから……」


萩風「え?」


秋雲「明日の朝じゃないんだ――」




秋雲「――今日の……夕方だ」




――――――

――――

――



―――某所・夕方

コソコソ…

萩風「――ほ、本当に夕方でいいの? 『朝霜』って確かに言ってたと思うんだけど……」


秋雲「教えられたんだ。こういう時の言葉に矛盾があれば、別の意味を考えろって」


秋雲「『雲が集まる場所』っていうのは、秋雲と風雲の姉貴の落ち合い場所ってことだと思う」


秋雲「でも『朝霜』は冬の季語で季節外れ。――それと同時に、『夕雲』組の組員の一人だから……」


萩風「なるほど……? ――でも、私も来て大丈夫なのかしら」


秋雲「こうするしかないよ。秋雲は残ってもよかったのかもしれないけど、萩風の姉貴だけじゃ信じてもらえないだろうし……」


萩風「……ご飯、作れなかったから……。みんな、もう気付いてるのかな」


秋雲「どちらにしたって、私たちは戻れない……。――ほら、もうすぐ着くよ」

ガサガサ…

萩風「――えっ……!?」

秋雲「な、なんであんた達がここに……っ!!?」




暁「――よかった、ちゃんと来たわね。秋雲と萩風かしら?」




秋雲「あ、あぁ……。なんで、夕雲組は……?」


雷「夕雲組はいま動くことができないらしくてね、代わりに……って頼まれたのよ」

電「なのですっ!」
145 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:47:13.70 ID:GyzhkNKc0


萩風「信じて……いいんですか?」


響「それを決めるのはそっちさ。……さぁ行こう。まだ明るいうちになんとか――」


バンッ‼
バンッ‼
バンッ‼


暁「――ッ!? 探照灯……!?」





陽炎「――……そう。やっぱり、夕雲組と繋がってたのね。……初めまして、暁組の皆さん」





秋雲「く、組長……!!」


黒潮「……イジワルしてすまんなぁ、秋雲。本当はわかってたんよ……。でも、出来ればそうであって欲しくなかった」


初風「悲しいわね……」


秋雲「泳がされたってことか……」


萩風「み、みんなも……」



谷風「なんでこうなっちまったんだい……」

野分「覚悟は……出来てるんだよね」

嵐「まいったな……。こういうのはどーも……」

舞風「もう、ステップ踏めないね……」


雷「陽炎組が勢ぞろいじゃない……」

電「はわ、はわわわわ……」


陽炎「こちらとしては、大人しくしてくれると助かるんだけど……」


響「それは、無理な相談だね」


陽炎「……そうよね」


暁「……私たちも、争いたくはないのよ」


陽炎「ふふっ、おもしろいこと言うじゃない。冗談のつもり?」


暁「いいえ、だから争わないようにするために――」




暁「――こうなることも、予想してたってことよ」




陽炎「…………っ! ――みんな、周りを警戒してっ!!」



146 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:48:52.61 ID:GyzhkNKc0

バシュッ‼ バシュッ‼


嵐「――なっ! 照明弾か!?」


卯月「うーちゃんだぴょ〜んっ! どんどん撃つっぴょん!」

長月「思い知れっ!」バシュッ‼
菊月「行けっ!」バシュッ‼
三日月「えぇい!」バシュッ‼
望月「いよっ」バシュッ‼


初風「睦月組……っ!!」ギリッ…


暁「――よし、今のうちに逃げるわよ!!」

響「了解っ!」

雷「さぁ、二人も行くわよ!」

電「早くなのですっ!」グイッ

秋雲「あ、あぁ……!」

萩風「は、はいっ!」



陽炎「――浦風、磯風っ! 組員を連れて暁組を追いなさいっ!」

浦風「はいっ!」

磯風「了解!」


暁「うーちゃん! 私たちの目的は戦いじゃないってことを忘れないで!」


卯月「わかってるっぴょん!」

ザザッ

卯月「――頃合いをみて散開するぴょん。戦闘と、捕まることは禁止だぴょ〜ん」

「「「「了解」」」」



ピピピッ‼

陽炎「――親潮っ? どうしたの、こっちも忙しいんだけど!」


親潮『すいませんっ! 浜風、時津風と共に夕雲組を見張っていたのですが、一斉に動き出しました!!』


陽炎「くっ……、そりゃ大人しくしてるわけないわよね……っ!」


親潮『ど、どうしましょう!?』


陽炎「親潮たちはそのまま! 戦わないで、気付かれない程度の距離で様子を見て、報告して!」


親潮『了解しました!』

プツッ…


黒潮「組長……どうするん? 夕雲組も関わってるとなれば、うちらの兵力だけじゃ……ちと厳しいかもしれんよ」


陽炎「……いえ、これは私たち陽炎組の問題。他の組に頼るわけにはいかないわ」


陽炎「出来ることを全力でやりましょう――」グッ…


―――CMへ
147 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [saga]:2018/05/13(日) 02:50:07.40 ID:GyzhkNKc0

―――CMI

『メイド喫茶 アガにゃん』


キャルルーン♪

阿賀野「――おかえりなさいっ、提督さんっ♪」ニコッ


日常の生活に、疲れていませんか……?
 そんなあなたにお届けしたい! メイドのパワー!


酒匂「ぴゃんっ♪ 司令……だーい好き!」


ここ『メイド喫茶 アガにゃん』なら、素敵なメイドさんがお出迎え!
 中には少し個性的なメイドさんも……?


能代「オ、オカエリナサイマセッ! テ、テイトク……サマ……」ガチガチ


矢矧「な、なんで私がこんな……っ!」モジモジ…


ツンデレなメイドさんも、ちゃーんと居ますよ!
ぜひ、あなたの癒しになれば!



※『メイド喫茶 アガにゃん』をご利用いただく前に。

・ご利用料金は入場料800円(税抜)+メニュー代金になります。

・ご滞在は基本1時間までとさせていただいています。

・メイドさんと記念撮影(1000円)やゲーム対戦(500円)なんかもできます!(料金はお会計時に追加させていただきます)


・メニュー一覧(表記はすべて税抜です)
かいぼうかんコース  1500円
くちくかんコース   1800円
けいじゅんコース   2000円
じゅうじゅんコース  2300円
せんかんコース    2700円

アガにゃんスペシャルコース
・あがの      7500円
・のしろ      7000円
・やはぎ      6800円
・さかわ      6500円




たくさんのご来店、お待ちしてます!




気になる点や文句があれば、お気軽にお電話を!

TEL:○○○−△△△−□□□
(運営・天龍商会 店長・龍田まで)



148 :ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz [sage]:2018/05/13(日) 02:57:52.71 ID:GyzhkNKc0
>>139
実は答えづらいのですが、存在しないって感じで見てもらった方が見やすいと思います。

季節の事なんか一つも出してなかったのですが、急に出してしまって申し訳ないです。
六話で「祭り」というのは出してるので、「祭り」の季語は三夏ということで、そこら辺の季節感でお願いします。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 18:16:30.25 ID:rZT+EeVp0
開店から閉店まで粘れないのか
更新乙です、リーダーは頼りなくても周り(主に響)がしっかりしてて
それでも〆るところは〆る、毎回続き楽しみにしてますよー
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名前: E-mail(省略可)

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